指に絡めて、大事な約束

作品集: 最新 投稿日時: 2006/10/28 08:57:19 更新日時: 2006/10/30 23:57:19 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00
「神社の娘でも紹介するぜ」

ぼろきれと化した衣服を身に纏ったフランドールに、白黒の魔法使いはそう言った。
フランドールはこの魔法使い……霧雨魔理沙に敗退したのだった。
全力で壊すつもりだった、なのに魔理沙はそれを更なる力で押し返してきた。まさに完全敗北。
食事やおやつを運んでくるメイド……咲夜に訊けば、姉であるレミリアも、咲夜自信も魔理沙に負けてしまったと言うではないか。

「……」
「何黙ってるんだよ、負けたのがそんなに悔しいか?」
「どうせそれ、嘘なんでしょ?」
「ん?」

いつだってひとりぼっちだ……慣れてしまっているから、そこまで悲しいとは思わない。
咲夜が視線を合わせようとしないのも、用事だけ済ませてすぐに立ち去ってしまうのも、仕方の無いことなのだと理解している。
けれど……一人より二人、二人より三人の方が楽しいに決まっている。
何故皆私をここに閉じ込めてひとりぼっちにしようとするのか、その理由はわかっているようで、よくわからない。
皆私を怖がっているけれど、何をそんなに怖がっているのか、それだけがどうしても理解できない。
フランドールは、常々そう思うのだった。

「私は嘘なんか吐いた事無いぜ?」
「うそつき……それ自体が嘘じゃない。さっきも、自分を博麗霊夢だと偽ったくせに」
「あれは嘘じゃなくて、気の利いたジョークというやつだ。そこんとこは大人になればきっとわかるさ」

フランドールの十分の一も生きていないくせに、魔理沙は臆面も無くそうのたまう。
真っ赤な絨毯にちょこなんと座って、不遜にもそう答える。

だが実際、長く生きたら大人、などという観念は通用しないのかもしれない。
彼女はきっと、フランドールよりもたくさんの人間と触れ合い、たくさんの世界を見ている。
知識量と経験こそが大人への階段なのであれば、フランドールは確かに彼女より子供なのであろう。
そう思うと悔しさがこみ上げてくる、自分とこの魔法使いと、何がそこまで違うというのか。
人間と吸血鬼、確かに種族はまったく別なのだが……何故レミリアはああも好きに外出するのに、自分は閉じ込められているのか。
またこの少女と自分がどれほど違うというのか……それが理解できないからこそ、閉じ込められていることには違いないのだが。
もちろん、フランドールはそんなこと知る由もない。ただただ、目の前の少女が妬ましい。

「神社って……博麗神社でしょ?」
「おう、そうだ。お前のお姉様がよく行っているあそこだな。素敵な巫女さんがいるぜ?」
「博麗霊夢でしょ、なんとなくは知ってる……どういう人なの?」

こいつは嘘を吐く。無知な自分を弄んでいるのかもしれない。それでも……。
今は話し相手になっている、もっと話していたい、弾幕ごっこが好きだけれど、それも負けてしまった。
ならせめて……もう少しここに居てほしい、お外の話を聞かせてほしい。

「うーむ、霊夢を言葉に表すなんて難しいぜ……」
「そんなに素敵なの?」
「うむ……お茶好きな巫女だな」

大袈裟に言った割には、魔理沙による霊夢の説明は一言で済んだ。

「紅茶も好きなのかな?」
「うぅむ、わからないな……だが、多分奴は紅茶にもすぐ馴染むぜ……『茶』と付くものが大好きだからな」
「……会ってみたいな……」
「うーん……」

先ほどまでのじゃじゃ馬ぶりは息を潜め、フランドールは捨てられた子猫のようにしおらしい。
なんとなくいたたまれない魔理沙だが、その危険さは身をもって知っているし、そうやすやすと連れ出していいものか。
美鈴、パチュリー、咲夜、レミリア、そしてフランドールと紅魔館の主力を撃破したのは確かなのだが。

「博麗霊夢にも会ってみたいし、お外も見てみたい」
「そいつはちょっとばかり難しい願いだなぁ……ここの事情はよくわからんが」

力づくで連れ出すことは不可能ではないだろう。もちろんフランドールも協力してくれるだろうし。
しかしフランドールは危険だからこそここに閉じ込められているわけであって、連れ出せばたくさんの問題が起こる。
外に出たフランドールは何をするかわからないし、紅魔館からは追われ、異変を嗅ぎつけた霊夢も飛び出してくるだろう。

「お前をここから出してやれるかはわからないし、あまり期待はしないでほしいが……」
「……?」
「ちょっとばかり咲夜やレミリアに掛け合ってやるよ」
「ほんと?」
「ああ、こいつは嘘じゃない。ただ、うまく行かなくても暴れたりしないでくれよ」
「うん」
「よし、約束だ」
「うんっ」

指きりげんまん、嘘ついたら針千本飲ます。

絡め合った二人の小指は、その呪文を唱え終わると同時に切り離され、霧雨魔理沙はその部屋を後にした。
外の世界への興味を強めてしまった……魔理沙はその責任を感じると共に、フランドールのこれまでの生活に同情を禁じえなかった。



