雪月花

作品集: 最新 投稿日時: 2006/03/13 00:36:46 更新日時: 2006/03/15 15:36:46 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00
白銀に染まる冬も終わり、風が春を予感させる季節。
桜の花が目を覚まそうとする頃、幻想郷は白い雪に覆われた。
桜もまた眠りにつき、冬に戻ったかのようだった。





幻想郷の遥か上空。
満月が優しく照らす場所。流石に雲の上には雪も降りようが無かった。
だが、満月の光は雲の上からでも雪が降る様を見せていた。

「ようやく見つけたぜ。紫」
「あら、こんな雪の晩に散歩かしら? 魔理沙」
「いいや。私はいつも通り、迷惑な妖怪を退治しに来ただけだぜ」
「あら、それはご苦労ねぇ。それで、その可哀相な犠牲者は誰かしら?」
「お前だ。お前! どうせ冬と春の境界でも弄ったんだろ?」
「私にはそんな事する理由が無いけど?」
「お前は、何となくとか、面白そうだからと言う理由でやりそうだからな。迷惑な妖怪だし」
「ご名答。でも、残念ね。この異変は私の仕業ではないわ」
「こんな空の上で酒を飲みながら言っても説得力が無いぜ」
「そうかしら? 仕事が終わったら飲むのは当然だと思うけど」
「仕事って……何かやったのか?」
「この異変は明日には終わっているって事よ。2〜3日したら春満開ね」
「大体、お前が異変を解決するなんて信じられないんだが」
「だって、親友の頼みは断れないもの。それより、貴方も一杯どう?」
「こんな空の上でか?」
「雪の降る景色を見ながら、月を飲むなんて中々出来ないと思うけど?」
「まぁ、確かにな」

満月の光は、隠した力や姿を暴き出すと言うが、もしかしたら雲が隠した地上の姿も見透かしているのかもしれない。
だとしたら、満月の光の元では嘘を吐く事は出来ないのではないか?
酒を飲みながら魔理沙は漠然と考えていた。


 ******


幻想郷の境にある博麗神社。
神社の桜を覆った雪は、止む気配も無く静かに降り続けていた。
巫女は微かに雪に混じる桜の花びらを眺めていた。

「また、あいつらの仕業かしら? 同じ事をするのはらしくないけど……」
「御免。霊夢は居るか?」
「あら? 容疑者が自首しに来たわ」
「それは大分誤解」
「これはあんたらがまた春を集めたからじゃないの?」
「原因は西行妖だけど、犯人じゃない」
「じゃあ、どうして?」
「西行妖が春を引き寄せたのが原因。それで、幽々子さまと紫様が完全に封印したから異変は終わる。私はそれを伝えに来ただけ」
「手土産まで持って、手回しが良いわね」
「また冥界に来られては困るからな。あと数日で元に戻ると思う」
「そう、まぁ終ったのならいいけど」
「じゃあ私は帰る」
「ちょっと待って。折角だし、雪見酒でも付き合わない? こんなにいい景色なんだし」
「……そうだな、付き合おう」

桜の花びらが混じった雪は、ほのかに薄桃色に染まり、あたかも薄桃色の雪が舞っているかのようだった。
霊夢はその雪を見ながら、もうすぐ訪れる季節に思いを馳せるのだった。


 ******


死者が住まう所。冥界。
冥界は顕界より一足早く訪れた春の陽気に賑わっていた。
だが、春に包まれた世界の中で一本だけ花の咲かない大木があった。

「まさか西行妖が自分で春を引き寄せるなんてねぇ。中途半端に封印を解いたのがまずかったのかしら?」

西行妖は薄桃色に淡く光る花びらを身に纏っていた。
まるで、西行妖そのものが薄桃色に光っているかのようだった。
幽々子は西行妖の下で一人静かに杯を傾けていた。

「願わくば花の下にて春死なむその如月の望月の頃……ね。この下で眠っている誰かも同じ気持ちだったのかしら? ……判らないけど。でも、何故春を引き寄せたのかしら? 封印を解いて目覚めたかったから? ただ花を咲かせたかったから? それとも……私に何かを伝えたかったから?」

その呟きに答える者はいなかったが、西行妖の纏う光が花びらのように舞い落ちていた。
それは薄桃色の蛍が飛び交っているかのようにも見えた。

「問うても詮無きことよね。もう、会う事は無いんだから……。まぁ、紫との約束だし仕方ないか」

幽々子はそう呟くと、ただ静かに散り行く花を見つめていた。
もしかしたらそれは、西行妖からの別れの言葉だったのかもしれない。
少なくとも幽々子はそう思いながら杯を傾けるのであった。





多くの人間、妖怪が気付いていたがあまりの幽美さに誰も動かず、誰も気付かないうちに終っていた。
そんな幻想郷的な小さな異変が見せたとても幻想的な景色―――
東方シリーズエンディング風SS……なんですが、解り辛いですね。

とりあえず、読んでエンディングのような一枚絵が浮かべば成功かな、と……
翠平丸
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2006/03/13 00:36:46
更新日時:
2006/03/15 15:36:46
評価:
0/0
POINT:
0
Rate:
5.00
1. 4 月影蓮哉 ■2006/03/25 00:36:42
うーん、個人的にはもうちょっと話を膨らませて欲しかったかなぁ…。
ちょっとパワー不足に感じました。
2. 4 爪影 ■2006/03/25 01:04:05
そんな雰囲気が、好きです。
3. 8 ■2006/03/25 01:06:07
桜の下の幽々子様は何を伝えたかったのでしょう?気になるところですね。
4. 4 かけなん ■2006/03/25 01:31:21
うーむ、いい絵が頭に浮かんできました。
逞しき我が妄想力に万歳。
5. 3 凪羅 ■2006/03/25 03:20:37
唐突に始まって唐突に終わった感が否めず、ただ眺めているだけっていう印象のまま終わってしまいました。

紫と幽々子が桜を封印するシーンが欲しかったな、と個人的には思いました。
6. 4 近藤 ■2006/03/25 03:39:50
ひとつの終わりを告げる小さな物語。
静かな雰囲気はよいのですが、すこしお題の使い方が弱かったかな? という印象でした。
物言わぬ木は何を伝えようとしたのか、そういう面から考えてみるのもまた一興、ですね。
7. 2 無記名 ■2006/03/25 03:57:12
感想はというと本当にエンディング風ですね。起承転結の結だけ見せられてる感じで楽しみようがありませんでした。
8. 3 名前はありません。 ■2006/03/25 12:35:48
起、結みたいな感じなので、もうちょっと転があってもよろしいかと
思いましたが、一枚絵な感じということならこれはこれでいいのかも
9. 2 おやつ ■2006/03/25 19:00:09
むぅ……一枚絵……浮んでこねぇ……
読解力不足すいませんorz
精進します
10. 4 水酉 ■2006/03/26 03:02:55
一枚絵、幻視できました〜。
「さくらさくら」が脳内で再生されつつ、
そのままスタッフロールに突入しそうな雰囲気に浸れました。
11. 2 反魂 ■2006/03/28 21:41:36
あ〜、確かにエンディングっぽいです。
なかなか面白い趣向だと思いました。
12. 5 papa ■2006/03/30 18:38:32
浮かんできた一枚絵は、幽々子がこちらに背を向け、杯を手にし、西行妖を見上げている情景でした。

お酒はただ単に出てきただけという印象が強かったです。
13. 2 Hodumi ■2006/04/04 21:54:04
酒というテーマの存在感が薄いと思いました
14. 2 ■2006/04/06 23:10:46
♪酒も幻想のままに
確かにEDと酒は切っても切り離せない関係っ……!!
文章でED風という事であれば、情景描写はもうすこし増やしても良かったかもです。
そこにある幻想を文章で伝えなければならないのですから!(何か風
15. 2 藤村琉 ■2006/04/07 01:16:48
 見事に足りません。
 具体的に言うと尺が。雰囲気や盛り上がり、話全体の抑揚、そこに行き着くための勢いとか。
 エンディングを彷彿とさせるには、そこに至る長く険しい物語が必要不可欠です。最後のシーンだけを切り取っただけでは、積み上げたものがあまりに少ないので大して感じ入るところもなく。
 つか急展開過ぎます。
16. 4 MIM.E ■2006/04/11 22:24:00
描こうとなさっている風景がとても綺麗だと思います。
あとがきを読んで読み返してみると、なるほどそうなっているのが分かりました。
特に、魔理沙と紫のやり取りが良いなぁ。
17. 6 NONOKOSU ■2006/04/12 05:51:38
雪見、月見に花見酒。
ちょっとお酒が美味しそうです。
18. 5 とら ■2006/04/12 18:32:45
当人達にとってみれば「酒が美味けりゃ」ってな感じなんでしょうけど。
19. 8 望 幸 ■2006/04/12 19:00:28
いいお話でした
20. 1 椒良徳 ■2006/04/12 22:24:46
エンディング風の作品とのことですが、特に目新しい事や感じ入る事はありませんでした。ただ、誤字、脱字等が見当たらなかったので、一点入れておきますね。
21. 5 K.M ■2006/04/12 23:16:13
雲上にて雪と酒を楽しむ・・・我々に出来ない行為
あぁ、だから幻想なのか
名前 メール
評価 パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード