霧が晴れたら

作品集: 最新 投稿日時: 2007/05/10 11:07:18 更新日時: 2007/05/13 02:07:18 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00


 真夏という言葉がよく似合うほど、ここ最近は強い陽射しが降り注いでいた。
 雲一つ無い快晴と言えば聞こえは良いが、実際の所暑くて暑くて敵わないというのが本音である。
 時折何かに気付いたように降り出す俄雨のおかげで水不足という危機はないものの、
 この暑さはどうにも勘弁して欲しいと幻想郷中の誰もが思っていた。


 そんなある日、その暑さがピタリと止まってしまう異変が起こる。
 空は真紅の霧に包まれ、昼間だというのに薄暗く太陽の陽射しは殆ど届かない。
 暑さこそ凌げるもののこんな天候は自然にあるはずがなく、喜ぶ者は多くなかった。
 不吉なほどに紅い空に人々は恐怖し、妖怪は何かよからぬことを企む者が現れたのではと様子を伺っていた。


 この異変自体は人知れず解決されるのだが、これはそんな異変の最中そして異変の後に起こった小さな出来事。

 話はこの異変が解決されるほんの少し前まで遡る。


  H


 紅い霧が幻想郷の空を覆って幾日。
 森の中は随分涼しくまるで秋が足早にやってきたような気温となっていた。
 過ごしやすく騒ぎ立つ者もいない。ただ問題なのは太陽の光が届かないということだけだ。
 どんなに恨めしい陽射しでも、自然にとっては雨同様恵みの光。
 光があるから自然は元気でいられるのだ。
 それは自然と共に存在する妖精達もまた然り。


 だがしかし、一人例外的に元気になっている妖精もいたり。


 湖の岸辺。
 空を覆う霧と同じくらい紅い館を臨めるその場所で、汚れてしまった体を綺麗にしている少女がいた。
 背丈は5、6歳の子供程度、髪を黄色い大きなリボンで縛り印象的なスカイブルーのワンピースを着ている。
 顔立ちも整っていて、出で立ち全てを合わせて見ると人形のような愛らしさを感じられる。
 しかしその背には大きな二枚の羽があり、彼女が人の子ではないことを如実にアピールしている。

 彼女は大妖精。この近辺の妖精の中でも一際力と知性をもった、リーダー的な存在を果たす妖精である。
 とはいっても所詮妖精なのでその程度は知れる範囲なのだが。
「いたた、あの人間たち容赦なんてまるでしてこないんだもの」
 愚痴ているのはこの汚れと傷の原因となった弾幕ごっこの相手。
 人間だというのに空を飛んで、その上個々の力も自分より数段上だった。
 自然の元気が無くなり自分たちのテンションも下がってきたところに、
 のこのことやってきた格好の悪戯対象だと思って近づいたのがそもそもの間違い。
 仲間達は次々とやられ、ついには自分も同じ道を辿ることになってしまったのだ。
 今はこうして大人しく体力が回復するのを、体を綺麗にしながら待っている。
 ただ彼女にはもう一つ待っているものがあった。
「遅いな……」
 それは彼女と仲の良い妖精のこと。
 力だけで言えば自分よりも強い。
 ただその分おつむの方に難があり、妖精の中ではちょっとした問題児扱いをされている。
 涼しくなったおかげで調子を取り戻し、暴れ回りたいと思っていたところにあの人間たちがやって来たのだ。
 それを彼女が見逃すはずがないだろう。
 実は勇んで飛び出していった友達を追いかけている内に、ばったりとその二人に出くわしてしまったのだ。
 あの様子ではまだその友達とは出会ってなかったようだが、いずれ出くわすのも時間の問題だろう。
 だからこうして大妖精はその友達が戻ってくるのを待っているのだ。

 刹那、遠くの方で巨大な水柱が立ち上った。

 慌てて立ち上がると、大妖精はその水柱目掛けて猛スピードで飛んでいく。
 あれだけ派手な弾幕ごっこができる妖精などそうはいない。
 この近辺なら自分か友達の妖精くらいだ。
 あそこだ、あそこにいるに違いない。そして同時になんだか嫌な予感もする。
 このもやもやをどうにかするためにも、できる限りの力をもって急がなくては。



 そこには自分よりもずっとぼろぼろにされた友達が湖に浮かんでいる憐れな姿があった。
 青いリボンと青い服、大妖精と違ってショートに切り揃えられた髪からは活発な印象を受ける。
 背中には妖精らしく羽がついており、それは氷でできている。
「チルノちゃんっ」
 大妖精はすぐさま水面近くまで高度を落とすと、友達に近寄り名前を呼んだ。
 濡れた頬を叩くと微かに呻き声をあげ四肢も少しだけ反応した。
 どうやら気絶しているだけらしいがこのままにもしておけない。
 大妖精は自身の背中が濡れることも厭わずにチルノを背負うと、元の岸辺へと戻っていった。


「う、ん……あれ?」
「良かった、気がついたね」
 岸に戻ってから数刻。
 余程疲れていたのかダメージが酷かったのか、とにかくチルノが目覚めたときにはすでに随分な時間が経っていた。
 空の紅い霧が無くなった後だと言えば、だいたいどれくらいの時間が経った後かは察せられるだろう。
 兎にも角にも大妖精はようやく目を覚ましたチルノに安堵の息を漏らした。
 特に外傷もないし、目を覚ましたなら後はゆっくり休めば元通りの元気を取り戻すはずだ。
「大妖精? あたい、どうしてたの」
 まだ意識がはっきりしていないのか、記憶に混乱が生じているらしい。
 元々妖精の記憶など曖昧なものでしかないが、そこを突っ込んではいけない。
 そういうシーンではないのだ。自重しよう。
「多分あの強い人間にやられたんだと思うよ。私もちょっと前にやられたから」
「人間?」
「紅くて白いのと、黒くて白いの」
 まだ霊夢と魔理沙の名前を知らないのでこういう表現になるのは当然だ。
 しかしそれでもチルノには充分伝わったらしく、その特徴を聞いた瞬間チルノは目を見開いた。
 どうやらやられた時の記憶が戻ってきたらしい。
 だが次の瞬間、大妖精が予想もしていなかった方向に話は進んでいく。
「う、うぅ……」
 チルノは俯いたかと思うと、呻き声のような声を出し始めた。
 どこか痛めたのかと心配し、顔を覗き込もうとする大妖精。
「どうしたの? どこか痛いの?」
 そうではなかった。
 見るとチルノは目に大粒の涙を浮かべ、鼻水を垂らしながらベソをかいていたのだ。
 唇を噛みしめて、必死に泣くまい泣くまいと堪えている。
「チルノちゃん……」
 大妖精はその理由をなんとなく察していた。
 最強を自称する程、チルノは自身に対するプライドが高い。
 妖精の中でもその実力は確かにトップクラスだ。
 それが人間に負けたとなれば悔しさも込み上げて当然。
 しかも大妖精が戦った感じあの二人はかなり強いし、あの様子から見るにチルノもだいぶ大負けしたようだ。
 そのプライドは今やボロボロにされていると考えていいだろう。
 大妖精に泣いているのを見られたからか、チルノはそこから堰を切ったように大声で泣き出した。
「大ちゃん、大ちゃああん、うわあああああっ」
 チルノはいつも「大妖精」と呼び捨てにすることが多い。
 こういう風に呼ぶのは余程のときだ。それだけチルノが悔しいのだということが痛いほど伝わってくる。
 大妖精の胸元にしがみついて大声を上げて泣くチルノ。
「大丈夫だよ、チルノちゃん」
 そういうしかない。しばらく泣けば落ち着きも取り戻すはずだ。
 だがこれでいいのか。チルノがこんなに悔しがっていて、そのままほとぼりが冷めるのを待つだけで良いのか。
 大妖精の中で二つの意見がぶつかり合う。
 もしどうにかするとしても、チルノより力のない自分が仇を討つことは不可能だ。
 というかすでに負けてしまった後で、今から再挑戦という蛮勇は持ち合わせてはいない。
「だからって……」
 まだ涙が収まらないのか、チルノは顔を上げようとしない。
 服越しに涙の感触と嗚咽の度に繰り返される震えが伝わってきた。
 そんなチルノを見ていると、やはりどうにかしなければという気持ちが強くなってくる。
 そこで大妖精が辿り着いた答えは――


