賽銭箱の九十九神

作品集: 最新 投稿日時: 2006/10/27 02:03:09 更新日時: 2006/10/29 17:03:09 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00
「よし、じゃあ今日はこれを入れるぜ」
「あ、まーりさー。牛乳キャップだけじゃなくこれもこれもー」
「おお、酒瓶の王冠か。硬貨に似ててナイスだぜ、萃香」

 魔理沙と萃香。この比較的良く神社で姿を見かける二人が博麗神社の境内にいた。
しかも賽銭箱の前で何かごそごそやっている。
彼女達の手を見ると、言葉に挙がっていた牛乳瓶のキャップや酒瓶の王冠を握っている。
そしてそれを当たり前のように賽銭箱の中に投入し、仲良く手を打つと、元気良く叫んだ。

「「どうかこの賽銭箱が未来永劫空っぽでありますように!!」」
「じゃかぁしいわぁー!」

 気合一閃。
どこからか猛烈なスピードですっ飛んできた霊夢が二人をハタキ倒す。
陰陽玉を握り締めた手で殴ったので、コンクリートの壁に頭をぶつけるのと等しい鈍い音が響き、
二人は地面に突っ伏した。

「よ、よう、霊夢…相変わらず賽銭の事になると超反応だな…」
「当たり前でしょ。こっちは生活かかってンのよ。
 いい加減冬も近付いてるから山菜や果物やキノコをもぎに行くのはしんどい季節だわ。
 だからなるべく現金か穀物の蓄えが無いと死ぬの。真剣に死に直面するの。
 分かる? もう腹が減ったとかそういう感覚を超越して、胃が痛くなるの。
 胃酸が胃を溶かしにかかるのよ。もうこうなったらとりあえずなんでもいいから口にしなきゃならないの。
 一昨年はそのへんに生えてる雑草とか木の皮を剥がして食べたわ。それぐらいの死活問題なの。
 なのにあなた達は何? 何すごい邪魔してるの? 遠回しな殺人予告?」

 一気にそうまくし立てながら、魔理沙と萃香の尻をぐりぐりと踏みつける。
魔理沙は本気ですまんごめんと謝っているが、萃香は何故か微妙に気持ち良さそうだったからやめた。
かわりに瓢箪をぶんどって逆さにし、無駄に酒をぶちまけてやる。

「ぎゃああ! なんて事すんのよー!」
「あなたにとってお酒は大好物…つまり命のようなものね。
 命が流れ出していく…空腹で動けなくなる…それはこういう気持ちなのよ、うふふふふふふ」

 霊夢は完璧にイッちゃった目で酒を撒き散らし続けている。結局それは萃香が泣いて謝るまで続いた。


***


「…で、なんで二人してこんな意味分かんない事してんのよ」
「うむ、それは話すと長いぜ」
「長ければ長いほどあんた達の苦痛が増すだけよ」
「一瞬で説明させていただきます」

 スペルカードを構えた霊夢の本気を悟り、魔理沙は態度を180度転換する。

「えーと、つまりだ…賽銭が無くてお前が悶え苦しむ姿をあの天狗が全世界に発信したら面白いかなーと。そういう好奇心」
「なるほど」
「以上」
「………え? それだけ? 本当にそれだけ?」
「「本当にそれだけ」」

 魔理沙と萃香がハモった。
それを聞いた霊夢は一瞬きょとんとしていたが、そのうちため息をつき、
「全く、しょうがないわね…」とばかりに表情を崩した。
二人はそれを見て助かったかと思ったが、次の瞬間、霊夢はこれまでに見た事が無いような明るい笑顔を浮かべた。

「…賽銭箱の角に頭ぶつけて死ね♪」

 魔理沙と萃香が頭に衝撃を感じたのはその台詞が終わるかどうかのところでだった。
霊夢は右手と左手でそれぞれ二人の頭を正面からホールドしたのである。
こめかみにガッチリと親指と中指がハマり、そう簡単に抜け出せそうに無かった。

「ちょ…おま…し、死ぬ! 賽銭箱の角に頭ぶつけたらマジで死ぬ!」
「やめて霊夢 霊夢やめて…って言うか何!? この握力何!? 私以上っぽいよこれ!?」

 萃香が喚く通り、二人の頭からはミシミシと危険な音がする。
だが霊夢はあくまで笑顔で、るんたったーと明るいメロディを口ずさみながら二人を持ち上げる。

「賽銭箱を笑う者は賽銭箱に泣く。つーか私が賽銭箱を使って泣かす」
「や、やめろ考え直せ霊夢! 泣く前に死ぬ! 死ぬから!」
「と言うか…頭ぶつけられる前に…割れる、かも…」

萃香は鬼の膂力全開で霊夢の腕を引き剥がそうとするが、ビクともしない。
そして生まれてきて初めて、圧倒的な存在に蹂躙される恐怖と言うものを感じた。
…これが、これが賽銭にかける博麗の巫女の情熱…! ただし悪い方向の…!

「それじゃあ二人とも、何か言い残す事は無い? 命乞いの内容次第では命は助けてやらないこともないわよ♪」
「怖えぇー! 霊夢怖えぇー!! ちょ、たすけ、マジでやめてくれ助けてくれ!
 今度はちゃんと来るたびに小銭入れるから! だから、な、な!? でも百円以上は勘弁な!」
「わ、私ももう無理に大宴会開けとか言わないから! 今度からは小規模宴会だけでいいって約束するからー!
 …あ、ただしお酒だけは豪華に――」
「判決死刑」

 二人の、命乞いと言うにはあまりに図々しい言葉についにキレたのか、霊夢は持ち上げた手を振り下ろした。
そして、魔理沙と萃香の後頭部を賽銭箱の角に本当に叩きつける―――!








 博麗神社周辺の全ての木から、鳥が一斉に飛び立った。








「う、ご、が、あぁあぁ…!」
「ひ、ひどっ…い、痛ぁ…!」

 哀れ賽銭箱の角に叩きつけられた二人は、後頭部を押さえながら神社の境内をごろごろ転がって悶絶していた。
二人とも漫画のように激しく出血しており、死んでいないのが不思議なほどだった。

「ほほう、まだ生きているとは小癪な小娘どもよ…まあよい、死ぬまで何度でも打ち付けてやろうぞ…!」
「なんか霊夢の口調変わってるー!」

 両手をわきわきさせながら近付いてくる霊夢から必死で逃げる。否、痛みのせいでほとんど這う程度の動きしか出来ない。
加えて、勝手に目から出る涙のせいで視界が定まらない。頭もぐるぐると回っているような感じがする。
何度も立ち上がろうとして失敗し、結局、匍匐前進のようにずりずりと移動する。
だが、背後から感じられる邪悪なオーラは速度を増して近付いてくる――!

「な…っ!?」

 しかし邪悪なオーラの発信源は霊夢ではなかった。霊夢もそのオーラが背後からやってくることに気付き、慌てて振り向いた。
視界に映るのは魔理沙と萃香の血に塗れた賽銭箱。その賽銭箱の周囲の風景が、ぐにゃりと歪んで見えるのだ…!

「な…何あれ…!?」

 霊夢の狼狽した声に気付いた匍匐ズは、頭を回して背後を見た。そこで霊夢と同じものを目撃する。
魔理沙も目を丸くしたが、萃香だけは冷静だった。

「あれは…九十九神!」
「知っているのか萃香」
「ええ…モノに宿る神様よ。どんな物でも大切に使い続ければ、それには神が宿るとされている。
 あれもその一種みたいね…。この神社と同じく発祥不明で、恐らくその時からずっと存在する賽銭箱。
 むしろ今まで顕現しなかったのが不思議なぐらいだわ」
「じゃあどうして今出てきたんだ…?」
「きっと血ね。私と魔理沙の血をひっかぶったのがきっかけになったに違いないわ。
 血はあなたたち魔法使いも、魔法の媒体として使う事が多いでしょ?」

 普段見せない萃香の真剣な表情と声に、霊夢までが思わず真面目に聞き入った。

「しかもあれは…九十九神として顕現する際、霊夢の負の感情をそのまま取り込んだみたいね…。
 まずいわ、あれほどの歴史物が邪神として降臨したらえらい事になるわよ」
「ど、どうにかして防ぐ方法は無いのかよ!?」
「無いわね…。せいぜい、邪神にならないよう祈るぐらいしか出来ないわ」

 萃香が言い終わると同時に、賽銭箱から吹き上がる邪悪なオーラの噴出量が一気に上がった。
それは賽銭箱を取り囲んで浮かび上がらせ、どんどん凝縮してゆく…!

「くっ…なんてプレッシャーだ…!」
「これは邪神確定ね…」
「…来る!?」

 霊夢がそう察知した瞬間だった。オーラが一気に賽銭箱目掛けて濃縮され、
直後に猛烈に発光した!

「きゃっ!?」
「うぉっ、まぶしっ!」
「目が、目がー!」

 3人は思わず目をつぶる。音は無く、ただ閃光だけがあたりを支配した。
たっぷり1分近くは光り続けていただろうか。それから徐々に光量は減衰し、なんとか目を開けられるぐらいになる。

「ど、どうなったの…!?」

 3人が恐る恐る目を開けると、そこには――――


 猛烈にポリゴン数をケチったような、四角形だけで構成された十メートル超の茶色いロボットのようなものが立っていた。

「「「………」」」

 あまりの出来事に3人とも思考停止し、死んだ魚のような目になる。
しかし霊夢がいち早く我に返り、そのロボットのようなものを構成しているパーツに気付いた。

「あれは…賽銭箱! 腕も足も体も頭も…全部巨大賽銭箱! 肩にぶら下がっている盾みたいなのも賽銭箱!」
「と言う事は…これは間違いなく賽銭箱の九十九神…!」
「賽銭箱の怨念が具現化したスーパーロボット…さしずめサイセンザイターってところね!? 黒くはないけど!」

 萃香が何故か得意げに命名すると同時に、サイセンザイターが動き出した。
10メートル超の巨躯が軽快に地を踏み、走る。

「お、おい、どこかに行っちまうぜ!」
「とにかく追いかけるわよ! …ったく、あんたら二人のせいで余計な手間が…!」

 霊夢は空を飛び、魔理沙はホウキにまたがり、萃香はそのホウキにぶら下がる。
空を飛んでの追跡劇だ。

「意外と早いわね…」
「あの巨体だからな。足のコンパスが段違いだぜ」

 サイセンザイターは、木をなぎ倒し、川を乗り越え、一直線にどこかに向かっているようだった。
途中、その巨体を見かけてちょっかいを出してきた氷精をパンチ一発で地面にめり込ませたり、
通行の邪魔になる大木を華麗なソバットで折り倒したりと凄まじい暴れっぷりだ。

「しかし一体何処へ向かっているんだ?」
「こっちの方向は…まさか…香霖堂!?」
「香霖堂って変な古物がいっぱいあるっていうワケわかんない店?」
「ええ。何故アレがそこに向かっているのかは分からないけど…」

 霊夢が推測したとおり、サイセンザイターの目的地は香霖堂だった。
その店舗の前で停止すると、力こぶを作るようなポーズを取って渋い男の声で咆哮した。

『サーイセーン!!』
「「「喋んの!?」」」

 3人同時に驚きの声。
しかし、更に信じられない事が起こったのは次の瞬間だった。
なんと、香霖堂の内側から窓や扉を突き破り、キラキラしたものがサイセンザイターの体を構成する賽銭箱に
吸い込まれていくではないか!!

「あれは…小銭!」

 そう、サイセンザイターは香霖堂からひたすら小銭を吸い取っていたのである。
店主の森近霖之助が慌てた様子で扉から飛び出してきて、悲鳴を上げる。

「ああ、やめろ! この1年コツコツ溜め続けた貯金を吸い取るのはやめてくれ! と言うか何だこいつは――!?
 と、とにかくやめてくれ! それが無いと来月のふんどしコンペに出れなくなる――!」
「「「いいぞサイセンザイターもっとやれ!!」」」

 空に浮かぶ3人娘の気持ちが一つになった。
中でも霊夢は黒い笑みを顔に貼り付け、ヒッヒッヒッと老婆の魔女のような笑い声を上げている。

「そうよ、いいわサイセンザイター…! その調子でこの幻想郷から小銭を全部巻き上げて、
 私の博麗神社に更なる発展を…!」

 やがて香霖堂から全ての小銭を吸い尽くしたサイセンザイターは、動きを停止した。
各部の賽銭箱からは、密度の低い小銭の音が聞こえてくる。
 霊夢はその肩に降り立ち、正方形の賽銭箱で構成されたサイセンザイターの頭に何事かささやく。

「…紅魔館あたりは金持ちっぽいわよね」
『サイセーン!』

 サイセンザイターはその言葉を受け、力強く咆哮。
そしてじゃらじゃらと小銭の音を立てながら次は紅魔館の方へと走り出した。

「なんてこった…! 霊夢まで奴の邪悪な波動に飲み込まれちまった!」
「…割と素だと思うのは私だけなのかしら」
「とにかく追撃だぜ」
「アンタのマスタースパーク使えば止められそうなもんだけど?」

 萃香が魔理沙にそう言うと、魔理沙は心底不思議そうな顔をして言った。

「…なんでこんな面白そうな事止める必要があるんだ?
 私の家には小銭なんか無いからな、自分に害が来ないなら楽しんで傍観するぜ」

 そしてサイセンザイターの後を追って飛び去った。
後には、来月のふんどしコンペの為に溜めていたお金を奪われた霖之助の、

「ノオオオオオオォォォォーーーーーーーッ!」

 悲痛な叫びだけが残った。


***


 紅魔館の門番、紅 美鈴は今日も退屈だった。
そもそも、ここに人が来ること自体稀であるし、もし来たとしてもそれは大抵黒い魔術師か、
あるいは正式にアポを取って訪ねてくるような連中ばかりである。
自分がカッコ良く活躍し、不法侵入者を撃退する。そんな見せ場は、ここで門番を勤め出してから一度も無い。
(門番なんて、何があっても「ここは吸血鬼の館、紅魔館だ」とだけ言ってればいいのかも…)
彼女がそんな諦念を抱きつつあった時、視線の先に妙な人影が見えた。
なんだか、全身にダンボールを被ったような小柄な人影である。
(…うっわ、何この怪しさ全開の奴…。これは門番としてと言うか、生き物として無視できないわ…)
そう思うと同時に、あんなサイコ野郎を捕まえたとあってはお手柄になるかもしれない。
もしかしたら天狗の新聞に載って、本名で報道されるかもしれないではないか。
ああ、実名報道万歳! 本名を載せない優しい新聞なんて要らない――!!

 彼女は脳内でそんな幸せな思考を組み立てた後、カッコ良く中国拳法の構えを取って堂々と叫んだ。

「ここは吸血鬼の館、紅魔館なるぞ! 貴様のような下賎の輩が足を踏み入れていいところではない!
 今すぐ引き返せ、さもないと…この紅 美鈴がお相手する!」

 後のインタビュー用に、あえてカッコいい口調。
そしてビシッとポーズ。

(決まった…。)

 美鈴が悦に浸っていると、人影の方向…遥か遠くから、聞いた事のある声が聞こえてきた。

「ふぅーん、威勢がいいのね。でも…無駄よ」

 何故声が遠くから聞こえてきたのか疑問に思ったが、
その疑問は一瞬で解けた。人影が地響きを立てつつ巨大化していったのである。
いや、と言うか、単に歩いて近づいてきただけなのだが。
そう、美鈴は遠近法で小さく見えた十メートル超のサイセンザイターに声をかけていたのである…!

「…な、な…」

 美鈴は、眼前にそびえ立つその巨体に腰を抜かしかけた。
体の各部が四角形の箱――賽銭箱だ――だけで構成された奇妙な人型の物体。
関節は明らかに曲がるはずが無い構成をしているのだが、しかし普通の人間と同じように動いている。

「な、なんじゃこりゃぁ――!?」

 あまりの驚きに口調が変わる。
そして見上げるその視線の先に、見知った紅白の色彩。

「は、博麗の巫女!? なんなのよそれ!?」
「今日は強奪役が魔理沙じゃなくてごめんなさいね。―――小銭、貰い受ける」

 霊夢が言うと、それに呼応するようにサイセンザイターが片足を上げた。
美鈴がそれを見て危険を感じるより早く、足が振り下ろされる。

「ギニャーーーーーー!」

 かくして、轟音と共に美鈴は地上絵となった。

「おーおー、相変わらずツイてない姉ちゃんだぜ…」
「相変わらず…ってその原因の8割ぐらいはアンタだと思うんだけど」

 その様子を見ていた傍観者の魔理沙と萃香が暢気に会話。

「しかしここには私とタメの魔法使いと、何よりあの怖いメイド長がいるからなぁ…。
 いくらあのサイセンザイターとは言え、苦戦は必至だぜ」
「…あの二人は…確かに怖いわね…ロイヤルフレアとか…ソウルスカルプチュアとか…」

 萃香は過去にあの二人と戦った事がある。結果は惨敗だった。
霊夢や魔理沙とも戦った事はあるが、紅魔館の連中は何か…怖さが違うのである。
それを思い出し、ぶるると体を震わせる。

「お、噂をすればあの二人が出てきたぜ」

 視線の先、紅魔館の入り口である重厚な樫の扉が開き、メイド長・十六夜 咲夜と
魔法使い・パチュリー=ノーレッジが飛び出してきた。

「何事なの!?」
「…何これ…」

 二人が目にしたのは、紅魔館と同じぐらいの高さをした四角い人影と、
地面にある見慣れぬ緑と紅色の地上絵。
地上絵の事は黙殺し、巨大な人影を注視する。

「あら、博麗の巫女じゃない。何? また私のレミリア様にちょっかい出しに来たの?」
「残念だけど今日は違うわ。今日は小銭をいただきに来たの」
「小銭…? 何をワケの分からない事を…」
「やっちゃえ、サイセンザイター!」

 咲夜の言葉が終わらないうちに、霊夢が号令をかける。
サイセンザイターは『サイセーン!』と一つ覚えの咆哮を上げ、小銭の吸引を始めた。

「くっ、一体何…を…?」
「ちょ、咲夜、服が!」

 パチュリーが指摘するとおり、咲夜の服のあちこちがびりびりと破れ始めた。
それに気付いて慌てて腕で体を隠すが、服の崩壊は止まらない。

「ああ、そういえばミスディレクション用のコインを体中に忍ばせてたんだっけ。
 ふふふ、さすがねサイセンザイター。あんな小銭にも気付くなんて!」

 霊夢が言う通り、咲夜の服の内側からコインが吸収されているので、
それに伴って服が破れていくのである。
同時に館の内部からもかなりの小銭が飛来し、窓を突き破ってサイセンザイターの賽銭箱に収まっていった。

「なんだか知らないけど――本を買う為のお金が吸い取られるのは気に食わないわ。
 止めさせてもらうわよ、巫女!」
「ああ大丈夫。高額紙幣とかには反応しないから」
「………全く、そうならそうと早く言いなさい…。無駄な労力使わせて…」
「自分に危害が加えられなかったらどうでもいいんですかパチュリー様…!?」
「まあ利己的なのが魔法使いだし、あんまり面倒な事に魔力使いたくないし」

 パチュリーはあっさりそう言うと、もうほとんどボロ布を纏っているのと変わりの無い姿になった咲夜の抗議を無視し、
館の中へと引っ込んでいった。
咲夜は一瞬唖然としたが、すぐにサイセンザイターに視線を戻す。

「おのれ…! こうなったら強制的にお引取り願うわ…!」

 服の成れの果てとなったボロ布のどこからかナイフを取り出す。
これだけズタボロになってもナイフだけは出てくるのが十六夜流瀟洒術。
そしてそのナイフを、渾身の力で投擲する。

「サイセンザイター!」
『サイセン!』

 ナイフは霊夢を狙っていた。だが、サイセンザイターは「合点!」と言わんばかりに
霊夢を肩に付いたシールド状の賽銭箱でガードした。
いかに咲夜のナイフと言えども、頑丈な賽銭箱に浅い角度で入ったナイフでは少し傷を付けるのがやっとだった。

「くっ…なんて防御力…!」
「フフフ、残念だったわね。小銭もいただいたし、次に向かいましょうサイセンザイター。
 …しかし思ったより少なかったわね、紅魔館の小銭。紙幣や宝石ばかりなのかしら。ブルジョワめ…」

 霊夢はぶつくさ言いながらも、賽銭箱に入っている小銭を見てにんまりする。
サイセンザイターはくるりと踵を返し、紅魔館を後にした。

「博麗の巫女め…なんというバケモノを…」

 十六夜 咲夜が悔しそうに呟き、そこに空中にいた萃香がすとんと飛び降りてきた。

「そのボロボロの姿。ナイスリョナ」

 それだけ言うと、また魔理沙の箒に掴まって飛び去って行った。


***


 それから、サイセンザイターと霊夢は暴虐の限りを尽くした。
ミスティアの鰻屋台から売り上げを吸い取り、マヨイガのわずかな蓄えを吸い取り、
人里からも無差別に小銭を吸い漁った。
人々は紙幣での買い物を余儀なくされ、わずかな小銭を持つ事にすら恐怖を感じるようになった。








 ――今、幻想郷から、小銭が潰えようとしていた。


***


 白玉楼奥の広間。
今ここは、多数の人間と妖怪で溢れかえっていた。
百年に一度あるか無いかの珍事に、白玉楼の主である幽々子と庭師の妖夢も驚いている。
その広間には、血文字のような赤でこう書かれた横断幕がかかっていた。

「サイセンザイターおよび凶悪腋巫女(紅白とも言う)対策本部」

 いかにサイセンザイターと言えども、あの巨体が邪魔をして
冥界に来るのは難しいらしかった。そこで不運にも、ここが対策本部として使われることになったのである。

「…幽々子様。何が起こってるんでしょう」
「…何か霊夢が暴れてるとは聞いたけど…」

 ざわ…ざわ…。
ひしめき合う人間と妖怪によって、部屋はかなりの雑音に支配されていた。
すぐ隣にいる者と会話するのでさえ、結構な声量を要求される。

「傾注(アテンション)!!」

 だが、そんな場に澄んだ女性の声が響き渡った。
声の主は、横断幕のすぐ下、上座に用意された席に座っている八雲 藍。実質、このサイセンザイター被害によって
最もダメージを被った者である。

 マヨイガの経済状況は、恐らく博麗神社の次ぐらいに悪い。
一人の働き手で三人もの妖怪を養わなくてはならない上、一人は育ち盛りの子供である。
中間管理職的立場である八雲 藍は、毎日金稼ぎに奔走していた。
しかし得られる資金は少なく、そのほとんどを小銭で貯金していたのが運の尽きだった。
八雲貯金は一瞬にしてそのほぼ全てがサイセンザイターに吸い尽くされ、
彼女達もまた冬を越すのが難しくなったのである。

 よって、この対策本部もほとんど彼女一人の働きによって設置されたと言っても過言ではない。
巧みに被害を受けた者を煽動し、鼓舞し、「サイセンザイターの暴虐を許すな」という風潮に持って行ったのである。
ちなみに彼女の両隣には、同じく著しい被害を受け、真っ先に藍に賛同した二人が座っていた。

 一人はふんどしコンペ出場を台無しにされた森近霖之助。
もう一人は、藍と同じく収入のほとんどを小銭でまかなっているミスティア=ローレライである。

 藍は、傾注の一言でその場にいた人々が静まり返り、自分に注意が向いたことを確認して続ける。

「本日は集まっていただき、まことに感謝します。さて、この中にいるのはあの暴虐巫女、
 およびサイセンザイターによって多大なる被害を受けた者ばかりです」

 そこで言葉を切り、ぐるりと室内を見回す。

「こんな事が許されるのだろうか!? たとえ小銭とは言え、いわれもなく盗まれる…許されるだろうか!」
「許さない!」「酷すぎる!」「妹紅との結婚資金を返せ!」「新聞の印刷費どうしてくれるのよ!」「そーなのかー!」

 聴衆が口々に不満を爆発させる。上手い煽動だ。
藍はそれをしばらく聞いた後、手の平を下に向けて上下させ、「静かに」とジェスチャーする。

「…そう、これは決して許されることではありません。我々は、なんとしても彼女達を止めなくてはなりません」
「でも、どうやって?」

 隣の霖之助が質問する。これも全て台本どおりの事だ。
藍は頷くと、聴衆の最前列にいたパチュリーから水晶玉を受け取った。

「まず皆さん、これを見てください」

 藍がそう言うと、水晶玉が光り、空中に映像が投影された。
サイセンザイターが紅魔館を襲った時の映像だ。
小銭を巻き上げ、踵を返して去っていくまでの様子が克明に映し出されている。

「この時のサイセンザイターの動き。これは、かなり初期に襲撃された時の映像です。
 紅魔館のパチュリー=ノーレッジ氏の協力で得られたものです。
 パチュリー氏には謝礼として、マヨイガの倉庫で埃を被っていたなんか読めない古文書を差し上げます」

 パチュリーが「おー」と小さく歓声を上げ、ぺちぺちと拍手する。
ぶっちゃけパチュリーはサイセンザイターなんてどうでも良かったのだが、
八雲 藍に「古文書あげるよ」と言われていきなり協力的になったのだ。

「さて、では次の映像をご覧ください。
 これは比較的末期に撮影された映像――アリス=マーガトロイドさんの協力で得られた映像です。
 初期と末期に襲撃された場に魔法使いがいたのは不幸中の幸いとしか言えません」

 藍が水晶玉を指で軽くつつくと、空中に投影される映像が変わった。
幻想郷のほぼ全域から小銭を吸い尽くしたサイセンザイターが、ついにアリスの家へと
なけなしの小銭を強奪しに行った時の映像である。
サイセンザイターは肩のシールド状賽銭箱を何故かアリスの家めがけて投げつけ、木っ端微塵にしていた。

 ちなみにこの時の攻撃でアリスは家無しになったが、
ご近所の仲ということで今は魔理沙の家に居候している。そしてどういうわけかその状態に非常に満足しているため、
この会場には出席していなかった。

「…これは…!」
「ええ。勘のいい方ならもうお気づきになったでしょう。
 ――サイセンザイターは、体内に大量の小銭を収納したため、明らかに動きが鈍くなっています」

 ざわ…ざわ…。
聴衆が再びざわめく。藍はまた「静かに」というジェスチャーをした後、続ける。

「サイセンザイターを止める方法は二つ。一つは、核となる賽銭箱…胴体の賽銭箱を破壊すること。
 しかしこれは、サイセンザイターの動きが鈍くなったとは言え容易ではありません。
 小銭を全力で死守しに来る博麗の巫女がいるからです。本気を出した彼女がいかに手強いか、
 この中にいる皆様ならご存知の方も多いでしょう」

 その通りだった。普段はマイペースで本気を出すことをしない博麗 霊夢だが、
ひとたび全力を出せば恐らくどんな存在でも太刀打ちできないだろう。
もし多数でかかって行っても、そもそもスペルカードによる弾幕バトルは1対1を想定しているものである。
連携が取れず、お互いの流れ弾に被弾するのが関の山に違いない。
したがって、真っ向勝負は論外だった。

「そしてもう一つの倒す方法が…核となる賽銭箱を満足させる事。
 あの九十九神は、強烈な負の思念で動いています。ですが、その思念が満足さえすれば
 雲散霧消し元に戻ります」
「それは確実なのかい?」
「確実です。様々な文献を調べ、また、私も式神としての見地からそうであると判断しました」
「しかし…満足させると言ってもどうやって?」

 藍が説明し、霖之助が質問する。これが流れになっていた。
ミスティアは…残念ながら理知的に振る舞えないので黙っているように厳命されている。非情である。

「満足させる方法は簡単です。あのサイセンザイターは、つまるところ、
 自分が…賽銭箱がいつも空っぽなのを気にして、それを満たそうとして行動している。つまり」
「サイセンザイターの体を構成する賽銭箱の全てを小銭で満たせばいいわけか!」

