紅より赤し

作品集: 最新 投稿日時: 2006/03/25 07:12:00 更新日時: 2006/03/27 22:12:00 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00
※注意
 ・面白くないかも(重要)
 ・公に公開する東方SSは初めてなので、キャラが変かもしれません
 ・極力なくしているつもりですが、俺設定が見受けられるかもしれません

それでも大丈夫という方はこのままどうぞ。





「今夜はワインが飲みたいわ、咲夜」
 目覚めの紅茶を飲んでいるレミリアが、傍らに控えている咲夜にそう告げた。
「それはまた突然ですね。赤と白、どちらになさいますか?」
 咲夜は突然とは言うものの何気ない様子で、赤ならローストチキン、白ならパエリア辺りがいいかしら、と考える。
 普通に受け答えしつつも頭の中ではそれぞれのワインに合う料理を模索している辺り、流石はメイド長である。
 だが、それは根本的に間違っていた。
「そんなの決まっているじゃない赤より紅い―――紅ワインよ」
 それもそうである。このお嬢様、レミリアの住まう館は、赤、朱、紅、ありとあらゆるところが”あか”で埋め尽くされているのだ。
 そんな館の主(あるじ)が自ら白ワインを望むはずがない。
「赤より紅い、ですか… わかりました。やってみます」
 レミリアの意味の解らない要望にも慣れている咲夜はどうこう言うことなく、「それではお食事の準備をしてきますので」とだけ残し調理場へと向かった。



 調理場についた途端、咲夜は大きく溜息を吐いた。
 今、目の前にある物はありふれた食材に調理器具くらいである。これでどうやって赤より紅いワインを作れというのか。
 ただ、ありふれたとは言うものの、魔法で火が点くコンロや人間の血が詰まった瓶など、幻想郷の住人からしても普通ではない物が混じっていたりするが。
「…やってみるとは言ったものの、困ったわ」
 赤より紅い―――単に色をより紅くすればいいのだろうか?
 それとも赤ワインに人間の血を混ぜておけということなのか?
 はたまた最上級の赤ワインという形容か?
 お嬢様の言うことはよく分からないことが多々ある。今までの経験から言って大半は遊ばれているだけなのだが、ときたま重要なこともあって困る。
 それでも、従者にとって主の言葉は絶対。
 遊ばれているだけだとしても、赤より紅いワインを作らなければならない。
「あながち間違いでもなくて、無難な方法は―――ワインを煮詰めて濃くしてみようかしら?」
 一度思ったなら、即実行。というのも、今はこれ以上良い方法が思い付かないからなのだが。
 かくして、鍋に大量のワインが注がれていく。ワインを鍋の縁まで並々と注いだところで火にかけた。
 ワインはこれでいいことにして、他の料理に取りかかる。
 そんなこんなで料理をしていると突然、
「咲夜ー、赤より紅いワインは順調に出来ているのかしら?」
 とお嬢様に声を投げかけられた。調理場の前を通ったついでに見に来たのだろう。
「ええ、ワインを煮詰めて濃くしていますわ」
「煮詰めたらアルコールが飛んじゃうじゃない」
 そんな咲夜の言葉を聞いたレミリアはというと、呆れ果てた顔だ。
「それはうっかりしていましたわ。でも、捨てるのも勿体ないですし…今夜はボルシチにしてもよろしいですか?」
 言われるまで気付かないのは、天然なのか、はたまたわざとなのか。その上、再利用案まで万全なのにはどう突っ込めばいいのやら。
「それは楽しみね」
「ところで、赤より紅いワインの方ですが―――」
「それならもういいのよ。今夜は美味しいボルシチなんでしょう?」
 それを見越していたのか、レミリアはおかしそうに笑っていた。
「勿論ですわ」
 やっぱりお嬢様には頭が上がらないな、と咲夜は思った。