数日後、フランドールとの戦いの疲れが癒えた魔理沙は愛用の箒にまたがり紅魔館へと向かった。
ああは言ったものの、咲夜やレミリアがフランドールの外出をそう簡単に許すものかどうか……気が重かった。
それでも行動に移ったのは、フランドールの見せた悲しそうな顔……。

「(純粋すぎるんだな……)」

湿気を含んだ重苦しい空気を切り裂いて飛ぶ。これから味わう緊張を思うと、無意識に速度を落としてしまう。

あの子は破壊欲求が強い、その罪の重さを知らない、いやその罪の重さを理解できないのだろう。
物心つかない幼い子供は小さな虫を殺してしまっても、それがどういう状況なのか理解できない。死や破壊というものが理解できない。
それから少し成長し感情が豊かになったときに……例えば可愛がっていたペット、猫でもバッタでもカエルでも何でもいい。
愛らしいと思っていたそれ、親しいと思っていたそれらを、自分の過失かはたまたそれ以外の要因か……ともかく、それが死んでしまったとき……。
人は涙するだろう。死というものを理解するだろう。けして戻ってこないものがあることを、身をもって知ることになる、悲しい感情と共に。

それは、死や破壊というものの意味を理解するだけの知能をつけたということに他ならない。
別にフランドールの知能が低いというわけではない。立派な言語能力を備えているし、寂しさという感情も持っているようだ。
ところが何の手違いか、死や破壊についての認識だけがとにかく希薄で、殺すことや破壊することに罪の意識を持つことができない。

「(危険だが……もっと昔から外に出してやっていれば、その中で命の大切さを理解してたんじゃないか?)」

確たる根拠は無い、しかし魔理沙はそう思う。
寂しさがわかるなら……大切な者を失ったときに、寂しさが引き金となって殺しや破壊の罪の意識に目覚めたりはしないのだろうか?

「(まぁ、それには犠牲が必要だしな……強要はできない、難しいぜ)」

霊夢に会わせたらなんとかならないだろうか?
いつだって超然としている霊夢なら、なんとかできるんじゃないだろうか?

そんなことを考えていたら紅魔館が見えてきた。



門番は適当にごまかし、魔理沙は紅魔館の内部をうろうろと歩く。
空間をいじられた紅魔館の中を歩いていると、どうも感覚がおかしくなってしまうのだが、メイド達は大丈夫なのだろうか。
魔理沙を見つけたメイド達が即座に咲夜を呼びに行ったので、魔理沙はさほど苦労もなく咲夜とめぐり合うことができた。

「何なのよ? もう霧は晴れたでしょう」

招かれざる客ながらも、咲夜は魔理沙を丁寧に接待してしまう、これも一種の職業病というやつだろう。
客間に通して柔らかなソファに魔理沙を座らせ、淹れる紅茶の味にもついつい気を遣ってしまう。
薫り高い紅茶を顔に寄せ、目を閉じてその香りをいっぱい吸い込む魔理沙。咲夜は眉をしかめながら、妙に大人しいその様子を訝しんでいた。

「悪いな、こんな良い紅茶入れてもらって」
「気にしなくて良いわよ。それより何? また本でも盗みに来たのかしら?」
「ああ、本もついでに借りてこうと思っているが本題はそれじゃない」
「なら何よ?」

魔理沙はそれまでの経緯を丁寧に説明した。
フランドールを倒して大人しくさせたということ、霊夢に合わせてやると言ってしまった事、咲夜達を説得すると言った事。
責任を持って監視するから、少し外に出してもらえないか、と。

「……私は判断できる立場ではないけど……」
「けど……レミリアならなんて言うと思う?」
「ごめんなさい。誰かがそう頼んだなんて前例は無いから、正直予想がつかないわ」
「まぁとにかくレミリアを説得できればなんとかなるだろ? お前自身が良いと思うなら協力して欲しいんだが」
「貴女の動機次第よ、さっきの説明ではそこがはっきりしないわ」
「そうだなぁ……お前も見たことあるんじゃないか? あいつの寂しそうな表情」
「……」

ソファに腰掛ける魔理沙はそうとだけ言って、横に立っておぼんを抱える咲夜を見据える。
咲夜は魔理沙と目を合わせようとはせず、その視線を窓の外へと逃がして沈黙した。

「お前の方がここに来て長いだろうし、偉そうなことは言えないぜ? でもなぁ、私から見るとほっとけなくてな」
「妹様は貴女が思う以上に危険な存在よ」
「精神的にどう危険かはよくわからんが、そこまで危険には見えなかった、それに……」
「それに?」
「もし暴れても私が止めて見せるさ、絶対に」

咲夜は目を閉じ、顔を手で覆いながら真っ赤な天井を見上げた。

「……困ったわ」
「困ったなぁ」
「随分と頼りになる顔をするのね、目眩がしそう」
「それは本当に困ったな、惚れられても困るぜ」
「貴女が男の人だったら少し考えたかもね」
「困ったなぁ」
「ふふ……やれるだけやってみましょうか」
「おう、頼りにしてるぜメイド長」

片目を薄く開いて、咲夜は困ったように微笑んだ。それを見た魔理沙は、白い歯を見せて満面の笑みを見せた。



――あの子に『お外』を見せてあげたい。



日も落ちて……魔法図書館の本を読み漁っていた魔理沙を、咲夜が呼びに来た。
パチュリーはお洒落な椅子に腰掛け、そんな二人を見て小首を傾げていたが、それほど気にする様子も無く本の世界へと意識を移した。

