幻想は赤に染まりて

作品集: 最新 投稿日時: 2005/10/19 03:25:35 更新日時: 2005/10/21 18:25:35 評価: 20/22 POINT: 88 Rate: 1.08
「いやしかし」

一人、誰に言うともなく呟いた。

「こりゃ、見事なもんだ」

ここは、幻想郷にある魔法の森。
その中程にある邸宅の扉に手をかけ、霧雨魔理沙が立っていた。
眼前に広がるは赤茶色の絨毯。
幻想郷は、秋を迎えていた。

「それにしても」

呟きを続ける。
顔に、満面の笑みを浮かべ。

「本当に、見事すぎるぜ」

足下に目を落とし、紅葉の葉を一枚拾い上げ、指先で面白いようにクルクルと回す。
紅葉の葉はその大きさこそ大小あれ、黄、茶、赤――
どれも美しく色付いている。

「しかし――」

さらに呟く。笑顔を崩さず。

「明けない春、欠けた月、満開の花、そして」

想い出を反芻するかのように綴る。
この幻想郷で今まで起きた異変を。そして――

「――早すぎる秋、か」

――今、目の前で起きている異変を。




今は八月。
本来夏の真っただ中、神社で巫女と一緒に西瓜でも齧っている頃。
それなのに幻想郷では、秋に葉を染めるべき樹々が色付いている。
紅葉、楓、銀杏、欅、躑躅――
異様な光景。新たな異変の訪れ。

「全く持ってこれじゃ、落ち着いて魔砲も撃てないぜ」

事の起こりは2週間前。
紅魔館とも、永遠亭とも違う方角。
西南西のとある山。その一角から始まった赤い波は、瞬く間に山を染め――
僅か数日のうちに、幻想郷を赤く塗り変えた。

「まあ大方、どこぞの妖精の仕業だろうけど、な」

季節を運ぶは妖精の能力。
春の妖精がいるなら、秋の妖精がいても不思議ではない。
秋まで待てない妖精が、紅葉をフライングで配達してきたのだろう。

「紅葉については別にいいんだ。それ以上に問題なのは――」

早い秋の訪れ。さして気に留めるなかった。
まして花の異変の時と同じく、別段悪意を感じるわけでもない。
いつも通りの異変は、いつも通りに解決すると思っていた。
ただ一つだけ、いつもと違うことが――

「――霊夢が、いないことだ」

――解決役が、いなかった。
神社にも。紅い館にも。白玉楼にも。永遠亭にも。
何処にも、いなかった。
無縁塚も探した。香霖堂にも行った。鈴蘭畑にも、太陽の丘にも、大蝦蟇の池にも。
そして耳にした情報――

「――仕方ないな。私の快適な魔砲ライフのためだ。この異変、解決してやるぜ」

扉の横に立て掛けてあった箒を手に取って跨る。
帽子を目深に被り直し、首から掛けてあるミニ八卦炉をひと撫で。
そして顔には満面の笑み。
幾許かの魔力を箒に籠める。

「それに」

何処にもいない巫女。
昨日捉まえた鴉天狗の話によれば、十日程前にある方角へ向かって行ったのを見たのが最後らしい。

「ここら辺で、霊夢に貸しを作っておくのも面白そうだ」

呟きは風に埋もれ、魔理沙は空へ飛び立っていた。その眼に行き先を見据え、一直線に。
秋が始まり、巫女が消えた、全ての始まりである、あの山へと。












上海アリス幻樂団最新作
東方シリーズ第11作


東方一葉落
〜The lost medium and hasty autumn-fairy.


――此度、幻想郷が赤く染まる。
お題を見た瞬間ネタは浮かんだのですが、期限ギリギリどころかオーバーに。でも書けて満足。
いやしかし、長音が多いですね。どうにかならないものか…
あまり反省点を挙げても読んでてつまらないと思いますので補足をば。


・時期について
作中に八月とありますが、時期は紅葉が広がり始めたのが八月中旬、今現在が八月末という設定です。
表記がないのは、僕の実力不足のせいかと思われます(^^;

・英字について
『The lost medium and hasty autumn-fairy』ですが、
『消えた巫女とせっかちな秋妖精』てな感じで訳して下さい。

