禁域「ミドガルズオルム」

作品集: 最新 投稿日時: 2006/10/28 08:58:53 更新日時: 2006/11/22 23:49:08 評価: 31/37 POINT: 212 Rate: 1.48



<1―1>



「この箱を開ければ世界が滅びると言ったら、貴方達は信じるかしら」

決して陽の射し込まない紅魔館の一角にある、ヴワル図書館。
ここでは時計の音すらこの上なき雑音であるが故、存在する音は常に不可欠なものに限定される。
だからこそ、この図書館の主、パチュリー=ノーレッジのその一言は、虚言でもなく戯言でもなく、真実それが意味に相応する重みを持つのだと、その場にいるものは誰もが即座にそう感じ取った。

「しかし、なんだか箱みたいな形をしているな、このゴミ」

パチュリーが示した箱を指先で突きながら黒装束の魔法使い、霧雨魔理沙が呟く。
彼女がそう言うのも無理は無いだろう。
それは道具としてみるならあまりに不完全で、工芸としてみるならあまりに不細工で、全くどうしようもない代物に見えた。
その箱は何面体だか数えるのも面倒くさいほどたくさんの面を持ち、どの角度からみてもそれは非対称で歪な四辺形を見せている。
色はまるで錆びたような暗い青色が全面に塗られていて、悪臭を放つ昆虫の体表のようにぬらぬらとした不快な光を纏わりつかせていた。
舌を失くした雀を助けるほど善良な老人でも、わざわざこの箱を選んで開けようとは思わないだろう。

「あら、それは失礼ながら言い過ぎと言うものでしょう」

遠慮と言うものを七代前の母親の胎内に置き忘れたかのような魔法使いに、それでも客人としての敬意を――無論外面だけの話ではあるが――微塵も崩さず、傍に控えていたメイドの十六夜咲夜が紅茶を注ぎ足した。

「箱みたいなゴミじゃなくて、ゴミみたいな箱ですわ」
「ゴミじゃないと言っているでしょう」

パチュリーの睨めつけるような視線を、忠実なメイドを自称する咲夜は鉄面皮で跳ね返した。
そんなやりとりを尻目に、魔理沙はますます箱を突く速度をあげる。
しつこくノックでもすればそのうち中から何か飛び出してくるとでも思っているのだろうか。

「いいや、これはゴミだぜ。長年ゴミばかり見ている私が言うんだ、間違いない」
「それはなんだかとても間違った根拠のような気がします」

紅茶の熱さと甘さとで交互に顔を歪めながら、半分幽霊の少女、魂魄妖夢がぼやくように言った。
彼女は先ほどから何故自分がここにいるのか分からないといったふうに、会話に参加せず、ひたすら普段冥界では味わえないお茶やお菓子をつまむのに集中していた。
席に着く義務の無いもう一方の半身である幽霊は、図書館の中を珍しげにふらふらと彷徨っている。

「信じられないわ」

あけっぴろげで遠慮が無く、でもどこか神秘的で謎めいている。
紅と白。陰と陽。相克する二つが矛盾無く、混じりあって一つの形象となる。
博麗の巫女、霊夢の言葉はいつもそんな感じを人に与えていた。

「酷いな。霊夢まで私のゴミ鑑定を疑うのか」
「そっちじゃないわよ、話の腰を折らない」
「腰なんて元から無いだろ。海月みたいに中身の無い会話しかいつもしてないぜ」
「人間の会話なんて99%そのようなものですわ」
「私は常に必要なことしかいわない。そして同じ言葉は二度と繰り返さない」

そう告げるパチュリーはあくまで無表情だ。
まるで占い師が水晶玉を見つめるかのように、視線は中央の箱に定まったまま動かない。
それを怒りのためのとでもとったのか、ばつが悪そうに、魔理沙は被っていた帽子を少し目深に下げた。

「あー、この箱を開けると世界が滅びる、だったな。まぁ、本当にそうだったらこの上なく面白いが、だからこそ簡単には信じられないな」

そう言って、魔理沙は同意を求めるかのように一同の顔を見わたした。
皆が頷く中、食べてばかりではなく意見も述べなければと思ったのだろうか、妖夢が些か遠慮がちに意見する。

「私ももちろん、信じません。この箱になにがあろうが、それで世界が滅ぶなんて冗談としか思えな――」
「私は信じますわ」

妖夢のありふれた一般論を打ち切るナイフのような意見が、予想していない方向から飛びだした。
先ほどまで誰の気にも障らぬように、品良く紅茶を淹れていた咲夜からだった。
一同の驚きの視線が集まる中、瀟洒なメイドは意味ありげに片目を瞑って言葉を付け足した。

「パチュリー様が本当にそんなことを信じておられるのでしたら、ね」
「模範解答ね、咲夜。レミィならそれで喜んだでしょう。でも今日のこれは、悪戯でも戯事でもないわ」

パチュリーの表情は変わらない。
吹けば飛びそうなほど小柄な少女の姿をしていながら、その底は蓄積した知識の重みで固定されているかのようだ。

「答えを私が出しても意味は無いの。私達は常に問いかける側。貴方達人間は常に答える側。妖怪は人を試し、応えた人間にはそれに相応しいものを与えて、応えられなかった人間には罰を与える。それが大昔からある、人と妖怪のルールでしょう?」
「やけに勿体つけるじゃないか。滅ぶか滅ばないか、開けてみれば一発で分かることだ――」

言い終わるか否か、魔理沙が素早く箱に手を伸ばす。
開けてはいけない箱、押してはいけないボタン。
そんなものを彼女の前に差し出すのは、飢えた蛇の前に蛙を置くようなものだったのだろう。
まるで堰が崩れたあとの鉄砲水のように、その動きは性急で躊躇が無い。
その手首を――、

「止めなさい、考えなし」

待ちかまえていたように――いや実際、魔理沙の行動なんてお見通しだったのだろう――霊夢の手ががっちりと掴む。
不服そうに目を眇めて、幾分拗ねるように、魔理沙は霊夢の顔を見返す。

「なんだよ。お前はさっき、この箱を開けても世界なんか滅びないっていっただろう」
「言ったわね」
「だったら私がこの箱を開けても何の問題も無いだろう」
「そうね。私の勘ではこれを開けても何も起こらない、でも同時に、決して開けてはならないものだと、そういう気がしてるのよ」
「矛盾してないか」
「開けても何も起こらない。何者も開けてはならない。どっちも取るべき行動は一つよ。矛盾してないわ」
「むぅ……」

納得したわけではないのだろうが、不承不承、魔理沙は手を引っ込める。
そして不貞腐れたように、椅子が後ろに倒れるぎりぎりのところまで傾けて寄りかかり、テーブルに足を投げ出す。

「じゃあこの箱の中身はなんなんだよ」
「それは――」
「もしやなにか怖ろしいものが封印されているのではないでしょうか?」

パチュリーが何か言いかけたのを、妖夢が震える声で遮った。
幽霊なのにお化けや怪談が苦手なこの少女は、ある意味この場に一番相応しい客なのかもしれない。

「まさか。お前んちの妖怪桜じゃあるまいし」
「それ以前に世界を滅ぼしかねない悪魔が平然と放し飼いになっているこの館でそんな話されてもねぇ」
「あら、放し飼いになんてなってませんわよ。高貴な血筋の方には目に見えない太い鎖が幾重にも絡みついているものですわ」
「ノーブリスオブリージって奴?あんたのとこのアレは権利ばっか行使して義務を遂行しているところを見たこと無いけど」
「怠惰でさらに我侭であることが吸血鬼の義務ですわよ」
「あやかりたいわ」
「あやかれよ、頼むから」

妖怪退治を仕事と主張する霊夢と、その妖怪のついでに退治されることも少なくない魔理沙が、揃って眉間を押さえて呻いた。

「人選を間違えたかしら。ちっとも話が進まない」

二度も話の腰を折られて、さすがにパチュリーが憮然とした表情で呟いた。
咲夜は思わず苦笑する。

「あら、箱の中身を当てさせたいのではなかったのですか?」
「そんなことは最初から言ってないわ」
「残念ですわ。私は一つ良い回答をもっていますのに」
「言っていいわよ」

先ほどから関心がなさそうな顔をしていたが、この手の謎掛けに一番興味と心得があるのが、このメイドだろう。
彼女に言わせれば主の要求に応えて謎解きをするのもメイドの仕事なのだそうだ。

「この箱の中には、実は何も入ってないのでしょう?」
「あ……?そりゃどういう理屈だ?」
「世界を滅ぼすようなものなど何もありえないということですわ。私がいるから世界は在るなんて、幻想に遥かに及ばない妄想もいいところです。何をもってしても、どのような手段をもってしても、死ぬほど足掻いても、絶対にこの世界は続いていくのです。死ねない人間がいるでしょう?あれと同じようなものですわね。苦界は終わることが無いのです。皆が暗黙に分かっている事実でも、それが真実であると突きつけられることは、とても怖ろしいことでしょう」

咲夜の言葉が終わると、皆それぞれ違った表情を浮かべる。
魔理沙は肩透かしを食らったような、妖夢はよくわからないような、そして霊夢は最初から咲夜の話なんて聴いてなかったような表情を。

「と、このような感じですが。如何ですか?パチュリー様」
「的外れね。絵の中の虎を捕まえろと命じているのに、まず絵から追い出せというくらい」
「厳しいですわね」
「いえ、妥当じゃない?」

横から霊夢が口を出した。とはいっても、まるでそちらを見ていない。
いつの間にか箱を手に取り、まるで透視しようとしているかのように、難しい顔つきで矯めつ眇めつ見つめている。

「これ、結界ね」
「結界?」
「そう。音も光も熱も、時間さえも。どんな情報も例外なく、この箱をあける、という行為以外では中身に伝わらないし、中身から伝わらない。当然壊すことも穴を開けることも絶対にできない。もの凄い念の入った結界ね。こんなものを造れるのは――」
「まさか、紫様」

