トンネルの向こうに

作品集: 最新 投稿日時: 2007/05/13 05:47:28 更新日時: 2007/05/15 20:47:28 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00
「ここかしら?」
 浮き出た汗をぬぐって、私は呟く。山陰に入ったおかげで、呟く位の余裕は出来ていた。
 暦の上ではまだ春とはいえ、桜も散り、季節は夏に向かってひた走っている。そんな中バス停から延々と続く坂道を登ってくれば、汗もかこうというものだ。
 山裾に狭苦しそうに軒を連ねる集落を抜けて、目的の場所にたどり着くまでには数十分を要した。道に迷った時間がいくらか含まれているのはご愛敬ね。

 さて、向けた視線の先には、斜面にぽっかりと口をあけた馬蹄形の穴がある。ここが今回の『切れ目探し』の目的地だ。
 いつも見ている場所、遊んでいる場所、そして住んでいる場所…そこから少しだけ足を伸ばせば、異世界への入口はすぐにその口を開けて待っている。実にお手軽な散策地。
 もっとも、その口を見分けるのはちょっと大変なのだけれど、それを見つけるのが私たち秘封倶楽部のサークル活動だ。
 さて、ここは果たして『当たり』なのかしら?

 小さな山の、ちょうど真ん中を貫くもっと小さなトンネル。それは、形からしていかにも年代物で、車一台が通れるか通れないの断面しかない。もっとも、人一人通っているかどうかすら怪しいけど。
 入り口には木の枝が垂れ下がり、少しばかり苔むした入口を覆い始めていた。見るからに怪しげで、切れ目発見への期待が膨らむ。
 向こう側は何も見えない、でも、気持ちのいいそよ風が、向こうは悪いところではないよ…と言っているように聞こえた。
 風には、かすかに匂いがある。感じるか感じないか程度の。
 嫌なものではない、何か懐かしいような、どこかでかいだようなそんな匂い。何だったろう…思い出せない。

「そうね」

 静かな時間に思考を重ね、私が、小さな谷や、そこにある集落を想像しはじめた時、ようやく隣から声が聞こえた。メリーだ。
「反応鈍いなぁ…メリーは」
 私はぼやく。
 せっかく気持ちだけトンネルをくぐっていったのに、会話のタイミングがずれたせいでそのまま帰ってこられなくなってしまったわ。
「もう」
 私の言葉に、メリーは両手を腰にあてて頬を膨らませた。思わずつつきたくなる位思いっきり。
 子どもじみた笑顔が何か可愛かった。でも…
「焦ったって切れ目は見つからないわ、蓮子は遅刻をする時位の余裕を持つべきよ」
 可愛い顔をして言うことは小憎らしい。
「はぁ…」
 私はため息をつく。
 とはいうものの、今回の探索でも遅刻したのは事実なので、私は黙って頭をかくだけに留めておいた。
 メリーから視線をずらし、トンネルを見れば、相も変わらず真っ黒な口をこちらに向けている。小さな山を越えるべく、うねうねと登ってきた道は途中で力尽き、切り通しの向こう、小さく口を開けたトンネルへと飲み込まれている。ずいぶん根性なしの道だった。

『〜之〜道』

 そんな口の上には、この小さなトンネルには不釣り合いな位立派な扁額がはめ込まれてあるけど、所々木の枝に覆われて見えない。
 扁額にはなんとか隧道とでも書いてあるのだろう。この際名前は別段気にすることはない、私たちはトンネルに入りに来たのではなく、切れ目に入りに来たのだから。

 だけど、小さな想像は徐々に膨らんでいく。
 もしかすると、昔はとても重要で、期待されたものだったのかもしれない。どんな工事だったんだろう。これほど古いトンネルなら、相当な苦労があったのかもしれない。
 開通したときには集落総出で祝ったのかしら?笛を吹き、太鼓を叩き、皆で踊る人たちの姿を幻視する、延々と演説するお偉いさん、それを聞かずにはしゃぎまわる子ども達…大人達も、今日ばかりはそれを止めようともしない。祭りは続き、お酒と笑声は尽きることはない。一瞬、かすかに笛の音が聞こえた気さえした…

 風が吹いて我に返る。
 今は笛や太鼓の音はおろか、人のいる気配なんてほとんどない。かすかな風と、木々がゆらぐ音だけ…そこには、ただ、ゆっくりと時間だけが流れている。麓の集落からも、声や物音は上がってこない。なぜかしら?少し…切ない。

 それにしても、このトンネル…

「どうしたの?」
 一瞬の沈黙、メリーが私に尋ねた。
「別に…何でもないけど」
 私は答える。
 実際何か感じたわけではない。一応オカルトサークルの一員であり、人とは違う『力』を持っている私は、幽霊のたぐいがいれば気配を感じることもある。…感じないこともあるけど。
 ともかく、今回はそんな気配は感じなかった。