「強くなろう、チルノちゃん」


  H



 翌日。紅い霧が晴れて久しぶりの太陽の光が森に降り注ぐ朝。
 葉に乗った朝露が駆けていく足に蹴られて宙を舞う。
 光を受けて七色に輝く水の粒は、誰にもその美しさを見られることなく地に落ちた。
 しかしそんな美しさには目もくれず、駆けていく少女は昨日約束した場所へと向かう。
「お、おはようっ、チルノちゃん」
 先に来ていたチルノに大妖精は息を切らしながら挨拶をする。
「うん、おはよう」
 どうやら少しはいつもの調子に戻ったようだ。
 しかしその顔にはやはりまだ翳りが見られる。心なしか元気もいつもより少ないようだ。
「それで? 強くなろうってどうすんの」
「いきなり本題だね。チルノちゃん」
 それだけ昨日の事への悔しさが忘れられず、早く強くなりたいと気が急いているのだろう。
 だが焦ったところですぐに強くなれる方法などそう容易くあるはずがない。
 ひとまず大妖精は呼吸を整え、それから話に入った。
「えっと、そのことなんだけどね。昨日じっくり考えて良い方法を思いついたんだ」
「本当っ? で、どんな?」
「チルノちゃんは『こけつにいらずんばこじをえず』って言葉知ってる?」
「コケツニイラズンバコジヲエズ?」
 完全に言葉そのものを知らない片言で聞き直してくるチルノ。
 やはりというべきかなんというべきか、大妖精は苦笑を浮かべそうになるがぐっと堪える。
 今は微笑ましく笑い合っている時ではない。
「あそこの紅い屋敷の門番さんが教えてくれた言葉なんだけどね」
 その意味は、多少の危険を負わなければ成果を収めることはできない、というもの。
 ちなみにきちんとした表記で書くと「虎穴に入らずんば虎児を得ず」となる。
 つまり大妖精が考えた良い案とは、
「やっぱり強くなるには強い人と戦うのが一番だと思うの」
「本当にそれで強くなれるの?」
「……多分」
 正直なところ大妖精にもそんな確証は持てない。
 しかし自分ではチルノを強くすることはできないし、ここは別の人の知恵も借りるべきだと考えた末の答えがそれなのだ。
 だがそうやって改めて問われると、不安が脳裏をよぎってくる。
 じゃあ他の方法を考えようか、そう提案しようとしたときだった。
「まあ大妖精が言うんだしやってみるわ」
「チルノちゃん……」
 まっすぐな瞳は自分を信じてくれている証。
 ならばこちらも信用で答えるほか、この気持ちを表すことはできない。
「よーし、それじゃあ特訓に付き合ってくれる強い人を探そう」
「おーっ!」


 ――と、勇んで出掛けようとしたは良いものの。
 二人は湖の側を基本離れたことがないので、どこに強い者がいるか知る由もなかった。
 だから向かう先は必然的に決まってくる。
「あそこのお屋敷には強い人がいっぱいいるんだよね」
 チルノ達が直接会うのは門番くらいだが、館の中には強い連中がさらにいるという。
 そこで特訓すれば、きっと強くなれるに違いない。
「よぉし! 早速乗り込んで“紅い悪魔”と戦って強くなるわよ!」
「ちょちょ、ちょっと待って!」
 服の裾を引っ張って、全力で出発を制止する大妖精。
 チルノの素肌がもろに露出するほど力加減に余裕がない。
「何よ」
 出鼻を挫かれて、チルノは不服そうに口を尖らせる。
 だがこれは止めておかないと大いに不味い。
「い、いきなり紅い悪魔さんと戦うのは……」
 紅い悪魔と通称が付いているのはあの館の主、レミリア・スカーレットのことだ。
 つまりあそこで一番強い者と戦おう、チルノが言っているのはそういうことである。
 確かに虎穴に入らなければ虎児を得ることはできない。
 だがあからさまに凶悪な虎が居ると分かっていて、飛びこむ必要はないだろう。
 勇気、度胸と蛮勇は異なるものだということは認識しなければならない。
「えーっ、じゃあどうするのよ」
「門番さんと戦うのはどうかな?」
 話はしても特に親しいわけではないが、礼儀さえ守れば怖くはない相手である。
 事情を話せば特訓に付き合ってくれるかもしれない。
 どうせ飛び込むなら話の分かる虎の居る方が良いに決まっている。
 ただしそれを本末転倒と言ってはいけない。
「よし! それじゃあ早速特訓に行くわよ!」
 威勢良く飛び立っていくチルノ。
「あれ?」
 その行動力の速さについて行けず、大妖精は置いてけぼりをくらう。
 あぁこのパターンは不味い、と慌ててその後を追いかけた。



 が、大妖精が辿り着いたときには時既に遅し。
 侵入者と見なされ紅魔館門番、紅美鈴の洗礼を受けたチルノが地面にめり込んでいた。
「わわわっ、チルノちゃん!?」
 すぐに抱え起こそうと近寄るが、そこに例の門番が立ちはだかった。
 その顔にはいつにななくやる気というか切羽詰まった焦りというか、気迫に満ちた表情が浮かんでいる。
 その眼光はまさしく獲物を狩る虎が如し。
「あなたも侵入者?」
「ちちち違いますっ。私たちは門番さんにお話があって」
「話?」
 早くも戦う体勢に入っていた美鈴を制止して、大妖精は事の次第を告げる。
 チルノはその過程をすっ飛ばして、いきなり戦いに入ろうとしたからこんな目に遭ったのだろう。
 やはり何事もまずは穏便に始めるのが善作というものだ。


「成る程ね。巫女と魔法使いに勝ちたいから、その特訓相手になって欲しいと」
「はい。強い人と戦えばきっと強くなれるって思って……」
「そうね、あながち外れた考えじゃないと思うわ」
 その言葉に大妖精は顔を綻ばせる。
 自分の考えた案が間違ってはいないことが分かったからだ。
 そもそもこの考えの大元となった言葉を教えてくれた者が言うのだから間違いない。
 しかしすぐに、美鈴はでもと少し強めの口調で遮った。
「ただ戦えば良いってものじゃない。きちんと自分の弱点を理解して、
 それを補完できるように戦わないとね。ただがむしゃらに戦い続けても、
 そうでないのとでは特訓の成果が出る度合いも随分違ってくるし」
「ふわ……大変なんですね」
 そりゃあ強くなるのは大変な事よ、と美鈴は言う。
 それはそれなりに強さを会得してきた者だから言える台詞だ。
 どんな風に修行してきたのかは定かではないが、その体にはかなりの強さが宿っているに違いない。
「でもまぁ負けて悔しい、強くなりたいって気持ちはよく分かるわ」
 美鈴は先日やはり自分も例の巫女と魔法使いに負けて、易々と侵入を許してしまった罰としてこってりとお叱りを受けていた。
 だから妖精相手にも絶対に通すまいと鬼気迫る気迫を持って相手をしていたのだ。
 それ故に同じ相手に復讐心を燃やす者として、チルノのことを他人事だとは思えない。
「門番としての仕事もあるからずっとっていうわけにはいかないけど」
「それじゃあっ」
 美鈴は手を差し出すと、にっこりと微笑んで大妖精の申し出を承諾した。
 ただ当のチルノ本人はまだ目覚めていなかったのだが。


 その日からチルノの虎の穴猛特訓が始まったのである。


  H


「アイシクルフォールっ」
 湖上に響く甲高い声。
 スペルカード宣言をし、ただばらまくだけだった弾幕に変化を持たせる。
 綺麗に並んだ氷のつぶてが、やがてその間を埋めるように相手に向かって迫っていく。
 相手からしてみれば氷の壁となった弾幕が次第に押しつぶそうしているように見えるだろう。
 チルノの十八番スペルカード『アイシクルフォール』である。
 その相手をしているのは勿論特訓相手を請け負った美鈴だ。
「ふっふーんっ、避けられるものなら避けてみ……って、うわぁっ!」
 得意のスペルカード発動で余裕を見せた瞬間、目の前に迫ってくる美鈴に驚くチルノ。
 哀れチルノはそのまま呆気なく被弾してしまった。


