木の葉の精さん、彼女に何か御不満でも?

作品集: 最新 投稿日時: 2005/10/17 08:24:31 更新日時: 2005/10/19 23:24:31 評価: 24/26 POINT: 106 Rate: 1.05
「うーん、もうすっかり秋ねぇ……」
紅魔館の門前で赤や黄色の色とりどりの落ち葉を見上げながら、門番(公称)の紅美鈴が大きく伸びをしてつぶやいた。
「客も敵も来ないのはいいんだけど、手持ちぶさたよねぇ……ここはひとつ、お掃除でもしようかしら」
どこからかほうきと熊手を取り出し、せこせこと落ち葉を集め始めた。


「さて、こんなもんかな……」
うず高く積み上げられた落ち葉の山を見上げながら美鈴は額の汗を拭った。
「この葉っぱは落ちても柔らかいのに崩れないわねぇ……ちょっと中に潜っちゃおうかしら」
そう言って美鈴は人一人が入れるくらいの穴を掘り、体をもぐり込ませた。
「うふふ、おふとんでもないのにふっかふかだぁ」
本人にはそのつもりはなかったのだが、「おふとん」という言葉を口にしてしまったせいか理由もなく心地よい疲労感に襲われ、
ついそこでうとうとしてしまった……………………

――――そのころ――――――

「ほう、ちょっと寄り道してみればいいモンがあるじゃねぇか」
空中から落ち葉の山をめざとく見つけた魔理沙が山の前に降りたった。
「いっしっし……前からやってみたかったんだよなこれ……霊夢のとこじゃとてもじゃないけど出来ないもんな」
ニンマリ笑って魔理沙は懐から符を取り出した。
「さて…………いくぜ! 恋符、マスターs」
「何やってんの?あなた」
今まさにマスタースパークを撃とうとしていた魔理沙に後ろから突然声がかけられた。
そこに立っていたのは紅魔館のメイド長、十六夜咲夜であった。
「よ、よぉメイド長。こんなとこで何やってんだ?」
「こんなとこってウチの家なんだけど? あなたこそ何やってるのかしら? よりにもよって他人の家で」
「いやーこんないいものを見つけちゃってはな。こう、ひと思いにぶわっと」
「で、また散らかしたものを誰が掃除するのかしら?」
「さぁ? それは集めた人に聞かないとな」
腕組みをしたままの咲夜の両こぶしにだんだんと力が加わっているようだ。そして笑顔もややひきつりかけてきている。
遠くないうちに怒筋も浮き出てくるだろう。
「わ、分かったよ。今回は大目に見とくよ」
そう言って魔理沙は手に持った符をしまった。
「素直に言うことを聞くあなたも何だか不気味だわねぇ……そもそも何が大目なのやら……」
咲夜は不機嫌そうな表情であったが、表情を変えることなく懐からマッチを取り出した。
「い、いいのか? 火をつけちゃって」
「かまわないわよ。灰になったらその辺に撒いておけばいいんだし。それとも置いておいて散らばったらあなたが集めてくれる?」
「そいつはお断りだぜ」
魔理沙が答える前に咲夜はマッチに点火し、落ち葉の山に放り投げた。
「って言うか、不気味って何だよ」
「さあ?」
燃え上がる落ち葉の山を前にして、魔理沙と咲夜の不毛な言い争いは続いていった。

「うーん、うーん……」
どうやら落ち葉の山の中で美鈴は悪い夢を見ているらしい。
「……パチュリーさまぁ……その火は苦手ですぅ……」
どうやらそんな夢らしい。
「あ、熱っ!」
ふとした拍子に目が覚めたようだ。
「……はぁはぁ……夢か……夢よね…………」
どきどきする胸を押さえながらつぶやいていたが、
「へ?」
背中を襲う熱気を感じて振り返ってみると、そこには真っ赤に焼けた落ち葉などなどがあたかも美鈴に襲いかからんとするようであった。
「あ、ああ……」
思わず腰を抜かした美鈴に火の塊が降り注いできた。
「みぎゃぁぁぁぁあああああああっっっ!!」
いまや火の塊となった落ち葉の山から美鈴は悲鳴を上げながら飛び出した。
その有様は火中の栗がはぜたのを想像させるに十分足るほどのものであった。

