『小さな掌(てのひら)』

作品集: 最新 投稿日時: 2005/09/26 11:10:12 更新日時: 2005/09/29 02:10:12 評価: 33/35 POINT: 208 Rate: 1.37




「いやいや妖夢、見事な紅葉(こうよう)ね」

 幽々子様は縁側に座り、舞い散る桜の枯葉を目で追いながら、おはぎをぱくぱく食べている。
 全くこれで何皿目だと思っているのか。紅葉が綺麗などと風流な事を言っているが、口をもごもご
させて語られても侘びも寂びもありはしない。

「私は気が重いですよ。この季節は庭掃除が大変なんですから」

 そう、毎年この季節はいつも以上に私の仕事が増える。何しろ二百由旬はあると言われる白玉楼全て
の落ち葉掃き、これを全て私一人で行うのだ。おまけに幽々子様が「食欲のあ〜き〜」と言って普段
以上に食べるものだから、余計に私の仕事が増える。秋など私にとって頭の痛い季節に過ぎない。
 今も庭に散った桜の葉を片すのに大忙しだ。

「無粋ねぇ……舞い散る落ち葉に儚さを、移り行く色彩に無常を感じて涙を流す乙女心。妖夢も女の
子なら判るでしょ?」
「全っ然、判りません」

 うぅー妖夢がつれないーと言って泣き崩れる幽々子様。泣き真似をするなら、せめておはぎを頬張り
ながらは止めて欲しい。

 まぁ、確かに舞い散る落ち葉は綺麗だと思う。赤や黄色の枯葉がひらりひらりと舞う様は、私のよう
な無粋な者でも儚さと無常を感じる。だが私はこの白玉楼の庭師。侘び寂びを語る前に為すべき事を
為さねばならぬ。まず手始めに為すべき事は……

「妖〜夢〜おかわり〜」

 幽々子様のおやつの追加だった……








                『小さな掌(てのひら)』







「そういえば妖夢、知ってるかしら?」

 私は追加したおはぎを盆に載せ、幽々子様の隣に置く。

「何をですか?」

 私もちょっと休憩しようと幽々子様の隣に座る。
 幽々子様と私の湯呑に緑茶を注ぐ。緑茶の柔らかい香りが鼻腔をくすぐった。
 実を言うと私もちょっとだけお腹が空いている。おはぎを作っている最中に味見代わりに餡子を
舐めたが、やはりきちんと出来上がったおはぎを食したい。まぁ主が話しかけている最中に手を
伸ばすような無作法はしない。いかに私と幽々子様の二人きりとはいえ、けじめはきちんと付け
ないと。

「そろそろ栗が食べ頃だそうよ」
「そうですか」

 私はおはぎに手を伸ばし頬張った。全く真面目にすると馬鹿を見る。

「うぅ〜妖夢が反抗期〜」
「食べ物以外の話は無いんですか」
「え、え〜と、う〜と」
「本気で無いんですね」

 私は二個目のおはぎに手を伸ばす。うん、我ながら良い出来だ。本当はこし餡の方が好みなのだが、
幽々子様はつぶ餡が好きなのでそれに合わせて作っている。つぶ餡は皮が歯に付くのが難点だ。
 幽々子様は何とか食べ物以外の話はないか頭を抱えているが、悩みながらも食べる手と口は止めない
ので同情するには至らない。
 幽々子様の事は好きだし尊敬もしているが、できればもうちょっと威厳というかそういうものを
持って欲しい。

 さて、そろそろ仕事に戻るかと、立ち上がろうとした時

「あ、そうそう! 知ってるかしら妖夢?」
「……何です?」

 また食べ物の話だったら無視しよう。これ以上仕事が遅れると日が暮れる。

「紅葉(もみじ)の話」
「紅葉ですか……」

 私は改めて幽々子様の話を聞こうと腰を下ろす。こう見えて幽々子様は物知りだ。八割方が食べ物
の話だがそれ以外にも含蓄が深い。それに幽々子様は話し上手だ。聞いているうちに気が付けば引き
込まれている。私は姿勢を正して幽々子様の話に耳を向けた。