 おお、と聴衆が感嘆の声を上げる。

「だが…ちょっと待ってくれ。もはやそんな小銭、この幻想郷からかき集めたって無いんじゃないか?」
「そうです、ありません。そこで私は彼女に目をつけました」

 言いながら、藍が聴衆の一人をじっと見据える。
その人物は、全く話を聞いていない様子でぼりぼりと煎餅をかじっていた。
しかし、藍の視線に釣られて聴衆の殆どの視線が自分に集中したのに気付いて、びくりと体を震わせる。

「え? え? …何?」
「…そうか、小野塚小町!!」
「彼女の弾幕は小銭…なるほど、考えたな八雲の!」
「その通りです。そこの彼女は、弾幕として小銭を発生させる事が出来る稀有な存在。
 博麗の巫女がサイセンザイターの運動性低下に気付いて小銭吸引をやめようとも、
 強制的に賽銭箱に小銭を叩き込める。…そんな存在です。
 これは、サイセンザイターの動きが鈍くなっている今だからこそ実行できるのです」

 おおおおおおお!
まるで爆発でもしたかのように、聴衆が歓声を上げた。
その中心である小町は状況が分からないように、「え? え?」と疑問符を浮かべっぱなしである。

「小野塚小町」
「へ、へぁっ!?」
「…やってくれるな?」
「ええと、あの、いや、正直何も話聞いてなかったんだが…何を?」
「やってくれるな?」
「いやだから――」
「やってくれるな?」
「その――」
「つべこべ言うな」

 八雲 藍は百万ドルに匹敵するスマイル――ただし顔の影がやたら濃い――を浮かべて、言い切った。

「やれ」
「…わ、分かった。なんか知らないが、やろう」

 小町はその迫力に押され、ついそれを了承した。


***


「…本当にここでいいのか?」
「ああ、もうすぐサイセンザイターはここを通る。奴を見かけたら、とりあえず弾幕を張れ」
「分かった…でも報酬の話は本当なんだろうな」
「本当だ。既に君の上司には、1週間の休暇を了承してもらっている。
 それが私の部下に出来る善行ならと快く許可してもらえたよ」
「フッフッフ、それならやる気が出る…。ああ、ビバ1週間の休暇!」

 小町はうっとりして、体をくねくねと動かした。
隣に浮かぶ藍はその様子を半眼で見つめる。

「む。…来たぞ。それでは後は頼む」
「合点承知! この小町さんの超絶技巧、とくとご覧あれ!」

 藍は小町から離れ、近くの木の陰に潜んだ。それから間もなくして、地響きと共にサイセンザイターが現れる。
当然、その肩には霊夢の姿。

「あら、珍しいのが出てきたわね」
「フフフ、今日がアンタの年貢の納め時だ…!」

 言うなり、小町は初っ端から全力で小銭弾を放った。
低空を一瞬で小銭が埋め尽くし、霊夢がほとんど条件反射的に叫んだ。

「サイセンザイター!」
『サイセエエェェン!』

 サイセンザイターも、これまでで最大級の雄叫びで応える。
そして猛烈な勢いで小銭を吸収し始めた。

「募金ありがとうー! フフフ、初めて会った時からこのブルジョワ娘めいつかハタキ倒すと思ってたけど、
 アンタ実はいい人だったのね…!」
「今更この小野塚小町の魅力に気付いたか、鈍いよ紅白!」

 言いながら、小銭弾を更に増量する。
そして1分近くも全力で弾幕を放ち続けたが、サイセンザイターの吸引は止まらない。

「く、っ…はぁ、はぁ…どんだけ、底抜けなんだ…!」
「もうおしまい? これじゃ香霖堂で集めたお金の分にも満たないわよ」
「あのフンドシ馬鹿にも劣るだって…? なめるなーっ!」

 気合を入れると同時に、小町は体の内側から力が溢れてくるのを感じた。
おお、凄い。自分ってやれば出来るんじゃん。
 そう思いながら、なおも小銭を放ち続けた。


***


 その様子を、八雲 藍は木の陰から見守っていた。
手には吹き矢の筒が握られており、今しがた小町目掛けて発射し、当たったところだった。

「永遠亭謹製の超即効性滋養強壮剤付き吹き矢…。打てばたちまち元気になり、そのパワーは24時間継続する。
 だが、その代償として1週間は立つ事すらままならなくなる。
 すまないな小町。お前の休暇1週間は療養に使ってくれ」

 吹き矢の筒を投げ捨てると、藍ははらはらと涙を流しながら言った。

「これも全て橙の為なんだ…許せ…!」


***


「ん…?」

 霊夢はサイセンザイターに違和感を感じた。
何か、少し腰をかがめたような気がしたのである。様子を見るため下に視線をやると、

「これは…!」

 サイセンザイターの足が地面にめり込んでいた。
多量の小銭の重量で、動きがままならなくなっていきてるのだ…!

「サイセンザイター! 吸引をやめなさい!」
『サイセンッ!』
「ふ、遅いよ紅白。サイセンザイターの動き、もはやハエが止まるよ!」

 言いながら、動く。サイセンザイターの体の隙間を縫うようにして、
各賽銭箱に小銭を叩き込んでいく。
既にほぼ満杯になっていた賽銭箱は、あっという間に満たされてゆく。

「くっ……。でもいいわ。それだけ私がお金持ちになってるって事だもの!
 足場がヤバいなら結界で固めつつ、しっかりした場所に出るまでよ!」
「ところがどっこい、そうはいかない。…九十九神には満足してもらって、ここでご退場願うのさ」
「なんですって…?」

 霊夢が怪訝そうな顔をした時、その眼前に小町が飛び上がった。
残る賽銭箱は、胴体を構成する一番大きいものだけだ…!