 門近くに建てられている門番の詰め所。
 ただ門番は美鈴一人なので、彼女の居住スペースと言っても差し支えはない。
「あなたの弾幕は穴が多すぎるわ。ただばらまけば良いってもんじゃないでしょ」
 特訓弾幕ごっこが終わり、その戦いを振り返る時間。
 美鈴とチルノは机を挟んで向かい合うように座ってあれやこれやと話に花を咲かせている。
 チルノは落ちてぶつけた頭を自身が作った氷で冷やしながら、美鈴の言葉に耳を傾けていた。
 その側には勿論大妖精の姿もある。
「だって下手な弾幕も数打ちゃ当たるんでしょ?」
「下手なものは幾ら打ったって、当たらないものは当たらないものなの」
 美鈴がまず感じたのは、チルノはスペルカード以外の時は殆ど考え無しにばらまいているだけということ。
 確かに規則性のない弾幕は避けづらいものだ。
 しかしそこにもある一定の法則があるからこそ、不規則性が際立ち脅威の弾幕となりうるのだ。
 ただばらまくだけでは穴だらけで仕方がない。
「それと最後のスペルカードだけど真ん中ががら空きよ」
「がーんっ!」
 自信のスペルカードだったのか、チルノはショックを声に出すほど落ち込んでしまう。
 的確に弱点を告げてくる美鈴にぐうの音も出ない。
 そんな激しく落ち込みを見せるチルノに、大妖精は慌ててフォローを入れる。
「でも、そこをなんとかすれば強くなれるってことだよね」
 その言葉には美鈴も強く頷いた。
「そういうこと。穴を少し埋めるだけでかなり化けるわ」
「そ、そうかな?」
 二人にそこまで言われるともう落ち込む気もどこかに行ってしまったらしい。
 美鈴が出してくれたジュースを一気に喉に流し込むと、
 チルノは練習してくると言って意気揚々と扉を開け放って出て行ってしまった。
「単純ね」
「えぇまあ」
 その言葉には大妖精も苦笑しか浮かばない。
 短所であることは確かだが、反面それがチルノの良いところでもある。
「私も行ってきますね」
 大妖精も足の届かない椅子から飛び降りるとチルノの後を追って外へと出て行った。

 チルノが開け放った扉を大妖精が閉め、途端静かになった室内で美鈴は思わずくすりと笑いを漏らす。
 別段何が可笑しいというわけではない。
 なんだかむず痒いというかこそばゆいというか、あの大妖精のはにかんだ笑顔を見ているとそう感じてしまうのだ。
 だからこそ、そんな二人の力になっても良いと美鈴は思っていた。



  H



 美鈴との特訓を始めてから数ヶ月。
 すでに季節は夏か秋へと移り変わり、紅魔館周辺の森や山も朱く色づいている。
 二種類の赤が湖面に映り込み、とても神秘的な光景が広がる中、チルノと美鈴の弾幕特訓は今日も行われていた。
 最初は随分と呆気なくあしらわれていたチルノも、ここ最近はそれなりに落とされなくなってきている。
 物覚えはやはり遅いものの、体で覚える方法故かその成長は目を見張る物があると美鈴は感心していた。
 それに大妖精が言うにはいつ飽きてやめるとも限らないという話だったのだが、
 こうして長い期間付き合うことになっている辺りチルノの本気が感じられる。

 しかし、その特訓も最近は少し限界を迎えようとしていた。


 この日も何度か模擬戦を繰り返し、その後は詰め所でおさらいをするといういつもの予定通りの特訓が行われていた。
 しかしそれぞれのスペルカードの弱点や避け方をレクチャーしてきた美鈴もそろそろ教える事がなくなってきたのだ。
 それに同じ相手とばかり戦っていては、やはりそれ以上の成長は望めない。
「どうかしたんですか?」
 難しい顔をしていたのに気付かれたのか、大妖精に尋ねられる。
「うん、ちょっとね。そろそろ特訓も次の段階に進むべきじゃないかと思って」
「次の段階っ」
 その言葉に真っ先に反応し、喜びを見せたのは他ならぬチルノだ。
 しかし喜ぶのはまだ早い。
 それはつまり今以上に危険な所に飛び込むということだ。
「そろそろ新しい必殺技でも考えて良い頃よ。それだけチルノは強くなったしね」
「そうだね、凄いよチルノちゃん」
 大妖精だけでなく美鈴からも褒められて、チルノはまんざらでもなさそうに笑みを浮かべる。
 それに新しい必殺技という単語に、単純なチルノが食い付かない筈はなかった。
「そうね、さいきょーのあたいに相応しいさいきょーの必殺技を編み出してやるわ!」
 仁王立ちになって決意も新たにさらなる強さを求めることを宣言する。
 しかし其処から先はやはりチルノだった。
「でもどうすんの?」
「私がお願いして、館の中に入れてもらうの。そこで私よりそういうのに詳しい人がいるからそこで聞くと良いわ」
「そっか、じゃあお願いするわ」
 チルノは自信満々に言い放つが、美鈴の表情は硬い。
 本当はあまり勧めたくはないといった感じだ。しかしこれより先チルノが強くなるには避けて通れない道だ。
「ただし気をつけて。気むずかしい方だから、私みたいに快く引き受けてくれるとは限らないわよ」
「そんなに危ないんですか?」
 おどおどする大妖精に、美鈴は少しでもその不安を取り除こうと険しい表情を和らげる。
「まあいきなり消滅させられるような、そんなことにはならないはずよ。……多分」
「た、多分ですか」
 やはり不安が拭いきれないものの、チルノ本人はやる気満々で止められようもない。
 最悪の事態はないことを願って大妖精も美鈴にお願いした。



 その名に紅魔と冠すだけあって館の中は外見以上に紅く彩られている。
 調度品も絨毯も殆どが赤を基調としたもので、あまり落ち着かない場所だ。
 美鈴に入れてもらった二人は、あまりにも非日常的な空間に呆気にとられていた。
「あなた達が客人?」
 そこへ案内役を命じられたらしい妖精メイドがやってきた。
 二人の姿を確認すると床に降り立ち、まじまじとこちらの姿を見つめてくる。
「なんだ私と同じ妖精か」
「なんだとは何さ!」
「まぁまぁチルノちゃん。あなたが案内してくれるの?」
 少々不作法な妖精メイドに、早速喧嘩を売りかけるチルノを制止して大妖精は尋ねる。
 やはりチルノ一人に行かせるわけにはいかないと着いてきたのは大正解だ。
「美鈴様から直々の命令だもの。それじゃあ案内するから着いてきて」
 仕方ないなという雰囲気を露骨に隠すことなく、妖精メイドは飛び上がると目的の場所への案内を始めた。
 着いてきてという割には着いてこさせる気がないようなスピードで飛び立つ妖精メイド。
 見失わないように、二人は慌ててその後を飛び立ち追いかけた。



 長い廊下や入り組んだ階段、行ったことのあるような場所を何度も行き来し、
 ようやく辿り着いた先には大きな扉が立ちはだかるようにして二人を出迎えていた。
 その扉に圧倒されながらも中に入った二人は、さらに驚きの光景を目の当たりにする。
「ふわぁ……何なの、ここ」
 チルノが漏らした呟きは大妖精も考えていたことだ。
 元々知的な生活とは離れた生活様式であるチルノ達は兎角書物を見ること自体珍しい。
 その書物がまるで森のように立ち並び、今にもその重圧で押しつぶされてしまいそうな錯覚さえ覚える場所。
 美鈴や妖精メイドが言うには、ここが幻想郷で一番の蔵書率を誇る図書室らしい。
 蔵書率や図書室といった言葉がどういうものなのか、二人ともよく分かっていなかったが
 とにかく凄いのだということだけは、こうして目の当たりにすることで理解できた。
「なんか気持ち悪い」
 チルノが気持ち悪いと表したのは、この圧巻されるほどの書架の数に対するものなのか、
 はたまた本その物に対する嫌悪感なのかそれは彼女自身理解できていないことだろう。
「ここに美鈴さんより強い人がいるんだよね」
「そうよ、さっさとそいつと戦って必殺技を編み出してやるわ!」
 当初の目的を思い出し、威圧されていた心を奮い立たせるチルノ。
 そうだ、こんな本の山なんかに気圧されていては最強の名が廃る。
「でもこれだけ広いと探すのも大変だね」
「大丈夫よ。あたいに良い考えがあるわ」
 にやりと大胆不敵な笑みを浮かべるチルノに、大妖精は制止の言葉をかけようとする。
 しかし一度こうだと決めたら猪突猛進に突き進む性格のチルノだ。
 少しでもそのタイミングが遅れれば――――。