さきほどまで話についていけず、ぼんやりしていた妖夢がはっとしたような声を出す。

「他に居るとは思いたくないわね。こんなことするような力と暇を持て余してるような奴が」
「なるほどな。あいつが絡んでいるとなると、ただの空箱ってのはあり得ないな。間違いなくこの中にあるのはとびきり厄介で、面白そうな代物だ」
「それもそうですわね。残念。降参しますわ、パチュリー様」

言葉とは裏腹にさして、残念そうにも見せず、咲夜は再びパチュリーの後ろに下がる。
それに応えて、パチュリーは寄りかかっていた椅子から身を起こして掌で箱を包み込んだ。

「そうね。じゃあ始めましょうか。貴方達には十分に理解して、良く考えて回答してもらわないと意味が無いから……最初から、順を追って、ゆっくりと説明するわ」

――時間はいくらでもあるのだから、と。
パチュリーがそう呟くのと同時に、どこかで一つ、時計の打つ音が聞こえてきた。
これは、幻聴だろうか。
だが、確かに、それは箱の中から聴こえてきたように思えたのだ。










<2>



「なるほど、それは面白いことを思いついたものね」

スプーンで琥珀色の紅茶をくるくるとかき混ぜながら、レミリアは朝陽を享けた花が開くように微笑した。
昔はそんな笑顔の中にも陰鬱な影や気だるい怠惰が底に澱んで見えたものだが、最近は随分と変わったように思える。
……いや、変わっていないのかもしれない。それを映す私の目こそが歪んでしまったのだということもありえる。
遠いようで近くて、近いようで遠くて、まったく、長年の友人というものは物差しには不適合なものだと、パチュリーは我知らず微笑した。

「思いついた、というのは正確ではないわ。イメージは前からあった。ただそれを行う条件が今まで揃ってなかっただけ」
「条件?」
「役者が揃った、いや、揃った役者で何が演じられるか考えた結果、それが在ったというべきかもしれないわね」
「それは私も含めている?」
「主役は貴女よ、レミィ」
「それは光栄至極。でも、私にとってそれを演じるのにどんなメリットがあるのかしら」
「きっと愉しいわ」
「特に娯楽に飢えているわけではないわよ」
「この館に宝箱が一つ増えるわね」
「私は強欲でもないわ」
「でも強欲な人間が集まるわ」
「食事の調達が楽になっても喜ぶのは咲夜だけよ」

パチュリーがとうとう言いよどむのを見て、レミリアがくすくすと笑い出す。
――前言撤回だ。全く変わっていない。この困った友人は。
観念して、できれば言いたくなかった最後の一言を絞り出す。

「……お願い、手伝ってほしいの、レミィ」
「仕方ないわね。パチェにそんなふうに頼まれたら断れないわ」

そんな憎まれ口を叩きながらも、レミリアは嬉しそうに羽を震わせた。
パチュリーは思わずそれを少し毟ってやりたい衝動に駆られる。

「でも、私達だけで造り上げるのはちょっと厄介ね、その箱」
「大丈夫。さっき役者が揃った、と言ったでしょう。ちゃんとそれぞれの難題には適任者を選んであるわ」
「手回しがいいわね。でも彼女らが素直に手伝ってくれるかしら」
「手伝ってもらうのではないわ。手伝わせるの。そうでしょう、レミィ」
「わかっているじゃない。そうよ、貴女がお願いしていいのは私だけなのだから」

そう言うレミリアの表情は、在り得ないほど幻想的で、蟲惑的で――、
やはり儀式を行うのは満月の晩がいいと、パチュリーは脈絡もなくそう思った。










<3>



まず最初に海を造った。
そして中央に大地を。
光を。影を。
聖書が謳うように高らかに。聖者が歌うように清らかに。精霊が謡うように美しく。
太陽が照らす。月が隠す。生命を宿した水が涌く。豊穣の土が満ちる。鬱蒼たる木々が地表を埋める。万物はその身に火を宿す。物質は錬成されより高みへと昇華する。
日月火水木金土。それらは巡り、生み出し、打ち消し、相生して、相克する。

その中心で少女が舞う。硝子細工のようなその手足を魔力の渦の中に燻らせて。
その中央で少女が奏でる。彼女の指が賢者の石を弾くたびに、それは倍音となって偽りの世界に響き渡る。
その中空で少女が詠う。彼女の口が呪文の音を紡ぐたびに、混沌の塊でしかなかったその世界は、ある一定の秩序へと向かって確実に変貌していく。

「見事なものね。弾幕ごっこ以外に魔法を使う姿なんて見たこと無かったけど。実際もったいないことをしているわ、貴女」

傍で見ていたアリスが素直に感心する。
精霊を操ることが出来るこの魔女は、この世界を構成する全ての要素を操れる。
それはやり方さえ違わなければ、この世界を紛うことなく再現できるということだ。
―――ただそれは文字さえ打てれば理論上は猿でも戯作が作成できるといった類の、牽強付会な考えにすぎなかったが。
少なくとも、偽物の、しかも、ごく限定された世界であれば創世の真似事も可能ということだろう。

「これが魔女というものなのかしら。なるほど、どうりであれほど徹底的に名前をやっつけられるわけね」

そう言いながらアリスも手を休めてはいない。
彼女がパチェリーから依頼されて造形した人形はすでに数万を数える。
パチュリーの魔法では、海や森などといった総体は生み出せても、特定の人間や妖怪といった個は生み出せない。
だから彼女はそれを造る。限りなく本物に近づけた人形を。自分を本物と信じて疑わない人形達を。

「あら、神の怒りに触れる、という点ではどっちもどっちなことをしていると思うけれど」

死ぬことすらできない大罪人がしたり顔してそんなことを言ってのけた。
彼女、八意永琳はアリスの造った人形に片端から、液体状の薬を飲ませている。
液体が人形の体に染入ると、擬似的な臓器が躍動し始める。肌にほんのりと赤みが差し、やがて口から微かな吐息さえ聴こえてくる。
耳元で手を打てば、今にも飛び上がりそこから動き出さんばかりだ。
アリスが一連の作業をみて、やや大げさに嘆息する。

「私が長年取り組んでいたことを目の前であっさり再現されると滅入るわね」
「擬似的な魂を捻じ込むだけよ。それほどたいしたことではないわ」
「ますます滅入るわ。そこにすら私は辿り着いていないのだから」
「私と貴女ではその年月に開きがありすぎるのだから当然のことよ。それに私がやっていることと貴女がやろうとしていることは到達点が同じでも経路は天と地ほど違う。そして貴女の経路のほうがより困難で、真理にずっと近い」
「それってもしかして慰めてるの?」
「諦めなさい、と言っているのよ」
「……これだから月の民ってやつは」

仮初の魂を吹き込まれた人形は、魔女が造り上げた偽りの大地に次々とすえられる。
そこにきて、ようやくこの儀式は一つの形を見た。
紅魔館の広大な庭の、薔薇の神秘と満月の怪奇とに包まれたこの一隅には、紛れもない箱庭の幻想郷が出現している。

「うわあーーー!騙されたーーー!美味しいお酒が飲めるって聞いたからやってきたのにーーー!」
「失礼ね。何も騙してないわよ。労働の後の一杯ほど美味しいお酒があるかしら」
「これだから最近の妖怪はーーー!こうなったらさっさと終わらして飲みまくってやるわ」

酒気と一緒に暴言を吐きながら、鬼はゆらりゆらりと揺れながら箱庭の前に立つ。
鬼である伊吹萃香のもつ能力は疎と密。
それはものを集めたり散らしたりするだけの単純で、原始的な、故に万能な力といっていい。
たとえば今のように――、物体の質量を散らしてしまえば、あらゆるものはその性質を保ったままその存在のみを縮小させていく。
本来ものとは、その性質を保つために一定量の質量を持っていなければならない。
しかし萃香は情報を一切失うことなく、純粋にその質量のみを物質から奪ってしまえる。これは完全な創造の力といっていい。

「あー、面倒くさい。っていうか、これを小さくするんじゃなくて、収める箱を大きく造れば、私は要らなかったんじゃないの?」
「仕方ないでしょう。この箱はただの箱じゃないのだから。それに、貴女には他にもやってもらう作業があるわ」

その箱は境界を操る能力を持つ妖怪に依頼して造ってもらった、特別な箱だ。
箱の中と外とを、完全に別個の世界に分かつ境界、即ち結界をもつ箱である。
そしてこの箱こそが、これに収める中身とともに、このなんでもない玩具を神の領域まで高める重要な要素となる。

魔法と魔術と神秘と秘儀の狂宴は、ほどなく終わりを告げた。
いかに巨大、複雑極まりないものを創りあげようとしたところで、彼女らをてこずらせるほどの難題などそれほど多くはないのだ。

出来上がったその箱は小さく、パチュリーほど小柄でも容易く抱えられそうなほどだった。
作業を終えたアリス、永琳、萃香、そしてパチュリーが箱の四囲に集る。

「最後の仕上げよ、レミィ。貴女が居なければ、この実験は完成しない」
「ようやくね。――本当に待ちくたびれたわ」

ゆらりと紅い光が蠢いた。
月光すら脅かさんばかりに、爛々と輝く紅い光点が三つ。
そのうち二つは、レミリア=スカーレットの、その名が示すとおりの紅い魔眼。
そしてもう一つは、レミリアの右手にぶら下げられている、それ。
それは、まるで人の首のような大きさで。まるで人の血のような紅さで。まるで人の首のような――、何か。

