お前に任す門番はねぇ

作品集: 最新 投稿日時: 2006/03/25 06:18:21 更新日時: 2006/03/27 21:18:21 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00

 こんにちは。最萌2優勝以来もう二度目の桜の季節に入ろうとしているのに、憂鬱な日々が続いてる紅美鈴です。
あれ以来周りからの風当たりは徐々に強さを増して来ています。
紅魔館の皆さんからは八つ当たりと皮肉の毎日(方向性は前と変わりませんが)。
進入者からは最大火力で焼かれる毎日(これも前からではありますが…)。
特に最近は萃夢想に出れなかった妹様、文花帖で同レベル扱いとなったパチュリー様からの仕打ちが酷いです。
満身創痍で倒れていても介抱してくれる方も勿論おらず、生きていくだけで必死な毎日です。


 そこで、何故私がこれだけ凄惨な扱いを受けるのか、そして打開策は何かという事を本気で考えてみました。


 第一に、ネタキャラである事。

 どこから出たのか中国と言うあだ名が一般化してしまってからが間違いなく私のネタ化のスタートでした。
 名前と見た目からなのでしょうが…これは同時にアイデンティティーでもあるので安易に変える訳には行きません。
 ならば逆を取って中国らしさを前面に押し出すと言うのはどうでしょうか?
 ス○Uのチュン○ーさんや鉄○のシャオ○ウさんが中国と呼ばれているのは聞いた事が無いですし。
 ただ語尾に「アル」とかそういう露骨なのは論外です。
 きっと「ないあるないあるないある〜!」とか言わされて「有るのか無いのかどっちなんだ!」と殴られてしまうに決まってます。


 第二に、実力が半端であること。

 一応3ボスと言う格付けこそ有るので下級妖怪に負けるなんて事は無いのですが、何故か弱いと言う先入観が植え付いてしまっているようで…。
 しかし他作品の3ボスと言えばアリスさんや慧音さん。強さとしては割と良い扱いを受けている方々ですよね。
 絶対的な違いは何か。
 私の闘いには特徴がありません。
 一時期は綺麗な弾幕ともてはやされた事もありましたがアリスさんなら人形遣い、慧音さんなら歴史の操作とやはりどう見てもこちらの方がインパクトが大きいです。
 文花帖では体術使いらしく蹴りから弾幕も展開して見せましたが…あまり話題は取れなかったみたいで…。
 ならば前述の事と交え、中国拳法を身につければ良いのでは!?
「よし!これだ!」
「私語してんじゃないわよ中国!」

 スコーン。

 …うう、脳天直撃は流石に痛いです咲夜さん…。いつもの事ですが…。


「とにかく明日から実行です…。こんなキャラを変える為に…。しょぼーん」





島島





 翌朝…。

「ん〜っ、ふぅ。4年振りの休みだわぁ。本当ならのんびり散歩でもしたいところだけど…」
 そんな悠長な事はしてられない。昨日考えた事を実行しなくては明日からの忙しい日々で記憶から揉み消されてしまう。

「しかし中国拳法を学ぶと言ってもなぁ…」
 現時点で私が体得してるのは八極拳のみ。
 しかもバー○ャのアキ○さんのような一撃の爽快感は無く、ダメージが安いともっぱら非難だらけな訳で。
 弾幕を作るのにも生きてきている訳ではないし。
「新しく学ぶしか無い…ですよねぇ…」

 悩んでるだけじゃ埒が開かないので、とにかく私は歩き出すことにした。





島島





 移動する事小一時間、神社の前にやってきた。

「…よしっ!」
 大きく息を吸い込み…、

「たのもぉーーーー!!!」
「ちょっ、なっ、突然叫ばないでよ中国!」

 鳥居の下で庭箒を持ちながら緩んだ顔でお茶してる巫女から返事は返ってきた。

「大体、こんな朝早くからアンタが何用なのよ?」
「あ、用があるのは巫女じゃないわ」
「はぁ、そう…?」
 不思議そうな顔をする巫女を尻目に私は目当ての人を探す。
「あの鬼は?」
 巫女はさも興味無さそうに、
「その辺にいるでしょ、きっと」
 とだけ言うと再びお茶を啜りだした。
 


