チルノは死ぬことにした。

作品集: 最新 投稿日時: 2006/02/24 09:03:10 更新日時: 2006/02/27 00:03:10 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00







チルノは死ぬことにした。
なにはともかくとして死ぬことにした。


とくに人生に悲観したわけでも、絶望したわけでもない。
秋の空に浮かぶ雲のように彼女の心は穏やかであったし
南極大陸のように平坦な一日を過ごしていた。
特に理由があったわけではない。

全ては好奇心から始まった。
それはもっとも厄介なものである。
チルノはある日突然死ぬことにした。
そう思いついたきっかけがあったわけでもない。
しかし一度思いついてしまった考えは彼女の頭をたちまちのうちに占拠してしまった。
彼女は体をいそいで起き上がらせると走ってどこかへと向かっていった。


ともかくとしてチルノは息を止めることにした。
大きく息を吸い込み、胸が梅のつぼみにように膨らんだ。
チルノは息を止めた。
チルノは鼻を指でつまんだ。
チルノは目を閉じた。
チルノは苦しくなってきたので少しだけ息をした。
チルノは周りを見回していた。

失敗したと気付いたのでチルノは別の方法で死ぬことにした。


チルノは溺れて死ぬことにした。
しかしチルノは泳ぎがメダカのようだったし
アメンボのようなことも出来るのでなかなか成功しなかった。
チルノは考えると飛び込み、湖底まで辿り着くと
力を込め、自分の体を氷で覆った。
周りが凍っていきチルノは氷に囲われていった。
チルノは気がつくと湖面に浮かんでいた。


チルノは酒を飲むことにした。
理由は酒を飲むと死んだように良く眠る人が居ると聞いたことがあるからだ。
チルノはようやくの思いで酒を一瓶手に入れた。
当然金は持ち合わせていない。
知り合いに頼み込んで手に入れてもらってきたのだ。
代わりになるようなものは何も持っていなかったので
条件として夏の間、冷たい氷を作って届けなくてはならないことになった。
チルノは死ぬつもりだったのでどんな条件でも構わなかったのだ。

チルノは酒を飲む事にした。
一気に飲み干そうとしたが香りが強く、口に含むことが出来なかった。
仕方がないのでチルノは鼻をつまむとチロチロの酒を舐めた。
それでもつらいので水に薄めて飲む事にした。
酒っぽい水がようやく出来上がったころにやっと少しだけ飲むことが出来るようになった。
チルノは酒を飲み始めた。
一口、口に含み飲み干した。
臭いとそれまでのものでのどが熱い。
チルノはもう一口飲み込むと倒れた。

チルノはたんぽぽの綿毛のように空へ浮かび上がっていくような気分になった。
チルノはもぐらのように大地の合間へ潜っているような気分になった。
天国は空の果てにあると聞いたことがある。
地獄は地の底にあると聞いたことがある。
チルノは自分がどちらか、あるいは両方へ向かっているのだと思った。

そしてチルノは死ぬことが出来た。


しばらくして起き上がるとさっそくそのことを報告するために森の方へと走っていった。


no more
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2006/02/24 09:03:10
更新日時:
2006/02/27 00:03:10
評価:
0/0
POINT:
0
Rate:
5.00
1. 4 月影蓮哉 ■2006/03/25 00:03:49
うーむ、好奇心から死…ですか。彼女はなかなか思いつかなさそうですが。
「死」という概念にはいろいろとありますが、…少なくともまだ私は生きたいですけどw
って、起き上がったって死んで無いじゃん(笑
2. 4 ありがとう ■2006/03/25 00:09:24
キャスティングの妙ですね
3. 7 ■2006/03/25 00:11:34
素直に、世界は彼女にとって素晴らしいものでしょうね。
4. 3 真紅の巫女 ■2006/03/25 00:13:15
嫌いじゃない・・・。
5. 5 床間たろひ ■2006/03/25 00:14:28
まずは一番手。お疲れ様でございますw

死を思う。死を思え。チルノのような無垢なる魂を持つ者の場合は
また違った意味を持つ。思い悩みそして実行に移す……
チルノだからこその悩み。チルノだからこそ拾った命。
深く考えると怖いものがありますね。