「ぜぇーんぶ、凍れーっ!!!!」

 チルノを中心に冷気の渦が巻き起こる。
 その範囲はかなり広く、あっという間に図書室一帯を包み込んでしまった。
 どうやらの冷気で相手をおびき出すつもりらしい。
 変に頭が使える辺りにタチの悪さが否めない。
「いきなり変な気配が入ってきたかと思えば……あなた、近所の氷精ね」
 イライラした声と共に、悪魔の少女がやってきた。
 この図書館で番をしている通称小悪魔。大妖精と同じで定まった名のない悪魔族だ。
「あんたが美鈴より強いヤツ?」
「美鈴さんより……? どうかしら。力量だけで言えばあの人の方が強いと思うけど。
 ただ美鈴さんはお人好しすぎるところもあるからなぁ」
 むむむと腕を組んで考える小悪魔。
 しかしすぐに事態はそういうことではないのだと気付く。
「そうじゃなくて、一体何の恨みがあって冷気を撒き散らしてるのかしら」
「あぁほらチルノちゃん。謝らないと」
「なんだ、あんたじゃないのね」
 その言葉に小悪魔は少し怒りを覚える。
 どうやら相手の要望は美鈴より強い者であって、そうではないと答えた自分にはもはや用はないらしい。
 たかが妖精風情の分際で、仮にも悪魔族の自分を格下に見るとは。
 これは少し仕置かなくてはならいようだ。
「強い相手を所望なら……私が相手になってあげますよ!」
「ちょ、うわわわっ」
「きゃあああっ」
 小悪魔は突然攻撃を仕掛けてきた。
 大玉を基本とした大振りな弾幕だ。
「なにすんの、よっ!」
 向こうから仕掛けてきたのなら返さなくてはなるまい。
 チルノは得意の氷の弾幕を放つ――前に、相手の弾幕の様子を見ながらまずは避けることに徹した。
 美鈴からまずは相手の動きをよく観察しろと耳にたこができそうになるほど教え込まれた基本の一つだ。
「ふん、そんな大きいだけじゃ当たんないもんね」
 見た目避けにくそうに見えるが、核はそんなに大きくない。
 その隙間を抜けて、チルノはしたり顔で笑みを浮かべる。
「あらそう。それじゃあこれはどうかしら」
 にっこりと微笑んで小悪魔はさらに弾幕を放った。
 今度は速度も速い小型の弾幕だ。大玉の間を埋めるようにして飛んでくる。
 やはりそう簡単に勝てる相手ではないらしい。
 それに外とは違って、ここは周囲に本棚が多く動きが制限される。
「深呼吸だよっ、チルノちゃん!」
 その時下の方から大妖精の言葉が聞こえてきた。
 それも美鈴から教わった戦いの基本の一つである。
「い、言われなくても分かってるわよっ」
 そうは言いつつ大分行き詰まりかけていた思考にそのアドバイスはとてもありがたく感じられた。
 すぐに大きく息を吸い込んで一旦止める。
 そして再び大きくをはき出すと、しっかりと前を見据えて再度玉の動きを見た。
 よく見ると大玉と小玉の速度が違い、間を埋めてきているようでじつはそこに新たな隙が生まれているのだ。
 何度も弾速の速い美鈴の弾幕を相手にしてきたおかげで目が肥えたらしい。
 落ち着いて見ればその隙間を見抜くことくらい、今のチルノにとっては容易なことだった。
「今だっ! 必殺スペルカードっ」
「はいストップ」
 一気にたたみかけようと反撃のスペルカードを発動させようとしたチルノ。
 しかしそれはか細くもしっかりとした声の到来によって阻まれることになる。
 同時に室内なのに大雨が降り出した。しかもその雨は――
「あちゃちゃちゃちゃちゃっ!」
 雨が熱いなど誰が思いもしようか。
 大妖精は机の陰に隠れて、それをやり過ごしていたため直接ダメージを負ったのはチルノと小悪魔だった。
「まったく、人の書斎で勝手に暴れて。それと小悪魔、そんな小物の鼠も落とせないの?」
「パチュリー様っ。……申し訳ありません」
 流石に自身より強さの上下がはっきりとしている相手に対しては小悪魔も素直に頭を下げざるをえない。
 たとえずぶ濡れにされても、それが自身の過失によるものだと言われてもだ。
 ちなみに書架には最初から結界が張られており、先程の戦いも今の雨も全く影響を与えていない。
 熱雨が止むと、チルノと小悪魔の丁度合間に彼女は姿を見せた。
 少しだぶだぶしたローブのような服を羽織り、眠たそうな目をした少女。
 一見病弱な大人しい少女、しかしその実態は七つの属性を操る生粋の魔女パチュリー・ノーレッジその人である。
「美鈴の話は咲夜から聞いてるわ。なんでもあの紅白巫女や泥棒鼠に勝ちたいそうね」
「そうよ、あたいはもっと強くなりたいの」
 真っ直ぐな瞳で、ただそれだけを訴えるチルノの視線。
 その瞳を真っ向から受けても、パチュリーは特に表情を変えるでもなくただ一つ溜息をついた。
「やれやれ、面倒なものを押しつけてくれたわね」
 だがパチュリーはそこで追い返すことはせず、一言着いてきなさいといって書架の奥へと姿を消した。
 小悪魔は多少不服そうではあったが、手を出してくる気配はない。
 チルノと大妖精は顔を見合わせ困惑を互いに伝えながらも、その後を追うことにした。



 図書館の奥にはこぢんまりとした寝室と書斎が造られていた。
 と言っても仮眠を摂るためのソファと、書き物をするためのテーブルと椅子があるだけだ。
 しかしそこを快適な空間と称している変わり者が、このパチュリー・ノーレッジである。
「ほらそこに掛けなさい」
 ソファを勧めて、自分は椅子に腰掛ける。
 チルノは迷わずどっかりと腰を落ち着け、大妖精も周囲を伺いながらゆっくりと座った。
「単刀直入に言っておくわ。私にはあなたを強くする気はない」
 そのはっきりとした物言いが、その言葉が冗談ではないことを如実に表す。
 だがそれではどうして自分たちをここまで招いたのか。
「でも私もあの二人、というか泥棒鼠にはほとほと困っているの」
 泥棒鼠というのは、二人が言う“白黒”、つまり霧雨魔理沙のことを指している。
 彼女がこの魔導書だらけの宝物庫を見逃すはずがない。
 あの紅霧異変から度々やって来ては、勝手に本を持ち出しているとパチュリーはこめかみを押さえながら愚痴る。
「だからあの鼠に復讐したいと考える点では私たちの利害は一致しているわけ」
「それってつまり……」
「ただし私がするのは簡単なアドバイスよ。美鈴みたいに、わざわざ付き合ったりはしないから」
 そもそもあの門番がしっかりしないから、とその後愚痴が続いた。
 そしてひとしきり愚痴終えると、パチュリーは目の前の山から
 まるでそこに有ることが分かっているように手を突っ込み一冊の本を取り出した。
 分厚い表紙になんと書いてあるのか分からないタイトル。
 それをぱらりぱらりと捲って、あるページを見つけるとチルノ達の前に置いた。
「あなたは自分のことをどれだけ分かってる?」
「はぁ? そんなことより新しい必殺技につながるヒントとか教えてよ」
 ごすん、とチルノの脳天に先程の本がたたき込まれる。
 勿論閉じた状態の角を使ってのクリティカルヒットである。
「ちょっとは人の話を聞きなさい。美鈴からそういうことは教わらなかったの?」
「えーと、何度も言われたんですが……」
 大妖精が申し訳なさそうに告げる。
 単純猛進なチルノが人の話を聞かないのは最早矯正不可ということが言いたいらしい。
 パチュリーは再び溜息をつくと、改めて説明を付け加えた。
「いい? あなたは氷の妖精。つまり氷のことを知るのがまず第一ということ」
「あぁ、そういうこと。だったら最初からそう言えばいいのに」
 これだから無知低能な奴は。
 パチュリーは内心黒い呟きを吐き出し、さっさと面倒を終わらせようと話を続けることにした。
「氷というのは水の固体化したもの。固体化するには水の属性、つまり“冷・湿”の内、
 さらに“冷”を高める必要があるわ。あなたにはその“冷”を操る力があるわけね」
「そうなの?」
 妖精は自然から生まれた、謂わば自然その物ともいえる存在。
 だから能力は生まれつき使えるものとして認識されている場合が多いのだ。
「理屈で言うとそういうことなの。だけど“冷”の力は周囲の気温に左右される属性。
 だからどれだけ周囲が寒いかもあなたの力の強さに関わってくるんじゃないかしら」
「えっと、それって最初から寒ければチルノちゃんは強いってことですか?」
「そういうこと」
「なぁんだ、そんなこと教えてもらわなくても知ってたわよ」
 ぷつり、と。
 何かが切れる音がしたかと思った刹那、パチュリーの背中に黒いオーラが立ち上るのが見えた。
「ふふふ、これだから無知低能な馬鹿を相手にするのは面倒なのよ」
 やばい笑みと共に、その手に握られる一枚のスペルカード。
 そして張られる書物を守る結界。
「なんか暑いわね」
 その暑さは気の所為でも何でもなく、パチュリーを中心として“熱・乾”の属性が集まってきているのだ。
 それ則ち、
「火符『アグニシャイン』!」
 突如放たれる火球の弾幕にチルノと大妖精は慌てて飛び退いた。
「ちょっと、いきなりなんて危ないじゃないのよっ。しかも火だなんて!」
「チルノちゃんがいけないんだよぅ。あんな言い方したら怒られるってばーっ」
 大妖精も流石にフォローする暇もなく、這々の体で図書室を逃げ出て行くしかできなかった。