 それからしばらく後のこと。
「咲夜、今夜は外で食べたいわ」
 またお嬢様の気紛れか、と咲夜は軽く眉間を押さえた。
「どうしてまた急に?」
「今夜はこんなにも月が紅いから―――なんてね」
 この言葉を聞く度、咲夜はお嬢様が霊夢達と対峙した時のことを鮮明に思い出す。
 あの時は霧が原因で紅かった。だが、今宵の満月はそうでないのに紅い。
「あら、てっきり館の中だけが紅いものだと思っていましたわ。
 ところで、月が見えるのは太陽の反射光で、普段黄色っぽく見えるのは太陽の色とほぼ同じと思えば分かるのですが、ときに赤や青に見えるのはどうしてなのでしょうね?」
 咲夜が窓から月を見上げる。普通の人間が紅い月を直視するのは危険なのだが、咲夜にはどうということはないようだ。
「月にも感情があるのよ、きっと」
「それはロマンチックですわね」
 月に感情があるのではなく、見る者の感情が映し出されることを意図して言っていることくらい咲夜ならすぐに理解できた。
 でも、ここは幻想郷。月に感情があると信じるのも悪くないかなと思う。
「それからもう一つ、前々から思っていたのですが、吸血鬼は日光に弱いですけれど、何故、日光の反射光である月光の下では逆に強くなるのでしょうか?」
「そんなの私に訊かれてもねぇ。私が知りたいくらいだし。
 月の事なら月の兎にでも訊けば分かるんじゃない?」
 そんなことに興味はない、と気だるそうにレミリアが答える。自分の弱点について話されるのが嫌ということが大きいが。
「私としては月の兎よりは月の頭脳にご教授願いたいですけどね」
「でも幻視を使う辺り、光や見え方については兎の方が詳しそうだけれど。
 あと、私が一つ言えることは、月光は日光の反射というより、日光と月光は正と負、反するものということね」
「なるほど、なんとなく分かったような気がします」
 古の人間達は何故月が光って見えるのか想像もつかなかったのだろう。だから昼と夜のように、太陽と月を概念的に反する物と捉えた。
 そして何故か強大な力を持つものには意外な弱点がある。吸血鬼に然り、鬼に然り。
 正の世界で生きる人間は負を恐れた。そしてそれらが吸血鬼などを生み出した。なるほど、負から生み出されたものが負の中でこそ真価を発揮するのも納得だ。
 科学などという概念が生まれてからそれが覆されただけ。だから、今の世に吸血鬼も鬼も存在する必要はない。人間は負を恐れなくなった――いや、正確には誤魔化すようになったのだから。
 そしてそういう世界に追われた妖怪達がこちら、幻想郷に住まうようになったのだ。
 これは外の世界から来た咲夜だからこそ分かることかもしれない。
「で、咲夜。話が逸れているけど、外で食べる準備をしておいてね?」
「あら、お嬢様が忘れて下さるよう、わざと話を逸らしましたのに。分かりました、今すぐ用意致しますわ」
 その言葉の直後には、瞬時に用意は終わっていた。紅魔館の中庭の見晴らしの良いところにテーブルが置かれ、その上にはナイフやフォークなどが整然と並べられている。
 そして、レミリアは突然自分が中庭に居ることに苦笑した。
 もちろん、裏で咲夜が時間を止めて頑張っていただけのことなのだが。
「こんなに急がなくても良かったのに」
 レミリアが暇を持て余すように歩き始める。
「私が今すぐと申しましたからね」
 肝心の料理が並べられていないのは、時間を止めたままでは料理が温められないからだ。
「それなら、料理ができてからでも良かったじゃない」
「折角の満月ですから、お食事前に外を見て楽しんで頂くのも良いかと思いまして」
 ふーん、とレミリアが相槌を打つ。そこまで広くない中庭の中をレミリアが歩いていると、薔薇園の入り口の前で突然足を止めた。
「咲夜、ちょっと来て」
 と、レミリアに突然言われ、咲夜は言われるがままレミリアの方へ行った。
「何でしょう?」
「ほら、面白い薔薇があるわ」
 そう言ってレミリアが指差したのは、多種多様な薔薇の中に混じっている少し欠けた薔薇だった。
 基本的に花びらは円形に並ぶ物だが、何故かその薔薇の花びらの一部は欠けていた。
 その欠けている場所に花びらがとれた形跡もないので、最初からにそうだったのだろう。
「本当、珍しいですわね」
 咲夜がその珍しい薔薇を繁々と眺める。
「何をしているの?」
 突然の声に咲夜が振り返ると、いつものように本を持っているパチュリーが立っていた。
「丁度良かったですわ。パチュリー様、この薔薇が何か分かりますか?」
 咲夜が薔薇に指を刺すとパチュリーは咲夜とレミリアの間に割って入り、その薔薇を観察し始めた。
「そうね…おそらく十六夜薔薇じゃないかしら?」
 そう言ってパチュリーは持っていた本――とは言うが、辞書級の厚さがある――のページをめくり始めた。
「十六夜薔薇?」
 あまりにも聞き慣れない薔薇の名前にレミリアが首をかしげる。
「ほら、このページよ」
 パチュリーが指し示したページには、確かに同じ薔薇の絵が描いてあった。
「本当、その本には何でも載っているんですね…」
 咲夜は驚きを通り越して呆れている。

 いざよい-ばら 【十六夜薔薇】
  サンショウバラの園芸品種の一。
  葉はサンショウに似て小さく、花は紅色八重で、一方に欠所があるので「いざよい」の名を得た。
  夏、開花。

「一見、綺麗な八重で完成されたような花だけど、花弁の一部が欠けている。
 完璧なようで、どこかが欠けている…まさに咲夜、貴方みたいね」
「パチュリー様、流石にその言い方は酷いですわ。否定はしませんけれど」
 咲夜はむすっとした表情をしているものの、本気でそう思っているわけではないようだ。
「あら、否定しないのね」
 パチュリーはいかにも意外といった感じの表情を浮かべた。
「従者は完璧より、今くらいの方が良いのですよ」
「あら、私の従者でありながら完璧じゃなくてもいいなんて、言ってくれるじゃないの」
 不満気なレミリアの顔が咲夜に迫る。
「従者が完璧では、主の立てる顔がありませんから。勿論、従者がダメすぎてもいけませんけれど」
 レミリアにそう言った咲夜は、パチュリーの方へ振り返って軽くウインクしてみせた。
 それを見たパチュリーは何か納得した様子だった。
「そういうものなのかしら?」
「レミィもその内分かるようになるわよ」
「そうだといいのだけれど」
 レミリアはもう一度考えてみたが、やっぱり分からなかった。

「さて、私は図書館へ戻るわ。ご飯は後でいいから運んできてね」
「はい、分かりました」
 そういえば、用もないのにどうしてパチュリー様はここに来たのだろう? いや、用がなかった訳ではないだろう。
 薔薇を採取して、何かの実験にでも使おうとした? いや、それなら薔薇を持っていっているはず。
 咲夜が正当な理由付きで思いついたのは、ここで夕食のご相伴にあずかろうとして来たことくらいだった。パチュリー様なら、お嬢様や私がどこに居るかくらい、魔法なりなんなりで分かるだろうし。
「――パチュリー様に気を遣わせてしまいましたね…」
「気を遣うような仲でもないのにね」
 本当にそうなのだろうと思わせるくらいに、レミリアは素っ気なく言う。
「それはそれでどうかと思いますよ」
 咲夜に的確に突っ込まれるがレミリアは、
「まあ、百年近くも付き合いがあれば些細なことよ」
 と軽く流した。それを聞いて咲夜は、
「それでは…パチュリー様ではなく私と、ですとどうなるのですか?」
 おずおずとながら訊いてみた。
「咲夜とはもう”ピー(咲夜さんのプライバシーのため、加工されています)”年の付き合いだったかしら?」
「そうですね」
 咲夜は自分の歳が推測されそうな発言に一瞬眉をしかめたが、頷いた。
「パチェとは友人としてだけど、咲夜とは主従として同じように思ってるわよ。ところで咲夜、貴方はどう思ってるのかしら?」
「お嬢様に付き従うと決めたこと。…それが、私が私である所以ですから」
 咲夜は幻想郷に迷い込んで、初めてこの少女、レミリアと出会ったときのことを思い出しながら、ゆっくりと言葉として紡ぎ出した。
 あのことを他の者から見れば、ときに”狂人”としか見えないこともあるであろう。それでも、一生お嬢様に付き添うと決めたのだから後悔はしていない。
 レミリアがゆっくりと向こう側へ歩いて行く。
「それなら―――咲夜はずっと私の下(もと)にいてくれるのかしら?」
 レミリアは薔薇園の前まで辿り着き、咲夜の方へ振り返った。
「気になさるのなら、運命を見てみればいいじゃないですか」
 咲夜が悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「見るまでもないわ。貴方は死ぬまで私の下にいるってわかるもの。それどころか、死んだ後まで居そうだわ」
 忠実なのは良い事なのだが、咲夜に何の面白みもない答えをされてしまい、レミリアは軽く溜息を吐いた。
 それが咲夜にも聞こえたのか、
「あら、冗談でも言った方が良かったですか?」
 などと言われてしまった。
「そんなことは……少しあるわね。でも、咲夜の本音が聞けただけで満足かしら」
「本音、ですか」
 何を言われているのか分からないのか、きょとんとした表情の咲夜。
「ええ、私の言葉を否定しないところとかね」
「それはもう、死んでも死に切れないで化けて出ますから」
「それは迷惑なストーカーね」
「お嬢様の”神鬼「レミリアストーカー」”ほどではございませんわ」
 二人がくすりと軽く笑い合う。