 ただ…

「なんとなく…違和感を感じただけよ」
「違和感?」
 私の言葉に、今度はメリーも遅れずに答えを返してきた。暗い口から吹き付ける風は、強くなることも弱くなることもなく、ただ静かに髪を揺らす。
「ええ、トンネルといえば、いつも列車で通っていたから、暗い、ただそれだけの印象しかなかったのよ」
 そう言って私はトンネルの方へ一歩を踏み出す。風が少しだけ強くなった。切り通しは高さを増し、視界を暗くする。両側に迫るコンクリート壁が少し不気味だった。
 この闇の中を歩くの?そう思うと少しだけ恐怖もあり、そして不思議な位楽しそうでもある。
「だから、風が通り抜ける…いえ、風を感じられるトンネルっていうのが何か不思議だったの。こうしてみると、まるで息をしてるみたいで」
 私はそう言って目を閉じ、耳を澄ます。肌は風を感じ、耳にはかすかにその息吹が聞こえる。風が私を誘う。
「…まぁ、切れ目があるトンネルなら、生きていたって不思議じゃないわね」
 そんな私にメリーは言った。すこしカチンとくる…まぁいつものことだけど。
「馬鹿にしてるの?」
 それとも呆れているのかしら?そう思って私は言う。
 でも、メリーは別段表情を変えることもなくこう答えた。
「馬鹿にしているんじゃないわ、そんなこともあるかもしれないなって思ったのよ。本当に…」
 呟くメリーは、確かにからかっているような表情ではなく、いつも通りの自然な顔をしている…ように見える。太陽があるのは山を挟んで反対側、おかげで、こちら側は日陰になってメリーの表情は読みづらい。
「それなら…いいんだけど」
 肩すかしをくらった感じがして、私は曖昧に言葉を濁す。視線がふらふらとさまよった。

 空は青に近いような水色で、所々に断雲が浮いている。でも、さっきまではさんさん降り注ぐ日射しの元を歩いていたのに、ここは薄暗くて、そして湿っていた。
 空気どころか、気分まで湿ってくるような、そんな雰囲気。

「ここで話しても仕方がないし…さっさと入ろう」
 いまいち弾まない会話を無理矢理切り上げて、メリーの答えも聞かずに私は歩き出した。黒い口が、少し大きくなる。
「そうね、ここに間違いはないだろうし」
 その時、文字通り一歩遅れて、メリーの呟くような声が追ってきた。
 




 暗いトンネルに、私とメリーの足音だけが響いている。
 実際の気温差以上にここの空気は涼しい、汗が消えていくのがわかった。
 先を見れば、路面は舗装され、上には照明がつけられていて、未だ現役であるとわかるのだけど、人の気配は全くない。カビくさいのかなんなのか、独特な臭いが鼻をつく。
 誰からも忘れ去られて、だけどしっかり存在している…そんなトンネルが、何か境界を超越したものに見えて不思議になった。
 入り口に入ってすぐ、この小さなトンネルは大きく曲がり、奥へと続く。工事していた時期には技術的な限界があったのか、はたまた単なる設計ミスか…どちらにしろ、出口が見えず、長さもわからないトンネルというのは不気味だ。特に、生身で通る人間にとっては…
 そう、無防備に熊の穴に入ってしまったような、そんな気さえする。
 風が来ているということは、間違いなくどこかへ通じているはずなのだけど…



 相変わらず、響くのは足音だけ。



「静かね」
 そんな静けさがなんだか嫌で、私は呟いた。
 声が小さすぎて、反響もしない。一歩後を歩く友人の耳にも届いていないかもしれない。
「まだ使われているのかしら」
 無視されたのが少し悔しかった。だから、今度は少し大きく、私は言った。暗闇に少しだけ声が反響する。
「ライトもついてるし、別に崩れているわけでもないわ。使っている人がいるかは別として、廃止はされていないでしょうね」
 ようやくわかりきった答えが後ろから返ってきた。予期した返事なのに、なぜかほっとした。
「そうね」
 私は答え、途切れ途切れ続いていた会話は終わった。暗闇に静けさが戻る。



「素掘りのまま…?」
 少し進むと、今まで滑らかに壁面を覆っていたコンクリートが消えて、岩の形がそのまま残っていた。
 私は思わず足を止めた。質問のような独り言は暗闇へと吸い込まれる、返事はない。
 まるでトンネルではなく洞窟…振り向くと、それは不思議な位急に曲がっていて、もう入口の光は見えなかった。前の方も、やはりカーブしていて出口は見えない。どうしてこんなに不思議な構造をしているのか、少し興味が湧いた。
 頭上には、小さな灯りが一つだけ、さびしく周囲を照らしている。でも、こんな狭い空間を照らすのにすらその力は足りなくて、明るいのはほんの少しだけ、あとはずいぶんと暗かった。
 向きを変え、壁面に手を触れる。でこぼことして、そしてひんやりとした感触が手のひらに伝わってくる。まだ身体の中には暑さが残っていたから、この冷たさは気持ちいい。
「それこそ『切れ目』がありそうね。物理的な意味で」
 茶化すような私の言葉。実際、少しだけ崩れてきやしないかと不安になっていた。仮に崩れてきたとしたら、私たちは見るも無惨な最期を遂げることになるだろう。
 足元には、どこからか欠けて落ちたのか小石が転がっていて、恐怖を煽った。
「…切れ目、ね」
 背後を進んでいた足音はいつの間にか止まっていて、かわりにメリーの言葉がやってくる。
「トンネルの中に切れ目があるのは、考えてみると不思議な気がするんだけどね」
 呟くような、問いかけるような、そんないつも通りのメリーの言葉。
「そう?逆にこういう所の方がありそうだけど…」
 即座に問い返す。
 メリーの言う意味がわからない。俗に言う『心霊スポット』そういう所は、私たちが探し求めている境界の『切れ目』が多い。実際、色々と不安定な場所なのだろう。
 そして心霊スポットと呼ばれる所にはトンネルが多い。そもそも、この場所にしても、心霊スポットということで見つけてきたのだ。
 別に工事中に誰かが死んだわけでもない、事故が起きたわけでもない、だけどなぜか『出る』と言われるようになった小さなトンネル。
 恐らくは、この古びた、そして人気のない雰囲気が呼んだ都市伝説の類だろう。しかし、さしあたって他に面白げなものもなく、ここにやってきたのだ。

 それに…

「暗くて、閉ざされた異空間…何か出てもおかしくないじゃない」
 そう、たぶん入るときに感じた違和感は、日常の世界から非日常の世界を覗き込んだ時に感じた違和感だろう。日常という境界に開いた切れ目、普段の、私たちが住む世界とは常識を少しだけ異にする世界への覗き窓。
 日の光を感じない、地の底…そこは、間違いなく地表に生きる私たちにとっての異世界と言える。

 でも、私の言葉に、メリーは一瞬考え、そしてこう言った。

「トンネルは閉ざされた空間じゃないわ。二つの世界を結ぶ『切れ目』ある意味最も開放的な場所。山という壁に穿たれた、未知の世界への切れ目よ。そして、切れ目の中に切れ目があるなんて…不思議じゃない?」
 なぜかしら?いつも通り、無意味なまでに理論的な友人の言葉が、いつもと違ったように感じられる。
「でも、だからこそあってもおかしくないんじゃない?」
「何で?」
 友人の声は、落ち着いているけど、先を聞きたそうな好奇心がくっついている。やっぱりいつも通りのメリーね。こんな所にいたせいで、少し変に聞こえたのだろう。

 私は少し安心し、一瞬間を置く。相変わらず、薄闇を風が駆け抜けていた。

「山は古くから結界の役目を果たしていたでしょう?山を挟んで反対側から来る有形無形を遮断する。外敵、厄災…そして豊かさ、全部まとめて…ね」
 岩肌に触れていた手を放し、一呼吸おく。手のひらから固い感触が消えた。
「そんな結界に穴をあけたんだもの、望んだものだけじゃなく、望まないもの、そして予想もしなかったようなものまで流れ込んできても不思議じゃないじゃない」
 また一息、涼しげな空気を吸い込む。少しカビくさい。
「それに…穴の入り口が一つでも、出口が一つとは限らないわ。里と、外の世界とを結ぶトンネル…その世界が、同じ次元にあるとは限らない」

 気がつけば汗はすっかり引いていた。
 外と同じ空気とは思えないほどの涼しさと、絶え間なく流れる風が、すっかり暑さとその副産物を運んでいってくれたのだ。地底を流れる風というのも不思議な話だけれど…
「なるほど、それも一理あるわね」
 メリーの声が聞こえる。振り向かずとも、ふむふむと頷く表情が目に浮かぶ。
 議論、それは私たちにとって極めて楽しい時間の過ごし方である。その中で最も幸せな瞬間、それは、相手を論破し、お互いの頭脳を認め合う時だ。 
 あなたなら私の理論を受け止めてくれる。敬意とか、優越感とか、そして親しみが色々と入り交じった瞬間。私は、その瞬間を得るべく言葉を進める。
「でしょう、だから…」
「予想もしないものが入ってくるなら…」
「え?」
 にこにこと言いかけた私の言葉は途中で止められた。最高の瞬間は、手のひらからこぼれるように消えていく。不吉な予感がした。大切な宝物を落としてしまったような…そんな気持ち。
 メリーの声は変わらない…でも…
「予想もしない世界へと続いていてもおかしくはないわよね」
 自信たっぷりに言ったメリーに、私はまた違和感を感じた。とても大きな違和感…