「たのもぉーーーー!!!」
 叫び続けること早半刻、いい加減疲れてきた。
「あのさぁ…いい加減諦めたら?」
 奥から今度は居間でお茶を啜ってる巫女が口を挟んで来る。
「諦めないわよ!私の明日からの生活がかかってるんだから!」
「何のことか解らないけど、そりゃ難儀だねぇ」
「!?」
 不意に背後から声が掛かる。
「あら、出てきた」
「萃香さん!会いたかったー!!」
 がばむ!
「待て待て!気味悪いぞ!」
 自分が咄嗟にハグしてしまってる事に、押し退けられて気付いた。
「あっ、ごっ、ごめんなさい…」
「いやまぁ、別に良いけど…(この乳、咲夜と違って本物か…)」
「何か言いました?」
「いや、別に」
 手をワキワキさせて何か考えているようだったが、そこはあえて聞かない事にした。
「本当はお題がお題だし、あまり出てきたくなかったんだよねぇ。でもこれ以上無視して何もせず悪人になるのも嫌だし」
「何の話です?」
「まぁこっちの話。んで用件は?」
 私は一歩引き、地面に頭を付け、
「萃香さん!いえ、お師様!不肖この紅美鈴、あなた様の弟子にして頂きたくこの地まで赴いた次第で御座います!」
「ちょっと待て、ちょっと待て。いきなり弟子って」
「私め、これでも拳法家を志す物の端くれ!是非そなた様の体得拳法であられる『酔拳』を学び、功夫を高めたいと考えました!」
 一気に捲くし立てられたせいか、萃香さんは呆気に取られたような顔をしている。目は辺りを泳いでいて、どうにかこの場を避けたいというような雰囲気だった。
 だがこっちも引き下がる訳には行かない。言わば人生が賭かっているような物だ。
「都合が良すぎる事は重々承知しております!しかしどうにか下々の妖怪1人を救うだけと思って何卒…!何卒!」

 考え込んだ後、萃香さんは根気負けしたかのように口を開き、
「んー…まぁ、弟子として迎えるだけならいいんだけdゴフゥ」
「本当ですか!?有難う御座います!ありがどうございまずぅ〜!!」
「いちいち抱きつくな!本物は解ったから!」
 またしても押し退けられ私は正気を取り戻した。
「(本物?)あっ…す、すいませんお師様!このご無礼どうかお許しください!」
 すると萃香さんは困ったような顔をして、
「まぁいいわ…。でも一つ言っておきたい事があるんだけど」
「なんでしょう?」
「私、酔拳なんて出来ないんだけど」

 …。
 ……。
 ………。
 あれ…?
「えっと、どういうことでしょう?」
「いや、言ったとおりの意味。私のはただ酒飲んで戦ってるだけ」
 んーと、
「つまり、酔拳の事は全く知らない?」
「そう言ってるでしょ。酔拳ってのは酔わずに酔った振りをするものでしょ?私は普通に酔って戦ってる訳で」
 ああ、そう言うことか。
 私は立ち上がり踵を返した。
「おいおい、どこへ行く」
「あれが拳法でなかったのなら興味無いわ。悪かったわね時間取らせて」
「おー、変わり身の早いこと」
 と、巫女も話に挟まってくる。
 すると萃香さんが納得いかなそうに、
「拳法じゃなかったら興味無いって、強くなりたい訳じゃないのか?」
「中国拳法じゃないと意味が無いのよ!それが新生紅美鈴のキャラクターなんだから!」
「うむむ…」
「言ってる事はよく解らないがそれもまた難儀だねぇ」
 挟まってきただけで相変わらず興味は無さそうだ。
「それにあんたら暇人と違って私は大事な時間を割いて訓練するの。それなら修行たる修行をしてる人に教わらないtグフェ」
 言い終わる前に私は蒼天に輝く星になっていた。
「…ムカツク事言われた気がする。霊夢ぅ、朝飯は〜?」
「当たり前のように飯をたかるな」
 人の事を言えない変わり身の早さを、私はフェードアウトの中に捉えたような気がした。




