MAY Be ERIIIIIIIN!!!

作品集: 最新 投稿日時: 2006/10/08 11:58:49 更新日時: 2006/10/11 02:58:49 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00



「あら?」

 目の前にあったのは一つの重箱。
 どことなく、茜色っぽくって綺麗な模様が描かれていることを除けばごくごく普通の作りだと思う。
 きっと誰かが持って帰るのを忘れたんだろう。
 そう考えながら、重箱を持ち上げようと屈みこんだ時、目に飛び込んできた光景は狂ってると自他共に認める私でも、常軌を逸していると確信できるものであった。

「おはようございます。今日はお早いですね、姫」

 閉じた。音を超える錯覚を起こすほどの勢いで。
 いやだって、重箱の中に永琳が入ってるとか有り得ないって。
 そう、これは私の夢よ!
 ちょっと長生きに疲れちゃった私が見てる白昼夢!!

「って、そんなわけないわよー!?」
「姫、そんな大きな声を出して。はしたないですよ」
「って、はしたないとかそんなんじゃないよ!? なんで!? なんでそんな小さいの!?」
「姫。姫たる者がそんなにみだりに取り乱したりしてはなりませんよ」
「いや、普通取り乱すって! だって、普通いきなり人は小さくなったりしないよ!?」

 私が普通なんて言葉を使うなんて何百年ぶりかな?
 まぁ、つまりそのぐらいこれはおかしなことなのだ。

「姫から普通なんて言葉が出るなんて……うう、子供は知らぬ間に成長すると言いますが。私、感動です」
「永琳、今日の永琳、凄く変だよ! 私、なんだか普通みたいだよ!?」
「姫に変と言われるだなんて……永琳、一生の不覚! ここは腹を割って詫びを!!」
「武士道を貫かれても掃除が面倒だし、どうせ生き返っちゃうから意味ないんじゃないかなー、って思うんだけど」
「そうですね。では……姫の夕食は、姫が自分で作る、というのが詫びということでどうでしょうか」
「いや、それ全然詫びてないし! というか、なんか私が罰受けて無い!?」
「姫、普段働いてないのですから、たまには夕食ぐらい作っていただいてもいいではないですか」
「姫は食わねど高楊枝よ」
「姫こそ武士道ではないですか」
「姫は臨機応変に生きてけないとやっていけないのよ!」
「素晴らしいですわ、姫。では、そんな臨機応変な姫は炊事もばっちりでしたよね?」
「そりゃ、こんだけ長く生きてれば一通りなんでもできるわよ。って、そんなこと永琳だって知ってるでしょ?」

 そもそも、つい最近まで月から見つからないように隠れて住んでいたから娯楽が少なかったのだ。
 そんな中での楽しみと言えば妹紅とのじゃれあい、料理や裁縫などの家事は貴重な楽しみだった。
 つまりは自分でも意外な気がするのだが、私は料理が得意だったりする。

「では、姫。さっきの食わねどと、いうのは嘘なんですね?」
「え、なんでそうなっちゃうの?」
「あの言葉は武士は食わねど高楊枝をもじったものですよね。あの言葉の意味は『武士は貧しくて食事ができなくてもあたかも食べたかのように楊枝を使って見せる』という心意気から出来た言葉です。つまるとこやせ我慢してでも見栄をはるということですね。つまり姫は食事をやせ我慢するという風に言ったことになります」

 一息で言い切る永琳。
 小さいのに凄い迫力だ。
 それに前に永琳はこんな事を言ってた
「勢いさえあれば、どんな相手でも自分のペースにひき込めます」
 冗談かと思ってたけど本当だったんだね。
 今、私の思考回路は正常に動作してないもん。

「永琳、永琳。今日の永琳、本当に変だって。すっごく意地悪だし、そんな長台詞も一息で言うし」
「うふふ、永琳は何時でも意地悪だったんですよ?」
「うわーん! 本格的に永琳が変だよー!!」
「まぁまぁ。姫、落ち着いてください。今のはほとんど冗談ですから」
「ほとんどって事は本当の事も混ざってたって事だよね?」
「ええ。まぁ、何が本当なのか……それは、姫の心の中に答えがありますよ」
「えっと……夕ご飯食べちゃ駄目?」
「いいですよ。それは冗談の部分ですから」
「うん、それならいいや。で、話を戻すけど何でそんなに小さいの?」
「いえ、小さくなったら面白いかと思ったんですが……不便ですね。元に戻れませんし」
「ちょっと、永琳! 戻れないって何!?」
「いやぁ、小さくなってかつ、私に効く薬となるといくら天才の私と言っても中々難しいものでして。協力を仰いだんですよ」
「誰に?」
「八雲紫です」
「え、えええええええええ!?」

 私でもそんな冒険はしないと思う。
 さすが天才。とてもじゃないが私にはその思考が理解できない。

「で、そんなわけで解毒薬なんてものは存在しないわけですよ」
「ちょっと、待ってよ。じゃあどうやって戻るのよ!?」
「時間で戻ります。具体的に言えばあと2時間ぐらいですね」
「そう。なら、安心ね! ……ところで何であんな重箱の中に?」
「簡単です。重箱の中なら食べたい放題だと思ったからです」
「で、どうだったの?」
「大きすぎて食べにくかったですし、タレやソースがとてつもないトラップとして目の前に立ち塞がりました」
「さすがね、永琳。 小さくなったら、食べ放題を目指すなんてどこぞの亡霊姫レベルね!」
「姫、それは褒めてるのですか? けなしているのですか?」
「もちろん、けなしてるのよ! 天才とナントカは紙一重って言うけど、今の永琳は完全にナントカのほうね!」

 あはは、何だか私まで永琳に影響されちゃったのかしら?
 変な事を言ってるのはわかるけど、わかってもどうにもならないのよね。
 これが、元天才の話術……紙一重になっても、そこの部分は依然として衰えないとは凄いわね。

「この永琳、姫に一生お仕えしていく覚悟を持っているつもりでしたが、その言葉で心が変わりました。 永琳は出て行かせて貰います!!」
「待ってよ、永琳! 永琳がいないと私……」
「姫……」
「私、太っちゃうかもしれないじゃない!!」
「私はそれだけの価値しか無いんですか!!」
「そんなことないわよ。永琳にはもっと稼いで貰わないと。ほら、さっさと今月分の稼ぎを出しなさいよ!!」
「待ってください! それは今月のうどんげ達、イナバの食費なんです!!」
「うるさいわね! 今からコレを私が増やしてやるって言ってるのよ!!」
「姫、それでは飲んだくれの駄目オヤジです」
「なんですってー!? 私が、この気品溢れるこの私が駄目オヤジですってー!? いくら永琳でも言っていい事と悪い事があるのよ!!」

 そう言い、永琳の額に渾身のストレートを叩きこむ。

「痛いじゃないですか、姫」
「永琳がいけないのよ!! 私はアル中でもヤク中でもないわ!!」

 永琳を見上げながら言う。
 ……見上げながら?

「姫……とても言いにくいのですが」
「何よ? はっきり、言いなさい」
「私が元に戻りつつ、姫が縮んできています」
「な、何ですってー!?」

 辺りを見渡せば、周りのモノは軒並み大きくなっている。
 さらに言えば、私は今、重箱の中にいた。

「……姫、あと27時間もすれば元に戻ります。それにどうやら近くにいる誰かに症状をうつす事が出来て、うつせば自分は治るみたいですよ」
「ちょ、ちょっと永琳どういうことそれは!?  っていうか、これって薬じゃなかったの!?」
「いえ……私も知らなかった症状ですし……後学のために姫の事はじっくりと観察させていただくので安心してください」
「ちょっと待ってってば、永琳!!」
「……姫。私以外の誰かが被験体にならないと実験にならないじゃないですか」

 後ろを向きながら、そう小さく呟くとどこかへと、消える永琳。
 恐らくどこかで私の事を観察しているのだろう。



 あら、足音が聞こえるわね。
 そうね、この足音の主に声をかけてうつしてさっさと元に戻る事にしましょうか。














「あれ?」

 目の前にあったのは一つの重箱。
 どことなく、茜色っぽくって綺麗な模様が描かれていることを除けばごくごく普通の作りだと思う。
 きっと誰かが持って帰るのを忘れたんだろう。
 そう考えながら、重箱を持ち上げようと屈みこんだ時、目に飛び込んできた光景は常軌を逸していた。

「おはよう、イナバ」


喜劇は終わらない
蒼羽
http://sforzando.oboroduki.com/
作品情報
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最新
投稿日時:
2006/10/08 11:58:49
更新日時:
2006/10/11 02:58:49
評価:
0/0
POINT:
0
Rate:
5.00
1. 4 箱根細工 ■2006/10/28 03:20:49
まさに。
2. 5 翔菜 ■2006/10/28 04:20:54
まさに喜劇。傍から見ると愉快だけど当事者だと嫌になるわなぁw
3. 5 Fimeria ■2006/10/28 05:03:16
本当にヤゴコロ先生はナントカだな。
4. 5 爪影 ■2006/10/28 13:01:16
 とりあえず、優曇華南無三!
5. 3 らくがん屋 ■2006/10/28 15:01:37
テーマ処理が甘く、また文章が面白くない。描写少なすぎるし。
最後に重箱開けたのは鈴仙なんだろうけど、永琳輝夜と輝夜鈴仙では会話が全く別物になるはずだから、そこまで書いてさらに小さくなった鈴仙の苦悩までを書いて欲しかった。しかしそうすると尚更テーマから遠ざかる罠。
6. 3 2:23am ■2006/10/29 21:50:17
ネタとしてはよかったのですがちょっとオチが弱かったように思いましたね。
勢いで上がっていって最後の最後にガツンと落とす方がこういうネタはいいと思います。
7. 5 雨虎 ■2006/10/29 23:14:08
前半の語りは永琳の時間稼ぎだったのでしょうか。
だとすれば全て計算の内……。永琳、恐ろしい子w
果たしてこの喜劇はどこまでリンクするのか。
8. 4 nn ■2006/10/30 00:58:58
ちっちゃい永琳がちょっと可愛過ぎちゃって、他に目がいかない。。。
9. フリーレス サカタ ■2006/10/30 04:14:07
ネタ先行で面白みが少し足りないかと思います。もう少しドタバタを描いたほうが『喜劇』になったのではないかと。
あと、会話文がほとんどで地の文が少ないので、各キャラの動きや表情がいまいちつかめなかったです。
10. 3 おやつ ■2006/11/01 22:05:04
……マトリョーシカ的な物語、何処まで行くんでしょうねぇw
師匠と姫の紙一重な会話は面白かったです。
11. 5 椒良徳 ■2006/11/03 09:52:59
宇宙人たちの思考回路のアレさにくらくらしました。
紙一重ですらないですな。
12. 8 アティラリ ■2006/11/03 20:31:20
終わりが無いのが終わり
それがエーリン・ミニマムドラッグ・レクイエム……
13. 3 つくし ■2006/11/04 11:50:54
なんかもうどうしたもんやら(笑)。テンション高い状態がずぅっと続き、楽しめたのですが、どうせならただひとつドッカーンとくる必殺のギャグ、というか、おはなしの中心となるものが欲しかったように思います。てるよがなんか可愛かったです。
14. 5 as capable as a NAMELESS ■2006/11/04 13:52:57
小さいうどんg(ry
15. 9 ■2006/11/05 00:25:15
ノリのテンポがいいなwしかも、小さくなった輝夜を想像すると、あのAAがはまり過ぎて素晴らしい。
16. 3 復路鵜 ■2006/11/08 20:57:55
喜劇というか、、、、、ナンダコレ。
17. 3 たくじ ■2006/11/12 22:44:21
輝夜がツッコミ役にしかなってないような気がします。ていうか漫才なのかな?
18. 5 藤村うー ■2006/11/13 00:42:21
 笑った。
 ノリはよかったのですが、ループものとしては締めが緩いような気が致しました。ループものは、不気味さや怖さがあってのこそだと思うので。
 後半、会話のやりとりなど全体的な勢いが尻すぼみになってきたのが残念。
 案外、話が簡単に終わりを迎えるのも勿体ないような気もしました。時間制限のくくりを無くして、誰かにうつせば自分は治る、だけにした方が不気味さの観点からすれば話が引き締まったような感じが。
19. 2 いむぜん ■2006/11/15 20:06:51
……普通に流れて読み終わってしまった……
永琳と紫というギャグに使うなら反則級の事が出来る連中を担ぎ出しているんだから、大きい山場がひとつ欲しかった。
20. 4 反魂 ■2006/11/16 02:56:55
スゲエ。
なんだこの訳のわからなさは(笑)
何かもう、色々とぶっ飛ばされた気分です。つか深く考えたら負けな気がします。
これもまたSFなのか? SFなのかっ!?
21. 3 しかばね ■2006/11/16 18:59:35
ダメだ鈴仙! その重箱の中を見ちゃいかん!
22. 5 blankii ■2006/11/16 20:17:16
うわ、ループする。永遠亭の中で鬼をぐるぐる押し付けまわるのが眼に浮かんでしまった。
23. 10 ABYSS ■2006/11/17 14:32:14
笑ったから私の完敗です。
連鎖オチも素敵です。
色々ぶっ飛んだところもありますが、ギャグならこれくらいやったほうがいいと思っているので全然オッケーです。
24. フリーレス 人比良 ■2006/11/17 20:28:47

話とオチは面白いのに、色々と思うものがあるのでこの点数。
しかし読みやすかったです。
25. 3 目問 ■2006/11/17 21:35:14
 勢い重視のギャグとしては、もう少しキレが欲しかったかもしれません。
 ちっちゃくなったというネタで安易な萌え展開にしなかったのは評価できるところ……なのかな。
26. 7 K.M ■2006/11/17 21:52:07
時間切れまでエンドレスかよ!!うつせば治るって…紫さんもお茶目だね♪
27. 3 木村圭 ■2006/11/17 22:41:51
時間で治ってしまうと喜劇がそのうち終わってしまうのではないでしょうか……?
28. 2 時計屋 ■2006/11/17 22:41:58
小さくなったことが話の大筋に生かされてないような。
もうちょっと笑わせてくれると良かった。
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