・最後に
特にないです(ぉ
次回があったらもちろん参加します。
ネタかシリアスかしか書けないので、どちらかだとは思いますが(^^;
一秋
http://warking-touhou.hp.infoseek.co.jp/
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2005/10/19 03:25:35
更新日時:
2005/10/21 18:25:35
評価:
20/22
POINT:
88
Rate:
1.08
1. 4 おビールをお持ちしました ■2005/10/19 22:52:32
続きっ……続きをっ……
ていうか発売はいつですか!?
2. 7 es-cape ■2005/10/20 01:50:46
――やられた。やられました。
一発ネタに高得点は正直ちょっと不本意ですけれど、読んでいて無性にワクワクドキドキしてしまったので私の負け。
ネタ選びはもちろんとして、原作への忠実度と期待を煽るプロローグを書き上げるだけの筆力が凄いぜ。
長めのSSが多い中、短くまとめたと言うのも目立っていてネタを光らせてます。
どうかこれでSSを書いてください。お願い。

mediumには、『巫女』に加えて夏と秋の『中間』というダブルミーニングでしょうか。
こういう小ネタも好きです。
3. 3 おやつ ■2005/10/20 21:37:16
……続きが気になるっす。
面白そうな設定だけふって終わりってそんなー(泣
4. 6 papa ■2005/10/22 12:59:42
なんてこった! こんな斬新な切り口の作品があったなんて!
意表をつかれた作品でした。
で、発売日マーダー?
5. 7 MIM.E ■2005/10/22 21:58:40
このやろぅww
頭掴んでぐりぐり死体ww
魔理沙の語り口に違和感は感じていたんですよ。
そう来るとはw GJ
あなたとはまた競い合いたいですね。
6. 2 床間たろひ ■2005/10/22 22:29:52
さて続きは創想話で、かな?
続きが気になるので是非とも。
7. 8 一之瀬翔弥 ■2005/10/22 23:55:14
ホントに発表されそうな存在感がありました。
巧いなぁ…
8. 2 匿名 ■2005/10/23 17:49:42
うーん、一発で終わるネタはちょっと……
9. フリーレス Tomo ■2005/10/24 11:34:39
霊夢がいなくなるというのは最大の異変かもしれませんね。ぜひ機会を見つけて最後まで書いてほしいと思います。
10. 3 藤村りゅ ■2005/10/24 15:46:07
 ネタとしては面白いですが、SSとしては不満です。
 もっとくれ、というのが正直なところです。
 ところで10作目は何なのー?
11. 1 木村圭 ■2005/10/25 21:46:37
えーと、どこをどう採点すればいいんでしょう。
次回予告だけ見せられても満足なんて出来るわけないです。
12. 5 世界爺 ■2005/10/26 00:52:05
ああだから予告は続きが気になってしょうがないからやめてー!

……てことで本編もお願いしたk(ry
13. フリーレス 美鈴まさき ■2005/10/27 02:31:42
 『予告編』としてはこれで良いでしょうが、『物語』ではないので評価からは除外させてもらいました。
14. 8 ■2005/10/27 22:25:43
これはッ…東方に続く三文字を使い尽くして新作を発売不能にする凶悪な作戦の一環なのか?!(そんなわきゃーない)

シリアスっぽい始まりで、先のストーリーが気になりますね(笑)
15. 6 ■2005/10/27 23:04:48
これはいつ頒布だっ!?
……失礼。でも本当におもしろそうなストーリーですね。
誰か作らないかなぁ……
これがSSといえるかどうかは微妙ですが。
16. 3 七死 ■2005/10/28 00:26:34
序の口で切れちゃうと評価も序の口。
願わくば続きをどこかでお願いしたい所です。

でも、魔理沙主役の東方シリーズとかあれば、出だしはこんな感じでしょうね。
17. 1 風雅 ■2005/10/28 14:24:08
なるほど魔理沙が異変解決の主役か。
……と思いながら読んであらら?という感じに。
やっぱりこの設定で解決までを読みたいなあと思います。
18. 5 K.M ■2005/10/28 20:25:06
こういう作品があるとは思わなかったので、「してやられた!!」って感じでした
ネタとしても面白かったです・・・色々とイメージが涌きますね
19. 5 名無しでごめん ■2005/10/28 20:36:20
一発ネタとして上手く成功されてます。序章として格好良いし。
ていうか、誰か本当に作ってー。
20. 1 弥生月文 ■2005/10/28 23:10:57
……プロローグだけで何判断すりゃいいんだろう。
21. 4 SSを書きなぐる程度の能力 ■2005/10/28 23:50:40
物語の始まりを予感させる一文。続きが楽しみな感じです。
が、一つのSSとして見た場合オチがついていないのが大きなマイナス。すごく肩透かしされてしまいました。
創想話にプロローグとして投稿するならともかく、コンペの場ではちょっとあれかと。
発端としての魅力はなかなかだけに残念。次回か続きに期待です。
22. 7 IC ■2005/10/28 23:51:57
ついに魔理沙ピンのゲームですか!?
とか思いつつ、いやまあホントにそれっぽい作り。続きが気になってしょうがない。
第十一作と言わず今からでも早速製作をばよろしくお願いしたい所存。
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