 そう、本音なんて決まっているじゃない。
 そう、本音なんて決まっていますわ。

 この先ずっと、貴方を何者にも渡さないだけよ。
 この先ずっと、お嬢様のためにお仕えしていくだけですもの。



 そこで突然、咲夜は大切なことを思い出した。
「いけない、ボルシチを煮詰めすぎてしまいますわ」
「それじゃあ早く準備して頂戴。ところで咲夜―――」
「はい?」
「咲夜も一緒に食べるわよね?」
 にっこり。お嬢様、その笑顔は反則です。
 従者として主と食を共にするなど、本来は言語道断。でも、その笑顔には勝てません。
 というよりこの場合、断った方が失礼というものである。
「それでは、お言葉に甘えてご一緒させて頂きますわ」
 そう言うや否や、テーブルいっぱいに料理が広げられていた。それも、ちょっとしたフルコースより凄い量だ。
「流石、咲夜ね」
 レミリアが満足気に頷く。
「失礼致します」
 咲夜がワインボトルを手にし、ポンと良い音を立ててボトルの栓を抜いた。
 そしてあくまで瀟洒に、ワインをレミリアが手にしているワイングラスに注いでいく。
「あら、これって…」
「本当、赤より紅いワインのようだわ」
 紅い満月の光に照らされた赤ワインは、ただそれだけで赤より紅いワインに見えていた。
 レミリアが軽く一口含む。
 紅い月の下、静かに飲む紅いワイン。最高の月見酒ではないか。秋分じゃないけど。
「やっぱり、たまに外で飲むと違うわね」
 レミリアの満足した口調に安心した咲夜がレミリアと向かいの席に腰を下ろすと、
「ほら咲夜、グラスを出しなさい」
 レミリアがワインボトルを手にそう言った。
「そんな、私なんかにとんでもないです」
 主に酌をさせるなど、厚意でもあってはならない。
「ほら、気にしなくてもいいから」
「いえ、それでも…」
「いいから…ね?」
 レミリアの声が若干高圧的になる。
「…はい。ありがとうございます」
 咲夜は断り切れないと観念し、ワイングラスを手に取った。
「もう、先に言わないで。……それは私が咲夜に言う言葉よ。咲夜―――いつもありがとう」
 咲夜には、レミリアの普段とは違う少し照れ臭そうにはにかんだ笑みが眩しく見えた。
「…咲夜? どうしたの、泣いたりして」
「いえ、嬉しかったものですから…」

「ほら、泣かないの」
 次の瞬間、お嬢様に抱かれていた。
 お嬢様の手が優しく頭を撫でる。
「もう少しだけ…このままで居させて下さい」
 これが私から初めての我儘だった。
「従者が主に頼みごとなんかしちゃ駄目じゃない。でも、今回は大目に見てあげるわ」
 その時のお嬢様の顔は、朗らかで、大らかで、優しくて。まるで全てを包み込んでくれるようなものだった。
 それは忘れていた何かを思い出させるようで―――気付いたら、また涙が零れていた。
 でも、今だけは思い切り泣かせて貰おう。こんな機会、もう二度とないだろうし。
 二度とないなら、このまま時を止めてしまいたいとも思う。でも、私はしない。
 それは自分で自分からお嬢様との未来を奪うことになってしまうから。それに今は、昔と違って生きることの楽しさを知っている。運命だってある程度なら自分の力で変えられることも学んだ。
 だから、私は幸せな一瞬よりも未来の可能性を選ぶ。
 この我儘も、過去の私から見た可能性の一つだったことだし。
 そんなことを思っていたら、なんだか意識がまどろんできて―――
 私はこのときほんの少しだけ、お嬢様の我儘の意味が分かったような気がした。

「ねぇ咲夜、そろそろ―――って、寝ちゃってるじゃないの」
 咲夜は疲れていたのか、いつの間にか私の腕の中ですやすやと眠っていた。
 指でそっと頬の涙の跡を拭いてやる。
 よくよく考えてみると、自分が吸血鬼であり夜型なのに加え、昼にしかできない仕事も咲夜に任せているため、咲夜には朝から夜までどころか、夜から翌日の夜まで働きっぱなしにさせていることに気付いた。
 こうまでハードだと、疲れていない方がおかしいというものだ。
「…今度、休暇でも与えてみようかしら?」
 咲夜に休暇を与えたら、一体何をするのだろうか? ……気になる。
 決めた。今度、咲夜には休暇を与えよう。2〜3日なら炊事や掃除は門番にさせておけばいいし。
 哀れ咲夜。休暇を与えられる理由が慈悲から好奇心になってしまった。
 その方がレミリアらしいといえばらしいのだが。
「それにしても、主を心配させたりするなんて困った従者ね」
 本当は困ってなどいない。むしろ、こういう形で日常に色々と楽しみを与えてくれて嬉しいくらいだ。
 他の誰にも、どんな運命にも、死の宿命にさえ、咲夜を渡しはしないと決意する。
 さっきありがとうと言っておきながら、こういうときは素直になれないのか、と苦笑を浮かべた。
 これも愛情の裏返しなのだ。そう自分に言い聞かせ、ゆっくりと瞼を閉じた。
 でも、たまには自分に素直になるのも良いかもしれない。
 そしてもう一度だけ、紅い月にも、十六夜薔薇にも聞こえないよう、咲夜に優しく囁いた。
「ありがとう。咲夜」


 そんなこと、二人の間柄なら言わなくても分かる。

 でも、それだからこそ―――

 ときには、言葉で言う価値があるんじゃないかしら?



 空に浮かぶ荘厳で紅い満月と、立派ながらも控えめに咲く十六夜薔薇。

 奇しくもそれは、寄り添って眠っているレミリアと咲夜そのもののようだった。















    〜 翌朝 〜



 私はいつの間に眠ってしまったのだろうか。
 辺りは既に明るいらしく、暖かい日の光が瞼の裏まで差し込んでくる。
 私は目を開いた。見上げた空は全てを吸い込んでしまいそうなほどに澄み渡っている。
 その視界の端に、何かミイラのようなものが見えた気がした。
 それと同時に、どことなく冷たいものに包まれているような感覚に気付く。
 恐る恐る、視界を空から下へと向けていくと、そこにあったのは―――
「お…お嬢様!?」
 それは直射日光を浴び、干からび死にかけているお嬢様だった。
 哀しいかな、お嬢様だと判別できたのは洋服のお蔭というほど、見る影もなかった。
「誰か! 誰でもいいから―――早くパチュリー様を呼んできてーっ!!」
 朝の紅魔館には、咲夜のうろたえた叫びだけが響いていた。







 ところで、その頃のパチュリーはというと―――

「むきゅ〜」
 昨晩何も食べられなかった空腹に加え、喘息でダウンしていた。



 結局、レミリアが回復したのはその日の夜だったそうな。
 ちなみに、一晩放置されて冷め切ったボルシチは中国に与えられたとか、そうでないとか。


 どうも、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
時間が足りないので本文荒削りです、後書き短いです。ごめんなさい。
ちなみに咲夜さんの昔話を匂わせておきながら書いていませんが、そこはみなさんの脳内補完に任せています。
書き始めると収拾がつかなくなるところですしね。
あと、いまいちお題を活かし切れなかった点は要反省です。
まあ、初めてのお題ありに挑戦だったので、次回以降の課題ということで。