 結局新必殺技を編み出すヒントは得られなかったチルノ。
 美鈴ももう自分からは教えられることはない、特訓にはいつでも付き合うけれど
 それでは今以上の強さは望めないと告げられてしまった。
「あ〜ぁ、どうしよっかなぁ」
 虎の穴に入って得られた物がないわけではない。
 小悪魔との弾幕ごっこで、確かに以前よりは強くなったと実感できている。
 ただ今ひとつ決定力に欠けるのだ。
 やはりここは格好良くて最強の新必殺技を編み出してこそ、これまでの特訓が活かされるのではないか。
 チルノはそっちにばかり考えが先行してしまっているらしい。
「あの魔法使いの話も役に立たないし」
「そうかな」
 確かにパチュリーから教えてもらった話はチルノからすれば、当たり前のことだった。
 しかし当たり前というのは見逃しやすく、却って落とし穴にもなりがちな箇所だったりもする。

 よくよく思い出せば、チルノが惨敗した霊夢達との戦いは夏真っ盛りの時に行われたものだ。
 どんなに霧で陽射しが閉ざされ、気温が下がっていたとはいっても夏の力はチルノを弱めていた。
 勿論原因はそれだけではなかったが、それも要因の一つと言って良いだろう。

「うーん……それじゃあ寒いところでもっと寒くできれば凄く強くなれるのかな」
「そうだと思うよ。あの人みたいに難しく考えることはできないけど」
 得意な環境で戦うこともまた一つの戦法。
 その考えに一理あると感じたのか、チルノはふぅむと唸ると腕を組む。
 大妖精はチルノの邪魔をしないように、しばらく見守ろうと視線を前へと移した。
 ここ最近、まさかこんなにも近寄ることになるとは思っていなかった紅魔館が見える。
 あそこの入り口付近で美鈴とチルノが戦うのをずっと見ていた。
 そして昨日の図書室でのやり取り。
 なんだか元々力の差があったのに、これではチルノがもっと離れていってしまう。
 ふとそんな風に考えてしまい、大妖精はそれを払拭するように頭を振った。
 その時、湖面を滑るように一陣の風がさぁと吹き抜けてきた。
 秋も深まり、だいぶ涼しくなった風が大妖精の白雪のような袖を撫でる。
「っくちっ!」
 可愛らしいくしゃみを一つ。
 その音にチルノは何か気付いたように弾き立った。
「来る」
「どうしたの? チルノちゃん」
 突然立ち上がったチルノに、大妖精は何事か尋ねる。
 するとチルノは無邪気に笑いながら、とても嬉しそうな声で一言告げた。


「冬が来るのよっ」



  H



 朱や黄に染まっていた山々が、今度は白く化粧される季節。
 空から降るのはふわりふわりと舞う結晶。
 獣や蛙は皆冬眠し、森や山は随分と静かになってしまった。
 しかしそれでも雪兎や狐など、厳しい寒さの中にあっても野を駆け回るものもいる。
 人間達は来たる新年を迎えるために少しずつ準備を始めているらしい。

 幻想郷に冬がやってきたのだ。



 紅魔館側の湖。
 相も変わらずチルノはそこで他の妖精たちと遊んでいた。
 特訓の話は停滞が続いてしまったためか、今は記憶の隅に追いやられている。
 今ではすっかり遊びや悪戯に飛び回る元通りの日々を送っている。
 パチュリーの言ったとおり、やはり冬という季節そのものがチルノに力を与えるらしく
 最近のチルノは常に絶好調な具合だった。
「よーしっ、もう一回やるわよーっ」
 意気揚々と雪玉を両手に掲げるチルノ。
 その言葉に一緒に遊んでいた妖精達が口々に文句を言う。
「えーっ、チルノちゃんに雪合戦で敵うはずないよ」
「そうよ。私たちはチルノちゃんみたいに冬に強くないんだから」
「そもそもチルノちゃんは私たちよりずっと強いでしょ!」


 チルノは妖精の中でも異質な存在と見なされていた。
 氷や雪の妖精といった存在は普通自然界でその役割を休む夏には姿を見せないもの。
 しかしチルノは季節を問わず存在し、自由奔放に飛び回っている。
 その異質さを地獄の閻魔に追及され己を顧みることになるのだが、それはまた先の話。


 閑話休題、冬と言えば雪合戦。
 せっかく雪が積もったのだからと周囲の妖精を巻き込んで遊んでいたのだが、
 どうにも力量がはっきりしている遊びはすぐに飽きられる。
 その辺りは人間の子供と大して変わらない、というかままだ。
「えーっ、まだまだ遊び足りないのに」
 一人遊びはつまらない。
 文句を言ってくる妖精達に対しチルノも口を尖らせるが、これではどうにも埒があかない。
 このまま今日はお開きか、そう思われた瞬間今まで晴れていた空が突然の吹雪で覆われた。
 妖精達は慌てて住処に戻り、チルノは何事か分からずただその吹雪の正体を見極めようと目を細めた。
「楽しそうね」
「あ、あんたはっ!」
 吹雪いていた風が次第に止み、視界が開けてくるとそこには先程までいなかった少女が立っていた。
 白い衣装に色素の薄い髪。
 まるで雪の化身のような姿をした少女は、柔らかな笑みを浮かべてチルノを見ている。
「レティっ、なんてあんたが出てくるのよ」
「だって今は冬真っ盛り。冬と言えば私じゃない」
 さも当然というようにレティは微笑んだ。
 確かに冬の化身とも言える彼女がこの季節に出てくるのは当たり前のこと。
「じゃなくて! えと……なんでわざわざあたいの前に出てくるのかって聞いてんの!」
 なんとか言いたいことを言葉に換えてチルノは言及する。
「それは言えない約束なのよ」
「なんだそれ!」
「あぁ、でも一つだけ」
 激昂するチルノに対し、あくまでも穏やかな表情を崩さないレティだったが突如としてその雰囲気に戦慄めいた物が混じり出す。
 戦いには随分慣れたチルノは、そのわずかな変化を見逃さずすぐさま飛び退き距離を取った。
「どうやら夏から特訓してきたっていう話は本当だったみたいね」
「そうよ、あたいはもっと強くなるんだから!」
 穏やかな笑みが、あからさまに不敵な笑みへと変貌する。
「なら私がどれだけ強くなったか見てあげる」
 言うやいなやレティの周囲の温度がさらに下がった。それが彼女の戦闘態勢だ。
 そしてどちらからともなく弾幕が放たれ、寒冷属性同士の寒い寒い弾幕ごっこが始まった。


 少女対戦中……


 二人の勝負、その結果は引き分け。
 しかしチルノはその結果にまったく満足していなかった。
 すっかり毒気の抜けて元のほわわんとした雰囲気に戻ったレティが、その様子を見て尋ねる。
「なんだか不服そうね」
 勝利こそなかったものの、今まで一度も自分に勝てなかったチルノがここまで成長したという結果が出たというのに。
 しかしチルノはむっすりとした表情のまま口を開かない。
「やっぱり勝ちたかった? でもこれまで負け続けてたんだし……」
「そうじゃないもんっ」
 ようやく口を開いたかと思えば、突っ慳貪に答える始末。
「あら、それじゃあどうしてかしら」
「だって手加減してたじゃない」
 その言葉にレティは目を見開いて感心すると同時に小さく驚愕した。
 