「まるで知恵の巨人の首を下げた主神のようね」
「その神は魔術を得るために、ありとあらゆる禁忌に手を染めたというわ。――今宵の儀式に相応しい仮装と思わない?」

レミリアは芝居じみた動作で、もう一方の手を掲げた。
その指の隙間から、月光が零れ落ちていく。

「じゃあ、フィナーレといきましょうか。忌まわしい輩が、呪われた悪魔の館で行った、禁じられた魔女の儀式の。きっとこの上なく曰くつきで、この上なく神秘的なものが出来上がるに違いないわ」

レミリアが手にしたそれを、目の前に奉げ持つ。
それは、脈打つほど生々しい色を携えながら、同時に、この上なく透き通っていた。
それは、ほぼ完璧に近い球でありがら、あまりに歪な光を放っていた。
それは――、本来この世にあってはならないものであると、その場に居た誰もが直感した。

「……何よ、あれ」

アリスは思わず両腕で肩を抱きかかえる。
萃香が酒をちびちびと不機嫌そうに嘗めながら、それに答えた。

「あれは、ただの計算結果よ」
「計算?」
「たとえばサイコロを転がす。何がでるかは運しだい。ではホントはそうじゃなくて、転がした角度や力、それに地面のでこぼことかを計算すれば分かる事でしょ」
「それはそうだけど、そんなこと不可能でしょう」
「その不可能が可能になるのが、あいつの力なのよ。無数に存在するあらゆる要素の情報を読み出し、そしてそれを無限ともいえる式で演繹すれば、この世のありとあらゆる未来を予測することができる。もちろん、無数の要素を完全に観測できる術者は存在しないし、無限の式を扱える式神も存在しない。だからそんなことができる存在は、まさにこの世に存在しないはずの悪魔にしかできないことなのよ」
「その存在しないはずの悪魔がレミリアだっているの?あいつはたとえばあのスキマ妖怪より凄い力をもっているってこと?」
「まさか。紫に比べてたらあんな餓鬼なんて珠の数が二桁しかない算盤みたいなものよ。たしかに紫には出来ないことだろうけど、それは単に力の性質の問題。そういうことじゃなくて、あいつは観測や演繹なしに、未来の結果だけを抽出できるのよ。それがあれ。未来に起こる事象の集積体よ」
「じゃあ、あれがあれば未来に何が起こるか全部分かるっていうの?私や貴女やあいつのこれから先も全部?」
「あはははは。いや、あれはそんなに便利なものじゃないわよ。人や妖怪が見て理解できるような代物じゃない。脳味噌を開いて見たってそれが記憶されている物事なんてわからないでしょ。あれはね、その脳味噌なんかよりもっと複雑なものなのよ。あれは何かの魔法の媒介と見ればわかりやすい。彼女の能力は『運命を操る程度の能力』でしょ。あれを使って、きっとこれから面白い芸を見せてくれるんじゃない?」

酒のつまみとしてはちょっと不相応だけどね、と萃香が笑って付け足す。

「あら。そんなことはないでしょう。あれは私や貴女がもつものと同じ、最も原始的な太古の力の一つ。見ておいて損する事など何も無いわ」

しんなりと脚を崩しながら、永琳が座り込む。
いかにも研究室に閉じこもりがちに見えそうなこの薬師は、おそらくこれを見るために儀式に手を貸したりしたのだろう、とアリスは勝手に予測した。

「始めるわ」

その一言ともに、レミリアが手に持つ紅い球体に瞳が映りこんだ。
紅い海の中に浮かぶ紅い瞳。
それはとても綺麗で、どこまでも透き通ってで、まるであらゆるものを飲み込んでしまいそうなほど、底がなかった。
そう、底がない。光すら吸い込んでしまいそうなそれは、虚だ。紅い、虚。
虚が赤い球体を飲み込んでいく。そこに映った影でしかないものが、映りこんだ紅い球体そのものを飲み込んでしまう。
そして最後には瞳だけが残る。自らを生み出したものすら飲み干した、貪欲なだけで知性の欠片もない、ただ一つの幻想だけに収斂した、狂気の瞳が。
アリスは思わず眩暈を覚えた。アレと同じものを最近、どこかで見たことがある。どこで見ただろう、アレは確か――、

「言ったでしょう。太古の力よ。前に貴方達が見た本物の月と同じ、ね」
「あ――」

ばしん、と音が響いたかと思うほどにまぶしく、光が放たれた。否、光すら弾き飛ばされた。
レミリアの瞳と、そして箱の中身。
その二箇所で同時に、爆発めいた衝撃が起こる。
後には何事も無かったかのように子揺るぎもせず立っている箱と、片目を抑えて平然と立っているレミリアの姿があった。

「成功?」

労いの色も無く、パチュリーが声をかける。

「成功も失敗もないわ。ちょっと変換してコピーしただけだもの」

そう言い捨てて、レミリアは片目から手をどかす。
そこにはいつもどおり、紅玉のような少女の瞳があった。
そして箱のほうにも変化はない。少なくとも見かけでは。

「これで本当に貴女が言ってたものができたわけ?」
「ええ。もちろんよ。理論上は何も間違いは無い」
「理論だけで間違いがないなら、実験は必要ないと思うけどなぁ」

不安げに箱を見やるアリスとは対照的に、パチェリーにはなんの迷いも見られない。
箱を指差し、高くも無く、低くも無い、いつもどおりの声で宣告する。

「これが――、箱庭の幻想郷。そして、この世界を試す箱よ」

自らが創ったものだというのに……、アリスはその箱を覗き込む気にはならなかった。
先ほどの全てを飲み込んだあの虚が、まだ箱の中に潜んでいるような気がしたから。










<4−1>



「なるほど。妖怪を暇にしておくとろくなことをしないと言うのをつくづく思い知らされたわ」
「ちゃんと御目付け役がいたはずだがなぁ。いったいなにをしていたのやら」

霊夢が割と真剣に頭を抱えるのを横目に、魔理沙が肩をすくめる。
一方、御目付け役のはずの咲夜は平然としたものだった。

「あら、私は全然気づきませんでしたわ。何しろ毎日邸内の仕事で手一杯なものですから。主が庭でどのようなお遊びをしているかまではとても」
「まぁ最初からお前などには何も期待してないが」

あっさり見限って、魔理沙はなんだか思い立ったように不機嫌な表情をした。

「しかし、なんでそんな楽しそうな儀式に私を呼んでくれなかったんだよぅ」
「神器を創るのは神や悪魔の役目でしょう。人が介在する余地など最初から無いわ」
「そんな大層なものか?要は幻想郷のミニチュアだろう。そんなものがどうして――」
「どうして世界を滅ぼすようなものになるのかしら」

霊夢の言葉は疑問よりむしろ詰問するような口調があった。
おそらく、彼女は勘ではすでに分かっているのだ。ただそこに至る筋道を、張本人の口から聴きたいのだろう。

「そういえばそうですね。この箱をあけたとしても、そこには私達が住んでいるのと同じ幻想郷の風景があるのでしょう。それは珍妙なことであるけれど、危険は別に感じないような……」
「そう。この箱の中には寸分たがわず、今このときの幻想郷と同じ事が再現されている。神社も、冥界も、竹林も、この館も。レミィも、私達も。私達のやり取りも。そして、私達の前にある箱も」
「え?」

そこまで聴いて訝しげな顔をしたのは妖夢だ。反して、魔理沙と咲夜は、はっとしたようにお互い顔を見合わせる。

「いや、それはおかしいんじゃないか?だってこの箱が創られたときには、箱の中の幻想郷ではまだ箱は創られていなかっただろ?」
「いえ、創ったわよ。私はあの鬼にはこう頼んだの。この箱を閉じたときあるべき幻想郷を忠実に再現したいから、と。同じものを複製したり、縮小したりするのはあの鬼の得手とするところでしょう。だから当然、あの幻想郷にも箱はつくってもらった。その箱の中の幻想郷にも、その中にも。そのさらに中にも。どれだけ繰り返せるか知らないけど、あの鬼のことだから、きっと無限と思えるくらい、幾重にも」

そこでパチュリーは言葉を切る。
それは効果を狙ったのか、あるいは単に長口上が喘息の身に辛かったのかはわからない。
ただ、その後の台詞は聴いたものを、その冷たい表情は見たものを、心底から戦慄させるものだった。

「さて、ここでちょっと質問よ。私達が今、目にしているこの箱は、何番目の箱だと思う?」

その言葉が皆に浸透するまで、いったいどれだけの時を打たれただろう。
やがて、咲夜が疑問が氷解したというより呆れたという感じに溜息を吐く。

「……そういうことですか。悪趣味と言うか、いや、まさしく悪魔の所業ですわね」

一方、妖夢は冷静ではいられない。
椅子を弾き飛ばしながら、勢い良く立ち上がる。

「な、何を馬鹿なことを。こんなの、これが貴方達が一番最初に創った箱に決まっているじゃないですか。まさか、馬鹿げてる。私達が箱の中に居るとでも言いたいのですか?」
「と、今この中の人形も叫んだでしょうね。記憶も、人格も、そして運命も。この中の人形は箱ができた時点から正確にトレースしている。私達がほんの少し前にできたばかりの誰かのトレースじゃないなんて、誰が言える?」
「言えますよ。だって、人形は飛んだり跳ねたり……、そう、弾幕ごっこをしたりとかはできないでしょう」
「出来るわ。だからこそレミィに運命を箱庭の世界に写してもらったのよ。例えば――」

パチュリーはそう言いながら、手近にあった本を宙に浮かべる。

「私達の世界であれば、人形はこんな簡単な魔法でさえも使うことは出来ない」
「そ、そうですよ。まさにそれが、人形じゃないことの証明に――」
「私達の世界ならば、ね。でもそれが人形の世界ならば、人形はその魔法を自在に使うことが出来る」
「え――?」
「たとえば人形劇だと思えばわかりやすいわ。劇の中の人形は魔法どころか自分で動くことさえできない。全ての演技は劇場の外で人形を糸で操っている人間がいるから出来ること。でも視点を変えて、劇場の中だけが世界と思えば、人形は自由に歩き、歌い、踊っているように見える」
「いやそれは、あくまで人形を操っている人が外に居るからでしょう」
「そうよ。操っているの、この箱の中の人形も。レミィが、いえ、レミィが操った運命の力が」