 雲ひとつ無い青空。霊夢は美鈴の飛ぶ軌跡を眺め、
「いい天気ねぇ。もう春だわ」
 春何番だか判らない風と桜の予感を感じながらそう、一言呟いた。





島島





「痛ぁ〜…。何で本気で殴られなきゃいけないのよぅ…」
 赤く腫れ上がった頬を抑えながら私は次の目的地へと歩を進めていた。
「しかし酔拳というのは我ながら良い考えだわ。力が足りなければ相手の隙を付く戦法を取る。これしか無いわ」
 問題は、
「やっぱ、独学しかないのかなぁ…?」


「で、何で私の家に来るんだ?」
「紅魔館の図書館にいたら休みでも雑用とか押し付けられそうで…」
 着いたのは歴史喰いの半獣の家。ここならウチの図書館程ではないにしろ、資料があると思ったが、
「酔拳の資料なんて無い」
 即答だった。
「第一、拳法の知識を求めて私の元に来る時点でお門違いもいい所だろうに…」
「でも知識と言って他に思い当たる処も無かったんですよぅ〜…」
「そりゃ光栄だが、無い物は無い」
 慧音さんは溜息をつき、
「まぁ…、全く思い当たらん訳でも無いんだが…」
「えっ!ホントですか!?」
 う〜む、と唸る慧音さん。
「駄目だ。やはり教えれない」
「えぇー、何でですかぁ…」
「お前は妖怪、ここから先は人間の里。つまりはそう言うことだ」
 と言うと、慧音さんは頭を掻きながら、
「と言っても、それだけが理由と言うわけでもないのだが…」
「どういうことです?」
「いや、何でもない。とにかく酔拳の事ならばここに居ても…」
「酔拳と申したかっ!?」
 ガラッ!と勢い良く入り口が開くとそこには見知らぬ老人が。
「うわっ、だ、誰ですこのおじいさんは!?」
「あちゃー…」
 いかにも「やっちゃった」と言ったような顔をする慧音さん。
「そこの見慣れぬお嬢ちゃんが酔拳を求めておるのかね?」
「!?そ、その通りです!是非酔拳を学びたくて…」
 すると慧音さんは私とその老人の間に立ち、
「駄目だ。こんな頼り無さ気で弱キャラオーラ放っていてもこいつは妖怪。里の人間が関わるのは許さん」
「酷っ!」
「ふぅむ、そちらのお嬢ちゃんは妖怪か」
 すると老人は土間に座り、
「里の人間は皆、慧音様に守られて安全な暮らしをしておる。これは誠に有り難い事じゃ。儂も感謝しておる」
 そう、静かに語り始めた。
 かたや慧音さんはと言うと、何も言わず困った顔をしてそれを聞いている。
「しかし、それ故皆緊張が緩みきっておるのじゃ。若いもんは誰も、儂の酔拳の極意を受け継ごうとはしない」
「す、酔拳の極意…。このおじいさんが…?(ごくり)」
 もしそうならば、是が非でも…。
「もし人間に誰も教わる気の有る者が居ないのなら、たとえ妖怪であろうとも極めんとする志があるものに受け継がせてやりたいのじゃ!慧音様、どうかこの先短い老人の気持ち、汲み取ってはくれぬだろうか…?」
 そう言って老人は深々と頭を下げる。慧音さんは頭を抱え、目を伏せ口をヘの字にしてしまう。
「おじいさん…。ど、どうか私からもお願します!」
 このチャンスを逃せば次の保証は無いと言う焦りと老人の熱心さに心打たれ、私も並び頭を下げる。
「あーもう…」
 一つ唸ると慧音さんは諦めた顔をして、
「仕方ない、好きにしろ。ただし今日一日限りだ。次は許さん」
「あ…、ありがとうございますっ!」
「おぉ、恩に着ます。慧音様」
「勿論、里に入るのは許可しない。裏に道場があるからそこを使え」
 そういうと慧音さんは溜息をついて座り込み、
「万一、間違いが無いよう私も時々監視しに行く。あとは自由だ。勝手にしろ」
「寛容な処置、誠に感謝いたします。ささ、お嬢ちゃん。着いてきなさい」
「は、はいっ!お師様!」
 この人ならば私の望みをかなえてくれる。そう信じて私は裏手の道場へと足を向けるのだった。





「あ〜あ…、どうなっても知らんぞ私は」
 慧音はただただ頭を抱えるばかりだった。
「ま、いいか。門番だし…」
 そう思い、諦める事にした。





島島





「さて、お嬢ちゃんはそれなりの拳法を体得しているようではあるが、酔拳に関しては素人かね?」
「恐縮ながらイメージ程度にしか…」
 道場に入り、師の第一声はそれだった。
 外見からは狭い道場ではあったが、がらんどうとした空間に二人しか居ないとそれ以上に広く感じる物だ。それ故か、緊張感も高まる。
「それでいいんじゃ。おや?それの頬の腫れは?」
「ああこれは…ちょっと不意打ちを貰ってしまって」
「不意打ち。ふむ」
 流石に鬼の機嫌を損ねて殴られた、とは言わないが。
 納得したように師は笑顔になり、どっこいしょと座り込むと手持だった酒瓶を正面に置いた。
「まぁまず、一杯いっときなされ」
「もう実戦訓練ですか?」
 と言うと、予想していたかのように笑い、
「お嬢ちゃんは生真面目過ぎる。まずそこから変えねばならんな。いいから一杯いっときなされ。ホレ」
 と、私のほうに差し出したお猪口に酒を注ぎながら応える。
 されるがままに私はお猪口を手に取り口へと持っていく。
「お嬢ちゃんではなく私は紅美鈴と言う名前ですよ…。それに真面目だからって一体…んぐゴフッ!な、何ですかこの劇物は!」
「スピリ○スっちゅう96度のウォッカじゃ。飲み慣れないとキツかろうな」
「なんでお猪口でウォッカ…」
「妖怪と言えども、これはキツイのかのぉ?(にやにや)」
 人間相手に勝ち誇ったような顔をされると妖怪としてのプライドが少し表に出てしまう。
「むっ、そんなことありませんよ!」
 ぐいっ、ぐいっ。
「ふぅ…こんなもんです!」
「ほっほう。そう来なくてはな」
 師もグイッとお猪口一つを一気に空ける。
「しかし良くこんなのに手をつけますね…」
「儂の肝臓は親方のゲンコツより堅いんじゃ。その辺の酒じゃ満足出来んて」
(それってただの肝硬変じゃ?)
 と言う突っ込みは言わないでおいた。



「酔拳の心得はまず、心のゆとりから始まるのじゃ」
「ゆとり…?」
 飲み合って一息つくと、師は語りだした。
 師は続けて語り出す。
「お嬢ちゃんの真面目さは視野を狭くしておる。一つに向かい過ぎて周りが見えておらん」
「…」
 師はウォッカをぐいっと飲み干し、
「何、慣れれば簡単な事じゃ。今のウォッカだって瓶のラベルさえ目に入っておれば驚く事もなかったじゃろうし、周りに気を配る余裕さえあればその頬の不意打ちだってガードくらいは出来たじゃろう」
「!」
 こんな単純な一言なのに、頭をハンマーで殴られたような衝撃だった。
 確かに私は壊れた門の修理をしていて黒白の魔法使いに入り口をスルーされて咲夜さんに説教された事もあったし、トレーニング中にパチュリー様の呼び声に気付かず魔法の実験台にされた事もあった。
「お、お師様!どうすれば心のゆとりを体得できるでしょうか!?」
「ホホホ。それが堅いんじゃってば」
「あ…」
 いきなり前途多難の相なのかなぁ…。
「そうじゃのう〜、なかなか根が深いようじゃし、少し強引な手段を取るか」
「すいません…」
 師は少し考え込み、
「職場の一番怖い上司の名前を教えてみなされ」
「上司…ですか?」
「そう。上司」
 と、言われればやはり、
「メイド長の咲夜さん、ですかね…」
「その上司の名前を呼び捨てにして大声で叫んでみなされ」
「えっ…、えー!呼び捨て!?」
「さぁさぁ。だいじょーぶ、聞かれやせんて」
「え、でも…」
 あの千里眼で地獄耳で狗の嗅覚で、挙句の果てには人の心の声まで聞き取りそうな咲夜さんだ。万一が万一で無いし、もし聞かれたら…。
「こ、怖すぎますぅ…」
「だいじょーぶだいじょーぶ。すぅ…、さくやーー!!!!」
「ひぃっ!」
 回りを確認。天井も確認。外から覗かれても居ない。殺気は…無い。
「な。大丈夫じゃろ?」
「はぅ〜…」
 寿命が縮む…。
「これも訓練だと思ってな」
「うぅ…じゃ、じゃあ行きますよ?」
 念のためもう一度辺りを確認して…。すぅ、はぁ。すぅ〜、
「…い、行きますからね?」
「そうじゃ。言っちゃれ言っちゃれ」
 すぅ〜…、
「さくやーー!!!!」
 さくやーー…さくやーー…と反響音が響く。
「どうじゃ?言ってみた感想は?」
「心臓がバクバク言ってますけど…」
 ちょっとだけ…。
「気持ちいいかも、なんて…」
「そうじゃろう。度胸も心のゆとりのうちじゃて」
 先の強いアルコールが回ったからなのか、それとも得た事の無い背徳感からなのか。私は感じた事の無い快感を少しばかり感じていた。
「さてさて、気付けにもう一杯行こうじゃないか」
「はい!引き続きご指南よろしくお願いします!」
「ホッホホ。任せときなさい」