「お嬢様はさっきお目覚めになられたわ」
「よし、ついに本命だな」
「ええ……なんとか許してもらえないものかしら」
「うーむ……いざってときは……」
「力づくはやめてね……これから見て見ぬフリできなくなるから。貴女の侵入を」
「お、おうわかった」

少しいたずらっぽく微笑んだ咲夜だったが、嘘ではないだろう。
魔理沙としても図書館に本を狩りに来る度にいちいち咲夜に突っかかられたのではたまったものではない。
肩を持ち上げて少し大袈裟に怖がる仕草をすると、咲夜はまたいたずらっぽく微笑んだ。

紅く、永い紅魔館の廊下を歩いて……当主、レミリア・スカーレッドの元へ。
たった二人の十字軍。頑固なお嬢様の心に穴を空けられるものなのかどうか……。

『空けなきゃいけないんだぜ。あの子の為に』

魔理沙ならば、そう言ってくれるだろうか。



たくさんの紅い扉を尻目にたどり着いた、一際豪華で大きな扉。
中から出てくるのは小さな主なのに、大袈裟に作られたそれは、そこに入るものを飲み込む大きな口のように威圧的だ。
しかし魔理沙と咲夜に畏れを抱かせるのはその扉ではなく、中にいる小さな主。咲夜は普段以上に緊張した面持ちで、その扉をノックした。

「……誰?」
「咲夜でございます、お嬢様」
「どうしたの?」
「客人がお見えになっていますわ」
「……客? 誰よ」
「霧雨魔理沙です、お嬢様にお話があるそうです」
「はぁ? わざわざ私が聞かなきゃいけない話なのかしら?」
「お嬢様、どうか私の顔に免じて、話を聞いてやってはいただけませんか?」
「なんなの? そんなに大事な話なの? ……まぁ良いわ、咲夜が通すぐらいなら不審者ではないんでしょう、お入り」
「……ありがとうございます」

扉を挟んだほんの一時のやり取りに過ぎなかったが、咲夜の額には脂汗が滲んでいた。
魔理沙はそんな咲夜の様子を見て改めて理解する。この願いがどれだけ大変なことなのかということを。
咲夜はポケットからハンカチを取り出すと、酷く消耗した様子で額の汗をぬぐい、その扉のノブをゆっくりと回した。

「失礼いたします」
「もう、なんだっていうの? まぁ暇だから別に良いけど……」
「よう、レミリア」
「貴女、客として来たときぐらいもう少し謙虚に振舞ったらどうなの?」
「悪いな、これでも全力で謙虚なんだ、信じてほしいぜ」
「ふぅ……胡散臭いわねぇ」

小さな身体に不釣合いな、巨大で豪華な椅子に腰掛けるレミリアは、窓辺の月明かりを浴びていた。
月明かりの中で病的に白い肌がぼんやりと浮き上がり、その真っ赤な目とのコントラストを生み出している。
意外とご機嫌な様子のレミリアだったが、これからの願い事でどれほどその表情が歪むのだろう。
それを想像した咲夜は、またも額に脂汗を滲ませた。

「ほら、話しなさいよ。何事?」
「えーとだなぁ……」
「貴女らしくないじゃない、はっきりと言ったらどう?」
「お前の妹、フランドールの話なんだが」

レミリアの表情が少し強張った。一応最後まで聞く意思はあるらしく、今のところその表情に大きな乱れは無い。

「ほんの一日で良いんだ、外に出してやれないか?」
「……何かと思えばそんなこと……ダメよ、認められないわ」

レミリアにしてみれば魔理沙は一度負けた相手。それだけではなく、自分以上に破壊力のある妹のフランドールも打ち負かした相手だ。
いきなり襲い掛かって紅魔館から追い出そうとは思わないようだが、その語気は力強い。

「私が責任持って面倒見るからさ、なんとかならないか?」
「お嬢様、私からもお願いいたします……きっと妹様にとっても良い経験になると思いますわ」
「咲夜、貴女は少し黙りなさい……こんなこと、なんで貴女が断らないの? まったく面倒ね」
「……申し訳ございません」
「とにかくダメったらダメよ……今日のところは大目に見るからさっさと帰りなさい、魔理沙」
「そうはいかないんだなぁ……私はメイドでも無いからお前の命令に従う義務なんかないんだぜ」
「魔理沙……!! お嬢様になんて口をきくのよ!!」
「いいや咲夜、納得する答えが聞けるまで私は引かないぜ……わがままを押し通すために力があるんだってな」
「なによ? あの日の続きでもするつもり? ……ああ、ならば有意義ね。よく連れて来たわ、咲夜」
「残念ながらその気も無いぜ」

魔理沙は、その足とも言える箒をレミリアの目の前に放り投げた。戦う意思が無いことの強調である。
こうなれば……プライドの高いレミリアは戦う意思の無い相手にいきなり襲い掛かることは無いだろう。
それすらも通り越すぐらい怒らせてしまったら取り返しがつかないが……。

「レミリア、聞かせてくれないか? なんでそこまでしてあいつを閉じ込めるんだ? ……それが納得できる理由なら諦めてやるよ」
「……はぁ……面倒ね、部外者である貴女になんでそこまでしてやらなければいけないの?」
「戦って……その後にすごい寂しそうな顔をしたんだ、あの顔が忘れられなくてなぁ、ほっとくのも後味が悪い」