妖夢は二の句の継ぎようがないまま立ち尽くす。
頭は今の話を整理しようと精一杯だが、唯一つのことは理解せざるを得ない。
この魔女とその友人の悪魔は、この矛盾を成立させるために、あらゆる障害を排除していたのだと。

「それは私達の認識にしても同じこと。私達はあくまで自分達が本物だという前提の元に思考が創られている。私が今この場で指を切れば、血が出るでしょう。それはもしかしたら血ではなく綿なのかもしれない。でも私達の世界の中ではそれがどっちであろうと、あくまでそれは血というのものだと認識されているのよ」
「つまり完全に、箱が閉じられている限りは、偽物だろうと本物だろうと、中に居る奴にとっては等価になってしまっているということか」

やれやれと、魔理沙が妙に嬉しそうに肩をすくめる。

「だ、だからって。いや、だとしてもそんなことは在り得ない!」
「そう、在り得てはならない。だからそんなことがあったら、この世界は崩壊するのよ」

とすん、と。
力が抜けたように妖夢は椅子に再び腰掛ける。
霊夢と魔理沙は思うところがあるのか、黙り込んでいる。すくなくとも今はパチュリーの言葉に同意する気も反論する気もないようだ。
また時計の打つ音だけが、しばしこの図書館を支配した。

「わからないわね。今の話が事実だとしても、少なくともあんたが事実だと信じている前提で話すけど、この場に私達が居る意味がわからない。その儀式とやらの結果が見たいのならさっさと箱を開ければいいわけでしょう」
「霊夢。それは早とちりと言うものよ。私はこの箱を開ける気なんて全く無いわ」
「どういうこと?」
「私は自分の主導した儀式に自信を持っているわ。だから今の時点でこの箱は、世界の真偽を見定める箱になっている。つまり、この中には私の世界に向けた問いに対する答えがつまっているわ。だからそれでいいの。真実を知ることになんて興味は無い。私は知識を所有するだけでいい。仮に真実なんて知ってもそれを用いてどうこうするつもりもないもないのだから」
「知識を所有するってのは、例えば本を読んでその知識を自分のものにすることじゃないの?本を持ってるだけじゃ意味が無いでしょう?」
「それは逆よ。本は知識を語るものではない、常に知識を内包するものよ。読む人間、読む時代、読む場所によって、その解釈は無限に分岐する。その真実を知ることなんて誰にも不可能なことよ。私達は本を所有することはできても、その知識を手に入れることは決してできないの。本が語る知識を類推して、自分の形にあったものに加工して取り出しているだけ。取り込んだ時点で、それは本に書かれているものとは別のものになるのよ」
「じゃあ、あんたは何のために本を毎日読んでるのよ。まさか本が傷んでないか点検してるわけじゃないでしょう」
「それもあるけど」
「あるんだ……」
「誤解しないで欲しいのは、そうして加工したものも紛れもない、自分の知識なの。ただ本の知識とは違うだけ。だから私は本を読むの。私はここから離れないから、知識を積み上げるならば、本を読むしかない」

だから妙に間違った知識が多いんだ、と魔理沙がぼやくが、パチュリーは聴こえない振りをして続ける。

「でも、この箱を開けてもその先は無い。それは取り込めるものでないし、加工できるものではないわ。つまりそこにあるのは真実という名前のただの行き止まりなのよ。加工された私の知識の成れの果てなの。私は人間のように早く終わりたがる性向はないから。私がそれを開けるとしたら、そう、それこそ世界の終わりが来たときでしょうね」

他の皆が困惑している中、ただ一人、彼女に一番近い位置にいるのであろう魔理沙がもっともらしく頷いた。

「いやいや、実に魔法使いらしい意見だな」
「一般的には狂ってるっていうのよ、そういうのは」

力いっぱい呆れた表情を浮かべて霊夢が嘆息した。
理解できないというより理解したくないとでも言いたげに。

「それじゃあ、最初の質問に戻るけど、なんで私達がここにいるの?」
「言ったでしょう。私達は人間を試すの」
「試す?」
「貴方達が私の話を聴いて、どう行動するか。信じるか、信じないか。信じたとすればどう行動するか。信じないとすればどう行動するか」
「わからないわねぇ」
「つまりは、この箱に名前を付けたいの」
「ますますもってわからないんだけど」
「あー、わかりますわ。私も良く役立ったナイフに名前を付けたくなりますもの」
「それはおそらく違う」
「さて、前置きはこんなところでよいでしょう。そろそろ答えて貰いましょうか」

パチュリーはそう言って、一同に向き直る。
最初と同じ表情で。
最初と同じ言葉を。
ただ、瞳の中の漆黒だけがより色濃く影を増して。

――この箱を開ければ世界が滅びると言ったら、貴方達は信じるかしら。

時間の感覚が、狂う。
時計は繰り返し、音を刻み続ける。
一つ、二つ、三つ……。
一つ目の音は二つ目の音と変わらず、二つ目の音は三つ目の音と変わらない。
では何をもってそれを三つ目の音と判別しているか。
当然どこかでその数を記憶しているからだ。
だがもしその数を誰かが自由に記入できるのだとしたら。だれかが常に一と書き込んでいたとしたら。
この何もない密室ではたとえ一万を数えても、それが最初の一だと錯覚してしまうかもしれない。
たとえ餓死するほどの時間が経過したとしても、その記憶に一と刻まれているならば、
倒れ伏して死ぬ瞬間まで自身に何が起こったか悟ることはできないだろう。
それは愚かだからだろうか。
いや、命の短い人間の一生ならば、その息絶える瞬間は誰しも疑問に思えるのではないだろうか。
私は本当に今まで生きてきたのだろうか、と。
記憶というあやふやなで幽かなものだけを縁に。
長い道程を確かにこれまで歩んできたのだと、確信できるだろうか。
できない。
だからこそ、人は常に確かめなければいけないのだ。
人生の道程は踏み分ける道ではない。長い吊り橋だ。過去が崩れれば未来も崩れる。
どうして確かめられずに居られようか。
それは断じて好奇心などという浅はかな衝動ではない。
それは――、

「私は、信じません」

永夜の夢をも覚ますような清冽な一声だった。
この対話が始まって初めて、幽霊の少女はまっすぐに箱を、そして魔女を見据えて言い放つ。

「失礼ながら私は貴女や貴女の友人の力を良く知りません。しかし、そのようなことは誰にも不可能だと思うのです。もしかしたら、貴女の言うことは一つ、一つは在り得る話なのかもしれない。繋ぎ合せればそのような結論がでることもあるかもしれない。でも曖昧な話と曖昧な話を掛け合わせても、それはやはり曖昧な話なのです。あなたの話は、良く出来た御伽話の域をでない」
「そう。そこまで自信があるのならば、箱を開けてみてもいいんじゃない?」
「いえ、私は絶対に開けません。何故ならそれはそもそも疑ってはならないものだからです。当たり前のことが一番正しいこと。この世界が他ならぬ私達の世界であることを疑って、何故その他のことが成り立ちますか。仮にそれを疑い、それが真実であるとしても、そのことから生まれる何かがあるでしょうか?そして信じたそれが、仮に真実ではなかったとしても、そのことから何かを失なうことがあるでしょうか?」
「なるほど、理に適っているわね。表に賭けたほうが必ず得をするのであれば、そもそもコインを投げる意味が無い。貴女に対しては私の仕掛けたゲームは成立しない」
「そういうことです。だから私は箱を開けません。疑う余地がないのではなく、意味がない。――究極の真実とはそういうものでしょう」

妖夢の話が終わるや否や、パチュリーは声を立てずに笑い出した。
――面白いわね、幽霊は。いや、人間だからかしら、と。
そんなことを呟きながら。

「さて、じゃあ次は咲夜に答えて貰いましょうか。妖夢とは全く異なった意見が聴けそうだわ」
「ご要望に添えますかどうか。……私は信じるとか信じないとかいう以前に、この箱の中身は開けるまでは確定していないのだと思います。言い換えれば、この箱の中身は世界に滅びをもたらすものであるものとそうではないものが重なっている状態なのです」
「あー、それ知ってるぜ。猫を乾かすためにデンシレンジとかいう箱にいれたら生きてるか死んでるかわからなくなったとかいう話だろ」
「凄い勢いで間違ってるわよ、魔理沙」
「……ちょっと黙ってなさい、貴女達」

横槍をいれてくる外野を一睨みで黙らせて、パチュリーは咲夜に先を促す。

「あー、そうですわね。そのなんだか分からない思考実験に対する考察から思いついたものなのですが、箱を開けて滅びた世界と滅びなかった世界は両立するのです」
「あの……、すいません。お話が全くわからないですが」

自分が答えた時とは打って変わって、妖夢が自信のなさそうな声をだす。
咲夜はまるで出来のよい生徒の質問を受けた先生のように頷いて、説明を続ける。

「今のこの箱がちょうどいい例になりますわ。まずこの箱を造る前の、元々あった世界をAとしますわね。そうしますと箱を造った瞬間に、世界は元々あったAから箱の中に創られた世界A―1、さらのそのA―1の箱の中に創られたA―2……A−∞とどんどん分かれるわけです。ここまではわかりますか?」
「う……、なんとか……」
「もちろんこんな仮定が成り立つのは、分かれた世界と世界は絶対に干渉しないし、異なる複数の世界を意識する存在はありえないという前提、つまり結界があるからですが。しかし、この箱を開けた瞬間に全ての世界は繋がってしまうわけです。ただ平行に存在したはずの世界が繋がることは矛盾しますから、世界は元々在ったAという一つの世界を残すしかない。話を一旦この実験に戻せば、お嬢様が運命を操ったのはあくまで、この世界がどの世界からも独立しているという前提があるでしょう。なら前提が破綻した後のシナリオは考えていないというのが妥当ですわ。幕が閉じたなら、人形劇の人形は動かなくなるだけ。即ち世界の終わりというわけです。しかし、最初にこの箱を開けたAの世界だけは、元々操っていたものなどいないのですから、滅びもせずに残ります。つまりこの箱を開けて滅んだ世界と滅びない世界があるわけです。ですから、箱を開けてもAという世界は滅びなどしませんが、その他のAから分岐したA−1やA−2……A−∞といった世界にとっては破滅以外なにものでもないのです」