「これでぇ、ラストォォォー!」

 小町は、これまでで一番密度の高い弾幕をサイセンザイターに放った。
その胴体もあっという間に小銭で満たされる。

「…これが何だって言うのよ。こんなの――」
『オオ、オオオ――!』
「!?」

 サイセンザイターが唸り声を上げた。
しかし、苦しそうな声ではない。まるで老人のようなしゃがれたその声は、
感激にむせび泣くような声をしている。
どすんと膝(?)をつき、天を仰ぐようなポーズになるサイセンザイター。

『苦節数百年…ついに…ついに私が満たされる時が来た…!
 思えば生まれて一度も満たされることが無かった私だが…ついに…ついに悲願叶ったり…!』

 サイセンザイターの全身が、光に包まれていく。
霊夢は悟った。サイセンザイターが消えようとしている事を。
慌てて胴体の中央あたり、「賽銭」の文字が書かれている核と思しき部分に向けて飛び、声をかける。

「な、何を馬鹿な事を言ってるのよ!? 消えないでよ! 消えたら私…冬を越せなくなるわ!」
『オォ…これでもう思い残すことは無い…!』
「私の小銭―――!!!」

 一際大きい光がサイセンザイターを包み込み、晴れた。
するとそこには、元となった賽銭箱と、無数の小銭だけが宙に残った。
そして霊夢は、

「ひぎいいいぃぃいぃぃぃぃ!?」

 サイセンザイターに密着していたが為に、小銭の崩落に巻き込まれて消えていった。

「…数千万ギル分のぜになげに匹敵するダメージだな、あれは…」

 小町はぞっとする思いで、その様子を見届けた。


***


「お? なんだ、結構入ってるじゃないか」

 あの事件の終結から一ヶ月が過ぎた。
幻想郷は小銭が戻ったことで一応の平穏を取り戻し、元の姿になっていた。
ただし小町は薬の副作用のおかげで今も時々妙に体がだるくなる事があるらしい。実にご愁傷様だ。

 霊夢は、小銭の山の中から発掘された時にはほとんど瀕死だった。
それと同時に、あの九十九神によって半分ぐらいは操られていた事も判明した。
よって無罪、という訳には行かなかったが…酌量の余地は残された。
結局、彼女は一ヶ月がかりで壊した建物の修繕に駆け回る羽目になったが、
それだけで許してもらえることとなった。

 そして冬の色も濃くなってきた現在、騒ぎの元となった賽銭箱は再び博麗神社に鎮座していた。
しかもその中は空っぽではない。満タンには程遠いが、ある程度の小銭が入っている。

「あの事件以来みんな懲りたのか、それとも再び事件を起こさない為か…
 賽銭を入れるようになってくれたのよ。実に助かるわ」

 まだ完全に傷の癒えていない霊夢が、境内の落ち葉拾いをしつつ答える。
あの後賽銭箱を壊すべきという意見も出たが、「壊したら呪われそうで怖い」
という意見が尊重され、博麗神社に戻された。
それからは、事件の再発を防ぐ意味でかきちんと賽銭を入れていく人が増えたのだ。
恐らく、小銭だけであのような事態が未然に回避できるなら安いものだと思ったのだろう。

「しっかし本当迷惑な事件だったよな」
「アンタはずっと上空から眺めてただけのくせに何言ってんのよ」
「アリスの家が襲撃された時、いい薬草の採集地が踏み潰されたぜ」
「う…それは…悪かったわね」

 霊夢も、賽銭が入るようになったおかげで強引な取り立てをしなくなった。
今までは、神社を訪れた者に「素敵な賽銭箱はここよ」と声を掛けまくっていたのだが、
それも鳴りを潜めるようになった。

「まあでも確かに、私はほとんど外野みたいなもんだったからな…。
 ほとんどゲラゲラ笑ってた記憶しか無いぜ」
「本当、気楽よね…」

 半ば呆れる霊夢。そこに、元気な声と姿が乱入した。

「霊夢霊夢ー! 神社の裏の倉庫でこんなん見っけたー!」

 萃香だ。魔理沙と同じように傍観に徹していた彼女は、
宴会があるたびに今回の話を面白おかしく脚色して話をし、場を沸かせている。
霊夢も本当は怒りたいのだろうが、自分が原因だっただけに強く言えないでいるらしかった。

 その萃香が抱えていたのは、大きな賽銭箱だった。
今境内で鎮座している賽銭箱とほとんど変わらない外見のもの。
強いて言えば、こちらの方が若干新しく見えるだろうか。

「お? 賽銭箱が2つ。なんだこりゃ?」
「ああ、予備ねこれは。新年とか、あっちの一つじゃ足りなくなった時に使うやつだわ。
 と言っても私の代で使ったことは無いけど」
「ほー。そんなのがあったんだな。どれ、ちょっとこの五円を、とりゃっ」

 ちゃりーん。
そんな典型的な音を立てて、魔理沙の投げた硬貨は予備の賽銭箱に入った。

『…サイセーン…』
「「「…む?」」」

 何か声が聞こえたような気がした。
訝しむ3人の前で、予備の賽銭箱の周囲がぐにゃりと――――





タイトルと違って中身は馬鹿全開でごめんなさい。
文章はノリと勢いだけで。
2流か3流ぐらいのギャグ目指して書いてみました。
ほんの少しでも笑っていただけたらとても嬉しく思います。