 また汗が出てきた、今度は暑さのせいじゃない。

「メリー?」
 私は確認するかのように尋ねる、私の後ろにいるのは、メリー? 
 怖くて後ろを振り返れない。
「この先には何があるのかしら?蓮子は気にならない?」
 誘うようにメリーは言う、いつも通り…そう、メリーらしい、そんな言葉。
 だけど、薄暗いトンネルの中で、その声はいつもとちょっとだけ違う気がした。聞き慣れているはずの友人の声が、圧迫感と共に背後から迫る。
 声、いつもと全く同じメリーの声…そう自分に言い聞かせても、なぜか違和感がぬぐえない。おかしい…
 おかしいのは私?それとも…



 再び沈黙の時間が過ぎ、一瞬風が強くなった気がした。



「ここには切れ目はないみたいだけど」
 風が過ぎ去った時、メリーがゆっくりと口を開いた。
「この先にはきっと切れ目があるわね」
 断言、そして…

「ねぇ…蓮子も来るでしょう?」

「当ぜ…」
 当然じゃない、そう言いかけた口は、ただぱくぱくと動いて空しく空気を吐き出すだけ。
 怖かった。何故か知らないけどとても怖かった。
 会話だけ聞けば、いつも通りのはずだった。だけど、メリーの口が放つ言葉は、私にはどうしてもメリーの声とは思えなかった。確かにメリーの声だ、それは間違いない…
 気のせい…きっと気のせいのはずだ。普段はあまり身近に感じないトンネル、そこでのサークル活動という昂揚感…それらが、私の精神に影響しているのだろう。そう、そうに違いない…

「じゃあ行きましょうか、きっとこの先は楽しいわ」

 そんな私の気分とは対照的に、弾むようなメリーの声。
 陽気なその声を追いかけるように、友人の足音が聞こえてくる。だけど、私は振り向けない。振り返った時に、そこに友人以外の誰かがいそうで怖いのだ。
 目の前には分厚い岩盤。そこから目を離せない。もし目を離したら『戻れなくなる』そんな気がしていた。
「メリー…?」
 視線を岩盤に打ち込んだまま、私は小さく呼びかける。しかし、返事は聞こえず、足音は乱れない。
 大きな声を出すのは、なぜか憚られた。返事が聞こえてくるのが怖かったのかもしれない、返事を求めるために声を発したのに、返事を聞くのが怖いとはなんたる矛盾。
 足音は、大きくなることも小さくなることもなく、この薄暗い空洞の中に響いている。
 どちらから聞こえてきているのか、距離はどれくらいなのか、全く見当がつかなかった。



 現実にはごく短い、だけど心理的には恐ろしいほどの長い時間が、私に決断を促した。いつまでもこうしているわけにはいかなかった。
 岩盤から視線を外し、ゆっくり、ゆっくりと振り返る。

「っはぁ…」
 
 方向転換を終えた時、思わず息を吐き出していた。知らず知らずのうちに息を止めていたらしい。
 視界には壁面に向く前に見えていた薄暗い空間が見える。頭上には、唯一の近代的な物体…裸電球…があって、闇を照らす。
 そして、この広さを明るくするにはいささか力不足なソレが照らす空間、そこには私以外のものは存在しなかった。
「メリー?」
 少しだけ余裕が出た私は、再び友人の名を呼んだ。メリーがいないので安心してメリーを呼ぶ…我ながら変な話ね。
 足音は聞こえてくる。しかし、暗い壁に反響するその音は、方角も、距離も曖昧だった。そして、返事はない。再び呼びかける勇気は持てなかった。
 逃げるように視線を移し、自分の居場所を確認する。
 たった一つの裸電球に照らされた薄暗い空洞…足元には古びたアスファルト、その隅を、どこからかしみ出してきた水が音もなく流れる。
 そして、残る三方は、いつも見るような滑らかなコンクリートではなく、むろんカレイドスクリーンなどではない、掘ったままの岩肌だ。均一性のかけらもないそれらは、私を三方から圧迫している。
 この壁の向こうには、どれほどの土砂があるのだろう。一見頑強そうに見えるこの岩肌に亀裂が入り、自身にかかる重みを支えきれなくなった時、このささやかな空間は消滅する。
 まるで自分が消え去る直前の世界にいるような気がして、私は思わず自らを抱きしめた。無意味に呼吸が速くなり、鼓動は何かを呼んでいるかのように高く鳴る。だけど、私は私の身体が存在することに安心した。
 いつもの生活…そこから少し飛び出せば、そこには異世界がある。私たちの常識が通用しない、とても魅力的で、そして恐ろしい世界。
「ここ…は?」
 かすれた声で自問する。無論、返事はない。
「どうしよう………はぁ」
 再び自問、沈黙、そして自嘲。
 私が自信を持っているものが三つある。それは自信、好奇心、行動力。
 だから、私らしくない。どうしようなんて考えるのは…私らしくない。
 