はあ、と妖夢がなんとなく気の抜けた声を出す。
理解はともかく納得はする必要はありませんわ、と言って咲夜は苦笑した。

「つまり私にとってはこの箱は信じるか信じないか、ではなく、表がでるか裏がでるか、そういったものですわ。そして、私は分が悪い賭けは決してしません。確率的に言えば、世界が滅びない箱は一つだけ。滅びる箱は無限にあるのですから」
「分かってないな。賭けってのはとにかく0に張るものなんだぜ」

魔理沙が偉そうに放言する。
しかしこの魔法使いが賭け事にまともに勝ったためしは無い。

「貴女とは行動原理が違いすぎますので。ところでこれは余談ですが――」
「ん?」
「この考えでいきますと、たとえ箱を開けて中身を見ても、この世界が絶対に滅びない方法が一つあるのです」
「おっ、そんな方法があるのか。教えろよ」
「それは御自分でお考えください。そもそも思いついても誰もやろうとは思わないことですわ」

このような感じでよろしいでしょうか、と言わんばかりに咲夜がパチュリーに視線を送る。
パチュリーはゆっくりと咲夜に向かって頷いた。

「じゃあ、次は魔理沙ね。貴女のことだから通り一遍の答えではないと期待しているわ」
「そうか?まぁ、まずは答える前に誉めておくぜ。よくこんな素晴らしく役にたたないものを発明したものだ。全く見習いたいぜ」
「役にたたない、ということはこの箱は世界を滅ぼすものでもなんでもないということですか?」
「いや、逆だ。この箱は確実に世界を滅ぼすものだ。なにせそのためだけに創られたものだからな」
「え?」
「そもそも世界は、まぁ外の世界はしらんが、少なくともこの幻想郷は簡単に滅びるものだ。なにせ滅ぼす力をもった妖怪やら人間やら他にもわからんものがやたらとうろついているんだからな。考えてみれば幻想郷はものすごい危ういバランスで成り立ってる」

そう言って魔理沙は、指を一本立てて、ティーカップをその上に乗せた。
カップぐらぐらと揺れる。揺れながらも、カップは魔理沙の指の上にある。

「そもそも世界を滅ぼすつもりならこんな箱はいらないんだ。世界を守るということは、この箱に鍵をかけることでも、箱を創らないことでもなく、箱を開けないことなんだ。箱に鍵をかけることは、箱を目の前にした奴を信用しないということ、逆に言えば、鍵を破ることの出来るものなら開けてもいい、ってことになってしまう。箱を創るのを禁じることは箱をもつもの、つまり幻想郷にいる大きな力をもつ存在達を、否定することになる。開けてはならない箱は、その滅びを賭けた奴の律をもってしか禁じえない。浦島太郎に玉手箱が持たされたのは悪戯でも悪意でもなんでもない。浦島の滅びを賭けたあの箱を禁じるのは浦島本人以外にあってはならないからだ」
「つまり貴女のさっき言ったバランスとは力を持つ者同士の平衡を指すのではないのね」
「ああ。自らの律によってのみ、その世界は平衡を保つ。だからこの箱を開けるものは世界を滅ぼす」
「開けた中身が滅ぼす、というのではなく、ね」
「自らの律を破ることで世界を滅ぼす。まぁ単純に言えば、だ。世界を滅ぼすような箱を開けてしまうような愚か者が出た時点で幻想郷は滅んでしまう、というわけだ」
「あんたさっき真っ先に開けようとしたじゃない」
「あれはもののはずみだ」
「いや訳わかんないし」
「……そんな危なっかしいものでしょうか。私はさっきも言ったとおりこの世がそんな脆いものとは思えませんが」
「いや、危ういからこそ強固なのさ。矯柳は強風が吹いても、折れず曲がらず受け流す。世界が紅くなろうが、春が遅れようが、月が消えようが。この世は全て――」

魔理沙の指が消える。
カップが落ちる。

「事も無し」

カップはまるで吸い込まれるかのように、テーブルに着地する。
誰も心配はしていない。彼女は意味も無く盗むことはあっても、壊すことは無いのだ。

「さて、次は霊夢ね。貴女の答えが一番楽しみではあるのだけど」
「ん?私は最初に言ったと思うけど。箱は開けない。それと、中身には一切興味は無い。まぁ滅びるかどうかと言われれば、やっぱり話を聴いてもとてもそれで世界が滅びるとは思えないんだけど」

霊夢の答えに、パチュリーの柳眉が微かに動く。

「意外ね。貴女も妖夢と同意見ということ?」
「んー、いや私は根本から疑問なんだけど、箱を開けてそこに幻想郷があって、そうすると私達が大元のレミリアが操られた人形ということになるんだっけ。だから何?」
「何って……、それじゃ駄目じゃないですか!」
「何が?」
「何がって……えーと……」

妖夢が絶句する。
対して霊夢は何も変わらない。
神社の縁側でお茶でも飲みながら話している、いつもの霊夢そのままだ。

「だって、たとえば今こうしていることが自分の意思なのか、それとも誰かの意図なのかでは大違いですよ」
「それってそんなに差のあること?そもそも自分の意思とか、本物の私達、とかって、そんなものが在るわけ?元々あったそれすらも、私達が思い込んでいるだけで何か違うものかもしれない」
「そうですが……」
「考えても無駄、というか考える意味がないわ。私にとってはここにある私が全て。違う私も、他の私もないわ。それで問題は生じないでしょう」
「普通はそんなふうに割り切れないでしょう。たとえば、さきほどの咲夜の話だと、この箱を開けたら私達は人形になってしまうかもしれないのですよ」
「別にそれでも困らないんじゃない?だって、同じ咲夜の話だと、今の私と同じ本物の私は必ず一人残るわけでしょう」
「あ、いや、でもそれは今の私達とは違う私達で。あ、でも全く同じわけだから。え?あれ?」
「問題ないわ。神社も巫女も幻想郷も、ちゃんとそこにあって、なんの異変も起きていないのなら」
「いや、でもそれは……、何か違うような……。う〜ん、何でだろう、うまく説明が……」
「無駄だぜ、妖夢。お前はさっき、当たり前のことを疑っては立ち行かない、と言ったがな、こいつはそもそも地面にも何も立っていない。あらゆるものの宙に浮かんでいるんだ。究極の真実なんて立ち位置も当然必要としない。こいつは存在そのものが出鱈目だからな。いや、お前のほうが圧倒的に正しいと私は思うが、真面目に相手をするとこっちが馬鹿になるっていういい見本だぜ」
「言ってくれるわね、生粋の馬鹿」
「それこそ馬鹿を言うな。馬鹿にならないままにお前につきあってる奴なんざ、私くらいのものだ」

霊夢と魔理沙は言い合いながら一瞬視線を交錯させて、そして素知らぬ顔で、だが示し合わせたかのように、二人して紅茶に口をつける。
その様に、なんとなく微笑ましいものを感じたのか、一同が忍び笑いを漏らす。
パチュリーの最初の一言以来、緊迫していた図書館の空気が、ようやく弛緩した。
時計はいつもどおりの脈拍で時を刻み始め、メイドはお茶のお代わりを取りにキッチンへと向かいかける。
妖夢はいつの間にか居なくなった半身の幽霊を目で探し始め、パチュリーは箱を見てなにやら考え事をしている。

「――ああ、そういえば」

不意に、パチュリーが思いついたように声をあげる。
そして、ゆっくりと、こちらを、見た。

「さっきまでまるで興味がなさそうだったし、しゃべりもしなかったから訊いていなかったけど――」

再度、断っておこう。
それは断じて好奇心などという浅はかな衝動ではない。

この世界を疑っているわけではない。
分の悪い賭けで勝負をしたいわけでもない。
世界を滅ぼしたいわけも無い。
今の自分に不満を持っているわけでもない。

それは――、
使命でも、宿命でも、運命でもなく、
これは言うなれば、私命。
私は自分の命を、誰でもない、他ならぬこの手に掴みたいだけ。

これは――、これこそが、私の命そのものなのだ。
私は箱に手を伸ばす。

「――駄目!」

いったいそれは誰の叫びをだったのか。
だが、もう遅い。

――私は――、

――その箱を――、

――開けた




そこには私がいた。
私は、一心に箱を覗き込んでいる。
そこには一体何が見えているのか。
分かっていながら、私はそんな愚問を己にぶつけた。
私しかいない。その箱の中には私しか居なかったのだ。
ゆっくりと辺りを見わたす。
やはりそこにも、私しか居ない。
パチュリーも、霊夢も、魔理沙も、咲夜も、妖夢も。
誰も居ない。
本も無い。埃も無い。時計の音も聞こえない。
ここはすでに図書館ではない。
真っ白な闇だ。真っ黒な光だ。
ここには、もう、何もない。

その中で、ぽつんと開けるものがあった。
何も考えられず、痴呆のようにそれを見上げる。
そこには、私がいた。
阿呆のように上を見上げている私。
その視線の先にも、私がいる。
その先にも私。
合わせ鏡のように無限に連なる、私。
私、私、私、私、私、私、私――。

私しかいない。世界にはどこまでいっても私しかいない。
世界は私だけで満ちている。

嗚呼。

言葉にならない絶望と同時に、如何しよう無い安堵感が、私の胸に満ちた。
世界が私で満ち足りていく。
即ち完成したのだ。
私が、そして、この世界が。
もうここから先に進む必要は無くなった。
それは、世界の終わりを意味する。

世界は完全に滅びたのだ。
他の誰でもない。誰の意思に依るものでもない。
この、私だけの意思で。
この、私の手で。
世界は拓かれ、そして閉じられたのだ。

私は、
為すべきことを全て達成したという充足感の中、
静かに終わりを迎えていた。










<5>



柔らかな日差しの中、霊夢はいつもどおり縁側に腰掛けて、
空と彼方との境界を薄ぼんやりと眺めていた。
手元にはお茶が入ったままの湯飲みが、湯気を使い果たして佇んでいる。
ふと気がつけば、隣に魔理沙が立っていた。
――もしかしたら自分は寝ていたのだろうか。
しかし、現で考えても夢で考えても似たようなものだからどうでもいいのだと、霊夢は一人得心する。

「よお。相変わらず呑気なやつだなぁ。いい加減にしないと持ってるお茶から花が咲くぜ」
「なら今度それを摘んだやつで、新茶を淹れるわ。それにぼーっとしてたわけじゃないわ。考え事をしてたの」
「考え事?もしかしてまだこの前の箱のことを考えているのか」

魔理沙はふわりと霊夢のとなりに腰をかける。
森を突っ切ってきたのだろう、強い草の匂いと、微かな花の匂いが、すでに飛んでしまったお茶の香気の代わりに辺りに漂う。

「今更考えても仕方ないだろう。――結局、誰も箱は開けなかったんだからな」

そうなのだ。
結局、誰も、霊夢も魔理沙も咲夜も妖夢も、そしてもちろんパチュリーも、誰も箱を開けず、そのままあの場はお開きとなった。
それはあっけない幕引きだった。
あっけなさ過ぎて、何か引っかかりを覚えずにはいられないほどに。

「いや箱の中身じゃなくてね、紫があの件に絡んでいたというのがどうにも納得できないのよ」
「あいつの考えなんて誰にも分かるわけがないだろう。それこそ考えても無駄だ」
「そうだけど、それでもあいつが幻想郷を滅ぼしかねないものを造るのに手なんて貸すかしら」
「あいつはあんな箱なんかじゃ滅びない、と思ってたんじゃないか?もしくは、わざと失敗するように造ったとか」
「だったら初めから手を貸さないでしょう。無駄なことをするほど暇じゃないだろうし。何かあるはずなのよ、あいつなりの思惑があの箱に」

ひゅるりと、風が二人の間を過ぎった。
生ぬるい。
それは見えない生き物が走ったような、怖気の走る感覚だった。

「そういえばさぁ」
「ん?」
「咲夜が言ってた『箱を開けても世界が滅びない方法』ってなんだったわけ?」
「あ?なんだ、お前、そんなこともわからなかったのか」
「うるさいわね。あんたたちみたいに捻くれた思考は持ち合わせてないのよ」
「単純なことさ。いいか、分かれた世界が、箱を開けて繋がるからおかしなことになるんだ。つまり――」

魔理沙が一拍置く。
その一拍で、何故か世界そのものが一瞬静止してしまったかのような、馬鹿げた幻想を、霊夢は見た。

「もう一つ大きな箱を用意して、その中に入った奴があの箱を開ければいいのさ。そうすれば外箱がさらにあるから、内箱の中身がなんであろうと外箱の外の世界には繋がらない」
「あ――」

世界が再び動き始める。
そこには穏やかな日差しがあり、そして何時までたっても飲んでもらえず拗ねてしまったお茶がある。

「しまった、そういうことだったのか。やってくれたわね、紫のやつ」
「なんだ、どうしたんだ」
「結界よ。あの箱を開けようとしたら、一回り大きな結界がそいつを箱ごと包むように仕込んでおいたんだわ」
「ああ。そうすると――、どうなるんだ?」
「自分で言ってたでしょ。これなら箱を開けても世界は滅びない。箱を開けるたびにさらに大きな結界で包めば、何度あけても同じことよ」
「あー、なるほどな。しかし開けた奴はどうなる?」
「箱の中の世界が分かれている前提は、分かれた世界と世界は絶対に干渉しないことでしょう。つまり箱を開けた奴の情報は一切、この世界から消えなければならない」
「全部?」
「そいつが居たという記憶も、記録も、結果も、なにもかもが、消えなければならない。だからたとえ箱を開けた奴がいたとしても、私達の記憶には残らない。そいつがこの世界にいたということさえ、無かったことにされてしまう」
「そんなことができるのか」
「結界ってのはそういうものよ。そもそも世界を分かつのが結界なんだから。そのおかげで幻想郷は外の世界の誰にも存在を知られずにいられるのよ」

だからいつぞやの歴史を操る半獣の能力は、紫にはまるで通じなかったのだ。
魔理沙の顔から笑みが消えた。どこか、遠くの、おそらく見えるはずのないどこかを、見やる。

「つまり、もしかしたらあそこには私達以外の誰かが居て、実は箱を開けてしまっていたかもしれない。そいつは箱の中身を知るのと引き換えに、紫に結界に閉じ込められて、この世界から綺麗さっぱり消えてしまったというわけか」
「あんたが言ったことよ、魔理沙。自分を律することのできない阿呆がいたら幻想郷は滅ぶ、って。そんな奴を自動的に幻想郷から追放してくれる装置が造れるなら、紫は喜んで手を貸すでしょうね」
「全部推論だけどな。しかし、仮に本当だとすれば、パチュリーやレミリアは気づかなかったのか?」
「さぁね。知っていたのかもしれないし、知らないのかもしれない。――たぶん、どちらでもいいんでしょう」
「だろうな。まぁ、妖怪がいったい何を考えてるかなんて、それこそ私達が知ってはいけないことだろうぜ」

あのとき、箱を開けてしまった、いや、最初から居なかったかもしれない、誰か。
その誰かのために、霊夢は静かに祈りを奉げる。
おそらくそれだけが、世界を分かったものに対してできる唯一のことであるのだから。










<6―?>



触れるもの皆、紅く染め上げんばかりに、湖畔に聳えて異彩を放つ紅魔館。
この館の一隅に、不恰好な紫色の箱がある。
それは道具としてみるならあまりに不完全で、工芸としてみるならあまりに不細工で、全く掃除の邪魔にしかならない代物に見えた。
最近は新入りのメイドが入るたびに、この箱について触れておくことがメイド長の責務に新たに加わった。

メイド長は言う。

この箱の名は、禁域「ミドガルズオルム」。
決して開けてはならぬ箱だと。

ミドガルズオルムとは、世界と無限を象徴する巨大な蛇である。

その蛇は、世界を丸ごと身のうちに囲って、自らの尾を口に銜えていると伝えられる。

――伝承では、その蛇が尾を離して顎をあげたとき、世界の終末が始まるとされていた。

――――そしてその終末の中、これを倒した英雄神も、その蛇の毒を受けて我が身を滅ぼしたのだという。


<終>
タイトル悩みました。
『パチュリーノーリッジの箱庭幻想郷』とか、
『そして誰かいなくなるか?』とか最後まで候補がいくつかあったんですが。
オチはわからないけど、話の内容はわかるような気がする、そういうのがベストだったんですけどね。
結局これに落ち着きました。

さらに、どうでもいい話ですけど、今回も投稿直前まで噴飯物の誤字が残ってました。
魔女を打ち間違えてマゾって打ったりとか。
具体的に何処でどう打ち間違えたかは秘密ですが、パチュリーがえらいことになってました。

では。
読んでくれた方々、ありがとうございました。

11/19
いくつか誤字を修正しました。
時計屋
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2006/10/28 08:58:53
更新日時:
2006/11/22 23:49:08
評価:
31/37
POINT:
212
Rate:
1.48
1. 8 a ■2006/10/28 02:00:53
面白いねぇ…実に面白い
2. 2 反魂 ■2006/10/29 07:10:43
私の考えとしては、霊夢の考えに近いですね。この場にいたとしたら、私は彼女のような思惟を弄したでしょう。
あれですね、他人の言葉を借りれば、コギト・エルゴ・スムってヤツです。ん? ちょっと曲解かも。
そして、周りの世界もまた然りだと思います。コギト……嗚呼、ラテン語分かんないからアレンジ出来ない。
対世界の論については、古泉くんが似たようなこと言ってましたね。制限空間へ向かうタクシーの中で。
確か人間原理、とか名付けてましたっけ。ってことでアレに賛同しとくことにします(笑


で。
私の中でこの作品は、評価はもうMAXなんです。全部理解出来たかどうかは置いといて、これだけのロジックを築き上げられたことについては、最早ぐうの音も出ません。筆力の面に置いても申し分なく、総じて言うこと無しなんです。
ただ、これが物語か? と考えた時に、どうしても額面通りの評価に出来なくなってしまう。それなりにストーリも立っているし、原因と結果の辻褄も歪み無く合ってるしで間違いなく完成された作品なのですが、それでもやはり、あまりにも思索的な展開に終始しすぎている嫌いが否めません。有り体に言えば、聖書か哲学書になっちゃってる気がするんです。
強いて挙げるとすれば、或いはのっけに何の前触れもなくパチュリーが箱を取り出したことが、この違和感の一番の原因かもしれません。起承転結の起を丸々すっ飛ばしたせいで、最後まで物語としてのレールに乗りきれなかったのでは、とも思います。

更に、ましてこれは東方か? となれば尚のこと疑問符が付くのです。
会話のズレっぽさとかは間違いなく東方(ZUN会話)風だったのですが、やはり霊夢や魔理沙、妖夢あたりが世界観論に対し長広舌を振るうのはどうしても違和感がある。それぞれの見方が性格を反映してて上手いとは感じたのですが、惜しいことに作品の根幹に至れば至るほど、彼女達の東方キャラとしての像が音を立てて崩れていきました。