「外の世界には紅葉まんじゅうという物があってね」
「失礼、仕事に戻ります」

 すたすたと歩き出す私の足に「妖夢のいけず〜」と言って縋りつく幽々子様。
 私は忙しいのだ、知った事か。

「あー妖夢、真剣(まじ)、真剣モードで話すから〜」
「忙しいんです、大変なんです、暇じゃないんです」
「お慈悲をっ! もう一度だけチャンスをっ!」

 よよよっと泣き崩れる幽々子様。本当に威厳も何もあったもんじゃない。

「今回だけですよ? もうチャンスはあげませんからね」

 こくこくと涙目で頷く幽々子様、私もまだ甘いなぁ……

「コホン、では改めて……紅葉(もみじ)の話は知っているかしら?」
「白玉楼(ここ)でも奥の方に生えてますね。それがどうしたんですか」
「紅葉の葉の形は知ってる?」
「? それは勿論、こう……子供の手のような……」






「あれはね、妖夢……本当に赤子の掌(てのひら)なのよ……」











 昔々、ある貧しい農村に一組の母子がいた。

 戦人だった夫を亡くし、女手一つで乳飲み子を抱える生活は厳しいものだったろう。
 おまけにその子は生まれつき声が出せなかった。泣いても顔を顰めてひゅーひゅーと息を漏らすだけ。

 赤子は泣く事で己の意を示す。
 腹が減った、小便がしたい、痛い、寂しい、嬉しい、楽しい……そして「自分は此処にいるぞ」と。

 泣く事も出来ぬその子には、女が付きっ切りにならねばならなかった。
 赤子は飲んだ乳で咽て窒息する事もあり得る。その苦労は並大抵のものではなかった筈だ。
 それでも心優しき村人たちの助けもあり、赤子はすくすくと育っていった。

 女はまだ小さき我が子を背負って畑を耕し、子供は鍬の音を子守唄にすやすやと眠る。
 背負う我が子に目を向けると、子供は眠りながら小さい両手をわきわきとさせている。
 女は帯を解き、子供をそっと背中から降ろして両腕に抱いた。
 目を細めて我が子を見つめ、そしてそっと自分の指を子供の顔へと近づける。
 子供は眠ったまま、差し出された指先を両手できゅっと握る。その力は強く、己が生きている証を
精一杯、刻み込もうとしているよう。
 指を放そうとしないその小さな手を、腕の中で穏やかに眠る顔を見て、女は優しく微笑んだ……



 その時代は皆、生きるのに必死だった。
 誰もが争いのない平和な世界を望んでいるのに、何故に戦は絶えぬのか。人間の歴史は戦争の歴史、
平和とは一つの戦が終わり、次の戦が始まるまでの準備期間に過ぎぬのか。誰もが思い、悩み、問い
掛けながらも戦争へと巻き込まれていく。望むと望まぬと関わらず否応なく飲み込まれていく。

 そして、それは貧しい村とて例外ではなかった。

 村から山一つ越えたところに敵が陣を張っているという事で、この村は戦における拠点とされた。
 以前であれば民草を巻き込まぬ配慮も為されていたが、長引く戦はそのような建前すらも無くして
いく。生命を賭けて生命を奪うのだ。綺麗事など入り込む余地はない。
 畑は潰され、陣の配置に邪魔な家屋は取り壊された。
 貴重な水は軍へと回され、冬に備えての備蓄は徴収された。
 村人たちは不自由な共同生活を強いられながらも、結束して苦難を乗り越えようとしていた。

 戦が終れば平和な日常が戻ってくる。戦が終れば元の生活に戻れる。
 皆、その日が来るのを信じて必死で耐え忍んだ。
 皆、明日こそはと希望を捨てず、お互いに支えあっていた。







 意気揚々と出陣した自軍が全滅したとの報が入ったのは、その日の夕方の事だった。






 すぐに敵は押し寄せてくるだろう。逃げ出すか、降伏するか、村長を中心に話し合いが行われた。
 いや、それは最早話し合いではない。誰もが怯え、声高に持論を述べるのみ。楽観論と悲観論が
互いに譲らず、最早収拾が付かない。情報も時間も導く者もいないこの状況で、答えなど出る訳もない。
 目前に迫る明確な死、それに対し人は余りにも無力だった。

 結局、村に残り降伏する者と、逃げ出す者とに別れる事になる。
 どちらが正解だったのか……今ではもう知り得ない事。

 女は逃げ出す道を選ぶ。我が子を背中に抱え、両手に抱えれるだけの荷物を持つ。
 行く当てなどないが、村に残っても待つのは死だけという気がした。

 せめて、この子だけでも……女は決意を固めて、仲間と共に村を飛び出す。




 その夜、山へと逃げ込んだ村人たちは、住み慣れた村が焼かれる炎を見た。
 自分達の選択が間違っていなかったと喜ぶ者は誰もいない。
 意見が分かれ異なる道を選べども、苦楽を共にした仲間たちだったのだ。
 村を焼く炎を見て、誰もがはらはらと涙を流す。
 女もまた、村に向かってそっと両手を合わせた。




 女は仲間と共に山道を登る。子供を抱えての行進は辛い。じりじりと遅れがちになる足を懸命に
動かす。諦め、へたり込もうとする度に、背中に背負った生命の重さが足を奮い立たせ、昼も夜も
なく歩き続ける力を与えてくれた。
 背中ですーすーと寝息を立てる子供。こんな状況で眠れるなんて、我が子ながら肝が太いと思わず
笑みが零れる。
 この子を死なせはしない、その一念で歩き続けた。





「村だ、村が見えるぞ!」

 先頭を歩く男が喜びの声を上げたのは、村を出て四度目の夜。
 良かった、これで助かる、誰もがそう思ったその瞬間、
 ひゅん、という風切り音と共に、先頭に立つ男の喉に矢が突き立った。
 男は口から血と泡を噴きながら地面に倒れ込む。

 誰も、目の前の光景を受け入れられない。
 あんなに必死でここまで来たんだ。こんな事ってないだろう?
 いくら神様が意地悪だといっても、ここまで性根が腐っちゃいないだろう?

 だが、それが―――現実だった。

 誰もが固まって動けない中、女だけはすぐに行動を起こした。
 こんな山道で固まっていては格好の的。さっと藪の中へ身を躍らせる。
 藪を掻き分け、荷物を放り出し、必死で夜の森を駆ける。
 背後に無数の風切り音と絶叫が響くが、もう振り向きはしない。
 背中に背負った我が子を両腕に持ち直す。

 女は走った。走った。走った。

 もう体力など欠片も残っていない。
 もう気力など欠片も残っていない。

 それでも両手に抱えた生命の重さが、倒れ込むのを許さない。

 死なせるもんか
 死なせるもんか
 死なせるもんかっ!


 だが、どれほど必死になろうとも所詮は女の足。
 あれから一刻も経たぬうちに、その背を最初の一本が抉った。

 あ……

 背中に受けた衝撃で前のめりに倒れ込む。
 両手は我が子を抱えている。受身も取れず顔から地面に叩き付けられた。
 背中と顔に激しい熱、それでもすぐに立ち上がって再び駆け出した。

 ひゅん、ひゅん……

 絶え間なく続く風切り音。その背に突き立つ数本の矢。
 女は一層強く我が子を抱え込む。
 背中が焼けるように熱く、右目は血で塞がれている。
 振り返ると方々に松明の炎が揺れている。このままではとても逃げ切れない。

 投降するか? いや、投降して助けるようなやつらなら村を焼いたりしない。逃げ出した村人に、
声も掛けずいきなり射掛けたりもしないだろう。初めから私達を全滅させる気なのだ。
 そのような事、戦における常識。下手に恨みを残せば禍根となる。ならば女子供問わず殲滅するが
戦の定め。戦人であった夫より聞かされていた事、故に女は村を捨てて逃げ出したのだ。

 女は再び走り出して考える。どうすれば良い? どうすればこの子を救える?
 考えろ
 足は止めるな
 考えろ
 弱音を吐くな
 考えろ
 死なせはしないっ!