 一度ほどいた手を、再び胸に当て、ゆっくり、ゆっくりと息をして心と身体を落ち着かせる。少し湿っぽいトンネルの空気が身体の中へと入ってきて、無意味に熱くなったそれを冷やしてくれた。



 ようやく気力が戻ってきた。いつも通りとまではいかないけれど、呼吸も鼓動も落ち着いてきた。
 少し冷静に考えてみよう、メリーが『変』になった。そう感じたのは私の主観?それとも、客観的に見た明確な真実…なのかしら?
 メリーが聞いたなら、また「前時代的ねぇ」とか言いそうな思考を続けるけど、残念ながら答えは見つからない。

 仕方がない、考え方を変えてみよう。結論を急ぐのは早計だ、いくつかの可能性を考えてみよう。
 まずあの子がメリーなら何ら問題はない、思考するだけ時間の無駄だ。トンネルという名の違和感に、私の思考が歪められた…ただそれだけのこと。笑って、はしゃいで…そして次の目的地を考えながら家路につけばいいだけだ。
 そして、私の思考に問題があるのではなく、メリーの悪戯という可能性もあるにはあるけど…彼女の性格上、ああいうおふざけをするのは考えにくい、まして今はサークル活動中である。それは除外してもいいだろう。

 では、もし仮に『メリーがメリーでなかった』としたら?
 状況は極めて危険。何の目的もなく、誰かが、友人に化けて私を異世界へと誘い込むなんてことをするはずはない…そもそも、誰が、なぜそんなことをしようというのかしら?
 少なくとも、その先には私にとって楽しい結末が待っているとは考えにくい。
 私たちが結界の切れ目に飛び込む…別な世界へと飛び込んでみるというのは、危険を覚悟しているとはいえ、ちゃんと帰ることを前提にした行動なのだ。帰ることを前提にしていなかったら、そもそも一回限りしかサークル活動ができない。初の活動が最後の活動になるサークルなんて、ずいぶんおかしな話だ。
 そして、別に私たちは別な世界に引っ越そうと思っているわけもなければ、死に場所を求めて彷徨っているわけでもないのである。
 今回のように、正体不明の何か、それもあまり好意的ではなさそうな相手にほいほいとついて行くほど私は無謀ではない。

 思考が暴走気味ね。いい兆候、いつものペースに戻っている。

 何はともあれ、この場合前者であるならどのような行動をとっても問題はないのだから、後者であることを前提に考えるのがいいだろう。
 つまり、私はあの子の望むような行動をとってはならない、そういうことだ。

「はぁ…」
 そこまで考えた私は、思わずため息をついた。結局、思考の目指す先はどんづまりだ。出口のないトンネル…嫌な想像がさらに膨らんだ。
 そしてもう一つ大きな問題は考えることすらできなかった、いや、あえて問題があることを意識しないようにしていた…というべきだろうか?
 あまりに重大で、そして今の私にはどうしようもない問題。私の帰還と同程度かそれ以上に重大な問題…
 そして、それを考え出すと、明らかに冷静な思考を保てなくなるであろう禁断の問題。

 もしもあの子がメリーでなかったとしたら、メリーは一体どうしてしまったのだろう?



 

 闇の中、足音だけが響いている。ゆっくりゆっくりと…その音に、私は我に返る。
 予想通り、メリーの事を考えたら思考が停止してしまった。一分も経っていないとは思うけど…
 やめよう、今は自分の事を最優先に考えよう。今メリーの事で悩んでも、メリーの助けにはならないのだ。無意味な思考は無意味だ、おかしな言い方だけど、なんとなく合っているような気がする。
 今私になし得る最善は、自分の行動を最も適切な方向へと導く思考を行うこと。メリーの事は、その後しっかりと考えればいい、私が今持っている能力と時間、それは全て今の私の為に使うべきだ。そして、それが結果的にメリーの為に行動を起こす、そこへの最短経路。

 少し落ち着き、周囲を見回せば全ては壁。道は両側に続くけど、既に異世界に入っているのであれば、どちらに進めば『戻れる』のかわからない。結局は運を天に任せてどちらかに進むしかないのだ。

 闇に伸びる二つの道…果たして正解はどちらかしら?それとも正解はどちらでも…

 首を振って不吉な思考を打ち消した。意味がない、その仮定は意味がない、正解の出ない公式を解いてどうしようというの?
 計算するのなら、しっかりと正解がある公式を解こう。変な事ばかり考えていると、そのまま死出の旅に…

