星の記憶

作品集: 最新 投稿日時: 2005/10/17 08:30:37 更新日時: 2005/10/19 23:30:37 評価: 24/25 POINT: 95 Rate: 0.96
「散らかってるから適当にやってくれ」

 その言葉通り、魔理沙の部屋はおおよそ人が暮らせる環境ではなかった。
「ええ、適当にするわ」
 かろうじてドアが開く程度と、蛇行を描く獣道を除いて床は見えない。
 アリスの口元は引きつっていた。息を整えて努めて冷静さを保ってはいるが、いつまで保つか。
 限界のその前に指を鳴らした。

「うわっ!何やってやがる」

 魔理沙が部屋に帰ってきた。手に持ったミルクパンからあがる湯気に加えて、ドアを開けた瞬間に2〜3滴飛沫した。

「見りゃわかるでしょ。片してるのよ」
「どーでもいいから、今すぐやめさせろ!」
「ダメよ。私のところの本が全然足りてないのよね」

 アリスは手に持った本の表紙を、指でとんとんと叩く。顔は笑っていても目が笑っていない。

「ははっ。とっ、とりあえずホットミルクしかないけどいいよな」
「ま、乳臭い魔理沙じゃ仕様がないわね」

 ちらりと見下した視線が気にくわなかったが、この状況下ではリスクが大きすぎる。

「こっ!」
「何かしら?ああ、こっちのは元々魔理沙の魔導書だったわね」

 こめかみの血管が脈を打っているのがもどかしかった。おそらく魔理沙はこの日の屈辱を忘れることはないだろう。

「それにしてもなぁに、せめてトリベットを使いなさいよ。って、それ新聞紙なの?」
「わかりやすく鍋敷きと言え!別にいいんだよ。読もうが読むまいがこいつはガセばっかだからな」
「書いたヤツに聞かれたら、またあることないこと書かれるわよ」
「そうか、どうもおかしいと思ったら……、おまえが脚色を」

 わなわなと震える両の拳。それを振り上げかけたとき、嫌なものが視界に入った。
 窓の外。外でこちらを伺う黒い影は、見られていることに気付いたようだ。すると、奇声にも似た高らかな笑い声とともに、風になってソイツ(間違いなく文)は消えた。
 アリスも冷や汗をかいている。

「私!?私のせい?」
「いや、私にも非があったからな」

 気まずい空気の中、アリスの操る人形たちはせっせと後片付け。
 アリスの横に積まれていく本も優に50は超えていた。価値は一概にして言えないものの、抜き取られているのに気付かなかったものも少なくない。

「ん?これは私のじゃないわよ?」
「!?」

 アリスは魔理沙の焦りを見逃さなかった。
 相当価値のあるものに違いないと、制止の声を無視して中を読んでみることに。

「某月吉日 曇天……、って」
「あー、聞こえないー」
「森で見たこともないキノコを見つけたが、色、艶と云い実に生々しい……」
「聞きたくない、聞きたくない」
「某月○日 快晴。このキノコは凄い。何が凄いかというとその長さである。まさに天井に届きそうな勢いだ」
「△月×日 晴れのち曇り。キノコが群生している場所を発見。強い粘性を帯びていて、糸は11m伸ばしてもまだ足りない」
「私が悪かったからやめてくれー」

 キノコの採集日記だった。あまりの拒絶反応に今後、つけいる材料になることは確定した。
 日記を返すとぼろぼろと泣いている。よっぽど大事だったのか。

「?」

 はらりと赤い星が床に滑り落ちた。
 
「何だ、これ。何か書いて……」
「ダメよ。これは私の栞だから」

 魔理沙に読まれるすんでのところでその星形を奪い取った。

「ま、いいけどな。うちの本から出てきたみたいだったけど、覚えもないもんな」
「魔理沙が細かいこと気にするもんじゃないわ」
「む、妙に引っかかるな。でも見た感じ、それって紅葉だよな」
「そっ、そうよ。バランス的に五芒星っぽいし、特別に栞にしたのよ」
「となると、さっきのは何かの呪符か?」
「そこまで凝ってないけどね。なんたって栞なんだから、備忘のまじないね」

 アリスの顔が少し火照ったように見えた。
 魔理沙は気付かない。

「おまえらしくていいね」
「何言ってんのよ!大体あんたがそんなだから……」
「私が何だって?」
「いいわよ、もう!」

 既に冷めてしまったホットミルクをアリスが暖め直し、本来の目的だった本を借りてアリスは帰っていった。


 後日、『文々。新聞』。
 「魔法使いと人形遣いの禁断の園」

 二人ですか?しばらく幻想郷では姿が見えなかったそうですよ?
 ますます怪しまれたんだとか。
こんなの自分のじゃないよーw
情報技術の試験終ってから何やってるでしょう、自分。
事実、いろいろ終ってるなぁ(しみじみ
書き捨てるだけの能力
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2005/10/17 08:30:37
更新日時:
2005/10/19 23:30:37
評価:
24/25
POINT:
95
Rate:
0.96
1. 3 おやつ ■2005/10/19 16:18:05
この二人を見ているとほのぼのします。
2. 4 床間たろひ ■2005/10/20 23:19:56
さて、紅葉には何が書いてあったのか……想像するだけでニマニマしちゃいますね。
3. 5 papa ■2005/10/21 16:45:29
アリスと魔理沙が集まると騒ぎが絶えないなぁ。

これといったテーマがない気がしたのですが・・・。
4. 7 MIM.E ■2005/10/21 23:55:44
よいとおもいます。
狙ってこののりなのだとしたらますます続けてください。
うまくいえないのですが、淡々と日常を描きつつ心情の機微を描く文体が好きです。少なくとも俺はそう読んだ。あと、
きのこの日記読まれて泣いた魔理沙に萌えた
5. 2 おビールをお持ちしました ■2005/10/22 01:10:07
うーん……もうちょっと何かが欲しかったように思えました。
6. 3 一之瀬翔弥 ■2005/10/22 23:30:19
微笑ましいですね♪
さっぱり読めて、リズムも快適。
小品らしい良さを感じました。
7. 5 匿名 ■2005/10/23 18:30:39
か〜わ〜い〜い〜
8. 2 Q-turn ■2005/10/23 20:08:39
大変な中、お疲れ様でした。
9. -3 es-cape ■2005/10/24 06:27:05
汚ギャル。
むーん……私の東方知識が足りないのかもしれませんが、イマイチ何がなにやら分かりませんでした。
10. 5 Tomo ■2005/10/24 11:54:47
文たんは百合スキャンダルを追いかけたりするんでしょうかハァハァ。
11. 3 藤村りゅ ■2005/10/24 15:33:53
 丁寧に書かれている印象はあるのですが、肝心なところの描写が抜け落ちているように思えました。
 軽妙な遣り取り、テンポを重視するあまり大事なところを切ってしまったような。
 そのため、何をやっているのか分かりづらい箇所が多数ありました。
 アリスが人形を使って部屋を片付けているとか、アリスが魔理沙の家に来たそもそもの理由など。
12. 4 木村圭 ■2005/10/25 21:52:09
ぼろぼろ泣くあたり、ただの採集日記じゃないのか? でも採集日記っぽいし。
栞には何が書いてあったんだろうと思うと色々とわくわく。予想はつきますが……。
13. 4 ■2005/10/25 23:13:50
文はいつでも見ている……か。
魔理沙とアリスのやり取りが良い感じです。
14. 5 世界爺 ■2005/10/26 00:42:33
二人がどうなったのかが気になる……ッ!

アリスと魔理沙の関係やらってのはこのくらいがちょうど良いなぁ、と思いました。
紅葉の葉っぱはやっぱりおまじないにでも使ったのでしょうか。色々と。
15. 7 七死 ■2005/10/26 01:22:34
ほう、王道(えー)で攻めて来ましたか。
全体的に良く纏まっておられて短いながらも文章に好感がもてます。

紅葉(のようなもの?)を栞にする理由が欲しかったところですが、ここは甘い甘いミルク&ハニーを素直に楽しむ事にします。

個人的にデバガメマスターと化している文ちゃんがツボでした。
16. 7 ■2005/10/27 12:41:54
少し、行動順で「どちらがどの行動を行っているのか」が混乱しやすい気がします。でも、魔理沙より強いアリスは新鮮で非常によかったです(笑)
17. 3 流砂 ■2005/10/28 01:55:49
えーっと、これ等は全て下衆な勘繰りをしてしまって良いのでしょうか?
そして最後に二人が何処に行ったかが分からない。 むぅ。
色々と伝わり難い気がしないでもないです。 特に日記を返す所とか。
あと、ちょっと急ぎ過ぎてる感があるかも。
18. 2 風雅 ■2005/10/28 14:15:39
むむ、何だか所々説明不足に感じる部分が……。
「何故」そうなったのか理解できない部分が多々あるように見受けられるのです。
テーマである紅葉に関しても、ただ単に名前が出てきただけという感じが。
読んでいて文章の繋がり的に「?」となる箇所がある気がします。
19. 7 名無しでごめん ■2005/10/28 20:30:30
うん、甘い。シチュエーションから小道具(ミルクとか)まで実に甘い。
実に正しきマリアリを有難うございます。バイアスかかってたらごめんなさい。
20. 3 弥生月文 ■2005/10/28 22:52:48
状況や心情が汲み取れず、全体的に説明が足りないように思いました。
21. 4 ななし ■2005/10/28 23:14:24
すみません、コメント間に合いません。
22. 4 K.M ■2005/10/28 23:21:49
おぉ、なんだかんだで良いコンビじゃないか・・・とニヤニヤしながら読みました
23. 4 IC ■2005/10/28 23:34:36
あうう、すみません、よくわからない……。
雰囲気は楽しめました。
24. 5 SSを書きなぐる程度の能力 ■2005/10/28 23:40:10
小気味よくまとまった小品と言った趣ですね。
長さ的に難しいのかもしれませんが展開にもう二ひねりぐらい欲しい気もします。
25. フリーレス 著者 ■2005/11/02 14:24:34
 右脳垂れ流しで難解なものを投下してフォローなしではあまりにも不親切ゆえ。少々説明めいたものを。

 コンペにしてもそうですが、やってしまってから後になって不安に思うことしばしばです。やったことすら忘れていたものが、するりと出てきたらなおさらですが。そういう、くだらない暗示めいたものを主体にしています。
 や、着眼点がずれている気がしなくもなく。

 自分自身のジレンマですね。極論。

 文体は少々自分のものからはみ出ています。ラノベは範疇に無いというか、狙いすぎている感がにじみ出ているかとは思います。巧く織り込めればよかったのですがしっくりと来ず、スライドのようにギクシャクとして浮いたものに。
 「なんでそこでそうなるかな?」と云う風に、突っ込みを入れるには心もとない説明。というより妙にはしょりすぎているのは、作品にのめりこませない意図も働いています。読ませるために書きながら、おかしな話でありますが、その辺は個人的妄想に拠るところが大きいため、書けば書くほどにほころぶことを恐れているに過ぎません。大体、ネチョ禁止ですから。
 寸止めエロは諸刃の剣。そこに尽きるところが大きいかと。まだまだ彼の人の足元にはおよびません。hahaha

 テーマに関してはとってつけたかのように。つか、まんまですよ?ただ、出合いがいつだったかを差し引いてもこの季節のものではないということです。かなり昔。
 栞は偉いやつです。こっちがわすれてもずっとそこで待ってますから。文句ひとつ言わない。
 はさんだ頃に読ませたかったもの。今読んだとしたら魔理沙は「?」でしょうが、忘れていたとはいえアリスが書いたものは本人は覚えています。星は魔理沙のモチーフのひとつでもありますから、顔から火を吹くことが書かれているのは明白です。でも、読むと意外とフツーなのだから面白いものです。

 足りないものを感じたならマリアリ(アリマリ)もっとカモンであります(^^
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