「ヲイヲイ、こんな展開アリかぁ?」
「……ったく、あの門番は何をやってんのかしら……」
魔理沙は思わず呆け、咲夜は頭を抱えた。


「ふえぇ……助かったぁ……」
はぜた勢いそのままで館の側にある湖へ飛び込み、ずぶ濡れになった美鈴がはい上がってきた。
その姿を見て、怒髪天をつくような咲夜がずしーんずしーんと足音をさせて美鈴に近づいてきた
(あくまでもこの描写はイメージですw)
「仕事放っぽいて一体何をやらかしてるのかしら?」
逆光となる位置で仁王立ちになり、真上から見下ろすような角度で咲夜が美鈴に話しかけた。
表情は笑ってはいるものの目だけは笑っていない。いつものことかもしれないが。
「あ、ああ……」
再び美鈴の腰が抜けたようだ。
「あ、あの……あの…………」
「あの?」
「あ、あ…………」
がくがく震えたままの美鈴を見下ろしていた咲夜だが、美鈴の姿のある一点に目を止めると、深いため息をついた。
「何だこりゃ? いわゆるパニックってやつかな?」
咲夜の後ろから首だけのぞかせて魔理沙が言った。
「さあ?」
分からないせいか質問には答えずに咲夜は答えた。
「ま、まあ、体張ってネタやってるみたいだし、こらえてやったら?」
「ネタって言われても多すぎてどれのことかさっぱり分からないわよ」
咲夜はそう答えて、館の中に戻っていった。
「さて、もうおしまいのようだし、私も帰るかな」
そう言って魔理沙も飛び去った。
あとには腰が抜けたままの美鈴が取り残された。

――――それから数日後――――

「何だか最近みんなが私のことを中国中国って呼んでる……」
「そりゃ確かに名前も見た目もそれなりっぽいんだけど、そこまであからさまに言わなくても……」
すっかり回復した美鈴がぼんやりと考え事をしながら門の警備に当たっている。
「はぁ…………」

――――今日だって――――

「いよぉー、門番。今日も一段と中国だなー」
紅魔館の上空に悠然とほうきにまたがった魔理沙が姿を現した。
「いよぉーじゃないわよ。何しに来たのよ。それと中国言うなーーー!!」
「おーっと、あんまり怒鳴ると帽子のお星さんが台無しだぜ。そんじゃな」
「?????……ま、待ちなさい! 人が呆気にとられてるあいだに入ろうったって……」
その時にはすでに魔理沙の姿はそこにはなかった。
「………………はぁ………………」
あとには美鈴の深く長いため息だけが残された。

「はぁ……」
もう今日だけで何度目か分からないため息をつきながら今日の仕事を終えた美鈴が館の中へ引き揚げてきた。
普段は鏡の前を通りかかっても顔を上げたりして別段に意識することはないのだが、
今日に限ってたまたま鏡の方を向いた美鈴は鏡に映る自分のその姿に目が点になった。
「え゛!? なにこれ? や、やだ、帽子の星が赤色になってるううううううぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
「どうしよ、どうしよ。これじゃまるで人民帽だわ。なにかの呪いかなんかなの?」
「もしかしたら私のクビが赤信号なの? い、いやあああ。そんなの、いやああああぁぁぁぁぁ!!!!」
すっかり慌てふためいていた美鈴だが、
ひとしきり騒いだあとに帽子を手に取ってよくよく見てみると、帽子の星のところに何かがへばりついていることに気がついた。
手にしてみると、それは1枚の赤いモミジであった。
「こ、これのせい……こんな…………こんなので………………」
思わず美鈴はその場にへたりこんだ。
「私、何か悪いことでもしましたかぁ?」
あまりの情けなさに、美鈴は思わず涙した。



「……なんで今まで気付かないのかしら?」
廊下の影で咲夜があきれかえった表情をしていた。
創想話のどれか及びこんぺ既作と内容がかぶってないことを祈りつつ投稿。
迷惑かもしれないけど、
美鈴の「みぎゃぁぁぁぁあああああああっっっ!!」をSSコンペ企画・運営スレの159氏に捧げます(ぇー
こげかすていら
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2005/10/17 08:24:31
更新日時:
2005/10/19 23:24:31
評価:
24/26
POINT:
106
Rate:
1.05
1. 3 おやつ ■2005/10/19 16:14:56
もはや呼吸するのと同じ感覚でネタにされる美鈴に合掌。
そして呼吸は止めることが出来ない訳だからずっとこのままな美鈴にもう一度合掌。
2. 6 床間たろひ ■2005/10/20 22:31:14
中国かわいーぷりちー 久々に正統派弄ばれキャラのベースを見たような
気がします。

PS.えと、ごめんね。159って俺なんだ。調子こいて書いちゃって人の
ネタ潰したみたいでゴメンなさいなんだよ。あげくにネタ系のヤツは結局間
に合わなかったし。ちょっとペ○ターに焼かれてきます。
3. 5 papa ■2005/10/21 16:39:32
こうして美鈴の中国度にさらに磨きがかかるんですね。