 確かに自分はチルノを本気で倒そうとはしていない。この弾幕ごっこには別の意義があったからだ。
 しかしその手加減がまさか見破られていたとは予想外だった。
「なんで手加減したのさっ」
 余程格下に見られたことが悔しいのか、声に震えが混じっている。
 自分の前だからまず泣くことはないと思うが今にもその目尻から涙が出てきそうな雰囲気だ。
「はぁ……悪かったわね。まさかあなたがそこまで強くなっていたとは正直思ってなかったのよ」
 レティはここに来るに至った経緯を思い出して溜息をついた。


  H


 ようやく春が過ぎて夏になり秋も終わってようやくの冬となり、レティも起きることができた。
 せっかく起きたのだから、短い冬を謳歌せねば。
 さて今年の冬はどう過ごそうかと考え山の上を飛んでいたところ、知った顔が近づいてきた。
「あ、レティさん。去年の冬ぶりですね」
「大妖精ちゃん? 一人でこんな所を飛んでいるなんて珍しいわね」
 普通ならチルノと一緒か、一人でいるにしても湖周辺のはず。
 それが彼女一人で妖怪の山付近を飛んでいるということは、チルノと何かあったのか。
 多分それくらいしか思い浮かばないし、きっとそうなのだろうとレティは確信していた。
 そのことを尋ねると大妖精は案の定チルノのことで悩んでいると話し始める。
 なんとも素直すぎる性格は変わっていないようで、レティはなんとも複雑な笑みを浮かべた。
「実は夏に紅い霧が幻想郷を覆い尽くして――――」


 大妖精の話を聞き終えて、レティは大妖精がどこかずれたことで悩んでいることに気がついた。
 本人は全く気がついてないらしく、またそれが彼女を悩ませ続けている要因ともなっている。
「それであなたはどうしたいの?」
 大妖精はチルノの力になりたい気持ちで、そもそも強くなろうと持ちかけた。
 それが停滞している今どうにかしたいと考えるのは大妖精の性格上当然の流れ。
 しかし悩みを解決するべき論点はそこではないのだ。
「私は……チルノちゃんに強くなってもらいたい」
「本当に?」
 本当にそうならもっと大好きな彼女のためにせっせせっせと動き回っていることだろう。
 しかし実際はそうはせずにただ浮かない表情をしてふらふらと飛んでいるだけ。
「本当はこれ以上チルノに強くなって欲しくないんじゃないかしら?」
「そんなこと、私は思って……」
 ないと続けたかったのだろう。しかし本心に気付いてしまうとそうできないのが彼女の性格だ。
 しばらく俯いていた大妖精は、徐に口を開いて本心をなぞるように告げた。
「私、チルノちゃんがどんどん離れていく気がして……」
 これ以上差が付いたら一緒にいられなくなりそうな、確信は無いがそんな予感。
 しかし小さな疑念は喉に刺さった小骨のように、ちくちくとその存在を主張する。
 気付かないふりをしても、その存在を忘れることは決してできない。
「それであなたはどうしたいの?」
 レティは再び同じ質問を繰り返す。
 これには本人達が答えを出さなくてはいけないことだ。
 誰かから教えてもらった選択肢を選んで、事を収拾させてもいつかは綻びまた同じ問題となって立ちはだかるもの。
「私は……」


  H


 目の前のチルノは大妖精が言ったように随分と強くなっていた。
 去年の冬に弾幕ごっこを仕掛けられた時とは段違いだ。妖精の強さでは考えられないほどに。
 大妖精が懸念してしまう気持ちもなんとなく分かった気がする。
 チルノの本心を確かめる役割を買って出て、弾幕ごっこに無理矢理持ち込んだは良いものの
 まさかここまでのものだったとは戦ったレティ自身未だ信じられないでいた。
「ねぇチルノ? あなたは強くなってどうするの?」
 思わず大妖精の事を考えてそんな質問をしてしまうレティ。
 本来なら大妖精が自ら聞かなくてはならないことだ。
 しかしもう聞いてしまった以上、責任を持ってその答えを聞き届けなければなるまい。
「そんなの決まってるじゃない! さいきょーよっ」
 あっさり。
 それは去年までのチルノとまったく変わらないものだった。
 あまりにもなと言えばあまりにもな言葉にレティは呆気にとられ、思わず笑ってしまう。
 それを侮辱と受け取ったのか、チルノは顔を真っ赤にして憤慨した。
「何さっ、手加減されるあたいがさいきょーを目指しちゃそんなにいけないの!?」
「違う違う。ただ心配する必要なんてこれっぽちも無かったからね、なんだか可笑しくて」
 目元の笑い涙を拭いながら弁明しても逆効果だ。
 完全におちょくられていると勘違いしたチルノは頭から湯気でも出しそうなほど怒りを露わにしている。
「もーっ、あったまきた! 今度こそあんたにぎゃふんと言わせてやるんだからっ」
 言うと再び上空に舞い上がり、戦闘態勢にはいるチルノ。
 しかしもうその必要はない。
 ただし今の状況を収拾するには一度戦って頭を冷やさせる方が良いだろう。
 そう考えたレティはチルノの誘いを受けるべく、その後を追って空へと向かった。
 今度は一切の手加減無しでさっさと終わらせよう。


H


 照らされた湖面が黄金色に輝く夕暮れ時。
 レティがチルノを介抱しているちょうどそこへ、意気消沈した大妖精が戻ってきた。
 どうにもまだ答えが出せきれず悩み続けているらしい。
 しかし気絶しているチルノを前にすると、その悩みよりも心配する気持ちが先行したようだ。
 慌てて近寄ってくるとその容態を確かめ、ただの気絶と知って安堵した。
「ちょっとやりすぎちゃってね。だいぶ強くはなったけど、まだ私の方が強いみたい」
 頭に血が上った状態のチルノには、手加減のなくなったレティの相手は務まらない。
 結果は先程よりも早く決着し、レティの勝利に終わった。
「そうですか、それでチルノちゃんは……」
 大妖精が心配しているのはチルノの容態ではない。
「大丈夫よ。この子はあなたが心配してるほど複雑じゃないわ」
 レティはチルノは根本的な所では何も変わっていない。
 変わってしまいそうに感じるのは、ただの杞憂に過ぎないのだと大妖精に言って聞かせた。
 確かにそう聞くとどうにも自分が心配しすぎるあまり空回りしていただけのようにも感じられる。
「あはっ、あははははっ」
 そう思うと無性に可笑しくて、思わず笑いが込み上げてきた。
 同時に視界が潤み、温かい滴が頬を濡らす。
 嬉し涙があるというのは何となく聞いたことがあったが、本当に流れるものらしい。
「んんん……」
 草枕の固さに目覚めを促され、事の中心本人が意識を取り戻した。
 ぼやける視界に移るのは今日一日姿の見えなかった友人と、
 先程まで怒りの対象だった小憎らしい雪女の二人。
「なんで大妖精とレティが一緒にいるの?」
 まるで目覚めきっていない寝惚けた声と眼に二人は同時に吹き出す。
 一人状況が飲み込めないチルノは完全に目が冴えきるまで二人に笑みを与え続けるのだった。



 冬の日の入りは早く、黄金色に輝いていた水面には今は月明かりと無数の星空が浮かんでいる。
 そんな平面の夜空を前にチルノと大妖精、そしてレティは腰を下ろして体を休めていた。
 チルノとレティは連戦で、大妖精は遠出が理由でそれぞれ疲れている。
 互いに何も喋らず、揺れる夜空にただただ時が過ぎていく様子を見ていた。
 そんなゆったりとした空気が流れる冬の夜、その静寂を破ったのはチルノではなくレティであった。
「ねぇチルノ。最強になる夢は諦めないのよね?」
「当然」
 その為に今年は夏から冬にかけて特訓を重ねてきたのだし、今更変えるような柔な目標ではない。
 今更何をといった調子でチルノは端的に答えた。
「それにあたいには大妖精っていう心強い友達がいるもんねっ」
 そうだよねと同意を求めてくるチルノ。
 その言葉と表情を受け、大妖精は喜びと同時に複雑な申し訳なさも感じた。
 すると間髪入れずにレティが言い返す。
「でもまだ私にも勝てない」
「うぐ……」
 あの時は頭に血が上っていたから、という言い訳は先の戦いで手加減されている以上言うことはできない。
 そもそも言い訳をするということ自体チルノ自身のプライドが許さない行為である。
「大妖精はどうなの? チルノは最強になっても良いと思う?」
「それは……」
 先程された問いを今度はチルノの前で尋ねられる。
 しかし今の大妖精は言うべき答えがもうすでに出ていた。
 大妖精は言葉を選ぶようにゆっくりと先を続けた。
「私はチルノちゃんと一緒にいられたらそれでいいかな、なんて。でも――」
 それなら別にチルノが最強だろうとそうでなかろうと構わない。
 ただ側にいるなら側にいるで力になりたいと考えるのは間違ったことではないはずだ。
 だったら自分はチルノが求める限り、共に同じ道を歩もう。
「ならまずは私に勝てないようじゃ最強なんて夢のまた夢ねぇ」
「それは、そうだけどさ……って何が言いたいのよ、さっきから!」
「あ、もしかしてレティさん」
 大妖精はいち早くレティの言わんとしていることに気付いたようだ。
 その顔にはまた嬉しさを表した笑みが浮かんでいる。
「な、何よ」
 その表情にチルノも何か察したらしく怒るのをそこで止める。
「だから私に勝てるまで相手になってあげると言ってるの」
 照れ隠しな言い方だが、要するに強くなる手伝いをしてやろう、そういうことだ。
 別にレティ本人は照れているわけではない。
 そういう言い方でもしなければチルノはこの誘いに首を縦に振らないだろう。
「でも良いんですか? せっかく冬になったのに」
 レティはチルノと違って冬しか表に出てこられない妖怪だ。
 その貴重な時間をこんな――という言い方をしては失礼だが――ことに費やして良いのだろうか。
 そんな大妖精の言葉にレティはこう答えた。
「いいのいいの。まだ何をして過ごすか決めてなかったし。それにまた冬は巡ってくるわ」
 目を細めて世界を包む冬を眺めるその姿は、月明かりを受けてとても綺麗に見えた。
 それはチルノも感じたらしく、だがそれを認めるのが癪な様子で眉をハの字に曲げている。
「ぅぅ、なんか格好良い」
「何か言った?」
「なんでもないよーっだ!」
 小憎らしく舌を出して、チルノは夜空へとその身を舞わせた。
 しかし彼女は申し出を断る言葉を一言も発していない。
「これで明日からは退屈せずに済みそうだわ」
 そう言ってレティは大妖精にウインクして見せた。
「ちょっと大変かもしれませんけどね」
 そう返しながらも、大妖精の顔には苦笑ではない満足げな笑顔が広がっていた。


  H


 自分は驕り高ぶっていたのではないだろうか。いや過程ではなく、きっとそうだった。
 チルノのことは誰よりも分かっている。彼女を助けるのはそんな自分にしかできない。
 そんなわけがないのに、いつの間にか自分の中のチルノを相手に考えを巡らせてしまっていたらしい。
 だから今回のように自分勝手な想像で要らぬ心配をしてしまう。
 自分の中のチルノと現実のチルノは最初から同じものではないのに、一緒に居すぎて
 どうやらその境界が曖昧になってしまっていたようだ。
 そもそも助けるという行為自体必要なかったのではないかとすら考えてしまう。

 そんな事をレティに話したら、まったくあなたはと呆れられた。
 チルノは誰よりもあなたのことを頼っている。それは共にいるだけで果たされる。

 理解する、力になってあげるだけが大切な者の在り方なのではない。
 何時如何なる時も自分を信じてくれること。相手もそうだと信じること。
 一つ、気をつけなくてはいけないことは、信じることの落とし穴。
 それは信じすぎると、いつしか疑惑という名の影が生まれるということ。
 その影に目を向け続けてはいけない。それはまるで霧のように全てを覆ってしまうから。


 ただそんな話を聞かされても、正直妖精の頭で考えるのは難しい。
 でもそんなに難しく考える必要はないんだと、あの子がその身を以て教えてくれた。
 霧に包まれ幻に悩まされていた私を救ってくれた。



 あの子が私に笑顔を向けてくれる――それ以外にどんな証明がいるのだろうか。



まずはここまで読んでいただいた方々に謝辞を。
先にここを読んでいる方々には、ネタバレがあるのでご注意を。

以下色々捕捉。

今回のテーマは『偕老同穴』。『虎穴に入らずんば虎児を得ず』ではなく。
夫婦が共に仲の良い様を表した故事成語ですが、私にとってのチルノと大妖精はまさにそんな感じ。
大妖精の性格は基盤がない分、かなり個人的な趣味でできていますが。

気付いてらっしゃると思いますが、この話は紅魔郷から妖々夢に至るまでの設定です。
ちなみに紅魔郷時はEasyで、妖々夢はまあHard……Normalくらいの成長だと思ってください。
レティとは予め知り合いという設定は個人的な萌え設定で(ry

パチュリーとの会話場面で出てくる“湿”やら“乾”と言った話ですが、
これは錬金術でいうところの「四大元素」を生み出す四大要素のこと。
ちょっと小難しい話をスラスラするくらいが、チルノ達と対比できて良いかなぁと。


色々突っこみ所があると思います。
次回に繋げていきたいので、是非その思いを点数なり言葉なりでお伝えください。
再度になりますが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
雨虎
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2007/05/10 11:07:18
更新日時:
2007/05/13 02:07:18
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1. 6 A・D・R ■2007/05/13 02:42:49
なんかお題へのつなげ方がありがちだなぁ…と思っていたら、あとがきでやられました。
単調といえば単調であるように感じましたが、しっかりとした構成で十分楽しめました。
2. 5 反魂 ■2007/05/14 17:55:57
別の作品でも書いたことなのですが、あとから格言やことわざを挙げて「今回のテーマはこれ、だから穴という御題は消化した」というのは読み手からすれば御題消化されたと感じられません。それならばいっそ、虎穴というテーマであったと思わされていた方が呑み込めたのですが……。
やはり、物語の中で何かしらの役割を担ってこその御題消化じゃないかな、と私は思うところ。

お話自体は素直で淀みが無く楽しめました。ただもう少し物語の抑揚、具体的には起承転結の「転」の部分があったならという印象です。似たような展開が連続し、少し飽き気味になる場所がありました。
全体的なバランス自体は非常に良かったと思います。明確なまでの欠点はなく、好印象の作品でした。
3. 6 shinsokku ■2007/05/14 18:23:29
花映塚だと対チルノが苦手です。紅魔郷Lunaボス時より。
そんな自分なので、強くなった理由の補完的な要素を感じ、なんだか納得してしまいました。
面白し。
でも、チルノvsレティの弾幕戦も見てみたかった気がします。
主眼ではないのだとは判っているのですが。
4. 4 爪影 ■2007/05/15 11:10:08
 やっぱりチルノは元気なのが似合いますね。
5. 7 久遠悠 ■2007/05/15 19:45:49
パチュリー黒め。とても素敵でした。
あと、全然関係ないかもしれませんが文章途中に挟まれたHに耐え切れず噴き出してました。番号じゃないのか。
6. 3 どくしゃ ■2007/05/16 05:36:31
この小説の肝はたぶん後半部分だと思うのですが、
自分は前半部分がとても楽しく読めました。
強くなるため、ってノリが少年漫画的で。面白かったです。
7. 7 秦稜乃 ■2007/05/21 22:08:31
これはいい大×H
8. 7 KIMI ■2007/05/22 22:45:23
面白かったです
9. 10 ■2007/05/23 09:55:29
妖怪関係と妖精関係(人間関係と書ければ楽なのですが:笑)が非常によく書かれていたと思います。設定された性格と台詞とストーリーの間に矛盾がなく、素直に楽しめました。次回もぜひ読ませていただきたいです。

それはそうとして。
この大妖精…何と言うプレッシャー…!
10. 7 詩所 ■2007/05/24 04:28:19
亜私自身がこの言葉を知らなかったので、後書きを読むまで知りませんでした偕老同穴、無知。
この言葉を妖精二人で幼く、なお巧く描かれていました。

チルの最強の道は遠い。
11. 3 流砂 ■2007/05/26 21:43:01
『背丈は』5,6歳の子供程度。 『背丈は』……うん。
一瞬、大ちゃん5歳かよ! とか思ってしまった。
・誤字脱字が多い ・中盤までのスポ根部分とラストが全く噛みあわない
・Hの区切りが白けた。 ・場面転換が頻繁過ぎてのめり込めない。
粗は多いけど、基本は出来てるのでは? というのが素直な感想。
あと多分、プロット作ってから書くスタイルの方が向いてると思う。
12. 5 deso ■2007/05/27 00:03:55
チルノは実に『らしい』のですが、大妖精の葛藤が浅く感じます。
大妖精の一人相撲でおわってるからなぁ。せっかく悩んでいるのだから、
それをチルノにぶつける展開があるともっと良かったかなぁ、と
13. 6 blankii ■2007/05/27 11:01:24
HがいかにもHらしくて◎。周囲の一切を省みることなく、けれども、その誰にも笑顔の種を蒔いて。
14. 8 椒良徳 ■2007/05/27 19:37:27
>5、6歳の子供程度 うぎぎ。たまらん。レイプしたくなる。

