おまえあたまいいな。

作品集: 最新 投稿日時: 2006/10/18 12:10:21 更新日時: 2006/12/07 17:58:25 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00













『秘密』




 それは小さな秘密、叶うか分からぬ小さな秘密。

 小さな身体の恋娘、小さな氷精恋娘。

 その身体には大きすぎる恋心、相手も分からぬ恋心。

 その秘密が届くのは、表さぬ内は二分の一。

 小さな秘密のシュレーディンガー。


「ぶんぶん、あのね」
「はい? どうかしましたか、チルノさん」
「――大好き!」


 開けたら猫は死ぬもので。

 黒い翼の猫さん、鼻血噴出し死にました。









『密室』



 それは完全なる密室、開くこと叶わぬ密室。

 ノックをしても返事は無い、中に閉じこもる人物は、果たして生きているのだろうか。

 もしも、その密室を開けたのなら、彼女は何を目にするのだろう。

 開かぬうちはどんなことも起こり得る。

 完全なる密室のシュレーディンガー。


「咲夜さん、入りますよー」
「着替え中」


 開けたら猫は殺されて。

 龍の猫さん、完全瀟洒な密室殺人。









『残り物』『糸』




 それは危険な残り物、古くて微妙な残り物。

 匂いに異常はありません、色に異常はありません。

 空腹巫女に残り物、地獄に落とされた糸は天へ続くか奈落へ続くか。

 試さなければどちらも分からぬ。

 空腹と残り物のシュレーディンガー。


「……腐っても鯛」


 試せば猫は死んでいた。

 それでも平気な紅白の猫、そんな彼女は無重力。









『旅』『一瞬』




 それは久しく楽しい旅、未知の場所へと続く旅。

 主を見限り行き着く先は、未知の道なる闇の中。

 風の吹くまま先は分からぬ。

 半分幽霊のシュレーディンガー。


「あら妖夢、何処に行く気だったの?」


 開ける前から猫は死んでいた。

 聡明主に仕える子猫、一瞬でさえ逃げることなど叶わない。








『うた』『60』




 それはうた、六十に一度の循環に送られるうた。

 罪を吸う紫の桜へと、慈悲深い閻魔が私事として送るうた。

 それが届くかは分からない、裁きの時まで彼らの罪は不確定。

 ならば、部下を待つしばしの間、罪人にも微かな安らぎを与えよう。

 優しい閻魔のシュレーディンガー。


「うぅ……優しいのは分かるけど、あの音痴はどうにかしてもらいたいねぇ」


 それでも猫は生きていた。

 少し音痴な擦れ声の猫、歌は心と巧く言う。









『鏡』『目』




 それは古くて小さな鏡、己を映さぬ不思議な鏡。

 自身から生れ落ちたその姿、似通うこと無きその姿。

 救うことなどできない、ただその目で見守るだけだ。

 この先永くを行く娘、今は孤独な我が娘。

 子を想う母のシュレーディンガー。


「アリスちゃん、誰なの! その黒いのは誰なのよっ!」
「神綺様、仕事が溜まっているのですが――」
「女同士なんて不潔だわ! ママ許さないんだからっ!」
「――いいから働いてください!」


