不味いワインの有効活用法

作品集: 最新 投稿日時: 2006/03/25 08:11:14 更新日時: 2006/03/27 23:11:14 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00


 日が沈み、月が昇る。
 蒼い夜が世界を覆い尽くし、天高く上る月と、それを引き立たせる星々が輝いていた。
 世界が夜に包まれている。
 その中にあって月の光を浴び、なおも紅く浮かび上がる館、紅魔館。
 月を見上げ、大きな時計の前で優雅にワイングラスを傾ける影。
 夜の闇の中にあって浮かび上がる白い服。僅かに紅く染め上げられた薄いピンクの布地で上下統一された服。
 微かに青の入った銀髪が柔らかな風に揺られている。
「ふん、いい月夜だねぇ」
 紅魔館の当主、レミリア・スカーレットは機嫌良さそうに呟く。
「幸い、今日は満月ですから」
 傍らには蒼い夜に溶け込むように侍るのは十六夜咲夜。その銀髪は夜を切り裂くナイフのようだ。
「これでワインがもっと上質ならば言う事は無かったんだけどねぇ」
 当てつけのように言ってチラリ、と傍らの従者を覗き見る。
「申し訳ありません、方々手を尽くしたのですが……」
 咲夜が申し訳無さそうに頭を下げる。
「それでこの程度? やっぱり人間は使えないわね」
 ふん、と勢いをつけてグラスに残った赤い液体を飲み干す。
 その姿を見て、咲夜はゾクリと身を震わせる。
 なんて蠱惑的なのだろう。どう見ても幼い少女にしか見えない姿で、血のような紅い液体を飲み乾す主。
 まるで血を飲むように、といってもレミリアは吸血鬼なのだから血を飲むのは当たり前だが、少女のような姿でさも美味しそうに血を飲み干すギャップに倒錯めいたモノを感じずには居られない。
 咲夜が自身の倒錯めいた情欲に目を潤ませているとレミリアが苦々しげな顔をした。
「やめた、今日はもう酒はいい」
 手にしたグラスを投げ捨てる。
 グラスが床に落ち、バラバラに砕ける直前。グラスの姿が掻き消える。
「ふん」
 そちらを見なくても理解する。咲夜が時間を止めて回収したのだろう。
 今のレミリアにはそれすら腹立たしい。
「もうよろしいのですか? まだ3本目ですが……」
 咲夜が4本目の瓶を持って傍らに控えている。
 しかし、この不味いワインではこれ以上飲む気にもなれない。
 なにかもっと上質で特別な何かが足りないのだ。
 ふ、とレミリアの中で天啓のような閃きが訪れた。
「……そうだ、咲夜、アナタこっちに来なさい」
 そう言って咲夜を呼びつける。
「はい、なんでしょう?」
 何も知らない咲夜は素直に従い、こちらにやってくる。これから自身に振り掛かる不幸も知らずに。
「ワイン調達の失敗は認めるわね?」
 ニヤニヤと笑いながら傍らに立つ咲夜を見上げる。
「はい」
 申し訳無さそうに目を伏せる咲夜の顔を見て、レミリアは己の悪魔のような所業、といっても実際に悪魔なのだから仕方が無い。
「ならば、甘んじて罰を受けなさい」
 咲夜はその一言を聞き、その目を見、恐怖した。
 これからどんな罰が身に降りかかるかだけを想像しただけで、夜であるにも関わらず目の前が真っ暗になるような気がした。
「これは罰よ、だからアナタは私に従いなさい、十六夜咲夜」
 フルネームで呼ばれただけで咲夜は背中に氷柱を突き込まれたかのような寒気を覚える。
 そして同時にかつて無いほどの忠誠心が湧き上がるのを感じた。
「仰せのままに、レミリアお嬢様」
 恭しく一礼し、咲夜は膝を折った。