でも、れみりゃ様ってツンデレでしたっけ?
あ、ひねくれ者っていうのが正しいですn(レッドマジック
折柳 月暈
http://circle-blind.hp.infoseek.co.jp/
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2006/03/25 07:12:00
更新日時:
2006/03/27 22:12:00
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1. 6 月影蓮哉 ■2006/03/25 17:47:01
という事は、レミ様は咲夜さんに欠所があるから(以下略
パチェが読んでたのは広辞苑ですな。
面白くないとありましたが、そう言わない方がよいかも。
もっと自信をお持ちになってくださいな。
2. 6 爪影 ■2006/03/28 17:42:29
話の繋がりと流れが、綺麗だと感じました。
3. 5 名前はありません。 ■2006/03/31 21:45:17
面白いです
パチュリーとレミリアの付き合いが100年近いってのは設定ミスでしょうか
パチュリーの年齢がそのくらいだったかと
4. 2 つくし ■2006/04/02 15:34:57
美しい主従の話でした。ごちそうさまです。とりあえず、注意書きでの自己卑下的な言い訳はやめたほうがいいと思います。それと(ピー)によって折角の文章の雰囲気がぶち壊されたようでした。
5. 5 水酉 ■2006/04/05 08:41:05
れみりゃ様はひねくれ者といいますか
マイペースワガママ幼女といいますk(不夜城レッド

それまでシリアスで来ていたので、
オチはネタでオトさなかった方が良かったかも、とも思ったり。
6. 4 おやつ ■2006/04/05 21:19:17
これで初めてかぁorz
憎めない捻くれものの、偶に見せるストレートってぐっと来ますよね。
この紅魔主従に幸多からんことを……
7. 3 藤村琉 ■2006/04/07 02:05:31
 視点の変更がやや面倒に。
 また、レミリアと咲夜が一緒に酒飲んでる話はみな同じに見えてしまいます。背景の赤と相まって、これといったインパクトもなくただ飲んで良い感じの会話をしているだけなのでは、見分けが付かなくなってしまうのも仕方ないと思います。
8. 3 反魂 ■2006/04/07 14:25:41
う〜ん、地の文の視点が所々急に変わってちょっと混乱したり、
良いお話だなあと思ってたら最後にギャグ調に落としてしまうとか、
ワインじゃないけどもうちょっと煮詰めが足りないかな、と思ったりします。
ですが端々の描写や展開など、巧いなあと唸ってしまう所も沢山あり、
総じて楽しめました。
今後も活躍を期待しています。
9. 5 papa ■2006/04/11 02:06:07
初SS乙です。
ぎゃー、レミリア様がー!

話の最初の部分がおざなりになっている気がします。
ちょっと急ぎすぎですね。
10. 8 かけなん ■2006/04/11 13:20:46
カリスマツンデレだよ!
いやもうマジいいお話でした。

ただこれは個人的意見ですが、いいお話だっただけにオチがちょっと、って感じでしょうか。
11. 3 MIM.E ■2006/04/11 21:40:25
中盤までのレミリアと咲夜のやりとりは大変楽しく、やや助長にも感じましたが、二人が気持ちを
確認しあう描写も良いと思いました。月と薔薇にたとえられた綺麗な紅魔館と二人の風景を幻視しました。
でも最後の落ちはなぁ……。ネタ事体は面白いですが、私は無いほうがよいと感じました
12. 8 ■2006/04/11 23:36:42
お題の消化不足という点で-1。しかし、愛情の深さがよく描かれていたので基本点高いです。最後のぶち壊しっぷりも実にw
13. 6 とら ■2006/04/12 04:46:15
この”紅”はきっと咲夜にしか出せないのでしょうね。
14. 3 名梨 ■2006/04/12 17:48:01
れみりゃ様はツンデレ
そしてパチュリーはむきゅー
心温まる紅魔館でした
15. 4 ■2006/04/12 23:02:06
んぃー…オチ、いらなくないですか?
なんだか結構綺麗だったのに、何か最後で半端にドタバタしてて
何か違和感を感じてしまいました…
16. 5 K.M ■2006/04/12 23:02:14
ある一時の幸福の代償が、ここまでの被害を齎そうとは(w

ボルシチも廃棄処分にならない可能性があってほっとしました
17. -3 椒良徳 ■2006/04/12 23:41:00
御免なさい。時間がないようなので、コメントはまた後日書かせていただきます。
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