情景描写が少なめなのが気になりました。
4. 3 MIM.E ■2005/10/21 23:46:26
ひたすらなさけない美鈴ならばいっそおちるところまで。
ごめん。
5. 3 es-cape ■2005/10/22 00:10:07
おまえw
ベタベタw


変に気取って無いせいで文章が読みやすかったのが好感触。
6. フリーレス MIM.E ■2005/10/22 18:53:27
もう一度読み直してみましたがやはり、美鈴のほかには
作者様がどういったテーマをシーンを書きたかったのか私には分かりませんでした。美鈴に関してはとてもよく情けなさが伝わってきました。
そこがこのSSのポイントだとしたらたぶん私との好みの差です。
なんか、うまくいえなくてすみません。
7. 2 一之瀬翔弥 ■2005/10/22 23:29:12
さっくり楽しかったです。
リズムはいい感じ♪
なんとなく行末に”た”や”だ”が多くて、ちょっと変化球投げても良かった
かも。
8. 6 匿名 ■2005/10/23 17:53:06
「みぎゃぁぁぁぁあああああああっっっ!!」で激しく吹き出した。GJ。
9. 4 Q-turn ■2005/10/23 20:02:31
>「うふふ、おふとんでもないのにふっかふかだぁ」

きっとこの時美鈴は至福の笑顔を浮かべているはずなのに、知らずの内に目元が潤んでくるのはいったい何故なのでしょうか…。おふとん…。
10. フリーレス 名前は無し ■2005/10/23 22:40:36
赤に星。
うん、紛れも無く人民の星だ!
11. 4 七死 ■2005/10/24 00:24:10
人民帽の☆って、確かに紅いよねw

物語としては無茶でしたが、その発想は面白かったス。
12. 4 Tomo ■2005/10/24 11:56:26
中国は紅いから出てくるかなと思ってたら、ようやくこの作品で会えました。文中に作者が見え隠れしている部分があるのが少し気になりました。
13. 6 藤村りゅ ■2005/10/24 15:32:52
 紅・美・鈴!
 以上(えー)

 実に美鈴らしい美鈴でした。
 紅葉をそう使うのは盲点を突かれたというか。
14. 3 木村圭 ■2005/10/25 21:52:34
上にダイブするんじゃなくて中に潜りこむあたり、実は燃やされたかったんですかと聞いてみたい衝動に駆られます。
しっかしヘタレだなぁ(苦笑)
15. 6 ■2005/10/25 23:09:29
いいオチですね。
美鈴はやはりこーいう役が似合うのか……
16. 6 世界爺 ■2005/10/26 00:41:26
紅魔館名物・中国の蒸し焼き。味は保証されず。

しかし、どうしてこうも彼女は弄られる姿が似合うのか。
頭の紅葉に気づかずひとりでぎゃーぎゃー騒いでるのがツボに。
ああもうかわいいなあ。
17. 8 ■2005/10/27 12:37:38
このボケ、悲惨、これこそ中国よ!
18. 2 美鈴まさき ■2005/10/28 01:43:39
 展開が平坦でオチにチカラが無くなった感じがします。
19. 4 流砂 ■2005/10/28 01:43:49
おぉ成る程、新解釈。 コレが美鈴中国化事件の発端だったんだよ!!
全体的にほんのちょっと読みにくかったかも?
〜した。 〜した。 等と語尾が二連してるとちょっと違和感。
あとwはいい結果を呼ばない事が多々あると思いますー。
20. 5 風雅 ■2005/10/28 14:15:03
教訓:寝るなら布団で
21. 5 名無しでごめん ■2005/10/28 20:30:05
美鈴さんがカワイソス。とはいえ自分も『みすず』で打っております。
ごめんよ、中国。
美鈴の帽子の星にお題を掛けるとは意表を突かれました。
22. 1 ■2005/10/28 22:11:55
やっぱ美鈴は体を張ったギャグがしっくりくるな!(酷)
23. 1 弥生月文 ■2005/10/28 22:51:18
〜〜した、〜〜だった、という説明調の文が多すぎます。
24. 6 IC ■2005/10/28 23:33:57
もう憐れとしか言いようのない美鈴ですね。
誰がなんと言おうと私は美鈴と呼び続けますよ。
25. 5 SSを書きなぐる程度の能力 ■2005/10/28 23:39:45
中国、炎上。マスタースパークの方が被害が少なかったかもなあ……。
ちょっと短かった気もしますが、ネタ主体の構成だけにこの方がいいのかも。
ところで赤い星って中国っていうよりむしろ露(粛清
26. 8 K.M ■2005/10/28 23:47:34
中国いと憐れ・・・いや、気付かないあたりは自業自得だがw
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