「あの、お嬢様、コレでよろしいでしょうか……」
 先ほどまでワインが載っていたテーブルに咲夜がうつ伏せに乗る。
 形の良い胸がテーブルに押し付けられる形になり、少し息苦しい。
「いいわ、上出来よ」
 レミリアの眼下には寝そべった咲夜が不安そうにこちらを見ている。
 銀の髪にヘッドドレス、細いカーブを描くうなじに白いエプロンを止める大きなリボン、そしてリボンに隠された細いウェストライン。蠱惑的なカーブを描くヒップラインとそれを包む紺のスカート。全てがまるでレミリアの為にあつらえたかのような咲夜の体をゆっくりと眺める。
 傍らから4本目の赤ワインを取り出すと栓を片手の親指と人差し指だけで引き抜く。
「いい? これはアナタへの罰よ」
 右手でワインを握り、高々と掲げる。
 トポ、とワインの口から紅い液体が零れ落ちる。
「ひゃ! ぅ」
 いきなり背中にワインをかけられ、咲夜は驚きの声を発する。
 トポトポとさらにワインが咲夜の全身へとかけられる。
「きゃ、ちょ、お、お嬢様、何をなさるので!?」
 思わず振り返ってレミリアを仰ぎ見る咲夜、その顔にもワインが乱暴にかけられる。
「わ、ぷ」
 たまらず首をそむけ、元の形に戻る咲夜にレミリアは言って聞かせる。
「だから言ったでしょう? コレは罰だって」
 くすくとレミリアが言う。
「この不味いワインをね、調達したアナタ自身で飲めるようなワインにしなさい」
 いつの間にやらワインはバシャバシャと勢いよくかけられている。
 咲夜の全身からワインの匂いが立ち込める。
「あぁ、いいわ、いい匂いよ。咲夜」
 レミリアの完全に陶酔しきった目と声は咲夜の理性を溶かし、むせ返るようなアルコールの匂いが本性をさらけ出させる。
 ワイン一瓶を咲夜に注ぎ込み、瓶を放り投げる。重たい音がして瓶が床に転がるが、誰も気にしない。
「それじゃ、頂くわね」
 そう言って咲夜の上にのしかかるレミリア。まずは咲夜の髪の毛に顔をうずめ、匂いを嗅ぐ。
「いいわ、咲夜」
「あ、んっ、お嬢、さ、ま……」
 すでに息が荒くなってきた咲夜を知ってか、そのまま顔をずり下げ、うなじに到達する。
 その白く細いカーブに、背骨が突き出た丘、その全てからワインと咲夜の匂いがする。
「ひゃぅ!」
 ペロリ、とうなじのワインを舐めとってやる。それだけで咲夜の体は電気を流されたかのようにビクビクと震える。
「んー? ココなの?」
「んあぅ!」
 もう一度咲夜のうなじに舌を這わせると、実にいい声で咲夜は鳴いた。
「咲夜、ワインは何本残ってるの? 答えなさい」
 咲夜の耳元で囁いてやる。
「んっ、あと、ろ、6本、です……」
 はぁはぁと荒い息をつきながら咲夜の理性が答える。
 その答えに薄く笑ったレミリアは耳元でさらに囁く。
「そう、じゃあ、あと6本、頂くわね」
 咲夜の理性が弾け飛んだ。
赤ワインをラッパ飲みしたくなってきた件について
シュキバリアン
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最新
投稿日時:
2006/03/25 08:11:14
更新日時:
2006/03/27 23:11:14
評価:
0/0
POINT:
0
Rate:
5.00
1. 5 月影蓮哉 ■2006/03/26 09:49:37
とてもえろしゅうございました
2. 4 爪影 ■2006/03/29 15:07:43
瓶は自分で片付けましょうね、レミリア様。
3. 2 名前はありません。 ■2006/04/01 07:20:36
これは嫌らしいですね
4. 6 つくし ■2006/04/02 17:57:22
色々やりすぎだがそこがいい件について。
5. 1 おやつ ■2006/04/06 14:42:00
うわーいネチョーいw
そっかー不味いワインってこうやって飲むのかーw
6. 3 藤村琉 ■2006/04/07 02:10:40
 うなじ多いな。
 やっぱりどことなく無理やり感があるのだなあ。
 お酒をえろい方向に持って行こうとして、明らかに無理してます。そこで興が冷めてしまうから逆効果。
7. 4 水酉 ■2006/04/07 08:41:42
まさに月の宴、Lunatic Partyですね・・・。
8. 4 papa ■2006/04/11 02:09:16
これはとてもおいしそうなワインですね。

ワインを飲むレミリア、機嫌がいいのか悪いのか・・・。
字の色が背景に掻き消えてしまっているのもマイナスです。
9. 3 MIM.E ■2006/04/11 21:37:04
>赤ワインをラッパ飲みしたくなってきた件について
飛行機でそれやったら意識失ったんだよ。
全て終えて次の朝、正気に戻ってすこし落ち込んでる二人を幻視しました。
10. 6 NONOKOSU ■2006/04/11 22:38:42
安西先生、ワインが飲みたいです(咲夜さん付きで)
……と言うか、ひょっとして、皆うなじ好きなのだろうか?
11. 8 ■2006/04/11 23:07:18
いや、これは何とゆーか年齢制限があるべきだと(笑
12. 5 とら ■2006/04/12 03:58:06
これは良いリサイクルですね。
ええ、本当に地球に優しい。
13. 1 反魂 ■2006/04/12 06:24:03
うなじ5号確認。
これは今まで以上に甘口のワインですね。
14. 6 かけなん ■2006/04/12 15:45:34
えろすえろすえろす!
うなじうなじうなじ!
15. 4 K.M ■2006/04/12 20:09:37
吸血鬼としては正しい・・・のかなぁ?
16. 5 椒良徳 ■2006/04/12 23:43:25
御免なさい。時間がないようなので、コメントはまた後日書かせていただきます。
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