妹紅の生き方

作品集: 最新 投稿日時: 2006/10/28 06:42:32 更新日時: 2006/10/30 21:42:32 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00
 最近、竹林に人が良く来るようになった。とは言っても全員が全員普通の連中ではないし、人間だけでなく妖怪だって多い。この場合は、頭が良く物を話す妖怪ということになるか。巫女、魔法使い、隙間妖怪(胡散臭いとしか表現しようのない名前だ)、メイド、吸血鬼。エトセトラエトセトラ。こんな辺鄙な場所に来ようと思うほど魅力的な事柄があるのだろうか、と疑問に思ったが、考えるのも何なので特に考えずにおいた。それにつられて、私も竹林から良く外出するようになった。生活に必要なものは竹林とその近くで大体獲れたので、遠出することは何気に結構新鮮だった。こんな体でも面白いと思えたし、おそらくそれは良いことなのだろう。


 紅の館、巨大な鳥居の向こうにある神社、森の奥深くにある古風な家(古くさいとも言う)、遥か彼方にある冥界の亡霊屋敷。それぞれ目を見張るような建物や物体、現象も多かったし、事実目にするたびに驚いてもいたのだけれど、そもそも私自身が人から驚かれるような存在なので、自分でそう感じることがちょっと不思議だった。


 まあ、不死身の肉体なんてこの幻想郷の中でも結構珍しい(らしい)。果たして外の世界には何人私と同じような存在がいるのか、少しばかり疑問に思ったことがある。何せ幻想郷の中ですら私と同じようなのがあと二人いるのだ、中とはスケールも大違いの外となると一体どうなるのか見当もつかなかった。考えても仕方の無い疑問だったので、すぐに考えなくなったが。


 ふらふらと幻想郷の中を彷徨っている間、竹林近くにある村には一度も寄らなかった。そこは上白沢慧音が住んでいる所で、彼女からはよく訪ねてくれると嬉しいと言われていたものの、正直言えば絶対に行きたくはなかった。慧音と知り合う前に一度だけ行ったことがあるけれど、それからは二度と行く気がしない。多分これからも行くことなんて無いだろう。


 理由は簡単だった―――私が蓬莱人だと知るや否や、村人は私を鬼か悪魔のように攻撃しはじめたからだ。蓬莱人だと口にするまでは優しい態度だった。外から入った直後で飢え死にしかけていた私が真夜中に家を訪ねた時、文句一つ言わずに飯を出してくれたし、彼らの子供が着ていた服を私にくれようとしたのだから。彼らは良い人だった、善意の塊と言っても差し支えないような人たちだった。


 だがご飯を頂いた後に事情を話してから、それら全てが狂い始めた。村人(髪の毛を真っ白にした老人だった)は隅に立てかけてあった棒で私を激しく突き、使ったばかりの茶碗を投げつけた。バランスを崩して私が倒れると、戸の外に一気に蹴り出し、とてつもない音とともに戸を閉めた。閉めだされても尚事の真意が掴めていない私は必死に戸を開けて貰おうとしたが、中で閂か何かを掛けたのか開かなかった。
「帰れ帰れ帰れ帰れ帰れッ!!!」と老人は叫び続け、その声で他の村人達も起き出し始めた。


 これ以上ここにいると彼らが集まってきて、今よりも酷い目に遭うかもしれない―――私は山の中に逃げ込んだ。ぼろぼろの服で走り続けていると途中で途切れることなく涙が出てきて、竹林に入ると岩の陰に座り込んで、一晩中泣き明かした。それ以来村には行っていない。


 一体どうしてあそこまで蓬莱人を忌み嫌うのかと疑問に浮かんだこともあるのだが、それが分かった所でどうなるものでもない。この体質は最早一生消えないのだし、彼らが私に行なった仕打ちも消えるものではないのだ。昔の出来事なのだから耐えられるが、もし今同じことをされれば、私は不死鳥と一緒に村全体を焼き払うだろう。老人から女子供まで、皆殺しにするだろう。私は確かに蓬莱人だが、それ以前に普通の人間だ。人を好きになることもあるし、逆に叩き殺してやりたいほど憎むことだってあるのだ。


 竹林から出るようになっても、輝夜との殺し合いは続けた。夜でも昼間でも朝でも明け方でも、その気になればいつでも行なったし、場所は大体竹林か永遠亭だったが、気が向けば神社に湖の上に山の中に……どこでも行なった。その度に腕が飛んだり、指がちぎれたり、足を切断されたり、首を飛ばされたりした。すぐにその箇所が修復されたから、戦い続けるのに支障は無かった。


 それらの代償が翌日の筋肉痛だけなのだから、本当にお笑い種だった。


 週に二か三回程度それは行なわれ、今まででおそらく一万回以上は殺し合った……と思う。厳密に回数を数えているわけじゃないから、数千とも数万にも振り子は揺れそうだった。


 殺し合い、散歩、狩猟、家事、殺し合い、家事、散歩、殺し合い、狩猟。散歩……………


 こんな感じで私の日々は進んでいった。身体バランスなんて不便なものは不死身で丈夫で意味不明なこの体の中に存在しなかったため、気が向いた時に家事をして、気が向いた時に寝て、気が向いた時に何かを食べた。私の生活は不規則という言葉そのものだった。しかし一度も病気になんてならなかったし、夜眠れなくなるとか幻聴が聞こえるとか幻覚を見ると言った、精神的な体調不良も私には縁の無いものだった。卒中、肺病、結核、全ての致命的な病気は私の真横をかすめ通り、他の知らない誰かに激突していった。万事が万事順調に進んだ。


 どうせ永遠を過ごすんだから、どんな過ごし方をしたって自由だった。時間は無限にあるのだから、幾ら無駄遣いしたって誰も咎めやしない。ああいや慧音は少しぐらい咎めるだろうか。だからどうした? 人に指図をされたくらいで変えるようなものではない。


 全て順調。世は並べて事も無し。


 生きる、生きる、生きる、生きる、生きる、生きる、生きる。生き抜く。時たまどこかで寄り道をして、その際ちょっと死んでみる。それから復活し、生きる、生きる、生きる。


 この繰り返し。


 たまに、自分の人生とは箱に入った私そのものじゃないかと考える。狭い箱の中になんとか身体を押し込めて、上から蓋をしてもらって、バタン。真っ暗な中で一人きり、身動きできない中で、じっとそのまま。それが私の運命。輝夜? 永琳? あんなキチガイどもと私を一緒にしないで欲しい、これでも自分が人間という気概ぐらい持ち合わせている。ちょっと不死身になってしまった普通の人間、それが私だ。奴らは最初からおかしかった、異常だった、満月みたいに気が狂っていた。それに奴らは宇宙人なのだ。私はそうではない、ごくごく普通のどこにでもいるような人間、進むべき道を一本か二本、間違えてしまっただけだ。本質的にはあの村の奴ら、あれと同じなのだ。あそこまで蓬莱人に対する差別意識は持ち合わせていないけれども。


 兎に角、私は一人きりでこの長い人生を生き抜かなくてはならない。闇の中でも自分を見失わないように、心を保ちながら永遠を生き続けるべきなのだ。


 そういうこと。






 大きな出来事は何も無かった――少なくとも、私の記憶にすら残るほど非常に大規模な出来事は。永夜異変に大量の花が咲き乱れた時の騒ぎ、他にも色々と騒動があってその際知り合った奴らもいたのだが、生憎もう覚えていない。人間の脳みそというのは便利なもので、長く生きれば生きた分だけ情報を圧縮してくれるのだ(どっかの店の主人から、そんなことを聞いた覚えがある)。なので記憶が長すぎて脳みそがパンクすることはないし、もう不用だと思った情報は圧縮して忘却もしてくれる。言わば体内の浄化作用という奴だ。感覚的に分かるだけのものと、その理論についても知識を得ることには結構大きな違いがある。嗚呼、素晴らしき人生。


 ただし弊害(というか、生活する上での苦労)はあった。誰かと話をしている時、たまに、極たまにだったが、その人が誰なのか一瞬分からなくなった。例えば霊夢と話をしていると、その霊夢は果たして私の記憶にある少女の霊夢なのか、それとも目の前にいるべき大人としての霊夢なのか、もしくは私が気がつかなかっただけで、皺くちゃのばあさんみたいになっていた霊夢なのか、いやもしかしたら赤ん坊の時の霊夢かもしれないと、目の中でそういった姿がブレて、私は大きく混乱してしまうのだ。他の人間がそんな症状に罹ったなんてことは聞いたことがないから、多分私だけのものだろう。目を閉じて眉間に力を入れて、言う事を聞かない脳に鞭をくれてやればすぐに元の動きを始めるが、そうしているうちに相手が何らかの疑問を持つのは明らかだった――妹紅は一体何をしてるんだ? 変な病気にでも罹ったんじゃないのか、という風に。世間体的にそれはあまり良いものではない。


 唯一それが無いのは、相手が妖怪の時だけだった。吸血鬼、亡霊、それによく私の世話を焼いてくれる半獣。一応輝夜と永琳もそのカテゴリに含まれるんだろうか。彼女ら妖怪は人間よりも激しく体が変わることはないし、考えることにも変化を来たさない。とはいえ、彼らも長い時間が経てば変質してしまうし、最終的には消滅してしまう生き物なのだ。そういう意味からすれば、私と完全に対等なコミュニケーションの相手になれるのはあの宇宙人どもしかいないことは事実だった。


 勿論言語道断だ。あんなキチガイどもと仲良くお喋りして永遠を暮らすぐらいなら、永遠に身体を燃やされ続けた方がまだマシだった。私が彼女達と討論をする、そんな姿を想像することさえできない。


 それにしても、どうして私の脳みそは人間相手に混乱を引き起こしてしまうのだろうか。竹林の中にある小屋の中で、何回かその問題について真剣に考えたことがある。あまり他人に言うべき問題ではないように思えたので、私一人で考え続けた。家事もせず、獲物を獲るための狩猟もせず、日課というかライフワークである殺し合いもしないまま。運よくあいつらは襲い掛かってこなかった。私は座敷の上で寝転がって天井を見上げながら、ああでもないこうでもないと延々長い時間を考え続けた。


 三日三晩(だったと思う。一ヶ月とか二ヶ月も考えていたのなら慧音が様子を見に来るはずだ。彼女の来訪はある意味、時報代わりだった)考え続け、結論としては、他の知的生物とよく触れ合うようになったから――というものしか思いつかなかった。親しいと言える友人が慧音一人であるそれまでは、目だった症状が出てくることはなかった。永夜異変の際に私が人間と妖怪のコンビに出会ってから、この症状が表面化したように思えた。今まででは脳みそも活発化する必要が無かったのだろう。


 今この時から見ると、彼女らと出会うことができたのは、幸運なのか不運なのか分からなかった。出会う場合、出会わない場合、両方にも幸運と不運が存在しているように思えて、確実にこれだと決めることができなかった。


 まあ、長い目で見ていけば分かるようになるだろう。


 何せ時間は無限にある。






 ある朝、暇なのでぶらぶらと散歩していた。空を飛びつつ、今日も変わらず照りつけ続ける太陽の下を移動し、目に付いた場所に立ち寄る。着いたらそこにいる住民と世間話をして、茶か何かをご馳走してもらって、またどこかへ行く。飽きたら家に帰る積もりでいた。その後は……殺しあうか。向こうはいつでもやる気のようだし、こっちが望めばどんな時でも襲い掛かってくるだろう。本質的には、この殺し合いは私自身のやる気の問題とすら言っても良かった。


 森の上を飛んでいると、目線がある家を捉えた。森の中にあるこじんまりとした家、誰が住んでいたっけ、確かマーガトロイドか霧雨だ。まあいいや、ちょっとご馳走してもらおう。紅茶とか、ケーキとか。


 家の前に降りると、玄関前で呼び鈴を鳴らす。ちょっと待ってみたが返事が無いので、もう一回、もう一回、ついでにもう一回。


 返事は無い。無音。留守かと思って裏に回ると、窓を発見したのでカーテンの隙間からちょっと中を覗いてみる。本、何かの器具、本また本。大量に本が積み重ねられていて、陽光に照らされて埃がふわふわと舞っている。器具の方は実験でもするのか変な色の液体が溜められているが、そのままで放置されている。どうやらこの家の人間は整理が苦手らしい、と結論付ける。私でももう少し上手くできるぞ、これは。


 もう少し顔を押し付けて見ていると、隅っこの方に何かが見えた。目線をそっちにずらす。


 人の体だった。うつ伏せに倒れている。見た感じ動きは無い。つまり………


 考えるよりも先に、体が動いた。後ずさると護身用に常に持ち歩いている符を取り出して、手早く窓を叩き壊す。修理費とかそういうのは後で考えよう。人一人分の穴が開いたのでするりと入り込み、私はその人間に駆け寄った。あまり大きくも無い体を抱き起こす。


 目が閉じられたその顔は皺くちゃだった――誰だ、こいつ。私は最初にそう思った。顔には一本一本、年月の経過を示す皺が刻まれており、よく見れば手は痩せこけ、足も細い。彼女は典型的な、どこにでもいそうな老婆だった。はて、私の知り合いにこんなのはいただろうか? 頭の中を疑問が駆け巡るが、答えはさっぱり出てこない。そうなるとこの人間はどこから来た?