そういうわけで、このコンペという場においてはどうにも、高い評価を付けることが出来ません。
ただ、勝手を言うようですが……私の中で、点数という物差しで計り得ない価値・面白さをもってこの作品を読ませていただいたこと、これだけはここで明かしておきたい。物語としての評価というベクトルに置換し得ない存在感が、私の記憶の中に確実に残った作品でした。それは間違っても、マイナス方向への感情ではありません。ただただ感動、感服という気持ちです。
コンペという枠を越えて、私の中で長く強烈な印象を留める事になる作品になったことを断言します。この作品を読ませて下さった作者様に、最大限の感謝を。本当にありがとうございました。

※誤字 造詣した人形は→造形した人形は
3. 1 スミス ■2006/10/29 12:37:13
普通に考えるのであれば、中には人形が入っているだけですね〜……。
同一のものでは相互関係が成り立つことはありませんし。

文章は正直、ネタが外れていて、あまり面白いものではないけれど、
努力は素晴らしいと思いました。
4. 5 床間たろひ ■2006/10/30 00:39:16
ふむ、あらゆる思考パターンを網羅した上での結末、お見事です。
ただ物語としてみた場合には少々冗長かと。箱を生み出す過程と各キャラの出す答え、それは納得の出来るものでしたが、それ故に遊び……つまり読者の考える余地すら奪ってしまった気がします。そういう意味でも自己完結したミドガルズオルムの名は相応しいんですけど。
その所為か上手いとは思っても、面白いと感じられませんでした。個人的な感想で申し訳ないのですが……
5. 10 読むだけの人 ■2006/10/30 02:52:12
実に私好みの話でした
6. 7 VENI ■2006/10/30 04:06:16
話が二転三転して先が読めませんでした。お見事。
ただ……説明的な台詞が多すぎるのには少し閉口してしまいました。
そこまでしなくても十分理解できる文章だと思うだけ、余計に。
7. 5 復路鵜 ■2006/10/31 20:03:05
こいつは フクザツな 話だ!
しかし妖怪って、時間が余るとほんとロクなことしないものですね……
8. 7 近藤 ■2006/11/01 03:36:22
勿体無いなぁ、勿体無い。
話の構成、展開、本当によく練りこまれていると思います。
だからこそ、勿体無いなぁ、と。
9. 7 as capable as a NAMELESS ■2006/11/01 11:50:15
そうすると、隔絶されたのに消えなかった奴が一人だけ居ることになるのかな……ラスボスになって帰ってくるに一票。
10. 7 らくがん屋 ■2006/11/01 16:34:40
マゾのままのが面白かったのになあ。
メタ系ネタ、箱=世界系ネタでは一番出来が良かった。四人分の仮説を用意したり、製作過程まできっちり描いているのが力入っていてマジ偉い。
好きか嫌いかで言ったら大ッ嫌いなんだけど、感情だけで評価しちゃいけないよね。
11. 9 椒良徳 ■2006/11/03 16:38:11
これはまた、凄い作品だなあ。
箱を開けてしまったうっかりものに、幸あらんことを。
12. 9 亜鉛 ■2006/11/05 11:03:15
いろいろと考えさせられました。
13. 5 箱根細工 ■2006/11/07 05:04:44
読み難いです。
14. 6 74 ■2006/11/08 01:05:59
どうにも。
15. 8 ABYSS ■2006/11/10 15:57:39
構成・仕掛け・流れなど、かなりレベルの高いものだと思います。
個人的な好みもありますが、いい作品だと思いました。
ですが、読んで一寸考えなくてはいけないところがあるのが残念ですね。面白いのですが、それゆえ難しい。そのため、気軽に、とはいけないのが。考え込まなくてはいけないぶん、テンポも阻害されたりして。
…もしかして、私の頭が悪いだけなのだろうか…。
ともあれ。なかなかに興味深い話でした。ちなみに、私だったらその箱は放置しますね。怖いし。
16. 6 爪影 ■2006/11/10 17:11:01
 どうにも、妖夢の必死過ぎる態度に違和感を覚えたので。それと個人的主観で大変に申し訳ないのですが……運命が、そこまで重要だとは思えませんのでこの点数にて。
17. 6 nn ■2006/11/12 15:53:15
コロンブスの卵も中身を見れば、という感じで序盤から中盤までの悪魔的な雰囲気がオチや終盤で一気にしぼんでしまった気がします。
18. 5 匿名 ■2006/11/12 17:45:03
面白かったです。
19. 7 たくじ ■2006/11/12 21:46:14
大学で受けた哲学の講義を思い出しました。
よくできた話だなぁと思います。練りこまれてるというか。
ところで、パチュリー・ノーレッジですよね?
20. フリーレス サカタ ■2006/11/12 22:59:39
練りこんだ話でしたね。
ただパチュリーがなんでこの箱を作ったのかがわかりませんでした。
あとパチュリー・ノーレッジですよ。
21. 8 藤村うー ■2006/11/13 02:54:35
 説明台詞がすごく多かったのですけど、丁寧に説明されていたので意外と分かりやすかったという不思議な現象が。
 ギリギリの調整のような気もしますが、かなり面白かったです。
22. 5 2:23am ■2006/11/14 21:49:34
思考実験は好きなほうですが、これは終わりがいいのでなおよかったですね。
23. 10 Fimeria ■2006/11/15 19:08:37
思わず寒気がくる、感じ方はそれぞれでしょうが私はそう感じたようです。
果たして消えたものは居たのか、居たとしても今はもう居ない。どちらにしても同じなんですね。
良い物語でした。
24. 6 いむぜん ■2006/11/15 21:28:14
各人の意見は納得できるもので、妖夢の未熟さ、咲夜のどうでもよさ、魔理沙の屁理屈、霊夢のだからどうした。
悪くはない、でも、仕掛けを説明するのに時間がかかりすぎている気がする。確かに世界を構築するのに各方面のプロを呼ぶ必要はあるだろうし、各人の意見もあのくらいは話さないと薄っぺらくなる気がする。
頭のいい文章なんだけど、説明が多くて疲れる、そんな感じ。
でも説明こそが話の骨子だから仕方ないのか。
やっぱり改行とかわざと一行あけたりとかの、読む人の負担を減らす工夫が欲しい。
答えの選び方はありがちだけど、纏め方が上手いと思ったのでこの点数。
25. 8 ■2006/11/16 02:51:12
実は、それでも世界は滅びているのかもしれません。以前の形の世界は、箱を開けた者がいなくなることで失われているわけですから。…こういう堂々巡りのような思考は好きです。ご馳走様でした。
26. 9 blankii ■2006/11/16 21:17:19
天地創造とはスケールでかい。造物主の御心は誰しも気になるものですが、今回は正に誘蛾灯みたいに絡め捕られた、と。数ある『箱』庭幻想郷モノで個人的ベストでした。
27. フリーレス おやつ ■2006/11/16 21:26:42
うにゅう……難しい。
物凄く好きで物凄く嫌いだこういう話……w
ちょっと……評価できないな自分には。
面白く興味深い、良い作品であると思いますが。
28. フリーレス 蒼刻 ■2006/11/17 01:38:36
非情に面白かったです。
文章の技術もさる事ながら、よく練られた物語だと感心しました。
ただ、一点だけ不満を言えば……会話が長い部分が少し間延びしてしまった感じがしました。
説明が長くなるのは仕方ないのですが、もう少しまとめようがあったかなと個人的には思いました。
後、初っ端にパチュリーの本名の誤字はちょっとずっこけました。
最後に蛇足ですが……
パチュリーは自分で作った箱庭霊界で、今回の箱庭幻想郷の結果を知る事が出来なかったのかな?と思いました。
確かに、全てを忠実に模倣した方が結果は正確ですが、人間を試すだけなら本物を用意する必要はなかったはず。
じゃあ、箱庭を作ったのは結局はパチュリーの自己満足かっ!
と思ってしまったのですが……いかがでしょうか?
ワケ合って点数は入れられないのですが、自己採点では9でした。
29. 7 つくし ■2006/11/17 12:43:42
理論こねてるだけでもこれだけ魅せられるのかー……。考えるアタマのある連中が面白おかしく箱を小突き回す感じがたまりません。そして最後に仕掛けてあるギミックに脱帽です。
30. 8 翔菜 ■2006/11/17 17:11:01
あーーーーーー面白かった!!!!
この手の話が兎に角好きで、何と言うか面白かったとしか言いようがない。
31. 5 人比良 ■2006/11/17 20:03:53

雰囲気が素敵。共感できるものがありました。 
32. 7 目問 ■2006/11/17 22:39:05
 当事者の身になってみるとぞっとしないなあこれ。
 面白かったのですが、ちと登場人物が饒舌に過ぎる感があったかも。
33. 9 木村圭 ■2006/11/17 23:03:01
お題賞進呈。頭一つどころか三つほど抜けていたと思います。素晴らしい。
それにしてもこの箱、どう見ても悪い子ホイホイだよなぁ。好奇心は猫をも殺すとはよく言ったもんだ。
34. 10 K.M ■2006/11/17 23:12:29
別名ヨルムンガルド。北欧神話の世界を囲む蛇のことは知ってましたが、
まさかこういう話になるとは想像できませんでした。

あと、「かまいたちの夜」の「鎌井達の夜編」を思い出しました。
35. フリーレス 時計屋 ■2006/11/19 23:38:42
こんなにたくさんの方々が、こんなにも高い評価をくださるとは夢にも思っていませんでした。
せいぜいスレあたりで「なにこの変なSS」程度に言われるのが関の山だと思っていましたので。
こんな説明文だらけの読みづらいSSを最後まで読んでくれた方々、本当にありがとうございました。

では、まず突っ込みの多かった部分についてまとめてレスを返します。

>>パチュリーの本名はパチュリー・ノーレッジですよ。
前回の『てい』に続いてまたしてもやってしまいました……。
本当に申し訳ないです。
どうもパチュリーと聞くと『ビバはイタリア語でノウリッジは英語だ!!』が頭から離れなくて……。


>>なんか東方のキャラっぽくないんじゃない?
すいません、今回の作品はただ語るだけのものにしようと思いましたので。
多分このキャラに語らせたらこうなるだろうな、と一応考えて書きましたが、
もちろんそんな印象にすぎないものは人によって違います。
そのため違和感を感じた方も多いと思いますがどうかご容赦を。


>>説明台詞が長すぎます
物語の仕組み上、会話で説明をあまりするわけにもいかず……。
とりあえず会話で全部説明させといて"あとで"調整しよう、と書いたときは軽く考えたんですが。
……"あとで"は最後までやってきませんでした……。

以下、個別のレスになります。

a ■2006-10-28 02:00:53
>面白いねぇ…実に面白い
ありがとうございます。
僅かなりとも楽しんでいただければ書いた甲斐があります。


反魂 ■2006-10-29 07:10:43
>ただ、これが物語か? と考えた時に、どうしても額面通りの評価に出来なくなってしまう。
ご指摘どおりこれは物語じゃないですね。
動きはまったくなくただ「密室で語る」とそれだけのコンセプトでした。
本当は短編にするつもりだったんですが、あれもいれようこれもいれよう、という具合でいつの間にかこんなものに……。
しかしそれを抜きにして拙作を評価していただきありがとうございました。


スミス ■2006-10-29 12:37:13
>普通に考えるのであれば、中には人形が入っているだけですね〜……。
>同一のものでは相互関係が成り立つことはありませんし。
まったくご指摘のとおりです。
本当は箱の中でさらに箱が創られるといった形にしたかったのですが、
その仕組みをさらに付け加えると本題に入る前に話がごちゃごちゃしてすっきりしない。
なんとかすんなりと導入できないかと考えているうちに時間切れに……。
完全に力量不足でした。


床間たろひ ■2006-10-30 00:39:16
>その所為か上手いとは思っても、面白いと感じられませんでした。
たしかに面白さにかけては二の次になってしまっていました。
遊びもいれたかったのですが、プロットに肉付けしただけでも予想以上の長文になってしまって……。


読むだけの人 ■2006-10-30 02:52:12
>実に私好みの話でした
ありがとうございます。


VENI ■2006-10-30 04:06:16
>話が二転三転して先が読めませんでした。
とにかく先の読めない話を心がけてます。
そう言っていただけると嬉しいです。


復路鵜 ■2006-10-31 20:03:05
>しかし妖怪って、時間が余るとほんとロクなことしないものですね……
実は人間もそう。


近藤 ■2006-11-01 03:36:22
>勿体無いなぁ、勿体無い。
いやむしろ過分な評価を頂いて恐縮です。


as capable as a NAMELESS ■2006-11-01 11:50:15
>そうすると、隔絶されたのに消えなかった奴が一人だけ居ることになるのかな……ラスボスになって帰ってくるに一票。
消えちゃったのが誰かはわりと誰も気にしてませんねー。
まぁ聞かれても困りますけど。


らくがん屋 ■2006-11-01 16:34:40
>マゾのままのが面白かったのになあ。
ギャグだったらそのまま残しておいたかもなぁ。

>好きか嫌いかで言ったら大ッ嫌いなんだけど、感情だけで評価しちゃいけないよね。
いやもう心のままにつけちゃってください。
実は点数のほうは全然期待してなかったんで。


椒良徳 ■2006-11-03 16:38:11
>箱を開けてしまったうっかりものに、幸あらんことを。
いや彼(彼女?)はきっと幸せなのですよ。
たとえ傍から見ればそうじゃなくても、それを知らしめるものはもう一切あの世界にはないのですから……。


亜鉛 ■2006-11-05 11:03:15
>いろいろと考えさせられました。
私は暇さえあればこんなアホなことばかり考えてます。


箱根細工 ■2006-11-07 05:04:44
>読み難いです。
面目ない。


74 ■2006-11-08 01:05:59
>どうにも。
こうにも
さぞかしみなさん感想をつけづらかっただろうなぁ、と思います。
すいません。

ABYSS ■2006-11-10 15:57:39
>ですが、読んで一寸考えなくてはいけないところがあるのが残念ですね。
いや、私が読み返しても無駄は多く説明は不足している駄目構成になってました。
実際こんなにも多くの人が評価してくださったことに驚いてます。
みんな途中で読むのやめちゃうだろうなぁ、とか思ってたので。


爪影 ■2006-11-10 17:11:01
>それと個人的主観で大変に申し訳ないのですが……運命が、そこまで重要だとは思えませんのでこの点数にて。
いえいえ。過分な評価、ありがとうございます。


nn ■2006-11-12 15:53:15
>コロンブスの卵も中身を見れば、という感じで序盤から中盤までの悪魔的な雰囲気がオチや終盤で一気にしぼんでしまった気がします。
序盤〜中盤ではったりを効かせすぎましたね……。


匿名 ■2006-11-12 17:45:03
>面白かったです。
ありがとうございます。


たくじ ■2006-11-12 21:46:14
>大学で受けた哲学の講義を思い出しました。
実をいうと哲学は素人なんで……。
私程度ではきいた風なこといってハタッリかますのが精一杯です。
細かいところとか突っ込まれたらどうしようかとひやひやものでした。


サカタ ■2006-11-12 22:59:39
>ただパチュリーがなんでこの箱を作ったのかがわかりませんでした。
神様や悪魔の創るものってわりと「そもそも何でこんなものを?」ってものばっかりだったり。
あれは人間に与えてみて遊んでるんだというのがこのSSのなかの解釈。


藤村うー ■2006-11-13 02:54:35
>説明台詞がすごく多かったのですけど、丁寧に説明されていたので意外と分かりやすかったという不思議な現象が。
調整する時間がほとんどなかったのですが、偶然微妙なバランスがとれてたのかも……。
実は投稿当日慌てて冗長な部分を削ったりしてました。


2:23am ■2006-11-14 21:49:34
>思考実験は好きなほうですが、これは終わりがいいのでなおよかったですね。
当初は思考実験だけで終わる予定でしたが、それだと読んでも面白くないとおもって、ラストを付け足しました。


Fimeria ■2006-11-15 19:08:37
>思わず寒気がくる、感じ方はそれぞれでしょうが私はそう感じたようです。
起きてしまった出来事より、起きるかもしれなかった出来事のほうが怖いこともある。
そういう怖さを余韻として残したかった……。


いむぜん ■2006-11-15 21:28:14
>やっぱり改行とかわざと一行あけたりとかの、読む人の負担を減らす工夫が欲しい。
そこらへんの読みやすさを考慮する時間があまりに少なかった……。
それでも読んでくれた人がこんなに居てくれたことが嬉しいです。


翼 ■2006-11-16 02:51:12
>…こういう堂々巡りのような思考は好きです。
思考はいつも堂々巡りですね。
しかし作中で言わせてますが、答えが出てしまったら終わりなんだと思います。


blankii ■2006-11-16 21:17:19
>数ある『箱』庭幻想郷モノで個人的ベストでした。
そういってくださると助かります。
正直箱庭ものが多すぎて評価中頭抱えてたりしました。


おやつ ■2006-11-16 21:26:42
>ちょっと……評価できないな自分には。
いや単に私の説明が不足しているだけだと思います。
申し訳ない。


蒼刻 ■2006-11-17 01:38:36
>人間を試すだけなら本物を用意する必要はなかったはず。
実は本物であるかどうかも疑わしい。
すべてはパチュリーの言葉であり、間の前にある事実は『結界が張ってある箱』しかない。
つまり箱の中身が空であってもこの話は成立するのです。
作中には出さなかった最後のトリックです。


つくし ■2006-11-17 12:43:42
>理論こねてるだけでもこれだけ魅せられるのかー……。
ちょっと捏ね繰りまわしすぎでしたが……。
楽しんでいただけたなら幸いです。


翔菜 ■2006-11-17 17:11:01
>この手の話が兎に角好きで、何と言うか面白かったとしか言いようがない。
この手の話はきっと好き嫌いが分かれるだろうな、と思ってたので。
気に入っていただけて嬉しいです。


人比良 ■2006-11-17 20:03:53
>雰囲気が素敵。共感できるものがありました。 
密室で世界を語る、というのがこのお話の全体像でした。
前回の作品がどたばただったので敢えて対照的なものにしてみました。


目問 ■2006-11-17 22:39:05
>当事者の身になってみるとぞっとしないなあこれ。
ゆかりんの怖さを演出してみました。
ちょっとホラーっぽくもなったかと思います。


木村圭 ■2006-11-17 23:03:01
>どう見ても悪い子ホイホイだよなぁ。
本当に悪い子はそ知らぬ顔なわけですが。


K.M ■2006-11-17 23:12:29
>別名ヨルムンガルド。北欧神話の世界を囲む蛇のことは知ってましたが、
>まさかこういう話になるとは想像できませんでした。
最初は『ヨルムンガンド』だったんですが、
より別の世界っぽい語感なので『ミドガルズオルム』にしました。


最後に感想をつけてくれた方々ありがとうございました。
私も今回感想を付けて回ってみてそれがいかに大変か身に沁みて知ったつもりです。
ではまた機会があればお会いしましょう。
36. フリーレス 匿名評価
37. フリーレス ななし ■2014/04/22 22:12:59
洒落怖の師匠シリーズ、その四隅という話を思い出しました。
オチが似ているので。
哲学っぽいのは、好きですし
読めてよかったです
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