それを聞いたレミリアの顔から怒りの気配が消え失せ……僅かに悲しさを覗かせた。
しかしそれでもレミリアは首を縦には振らない。魔理沙から視線をそらし、やはりそっけなく答える。

「……そう、でもやはりダメ、諦めなさい」
「ただでとは言わない、何か私にできることならするから教えてくれよ。減るもんでもないだろ?」
「言ったわね? 忘れたとは言わせないわよ?」
「おう、二言は無いぜ」

レミリアは「やれやれ」と言った様子で頬をかくと、溜息をつきながら説明を始めた。
もとより魔理沙は約束を守るつもりなんてないだろうし、確かに減るものでもない、納得して帰るならそれで良いという思いだった。

「あいつは少し繊細すぎるのよ……」

レミリアの口から出た言葉は、魔理沙を驚かせるに十分な理由だった。
てっきり、危険だから閉じ込めているのかと思っていたがそうではないらしい。

「危ないから閉じ込めてたんじゃないのか……?」
「あのねぇ……私は悪魔よ? 食料である人間がいなくなるほど暴れたら確かに困るけど、外の世界であいつが暴れようとそこまで気にはしないわよ」

確かに筋は通っている……日光が嫌だという理由だけで幻想郷を霧で包んでしまうほどわがままなレミリアだ。
勝手に飛び出して少し暴れたぐらいでどうということはないだろう。連れ戻すのには骨が折れるだろうが。

「まぁね、繊細で傷付きやすい分その怒りは他者へ向きやすいけど……そういう意味じゃ危ないから閉じ込めてたってのもあながち間違いでもないわ」
「そうか……」

普段触れ合わない悪魔の姉妹でも、その姉は妹に対して優しさを持っていたらしい。
繊細すぎて危なっかしい……ただ単に「危ないから」と言われれば魔理沙は断固抗議するつもりだったが……。
手段さえ違えど、フランドールのことを想って、姉としての表情を見せて語るレミリア。
それを目の当たりにしたとき、やはり自分が偉そうなことを言うべきではないのだと、魔理沙は諦めの感情に支配された。

「で、どうよ? これでもまだ連れ出すつもり?」
「いや……」
「じゃ、何をしてもらおうかしらねぇ」

腕組みをして考え込むレミリア。魔理沙はここに来て、箒を放り投げたことを後悔した。
元々引くつもりなどなかったから、意地でもレミリアを説得するつもりだったのがこんな展開になるとは。
「血を吸わせて」なんて言われようものなら大変なことになる、箒が手元に無くては全力も出せない。
咲夜が助けてくれるかどうか……咲夜は一度レミリアに叱られて以来、黙ってことの成り行きを見守るばかりで何を考えているのかよくわからないし。

「よし、決めたわ」

左の手のひらを、右の握り拳でぽんと叩くレミリア。魔理沙はすぐに箒に飛びつけるよう、腰を落として身構えた。

「貴女、一週間フランの遊び相手を務めなさい」
「……へ?」
「ここで追い払って、この後も尾を引かれたら困るからね、あいつに身近に接して、どれぐらい繊細か確かめなさいよ」
「……そんなのでいいのか?」
「貴女が思うほど楽じゃないはずよ、覚悟することね」
「あ、ああ……」

そう言ったレミリアの表情は穏やかだった。

自分ではどうしようもできなかった手のかかる妹……閉じ込めることでしか守ってやれなかった繊細な妹。
フランドールは魔理沙に心を開いたからこそ、その寂しさを主張したのだろう。
この破天荒な魔法使いは、あいつの良い友達になってやれるのかもしれない……。
魔理沙が霊夢に対してそう思ったように、レミリアも魔理沙に対してそんな期待を寄せた。

「あぁ、あと咲夜」
「は、はいっ!?」
「貴女、私に意見するなんて随分偉くなったわね」
「も、申し訳ございません……」
「罰として、魔理沙と共に一週間フランの遊び相手を務めなさい、良いわね?」
「……お嬢様……」
「それと紅茶のおかわり、お喋りしすぎて喉が渇いたの」
「はい……!」

咲夜は時を止めて走った。

「(お嬢様……貴女の下で働けること、この咲夜、心から誇りに思います)」

外に出すことは流石に許してやれない……けれど、一週間の間にフランドールがどのぐらい成長するだろうか。
予想を超える成果が出たならば、外に出ることも許可してやろう。

「(魔理沙、咲夜……お手並み拝見ね……フランのこと、宜しく頼むわ)」

瞬く間に差し出された熱い紅茶に口付けしながら、レミリアは祈るように月を見つめていた。



気味悪いほど穏やかに一週間は過ぎていった。
フランドールは時折目の色を変えて弾幕ごっこをしたがることがあったが、そのときは魔理沙がフランドールをなだめ、
たまにはガス抜き程度に相手してやったりもした……でも、どう接すれば良いのかよくわからなかった。
危険な遊びはやめさせなければいけないが、かといって欲求不満になってしまうのもよろしくない、難しい問題だった。

