作品集: 最新 投稿日時: 2005/10/18 09:50:14 更新日時: 2005/10/21 00:50:14 評価: 23/24 POINT: 108 Rate: 1.11
「もう秋も暮れなのよねぇ……」

 そう呟いたのは神社の縁側でまったりとしている万年頭の中が春と言われてやまない博麗神社の巫女だ。
 しかし今は季節につられてか頭の中も若干秋なのか少し沈んでいた。
 と、そんなところに丁度やってきたモノクロの少女が挨拶代わりと疑問を投げかける。

「どうした、霊夢? 珍しいなお前が微妙とはいえ沈んでるなんて」
「む。何よ? それじゃいつも私が浮わついてるみたいじゃない」
「違うか?」
「……違わないわ」

 そう悔しそうに呟き再び微妙に沈む。

「で、どうしたんだ? この私が相談にのってやるぞ」
「最も頼りたくない相手の一人ね」
「酷いぜ」

 そしてわざとらしく「あ〜あ。私は霊夢に嫌われてんだー」なんてぼやいたりする。

「あー、もう! わかったわよ。言うわよ」
「お、そうか! うん、私は出来る限り力になるぞ」
「まったく……原因はあんたにもあるのよ?」
「そーなのかー」
「別にルーミアの真似はしないでいいわよ」
「そーなのかー」
「鬱陶しいわね」
「そーなの……って、うわ! やめろ! やめるからその手に持った針をしまえ!!」
「まったく……魔理沙。あんた本当に相談にのるつもりがあるの?」

 そう言いながら手に持った針をチラつかせる。
 その目は次に変なことしたら問答無用で刺すと雄弁に語っている。

「わ、わかった! 余計な茶々は入れないから先を話してくれ」
「悩みってのは単純よ。秋は収穫の時期でしょ?」
「そうだな」
「それで魔理沙だったら森で採れたキノコ。慧音だったらお米とかを分けてくれるわけよ」
「いいことじゃないか」
「そう、そこまではいいのよ」
「って、ことは後があるんだな?」

 そう言って魔理沙はむむむと唸りながら腕を組んで何やら考え込む。何が問題なのか。と言うことを当てることを即興の遊びにしたようだ。
 霊夢もそれを察したのかとりあえずおとなしく見守っている。このような時の魔理沙には何を言っても集中が深く聞こえていないのを経験上知っているからだ。
 そしてしばらくの後、唐突に魔理沙が立ち上がり叫ぶ。

「あ、わかったぞ!」
「そう」
「食いすぎで太っt……うわ、霊夢何すんだ!? わ、わきはやめ、ーーーーーっ!?」
「あら? 敏感なのね」


〜少女仕置中〜



「ハ、ハイ。スミマセンデシタ。霊夢サンハ何時デモ素晴ラシイすたいるデス」
「そう。わかってくれて嬉しいわ」

 そこには妙に呼吸が荒くなった黒白の少女がガタガタと震えていた。

「まさか、こんな弱点があるなんてねー」
「しょうがないじゃないか。こればっかりはどうしょうもないんだから」
「そうねー。流石にちょっとくすぐりすぎたかしら」
「そうだぜ。すっかり本題からはずれてるぜ」
「あんたが外したんでしょうが」
「そうだっけか?」
「何で毎回神社でやるのよ!? それも週三回も!!」
「おお」

 その霊夢の剣幕にもまったく動じず魔理沙はまた「そーなのかー」と頷いていた。

「食料があるんだから宴会するのは当たり前だろ」
「それがなんでここなのよ!」
「霊夢が裕福なのがめでたいからだぜ」

 食料が多いだけでめでたいと言われる博麗神社の経済事情は推して知るべし。

「それに誰が準備や後片付けしてると思ってるの!?」
「霊夢だな」
「あんたらもやりなさい」

 当然だ、と胸まで張って言う。そしてそんな魔理沙の胸を見て霊夢は勝ってると少しばかりの優越感を感じながらも文句を言う。

「勘弁してくれ」
「私も別に宴会をやるなとは言わないわ。けど、やるならここ以外でやって頂戴」
「断る、って言ったら?」
「とりあえず今度は……そうね、羽でも使おうかしら」
「わ、わかった。他の場所にする」

 顔を若干青ざめさせながらも即座に答える。

「けど、それだとどこでやろうかな……」
「幽々子の所とかですればいいんじゃないの? 広いんだし」
「駄目だぜ。理由が無い」
「あら? 理由なんてあったのね」
「無ければ宴会なんてしないぜ」

 これは曲げられない信念だぜ、と人差し指をピンと立ててまるで幼子に言い聞かすかのように言う。

「困ったな。これじゃあ宴会ができないじゃないか」
「こらこら。宴会はそんなほいほいやるものじゃないでしょ?」
「やるものだぜ」
「そんなものなの?」
「そんなものだぜ。楽しい事が多いほうが人生幸せに決まってる。少なくとも私にとってはな」

 と、両手を広げて演説するかのように言う。
 そして霊夢はそんな魔理沙の手をみて小さくてモミジみたいな手だなと思った。

「じゃあ……花見なんてどうかしら?」
「花見? 今は秋だぜ?」
「そう、花見よ。きっと紫とかはわかるわね」
「う、それは悔しいぜ」
「知りたい?」

 と悪戯な、それでいて無邪気な瞳を向ける。

「知りたいぜ」
「モミジ狩りよ」
「モミジ狩り? 葉っぱ見じゃないのか、それは?」
「いい、魔理沙。モミジって言葉はね漢字で書くと……」

 そう言い縁側の砂利に指でまず『紅葉』と書く。

「それぐらいなら私も知ってるぜ」
「それに、こう」

 そう言い今度は『黄葉』と書く。

「イチョウとか黄色くなるやつだな」
「それと、もう一つ」
「もう一つ?」
「そうよ。これがこの話のキモね」

 そして再び砂利に『椛』と書く。

「ほら、楓の紅葉は木にまるで花が咲いたように見えるじゃない。だから昔の人はモミジに『椛』って字をあてたんでしょうね」
「そうか、だから花見なのか!」

 新発見だぜ、と体全体で嬉しさを表現する。
 霊夢はそんな魔理沙を微笑ましく思いながら言葉を継ぐ。

「―――で、どうかしら。秋のお花見は?」
皆さんもどうですか? 春の反対の時期にお花見をするというのもオツかと思います。
蒼羽
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最新
投稿日時:
2005/10/18 09:50:14
更新日時:
2005/10/21 00:50:14
評価:
23/24
POINT:
108
Rate:
1.11
1. 4 床間たろひ ■2005/10/19 01:02:01
うむ、桜だろうと椛だろうと酒が飲めればそれで良しっ!
2. 4 おやつ ■2005/10/20 18:36:46
ほほぅ……風情なもんですなぁ……
私も水道水持って参加したいです。
花見は桜に限らない。
3. 5 papa ■2005/10/21 18:12:52
木の花と書いてもみじ・・・いい勉強になります。

タイトルと本文の関連がちょっと薄いような・・・。
4. 2 es-cape ■2005/10/22 00:17:46
そーなのかー。

という感想を書く人が他にもいるはず。
5. 7 七死 ■2005/10/22 11:03:56
こう言う小ネタを交えた作品好きです。
紅葉狩り、行きたいけれど時間ガガガガ……。

もう少し全体的に山坂あっても良かった気もしますが、まあネタの活かし方を考えればこれ位のほうが丁度なのかもしれませんね。


春でも秋でも、華やかな物を愛でる事はできます。
まあオイラみたいな無粋はもっぱら花より団子ですけどw
6. フリーレス 楠木忍 ■2005/10/22 11:34:34
春と反対だけに、秋の花見はしっとりとした雰囲気が似あいそうですね
7. 4 MIM.E ■2005/10/22 19:54:15
オツだと思います。

起承転結。
あるいは淡々とした物語なのであれば
面白くなくてもよい、読者を裏切る会話。
もしくは風情、もしくはベタベタでもよい心情描写。
何か一つほしかった。
と書いて読み直したら椛のくだりと最後の作者メッセージがそうなのかもしれないと思い直した。 そーなのかー。
8. 4 おビールをお持ちしました ■2005/10/22 23:12:07
俺にもこそぐらせー!
9. 3 一之瀬翔弥 ■2005/10/22 23:40:01
言葉ネタが興味深いです。
言葉の選び方とか素敵だと思いました。
仲の良い二人があったかな感じ。
10. 7 匿名 ■2005/10/23 21:02:38
何と言うか、締めが上手いなあと。
11. 4 Tomo ■2005/10/24 11:49:33
霊夢が腋をくすぐられるのも見たかったですw。
12. 5 藤村りゅ ■2005/10/24 15:40:54
 アイデアはなるほど! と思いましたが展開としては普通でした。
 というか短いです。テンポが良かっただけに余計短く感じてしまったのは残念でした。
13. 2 Q-turn ■2005/10/25 15:05:44
そーなのかー。
といってしまった秋の午後。
14. 4 木村圭 ■2005/10/25 21:49:01
あっさり。
宴会の目的が花見になっても神社が一番綺麗に紅葉するんだから会場は神社なんだよねー。
15. 5 世界爺 ■2005/10/26 00:46:33
ひねくれ者ゆえに同感です。
真っ赤に咲く花は春には見られぬ貴重品。
てことでちょっくら行ってきますね。
16. 9 ■2005/10/27 14:49:52
なるほど、確かに言われてみれば。秋のお花見もまたオツなものです。
17. 5 ■2005/10/27 22:31:45
魔理沙のギャグと霊夢のツッコミが非常におもしろかったです。
よくまとまった文章だと思います。
そーなのかー
18. 4 風雅 ■2005/10/28 14:19:24
そーなのk(ry
しかし前半と後半で話がかなり分離してしまっている感が残念です。
東方とお題の消化、両方が調和していればもっと良かったのではないかと思います。
19. 5 名無しでごめん ■2005/10/28 20:33:34
お題を真正面から捉えた感じがします。
短編ですし、もう少しぴりっと効いたものがあると嬉しかったです。あくまで私的に。
20. 5 K.M ■2005/10/28 22:07:26
紅い葉をを花に見立てて「椛」と言う字を当てる・・・昔の日本人って風流ですよね
秋にも彼岸花やらコスモスやら花は色々ありますが・・・花見に近くなるのは
やっぱり紅葉が一番ですかね
21. 5 弥生月文 ■2005/10/28 23:00:55
 
22. 4 ななし ■2005/10/28 23:16:09
すみません、コメント間に合いません。
23. 6 IC ■2005/10/28 23:45:10
昔の人の観察眼は一種突き抜けたものを感じます。
ところで当て字って現代の顔文字に通じるものがあるようなないような、とか思ってしまうのは無粋ですかね。
24. 5 SSを書きなぐる程度の能力 ■2005/10/28 23:46:25
秋の夕日に照る山椛。一つ賢くなれました。
小気味よく纏まっていると思います。が、小気味よく纏まりすぎてる気がするので、もう一ひねり欲しいところです。
例えば一番最初に霊夢に「花見してるのよ」と言わせて読者に疑問を持たせる(そして最後に解消する)等。
後、少々文章が説明口調になっている気がしました。
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