それは兎も角、チルノはやっぱり可愛いなぁもうw
6. 6 凪羅 ■2006/03/25 00:18:42
チルノは相変わらずHですねぇ(笑
いやはや、彼女らしくて可愛いと思いますよ。
7. 4 ■2006/03/25 00:20:34
>しばらくして起き上がると
ちょw死んだんじゃなかったのかw
リレイズ前掛けHおつ
8. 3 反魂 ■2006/03/25 00:26:50
ああ、こういう遊び心と余裕に溢れた作品好きです。
バカっぽいけれど、ここは敢えてHとは呼ばずにおこう。
9. 3 かけなん ■2006/03/25 00:31:26
なんとも、いかにもチルノらしいというか
10. 3 爪影 ■2006/03/25 00:31:46
淡々と語られる文章とチルノらしいオチに、自然と笑みが浮かびました
11. 4 近藤 ■2006/03/25 00:34:07
短いながらも実にチルノらしい一面に溢れた作品でした。
こうしてひとつずつ賢くなっていくんですねっ!
12. 8 無記名 ■2006/03/25 00:38:46
淡々とした文章で、止まることなく読み進めれました。
重たい雰囲気を一瞬で軽やかにしてしまった最後の一行がお見事です。
読み終えた後になんだか不思議な気分に。
13. 7 2:23am ■2006/03/25 00:51:38
バカっていいなぁ…、と。
しっかし文体が素晴らしい…。内容とともに。
14. 4 水酉 ■2006/03/25 01:43:50
好奇心チルノを殺す。
ナイスHっぷりがいいですね
15. 8 ラナ ■2006/03/25 03:26:13
比喩とリズムが素敵にございます。勿論タイトルも。
死を理解していないチルノの可愛らしさと危うさに驚き。
音を入れては壊れるだろう世界が、それこそ南極のように綺麗に感じました。

一番乗りで読みやすい短さっていう戦略勝ちもあり。
16. 5 名前はありません。 ■2006/03/25 08:54:02
巧い
17. 7 名無し ■2006/03/25 16:47:55
僕は賞賛することにした。
なにはともかくとして賞賛することにした。
18. 8 kt-21 ■2006/03/25 16:51:44
あっはっはっはっは。
チルノはバカだなぁ。存分にバカだな。存外にバカだな。すばらしきバカだな。
そのバカ妖精的思考とオチに乾杯。
19. 3 おや ■2006/03/25 18:00:36
開幕というか、タイトルからして既に来ていましたねぇw
死に方を模索するにもチルノ臭さが漂っていたと思います。
20. 8 ぱじゃま ■2006/03/25 20:16:58
こういうの大好きです。
あーもー、チルノ可愛いなー。
21. 3 ■2006/03/26 23:58:31
チルノは散るn(ry
実にチルノらしくて楽しい… のですが。
酒がテーマというより、1つの要素程度で終わっている感じがあるので低めで。
22. 1 名無し妖怪 ■2006/03/27 06:13:17
チルノ、なんてお馬鹿な子・・・!
23. 5 unit ■2006/03/30 02:06:14
短いけれど作者さまのセンスをびんびんと感じます。
チルノやっぱりお酒弱いのね。
24. 6 つくし ■2006/03/30 17:23:38
バカをサックリと楽しめました。
25. 6 papa ■2006/03/30 18:35:51
起き上がってる! というか、死の意味すらわかってないと見た!
なんだかとってもチルノだなぁという作品でした。
26. 3 Hodumi ■2006/04/02 16:09:15
HはHなりに、だけどやっぱりH
27. フリーレス ■2006/04/04 00:46:35
好奇心は猫を殺す、いわんやチルノをや。にーん。
28. 4 名前だったもの ■2006/04/04 09:42:36
こういうのりの好きですがちょっと…
29. 5 藤村琉 ■2006/04/06 23:53:06
 比較的高度な一発ネタ。
 小綺麗に落ちは付いているのですが、いくらか物足りなく感じてしまうのは小ネタの宿命かもしれません。
 練り込めばもっと深い味わいになったでしょうが、要は急ぎすぎというところに集約されそうです。
30. 5 銀の夢 ■2006/04/08 16:13:46
不思議な作品ですね……
しかし実にチルノのHっぷりが表現されていて面白かったw
31. 7 MIM.E ■2006/04/11 22:27:36
チルノが微笑ましすぎです。もうそれしかない。
32. 3 木村圭 ■2006/04/12 01:52:34
チルノ死んでねぇーっ! でも可愛いので許す。
33. 7 NONOKOSU ■2006/04/12 05:58:23
素晴らしいH具合。
ラストの一文は、実は深読みが可能なのでしょうか。
34. 3 名梨 ■2006/04/12 17:51:58
僕の脳内ではうまい言葉が出ません
でもこんな風にチルノが考えていたらそれはそれで素敵な気がします
35. 4 とら ■2006/04/12 19:03:20
天国見たいのなら程々に。
天国行きたいなら存分に。
36. 4 K.M ■2006/04/12 20:05:56
何処となくシュールな話に思いました
ラストにチルノらしさが溢れてると感じました
37. 10 椒良徳 ■2006/04/12 22:03:30
短い文章でチルノのお馬鹿さを余すことなく書いた貴方は凄いです。
38. 5 名無し ■2006/04/12 22:52:19
がんばれ、チルノ、負けるな、チルノ
名前 メール
評価 パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード