すべてがUになる 〜湯煙純情地獄〜

作品集: 最新 投稿日時: 2006/03/25 05:55:22 更新日時: 2006/03/27 20:55:22 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00


 残酷無惨という言葉がある。
 読んで字の如く酸鼻極まるさまを、人間の感情の酷薄さを四文字で表現している。
 そしてこれはあらゆる生物の本質がその酷薄と無常さにあるということも示唆している。
 つまり、どれだけ理性や徳性で取り繕おうとも、論理や倫理で制御しようとも、それは
決して逃れられない生物としての呪縛なのである。
 つまり、

「……永琳ただいまー。お風呂と着替えお願いね」
「はいはいただいま……あらあら。今日はまた一段と激しかったようですね。そちらの小
脇に抱えたぼろきれはお土産ですか?」
「だーれーがーぼろきれだちくしょう……覚えてなさいよ」

 永遠亭を実質経営する八意永琳が主、蓬莱山輝夜が夜な夜な仇敵である藤原妹紅と殺し
あうのもまた、自然の摂理である。
 そう思わなきゃやってられないが。壊した宝具の修理費とか屋敷の修繕費とか。月の頭
脳はエブリタイム苦労人である。むーざんむーざん。

「あ、あとお酒もお願いね。今日は月がきれいだから」
「かしこまりました。……貴方も飲む?」
「……ちょうだい。正直、全身痛くてたまらないのよ」
「麻酔代わりか。肝臓に悪いわよ?」
「肝は強いんでね。平気よ」
「それもそうね」

 笑って、永琳は足早に引っ込んでいった。たぶん着替えやらの用意だろう。
 続いて輝夜が廊下を真っ直ぐ歩いていく。目指す先は永遠亭名物露天風呂。まあ名物と
いうよりは秘蹟に近いが、贅沢な代物であることには変わりない。ちなみにこの設備は輝
夜の趣味であり、その維持費に永琳が頭を悩ませているのは蛇足である。




 妹紅の服をはいで湯船に投げると、輝夜は自分もゆるゆると服を脱いで風呂場に足を踏
み入れた。
 岩を削って作った床が少々冷たい。だがそれが暖まる上ではちょうどいい。
 ぱりぱりに張り付いていた血やら返り血やらをお湯で洗い流すと、手ぬぐいを頭に乗せ
て湯船へと滑り込む。ちなみに二人とも一糸纏っていない。ある種この世の桃源郷である。

「あー、温まるわね」
「……もう少し丁重に扱えコラ」

 ずぶぬれの状態で妹紅が水面から顔を出す。
 ついで、少々大きめの海坊主が。

「……………………」

 輝夜は見なかったことにした。
 そうでないとやってられない。

「……ふふ、どうした、羨ましいか」

 だというのに何故こいつは挑発するのだろうか。
 内心殺意が加熱するのを押さえつつ、輝夜は効果的な反撃方法を考える。
 ふむ、と顎に手を軽く当てて、妹紅の肢体を視線でなぞる。

「な、なによ」

 見つめられるとさすがに恥ずかしいのか、身体を隠すように身をよじる妹紅。雪の結晶
を人の形にしたらこうなるのだろうか、真っ白な素肌が湯船の熱で赤みを帯びている。そ
の造形も「藤原の娘に神宿りしがあり」とかつて呼ばれたように完璧。特に胸部。美しい
うなじのラインが鎖骨へと続き、滑らかな曲線を全体へと伝えている。
 身体的造形バランスという観点においては輝夜もまた互角以上なのだが、ごく一部だけ
が勝てない。意識するたびに癪に障るので忘れるように努めているが、こうも見せつけら
れては無理な話である。
 まあ、それはさておき。
 うなじ。熱く燃え上がる広大な氷原の如き美しい人体のライン。

「私が興味あるのは、こっちかしらね」

 輝夜は意地悪そうに笑うと、すっと妹紅の背後へと回った。一瞬の虚を突いて距離を詰
める技。妹紅は一瞬反応できず、輝夜が動いた後に慌てて逃れようとするが、

「はい、捕まえた」

 がっしりと腕と足を捕らえて湯船に沈んだ。
 続いてバタバタと何かが暴れるような水音と水柱が上がる。
 激しく抵抗しているようだが、戦力には戦艦と駆逐艦ほどの開きがある。無念轟沈。ど
ちらがどちらなのかは言うまでもない。

「ほらほら暴れない……いいわ、見れば見るほどきれいね」
「ちょ、こら冗談は止めろ……」
「本当よ。食べちゃいたいくらい―――」

 いいながら、そっと首筋へとくちづける。
 ぴくん、と抱きしめている妹紅が身体を動かすのを、輝夜は見逃さなかった。

「あら、感じる?」
「ば、馬鹿!!」

 顔を真っ赤にして逃れようとする妹紅。しかし器用に足と手を絡め取られているので身
じろぎしか抵抗ができない。
 その反応に気をよくして、輝夜が空いた片手でうなじをそっとなぞった。暖かく、柔ら
かい。生きた大理石に触れているようだ。

「ひゃん!?」
「あら可愛い」

 くすくすと笑いながら、さらに攻め立てようと輝夜は―――

「あ、や、駄目、駄目だってば……」
「ふふ、そういう割には随分と……ねぇ?」

 じわじわと耐え切れない熱が自分の中を上り詰めていく間隔に二人は、

「お楽しみのところ失礼しますね」

「「わあぁ!?」」

 永琳に水を差されて飛び退いた。水というか液体窒素だが。
 二人が離した距離は実に三間。健脚である。

「あら、お邪魔でしたか、姫?」
「ああ、いや、うん。気にしなくていいわよ?」
「………………」

 済ました微笑を永琳から向けられて、へどもどしつつ返答する輝夜。その後ろでは妹紅
が顔を赤くしてなにやらもじもじとしている。どう対処すべきか分からないらしい。
 湯船のふちに盆と銚子を二つ、杯を二つ置くと、それではごゆっくり、と西洋の猫が如
き笑みを口元にたたえつつ永琳はクールに去っていった。

「…………」

 それを確認して、輝夜はほっと息を吐いた。
 ただ、見られながらもちょっと乙かな、と思わなくもなかった。
 そして輝夜は未だに背を向けてどうしたものかとしきりに身体を揺すっている妹紅に近
づくと、

「ねぇ―――続き、する?」
「え……」

 思わず口篭もる。そのまま何事かぶつぶつと呟くと、妹紅は……














 返答の結果は月とイナバだけが知っていた。





 妹紅と輝夜でモノクロオムなる言葉が浮かんだ件について。
シュキバリアン
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投稿日時:
2006/03/25 05:55:22
更新日時:
2006/03/27 20:55:22
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1. -1 無記名 ■2006/03/25 04:13:18
お題の酒に関してですが、会話にちょっとでてきただけで全く扱われないなと。
2. 7 銀の夢 ■2006/03/25 05:55:17
OK鈴仙、返答の結果を聞かせてもらおうか。
3. 4 月影蓮哉 ■2006/03/25 16:37:15
そうか、あの「F」はFujiwaraのFだったのか(ぇ
4. 4 反魂 ■2006/03/26 20:40:10
うなじ第三弾確認。尚返答の結果が気になります故
月かイナバかどっちかに教え給ふて頂きたく候。
5. 8 ■2006/03/26 22:05:00
これは えろい な
6. 3 爪影 ■2006/03/27 23:33:01
ちょいとそこの兎さん。これあげるから、話の続き教えてくれませんか?
7. 4 ■2006/03/30 22:45:57
え、鈴仙、デバガメ?
8. 3 名前はありません。 ■2006/03/31 17:45:50
輝夜受けってあまり見ませんよね
9. 4 つくし ■2006/04/02 17:49:15
これはいい桃源郷ですね。
10. 3 水酉 ■2006/04/04 00:45:30
影で兎軍団がすずなりになってそうですね。
この続きも読みたかっ・・・ゲフンゲフン
11. 3 おやつ ■2006/04/04 23:10:36
雰囲気が良いなぁ……
とりあえず、師匠には胃薬進呈w
効かないかも知れませんが。
12. 3 藤村琉 ■2006/04/07 01:56:45
 うなじ多いな。
 やっぱり、ぼろきれになった妹紅には手足が一、二本欠けていたのでしょうか。
 いちゃいちゃしているのは良いのですが、永琳乱入で何か展開があるのかと思いきや読み手の想像にお任せしますといって状態なので、そういう投げっぱなしはどうだろう。妄想は膨らむでしょうしこれ以上は18禁のスペースでしょうが、落ちが落ちになっていない印象も。
13. 4 かけなん ■2006/04/10 00:57:17
ただひとこと、えろす
14. 5 papa ■2006/04/11 02:01:17
イナバ! 覗いてたのか、イナバ!
エロはほどほどに。
15. 3 MIM.E ■2006/04/11 21:44:26
いまいち乗り切れなかったのは意外性の欠如かしら。
とは言え、この桃源郷の素晴らしきことに変わりは無く、私はこの晩、月とイナバに嫉妬するのです。
16. 6 NONOKOSU ■2006/04/12 02:37:57
すべてがうなじになる……?
17. 2 木村圭 ■2006/04/12 02:42:56
ふざけんなこの変態宇宙キチガイーッ!11!!1
な輝夜吹っ飛びオチの方が個人的にはしっくりくるのですが、まあそんなことにはならないんでしょうねー。
U、U……うろ覚え?
18. 4 とら ■2006/04/12 05:20:14
出来るならもう少しお酒分を。
でも、うなじと鎖骨は神。
19. 4 二見 ■2006/04/12 20:47:29
てるもこ。
うん、続きを穴が開くほど詳しく。
20. 5 K.M ■2006/04/12 22:50:11
イナバも見聞しているんかい!(全力ツッコミ
21. 2 椒良徳 ■2006/04/12 23:38:11
御免なさい。時間がないようなので、コメントはまた後日書かせていただきます。
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