それ以外のときはフランドールは猫のように魔理沙に擦り寄った。まるで普通の少女だった。

「ねえ魔理沙、ご本を読んで?」
「ああいいぜ、何の本が良い?」
「恋愛の本が良い。恋愛のことがわかれば大人でしょ? 早く大人になってここから出してもらいたいの」

――大人になれば出してもらえる。フランドールはそう信じているらしかった。

或いはそう『信じたかった』のかもしれない。出してもらえないのは自分がまだ子供だからなのだ、と。

「それにね、博麗霊夢にアタックしなきゃいけないから、恋愛の勉強をしたい」
「そうだな、知識は多い方が良い。図書館から恋愛小説を取ってくるから、大人しく待っててくれよ」
「うん」

そのまま魔理沙がどこかへ消えてしまうのではないか、そんな不安がフランにはあったのだろう。
数冊の本を抱えて魔理沙が戻ってくると、それまで以上に身をすり寄せてきた。
その気持ちに気付いた魔理沙は、優しく頭を撫でながら、静かに本を読んでやった。

「結婚すればずっと一緒に居られるんだよね?」
「そうだな、二人の人間が一つになるんだ」
「私人間じゃなくて悪魔だけど結婚できるの?」
「しようと思えばできるんじゃないか? あんなの気持ちの問題だろうしな」



――ずっと一緒に居たい。



「妹様、魔理沙、おやつを持ってきましたよ」
「おっ? おやつだってよフラン。食べようぜ、咲夜の奴料理が上手だよな」
「うん、美味しいよね」

フランドールに出されたのは赤いケーキ。魔理沙に出されたのは普通のケーキ。

「咲夜、私も魔理沙と同じやつが良い」
「あら……失礼いたしました、すぐにお持ちしますわ」
「うん、お願いね」
「ん? これが食べたかったのかフラン。だったら半分こして食べるか?」
「……いいの?」
「おう良いぜ、じゃあ半分こだ」
「うん!」

三日目にフランドールは、咲夜にお願い事をした。魔理沙はフランドールの好みに合う恋愛の本を探しに行っている。

「咲夜、お願いがあるの」
「どうなさいましたか? 私めにできることならばなんなりと」
「私ね、婚約指輪が欲しい。咲夜って器用だから作れないかしら?」
「婚約指輪ですか……流石に館内の宝石類を勝手に使うのは問題がありますし……」
「だめ?」
「ああ……飴細工で作るのならばどうでしょう?」
「婚約指輪ってそれでもいいの?」
「大切なのは気持ちなのですよ。気持ちさえこもっていれば、それは宝物なんです」
「じゃあ、それをお願いして良い? 私、それにいっぱい気持ちをこめるから」
「ええ、それならば喜んで……」
「ありがとう咲夜、お願いするわ。アタックするなら、婚約指輪が無いとね」
「ふふ、そうですわね……」

フランドールの部屋から出た咲夜の表情は曇っていた。

「(出して差し上げられるというわけではないのです……)」

こんな騙し騙しに過ごしてしまったら、一週間が過ぎたときに、かえって傷つけてしまうのではないか……。
咲夜は不安だった……自分はメイドとして働いているからまだ良い、魔理沙はあんなに親密にしているが大丈夫だろうか……。



一週間は瞬く間に過ぎた。



一週間、フランドールにとっては夢のような一週間。
すぐ横には遊び相手が居て、なんでも言うことを聞いてくれる万能なメイドが居て……心から楽しい一週間だった。

「明日の零時が期限よ、良いわね」

レミリアは前日にそう咲夜に告げた、咲夜はそれを魔理沙に伝えた。
一週間住み込みでフランドールの世話役をした魔理沙、その主な任務は本を読んで聞かせてやることだった。
魔理沙も咲夜も、出してやれるとは一言も言わなかったのだが……フランドールはそう信じている節があった。
途中から口にしなくなったが、初めの頃は「いつになったらお外に出してくれるの?」と何度も聞いてきた。
そこで魔理沙が「出してやれるわけじゃない」と言えなかったのがまた辛いところだった。

レミリアはこうも言った。

「一週間経って、フランの様子が変われば出してやろうと思ったけど……残念ながらまだ無理ね、今回は諦めなさい」

残酷に聞こえるその言葉だが、それは何よりも妹を想う姉の厳しさだった。
いくらか丸くなったフランドールだったが、時折響く弾幕ごっこの音がレミリアの不安をかきたてたのだ。
それゆえ「外には出せない」とレミリアは判断した。魔理沙も咲夜もそれに食って掛かることはせず、ただ己の未熟さを責めた。



「フラン、いきなりで悪いが……こういうの、今日で終わりなんだよ」
「……なんで?」
「……ごめんな、零時になったら私はここを出なきゃならない。ここはお前のお姉様の家だしな」
「なんで? よくわかんない、どうしていきなりそんなことを言うの? 私も一緒にお外に出ちゃだめなの?」

魔理沙は言葉を失った。何も言えなかった。この子が満足する理由を説明できない……。
後ろでは咲夜が「見ていられない」という様子でそっぽを向いていた。魔理沙は助けを求めたかったが、咲夜にもどうにもできない。

「……ごめんな、行かなきゃいけない、出してもやれない」
「ねえ? 教えて? 私何か悪いことをしたの? ねえ!!」
「いや、何も悪くない……」
「じゃあここに居てよ、もっとご本読んで? お菓子半分こして食べようよ、ねえ」
「ごめん、もうできないんだよ……」
「なんでよ!? ちゃんと説明しなさいよ!! ずるいよ!!」

フランドールの表情が変わった。
悲しみをすっ飛ばし、一瞬で怒りの形相に変わった……だからこの子はここから出られない、出してもらえない。
炎の剣、禁忌の剣、剣と呼ぶには長すぎるそれを召喚し、今にも魔理沙に切り付けそうな表情で……。
魔理沙だって死ぬわけにはいかない、自分自身が大事なのももちろんだが、フランドールをいつか外に連れて行くためにはここで死ぬわけにはいかない。
流石に反撃はできないが、攻撃を回避するために少し腰を浮かした。

だが……。

「指きりげんまん……」
「……?」
「暴れないって、約束したから……」

フランはその炎の剣をかき消し、うつむいて涙を流し始めた。
魔理沙もそれを見て涙を流した、咲夜も……そっぽを向いていて顔は見えないが、肩を震わせている。
なんでこんな純粋な子をここから連れ出してやれないのか、魔理沙は己の無力を呪った。咲夜も同様だろう。

しばらく、誰もが言葉を発せずに嗚咽のみを漏らしていた。
しかしフランドールが突然何かを思い出したように歩き出し、宝物を入れてある袋の中から小さな箱を取り出した。
そこに入っているのはほとんどが壊してしまった玩具だった、それでもなお気に入っているのでしまっておく袋。
フランドールが手にしている箱は、傷一つ無く、綺麗な形だった。

「魔理沙、これ……」
「……?」
「あれは……」

それは咲夜がフランドールに渡したもの。

「開けていいよ、魔理沙」
「な、なんだ?」

小さな手のひらから受け取った箱、魔理沙がそれを開けると透き通った飴細工のリングが出てきた。

「これ……指輪か?」
「うん……婚約指輪」
「婚約指輪……? ああ、霊夢に渡しておけば良いのか?」
「ううん、魔理沙にあげる」

魔理沙はことの重大さを理解して、息を飲んだ。

「わかってたよ……出してもらえないって。それに、いつか魔理沙がここから居なくなっちゃうことも」
「……ごめんな……」
「でも、私が大人になったら……きっとここから出してもらえるから」

フランドールは、涙目のまま魔理沙の顔を両手でそっと自分に向けた。

「そうしたら、また遊んでくれる?」
「……ああ……きっと……」
「魔理沙……そろそろ出ないと」

時刻は既に零時を十分ほど過ぎていた。
レミリアは見て見ぬフリをしているようだが、誠意を通してくれたレミリアにあまり心配をかけるわけにもいかない。出なければ。

「ああ……それじゃな、フラン……また遊びに来るから、大人になっておけよ」
「うん……お外に出られるようになったら、デートしようね」
「おう、それまで初デートはとっとくぜ」

魔理沙は自分らしい、太陽のような笑顔をフランドールに送って、部屋を出た。
魔理沙が廊下の暗闇に飲み込まれた後も、フランドールはしばらくそこを見つめていた。



散らかっている魔理沙の部屋。
ありとあらゆるグリモワール、ありとあらゆるマジックアイテムが、その価値に見合わない待遇を受けている。
そんな中、乱暴に中身を書き出した机の引き出しを独占している小さな箱。友達との思い出が込められた飴細工。









「フラン!! 飛ばすぜ!? しっかり腰に捕まっていろよ!!」
「うん!! 魔理沙の箒ってすごい速いね!!」

長い箒に二人乗り。
大きな満月は夜空のキャンバス、少女二人が一枚の絵のように優雅な散歩。
自分「フランは霊夢が倒した」派でありまして、実はこれもギャグにするつもりが云々。
でも魔理沙勝利後のフランとの対話はいろいろなモウソウをかきたてるものでありまして。
二次設定的にマリフラが好まれているようですが、自分的にはその経緯を考えないと今ひとつ納得がいかないというか、
やっぱり霊夢派でありまして、最初は本当に霊夢にアタックする話でありまして。
魔理沙はオチに博麗神社の賽銭箱にブチ込まれアアーッ!!

ああもう時間がねえ!! ぎゃあああ!!
VENI
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2006/10/28 08:57:19
更新日時:
2006/10/30 23:57:19
評価:
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POINT:
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Rate:
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1. 9 a ■2006/10/28 01:11:56
作者コメントが見えないwwwwwwwwww
2. フリーレス 匿名を希望する程度の能力 ■2006/10/29 01:50:20
どことなく昔、泣いたシナリオを思い出してノスタルジックに浸りました……ああ、やっぱり魔理沙は主人公キャラなのだなぁ
3. 6 as capable as a NAMELESS ■2006/10/30 15:51:47
何でその後書きでこんなにちゃんと纏まっているのかと(ry
4. 8 反魂 ■2006/10/31 05:11:43
先生っ! せっかく美しい話にその後書きはッ……!
まいいや。

起承転結の転が弱く少々淡白に終わっちゃったかなっていうのと、魔理沙の優しさがやや唐突な印象を受けることだけ気になりました(※)。あと『箱』が薄すぎるのもちょっと。

でも、それ以外は本当に文句なし。厳しくも優しいお話であり、残酷なようででも救いがあって、ベタなんだけど心地良い。素直に「ええ話や」と言える物語でした。
また、筆力的にも傑出。目を見張る巧みさや圧倒的な語彙があるわけでもないのに、全く無駄なく淀みなく、読みやすくて分かりやすい。匿名でも滲み出てくるその実力、恐らく相当書き慣れている方とお見受けしました。ストーリといい文章といい、はむすた氏に通じる完成度を覚えます。

ここまで30作品読んだ中では、ベスト1に推したい作品。
見事な作品を、どうもありがとうございました。

             ※フラマリは世界の正義、それだけでOK! というゴリ押しは可w
5. 6 らくがん屋 ■2006/11/01 16:35:48
どう考えても魔理沙が悪い。そしてフランはマジ偉い。
最後のハッピーエンド風味は無くても良かったような気がしないでもない。
6. 6 じーにょ ■2006/11/03 01:59:24
箱度(?)が低い点を除けば、悪くない作品。
7. 2 椒良徳 ■2006/11/03 16:20:38
どうも淡々とした感じをうけ、いまいち心に響きませんな。
8. 8 74 ■2006/11/07 01:06:14
その霊夢の話にしなくて良かったと思います
9. 1 箱根細工 ■2006/11/07 04:46:21
醜い。
10. 6 nn ■2006/11/10 00:54:55
暖かい雰囲気のある作品ですが、無理矢理話を収めたという感じがしますし、そのために物語自体も魅力のないものになってしまった気がします。
11. 5 爪影 ■2006/11/10 15:39:23
 五歳も年の離れた妹を、果たして姉が理解出来ているのやら……そんな事を思う、今日この頃。
12. 8 ■2006/11/11 17:39:22
なるほど、フラン自身が脆すぎるって解釈もありですか…(きらり
13. 5 ABYSS ■2006/11/11 22:28:18
時間が無かったのかもしれませんが、最後がまとまりきってないと感じました。それが残念。
個人的には、あとがきのような話も読んでみたいです。
14. 5 たくじ ■2006/11/12 21:48:00
3人が泣く場面、フランとずっといっしょだった咲夜はともかく魔理沙は泣くだろうかと思ってしまいました。
一週間の二人の関わりをもっと丁寧に描いていればまた違った感じ方になったのかもしれません。
15. フリーレス サカタ ■2006/11/12 22:21:16
フラン好きにはなかなかくる話でした。
一週間をもう少し丁寧に描けば、もっと感情移入できてよかったと思います。
16. フリーレス 藤村うー ■2006/11/13 02:50:31
 何にしても経緯が不十分というか練り込まれてないからやっぱりもやもやします。そもそもフランドールてこんなキャラだっけというところから始まっているので如何ともしがたく。
17. 6 Fimeria ■2006/11/14 23:36:29
過程の一つの物語ですか。
楽しめたのですが、ラストで少し物足りないと感じました。
あとは、箱の要素が少しばかり薄く思います。
しかし、とても良いSSでした。
18. 2 いむぜん ■2006/11/15 21:22:40
でもありがちを脱却しきれていない。
レミリアの使い方が揃いも揃って同じなのは問題だろうに。
起承転結の転が抜けてる。そんな感じ。
19. 4 2:23am ■2006/11/15 22:14:57
うーん、尻切れトンボみたいな……。もうちょっと尺が欲しかった。唐突に終わってしまったみたいで。
20. 4 おやつ ■2006/11/16 00:46:50
フランちゃん可愛いよ!(挨拶
ま、ヘタレシューター同盟NO3の実力者である私は自力であったこと無いんですがーorz
495年変わらなかったものを1週間で変えるんは難しい。
いつかフランドールお嬢様が優雅に日傘でお散歩できる日が来ると良いです。
21. 6 翔菜 ■2006/11/16 17:26:03
過程っちゅーかそういう感じの話はとっても好きで。
グッドエンドかバッドエンドかと問われればこれはバッドエンドになるんでしょうが、まだグッドエンドになり得る可能性が多大にある、未来のある、そういうお話。
ちっぽけな希望と未来が指輪と一緒に箱に詰まってるのかな。
箱が最後に入れ物として出てくるだけなのでちょっと薄くはありますが。
22. 6 blankii ■2006/11/16 21:15:22
ある意味古典的な題材ながら、やっぱりマリフラは色褪せない。展開を予想できてしまったのが少し残念。
23. フリーレス 蒼刻 ■2006/11/17 01:40:47
目立った欠点も無く、さらりと読めました。
ただ、贅沢を言えば物語の起伏が小さかったように思います。
ワケ合って点数は入れられないのですが、自己採点では5でした。
24. 2 つくし ■2006/11/17 12:02:11
優しいおはなしでした。もう少し、クライマックスに向かって伏線を重ねていって盛り上がる感じがあればよかったのですがー。お話自体もそれほど珍しい展開を見せなかったので、魅せ方の平坦さがちょっと気になりました。あと、この後書きはさすがに蛇足です。せっかくの優しくほのぼのとしたラストシーンのあとに、読者の余韻を壊す発言は控えた方がよろしいかと。
25. 6 雨虎 ■2006/11/17 17:26:02
やっぱり物語はハッピーエンドが好きです。
なかなかに堪能させていただきました。
当初のギャグ話も機会があれば読みたいものです。
26. 1 人比良 ■2006/11/17 20:05:32

肝心の部分が書き飛ばされている気がしたのでこの点数で。
27. 6 K.M ■2006/11/17 21:24:06
「慕う」と「愛する」…微妙な違いでも、難しい差ですねぇ。
真摯な魔理沙と咲夜に拍手を送りたいです。

気になった部分が2箇所 「咲夜自信」「当主、レミリア・スカーレッド」
28. 4 目問 ■2006/11/17 22:37:21
 しおらしいフランも良いです。あと落ち着いて。
29. 3 木村圭 ■2006/11/17 23:01:42
頭が悪いわけじゃない。分かろうとする気が無いわけでもない。ただ己が性質ゆえに、理解に苦しむのは辛いこと。
それでも、きっと知る時が来ると思うから、頑張れ魔理沙withその他大勢。超頑張れ。
30. 2 時計屋 ■2006/11/17 23:29:13
これ系統の話が駄目だとか言うつもりは決してないんですが、
ただカップリングに興味のない人が読んでも面白いSSを書いて欲しかった……。
個人的にはギャグのほうを見てみたかったです。
31. フリーレス VENI ■2006/11/19 10:31:15
まず最初に、読んでくださった方々ありがとうございます。
と思うと同時に、今は申し訳ない気持ちもいっぱいで……とにかく時間がありませんでした、推敲もろくにできておらず。
次回以降も参加することがあれば、もっと丁寧に仕上げたものを読んでいただきたく思います。

ではご指摘の多かった部分にいろいろと。


まずご指摘の多い後半の甘さですが、これは先に述べた「とにかく時間がありませんでした」です。
計画的に、しっかり仕上げて出すのも読者様方への礼儀、そこで減点されるのも致し方ありません。
以後は気を付けたいと思います。


続いて多い、お題の消化。
箱と言われて思い浮かんだのが、まず婚約指輪の収められた箱でした。
が、うまく消化できていないですね、他の作品に目を通していて痛感しました。
初めての参加でしたので、勝手がわからないというのも一つの原因でした。
次回以降参加させていただくことがあれば、もっと練り込んでいきたいです。


魔理沙とフランのイメージ。
これは、魔理沙でフランを倒したときのやりとりを見て受けた私自身の印象です。
誰も居なくなる、ということに関して……魔理沙の言葉が、フランに対してとても優しいものに感じました。
そして同時にフランが心底寂しそうに見えまして……。
人によって受け取り方が様々なので、押し付けるわけにはいかないのですけれど。
その辺を納得させられなかった自分の未熟さも大いにあると思います。


あと、割とありがちであるということ。
私は作品を書くとき、あまりその辺は意識せずに書きたいものを書くことが多いです。読むときもそこまで気にしません。
むしろありがちだからこそ丁寧に描くべきであり、奇抜さに頼りたくはないという思いがあります。
純粋に精度を高めれば、ありがちであっても評価されて然るべきだと思うのです。

ただ、そこに引っかかった方がおられること。
それは精度が低かったことに他ならぬ、と。
パワー不足でした、悲しいお話です(涙


そして誤字。
これはもうただ謝るしかありません、特にスカーレッドは(汗
自分もレミリア様好きなのにこんなミスを犯すとは、もう恥ずかしくて最悪でした。
その他の誤字もピンポイントで致命的な箇所に埋まっており、どうしようもない(汗
とにかく今後は見直しを徹底します。


最後にあとがき。
テンパっておりました、作品内容とのギャップが我ながら酷い。
笑い飛ばしてくださる方もおられるでしょうが、このあとがきは特に必要性の無い箇所だと思います。
これまた時間の無さとコンペへの不馴れさ……以後はこのようなことをしないようにします。


以下は、これ以外に気になったことへ少しレスポンスを。


>見事な作品を、どうもありがとうございました。
恐縮です。その一言で成仏できそうです(汗

>うーん、尻切れトンボみたいな……。
言いえて妙、半端になってしまい申し訳ない……。

>ちっぽけな希望と未来が指輪と一緒に箱に詰まってるのかな。
そんな感じですね……もう少し作中にそういう表現を入れるべきでした。

>やっぱり物語はハッピーエンドが好きです。
私もなのです(どーでもいい

>「慕う」と「愛する」…微妙な違いでも、難しい差ですねぇ。
難しいことですねぇ。
明確に言い分けろと言われて、うまく説明できるかなぁ……。

>頭が悪いわけじゃない。分かろうとする気が無いわけでもない。ただ己が性質ゆえに、理解に苦しむのは辛いこと。
>それでも、きっと知る時が来ると思うから、頑張れ魔理沙withその他大勢。超頑張れ。
東方キャラへのなんと優しいコメント。
感動してしまいました。ほんとに。

>あと落ち着いて。
作者へのなんと優しいコメント(帰れ

>ただカップリングに興味のない人が読んでも面白いSSを書いて欲しかった……。
実は私はレイマリ派なんですよ(心底どーでもいい

ただ真面目な話、そういうものになってなかったっていうのは悔しいですね。
心から精進したいと思います。


たくさんのご意見にご指摘、感謝します。
そして、それでも面白いと言ってくださった方々にも、同様に感謝します。

誤字、後半の甘さ、説明不足な箇所、結果が出るまでにどれだけ恐怖したかわかりません。
しかし耳に痛くも率直なご指摘は今後の創作の血肉となり、
面白いと思っていただけたことは涙が出そうなほどに嬉しいことです。

これからの課題を与えてくださったこと、そして励みになるコメントへの感謝の気持ち。
とても書ききれるものではないので、ここらで失礼いたします。

『感謝』って言いすぎだと思った。

ならば『ありがとうございました』で(礼
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