 それはともかく「そういうシーンではないのだ。自重しよう。」と自分の文章に突っこむのはどうかと思います。いや、そういうのりは嫌いではないですがね。

 さて、全体を通して非常に丁寧に仕上げられた良作だと思います。できるならば貴方の書かれたバトルを見てみたいと思いますが、それは、私の我儘か。ただ、感動の大作、10点というには少し力不足か。今後の貴方の作品に期待しています。
15. 5 木村圭 ■2007/05/27 23:27:51
レティと戦い続けて強くなるならレティより強いであろう美鈴と戦ってた方がいいんでないの?
程よく妖精やってる二人が非常に好感触。生き生きと動き回ってる姿がとても様になってました。
16. 5 らくがん屋 ■2007/05/29 11:05:06
丁寧な文章だけど退屈、ってのが正直なところですかね。いまいちメリハリが効いていない。全体的にほのぼのなので、対比に派手なバトルが入るとグッと締まる気がします。私の好みですが。
これはこれで完成していると思いますので、この点数を。
17. 3 鼠@石景山 ■2007/05/30 00:48:08
言われるまでお題は虎穴だと思ってましたが、後書きを見るとなるほど確かに。
チルノと特訓というのが結びつかない……途中で投げ出しそうな印象が強いです。
18. 4 いむぜん ■2007/05/30 02:20:57
チルノ、強くなる。 といった所か。
チルノに努力は似合わないと思う。悪い意味でなくてだね。
負けた!悔しい!→強くなってやる!→特訓だ!→この辺で負けた悔しさを忘れてそう。特訓が楽しい(力の使い方が分かって)と思うかも知れないが。でも妖精の枠から微妙にはみ出したチルノならそれもアリかもね。
19. 5 リコーダー ■2007/05/30 16:20:29
ちょっと盛り上がり所に欠けた感が無きにしもあらず。
20. 6 眼帯因幡 ■2007/05/30 17:23:01
気になったのは大妖精の視点である一人称の文体と、第三者の視点である三人称が混ざったところが見受けられたところでしょうか。
そこまで気にする性質ではないのですが、ちょっと引っかかる程度に感じたので、一応。
チルノが強くなる、と言う過程は正直燃えました。出来ればクリエの方で、続編を出していただきたいですね。
お疲れ様でした。
21. 5 二俣 ■2007/05/30 19:20:34
過不足なく、よく出来ていると思います。
でも、欲を言えばクライマックスにもう一ヤマ…というか目の覚めるような一文が欲しかったかもしれません。綺麗な終わり方が出来ているだけに、その前後の印象がやや薄くなってしまった感がありました。
22. 5 乳脂固形分 ■2007/05/30 20:37:19
とても丁寧で奇麗な文章で、自分にはこういうのは真似できないな、と思いました。
そうではあるのですが、どうもチルノや大妖精のセリフのライトなタッチと地の文との間でギャップを感じてしまいました。お話もテーマも軽いのに、地の文が重厚に感じてしまう。逆にそれが良いと言う人もたぶん結構いるとは思うのですが。
23. 7 K.M ■2007/05/30 20:52:47
姉妹関係かと思ったら、夫婦関係でしたか。
とりあえず、美鈴は「近所に住む年上のお姉さん」風味だと思います。
心理描写に優れた作品と思うのですが、「穴」性がちょっと薄く感じたのでこの点数で。
24. 5 たくじ ■2007/05/30 22:32:13
こういう友情を描いた作品は好きなのですが、長くて疲れました。地の文がくどくてテンポが悪いように感じました。
25. 5 藤村る ■2007/05/30 23:21:26
 穴は弱めですが、ベタながらきちんと書き込んでいて面白かったです。
 山場がさらっと通り過ぎちゃった気はしますが。
26. 3 時計屋 ■2007/05/30 23:27:37
お話の内容ですが、正直盛り上がりに欠ける内容になっています。
修行・戦闘、どちらのシーンもSTGの画面をただそのまま文章に落としただけになっていました。
無理をして精密に描写をしようとせずとも、修行・戦闘の結果を書くだけで良かったのではないでしょうか?
(最後「少女対戦中……」で戦闘を飛ばしていたので、ご自身でも多分気づかれているとは思いますが)
また全体を見渡しても山場と呼べるようなものが見当たらず、大妖精の悩みも解決も唐突に思えました。
SSとしては長い部類になりますので、コンパクトにまとめるか、
見せ場を創って読者を飽きさせないような工夫が欲しかった。

最後になりますが、
お題に沿った内容とは言い難いため、次回以降参加されるときは気をつけてください。
27. フリーレス 雨虎 ■2007/06/01 21:22:05
>A・D・Rさん
偕老同穴は真のテーマであると同時に隠れテーマだとも言っておきます。
おかげで「穴」は目立たなかったかも知れませんが。
>反魂さん
言われることも一理ありますね。後書きは言い訳では無いのですし。
お題のある場では今後気をつけていきたいと思います。
>shinsokkuさん
なにげにチルノは本編の登場回数多いですからね。
そこを考えているとなんとなくこんなネタが思いつきました。
>爪影さん
チルノから元気を取るともうHしか(ヘイルストーム
>久遠悠さん
パチュリーに言葉責めとかされると容赦ないでしょうねw
いつも使っている「☆」だと正体がばれるかなと。
>どくしゃさん
その辺りがギャップになってしまうかとも思いましたが、
そういう風に感じていただけるとホッとします。
>秦稜乃さん
一番好きな取り合わせですね。
この二人のやり取りは何を書いても楽しいです。
>KIMIさん
素直なご感想ありがとうございます。
>翼さん
気に入っていただけてなにより。そして満点ありがとうございます。
また私の話と出くわす機会がありましたらよろしくです。
>詩所さん
私も穴に関する言葉を探して見つけるまで知りませんでしたw
>流砂さん
具体的に短所を取りあげていただきありがとうございます。
自分では見つけにくい欠点もこうして指摘していただけるのは助かりますね。
>desoさん
そうですね。冬になった辺りで喧嘩してしまうシーンでも挟めば
大妖精が悩むシーンに繋げやすかったかもしれません。
>blankiiさん
「素直」という言葉が良い意味でも悪い意味でも似合うキャラは
チルノをおいて他にいないとか思ってます。勝手にw
>椒良徳さん
バトルものですか……。まだ力量不足ですね。orz
一応それっぽいものは書いたことはありますが、賛否両論くっきりに……
>木村圭さん
似たような力を相手にすることで新スペカを思いつく、みたいな。
美鈴にはきちんとした締めを与えても良かったかも知れませんね。
>らくがん屋さん
退屈させてしまうのは致命的です。
もっと楽しんでもらえる文章が書けるよう精進します。
>鼠@石景山さん
大妖精がサポートにいるから、という理由じゃダメですかね?
>いむぜんさん
そんな流れで合ってますね。手段と目的がいつの間にか入れ替わるような。
チルノらしくて良いというのも同意です。
>リコーダーさん
やっぱり山場ですね、問題は。
>眼帯因幡さん
続編……そういわれると書きたくなるじゃないですかw
実は当初のオチは妖々夢まで続いていたりします。
>二俣さん
やっぱり山場か……。
ここまで短所を諸出しにしているのに、なかなか直せないのは悔しいです。
>乳脂固形分さん
地の文の固さはクセになってしまっている感が否めないので
かなり気をつけても使ってしまいそうです。
その辺りもどうにか自由にコントロールしたいのですが。
>K.Mさん
姉妹というには大妖精もチルノから貰っているものもあるかなと思って。
二人が夫婦なら大ちゃんはきっと天然良妻になってくれることでしょうw
>たくじさん
地の文は確かにもっと削れたように思います。
推敲不足の問題ですね。次回参加時は善処します。
>藤村るさん
穴が薄いのはお題の決まったコンペではやはり−ですね。
次回気をつけていきたいと思います。
>時計屋さん
的確で具体的なアドバイス嬉しく思います。
山場が見えないというのは、他の方も指摘されていることですし
自身も一番直したい部分でもあります。次回はそこを改善した作品が
お目見えできるよう頑張りたいと思います。

改めて読んでいただいた方々にお礼を。
嬉しい感想や、的確なご指摘本当にありがとうございました。
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