島島





「やっぱり、止めさせようか」
 慧音は先の決断を後悔していた。
「あの爺さん、結局またやってるんだろうなぁ…」
 あの老人が酔拳使いなのには間違いは無かった。しかしそれは過去の話だ。
「今では弟子を取ると口実付けてはどこかで脱線して、ただ酒盛りを楽しんでるだけだしなぁ…」
 確かにあの老人は齢70そこそこで確かに先はそう長い訳ではない。少し情を移してしまったのも多少はある。
 と言っても1日2日ではないし、まして半年や1年ですらも無い。平均寿命を少し上回る程度にはある。
「やはり、あんな熱心になっていたんだし、門番も可哀相だ…」
 そう慧音は思い立ち、裏手の道場へと向かった。



 その頃、道場では。



「そのさくやってーのがね、これまたどーしようもない短気ですぐ手が出ちゃう人なんですよー」
「そりゃつらーい職場じゃのーう。ほれもう一杯どじゃ?」
「ですよねー。あぁどもども。そうですよねー。毎日刃物に刺されて生きてるのもフシギなくらいですものぉー」
「大袈裟じゃのお。そりゃふつー死んでるじゃろぅ」
「いぁ、私妖怪っすからダイッジョーブなんですよ〜」
「そうじゃったなぁ〜。ほんなんとかちゃんは妖怪じゃったなぁ〜。ホッホッホ」
「そうですよ〜。えへへ〜。あぁ、ほんめいりんですよ」
 


 …。
「遅かった、か…」
 まだ夕暮れ時だというのに出来上がっている二人を見て慧音は気を当てられてしまった。
「まぁ、門番も楽しそうだし…。いいか…」
 と言うか、止める気力を無くしてしまった。 


 更に会話に盛り上がりを見せる二人。
「なんて言うか…」
 胸焼けでもしたかのような重い表情で慧音は、
「春、なんだろうなぁ…」
 と溜息と共に呟くしかなかった。





島島





「たらいまほんめーりんのおかえりれーすぅ」
 夜も深まり始めた頃、絵に描いたようなへべれけっぷりで美鈴は紅魔館へと帰還した。
「あら中国。酔って帰って来るなんて随分と良いご身分ね」
 丁度そこには夕食の食器を下げる咲夜がいた。しかし美鈴は緩みきった顔のままで、
「おうさくや!たらいまかえりましたよーんっと」
「…あぁん?(ビキビキッ)」
「おぉ?やるってーのかいさくやちゃ〜ん。酔拳の極意をますたぁしたわたしぃにはもう何も…」
「ふふっ」
 不気味な笑顔を見た途端、周囲が震えるような殺気に包まれる。
「…あ、いやあの」
 殺気に当てられ美鈴は自分の失言に気付いたが時既に遅し。
「すいませ…んでし…ガクリ」
 全身が串刺し完了だった。
 咲夜は果てた美鈴を見下し、
「誰かこのゴミを外に放り出しておいて頂戴」
 とだけ言い残し、普段通りに仕事を再開した。



 そして今日も紅魔館では普段通りの夜が更けて行くのです。





END





島島





 ――或る元拳法家の手記より抜粋――

 今日はなんとかみりんって中国っぽいきょぬーの妖怪さんに酔拳の極意を伝授した。
 動くたびにこう、ユサユサと二つの大きく柔らかい肉級が揺れるってのは見てて感動すら覚える。
 しかも下半身のスリットが美脚までか下着まで披露しそうでもうタマランね。
 若者風に言うとちらりずむってやつなんだろうか。
 是非後世に残したい文化だね。
 今日も酒が美味かった。