「っ!?」

 そこで、私は思わず自分の思考を呪った。
 汗が引く、脈拍が上がる。息が早くなり、ある程度落ち着くまでに時間を要した。



「中有之道…」
 口に出し、後悔する。
 一瞬だけ薄くなった衝撃が、形をなして再び襲ってきた。中有の道、そう、三途の川へと続くと言われる道の名…
 前後に見える道が、死の世界への連絡路に見えた。足が震え、闇の向こうを直視できない。ダメだ、このままだと、本当に…

「違う、文字の間隔がおかしい!」

 私は、闇に向かって叫ぶ。いや、震える声は叫ぶどころか、普段の言葉にすら届かないような小声になってしまった、だけど、それでもいい。
 言葉による凶事は、言葉によって払う事ができる。私の好きな考え方だ、大丈夫、今の言葉で払除はすんだ。
 物事には必ず表裏があり、吉事を裏返せば凶事となる。その逆も可だ、大丈夫、大丈夫…凶事は払った、次に来るのは私にとって望むべき出来事のはずだ。自分に言い聞かせる。
 そう、之と道の間には、ずいぶんと間隔があったはず。やはりなんとか隧道、そういった事が書いてあったのだろう。
 不安は思考を揺らし、そして不吉を呼ぶ。
 さっきの思考が間違っていた時でも、そう考えていると、それが正解になってしまう。信じていれば必ず叶う…その言葉は、都合がいいことにだけ言えるのではないのだ。
 だから、幸運を信じよう。必ずこの先には正解がある。
 
「焦らない、冷静に考えよう。そうすれば…」
 不安は言葉にせず、激励を言葉にする。大丈夫、不安に心を乗っ取られなければきっと大丈夫だ。
 私は注意深く周囲を見回す。もしかしたら、何かヒントが…あれは?

「電線?」

 私は、頭上のあるものに目をとめ、呟いた。
 この不思議な空間をぼんやりと照らす電球、さっきは気がつかなかったけど、よく見ればそこからは細い電線が伸びている。当然といえば当然、電気がなければ電球はつかない。
 ほとんど壁面に同化しているかのような頼りない電線、だけど、私にはそれがこの上なく心強い命綱に見えた。
 まるっきり『外』と隔絶したこの空間で、唯一元の世界を感じさせる人工物。
 困ったことに、それは前後どちらへも続いている。これは、やはりここがただのトンネルであることを示しているのか、それとも…
 いや、もういいだろう。どちらに進んでも正解である可能性が増えた、そう考えよう。

 だんだんと足音が小さくなる、それが決断を促した。

「行こう」
 しばしの逡巡の後、震えた声で最後の迷いを振り払い、私は一歩を踏み出す。未だ見ぬ出口へと…





 たった一つの灯りは、やがて後方へと下がり、空間は徐々に闇に呑み込まれていく。しかし、頭上には相変わらず電線が這っていた。外のエネルギーを地底へと送り込み、地の底を照らす文字通りの生命線。

 大丈夫、あれがある限り私は元の世界と繋がっている。

 もうトンネル内に響く足音は私のものだけだ、あの子の足音は聞こえない。
 果たして、もう出てしまったのか、はたまた途中で待ちかまえているのか、それとも、逆方向に向かったのか…そもそも存在していたのか…
 でも、悩んでいても仕方がない。
 私は歩き出してしまった、こういう時、一番怖いのは自分の心に自信が持てなくなることだ。自信がなくなった時、心は脆くなり他者の侵入を容易に許す。
 ならば、私は自分の出した解答を信じ、迷わず前進するだけだ。



 歩く、向こうには白い光が見えている。足音も少し音が変わった、あちら側からは反響してこない。あと数十秒で出口。
 この期に及んでも、あの子の足音が聞こえなくなると寂しい。そう感じるのは、私がメリーと近づきすぎたからだろう。
 私と同じく、不思議な能力を持つ友人。
 性格は全く違う、思考にしても違う部分は多いだろう。でも、それでも共にいることが多いのは、きっと性格や思考といったものではなく、もっと根本的な何か…最も近い言い方をすれば心だろうか…が似ているからかもしれない。
 私は、他者と違うことを自覚している。今何をやっているかを見れば、それは考えるまでもない事実だ。
 他の人間ならばまずやることがない行為…それに私たちはこの上もない昂揚感を得ているのだ。
 私たちの世界を囲む『境界』そこから出るというのは禁じられている。そして、禁じられていなくとも誰もやろうとはしない。
 だから、その行為を躊躇なく行う私たちは、文字通りのアウトサイダーといえるだろう。行動という以前に、心が既に境界を越えているのかもしれない。

 ああ、心地よい。

 さっきまで悪い予想を立てるのに忙しかった私の頭は、今はその回転数を保ったまま、極めて有意義な思考をしている。
 思考すること、それが人が人である証。
 危地に陥った時、人間の身体能力や思考能力は最大限に発揮されるという。それを思えば、今の私は、自分の能力を最大限に発揮しているのだろう。
 危険な場所に身を置いた時にこそ、持ちうる全力を発揮する人間の身体に矛盾を感じつつ、私は今の自分を楽しむのに忙しい。
 自分の思考能力を高度に発揮する瞬間、私は例えようもない昂揚感を感じる。もしかしたら、私は切れ目を探しに行く時、好奇心を満たすこと以上に、こういった場面を求めているのかもしれない。

 こんな状況下で楽しめる私を見たら、メリーはなんと言うだろう?「やっぱり蓮子は変ねぇ」「なるほど、不老不死の薬が必要そうね、だって蓮子の生き方なら命がいくつあっても足りなさそうだもの」いくつかの候補が思い浮かぶ。小馬鹿にするような、だけど面白そうなそんな顔をして言うメリーの姿…
 だけど、もしかしたらこう言うかもしれない。

「そうね、同感だわ」

 と。



 光はますます強く、壁を白く染める。
 さぁ、いよいよ出口ね。果たしてこの先にあるのは何かしら?
 私は足を止めず、前へと進む。恐怖より何より、この暗い空間から出られるのが嬉しかった。
 この先にはどんな景色が広がっているのかしら?
 視覚がまだ順応していないのだろう、視界が白く染まり、外の景色は見えない。
 待っているのはメリー?それとも他の何か?

 断片的な思考が交錯する。まぶしい、私は、片手で目を覆って先へと歩いた。
 さっきまで考えていた不吉な予想から考えれば、不自然なほど自然な行動。自分の思考が面白かった。不自然なほど自然な行動って何よ?
 いつの間にか、そんなことを考える余裕が出来ていた。
 別に、不吉な予想が消えた訳じゃない。もうどうしようもない所まで来ただけ。じたばた動いても仕方がない…よく言えば覚悟、悪く言えば諦め、それができたのだ。
 どれほど長い距離を歩き、どれほど長い時間を経たのかわからない…でも、実際には距離は百メートルもなく、時は十分も過ぎていないのだろう。でも、それもおしまいだ。
 歩く速度は衰えない、むしろ速くなっていく。もう…すぐだ。








 




 頭が熱くなる、身体が熱くなる…風の動きが変わった。私は日射しの下にいる。

 目を覆ったままでも、身体が外を感じていた。
 トンネルを歩いて通ったことなんてなかった、まして、目を覆ったまま出るなんてこともなかった。

 でも…

「…こういう体験もいいものね」
 ゆっくりと手を下ろしながら、私は独語した。視界が白く染まっていく、まだ目が慣れていない。外を見る心の準備はさすがに出来ていないから、そんな身体の反応が少しありがたい。
 恐怖感は薄らいできた、でも、やっぱり外が見えるのは怖い。ここはどこなのか、何があるのか、メリーは…メリーなのか、不安はまだなくならない。
 徐々に広がってくる視界に、ぼんやりと何かが映り込む。何だろう…

「きゃっ!?」

 衝撃、痛み、悲鳴…これは自分のだ…続けて、自分の体が傾斜していくのがわかる。ずいぶんと遅い…いやそう感じているだけ?そもそも何が起こったの?
 バランスをとろうとして右足を踏み出す。でも、その足は何も踏みしめていない、地面がない、何で?落ちる。どこへ?

「っ!?」

 その時、今度は声にならない悲鳴。首がしめられた、息が出来ない…苦しい。
 さっきよりもさらにゆっくりと、体が傾く気がした…いや、引き戻されているというのが正確な言い方かしら?完全に体勢が崩れている、回復は不可能、次に来るのは何?
 さっきから思考に脈絡がない、落ち着こう、冷静に対処しなきゃ…
 そこまで考えた時、傾斜は限界に達し、私は地面へ転がった。衝撃が身体を叩き、続けて痛みがやってきた。










「まったく、こういう体験もいいわねって…崖から飛び降りる体験をしたかったの?」
 とても長い一瞬…そんな非論理的な時間をおき、聞き慣れた声に目を開くと、そこにはずいぶん見慣れた友人の顔があった。思いっきり呆れている。髪が少し乱れて、地面に広がっているけど、それを気にする様子はないみたい。
 私の頬にはくすぐるような草の感触。でも、身体は固い何かの上に乗っていた。どうやら荒れたアスファルトみたいだ、小石が転がっている感触がある。道かしら?
 それは、草が生える位には軟らかいみたいだけど、私の身体を受け止めるほどには優しくなかった。
 側頭部と、そして腕が痛い。どうやら変な倒れ方をしたみたい…まぁちょっとした打撲程度だろう。
 春の日射しに熱されたアスファルトはなま暖かく、あまり気持ちはよくない、早めに起きあがろう。まぁこれが真夏だったらすぐに飛び上がっていたと思うけど。