 このまま薄暗がりの中にいるのも何なので、外に運び出す。入ってきた窓から再び出ると、老婆の体を草むらの上に降ろす。もう一度顔を見てみたが、やはり見覚えは無い。そうしているうちに安否を確認しなければいけないことを思い出し、心臓に手を当てる。


 動いていない。


 手首の脈を診る。反応無し。首。反応無し。もう一度心臓。動きゼロ。念の為に口元に耳を澄ますが、呼吸音の一つも無い。


 結論として、この老婆は既に死んでいるようだった。そういえば、何気に体がひんやりしている。見た感じ腐っているようではないから、多分昨日のうちに死んだのだろう。最近は涼しいから、腐敗とかそういうのはもう少し先の筈だ。心臓発作とか卒中とか、そういう老人が罹り易い病気に違いない。


 この死体をどうするべきか悩んだが、とりあえず博麗神社に持っていってみることにした。私だけではどうしようもない類の問題だし、あの巫女に見てもらえればこの死体が誰なのか分かるだろう。ふとそう思った。


 死体を担ぎ上げて空に浮かび、神社へと飛び立つ。十分ほどでそこに着き、早速縁側に腰掛けていた巫女に話しかける。


「おーい霊夢、霊夢。ちょっと見て欲しいものがあるんだが」


 縁側で茶を啜りこんでいた巫女は、私の姿を見ると興味を惹かれたように顔を上げた。
「あら蓬莱人じゃない、ええと……こうやって会うのは始めまして、だっけ? それとももう自己紹介はしたかしら」


 私は最初、霊夢が言った意味が分からなかった。はじめまして? 何を言ってるんだ? 縁側で座り込んだままの少女は話を続けた。


「それに、霊夢っておばあちゃんの名前よ? 私はその娘の娘、要するに孫よ。えっと、あなたの名前何て言うんだったっけ? 藤原で合ってたと思うけど」


 あ、と思った。どこを探しても見つからなかったパズルのピースが暗闇から出てくると、音をたててはまり込み、ガチリと音を響かせる。そうだった、思い出した。なんで私は忘れていたんだろう?


 霊夢はもう死んでいた。正確には行方不明になった。ある日突然、忽然と姿を消して、博麗神社には巫女を務めていた女性の代わりに初めて出会った頃の霊夢みたいな、若々しい少女がそこにいて、様子を見に来た妖怪や人間を見ても平気な顔で茶を啜っていた。誰もが彼女を霊夢の生き写しであると断じた。


 彼女は自分が霊夢の娘と名乗り、もう彼女の母である霊夢は戻ってこないと、その場にいる全員に告げた。名前は……なんだったっけ。彼女も既にいないし、思い出すほどのものでもないだろう。今私の目の前にいる少女はその娘、一口で言えば霊夢の孫。祖母と比べれば少々顔つきが違うが、大まかな所ではどういうわけか霊夢そっくりだった。どこから拾ってきたのか本気で考えたこともあったし、慧音と議論してみたこともある。様々な事柄に物知りの彼女にも、どうやら分からないことのようだった。


 それから、それよりももっと重要なことに気がついた。私が背負っている死体。彼女について。どうして忘れることができるのか、馬鹿馬鹿しくなるほど単純明快な事実。霊夢について一緒にそれは闇の中から引きずり出されてきた。


 私が背負っていた彼女は魔法使い、どこかに消えた霊夢の事を案じながらも魔法の森に残り、実験と実践を繰り返し続けた人間。紅魔館で本を盗み、永遠亭で遺物を盗み、その他にも色々な場所から色々と盗んでいった人物。


 彼女の名前は霧雨魔理沙だった。






 魔理沙が死んでから、長い時間が経った。


 どのくらい経ったか忘れた。多分地形が結構変わったんじゃないかと思う。数え切れないほどの太陽が地平線から浮かび、沈み、雨が降ったり止んだり雪が降ったりたまに天災が起きたり、基本的にはその程度の変化しかなかった。大まかに言えば、何も変わらなかった。


 ぽつぽつと見知った顔が消えて、新しい顔が姿を見せ始める。人が倒れ、妖精が消滅し、妖怪が死ぬ。そしてどこか別の世界から赤ん坊がやってきて、何食わぬ顔で泣き声を上げ、この世界ですくすくと育っていく。どこもそうだった。どこかの裁判長は代変わりしたという噂を聞いたり、三途の川担当の死神が配置転換した話を聞いたり、どこかの元メイド長が病気で死んだことも聞いた。そういえば、鬼の姿を見なくなって随分経つ。死体があるとしても、残っているのだろうか? 何人かの葬儀には立ち会ったことがあるが、魔理沙の場合と同じく涙は出てこなかった。長い年月のうちに涙腺が枯れたのか、それとも蓬莱の薬を飲んだ時にそういう回路は死んでしまったのだろうか。


 妖怪ですら少しずつ姿かたちを変えて、思考構造を変化させはじめる。慧音もその点では同じで、彼女の場合は頭のリボンが一つから二つに増えた。本当に変わらないのは、私と輝夜、それに永琳だった。彼女達は絶対に変わらぬ姿でいたし、私達は変わらぬまま殺し合い続けた。いつもと同じように腕を斬り飛ばし、肺を焼き潰し、血管を切断し、狂ったまま動き続けた。気のせいか、前よりも頻度が上がった気がする。


 太陽は昇り続けた。虫は冬以外の季節では延々と鳴き続け、動物は冬になると冬眠をして、生き物は生活を営んでいた。ふとある時私は、自分自身が自然そのものになったように思えて、本当に自分の体が存在しているのか気になったため、何度か腕を切断してみたことがある。結果はいつも同じ、血がべしゃべしゃと跳ね飛んで、出血が酷すぎてショック状態に陥った私は意識を失い、気がつくと腕は元に戻っている。


 私はまだ、そこにあった。少なくとも肉体は。精神の方もまだあった…と思う。自信はちょっと無かった。


 箱という概念は、数年か数十年に一度、ひょこ、と顔を出した。依然として私は箱の中に閉じ込められており、その目はひたと闇を見据えている。自分自身の息遣いしか音は聞こえずに、壁の感触を確かめては、それが存在してざらざらしていることに何故か安心感を覚える。闇の中ではたまに消えた誰かの声が聞こえて、見かけなくなった誰かの姿が見えた。ほんの一瞬のことで、それはすぐに消えた。


 奇妙なことに、箱の中の闇はその濃度を濃くし始めているのではないかと、私は思い始めていた。
 





 永遠亭の兎が一匹、死んだことを輝夜から聞かされた。お互いに文字通りズタズタの状態で横たわっている時に、輝夜が口を開いたのだ。遠くの方では永琳が輝夜の治療薬を準備していた。


 死んだのは鈴仙という兎らしい。一度か二度は見たことがあった。外の世界で培ったのかよくわからないセンスの服を着て、内気というかいつもおどおどしていた感じの奴だった。何でも体が老いていた上に酷い病気に罹ってしまったせいで、あの薬師の手でも治すことができなかったらしい。暫くの間苦しみぬいてから、彼女は死んだということ。今では代わりにてゐとか言ったチビ兎が指揮を取っていることも聞いた。そういえば、てゐも黒髪の中に僅かながら白髪が混じっているような気がする。健康に気をつけている奴でも老化には勝てないということか。


 私はそれを聞いても何とも思わなかったが、輝夜はそれを口にした際、声が震えているような気がした。お前でも悲しいのか? ときつい皮肉をこめて一言コメントしてやると、輝夜は何も答えずに、ごろんと反対方向を向いた。ぼんやりと月夜を眺めていた私に少しして、どうなのかしらね、と輝夜がぽつりと言った。その声はまだ震えていた。私は起き上がると、竹林の家まで歩いていき、布団にくるまって眠り込んだ。


 それから、永遠亭の様子がちょっとずつ変わり始めた。あの鈴仙が死ぬまではなかったような変化と言って良かった。一言でそれを表現するのは難しい。


 輝夜は、建物の外に死んだ兎を磔にするようになった。どうしてそうするようになったのか、私自身が首を捻っても答えは出なかった。多分、なんとなくだろう。


 病気の兎、殺された兎、自然死の兎、あの殺し合いの後、何日かして気が向いたのでちょろっと様子を眺めると、何匹かの遺体が張り付けられているのが見えた。その脇では輝夜自らが指示をして、その横でもう一匹の兎を磔にさせようとしていた。てゐとかいった黒髪は何も言わなかったが、不満たらたらなのはその様子から明らかだった。面白そうなので、遠くから見守ることにした。


 数ある死体は建物の壁に張り付けられており、一輪車に乗せられているもう一匹も、おそらくそうなる予定なのだろう。四肢をだらんとさせて縁からぶら下がり、地面についた箇所は引きずられたせいなのか、土で汚れていた。一輪車の動きは遅々として進まなく、そのうちそれを引っ張っている兎がバランスを崩した。後ろで支えている兎もつられて倒れてしまい、一輪車に積み込まれている死体が地面の上に投げ出される。何もかもが嫌になったみたいに兎たちはのろのろと起き上がり、土の上の死体を持ち上げる。脇で監督していたてゐもそれを手伝った。一輪車にもう一度乗せると、輝夜が兎たちに何かしら言った。多分早くしなさいとかそんな類の言葉だろう。


 その言葉を聞いて、いきなり兎の一匹がキレた。死体を指差して何かしら喚き、輝夜に叫びたてている。詳しくは聞き取れなかったが、「どうしてこんなことをさせるんですか」という言葉だけは聞こえた。てゐは自分の主に暴言を吐き散らした兎を庇い、その口を無理矢理にでも閉ざさせようとしている。もう一匹の兎はこれから何が起こるのかを第六感で予測したように、輝夜たちの近くからゆっくりと離れはじめる。


 予想は当たった。


 輝夜は何も答えずにてゐと兎を引き離すと、不忠義者の兎の頭を斬り飛ばした。一瞬のことでよく見えなかったが、私でも避けられたかどうかわからないような見事な一撃だったと思う。兎の頭は吹っ飛び、竹に当たって下に落ちる。血がしゅわしゅわと断面から噴出していた。てゐが遅まきながら悲鳴を上げはじめる。


 それから死んだ兎が悪霊と化して乗り移ったように、輝夜が叫び始めた。その頃にはもう興味を無くして彼女たちから背を向けていたが、遠くまで行っても輝夜の叫びと悲鳴は聞こえ続けた。そこにいたのが慧音ならともかく、私は別に気にしなかった。


 聞こえるままに任せた。






 太陽が昇り、沈み、昇り、沈み、殺し合いは続けられた。今ではその頻度は殆ど毎日になっていたし、私や輝夜は一向にそれを気にしなかった。むしろ殺し合いの合間に生活を続けているような状態で、一旦家に帰って小休止を取ってからまた始める、ということもザラだった。一度輝夜が死体を磔にしている理由を聞いてみたことがあったが、回答として二百本ほどの光線を撃ち込まれた。それきり私は聞くことをやめた。


 多くの妖怪が生まれて、死んで、生まれて、死んで、また生まれる。人間に関してはいわずもがな。博麗神社の巫女は、今ではもう何代目だろう?


 ふと時間が空いた時に慧音の姿を見てないな、ということに気づいたので、久しぶりに慧音が住んでいる村へと行くことにした。私が経験したあの出来事は絶対に忘れられないが、それでも村人たちは忘れているかもしれない。時間とは本当にいい薬だ。


 村の入り口までくると、水が張ってある田んぼに石を投げて遊んでいるぼさぼさ髪の子供の姿が見えた。下に降りた後でおーい、と私が声をかけると、子供はこっちを向いて元気良く手を振った。第一印象良好。これなら上手く聞きだせるかもしれない。


 子供の所までやってくると、私は、慧音様は今家にいるかい? と聞いてみた。何でも慧音は村人たちの守護神扱いされているようで、まさに神様も同然の扱いを受けているからだ。本人がそれを嫌がっているため、他の村人と同じような生活を営んではいたが。まあとりあえず、慧音の存在を知らない村人はいない。


 だがその子供は、「けいねさま? だれそれ?」と答えた。


 喉のあたりがぐっと詰まって、次に何を言っていいか分からなくなる。がちがち、と何かが合致しようとする音が聞こえるが、決定的なものとは程遠い。何かが違う、何かがおかしい、そして私はそれを忘れている。遥か昔に同じような体験をしたことがあるだろうか? 思い出せない、あったかもしれない。無かったかもしれない。


「えっとだな、こんなスカートを履いてて、帽子を被ってて……」
 そこまで言ってから私は、自分で思うほど慧音の特徴を覚えていないことに気がついた。顔のつくりは? 体は? 満月の夜になると彼女は変わる。そう、そしてどうなる? 具体的にどうなる? 彼女は何なのか? どうして私は思い出せないのか? 今まで単に知らなかっただけか?


 それとも、忘れ果てているのか?