おわれ
はじめましてすいません。
言い訳する気力もありません。

あ、酔拳が本当は飲酒しない拳法だって事は知ってますから。
でもここは幻想郷なんでイメージ重視。

どうか突いて突いて突っ込みまくって下さい。


時間は大事だよー。
湯揚げ豆腐
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2006/03/25 06:18:21
更新日時:
2006/03/27 21:18:21
評価:
0/0
POINT:
0
Rate:
5.00
1. 9 ■2006/03/25 02:25:08
いじられてこそ美鈴!色々覚えて強くなってしまったら、それ美鈴ちゃう!メイリンや!
2. 6 月影蓮哉 ■2006/03/25 16:47:44
タイトル吹いた。
いやいや妖夢。文花帖の門番は、どこぞの紫もやしよりよっぽど強かったわよ。
3. 5 二見 ■2006/03/26 23:20:02
お前が名乗る本名はねぇ
いや、ごめん美鈴。冗談だ。

笑い所が多くて楽しめました。
だけど『どかーん』とくる山の部分がないのが残念です。
4. 5 爪影 ■2006/03/27 23:53:45
ふむ……酔拳って飲酒しないんですね、初耳。
5. 2 名前はありません。 ■2006/03/31 18:44:34
良いと思います
6. 5 つくし ■2006/04/02 14:27:22
じーさんアンタ……(笑)。楽しませて頂きました。美鈴の語り口を敬語か文章体かのどちらかに統一された方がよかったかもです。この文章の雰囲気なら敬語でしょうか。
7. 4 水酉 ■2006/04/04 01:21:58
まさに人類の生み出した叡智の極みであります(笑)>チラリズム

そういや昔見た映画で、ジャッキー・○ェンが酒飲んで酔拳使って
バッタバッタと敵をなぎ倒すのがあったなあ。
8. 6 おやつ ■2006/04/04 23:46:45
いや、笑いました。
行き成り酔拳の達人てまたご都合な……とか思いましたが唯の爺さんかいw
それにしても、本物の殺気に当てられて一気に宵を覚ます美鈴萌w
9. 4 藤村琉 ■2006/04/07 01:57:50
 だそうです。
 「お前に任せる門番はねぇ」の方が語呂は良かったかなあ。
 構成もすっきりしてていいです。ネタならネタで突っ走ってくれればもう言うことはありません。
10. 6 かけなん ■2006/04/10 01:15:08
いいじいさんだ。いろんな意味で。
11. 6 papa ■2006/04/11 02:03:23
「ま、いいか。門番だし…」
この言葉に全て集約されているお話ですね。がんばれ、美鈴。
12. 6 MIM.E ■2006/04/11 21:43:48
酔いメタ中国物語でした。オヤジになってる萃香とかもヨカッタ。
がんばれ美鈴、まけるな美鈴! 愛されるって酷ですね。
13. 5 NONOKOSU ■2006/04/12 02:37:08
なるほど、たしかに他の三面ボスには無い弱キャラオーラが……
14. 6 とら ■2006/04/12 05:13:46
じいさんマジ役得。
15. 5 名梨 ■2006/04/12 17:50:42
めーりん
おっぱい
触りたいなぁ
16. 7 K.M ■2006/04/12 21:34:01
幸せについて本気出して考えてみた美鈴・・・まぁ、オチは予想通りか
17. 4 ■2006/04/12 21:51:42
なんとなく地の文が物足りない、かなぁ?
18. 3 ラナ ■2006/04/12 22:11:36
ゆっとりした話だな

羽目を外しすぎず、かといって変に文章に凝ろうとしていないために読みやすかったです。
それこそ良い意味でのゆとりが感じられるようで。
19. 4 反魂 ■2006/04/12 22:44:50
居ますねえ、何か話題に載ってくるフリして酒の席に巻き込んでくる爺さんw
地味にタイトルが秀逸。
20. 2 椒良徳 ■2006/04/12 23:38:42
御免なさい。時間がないようなので、コメントはまた後日書かせていただきます。
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