 未だ開かぬ箱の猫、きっと生きてるその姿。

 子離れできない母親猫、箱が開く時を待っている。








『幻』『夢』



 それは儚い幻、誰かが触れれば壊れる幻。

 容を得た幻は、魅入る者を離さぬ幻想と成る。

 それは果たして夢か幻か。

 虚像に映った愛は不確定。

 少女と人形のシュレーディンガー。


「魔理沙、あなたを永久に離さない……」


 死んだ猫さえ生きて見えた。

 大きな人形抱いた猫、夢幻を愛して独りで眠る。









『遊び』『業』



 それは深き業の遊び、無知な少女の無垢なる遊び。

 永久に続くことはない、遊びの時間。

 広がる紅のその意味は。

 救いの手はまだ来ない、この先来るかも決まっていない。

 狂気の少女のシュレーディンガー。


「あぁ、もう壊れちゃったの?」


 無垢な心は猫の死を知ろうとしない。

 完全なる無知に狂う猫、背負うべき業さえ教わることはない。









『雨』『空』




 それは優しく残酷な雨空、静かに永久に止まない雨空。

 止むか止まぬか分からぬ雨、上がらぬ内は外には出れない。

 開ける前から止まないことを知っている。

 それでも、空の向こうは見えない限りは解らない。

 紅の娘のシュレーディンガー。


「妹様ー、おやつの時間ですよ」
「――美鈴?」
「はい、月も綺麗ですし、お嬢様とテラスで食べましょうね」


 微かに猫は生きていた。

 晴れた夜空に笑顔の子猫、小さな箱から抜け出した。










『一』『手紙』



 それは一つの手紙、永遠を敵対する者からの手紙。

 開かねば込められた思いは分からない、伝わることすらない。

 それを開き何を想うのか、開けるかさえ分からない不確定。

 二度はない一つの手紙の生死はどちらか。

 姫と蓬莱のシュレーディンガー。


 “ばーか。  by妹紅”


 猫のいない箱の中、生死さえもそこにはない。

 永久を生き続けた猫、今日もお前の死で満干全席だ。









『箱』




 それは中身の定まらない不確定な世界。

 その手で開き、観測した時初めてカタチを成す世界。

 中身は生きているのか、死んでいるのか。

 手にしたあなたのシュレーディンガー。


「とりあえず橙でも入れましょうか」
「――やめてください紫様!」


 猫の生死はあなたが決める。

 全てのことは箱の中。















■ 東方SSコンペ企画・運営スレ3


892 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/09/14(木) 10:57:29 [ yeDMwv66 ]

 いいこと思いついた、お題候補が全部入った作品を書けばいいんだ

 御免、多分無理


893 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/09/14(木) 15:30:58 [ HIlk492I ]

 >>892
 おまえあたまいいな
眼帯兎
http://arukadesu.hp.infoseek.co.jp/
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投稿日時:
2006/10/18 12:10:21
更新日時:
2006/12/07 17:58:25
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1. 5 sokku ■2006/10/28 01:44:31
ナイイマタアエマオ! 世界は反転する!
2. 10 a ■2006/10/28 02:07:11
なんかわけわからん点数を投稿してしまったような気がする
3. 3 翔菜 ■2006/10/28 02:53:57
まさか本当に全部入れてくるとは思わなんだwww
4. 4 箱根細工 ■2006/10/28 04:21:31
そのわりに時間かかってますよね。
5. 6 床間たろひ ■2006/10/28 07:35:32
後書き見る前もこれいいなーと読んでましたが、後書き見て目ん玉落ちました。
天 才 現 る
だけど映姫は歌上手いよ! きっと……たぶん……
6. 4 らくがん屋 ■2006/10/28 14:31:05
オチで吹いてしまった自分は負け。なので5点にプラス1点。
しかし、しょっぱなの『秘密』で創想話での作者の設定を使っているのは明らかに減点対象。
某氏と違ってあからさまに過ぎるので、マイナス2点です。
7. 5 爪影 ■2006/10/29 03:02:20
 その発想、まさに当意即妙。
8. フリーレス サカタ ■2006/10/30 21:38:18
面白かったんですが、シュレーデンガーの猫を知らないとよく分からない作品ですね。1作品ごとが短く詩的なテンポなので、改行が生かされていると思います。
9. 5 2:23am ■2006/10/30 22:48:09
まさしくシュレーディンガー。多重空間、定まらない答え。
10. 6 nn ■2006/11/01 20:53:03
何というか、読んだ瞬間にどなたが書いたか分かりました。
いつもプチの方で楽しく読まさせて頂いております。
内容には関しては、合うシュレーディンガーと合わないシュレーディンガーがあった気がします。お題候補が全部入れるというコンセプトは挑戦的で素晴らしいと思いますが、その難易度の高さゆえに全体のレベルが低下していると思います。
11. 2 おやつ ■2006/11/01 22:54:22
……グッジョブw
12. 10 雨虎 ■2006/11/02 00:18:45
ちゃんと「箱」に要点をおきつつ、すべてのお題をクリアするとは。
タイトルもアイデアも、「おまえあたまいいな」 この一言に尽きる。
13. 6 椒良徳 ■2006/11/03 10:10:42
あんた頭いいな。
その行動力に乾杯。
14. 2 つくし ■2006/11/04 12:52:01
おまえあたまいいな。
さておき、お題候補全てというアイディアは評価するものの、作品としてみるとどうもインパクトに欠けるようです。なまじ数が多いだけにさらに分散しているような。
15. 10 as capable as a NAMELESS ■2006/11/05 10:53:06
19のお題をさらにシュレディンガーで縛り、中には『旅』『一瞬』や『遊び』『業』などありえない組み合わせまで。
正直参った。
16. 10 ■2006/11/10 01:27:47
凄ぇ…本当に片っ端から入れて、しかもメインお題に統一しおった。その発想力と根性とに、心から満点を差し上げます。

…ただ、神綺からアリスへの流れにちょっと激し過ぎるギャップがw
17. -3 匿名 ■2006/11/12 17:36:28
SSじゃないです
18. 5 たくじ ■2006/11/12 22:40:46
あとがきまで読んで、こういうことしちゃう人っているんだなぁと呆れました(ほめてます)。とは言えあとがき読まなければ気づきませんでし、やはりテーマは箱ですから、箱以外のエピソードは余計なものでしかないなぁと
19. 2 藤村うー ■2006/11/13 00:55:21
 出せばいいというものでもないですが……二ついっぺんに使っているところもありましたし。
 シュレーディンガーの箱、という言葉も形骸化しています。つまるところ、あまりにも箱が取って付けているから拭いようのない違和感が。
 フランだけでなく、他の段落にもっと繋がりがあればまた違った印象を覚えたような。一本一本が短く、それぞれに独立しているので、話としての密度が非常に薄いです。
20. 3 いむぜん ■2006/11/15 20:14:09
これ自体がネタなんだが、よくもまあこれだけ。

でも判定はむずかしいなぁ。
21. 3 反魂 ■2006/11/16 02:45:15
企画としては面白かったです。その実行力に拍手と敬意。
惜しむらくは一部シュレーディンガーから離れてしまっているストーリーがあることですが……まあ、贅沢は言えません。
22. 5 しかばね ■2006/11/16 19:55:31
……まさか……本当に実行するなんて……!
23. 5 blankii ■2006/11/16 20:21:50
スゲェ、の一言を送ります。加えて雰囲気があり過ぎ。凄い。
24. 8 ABYSS ■2006/11/16 21:41:45
本当にやったのですかあなた凄いですよ!
でも何個か理解できなかったのが残念です。主に私の頭が悪いせいなんですが。
ということで。

おまえあたまいいな。
25. 1 ルドルフとトラ猫 ■2006/11/17 15:44:08
頭よすぎて涙が止まらない
26. -2 人比良 ■2006/11/17 20:26:16

おまえあたまいいな。
27. 6 目問 ■2006/11/17 21:39:37
 あとがきで笑い、それから感心。おまえマジあたまいいな。
 あとしょっぱなのチルノの可愛さに危うくブーストがかかってしまいそうでした。いやかかってしまったのですが。
28. 3 木村圭 ■2006/11/17 22:44:41
チルノが可愛すぎてぎゅってしたいんですがどうしましょう。
29. 4 時計屋 ■2006/11/17 22:45:27
その発想と本当に実行してしまう気力に負けました。
いや内容も良かったですよ?
30. 9 K.M ■2006/11/17 22:52:35
独特リズムのシュレーディンガーの猫な連作、お見事でした。
そして作者メッセージ見て驚愕。
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