「…満月の夜にはな、角が生えるんだ。そう、角。分かるな?」
 頭に指を置いて、こういうものだ、と教える。私が覚えている特徴はこれで全部だ。これで脈が無いようなら、私は本気で考え込まなければならない。


「………うん、と……あ」
 子供はぽつりと言うと、頭を割って中身を取り出そうとするように、拳で額をたたき始める。コツコツと骨があたる音が聞こえるが、私はその音も気にならないほど緊張していることに気づく。どこか遠くで蛙か牛が鳴いているか、私にはどっちが鳴いているのか見分けもつかない。


「そうだ!」と子供はぱっと顔を輝かせて、私を見た。
「いた! その人いたよ、お姉ちゃん!!」


 盛大に安堵する。やはり慧音はいるのだ、実在の人物だ。私の頭が変になったわけでも何でもない、ただこの子が思い出すのが遅れただけなのだ。本当にそれだけだ。


「うん、それで「確かね、確かね、ばあちゃんから聞いたんだ、その人のこと! そうだよ、角が生えて僕たちの味方で、悪い妖怪から守ってくれるって!!」」


 ばあちゃん? 全く関係が無い筈なのに、どうしてこの子の祖母が出てくる?


 背筋を一筋の冷たいものが通り過ぎて、足元まで移動すると音もなく消えた。大きな痕を残しつつ。その痕はじわじわと広がり始めて、腹の中がずんと嫌なもので満たされ始める。


「えっとね、ずっと昔にその人がいたんだけどね、もう体が弱っちゃったから山の中に引っ込んで、今は空の中から僕たちを見守ってくれて……お姉ちゃん、どしたの?」


 体が弱って。山の中に引っ込んで。見守る。その単語が頭の中でぐるぐると動きつつ、やがてひゅんひゅんと回転し始める。高速で、音速で、光速で。子供が何かを言っているが、もう途中から聞こえなくなっている。私は自分の問題にしか目を向けていない。それしか向けられない。


 ぱん、と頭の中で猟銃を発射したような音がして、私は悲鳴を上げてしゃがみこんだ。子供がわっと驚いた声を上げて後ずさる。


 そうだった。そうだった。何で忘れていた? 何で知らなかった? 何で知らないでいられたんだこれを? 私はいったいどうなってしまっているんだ?


 慧音は死んだ。ずっと前に死んだ。体が弱って、私の小屋に移り住んで、何日も横になった後で死んだ。彼女は小屋の傍に埋めた。村に彼女は何かを言い残していたはずだ。そしてそれが子供の口から出てきたに過ぎない。


 死に際の慧音の顔が思い浮かぶ。私はその時には泣きながら慧音の手を握って、何事かを言っていた。そうだ、言った、確かにそうだ。言った筈だ。それに対して、彼女は何かを言っただろうか? 思い出せない。彼女の口が動いたのかどうか、頭の奥に引っ込んだままで出てこない。


 言わなかった。彼女は何も言わなかった。慧音は私の顔を見ていたのだ。


 その時の彼女は、ただ悲しそうな顔をしていた。これから窮地に放り出される者を哀れむような、そんな顔で、まるで死ぬのが彼女ではなくて私であるかのように。彼女はそんな顔を私に向けた。どうして? 自分がいなくなるから、唯一の友達がいなくなって私が寂しがると思うから?


 もしくは、こんな時が来ることを予期していたのか?


 記憶の混乱、精神の歪み、そういったものを。今の私に降りかかり始めているものを。違う違うそうではない既に私にそれは降りかかっている。寄生虫みたいに脳みそに取り付いて、私の心を食い始めている。いやもう食ってしまったのかもしれない。いつからだ? いつから私はそんなものに悩まされはじめた?


 思い出せなかった。多分あまりに古い。何万年か何十万年も前だろう。いや何百年? 何十年? 私は何歳だ? いつからここに来た? 幻想郷はいつからあった? どうしてここに来た? 蓬莱の薬を飲んで他の人と一緒に生活できなくなって逃げてきたそうだ蓬莱の薬は何時ごろ作られて何時ごろ私が飲んだんだそれを私はそれをいつ―――


 疑問、疑問、尽きない疑問。無限に湧き出る疑問。無限にある時間。無限。全てが無限。壊れ始めても尚、修復不能に悩まされても尚。


 ふと気がつく――永遠とはこれだ。こういうものなのだ。とても人の手に負える代物ではない。いや妖怪でも、それこそ宇宙人の手にも余るもの。神という想像上の存在でなければ扱いこなすことなんて不可能だ。それ以外の誰にだってそれは襲い掛かってくる。噛み千切られ、咀嚼されて、どんな奴でも最後には悲鳴をあげるしかない。


 人間の精神で永遠に身を任せた結果はこれだった。精神障害、心の歪み、何とでも表現できる。端的に言えばあれだ。そうだ。


 狂気。


 間断なく私に襲い掛かってきた思考の波が一時引いたので、ようやく顔を上げることができた。既に子供はいなくなっていた。


 その代わり、鍬や猟銃、刀を持った村人の集団が私の目の前にいた。殺気に満ちた顔で全員が私を睨み付け、襲い掛かるべきその時を待っていた。私が顔を上げたその途端、彼らは怒号とも悲鳴ともつかない声をあげて襲い掛かってくる。彼らが何故襲い掛かってくるのかは分からなかったが、その様を見て、自分が今何をしなければいけないのかを理解することができた。恐怖や逡巡、憎悪は寸分たりとも無かった。


 私は安心していた。今はこれだけを考えていればいいからだ。


 先頭の一人が放つ一撃を軽くいなすと、バックステップして不死鳥を呼び出し、一気に空へと浮かぶ。村人たちは何事かを叫びたてて、私に銃を向ける。


 銃弾が発射されるより早く、私は火炎弾を村人の群れに撃ち込んだ。炎に包まれ、盛大なる悲鳴とともに武器を放り出して彼らが逃げ出し始め、何人かが既に火達磨になっている。私は追撃の手を緩めなかった。


 撃った。


 撃った。


 撃った。


 撃ちまくった。


 何発も弾をぶち込み続け、何人、何十人の人間が悲鳴や怒号とともに焼けて倒れる。動くものがいなくなった後で、家に、田んぼに、牛に、目に付くもの全てに弾を撃ち込む。


 地面の上に焼け焦げた物体しか見えなくなるまで私はそうした。その間中ずっと自分が笑い続けていたことは、後で気づいた。


 その日、最終的に私は一つの村を焼いた。


 私の所に巫女は来なかった。もう代は絶えていたのかもしれない。そうでないかもしれない。


 どうでもいいことだ。






 血、肉、炎、弾、輝夜、殺しあう。殺しあう、日々。数え切れないほどの太陽、樹木、雑草、輝夜、全て。無限大の世界。全ては無限に広がる。永遠の中では全てが永遠。


 川みたいな流れの中で、あの黒髪兎が磔にされている映像が見える。どんな粗相をしたのか全身をバラバラにされて、手足や胴体が別々にぶら下がっている。あれ、それだと磔にならない? どうだろう? まあいいや。見つけたので体を燃やす。いい音だった。匂いもした。悪くない。燃えるのはいいことだ。複雑なものも絡み合った事象もそれで同じ、ただの燃えカスになる。


 箱。そうだ、私は箱の中にいる。ぎっちりと外からきつく密封されていて、中でどんなに暴れても壊れないし破れもしない檻。いずれ力尽きた私はそのままでいることを選ぶ(選んだ??)。壁を引っかき続けた手は爪が剥がれて血みどろになり、一定以上同じ姿勢を保ち続けた体は悲鳴をあげている。だがそんなことは関係ない。


 私は闇を見つめる。そうするしかないからだ。見つめ続け、見つめ続け、いつの日か、闇自身が私を見つめていることにも気づく。闇は私を見つめ、私も見つめ返す。そのうち闇は体の中にじわじわと入り込んで、私は闇のことをそれほど嫌いでもなくなる。いや、むしろいい関係を保つことができるかもしれない。折り合い。そういうもの。いずれ私も闇になる。闇の中で、次にここへ入り込む人間を待ち続ける。ここはそういう所。箱とはそれだ。


 どうしてあの村人たちが私を忌避し続けたのか、なんとなく分かった気がした。






 地面、輝夜、殺し合い。幻想郷。世界はまだそこにある。あり続ける。それこそが世界。でも世界が消えても私は存在し続ける。そういう運命、身体構造、運命構造。


 殺し合う。


 毎分毎秒毎時間毎に殺し合いを行う。長い時間が経ち、もう輝夜は輝夜ではなくなっている。彼女は輝夜以外の何か、歪みきった心、体、変わり果てた物体、抜け殻? 残骸? どうでもいい。私は続ける。殺し合いを続ける。そうでないと……………さて、なんだろう。まあいい。永琳の姿はいつも輝夜の横にある。いつもの風景、いつもの光景、いつもの情景。全てが始まる前から私たちはそうやっていたように思える。いやはや、変わらないって素晴らしいじゃないか。


 これが私の日常、ここが天国でも地獄でもこれが一生続く。一生? いやいや違う、永遠だ。永遠に続く。素晴らしい。生きているって素晴らしい。これこそ楽園。がっちりと固定され、終わりの無いレールの上をぐんぐん進み続ける。それこそ終点なんてない。同じレールをずっとずっとずっとずっとずっとずっと進み続ける。終わりが無いのが終わり。私は抜け出せない深みにはまってしまった。後は空を見上げるだけ。見上げて見上げて見上げ続けて、ずっと続く。


 私は生き続ける。この日常を繰り返し続ける。他がどうなったとしても。世界が消えたとしても。私は殺し合いを続ける。続けなければならない。


 たとえ気が狂っていても。


 何かを考えて、感じて、そうした一切ができなくなったとしても。


 それこそが永遠。
以前に、地獄とは永遠に同じことを繰り返すということを本で読んだことがあります。
そう言う意味では、妹紅は生きながら地獄に落とされたようなものでしょうか。
いずれにしろ、蓬莱人には近づかない方が無難だと思います。
復路鵜
http://clannadetc.s56.xrea.com/x/top.html
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2006/10/28 06:42:32
更新日時:
2006/10/30 21:42:32
評価:
0/0
POINT:
0
Rate:
5.00
1. 10 a ■2006/10/28 02:23:04
…………のことも書いて欲しかったな
2. 8 as capable as a NAMELESS ■2006/10/29 01:41:32
蓬莱人の宿命をここまで真正面から書く勇気に乾杯。
3. 1 箱根細工 ■2006/10/30 17:04:21
安直。
4. 1 反魂 ■2006/10/31 03:21:49
忌憚なく申し上げると、売りがありません。
まず、全編通じてあまりに説明的すぎます。普通の小説ならいざ知らず、二次創作にあってはキャラやバックグラウンドを延々説明されると、それだけで読書意欲が萎む原因になります。それ相応にストーリーに変化があったならば効果もあるのですが、このお話のコンセプトからするとあまり変化や抑揚を起こせない。つまり、このお話はいずれにせよ淡白にならざるをえない。とすると、余計説明文の多さが邪魔になってきてしまうんです。
またそれに気を取られたせいか、場面変化や時間軸移動に際した書き込みが、やや稚拙で舌っ足らずです。意外な急展開、というのを狙ったのかもしれませんが、霊夢にせよ慧音にせよ唐突に「実は死んでました!」と出すのは、あまり効果的な手法には見えませんでした。人によっては、最悪気分を害す可能性さえあります。

同じことを繰り返す永遠性だとか、永遠を生きる故の狂気だとか、それらは最早語り尽くされたに近い題材です。ただ周りが死んでゆくだけ、ただ狂気じみた行動に走るだけ、では、どうしても惹き付けられません。文章力自体は悪くないだけに、この作品を際立たせられる強烈な個性が何か一つ欲しかったな、という印象でした。
5. フリーレス らくがん屋 ■2006/11/02 16:13:49
点数付けるってのは、その作品を自分の中で位置づけて、良かれ悪かれ認めるってことなんです(自分定義)。こういう作品の存在を否定するわけではないのだけど、絶対に相容れることがないのでフリーレスとします。
他の人がどういう評価を下すのかというのは、非常に興味があるのだけれど。
6. 8 椒良徳 ■2006/11/03 12:42:32
人間も妖怪もサクサク死んでいく作品は大好きです。
股ぐらがいきり立つ。たまらん。
7. 5 74 ■2006/11/03 22:49:23
最後まで読んだら最低5点は入れようと決めているので。

8. 3 じーにょ ■2006/11/05 03:03:01
もちっとテンポを良くしたほうが読みやすいかも。
話の好みで二分されそうな内容なのも仕方なし。
9. 8 アティラリ ■2006/11/05 10:29:12
気の利くような感想が出ません
言葉が出なくなるというのはこう言う事なのでしょう
あ、勿論悪い意味とかじゃないので
10. フリーレス 爪影 ■2006/11/05 16:07:43
 お題との絡ませ方が、少々、無理矢理な印象を受けました。
 それと、個人的趣向で大変申し訳無いのですが、この手の作品は苦手な性質なのでフリースレにて失礼します。
11. 9 nn ■2006/11/06 00:35:45
素晴らしい狂気の描写と何ともいえない窒息感・密閉感に当てられて一気に読み進めてしまいました。正直満点を付けるべきかどうか迷いましたが、この作品はもっと良いものになるような可能性を感じて9点といたしました。
12. 5 おやつ ■2006/11/08 20:26:55
痛すぎるっすねこれ……
人の身で永遠なんて手に入れちゃいけない。
憧れるくらいで丁度いい。
13. 6 Fimeria ■2006/11/10 06:33:53
地獄に感化された姿が、コレですか……
結局輝夜が兎を磔にしていた理由は何だったのでしょうか。
多用されていただけに、何かの複線かと思っていたのですが……ううむ
14. 5 つくし ■2006/11/10 20:23:31
流暢な語りに、無機質な悲壮感がのせられています。文章力も申し分なく、安心して読めたのですが、妹紅の永遠を悲壮的に描くのは、読者の予想の範疇を超えることが難しいような。こちらが驚くような要素がなかったので少し物足りない感じがしました。輝夜が兎を磔にするシーンは白眉です。読んでいてドキドキしました。
15. 3 2:23am ■2006/11/11 00:07:27
うーん。ホラーというのは谷底へ叩き落すようなものだと思っていますが、これはただ落ちている続けているように思える。読み手を安心しきらせたところで叩き落す。そうした方がいいように思えます。
16. フリーレス サカタ ■2006/11/11 23:12:07
好き嫌いである程度判断なので、正直後味が悪く好きではありませんでした。
気になったのは、輝夜はかなりの年月永遠を生きているし、永琳がいるので、輝夜がおかしくなるのかなぁ?と。妹紅も文中ではそんなに他人に依存していないので、誰かがいなくなったからといって狂うかな?と思いました。
あと、ZUNの考えかたでは不死は嫌なものとらえていないので(大空魔術参照)、東方キャラでこれをやるのは公式に反するという意味でも、どうかなぁと思いました。
17. 6 たくじ ■2006/11/12 22:11:06
嫌な話だなぁって、素直に感じたままだとそんなです。
永遠に生きる妹紅達が狂っていく様には納得。それだけに不気味な感じです。
18. 7 藤村うー ■2006/11/13 02:17:51
 なんかすごい。
 妹紅が永遠うんぬんで苦悩する、というパターンを徹底的に欝な方向にまとめあげた傑作だと思います。暗すぎるし怖すぎるのですけど、理解したくないのに何となく理解出来てしまいような気がするからまた不気味です。
 煽り方、畳み掛け方が凄まじい。魔理沙、てゐ、慧音のあたりがもう。
 でも、箱はあんまり関係ないかな……。
19. 4 VENI ■2006/11/13 04:35:46
冒頭の文章が読みづらくて、さーっと話に目を通していてドキッとしました。
どうしてもキャラが死んだりする話は好きにはなれないのですが、
それ以上に強烈な印象を受けました。目を覆いたくなるような怖い展開です。
ただ残酷なだけの話に終わってるわけではないのも面白いと思います。

しかしやはり二次創作であり、私自身の勝手なイメージながら
キャラのイメージがズレる部分がいくつかあったということと、
ちょっとお題が消化不良気味かなという感じがします(人のこと言えませんが

荒さはありましたけど、その分パワーがあるなと。
ここまで「読まされた」感があるのは久しぶりでした。悪い意味ではなく。
20. 5 翔菜 ■2006/11/14 11:53:17
>外から入った直後で飢え死にしかけていた
この場合は飢えて倒れかけていた、くらいの方がしっくりくるかな。
些細な事で評価には関係しないのですが。

少しばかり冗長には感じましたが、引き込まれるお話でした。

箱の中。
そこにいつだって霊夢や慧音がいると言った環境が妹紅の周りにあり、平穏があるわけではないと感じさせられる作品でした。
或いはその環境こそが後に妹紅を狂わせる事になるのかも知れませんが。
21. 8 ■2006/11/15 17:23:11
人の心が変化して人の心でなくなり、永遠を生きられる別のものがまた心に入り込むんじゃないでしょうか…とか思います。個人的には、ですが。
しかし、何とも悲惨な描写でした。悲惨さをよくくっきりと書き上げていたと思います。
22. 7 いむぜん ■2006/11/15 21:01:41
永遠に疲れ、擦り切れていく妹紅の精神。
歳を経れば次第に感覚が磨耗していく。ただ、迂闊に書けないんだろうけど、各時代にそれぞれ誰か居るはず。 今の登場人物が死んだらそれっきり、なんてことは無いと思う。

いずれ来る事なんだろう。でも見てて辛かった。 
この「辛い」も人間の感覚なんだろうけどな。
23. 8 ABYSS ■2006/11/16 14:34:11
大きなことであるのに語り口が淡々としているのが、さらに恐ろしさを助長しています、という感じですね。
じわりと染み込むような感覚があるので、それで正解だと思います。
ただ、そのせいで勢いとかそういうのは大分殺されたので、そっち方面が好きな人には向きませんね。人を選ぶかもしれません。
24. 8 blankii ■2006/11/16 21:06:22
淡々と狂っていく文章が素敵。後半の不死人達のキレっぷりに軽く欝、とか思いつつ楽しく読みました(それもどうか)。
25. 7 灰次郎 ■2006/11/17 02:22:58
なんとも、切ないな
26. 4 雨虎 ■2006/11/17 15:08:20
なんというか……壮絶な物語でした。
一切の甘えを切り落として、妹紅の行く末を描ききったのは凄いと思います。
ただテーマたる箱の要素が少なかったかなと。
27. 4 人比良 ■2006/11/17 20:12:14

しいていうなら箱は冷凍庫でしょうか。
一瞬でマイナス200度まで冷凍して永遠に。
28. 5 K.M ■2006/11/17 20:59:21
蓬莱人の精神構造は(普通の人から見れば)恐怖でしかないのか…?
29. 4 目問 ■2006/11/17 22:20:09
 永遠と狂気、虚無感の描写は良かったと思います。
 どん詰まりでどうすることもできなくなるのは怖いです。
30. 3 時計屋 ■2006/11/17 23:19:02
インパクトはあったのですが、少し展開が安直だと感じました。
1000年以上も生きてきた蓬莱人が狂いだす理由が薄い気がします。
31. 4 しかばね ■2006/11/17 23:33:32
なんともまあ、大変なことに……。
終われないって、辛いですね。
32. フリーレス 復路鵜 ■2006/11/19 01:18:31
早速コメントのレスにうつろうと思いますよ!
>しかばねさん
大変なもんですねえ、彼女。
あと二億年もしたらどうなってるんでしょ。