 女は走り続ける。
 月が煌々と照らしつける夜の森を
 追い縋る松明を振り切って

 いつまでもいつまでも……






 どれくらい走ったのだろう。気が付けばもう追っ手の気配はない。
 ちょっとだけ気が緩む。逃げ切れた、そう安堵する。

 ふ、と世界が闇に包まれた。疑問に思う間もなく木の根に足を取られ再び転ぶ。
 また顔をしたたかに打ち付けたが、もう痛みは感じない。
 そして女は悟る。
 この暗闇は月が翳ったのではない
 血を流し過ぎて、もう目が見えないのだと
 もう自分は死ぬのだと……

 折角逃げ切ったというのに、此処で自分が死んだらどうなる?
 この子はまだ乳飲み子、こんな山の中で置き去りにされては死ぬしかない。
 何としても、この子を誰かに託さないと

 もう一度、女は立ち上がろうとする。しかしすでに限界を超えている足は何も答えてくれない。
 左手に子を抱え、右手で地面を掻く。たとえ這ってでもこの子を、この子を……

 背中に突き立つ矢からは、もう血は流れない。流す血も残っていない。
 顔色は青を通り越し、すでに紙のような白。
 無理なのだ。そのような事できる訳ないのだ。
 女の身体は……すでに死んでいるのだから……

 女は死んだ身体を引き摺って、一本の木の根元に辿り着く。
 木に背中を預ける。背中の矢が一層身体に食い込むが、最早どうでも良い事。

 女は我が子を強く抱きしめた。
 この子は言葉を話せない。見えぬ目でこの子を感じる事が出来るのは、もうこの温もりだけ。
 できればもう一度だけ顔が見たい、そんな些細な願いすら叶わない。
 救えない、何をどうしてもこの子を救う術がない。
 女は我が身の不甲斐なさに泣きたくなる。もう泣く力も残っていなかったけれど……

 女は我が子の前に、血に塗れた右手を差し出す。
 その指を小さな手が強く握った。女の左手がその小さな掌(てのひら)を優しく包み込む。
 母と子。その手にお互いの温もりを刻み込むように、強く、強く握りしめた。

 ごめんね、守りきれなくてごめんね
 ごめんね、お母さん弱くてごめんね
 もう会えないけれど
 もうお別れだけれど

 それでも、ね

 ありがとう

 貴方に出会えて良か―――
 
















 その子は眩しい朝日に目を覚ます。
 自分の手を見ると血で汚れて真っ赤だった。
 自分を抱き締めている人を見上げる。逆光で顔が見えない。

 その子は知っていた。
 その人が誰なのか
 その血が誰のものだったのか
 
 そして悟る。
 自分を抱き締めている人は、もう此処にはいないのだと。

 泣いた。音無き声で、ひゅーひゅーと泣いた。
 会いたい
 会いたい
 あの温もりにもう一度会いたいと

 ずっと

 ずっと泣き続けた。


 赤く染まった両手を天(そら)へと伸ばす。
 今まではそこに優しい笑顔と指先があった。
 だけど、今は微笑んでくれる人もいない、握るべき優しき指先がない。

 そして気付く。
 自分の真上に、無数の赤い掌(てのひら)がある事を
 赤い、赤い紅葉(もみじ)が、その小さな掌を天(そら)へとかざしているのを
 手を伸ばせば届くかもしれない
 もっともっと伸ばせば届くかもしれない
 天(そこ)に求める人がいるかのように
 天(そこ)に母の姿を見るように

 いつまでも

 いつまでも赤い掌をかざしていた。
















 私は再び仕事に戻った。
 長い石段の落ち葉を掃き、屋敷の周りの落ち葉を掃き、そして今は一本の紅葉(もみじ)の前に
立っている。

 幽々子様の話は出鱈目だ。女も子供も死んだのなら、そのような話が残るはずもない。
 私だって馬鹿じゃない。その程度の事くらい判っている。
 此処に来たのだって単に掃除をする為だ。落ち葉はこまめに掃かないとすぐに腐る。仕事だ、その
為に此処へ来たのだ。

 なのに……さっきから箒を持つ手が動かない。
 赤い掌を天に向けている紅葉の前から一歩も動けない。

 その紅葉は見事に赤く染まり、無数の葉を重なり合うように結んでいる。
 早く仕事を終わらせて夕餉の支度をしないといけないのに、幽々子様が待っているのに、
 身体が動かない
 目を逸らせない
 
 はらはらと
 ひらひらと
 赤い落ち葉が風に舞う
 赤子の掌のように小さな紅葉の葉

 その時、一際強い風が吹き抜けた。
 つむじ風に巻かれ
 木々の隙間を抜け
 いと高き天(そら)へと、赤い小さな掌が舞い上がる。
 まるで、天が呼んでいるかのように
 まるで、母のもとへ還るかのように

 私は天に昇る小さな掌を、言葉を失くして見ていた。

 あの紅葉のように掻き乱される私の心
 掻き乱しているのは、この風か
 それとも、幽々子様の言の葉か

 私は何て弱いんだろう
 考えないようにしていたのに
 思い出さないようにしていたのに

 私は母の顔を知らぬ
 私は母の温もりを知らぬ
 でも私には幽々子様がいた、師匠がいた
 寂しくはない、寂しい筈もないのに

「母さま……」

 知らず言葉が漏れる。
 私の呟きも風に乗り、吹き上げられた紅葉と共に天へと昇る。

 お願いします、小さき幼子の魂よ
 私の想いも、どうか母さまのところへ運んでくださいますように

 私は天へと昇る紅葉を見上げながら、いつしか両手を合わせていた。
 祈るように
 願うように
 両手を合わせて目を閉じる。


 お願いします


 どうか


 どうか、届きますように―――
















「あら、ずいぶん遅かったのね」
「申し訳……ありません……」
「? 妖夢、泣いてる?」
「あ、いえ、そんな事は……」

 幽々子様は縁側に座り、きな粉を塗した団子を食されていた。
 顔は洗ったはずなのに、まだ目が赤かっただろうか
 いや、幽々子様なら全てお見通しか

 春のような空気を纏い、寝るか食べるかしかしていないのに
 いつだって幽々子様は何だって知っているのだ。解っているのだ。お見通しなのだ。

 私が嬉しい時には、一緒に笑い
 私が悲しい時には、優しく微笑み
 私が寂しい時には、いつだって傍にいてくれる。

 だから今は

 今だけは―――


「幽々子様」
「なぁに? 妖夢」

「今だけです。今だけですから―――――甘えても良いですか?」

 幽々子様は一瞬だけきょとんとした顔をしたが、すぐに穏やかな微笑を浮かべ、

「いらっしゃい、妖夢」

 そう言って自分の膝をぽんぽんと叩いた。




 私は幽々子様の膝に顔を埋めると、少しだけ泣いた。
 もう会う事のない母を
 顔も知らぬ母の事を想って

 そして、もうちょっとだけ泣いた。
 涙で着物が汚れるのも厭わずに
 優しく頭を撫でてくれる幽々子様の掌(てのひら)が嬉しかったから


 天に舞う小さな赤い掌
 無事に母のもとへ届きますように
 私のこの想いも、母さまのもとへ届きますように



 私はもう一度だけ―――強く祈った。









                   〜終〜
第一回SSコンペ、主催者様お疲れ様です。
このようなお題を決めて書くには初めてでしたけど楽しかったです。
今後も続いていくと嬉しいです。

さて、紅葉(もみじ)といえば、以前、宮島の厳島神社で見た紅葉が
忘れられません。一面に広がる紅葉谷、夕日に照らされて、まるで
真っ赤に燃えているかのよう。
そんな赤い紅葉を思い出しながら書きました。
そんなイメージが少しでも伝わると嬉しいなぁ
床間たろひ
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2005/09/26 11:10:12
更新日時:
2005/09/29 02:10:12
評価:
33/35
POINT:
208
Rate:
1.37
1. 6 流砂 ■2005/10/19 00:18:40
うむぅ、最初のSSからレベルが高いですね。 この6点を基準に点をつけていきます。
紅葉の儚いイメージ、生命の色を強く感じる作品でした。
作品とはまた別に、第一の勇者、乙です。
2. 8 ■2005/10/19 00:30:43
…反則、反則っ!(泣きながら机を叩いている)
天へ手を伸ばす子供の姿と動きを止めて天を見上げる妖夢の姿が重なり合いました。心情的な重なりの描写が非常によいと思います。
3. 4 おやつ ■2005/10/19 00:32:33
幽々子の話を出鱈目と知りつつ一蹴できない妖夢。
幽々子はそんな従者に対してどんな想いでこの話をしたのか……
いろいろ考えられるいいお話でした。
4. 3 七死 ■2005/10/19 00:48:22
大筋としては悪くないにしろ、幻想郷の物語である必要があったかと言えば甚だ疑問です。

原作と関係の薄い物語を作中に織り込む時には、実在する民話や神話等を引用すると文章の格がグッとあがります。さらにその物語に、原作の物語に織り込んでいく事が望ましい。

この物語の場合、妖夢と、妖夢の母親との縁をもう少し前面に出して、作中の物語と絡ませる事ができれば、また一味違う作品になったかと思います。
5. 9 低速回線 ■2005/10/19 00:48:23
そういえば妖夢も境遇は同じだった、か。
紅葉を思えば、それらは一つ一つが救われがたい話で出来てるんですな。
幽々子様共々恐怖の戦慄すら覚える話をありがとう。
6. 5 es-cape ■2005/10/19 01:01:02
普通のパートは読みやすく、詩的なパートは情感高く。
幽々子のとぼけた様子に隠れた優しさと、妖夢の気高さに隠れた脆さもよく出ていました。
ただ、メインが東方ではなく戦争の話になっていた感がやや残念。
7. 6 匿名 ■2005/10/19 01:05:12
途中までは「東方……か?」と思っていましたが、上手く最後につなげてくれたと思います。ごちです。
8. 7 papa ■2005/10/19 01:05:51
いつも食べ物ばっかりだけど、やっぱりゆゆ様は締めるとこ締めるなぁ。
そんなゆゆ様のカリスマを感じる作品でした。
9. フリーレス 楠木忍 ■2005/10/19 01:36:40
二人のキャラ色が良く出ている良い話ですね。
話を聞いた後の、元気なく掃除をする妖夢が印象的でした。
10. 6 MIM.E ■2005/10/19 10:34:33
紅葉まんじゅうで俺を笑わせておいてそう来るか! 幽々子がなぜ妖夢にこの話を振ったのか? 気がつかないうちに溜まる妖夢の寂しさを感じたのでしょうか。 赤々と手のひらをかざす紅葉の葉は鮮やかにイメージできました。 ちょっとホラーに感じたけどw よい話をありがとう。
11. 8 ■2005/10/19 15:25:29
母子の話が泣けました。
ゆゆ様が妖夢の母でも全く違和感ないと思った。
12. 5 ABYSS ■2005/10/19 17:38:47
美しい作品だと思います。
紅葉の赤さが、網膜に焼きつくかのようで。
13. 5 おビールをお持ちしました ■2005/10/19 22:39:14
初っ端からこうか!
と思わされました。
良かったです。
14. 3 Q-turn ■2005/10/19 22:44:24
このお話で最も好きな一文

―― 掻き乱しているのは、この風か ――
15. 5 たまゆめ ■2005/10/20 09:09:04
大切なのは、真偽じゃない。
それを、如何うけとるか。
ゆゆ様の、想いやいかに。
―――お疲れ様でした。
16. 3 一之瀬翔弥 ■2005/10/22 22:42:10
ホッとする様な作風でいて、キチンとエピソードの描写もされている事に
好感が持てました。
母と子の絆。ぬくもりを与える手に着眼されたのでしょうか。
文章的には、綺麗な印象で読みやすかったです。
17. 7 名前が有る程度の能力 ■2005/10/23 16:49:50
いいなぁ、妖夢と幽々子さまいいなぁ。

18. 7 hito ■2005/10/23 18:20:32
妖夢の母親かぁ…(*´∀`)
19. 6 SSを書き損ねる程度の能力 ■2005/10/23 21:12:35
紅葉というお題から無理なく発展してあると思います。
全体的にも綺麗な文章で、こちらの目頭にもなにか熱いものを感じるようでした。
しかし、若干オチ部分で狙いすぎかな……という雰囲気を感じましたので6点t
20. 9 Tomo ■2005/10/24 12:09:27
ポップで明るい雰囲気から、緊迫した挿話を経て、じんと来るラストで締めくくる構成が見事です。フォントやレイアウトも参考になるところがたくさんありました。しかもこんなに一番乗りで投稿されたなんて。
21. 8 藤村りゅ ■2005/10/24 15:15:42
 初っ端にしてこのクオリティ。凄いと一言。
 あ、でも東方じゃなくてもいいかなあという思いが少し。
 最後に妖夢との接点もありましたが……てーか、もしかしてそういうことなのか!?
 そういうことなのかもしれない、ということを考慮に入れてみると、また妄想が広がりますね。
22. 9 名前が無い程度の能力 ■2005/10/25 21:15:39
乙!!
23. 9 木村圭 ■2005/10/25 22:00:08
母が居て父が居て誰も彼もが五体満足で暮らしている我が身は、本当に幸せなことなんですよねぇ。
頑張れ妖夢。母ではなくとも暖かな主が、側で見守ってくれるから。
24. 4 ■2005/10/25 22:16:44
普通に聞いたら嘘っぽく聞こえるけど幽々子様が語るとなんか本当っぽいような。
妖夢の感じた寂しさ、嬉しさ、そんなものが伝わってきました。
25. 8 世界爺 ■2005/10/26 00:22:48
……そうだよなぁ。妖夢はもっと甘えてもいいよなぁ。

真っ赤な掌。天まで届けと逝く紅葉。
空の彼方、母に会えるでしょうか、会えたでしょうか。
ああ、なんて切ないんでしょうか。

さて、これはふとした妄想に過ぎないのですが。
あの、真っ赤な掌を伸ばしていた子はもしや……?
だとしたら、すでに彼女は会える/会っていた、かも。
26. 5 風雅 ■2005/10/28 13:58:05
妖夢の両親ってどんな人なんでしょうね。
まだまだ半人前の妖夢に寄り添う幽々子はさぞ気を揉んでいるのでしょう。
27. 8 ■2005/10/28 14:54:30
ギャグとシリアスの書き分けが見事。幽々子のボケと妖夢のクールな返しが素敵。
後半が実質オリジナルになってる点を除けば10点です。
28. 7 偽書 ■2005/10/28 16:30:40
すっきりとした読後感が見事。寂しくて、温かくて、綺麗なお話しでした。
29. 7 名無しでごめん ■2005/10/28 20:13:24
流れるように読み進められる文章で、非常に上手だなぁと素直に思いました。
『小さな掌』という題名で「泣かせにきたな?」などと思うのは自分の心が汚れているせいでしょうか。
核心の話が東方世界観とマッチしていたら、もっと素敵だったかなと思います。
でも、とても自分好みの話ではありました。誰とは分かりませんが、お疲れ様です。
30. 5 弥生月文 ■2005/10/28 22:29:17
お題の見立てとそこから妖夢と幽々子の絆へと持ってくる展開はベタながら好きです。
ただ、母子の話がちと長いような気がします。少なくとも自分はダレました。
31. 7 IC ■2005/10/28 22:35:14
語りの結末は読めてしまうんだけど、それでも涙が出ました。
で、全て幽々子の思惑通りなどと思ってしまうのは雅じゃないですね。

記念すべき一人目、疲れ様です。
いいお話でした。
32. 7 美鈴まさき ■2005/10/28 22:36:16
 投稿一番乗り、お疲れ様でした。
 感受性豊かな妖夢の優しさと母性溢れる幽々子の優しさ。
 ふたりの優しさに包まれたお話は、トップを飾るに相応しい作です。
33. 7 SSを書きなぐる程度の能力 ■2005/10/28 23:26:43
全体に流れる雰囲気が良いです。特に中盤の昔語りのパートはなんとも言えぬすばらしさがあります。
ただ、それ以外のパートとの繋がりが弱いのが難点です。妖夢の紅葉を見上げての独白もやや唐突な気がします。
冒頭の日常シーンで妖夢に母の不在に関する言及をさせていれば良かったかもしれません。
全体のイメージは9点をつけてもいいぐらいですが、前述の欠点と東方との繋がりがやや希薄な気がするのとでやや点を減らしました。ですが、完成度は非常に高いと思います。
34. 5 K.M ■2005/10/28 23:37:35
小さい子の手を紅葉に例えるのはよく聞きますが、
この話はそれをうまく昇華していると思いました。
35. フリーレス 名無し ■2005/10/30 10:24:53
東方である必要があったのかな、と。
母子の話にとりあえず妖夢と幽々子を貼っ付けとけー、みたいな感じで、二つの関係が希薄に思えます。
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