最後になりましたが、このような拙い駄文を最後まで読んでいただいた方に、無上の感謝を。
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2006/10/27 02:03:09
更新日時:
2006/10/29 17:03:09
評価:
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5.00
1. -1 箱根細工 ■2006/10/29 03:54:32
色々と笑えませんでした。
2. 4 爪影 ■2006/10/29 20:49:12
 どうしても、霊夢が言い逃れをしたように見える……
3. 7 a ■2006/10/29 21:54:39
ほのぼのなんだぜ
4. 1 反魂 ■2006/10/30 02:31:31
仰るとおり、ノリだけで書きすぎです。ちょっと落ち着いて下さい。
いくら何でも東方のSSで「サイセーン!!」は無いでしょう。コメディSSを書くのはともかくとしても、もう少し何とかなりませんでしたか。要所で一発だけカマすネタとしてならいざ知らず、作中通じて始終サイセーンサイセーン連発された日には、さすがに興醒めします。
模範の小説書法に倣うなら色々と突っ込み所はあるにせよ、基礎的な文章力自体は決して低くないとお見受けしました。ですがこのノリでそれなりの物を完成させようとするには、やはりそれでも不足と言う他ありません。せめてオチでもう一捻りあれば、また読後感も変わったかもしれませんが。
5. 6 らくがん屋 ■2006/10/30 17:28:45
うーむ、由緒正しい馬鹿話といった風情漂う良作か。
ふんどしコンペには爆笑したものの、文章がちょっと好みから外れてて読みにくかったかな。
賽銭箱ネタだし、まあこの点数で。
6. 5 Fimeria ■2006/11/01 22:56:59
博麗霊夢の貧乏話。
非常に普遍的な二次設定ですがクスリと笑わせるネタを楽しめました。
ただ、少しインパクトに欠けるような気もします。
しかし、改行もしっかりしていて安心して読めましたし、箸休めには丁度良い作品でした。
7. フリーレス サカタ ■2006/11/02 16:08:40
勢いはありましたね。
会話文の前後の改行が読みづらかったです。あと3人の声がかさなるところとかも。
8. 5 椒良徳 ■2006/11/03 11:53:52
巨大ロボとは馬っ鹿だなあ。
そんなあんたが大好きだ!
9. 7 nn ■2006/11/03 22:34:44
構成、キャラクターの造形ともにしっかりしていて良い作品だったと思います。オチも丁度良く、最後までテンションの切れない素晴らしいギャグ作品だと感じました。正直ギャグが書けない私はこういったものをかける人を尊敬します。
10. 5 2:23am ■2006/11/05 02:09:32
笑わせてもらいました。ただちょっと中盤で勢いが弱まったような気もします。最後の最後まで突き抜けていたならもっとよかったですね。
11. 4 翔菜 ■2006/11/05 02:41:01
序盤と、中盤あたりの藍たちの対策本部は割と笑えたのですが間の展開がイマイチ、ノリきれませんでした。
詰まらないと言うほどではなく中途半端な感じ。

このあたりはネタが合うかどうかと言うのもあるのですが。
12. 8 ■2006/11/05 02:42:48
このお馬鹿!(ものすごい褒め言葉)いや、霊夢のアルカイックスマイルに笑った笑った。ご馳走様でした。
13. 6 つくし ■2006/11/06 21:40:57
賽銭箱ネタものとして何かやり遂げた感を読み取れる作品です。バカバカしさでいえば今回のこんぺで五本の指に入るような(誉め言葉)。楽しませて頂きました。
14. 3 おやつ ■2006/11/07 17:21:35
歴史は繰り返す。
もう少しこう……リミッターをぶっちぎって馬鹿にやってほしいと思いましたがそれもまた味かw
15. 5 たくじ ■2006/11/12 22:29:40
お馬鹿な展開に楽しませてもらいました。醜い霊夢と汚い藍がいい。
声をそろえるところでかぎ括弧を重ねる手法には違和感がありました。地の文で説明しているならそれで充分だと思うのですが。
16. 4 藤村うー ■2006/11/13 01:39:26
 容量以上に長く感じました。
 勢いとノリを重視したギャグでしたが、妙にまとまりはよかったような気がします。
 あと二次設定まみれなのが少し気になりました。特に霖之助のくだりとか。
17. 7 as capable as a NAMELESS ■2006/11/14 09:10:34
どう見ても素です。本(ry
18. 7 いむぜん ■2006/11/15 20:35:20
賽銭箱が暴れ出す。解決には小町。そして満たされて満足する。
なんだこの結婚式。
でも勢いとか規模のデカとか、馬鹿馬鹿しい(褒)ところも。面白かったです。
19. 8 ABYSS ■2006/11/16 19:09:29
笑えました。再発オチもなかなか素敵。
小町だけで解決できたのがちょっとん?と思いましたが。
流れもテンポも良い良作コメディだったと思います。
20. 6 blankii ■2006/11/16 20:52:14
やはり賽銭箱とこまっちゃんは相性が最良のようで。という訳で、夢のヴァケイションが本当に露と消えたのに涙。あと、GUN道ネタ(ですよね?)は、やっぱりきたかーと思いつつも吹いた。
21. 7 灰次郎 ■2006/11/17 02:12:59
ふんどしコンペにはそんなに金が掛かるのか
がんばれこーりん
22. 4 しかばね ■2006/11/17 03:34:48
>「小銭、貰い受ける」

やっている事のわりに格好良く聞こえるのは何故でしょうか。
紙幣は取れないあたりが物悲しいですね。
登場する面々が何気に外道でウケました。
23. フリーレス 人比良 ■2006/11/17 20:21:00

大変笑わせていただきました。
24. 4 目問 ■2006/11/17 21:52:03
 ここでも小町が銭投げて活躍してますが、彼女の銭は錬成してるものなのだろうか……
25. 2 木村圭 ■2006/11/17 22:50:18
ノリ不足。
26. 9 K.M ■2006/11/17 22:57:51
いやもう終始大笑いしました。

強いぞ霊夢のサイセンザイター!!
だが、あの賽銭箱九十九神が最後の一匹とは思えない…
27. 7 時計屋 ■2006/11/17 23:04:08
>『サーイセーン!!』
>「「「喋んの!?」」」
本コンペで一番笑った。
前半は非常に良かったんですが、後半がパワー不足に思えました。
オチも予想通りだったんで、もっと馬鹿っぽい方向に裏切ってほしかったです。
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