>時計屋さん
実は時代設定的には何万年、何十万年経過したという設定になっていました。(何億年ではそもそも無理があるだろうと思いましたが)
とはいえ、そもそも世界が何万何十万も経過する中で保つのか、幻想郷がどうなっているのかさっぱり予想がつかないため、わざとぼやかして描きましたが、流石に読み取りにくいものがありましたね。
精進します。

>目問さん
どん詰まりなのです。
残りの人生は磨耗なのですねきっと。

>K.Mさん
ではないでしょうか?(ノ>ヮ<)ノ
実際にそういう文献や何かに触れたことはありませんので、あくまで私感ですが。

>人比良さん
どうなんでしょうね。
むしろ冷凍スイッチをオフにした冷蔵庫かも。
中の空気が濁りやがて中身が腐り始めて異臭がぷんぷん漂うような箱とか。

>雨虎さん
そういやテーマ性薄かったですかΣ(ノ>ヮ<)ノ
結構やることができた感じがしましたが、やっぱり無理矢理っぽかったでしょうか。

>灰次郎さん
きっつい人生だったりしますよおそらく。
というか、もう動物と変わらない気がする。

>blankiiさん
わーい(ノ>ヮ<)ノ
正直永琳とかどう調理したものか困りましたが、受け入れられて嬉しいです。

>ABYSSさん
なるほど。
しかし今回は結構躍動感を演出できるかも! と息巻いていたので、淡々としたものしか受け取られなかったのは残念(笑
そういう文章を書けることを目標にがんばります。

>いむぜんさん
むぅ……。
妖怪の寿命が何年ぐらいかは分かりませんが、下手な年月じゃ死なないことは確かですね……。
何億年とか行けば流石に全滅してるでしょうが、そもそも幻想郷自体が残っているかどうか。

今日は眠いのでここまで!(えー
続きは明日で。
33. フリーレス 復路鵜 ■2006/11/21 12:10:47
二回続いてコメントのレスに!

>翼さん
そこらへんは適応していくのかそうでないのか、ちょっくら微妙なところですね。
とりあえず私の描いた妹紅は、最後まで適応できませんでした。
感想をありがとうございます(ノ>ヮ<)ノ

>翔菜さん
私感ですが、妹紅が今まで狂わずにいられたのってあんまり人を関わらないでいられたからじゃないかと思います。急激に人とのかかわりが増えて、考えるべき対象が増えたから歪みが生じたんじゃないかと、そんな風に。
指摘については、その通りでした………

>VENIさん
キャラとズレ←ほんと、その通りです、はい。
お題の消化不良気味と合わせて、これは直さなければいけない点ですね。
怖がってもらえて嬉しいです。

>藤村うーさん
ちょwwwww名前wwwwwという点はまあ置いておいて。
箱のことを指摘されたらその通りでしかないのですが、そう批評してもらえて嬉しいものがありました。ありがとうございます。
多分三億年ぐらい経過したあとの妹紅は人間じゃない存在になっちゃってると思います。

>たくじさん
ありがとうございます。
狂い方にも人それぞれだと思いますが、この妹紅は相当嫌な部類に入るでしょうね。

>サカタさん
大空魔術持ってないよ!←ひどい言い訳
輝夜については自身の中でも首を捻るものがありましたが、親しい存在としての鈴仙が死ねば結構ありえるんじゃないかなあ、という風に描いてみました。
とはいえ、説得力があまり無かった点については指摘の通り。精進します。

>2:23amさん
なるほど………
ただ長々と続けるんじゃなくて、どこかでワンクッション入れた方が良かったものでしょうか。あまりメリハリがありませんものね。

>つくしさん
輝夜の磔シーンなんて「これそもそも嫌悪感しか持たれないんじゃないか?」と自分でも冷や冷やものだったので、そう言ってもらえてほっとしました。
妹紅の心理にのみならず、永遠を生きる人間の心理を描くのは難しいものがありますね。精進します。

>Fimeriaさん
一応本人の気が狂い始めた兆候みたいな感じに描いていましたが、伏線としてでは考えていませんでした(汗
もうちょいよく練ったほうがいいなあ、こういうの。

>おやつさん
怖いものです。
そういや永遠を手に入れたら世界とか消滅しても残るのか消えるのか、そこらへんはどうなっているのでしょうね。宇宙の只中に放り込まれる様とか怖すぎる。

今日はここまで。多分次らへんで終わるかも。
34. フリーレス 復路鵜 ■2006/11/26 17:14:48
さて三回目、今日で終わりますよ!
放置しててごめんなさい………

>nnさん
ヽ(>ヮ<)ノ
作者として感無量のお言葉。
ありがとうございます。

>爪影さん
確かに、あれは、厳しかった………
正直に書くと、あのテーマで箱ってどう書けばいいんだよ(笑)という感じで、大分適当に書いてしまいました。精進します。

>アティラリさん
ありがとうございます。
そう思ってもらえただけで満足です。

>じーにょさん
テンポやリズムに関しては自分で調整するのが難しい代物だとは思いますが、努力します。
もうちょい会話文を入れるとか、悪い文章を削った方が良いかな。

>74さん
つまり最低点数ということですね。
精進します。

>椒良徳さん
ちょwwwww
しかしまあ、死ぬばかりでなく消えるような存在もいるんじゃないかなあ、と思ったりします。紫とか閻魔とか、死ぬ姿が想像できません正直。

>らくがん屋さん
それは残念。

>反魂さん
鋭い指摘、ありがとうございます。
確かに二次の作品なら、ある程度背景や設定については読者側でも既に承知の通りですしね、ご尤もだと思いました。
書き込みの点については完全に私の力不足です。もう少しなだらかな変化に出来るよう、努力したいと思います。
個性の点においても、確かに言うとおりだと思いました。別な要素を何も取り入れていませんものね。これでは確かにそう思われて仕方が無い。
感想ありがとうございました。

>箱根細工さん
精進しますと言いたいところなのですが、ここまで一言でバッサリ切り捨てられると何をどう直したらいいかも分からず戸惑ってしまうのが本音です。
作品全体を指しているのでしたら、それ以前の問題ですものね。

>as capable as a NAMELESSさん
乾杯されました。ありがとうございます。

>aさん
ど、どなた!?
しかし10点をくださったことには非常に感謝。

ということで感想レスをつけていったわけですが、ここで作品を投稿する場を作ってくださった氏に感謝を。そしてここに投稿された他の作者方、参加された読者方、お疲れ様でした。ついでに私もお疲れ様でした。
それでは。
名前 メール
評価 パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード