酔っぱらい大ちゃん

作品集: 最新 投稿日時: 2006/03/11 05:03:13 更新日時: 2006/03/13 20:03:13 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00


 雲ひとつない快晴。空からお日様が穏やかに微笑んでいるような小春日和。
 誰もがその暖かさについまどろんでしまいそうな、そんな午後のことだった。

「はぁ〜、平和ねぇ」

 博麗神社の巫女、博麗霊夢は今日も境内の掃除をしながら、縁側でのお茶を楽しんでいた。
 いや、むしろ縁側でお茶を飲みながら境内の掃除と言ったほうがいいだろうか?
 10分掃除をしたらお茶、5分掃除をしたらお茶、3分掃除をしたらお茶。
 どんどん間隔が短くなっていく。

「こんなにいい天気なのに、掃除なんてしてらんないわよ」

 そうつぶやいて、お皿の上のおせんべいに手を伸ばす。和やかな顔でおせんべいを食みつつお茶をすするその姿は、
とてもではないが、年相応と呼べるものではない。まるでのどこかの人のいいおばあちゃんのようだった。

 まぁ、つまり……概ねいつも通りだった。幻想郷が平和なのも、霊夢が掃除をサボってお茶でまったりするのも
いつも通り。

「たいへんよーっ!」

 そして、

「たいへん! たいへんよーっ!」

 そんな霊夢が、

「たいへん! たいへん! 大変ったら! 大変なのよーっ!」
「む?」

 霊夢の元へまっすぐ突っ込んでくるそれを、さっと身体をそらしてかわす。もちろん、お茶とおせんべいのお皿は
その手の中に避難済み。
 どんがらがっしゃんと家の奥から音がした。

「うるさいわねぇ」

 霊夢が家の中を振り返ると、青い髪と水晶のようにとがった羽の女の子が、ちょうどそこにあったちゃぶ台に
地獄車を決めているところだった。

「おお、おみごと」
「好きでやったんじゃないやい!」

 ばっと身体を起こして叫ぶその女の子は、湖に住む氷精のチルノだった。

「アンタ、今よけたでしょ! あたいが突っ込んでくること知っててよけたでしょ!」
「そりゃ、よけなきゃ痛いでしょうが。あと、あんたが破壊したちゃぶ台、ちゃんと弁償しなさい」
「はん! あたいがお金なんて持ってるわけないでしょ!」
「威張って言うことじゃないでしょ」

 突っ込みを入れつつ、霊夢はうんざりとした顔をした。平和なお茶の時間を邪魔されたこととちゃぶ台を
破壊されたこと、あとチルノが現れたおかげで神社の空気が3度ほど低下したことについてである。

「って、そんなことより! 大変なのよ! アンタも手伝ってよ!」
「嫌よ。今日は一日平和に暮らすことにしたの。誰の話も聞かないし巻き込まれない。お賽銭だけは
 受け付けてあげる」
「あのね! 実はね!」
「話聞いてないわね」

 霊夢の屁理屈など、今のチルノにとってまったく無駄なものだった。それくらい、チルノは慌てていたのだから。

「実は! 大ちゃんがおかしくなっちゃったの!」
「大ちゃん?」

 霊夢はその言葉に首をかしげる。霊夢にとってそれは聞き覚えのない名前だった。

「カエルの話なんて知らないわよ?」
「カエルじゃないわよっ! 妖精よ!」
「妖精って、それこそ知らないわよ。私には妖精に知り合いなんて……」

 そこまで言って、ふと霊夢は一匹の妖精のことを思い出した。
 チルノといつも一緒にいる妖精。よくチルノの後に付いて回っては、チルノのいたずらの後始末でへこへこと
謝っていた、ちょっとおっとりとした妖精のことだ。
 彼女の名前は確か……。

「あ、あーあー、あいつねあいつ。確か大妖精って言ったっけ?」

 ようやく霊夢も合点がいく。
 大妖精だから、大ちゃん……なるほど、チルノらしい呼び方である。

「そうそう! その大ちゃんよ!」
「で、どうおかしくなったって? 山のように大きくなったり、あんたを一飲みにしたり?」
「そんなことよりもっとおかしいわよ!」
「もっとなのか」

 今言ったのも十分おかしいと思ったが、それ以上があるというのだろうか?
 少しだけ見てみたい気もしたが、やはりお茶の魅力には勝てない。霊夢は興味をなくしたかのように再びお茶を
すすり始めた。
 しかし、今のチルノがそんな霊夢のお茶飲み再開を許すはずもなく。

「とにかく、すっごく変なんだから! 一緒に来て、何とかしてよ!」
「だから、嫌って言ってるでしょ。ちょ、こらっ! 腕を引くな! 服を引くな! 腋をくすぐるなっ!」
「おとなしく来ないと、腋を凍らせて、腋っぽい服を着られなくしてやるわ!」
「腋っぽい服って言うな!」

 結局、霊夢はチルノに半ば無理矢理連れ出され、彼女たちの住む紅魔湖へと飛び立つこととなった。
 霊夢がいらん厄介ごとに巻き込まれる、それもまた、いつも通りのことであった。







 霊夢たちは、さっそくチルノがよく遊び場にしているという紅魔湖の畔へとやってきた。
 このあたりは強い妖怪も人間もいなく、天然の遊び道具が山のようにあるので、たくさんの妖精たちの遊び場に
なっているそうだ。

「あっ! ほら、あそこ。あそこにいるよ!」
「ああ、いるわね」

 チルノが指差す方向。
 確かにそこには、緑色の髪の片側を黄色いリボンで留め、白いブラウスに青のワンピーススカートを着ている
女の子の姿があった。背中から生える二枚の黄色い羽が、彼女が妖精であることを表している。
 大妖精は地べたにぺたんと座ったまま、呆けたように動かない。ふと、彼女の右手に何かが握られているように
見えたが、霊夢からは彼女の身体が死角となってよく見えなかった。

「確かにぼーっとしてて、様子がおかしい気はしなくもないけれど、別にたいしたもんでもないじゃない」
「あんなもんじゃないわよ! もっとおかしいんだから!」
「もっとって言われてもねぇ……とりあえず、話しかけてみましょ」

 ここから眺めているだけでは、さらに詳しいことはわからない。霊夢は大妖精の元へ向かおうとした。
 しかし、返事がないことを不思議に思い振り返ると、チルノはそこから動こうとせず、ただ、大妖精を心配そうに
見ているだけだった。

「って、こらっ! あんたも一緒に行くのよ!」

 霊夢が無理やり引っ張ると、チルノがいやいやと抵抗する。

「うーっ! いやだーっ! 行きたくない!」
「あんたが私を無理矢理ここに連れてきたんでしょうが! 何で立場が逆になってるのよ!」
「だって、食べられそうなんだもん」
「あの妖精はいつから肉食になったのよ」

 いや、チルノは妖精だから妖精食だろうか? まぁ、そんなことはどうでもいい。

「ほら! つべこべ言わずに来る! 私にだけに厄介ごとを背負わすな!」
「うーっ! うーっ!」

 抵抗するチルノを逃がさないまま大妖精に近づく。
 近づくにつれて、彼女の様子が少しずつ詳しくわかってくるが、確かにちょっとおかしかった。
 顔が火照ったようにほんのりと赤くなっていて、身体がふらふらと左右に揺れている。目はどことなくうつろで、
どこを見ているのかすらもわからない。
 何かの病気なのかしら? でも、それだとこのチルノの怖がりようがおかしいし……。
 そう考えた霊夢が、再び大妖精を見たそのときだった。
 大妖精がすうっと右腕を持ち上げた。
 それによって、その手に持つものが霊夢にも見えるようになる。

「え?」

 それを見て、霊夢は思わず声を上げた。
 それは、中に液体が入った大きな茶色の瓶。
 霊夢もよく目にする、宴会の主役の1.8リットル。

「あれって……お酒?」
「よいしょ」

 霊夢が呆然とする中、大妖精は瓶のキャップをきゅぽんと開け、口に当てる。
 そして一気に逆さにした。

「んくっ、んくっ、んくっ……」

 飲む、飲む、飲む……。
 見事なくらい豪快なラッパ飲み。
 その飲みっぷりはおそらく、どこぞの酔いどれロリな鬼ですら見入ってしまうくらい気持ちのいいものであった。
 なお、一升瓶のラッパ飲みは大変危険なので、よい子はまねをしないでいただきたい。

「んくっ、んくっ……ぷはぁ! はぁ、おいひい」

 一升瓶から口を離した大妖精に、先ほどまでのうつろな表情はなかった。代わりにあるのは、この世の最高の幸せを
今まさに味わってますと言っているような、緩みきった笑顔。

「……えっと」

 彼女の様子を見て、霊夢はなんとなく今の状況を理解した。
 大妖精の様子がおかしい理由、つまり……。

「あらぁ?」

 大妖精が霊夢たちに気が付いた。霊夢たちは気が付かないうちにそれだけ大妖精の近くまで来ていたのである。

「チルノちゃん、おかえりなさぁい」

 大妖精はにっこりと笑って、チルノのことを迎えた。
 上気した頬とその笑顔の組み合わせは、なかなか可愛らしいものではあったが、それすらも打ち消すほどに酒臭い。
 チルノは大妖精の声に、ささっと霊夢の後ろに隠れてしまう。

「それと〜……」

 大妖精のほうは霊夢の顔を見つつ、ふら〜ふら〜と考えるようなしぐさをする。やがて、ぽんと手を打ち、

「たしかぁ、博麗神社のおめでたい人」
「あんたの頭のほうがめでたいわ」

 頭を抑える霊夢。

「何? けっきょく、あれ? この妖精がおかしいのは、ただ単に酒に酔っ払ってるだけ?」

 霊夢は、後ろに隠れているチルノを首だけを動かして見た。

「ね! ね! おかしくなってるでしょ!?」

 どうだと言わんばかりのチルノ。

「あんたねぇ……、あれはただ単にお酒を飲んで酔っ払ってるだけなの!」
「むむっ! 『よっぱら』って病気なのね!」
「まぁ、ある意味病気だけどさ。あんた、お酒を飲むとこうなるって知らないの?」
「魚の丸呑みなんてできるわけないでしょ!」

 それは鮭だ。
 霊夢ははぁとため息をつき、「夢想封印を使ってでもこいつと一緒に来るのを拒むべきだったなぁ」と後悔した。

「ごくっ、ごく……はぁ。ため息ついてると、幸せが逃げちゃいますよぉ〜、腋巫女さん」
「このため息は、あんたらが原因なんだけどね。あと、腋巫女言うな」
「じゃあ、腋紅白さん」
「腋から離れろ」
「はぁい! そういうときは、これですっ!」

 霊夢の叫びを無視しつつ、大妖精は霊夢の目の前に一升瓶をドンと置いた。
 一升瓶にはまだ半分以上お酒が入っている。

「飲んで、いっきに」
「飲めるかっ!」

 明らかに致死量だ。こんな量を一気飲みしたら、丸三日間は神社と白玉楼を往復する羽目になるだろう。
 冥界の姫と茶飲み友達になれるかもしれない。

「私のお酒が飲めないっていうんですかぁ!?」

 大妖精が霊夢にその顔を近づけて凄む。本人は凄んでいるつもりだが、もともとそんな作りの顔をしていないのと
赤く染まった頬のせいでむしろ艶かしく見える。

「ええいっ! そんな顔を近づけるんじゃないわよ! ほら、これあげるから」

 そう言って、霊夢は背中に隠れているチルノを差し出した。

「きゃあ〜っ、チルノちゃん、かわいぃ〜」

 大妖精はチルノを見るやいなや、ぎゅう〜っと抱きしめた。その様は、ぬいぐるみを抱きしめるそれとほぼ同じ。
 つまり、容赦なしである。

「みぎゃぁ〜! 大ちゃん、やめて〜っ! いや〜っ! 食べられる〜!」
「だいじょうぶ、ちゃんとやさしく食べてあげるからねぇ〜」
「わーん! 霊夢のバカ〜! H〜っ!」

 霊夢はチルノと大妖精を放っておいて再び空へと飛び立った。これ以上、酔っ払いの相手はゴメンである。

「ふんっ、私の大切なお茶の時間を邪魔した罰よ。って言うか、あんたにH言われたくないわ」

 チルノに連れ出されてからここに来るまで、時間にして一刻くらいだろうか?
 まだ日が沈み出すまで時間はあるが、それでも無駄に時間を過ごしてしまったことは確かだった。

「はぁ、早く帰って、お茶を飲みなおそっと」
「お茶なんかより、もぉっとおいしい飲み物がありますよぉ」
「言っとくけど、お酒は却下よ」
「そうですかぁ? こんなにおいしいのにぃ。んくっ、んくっ」

 霊夢のすぐ前にいつの間にか移動していた大妖精が、残念そうな顔で再び一升瓶をあおる。

「で、何をしたかは知らないけれど、どうして私の前に出てくるのかしら? あんたはお酒を飲みながら
 あのバカ妖精と遊んでりゃいいでしょ?」
「チルノちゃんはなぜかわからないけれど、気を失っちゃいましたよぉ?」

 下を見ると、確かにチルノが目を回してのびているのが見える。

「あんた、いったいあいつに何したのよ?」
「えーっと、チルノちゃんを〜、ぎゅ〜ってして、なでなでして〜、むにむにして〜……」
「いい、もういい。あんたはもうしゃべるな」

 こいつをこのまましゃべらせるとろくなことにならない。そう思い、霊夢は大妖精の横を抜けようとした。
 ところが大妖精は、霊夢の行く道を遮るようにふらっと移動する。
 酔っ払いがふらふら動いているだけかと思い、霊夢はもう一度横を通り抜けようとして、同じように阻まれる。
 右によければ右に動き、左によければ左に動く。

「で、邪魔なんだけれど」
「だってぇ、邪魔してるんですもの。せっかくお酒を勧めているのにそれを断るなんて、ひどいじゃないですかぁー」
「あんたは私に致死量一気して死ねと?」 

 ああ、やっぱり。
 どうやら大妖精は、意図的に霊夢の邪魔をしているようだった。酔っ払いが意図的に行動っていうのも
変な気はするが。
 なるほどなるほどと納得顔をする霊夢。
 その目がふいに変わる。妖怪を退治するときの、そして自分の邪魔を排除するときの攻撃的な瞳。

「私のお茶の時間の邪魔をするって言うんなら、こっちだって容赦するわけにはいかないわね」

 正直、霊夢もいい加減うんざりしていたところ。はた迷惑な酔っ払いにはここで反省してもらうことにしよう。
 懐に手を入れ、スペルカードを取り出す。

「少し頭を冷やしなさい!」


 霊符『夢想封印 集』


 一喝とともにスペルカードが発動する!
 カードから発する霊弾が大妖精を取り囲み、収束する!
 炸裂!
 ものすごい音と光!
 炸裂したときの反動で飛ばされそうになるのを懸命にこらえる霊夢。

「うわ……すごい威力。相当頭に来てたのね、私」

 怒りによって霊弾の威力が変わるかどうかはわからないが、とにかく、今日の夢想封印は絶好調であった。
 やがて光が収まり、霊夢はさっきまで大妖精が飛んでいた場所に何もいなくなったことを確認する。
 地上を見下ろしても、その姿を見つけることはできなかった。吹き飛んで湖に落ちたのか、はたまた
林のほうなのか。

「まぁいっか、たぶん死んでないと思うし」
「んくっ、んくっ……誰がですかぁ?」
「だから、あの酔っ払いの妖精が……って!」

 ばっと振り返りざま、霊夢は懐から針を取り出し、声のするほうへ投げつける!
 その声の主、大妖精は針が身体に当たる寸前にシュンという音を立てて姿を消し、その少し離れた場所に
瞬時に移動していた。

「そう、テレポートして夢想封印をかわしたのね」

 以前、紅霧異変のときに霊夢がはじめて大妖精と対峙した際も、彼女はテレポートを用いてきた。
 あのときはほぼ移動に使っていたみたいだが、それを回避に使うとなかなかに便利なものらしい。
 霊夢は新たにスペルカードを取り、再びカードを発動させようとするが!

「きゃははは〜っ! お〜にさんこっちら〜、手のなるほうへ〜」

 そんな臨戦態勢万端な霊夢などお構いなく、大妖精はシュンシュンとテレポートを繰り返しながら、どこかへと
飛び去ってしまった。
 後に残ったのは、スペルカードを構えたままの状態でぽつんと宙に浮く霊夢の姿だけ。

「まったく……なんなのよ、あいつは」

 カードをしまい、大妖精が飛び去っていった方向を見ながら呆れた表情でつぶやく霊夢。
 変わり者が多い幻想郷、その中で大妖精はどちらかと言えばまともなほうではないかと思っていたのだが、
どうやらその考えは改め直さなければいけないようだ。

「やっぱり、ここには変なやつしかいないのね」

 ちなみに、霊夢は自分のことを棚にあげているとまったく思っていない。

「うー……ひどい目にあった」

 下から声がして、チルノがふらふらと浮かんでくる。
 どうやら、一時的な涅槃から脱出してきたらしい。

「あら、気が付いたのね」
「川の手前で赤い髪の死神が昼寝してるのが見えたわ」
「そんなに強烈なものだったのね、ご愁傷様」
「誰のせいよ! って、そうだ!」

 チルノが辺りをきょろきょろと見回す。

「ねぇ、大ちゃんは? 大ちゃん、どこ行っちゃったの!?」
「あの妖精なら、あっちのほうにふらふらと行っちゃったわよ」
「ええっ! こうしちゃいられないわ。早く追いかけなきゃ」
「へ?」

 チルノはそのまま霊夢を放って飛び始めた。
 慌てて、霊夢がその後を追う。

「ちょっと! 今のあの妖精に何をしても無駄よ! お酒が抜けたらすぐに申し訳なさそうな顔して戻ってくる
 だろうから、放っておきなさいよ」
「そうかもしれないけど……でも、放っておけるわけないじゃん!」
「放っておけないって、あんた、あんなに怖がってたじゃないの」
「それとこれとは別よー!」

 大妖精の姿は、もうすでにずいぶんと小さくなっている。
 テレポートを駆使している分、あちらのほうが早く移動しているのだろう。
 このまま追いかけても、見失うのが関の山かもしれない。
 しかし、それでも、チルノは大妖精のことを全力で追いかけた。追いつけないとわかっているのにもかかわらず。

「……まったく、しょうがないわね。本当はお茶の時間が恋しいんだけれど」

 霊夢もチルノと一緒に大妖精を追いかけることにした。
 大妖精が向かう先、そこには小さな吸血鬼の住処である紅魔館があったはず。

「大変なことにならなきゃいいんだけれど……」

 霊夢のつぶやきは、勢いよく流れる空気によってかき消された。








 紅魔館の中にある大きな図書館。
 ヴワル魔法図書館と呼ばれるその場所には、幻想郷中から集められた文献、魔道書、その他の書物がたくさん
眠っている。本は直射日光に弱いことから、この場所は窓がなく日の光を通さない、一年中、闇と埃に包まれた
世界となっていた。

「ふんふん♪ ふ〜んふん♪ ふふふんふ〜んふん♪」

 そんな暗い世界の中に、ひときわ明るい鼻歌が聞こえる。
 ゆらゆらと揺れる小さなランタンの明かり、その中で踊る小さな人影。
 白のブラウスに黒ベスト、赤い髪にこうもりの羽を髣髴とさせる頭の黒い羽。背中にも同じような羽を装備している。
 彼女の名は小悪魔。ヴワル魔法図書館に住み込んでいる魔女、パチュリー・ノーレッジの遣い魔で、彼女の
身の回りの世話をする傍ら、この図書館の司書の真似事をしている悪魔だ。

「ふふふんふんふん♪ ふんふん♪ ふんふんふ〜んふ〜ん♪ う〜 ぱちゅり〜♪」

 可愛らしい声とともにぴょんと飛び上がる。
 人前でやろうものなら、顔から火が出るほどの恥ずかしい行為であったが、今は違う。
 彼女の主は、白黒の魔法使いのところへ遊びに行き、この図書館には小悪魔一人しかいないのである。
 つまり、彼女にとって完全に自由な時間。そんな時間を図書館の仕事でつぶすなんてもったいない。
 サボる気満々である。

「うっふふ……ようやくこのときが来ました。前々からどんな味なのか気になってたんですよね」

 そんな彼女の手には、1本のワインボトルがあった。
 紅魔館の台所からくすねてきたもので、レミリアも好んで飲んでいる貴重な1本である。
 そのワインを手に閲覧室までやってくる小悪魔。
 そこにはしっかりワイングラスと手作りのクッキーが用意されていた。
 貴重なワインの入ったワイングラスを傾け、自分の好きな小説を嗜む。さらに自分の自信作のクッキーを一つまみ。

「ああ、なんて豪華。なんて贅沢。こんないいことを遣い魔である私が独り占めしちゃっていいものでしょうか!?
 まぁ、当然だめだから、こうしてこっそりやるんですけど」

 そう独り言をつぶやきながらワインボトルの栓を抜きグラスに中身を注いだ。
 ランタンのかすかな明かりの中で、紅い液体がグラスへと満たされていく。
 それはまるで暗闇の中できらきらと輝く宝石のよう。
 グラスを手に取り、軽く揺らすようにして色を楽しむ。すっと鼻を近づけ香りを楽しむ。
 気分は一級のソムリエである。

「いい色で、惚れ惚れしちゃいます。香りもいいですし。さて、肝心のお味のほうは……」

 小悪魔はゆっくりとグラスを傾け、ワインを口へ運ぼうと……。

「がおぉーっ!」
「んぐっ!?」

 小悪魔の後ろから、いきなり大きな声!

「なーんちゃってー! おどろきましたかぁー?」
「げほっ! けほっ! けほっ! の、のどが! のどが熱い! 熱いです〜!」

 小悪魔を後ろから驚かせた人物は、一升瓶を抱えて絶賛泥酔中の大妖精だった。
 あまりの驚きに、飲んだワインが気管のほうに入ってしまったらしく、むせ返っている小悪魔。
 アルコールでのどが豪快に消毒され、呼吸器官が大パニックである。

「あららぁ、なんだか大変なことになってますねぇ」
「誰のせいですか! というか、あなた誰ですか!?」

 ようやく立ち直り、大妖精に振り返る小悪魔。
 普段は温和な彼女だが、せっかくの楽しみを邪魔されて、さすがに不機嫌気味のようだった。

「お気遣いなく〜、私は、通りすがりの妖精さんですよぉ」
「誰も気遣ってません! 何で妖精がここにいるの? 美鈴さんは何をしてるのかしら?」

 紅魔館の正門は、門番長の紅 美鈴が見張っていたはず。
 小悪魔は、あの妖精を通してしまった美鈴のことを少しだけ恨んだ。

「あーっ! こんなところにおいしそうなお酒があるじゃないですかぁ」
「えっ!?」

 大妖精の手が小悪魔の飲もうとしていたワインボトルに手を伸ばす。

「ああっ! だめです! それは私の!」

 あわてて小悪魔が阻止しようと手を伸ばしたが少し遅く、手を掠める少し前にシュンと音を立て、大妖精は
少し離れた本棚の上にテレポートしていた。その手には件のワインボトルがしっかりとあった。

「どれどれ、お味のほうは……ごくっ、ごくっ」
「あ、あああー……」

 ワインボトルに直接口をつけてラッパ飲みを始める大妖精。
 彼女ののどがごくごくと鳴り、ボトルの中の赤黒い液体が見る見るうちに減っていく。
 何もできずに小悪魔は立ちつくすだけ。
 ちなみに何度も言うようだが、ワインのラッパ飲みは大変危険である。

「ぷはぁ……おいしいお酒ですねぇ。私、こういうのは飲んだことないんですけれど、ぶどうの香りがほんのりと
 してて、ちょっときつめの酸味の中のかすかな甘みがまた絶妙ですぅ」
「う、うぅ〜……!」

 小悪魔の心の中にふつふつと湧き上がる怒り。それは今まで、小悪魔が感じたことのないものだった。
 自分の自由な時間を邪魔し、楽しみにしていたワインを奪い、傍若無人な振る舞いをするこの妖精を叩きのめす。
 そのことで、小悪魔の頭はいっぱいになっていたのだ。

「よくも、よくも! よくもーっ!」

 小悪魔が手早く呪文を唱える。
 その呪文に召還され、大妖精の周りにたくさんの魔方陣が現れた。
 その数は軽く10は超えている。

「えーいっ! 私のワインの敵ーっ!」

 小悪魔が叫ぶと同時に、魔方陣から無数のクナイが発射された!
 四方八方から大妖精に向かって襲い掛かるクナイ!
 大妖精は、ワインボトルに口をつけたままクナイの群れをちらりと見て、
 次の瞬間、シュンというかすかな空気の音とともに、その場から消えうせていた。
 攻撃対象を見失ったクナイが互いにぶつかり、激しい金属音を立てる。

「!? ど、どこですっ!?」
「ここですよぉ〜!」

 小悪魔の後ろから何者かの手が伸びる!

「きゃっち!」
「うきゃあっ!」

 ふにゅんという柔らかい音がした。

「きゃははは〜、つっかまえましたぁ〜」
「つ、捕まえたって、どこをつかんでるんですかー!?」

 後ろからの手は、まっすぐ小悪魔の胸にある二つのふくらみに伸びていた。
 そして、小悪魔の顔のすぐ後ろに大妖精の顔。
 つまり、大妖精が後ろから小悪魔に抱き付いている状態にあるのだ。

「あ〜、あなたも結構おっきいんですねぇ。さっきの門番さんの方のほうがすごかったですけれど」

 普段とはまったく違う妖しい顔で、小悪魔の胸をぷよぷよもてあそんでいる大妖精。
 どうやら、美鈴にも同じようなことをしてきたらしい。

「そ、そんなのどうでもいいですから! 早く離してください!」
「そんな事言っちゃだめですよ〜、せっかくの84のDがもったいないですよぉ」
「何で私のサイズ知ってるんですか!?」
「あ〜、当たりましたぁ? きゃははは〜!」

 今の大妖精には何でもわかる。あるベクトルに偏ってはいるが。

「はぁ〜、いいですねぇ。門番さんもあなたもこーんなにいいものがついてるなんてぇ。それに比べて私は〜……」

 と、大妖精の言葉が止まる。
 不思議に思い、小悪魔が後ろを振り返ると、大妖精が下を向いて押し黙っていた。
 さらに首を動かして下を見ると、ちょうど大妖精のそれが見えた。
 大妖精の元々の性格と同じような……一言で言えば控えめで目立たない。

「……」
「……」

 なんだか嫌な予感がして、小悪魔が再び大妖精の顔を見る。
 ちょうど視線を上げた大妖精と目が合い。

 その目が妖しく光った……ような気がした。

「わーん、うらやましすぎですよっ! この胸め! この胸め! この胸めーっ!」
「って! ちょ、きゃ、あ! そ、そんなに、強く、もま……や、やぁっ!」



 しばらくお待ちください……



「大ちゃんっ!」
「ああ! また犠牲者が!」

 霊夢とチルノが大妖精を見つけ、まっすぐ飛んでくる。
 二人は紅魔館の正門で、美鈴が自分の胸を庇いながら倒れていたのを見つけ、大妖精の行方を追って図書館に
侵入していたのだ。
 それに気がついた大妖精が、小悪魔を盾に二人と対峙した。

「おおっと! 動かないでくださぁい! 近づくとこの子の84センチが非常にデンジャラスかつワンダフルなことに
 なりますよ!」
「ぐすっ……もう十分なってますよぅ」

 小悪魔は涙目な顔を真っ赤にし、息も絶え絶えで大妖精にもたれかかっていた。
 腰が抜けてしまっているのだろうか?
 大妖精が小悪魔に何をしたのか、霊夢には皆目検討がつかなかった。
 あと、84センチの意味もわからなかった。

「ええっと、こういうときは……大ちゃん! 大ちゃんはすでにあたいらにほーいされている! おとなしく人参を
 渡して、とーこーしなさーい!」
「人質でしょ、ウサギかあんたは」

 チルノは役に立ちそうにない、そう思い、霊夢は前に進み出た。

「こらぁ、そこの妖精! そろそろいい加減にしなさいよ! じゃないと棒で殴るわよ、棒で!」

 そう言う霊夢の手にはいつの間にかお払い棒が握られている。
 なるほど、これに叩かれるとかなり痛そうだが……これでは説得ではなくて脅しである。

「もぅ、そんなに怖い顔しないでくださいよぅ。私はぁ、ただ楽しんでお酒を飲んでいるだけですのにぃ」
「あんたは楽しくても、周りにとっちゃ迷惑なのよ! これ以上迷惑になる前に、私たちと一緒に来なさい!
 じゃないと針で刺すわよ、針で!」

 そう言う霊夢のもう片方の手にはいつの間にか針が握られている。もう、臨戦態勢はばっちりだった。
 と言うか、まったく説得になっていない。
 大妖精はそれを見て、はぁ〜と酒臭いため息をつく。捕まっている小悪魔がその臭いに思わず咳き込んだ。

「まったく、ずいぶん野蛮な巫女さんですねぇ。お酒くらい楽しく飲ませてくださいよぅ」
「なら、静かに楽しく飲めばいいじゃない! 誰にも迷惑かけないように、一人で飲む! それなら、私だって
 何も言わないわ!」
「一人で飲んで楽しんだら……意味がないじゃないですか」

 すっと、大妖精の顔に陰が差した気がする。

「こうして迷惑でもかけなきゃ、私……チルノちゃんが……」

 彼女の声がだんだん小さくなり、最後のほうはほとんど聞き取れなくなる。
 その中でかすかに聞こえたチルノの名前。

「大ちゃん?」
「……」

 チルノの呼びかけにも大妖精は顔をそらすばかりだった。

「……悪いけど、あんたが何を考えてようが関係ないわ」

 霊夢は大妖精に向けてお払い棒を突き出す。

「私の役目は妖魔調伏。酔っ払いな妖精も迷惑な点じゃ妖怪と変わらない。覚悟するのね!」

 今の大妖精は、霊夢にとって敵とみなされていた。
 これ以上迷惑が浸透する前に、早く帰ってお茶の続きをするために、少々痛い目にあわせてでも大妖精を引きずって
いく。
 それが大妖精のためであり、チルノのためでもある。ひいては霊夢のお茶のためにもなる。まさに一石三鳥だ。
 大妖精はぼうっと霊夢の後ろへと視線を動かした。
 そして、

「ああっ!」

 急に霊夢の後ろを指差し、驚いたような声を上げる。

「ん?」
「なに?」

 それは本当に突然のことだったため、思わず霊夢もチルノもそちらのほうを向いてしまう。
 その方向には何もなく、後ろから聞こえたシュンという空気の音。
 もう一度振り返ると、そこには大妖精の姿はなく、解放されてがくりと崩れ落ちる小悪魔の姿だけがあった。

「ああっ! しまった!」
「きゃははははー! ひっかかりましたねぇ!」

 上空から大妖精の声がする。

「まだまだお酒はいっぱいあります! まだ楽しいお酒は終わりませんよぉ!」

 シュンシュンとテレポートを繰り返す音、大妖精の姿がどんどん小さくなっていく。

「あ、残ったワインとクッキーはお土産に持っていきますねー」
「も、もってかないで〜……」

 小悪魔の叫びがむなしく図書館に響いた。

「ああっ、くやしい! あと少しで捕まえられるところだったのに! ちょっと、待ちなさいよ!」

 霊夢が地団太を踏み、すぐさま、大妖精が飛び去ったほうへ飛んでいった。
 チルノもその後を追いかけようとして、ふと後ろで「うぅ……もうお嫁にいけません」と涙している小悪魔に
気がつく。
 しばらく考え、チルノは小悪魔の肩に手を置いて、

「大ちゃんが変なことしちゃってごめん」

 それだけ言って、霊夢と同じように飛び去った。








 その後も大妖精は、誰かに会うごとにいたずらを繰り返し、その場を混乱に巻き込んでいった。

 優雅なティータイムを楽しむ、紅魔館の瀟洒なメイド長のホワイトブリムをこっそり犬耳に変え、
 午後の惰眠を貪る、幸せそうな寝顔の吸血鬼の額に『肉』と書き、
 紅魔館を抜け出したところにちょうどいた宵闇の妖怪に、あることないことを吹き込み「そーなのかー」と言わせ、
 暖かい春の陽気に誘われて春を告げまわっている春の妖精を、『まじかる☆トリルんハンマー』で叩き落とす。

 そのいたずらの勢いはとどまることを知らなかった。
 普段がおとなしい分、酒を飲んでその反動が一気に現れたのかもしれない。

「被害がどんどん拡大していくわね。どこまではっちゃける気なのかしら、あの妖精は」

 宙にぷかぷか浮いたまま、諦め気味の顔をした霊夢がそうこぼす。
 その下の平地では、チルノが知り合いの妖怪二匹に詰め寄られ、小さくなっていた。

「見てよ! 私、あの妖精から殺虫剤をもらっちゃったんだよ! しかも、ゴキ●リ用の! まったく
 失礼しちゃうわ!」
「私なんか焼き鳥のタレよ! 焼き鳥のタレ! これ、私に対して絶対ケンカ売ってるわ! ……ちょっと
 おいしいけど」
『ちょっと! 何とか言いなさいよ!』
「うぅー……ゴメン、二人とも」

 チルノは大妖精の代わりに自分が怒られていることに何の文句も言わず、ただ、二人に対してぺこぺこと
謝るばかりだった。
 ずっとぺこぺこ謝ってるチルノもある意味新鮮よね……と霊夢はそんな素朴な感想を抱いた。

「はぁ、今日のあたい、ずっと謝りっぱなしだわ」

 ようやく解放されたチルノがため息をついている。その姿はどことなくやつれているような気がした。

「ほれ、見なさい。これ以上あいつを追いかけたってなんのいいこともありはしないのよ」
「そんなの、はじめから知ってたわよ」
「どうだか。はじめから知ってたなら、何でずっと追いかけてるのよ?」
「それは、だって……大ちゃんがずっとそうだったから」

ずっと遠くを飛ぶ大妖精のことを眺め、チルノは声を落として言った。
大妖精は時折、手に持ったお酒を飲みながら、テレポートを繰り返し、ふらふらと飛んでいる。

「あたいがどんなにひどいいたずらをしても、どんなに暴れても、大ちゃんは嫌な顔をひとつもしないで、ずっと
 あたいのそばについてくれてて、あたいの代わりに謝ってくれて……。あ、あたいだって、ちゃんとわかってるん
 だよ! 大ちゃんのこと。大ちゃんがいるから、あたいは安心していたずらできるし、暴れることができる。
 こう見えて、感謝してるんだから。恥ずかしくて、大ちゃんには直接言えないけどね、こんなこと」

 そう言ったチルノの顔はちょっとだけ赤くなっているように見えた。
 だが、すぐに真顔に戻って。

「今の大ちゃんは、いつものあたいなの。あっちこっちでいたずらして暴れてるいつものあたい。だから、
 今のあたいはいつもの大ちゃんの代わりになってあげないと。大ちゃんがいつもそうしてたみたいに、
 今の大ちゃんについてあげて、今の大ちゃんの代わりに謝ってあげなきゃだめなの」
「ふぅん、あんたにしてはずいぶん殊勝な考えね。そんなにあの妖精が大事なの?」
「あったりまえでしょ! 大ちゃんは、あたいの友だちなんだから」
「……あっそ」

 霊夢は半ば強引に話を打ち切った。よくわからない感情が霊夢の心の中に渦巻く。
 それはなんだかむず痒く、霊夢の心をいらだたせるもの。
 でも、決して不快ではない。余計なものではない。
 そんな矛盾した感情がいったい何なのか? 今の霊夢はそれがわからないでいたのだ。
 霊夢は強く首を振って、その感情を無理やり押し流す。
 そして、今は大妖精の姿を見失わないことのほうが重要だと、自分に強く言い聞かせた。








 気がつけば、そこは魔法の森の上空。
 大妖精は徐々に高度を下げ、やがて魔法の森の中にある一軒の家へと降り立った。

「あれは、魔理沙の家ね。いよいよ大変なことになるのかしら」
「大変なことって?」
「あの妖精の姿焼きが出来上がるかもしれないって事」

 霊夢たちも魔理沙の家の前に降り立つ。すでに家の中に入ってしまったのか、近くに大妖精の姿はなかった。
 魔理沙の家はしんと静まり返っている。特に騒動のようなものは起こってなさそうだが、油断はできない。
 いつ、魔砲が飛んで、霊夢たちが巻き添えをくらってもおかしくないのだ。
 霊夢は魔理沙の家の入り口のドアをちょっとだけ開けて、中の様子を見てみた。
 細いドアの隙間から、やたらと散らかったリビングの様子が見える。
 そして、この家の主、霧雨魔理沙の姿も見えた。
 魔理沙はこちらには気づかず、ただ、ある一点の方を向いて立ちつくしていた。
 一言で言ってしまえば、開いた口がふさがらない状態。
 おそらく、今、魔理沙の視線の方向に大妖精がいて、何かをやらかしているのだろう。
 なんにしても、魔理沙が魔砲を撃とうとしていないのなら何の問題もない。霊夢はドアを開け、中へと入った。

「邪魔するわよ、魔理沙」
「お? おお、霊夢! と、おまけにH。ちょうど良いところにきたぜ」
「ちょっと! おまけって何よ!」

 入ってきた霊夢に魔理沙は安堵の顔を見せた。
 自分の扱いに不満顔のチルノは半分無視されている。

「さっそくだが、あれを何とかしてもらいたいんだが」

 魔理沙が指差すその先、

「おかし〜な〜、どうして出ないんだろう?」

 頭に疑問符を浮かべながら、ミニ八卦炉の発射口をのぞき込む大妖精の姿があった。

「だ、大ちゃん! なにやってるのよ!」
「あ、チルノちゃ〜ん」

 慌ててチルノが大妖精の元に駆けつける。大妖精はミニ八卦炉を覗いた体勢のまま、笑顔でチルノを迎えた。
 チルノが慌てるのも無理はない。今の状態で誤ってミニ八卦炉が発動すれば、それこそ本当に大妖精の姿焼き、
一丁上がりな状態なのだから。

「魔理沙、何であの妖精があれを持ってるのよ?」
「いやなに、私がミニ八卦炉の手入れをしてたら、いきなりあの妖精が入ってきてな。びっくりしてるうちにとられた」
「あんた、油断しすぎ。 間違って、妖精の丸焼きが出来ちゃったらどうするつもりよ?」
「はっはっは、うまくできたら神社に差し入れてやるよ」
「来るな」

 ミニ八卦炉を取られ、下手すれば大事となる状態なのに魔理沙は人ごとのように笑った。さっきまで呆然と大妖精の
ことを見ていたときとは大違いである。霊夢たちが入ってきていつもの調子に戻ったのか、そもそも慌てていたように
見えただけで、最初から慌てていなかったのか。

「大ちゃん、もうやめなよー」
「えっとぉ〜、このボタンじゃないしぃ〜」
「大ちゃん! あたいの話、聞いてるの?」
「はぁ〜い、ちゃんと聞いてるよぅ〜。そんなことよりぃ、チルノちゃんも手伝ってよ〜」

 霊夢と魔理沙が話をしている一方で、チルノは大妖精の説得にあたっていた。
 袖を引っ張るようにして、なんとかミニ八卦炉を取り上げようとしているが、うまくいかない。
 チルノの言葉も、今の大妖精には焼け石に水のようだ。

「あいつに説得を任せちゃって大丈夫かしら? ぜんぜんうまくいってないように見えるけど」
「さぁな。でもなんか面白いな、こういうのも。性格が反転したみたいで」
「気楽ね、あんたも」

「あ、チルノちゃん。ここぉ、ここが怪しいよぉ。ポチっと」
「もう! 大ちゃん、勝手に押しちゃ……」
「ああっ! チルノちゃん、ほらぁ! ここに手、当ててみてぇ、この穴のところぉ!」 
「え? あっ! すごーい! 冷たい風が出てるー! 気持ちいいー!」
「じゃあー、ここはどうかなぁ〜」
「って! 熱っ! 大ちゃん、熱い! 熱風が! 熱風が出てるよ!」
「きゃははは〜! チルノちゃん、食らえ〜!」

「なんか遊び始めちゃったわよ、あの二人」
「まぁ、Hだしな」
「Hだしねぇ」

 それから5分後……

「どこ押せば出るのよっ!?」
「どこ押せばぁ、でるの〜!?」
「あんたも一緒になって聞くな!」

 チルノは説得に失敗した。霊夢と魔理沙にずりずりと引き戻される。

「ちょっと! 引っ張らないでよ! せっかくあの魔砲を使って、あんたらをコテンパンにしようと思ったのに!」
「どっちがコテンパンにされるのかは目に見えてる気もするがな」
「ったく、あんた、いったい何しにきたのよ」
「そりゃあもちろん、大ちゃんを正気に戻すために……ああっ! だまされたぁ! 大ちゃんめ! このあたいの裏を
 かくなんてなかなかやるわね!」

 心底悔しそうなチルノに霊夢は呆れかえり、「何で私、こんなやつと一緒にいるのかしら?」と今の自分の行動に
疑問を覚えた。

「にしても、あいつ、どうにかならないのか?」
「私に聞かないでよ。どうにかできるものならさっさとどうにかして、神社でお茶飲んでるわよ」
「そうかー、まったく、迷惑だぜ」
「うぅ、ゴメンね。大ちゃんが迷惑かけて……しかも、こんなに散らかして」
「本当に迷惑だぜ」
「散らかってるのはいつものことでしょうが」

 と、そのとき、魔理沙の首に二本の腕が伸びた!
 片方に魔理沙のミニ八卦炉、もう片方に一升瓶を持った腕!

「なっ!?」

 魔理沙はその腕に絡みつかれ、ものすごい勢いで引き寄せられる。

「うっふっふ〜、魔法使いさぁん」
「なぁ、お、お前! いきなり、何するんだ!?」

 その腕は大妖精のもので、魔理沙は後ろから大妖精に抱きすくめられている形になった。
 酒の回りも最高潮になっているのだろう、大妖精はチルノですらも見たこともないくらい妖艶な笑みを浮かべていた。

「ふふふ……そろそろぉ、この道具の使い方、教えてくださいよぉ。これを使えば、あのズバアァァ! って
 出るやつが使えるんでしょう?」

 大妖精が手に持ったミニ八卦炉を魔理沙の目の前で振ってみせる。
 彼女の言う「ズバアァァ!」はおそらくマスタースパークのことなのだろう。

「ああ、それな。残念だが、あれを使うのはそれじゃだめなんだぜ。だから、いい加減返しな」
「うふふ、嘘ばっかりぃ」

 身体を移動させて、魔理沙の正面へと回る。
 魔理沙のすぐ目の前に大妖精の顔。魔理沙の目をじっと見る少し潤んだ瞳。
 もともとのきれいな顔立ちの上に、お酒によるほんのりとした頬の赤み、妖艶な笑み、吸い込まれるような目。
 そのすべてがそろった大妖精の顔は、同性の魔理沙でさえも顔を赤くしてしまうくらいきれいなものだった。
 吐く息がかなり酒臭いことが本当に残念である。

「いいですよぉ、そんなに本当のことを言いたくないのでしたらぁ」

 大妖精の視線が、下へと下がる。
 魔理沙の目を見ていた視線が唇へ移り、そこで止まった。

「その嘘つきな唇を、吸い尽くしてあげちゃいますからぁ」

 ぞわあぁっと魔理沙の背筋を走る悪寒。
 このままではまずい! 何かいろいろ大切なものを失ってしまいそうだ。

「お、おいっ! 霊夢! H! 見てないでお前らも何とかしてくれよ!」
「嫌よ。うかつに手を出すと私まで巻き込まれそうだし」
「あぅぁ……食べられるのは嫌、食べられるのは嫌……」

 霊夢とチルノに助けを求めるも、霊夢はすでに安全な場所まで避難、チルノは先ほどのトラウマか、部屋の隅で
ぶるぶると震えている。

「こ、この、薄情ものー! わっ! こら、やめろっ! それ以上顔を近づけるなっ!」
「うっふっふ〜、それじゃあ、いただきま〜すぅ」

 迫る大妖精! 逃げられない魔理沙!
 ここまでか……魔理沙がそう観念した。

 そのとき、部屋の奥のほうから、スタスタと誰かがやってくる足音がした。
 その音を聞き、魔理沙は初めて、いるかどうかもわからない幸運の女神と言うものに感謝した。
 今、この家には魔理沙と霊夢、チルノのほかにもう一人、客がいたのだ。
 がちゃりと奥のドアを開けて入ってくる、魔理沙にとっての救世主。
 ネグリジェと間違えそうなピンクの服と帽子。空に浮かぶ半月を思わせる、不機嫌そうなジト目。
への字に曲がった口からは今すぐにでも、騒がしくしていることへの文句が飛び出してきそうだ。
 そう、その救世主とは、偶然魔理沙の家へと遊びに来ていた、紅魔館の魔女。

「うるさいわね。これじゃ静かに本も読め……」
「よう、パチュリー。早速だが、お前にプレゼントだ。遠慮なく受け取れー!」

 魔理沙は身体をひねって大妖精の急接近をかわし、そのまま勢いをつけてパチュリーに向かって投げたのである!

「あらぁ〜?」

 つんのめるようにふらふらとパチュリーに向かっていく大妖精。

「え?」

 一方、パチュリーも突然の出来事に反応できず……。



 むちゅぅ……



「んっ」
「んむっ!?」

 紅魔館の瀟洒なメイドはここにはいないが、この場にいたものは時が止まったかのような感覚を覚えた。
 すべては今のこの音が物語っていると言っても過言ではない。

「うわぁ……」
「おー、大胆だなぁ」
「だ、大ちゃん……?」

 その瞬間を直視してしまい、ちょっとだけ顔の赤い霊夢。災難が去って、再び人ごとのような気楽さの魔理沙。
目の前の大妖精の行為に驚きを隠しきれないチルノ。
 3人が見守る中、唐突に始まった二人の熱いベーゼは続く。



 ちゅうぅ……


 ちゅうううううぅぅぅぅ……


 ちゅるるるるっるるうるるるるううううぅうぅぅうぅぅぅぅぅ……!!



「って、なんか吸われてる! 吸われてるわよ!」
「あー、さすがにちとやばいか」

 あわてて、チルノが二人を引き剥がす。あまりの吸引力のよさに、きゅぽんといい音がした気がした。
 崩れ落ちるパチュリー。その場にペタンを座り込む大妖精。
 大妖精は一度だけ自分の口の周りをぺろりとなめると、

「ふぅ……ごちそうさまぁ」

 そう言って、再び一升瓶に口をつけ始めた。

「大ちゃんってば! 何やってるのよ、もう!」
「え、なぁにぃ? チルノちゃんもちゅーしてほしいのぉ?」
「そ、そんな事言ってないわよ!」
「もう、チルノちゃんもしてほしいならそう言ってくれればいいのにぃ」
「だから、違う! んきゃあぁ! 抱きつかないでー!」

 哀れ、チルノは次の大妖精の攻撃対象となった。
 ますます混乱を極めるこの場に、霊夢は「そろそろ何もかも放っぽって帰ろうかしら?」と本気で思い始める。

「おーい、パチュリー、死んでるかー?」

 一方、魔理沙はいまだに動かないパチュリーを特に介抱するでもなく、適当につんつん突付いていた。

「死んでなかったら、図書館の本はすべて魔理沙様のものですって言ってみなー」
「……」
「んー? 何だ、聞こえないぞ?」
「……」

 パチュリーは誰にも聞こえない小さな声で、繰り返し何かをつぶやいている。
 何を言っているのか聞こえなければ埒が明かないので、魔理沙はその声に聞き耳を立て、そしてすぐ聞かなきゃ
よかったと後悔した。

「あー、あれだ、パチュリー。声は小さくても、そういう腹の底から響きそうな声で物騒な単語を連発するのは
 よしたほうが……」

 魔理沙の言葉を最後まで聞く前に、パチュリーはすっくと立ち上がった。
 流れるような動作で、スペルカードを取り出し、呪文を詠唱。そのスピードの速さに魔理沙ですら反応することは
できなかった。

「って、おい、ま……」


 土符『トリリトンシェイク』


 パチュリーから放たれた魔力は、そのまま直下の床に吸い込まれる。
 その直後、激しい地響きとともに床がめくれ上がった!
 床の下からむき出しになった地面が隆起し、跳ね上がり、大型の弾となって標的に降り注ぐ!
 標的はもちろん、チルノに抱きついている大妖精だ。

「大ちゃん、危ないっ!」

 その攻撃にいち早く気がついたチルノが大声を上げる。
 大妖精がそれに気がつき振り返ったときには、もうすでに彼女の周りを土塊の弾が取り囲み、逃げ道をふさいでいた。
 しかし、大妖精はその弾の群れを見ても慌てはしなかった。
 酔っていてもわかっているのだ。無数の弾に囲まれても、テレポートをすれば逃げられる。霊夢のときも、
小悪魔のときもそうして危機を脱してきた。
 今回も同じ。飛んでくる土の弾をまとめてテレポートでかわす。その後のことは、まあ、なんとかなるだろう。
 パチュリーの放った土塊の弾が一斉に向かってきた! 大妖精はそれを見てテレポートしようとし、


 自分と向かってくる弾の間に割って飛び込んでくる小さな姿を見た。


 大妖精を狙って発射された土塊の弾は、大妖精を守ろうと飛び出してきたチルノへと、全弾命中したのだ!

「うぐっ!」

 低いうめき声を上げるチルノ。
 だが、それだけ。決して吹き飛ばされない。決して倒れない。
 チルノは両手を前に突き出し、そこに分厚い板状の氷を作っていた。
 この氷を盾にして攻撃を防いでいるのだろう。
 チルノと同じくらいの大きさの弾もある激しい攻撃、しかもそれらはすべて氷の弱点となる土の属性の弾だ。
 力の消費は並大抵のものではないだろう。
 しかし、チルノはその攻撃に屈しなかった。
 自分の力をすべて弾を防御することに使い、飛んでくる弾を防いで、防いで!
 最後の弾を防ぎきった時、チルノの作り出した氷の盾は鋭い音を立てて粉々に砕け散った。

「くっ、は、あ……ど、どんなもんよ。全部防ぎきったわよ」

 肩で息をし、その場に座り込むチルノ。誰が見ても満身創痍。
 しかし、彼女の顔は「どうだ! やってやったぞ!」と言うような安堵と爽快感にあふれた笑顔だった。

「……金木符『エレメンタル……」
「お、おいっ! いい加減にしろ!」

 新たなスペルを唱えようとしたパチュリーを魔理沙が慌てて止める。

「離しなさい、魔理沙。あの妖精には、自分が私にしてくれた仕打ちを死を持って償わせるべきよ」
「死って、また物騒な。確かにやりすぎって言えばやりすぎだが、所詮は酔っ払いの悪ふざけだろ。それくらいで
 ムキに……って、うわぁ!」

 魔理沙がパチュリーの放った魔法弾を慌ててよけた。
 魔理沙から解放され、パチュリーは再びチルノのほうへスペルカードを向ける。

「悪ふざけにも程と言うものがあるわ。あの妖精がしでかしたことは、私にとって万死に値する。そこの氷精、
 あなたもその妖精を庇いだてするならば容赦はしないわ。天然の歯車に切り刻まれたくなければ、そこを退くのね」
「へんっ! 歯車だか地獄車だか知らないけど、そんなものにあたいが負けるわけないじゃない! 大ちゃんには
 氷柱一本触れさせないからね!」

 そう言って、チルノもスペルカードを取り出した。
 しかし、チルノの言うことはすべて強がりでしかない。先ほどの盾にほとんどの力を使ってしまい、今のチルノには
スペルカードを発動させるだけの力も残されていないのだ。
 それくらい、チルノにもわかっていた。でも、それでもなお、引かなかった。
 自分の後ろに守らなければいけない者がいる。その思いが、今のチルノの活力なのだから。
 チルノとパチュリーがにらみ合う。
 お互いに油断のできない状況。

「あのさぁ、ちょっといいかしら?」

 それまで事の行方をただ見ているだけだった霊夢が、突然口を挟む。

「何よ! 邪魔しないでよ!」
「あなたも歯車の錆になりたいのかしら?」
「錆は勘弁したいわね。と、そうじゃなくて。あの妖精、もういないけどいいの?」

『え?』

 チルノが後ろを振り返ると、霊夢の言うとおり、そこにはすでに大妖精の姿がなかった。

「あら、本当ね」
「だ、大ちゃん!? どこいったの!?」
「さぁね。テレポートして外へ出て行ったのは見たけれど」
「ほんとっ? じゃあ、急いで追いかけなきゃ!」

 チルノはすぐさま外へ飛び出していった。
 さっきまで強大な敵と対峙していたことすらも忘れたかのように。
 パチュリーは自分のさっきまでの怒りに馬鹿馬鹿しくなったのか、ふぅと一息をついて奥の部屋へと戻っていった。

「読書に戻るわ。私は今、機嫌が悪いから、うるさくしたら叩き出すわよ」
「ここは私の家なんだがなぁ」

 返事が返ってこないところを見ると、魔理沙のつぶやきは流されたようだ。
 霊夢は魔理沙の家から外へと出た。
 空は西日がきつくなり始めたころ。あと一刻もすれば日も沈みきってしまうだろう。
 チルノの姿はもう見えない。大妖精とチルノがどこへ向かったか、これで霊夢にはわからなくなってしまった。
 これでいいのだ。これ以上、あの二匹に関わっていても、いいことなんかありはしない。下手をすれば、さらに
大変な厄介ごとに巻き込まれる可能性すらある。
 だから、このまま神社に帰ろう。
 そうすれば、お茶の時間……にはもう遅すぎるかもしれないが、平和で普通な夕暮れを過ごすことができる。

 でも、なんでだろうか?
 こんなにもあの二人の様子が気になるのは……。
 あまり出来事に執着しない霊夢が気になるような何かが、あの二人にはあるのだろうか?

「……まぁ、いつもどおり、感に任せてればたどり着くわよね」

 そうつぶやいて、霊夢はふわりと宙へと浮いた。

「待て。その前に壊れたうちの床を直すのを手伝ってもらおうか?」
「嫌よ」








 夕暮れの紅魔湖。
 普段は青一色の湖は夕焼けの色を吸い取って、その名のとおりの赤一色へと変化していた。
 チルノが大妖精を見つけたのはその畔。チルノと大妖精がいつも遊ぶ場所。今日の朝、大妖精が酔っ払っていた場所。
 つまり、回り回って、元の場所へと戻ってきたのだ。
 大妖精は立ったまま湖のほうを眺め、時折、一升瓶をあおっている。さっきと変わってないように見えるが、
そのペースはずいぶんとゆっくりになっていた。
 大妖精の数歩手前にチルノが降り立った。
 力が抜けすぎたのか、降りたときにちょっとだけふらついた。でも、転びはしなかったのでよしとする。

「大ちゃん」

 呼びかけるチルノ。普段とはぜんぜん違う、小さな声。
 大妖精は答えない。湖の遠くのほうを見つめたまま。

「大ちゃん」

 もう一度。今度はさっきより少し大きな声。
 やはり顔を湖の遠くへ向けながら、大妖精は口を小さく開いた。

「おかしいなぁ。さっきまでお酒がおいしくて、すごくいい気持ちになっていたのに……。
 今はぜんぜん気持ちよくない。お酒もあんまりおいしくないの」

 ところどころかすれて、風に流されてしまいそうな声。

「ほら見なさい。そんなもの、実はおいしくないのよ! 大ちゃんが作ってくれた、はちみつとレモンのジュースの
ほうがよっぽどおいしいわ」
「……チルノちゃん、あのジュース好きだもんね」

 ようやく、大妖精がチルノのほうを見た。
 その顔に何の表情も見えない。いや、無理に感情を押し殺している。チルノにはそんな風に感じた。

「チルノちゃん」
「何?」
「どうして、さっきは私のことを助けてくれたの?」
「なんでって、そうしなかったら、大ちゃんが危なかったじゃん! あの女、絶対大ちゃんを殺す気だったもの!」
「私、テレポートが使えるから、やろうと思えば簡単によけられたんだけど」
「……あ」

 間抜けなチルノの声。
 今、気がついたと馬鹿でかく書かれているかのような顔。
 その顔を見て、大妖精の顔に少しだけ笑みが浮かんだ。

「チルノちゃんったら、気がつかないであんな無茶なことをしたの?」
「だ、だ、だってさぁ、あんだけいっぱいの弾だったし、いきなりのことで頭がよく回らなかったんだし……ああもう!
 いいのよ! 大ちゃんがちゃんと助かったんだからいいの!」
「ふふふ、チルノちゃんっていつもそうだよね。向こう見ずで無茶ばっかりしてるけど、いざとなったらちゃんと
 頼りになって、私のことを助けてくれて……」

 そこで言葉が止まり、大妖精の顔に陰が差す。

「それなのに、私は……」
「大ちゃん?」
「だめっ! 近寄らないでっ!」

 一歩を踏み出そうとしたチルノに大妖精が叫ぶ。
 普段まったく見ることのない剣幕に、さすがのチルノも固まってしまう。
 強い拒絶の言葉に立ちつくしてしまう。

「チルノちゃんはあんな無茶をしてまで私のことを守ってくれた。でも、それなのに私は、あそこから逃げること
 ばかり考えてたの。あそこでテレポートを使えば、残ったチルノちゃんがどうなるかも考えないで……自分が
 逃げることだけ、それだけを考えてて……!」
「だ、大ちゃん!?」
「それだけじゃない! どうして私がこんなにお酒を飲んだのか、チルノちゃん知ってる? それはね、チルノちゃん。
 チルノちゃんが遠くへ行っちゃうような気がしたからなの。私の知らないどこか遠くへ行って、二度と帰って
 こなくなっちゃうって」
「遠くって、あたいはここにいるでしょ? この湖からも離れないし、大ちゃんともずっと一緒……」
「嘘よ!」

 再び激しい言葉。

「だったら、チルノちゃんはなんで一人で遠くまで行っちゃうの? 私の知らない遠くへ行って、私の知らない友達を
 作って、……知らないうちに危険な目にあって」

 チルノは、妖精たちの中でも格別に力の強い妖精だった。
 そのため、チルノは自分のテリトリーである湖を離れ、別の場所へと遊びに行くことがよくあった。
 その行為は昨年の春、花が咲き乱れたあの事件以来、ますます顕著になっていった。
 チルノは力が強い。だから他の場所にもその頑固さと好奇心で行くことができるのだ。
 でも、大妖精は違う。
 力こそ妖精の中では強いほうなのかもしれないが、チルノには遠く及ばないし、なにより彼女の性格が他の場所で
普通に行動できるほど強くなかった。
 大妖精は湖を離れることができない。チルノは他の場所へと遊びに行く。
 必然的に彼女は、チルノが帰ってくるのを今か今かと心配して待ち続けることになる。
 その心配が日に日に強くなっていって、やがて耐えられなくなって……。

「この前、このお酒が湖の近くに落ちているのを見つけたの。お酒を飲むと酔うことができるのは知っていたわ。
 このお酒を飲んで一騒動起こせば、チルノちゃんが私のことを心配してくれる。チルノちゃんが私と一緒に
 いてくれる……そう思ったの」

 そう言って、それから大妖精は笑った。その笑みは何か大切なことを諦めたかのような、悲しい笑顔だった。

「でも、さっきチルノちゃんに守ってもらった時に気がついたわ。私は自分のことだけしか考えてなかったんだって。
 自分のわがままでたくさんの人に迷惑をかけて、チルノちゃんに迷惑もかけて、最後にはこうして後悔するだけ。
 ……本当、私ってひどい妖精なんだって」

 大妖精の目の端が夕日を反射して光る。大粒の涙がこぼれるのも時間の問題だろう。

「チルノちゃんも私のこと、嫌いになっちゃったでしょ。私みたいな妖精……」
「好きだよ」

 その声は小さかったけれど、大妖精にははっきりと聞こえた。

「あたいは好きだよ。大ちゃんのこと」
「……嘘」
「嘘じゃないよ。お酒飲んでても迷惑ばっかりでも、大ちゃんはあたいの大好きな大ちゃん。なら、ぜんぜん
 変わらないでしょ」
「嘘……嘘よ! そんなの絶対!」
「嘘じゃないってば! 本当に大ちゃんのことが好きなんだってば!」
「どうして! どうしてそんなことが言えるの!?」
「だって……」



「だって、それが『しんゆう』ってやつでしょ?」



「え……」
「し・ん・ゆ・う! そう! あたいと大ちゃんは『しんゆう』なの! だから、こんなことであたいが大ちゃんを
 嫌いになるわけないじゃない」
「で、でも、私、あんなに迷惑をかけたし」
「それ言ったら、あたいなんて毎日のようにかけっぱなしじゃないの。しかも反省する気なんてまったくないわ」
「それにお酒を飲んだらあんなに変になっちゃって」
「なら、お酒を飲まなきゃいいじゃない。そんなもん飲まないで、またはちみつとレモンのジュース作ってよー」
「でも、で、でも! 私は! わたしは……!」
「ああもうっ! でももスモモもないの! たとえ大ちゃんが悪い妖精だろうが、妖怪だろうが、人間だろうが
 関係ないの! あたいは大ちゃんの『しんゆう』で、あたいが大ちゃんのことを好きなのは変わらないの!」
「……」

 大妖精は何も言わなかった。いや、言えなかった。
 何かを言おうと言葉を探すが、何も思い浮かばない。
 チルノはそんな大妖精のほうへ、一歩、足を踏み出す。

「!! こ、来ないで!」
「嫌だ、そっちに行くわよ」

 チルノの歩みは止まらない。一歩、また一歩、大妖精に近寄っていく。
 大妖精は言葉で拒み続けながらも、その場から動くことはできなかった。

「や、やだっ! 来ないでよ!」
「大ちゃんが寂しいなら、あたいが一緒にいてあげる。他の場所へ遊びに行くのも我慢する」

 一歩……

「来ないで、ぐすっ、来ないでってば」
「大ちゃんがお酒でおかしくなっちゃったら、あたいも一緒になって楽しむ。ちょっとだけなら、ぎゅってさせて
 あげてもいいよ」

 また、一歩……

「やだぁ、もう何も言わないで。ぐすっ、私、ひっく、えぐっ……」
「それで大ちゃんが迷惑かけちゃったなら、あたいも一緒になって謝る。ゲンコツだってなんだって、大ちゃんと
 一緒なら怖くない」

 さらに一歩近づいて、チルノの手が大妖精に届く位置まで来る。

「あ、あぁ……」
「だから、安心して」



 ぽふっと音がして、チルノの身体が大妖精の胸の中へと吸い込まれた。
 大妖精の手から離れたものが、からんと音を立てて、地面に落ちた。



「大ちゃんとあたいはいつまでも『しんゆう』なんだからね」

「あ、ああああああああぁぁぁぁぁぁ……! わああああああぁぁぁぁぁぁん! チルノちゃああぁーん!」








 夜の近い紅魔湖の畔。
 遠くに見える、二つの姿。
 氷精を抱きしめ子供のように泣く妖精と、安心させるように抱きつく氷精。
 そんな二匹を、遠く離れた木の陰から覗く博麗の巫女。

「やれやれ、一件落着かしらね。まったく、もう騒動を起こすんじゃないわよ」

 そうつぶやく霊夢は気がついていない。自分の顔がずいぶんと穏やかなものになっていることに。

「それにしても、『親友』か」

 その言葉はどこにでもあるようで、でも、そう簡単に手には入らないもの。
 博麗の巫女である彼女にとってはなおさらのことだった。
 霊夢は色々な人間、妖怪から好かれている。霊夢自身もその者に好感をもって接しているのは確かだ。
 しかし、それは果たして『親友』と呼べるほどの関係であるだろうか?
 たとえば、霊夢にとっての魔理沙はどんな者なのだろうか?
 レミリアと比べては? 紫と比べては? 他の人間や妖怪と比べては?
 答えは全て同じである。
 まったくの平等。高くも、低くもない。
 なぜなら彼女は無重力だから。
 誰からも流されることなく、誰からも影響を受けない。たくさんの人間や妖怪が彼女の周りにいても、常に
自分独りであり続けるから。

「……さて、帰ろうっと」

 霊夢は一人、神社へと帰る。
 チルノと大妖精を見て感じた不可解な感情。
 それが羨望であることに気がつかない振りをしたまま……。








 次の日、チルノはいつも大妖精と遊ぶ湖の畔へと来ていた。
 大妖精の姿はまだ見えない。もうそろそろ来てもおかしくない時間のはずなのに。

「うーん、どうしたのかなぁ」

 チルノはぼーっと草むらに寝そべりながら、大妖精のことを待っていた。昨日の夜、考えたことを時々
思い出しながら。
 大妖精がお酒を飲んだのは、他の場所へ遊びに行くのに大妖精のことを置いてきぼりにしたからだ。
 だから、今日は大妖精も一緒に連れて行こう。
 最初は怖がるかもしれないけれど、自分が一緒にいればそのうち慣れるかもしれない。
 いざとなったら、自分が大妖精を守ればいい。

「でも、また無茶なことしたら、怒るんだろうなぁ」
「チルノちゃーん」
「おっ」

 向こうのほうから大妖精が飛んでくるのが見えた。
 起き上がり、そちらへと手を振るチルノ。
 大妖精はチルノを見つけ、手を振りながら、なぜかふらふらと降りてきた。

「おはよう、チルノちゃ……あいたた」
「チルノ茶? あたいの名前の入ったお茶なんて知らないわよ」
「そ、そうじゃないの……うぅ、頭痛い」

 大妖精はうなりながら頭を抑えた。
 よく見ると、顔がずいぶんと青くなっている。

「大ちゃん、大丈夫?」
「う、うん、大丈夫、たぶん」

 青い顔でたぶんとか言われたら、大丈夫もあったもんじゃない気がするが。

「あ、あんまり無理はしないでよね。倒れられたらあたいが困るんだし」
「うん、わかった。ありがとうね、チルノちゃん」
「いいわよ、別に」

 そう言ってチルノがふわりと浮き上がる。
 大妖精の容態は確かに気になるが、彼女の栄えある第一日目の遠出を潰すことなど耐えられない。主にチルノが。
 チルノは早速、今日はどこへ行ってみようかと考えた。
 山の向こうの大きな池がいいかな? その先の向日葵畑にしようかな?

「あ、ねえ、チルノちゃん。ちょっと変なこと聞いていいかな」
「ん、何?」
「あのね……」

 大妖精は少し聞くのをためらうようなそぶりを見せてから、

「昨日、私が何をしたか、知ってる?」
「……へ?」

 チルノの目が点になる。
 大妖精が何を聞いているのかがわからない。

「だ、だからね。昨日、私、何をしたのかなって? よくわからないんだけど、私、昨日のこと、ぜんぜん
 覚えてなくて……」
「ええっ!?」

 大妖精は、昨日起きた出来事を全て忘れていたのだった。
 その理由は当然ながら、昨日の大量のお酒によるものであるわけだが。

「それじゃ、昨日大ちゃんがどこに行ったのかも!?」
「うん」
「なにをやって、誰をどんな目に遭わせて、どんな風になったのかも全部!?」
「そ、そんなに大変なことをしたの、私?」
「もしかして、昨日の夕方、ここであったことも?」
「う、うん……」

 その言葉を聞いた時、チルノの中で何かが崩れたような気がした。

「なによそれ〜っ! それじゃ、昨日の夜、色々考えてたあたいが馬鹿みたいじゃないのよ! Hじゃないのよ!」
「ち、チルノちゃん、落ち着いて!」
「ああもうっ! 大ちゃんのバカー! ウキー!!」

 ひとしきり暴れ、チルノは地面に座り込む。
 大妖精は、どうしていいかわからずおろおろするばかり。

「うぅ……ゴメンね、ゴメンねチルノちゃん」
「……」

 ぺこぺこと平謝りする大妖精。その様子を見て、チルノの頭がだんだんと冷えていく。
 よくよく考えてみれば、これでよかったのかもしれない。
 今の大妖精が昨日のことを知れば、また自己嫌悪に陥りだすかもしれない。
 そうなるくらいなら、昨日のことを忘れたまま、今日を、明日を楽しく過ごしたほうがよっぽどいい。
 昨日被害にあったところへは、あとでこっそり謝りに行っておこう。
 妖弾の一発も飛んでくるかもしれないが、それくらいで『親友』の笑顔が買えるのなら安いくらいだ。
 
「まぁ、いっかー!」

 元気にそう叫んで立ち上がるチルノ。

「え? え? な、何が?」
「なんでもいいの!」

 困惑する大妖精にそう言い切ると、チルノは空を見上げた。
 太陽がまだ昇りきっていない、よく晴れた午前。
 暖かい陽気は昨日からずっと続いていた。
 絶好の遊び日和、こんな日に遊びに行って楽しくないなんてことはない。

 そう、こんな日がまだまだ続いていくのだ。今までずっと自分の隣にいてくれた大妖精と一緒に。
 これからも、いつまでも。

「ねぇ、大ちゃん」
「ん、なあに、チルノちゃん?」

 チルノは大妖精に飛びっきりの笑顔を見せる。
 今までありがとう。
 これからもよろしく。
 そんな感謝の気持ちをいっぱいに詰め込んで……。

「アイシクルフォール!」
「きゃあぁ〜!」






 このSSを読んでいただきまして、ありがとうございました。

 このSSは、門板の無符364を読んでひらめいたものです。
 チルノと大妖精の関係、それと対極に位置する霊夢。彼女たちの関係がうまく伝わればいいなと思います。

 では、最後に一言……。
 皆様の大切な『親友』のことを、どうか、いつまでも大切に。
papa
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2006/03/11 05:03:13
更新日時:
2006/03/13 20:03:13
評価:
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POINT:
0
Rate:
5.00
1. 9 月影蓮哉 ■2006/03/25 00:28:20
腋………(着眼点違うがな
シュールギャグ良いですね。部分部分で笑っちまいました。
気に入ったのは「もってかないで〜」ですが(笑
そしてギャグから一点真面目な話に繋げる所は見事と感じました。
この後、大妖精がパチェにお仕置きされない事を願って(ぇ
2. 8 ■2006/03/25 00:44:05
ちくしょう、ひさびさに来たぜ大妖精。やっぱ、チルノについてくのは大変だろうなあ…。
3. 7 爪影 ■2006/03/25 01:01:50
大ちゃんとチルノ、そして霊夢に、光ある未来がある事を――
4. 5 かけなん ■2006/03/25 01:15:26
うーん、ちょっと最後のほうの展開が急すぎた感が、あるかなぁ。

そしてひとつこれだけは言いたい。
大妖精のお胸はメロンだよ! メロンだって絶対!
5. 10 真紅の巫女 ■2006/03/25 02:04:03
こういう話大好きです。
6. 8 凪羅 ■2006/03/25 02:36:32
騒がしくもほのぼのとした話に、胸が和みました。
お酒は呑んでも飲まれるなー。飲む時は程々に。大妖精にはちゃんとしたお酒の呑み方を覚えて、チルノと一緒に行った先で出会った人と一緒に飲んで交流してもらうのもいいかも?(笑
7. 8 名前はありません。 ■2006/03/25 10:28:17
大変良いトリチルで7点
大ちゃんで1点
文章も上手でした
8. 5 水酉 ■2006/03/25 17:15:03
Hやっても付き合ってくれる友達って、やはり良いな。
霊夢の方の描写、もうちょっと増やしてくれると
更に彼女たちとの対比が引き立ったかもしれないですが、
良い作品でほのぼのさせて貰いました〜
9. 5 おやつ ■2006/03/25 18:49:57
うーむ……酔っ払ってないんだろうと見せかけて盛大に酔っ払ってたか大ちゃんw
私の如き捻くれものにはまぶしすぎるお話でしたぜw
10. 6 lester ■2006/03/27 22:09:55
立場の逆転した二人。個人的に新鮮でした。
11. 8 つくし ■2006/03/30 18:11:55
ある意味ベタベタですが正直大好きですこういう話。霊夢の存在がSS全体にほどよいスパイスを与えているところが旨いと感じました。ごちそうさまです。

84のD!
12. 1 名無し妖怪 ■2006/03/31 05:35:19
13. 4 Hodumi ■2006/04/02 16:36:14
良い話でしたが、冗長さとオチが途中から容易に予想できた事が少し残念
14. 3 ■2006/04/04 01:23:26
とりあえず一番可哀想なのは唾液まで啜られたパチュリー…
戦闘系描写がちょっとアレかなー、と。夢想封印とか特に。
個人的にエクステンションマークは受け付けないー。
でも良い大妖精でした。うぃ。
15. 4 ■2006/04/06 22:28:58
酔い醒めの氷は甘露か否か?
酒と言うトリガーから始まる妖精逆転劇、最後のオチが新たな一歩なのかな、と感じてみたり。
対する霊夢ですが、比較対象としてはすこし物語内での動きが少なかったかな、と思います。
「親友」について話す場面がありますが、その内容を思い起こさせるような場面が無く、しっかり書かれた妖精組との対比としてはすこし物足りない感じです。
多少あざといかも知れませんが、合間での掛け合いの場面でそのような雰囲気を作っておけば、最後の場面が映えたのでは無いかと。
16. 7 藤村琉 ■2006/04/07 01:13:54
 テンポがよくて非常に読みやすく。
 ありきたりなネタを高いレベルでまとめて、途中の展開も飽きさせない気配りがあって面白かったです。
 もうちょっと短くできる余地もあったと思いますが、その一方で詳しく説明するシーンもあったような気が。たとえば省略された咲夜・レミリアへの悪戯とか。そのバランスが絶妙だった、と考えるべきなのかもしれません。
 また、霊夢が何となく救われないままで終わっているので、もう少し彼女に対する気配りか何かをひとつ。
17. 4 銀の夢 ■2006/04/08 17:24:09
ほのぼのどたばた、面白かったです。
ああしかしいろいろと哀れな連中が多かったw

ところで氏、美鈴について深く語られていませんがいくつなんですか。
18. 6 MIM.E ■2006/04/11 22:24:44
酔っ払って酒臭い大妖精も大好きだ。
二つ三つ取り返しの付かない事をしているような気がするが、それは親友が解決してくれるよね!
がんばれチルノ!
19. 3 木村圭 ■2006/04/12 01:57:01
霊夢は余計な気が。ベタだけど好き。
20. 6 とら ■2006/04/12 18:39:24
恐るべし大ちゃん。
普段おとなしい子ほど、とはよく言うけど……
21. 8 K.M ■2006/04/12 21:11:28
ベタ、スタンダード、ベーシック・・・
色々と形容する言葉が浮かぶけど、それがいい
それを王道という
22. 3 反魂 ■2006/04/12 21:48:25
ドタバタの後でほんわか、そして翌日には全て忘れている…
これは良い王道友情物語ですね。
23. 2 74 ■2006/04/12 22:19:24
点数を入れたほかの7つと比べると上手さはあんまりないんだけど
強い思い入れ度を感じたので点数を入れました。

2点ですが1点は大妖精になのでちゃんと半分こしてください。
24. 4 椒良徳 ■2006/04/12 22:20:34
 大妖精に酒を飲ませて見ようというアイデアは面白いのですが、自分のアイデアではないということを後書きに書くのはいかがなものかと思います。あと、地の文で!!を使うのも少々違和感が。
25. フリーレス papa ■2006/04/15 20:03:15
数々のコメント、ありがとうございます。
書いていて自分では気がつかなかったことが色々とわかり、とても勉強になります。

では、いくつかコメントに返答をば……
>ギャグから一転真面目な話
僕がこういう話が好きなので、こういった話にしたいなと思って書きました。

>最後のほうの展開が急
うーん、伏線は引いたつもりだったんですけれど、ちょっと転の部分が弱かったかもしれないですね。

>霊夢のほうの描写
これは、今回の一番の反省点ですね。あとから読み直すとさすがにちょっと足りなさすぎました。

>冗長さとオチが途中から容易に予想できた
長すぎるのはなんとなくわかっていたので、やはり反省。
オチの容易さについては、シンプルかつわかりやすい話というのを念頭においていたため、こんな感じになってしまいました。ご期待に沿えず申し訳ないです。

>戦闘描写
これは単に僕が苦手なだけだったり……。要練習ですね。

>哀れな連中が多かった
仕様です。……ごめんなさい。

>取り返しの付かない事
そこは親友パワーで何とかなるでしょう。たぶん。

>強い思い入れ度
僕の中ではこんな感じの大ちゃん、こんな感じのチルノって感じで書いたので、それなりに思い入れはありますね。
点はちゃんと半分こしておきます。

>自分のアイデアではないということを後書きに書く
確かにちょっと浅はかな行為でした。反省します。

最後に、僕のSSを読んでくださった皆さん、東方SSコンペに携わった全ての方に感謝の気持ちを込めて。
どうもありがとうございました。
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