「病院なんて暇な所に行く気はないわ」
 私は、呆れ顔の友人にそう言いつつ起きあがった。
「ちょっと目がくらんだだけよ」
 ようやく景色が見えてくる。真っ先に飛び込んできたのはトンネルの入り口、真っ黒な口に少しどきっとしたのは内緒だ。
 こちら側は山に日射しを遮られ、薄暗い雰囲気を漂わせていた向こう側とは趣を異にしている。西日をいっぱいに受け取っているコンクリートは照り返しでとても明るく、不気味な雰囲気などかけらもない。同じトンネルの入口で、どうしてこうまで違うのか…理屈はわかっていても不思議な気がした。
 続いて、自分がいる場所を確認する。

「うっわ…」

 そして唖然とした。
 私がいたのは空と道とのほんの小さな隙間、俗に言う路肩というやつだった。試しに手を伸ばしたら空がつかめた。土はつかめない、そんな距離。
 道はトンネルを出るとすぐ直角に曲がり、斜面にへばりつくように続いていた。
 そして、トンネルからまっすぐ行くとすぐに崖。ガードレールなんていう洒落たものはなく、道が去り、足場がなくなり、切り立った崖になっている。
 見れば、手を伸ばせば届くような距離に、どことなく傾いたカーブミラーがある。きっとこれにぶつかって動きが止まったのね、これがなかったら短い空中散歩を楽しむ羽目になっていただろう。
 ちなみに、いくらなんでも私が額をぶつけた位で傾くとも思えないので、たぶん私以前にぶつかったのがいるんだと思う。車とか、牛とか、猪とか、メリーとか。
「危なかったなぁ」
 呟きながら下を見る。高さは数十メートルはあろうかと…いうほどではないけど、怪我をするには十分そうな高さだった。足元には、名も知らぬ草がゆらゆら揺れている。なんか涼しそう。
 ここなら落ちても死にはしないだろうけど、少なくとも相当痛い目に遭いそうだ。具体的には骨折かな。

「今頃気づいたの?驚いたわよ…ずいぶん出てくるのが遅いなと思ったら、目を覆ったまま歩いていって、そのまま空を歩こうとするんだもの。蓮子、今度は空を歩く程度の能力でも手に入れたの?」
 寝転がったまんまのメリーは、そう言って「あったら便利そうだけどね」と付け足す。後半には同意だ。
「だから目がくらんだだけよ、もう」
 なんだか私も起きあがるのが面倒になって、地べたに座る。慣れると少し気持ちいい、それにしても道路の脇に座るなんて変な気分だ。メリーに至っては転がってるけど。

 でも、こうして話していると、さっきまでの不安が馬鹿みたいだ。トンネルにいたときの思考が、信じられないくらい下らないことに思えてくる。
 メリーの顔を見た瞬間、何か不安が全部飛んでいった気がした。
 間違いなく目の前にいるのはメリーで、さっき一緒にいたのもメリー。これは断言できる。なぜさっきの自分はあんな思考をしていたんだろう…自分で呆れてしまう。
 怖くてメリーの顔が見られなかったなんて言ったら…変にとられてぶっとばされそうだ、っていうか私がぶっとばしたい。ほんの少し過去の自分が本当に恥ずかしい。
 ちゃんと振り返って見ていれば、あんな下らない不安に囚われることなんてなかったのに…
 ただ、だからこそ今、過去の自分を客観的に見て、確かに言いうる。あの時の自分はおかしかったのだと。
 見知らぬ場所、自分のいるべきでない場所にいる…そういった気持ちは、ちょっとした違和感が原因で、壮大な虚構の世界へと膨らんで人を取り込む。
 その中にいる人間には、それが嘘だとはわからない。だけど、それを信じてしまったとき、嘘は現実に変わってしまう。
 別に、トンネルが怪物と化して襲ってくるわけでも、その出口が異世界になるわけでもない。
 当人が、自分の主観が正しくて、客観が間違っている…そう思いこむ。そうなったら、その人間は自分の虚構の世界に閉じこもって、外を見なくなる。つまり、現実の世界において『死んで』しまうのだ。
 それはいわば落とし穴、現実の中を歩く私たちを、表面上は他と変わらないような姿を見せて待ちかまえる凶悪な罠。
 今だから偉そうに分析しているけど、さっきの私は、たぶんその中に片足を落ち込ませていたのだろう。あのまま歩いていれば、きっと私は虚構の世界へと落ちていた。少しぞっとする。
 普段の意識から少しずれるだけで、私たちは、出口のない異世界へと飛び込んでしまうのだ。それは、物理的なものよりさらに恐ろしい…出口のない迷路。
 不安が過去のものになってからようやくわかった。さっき違和感を感じていた…そう思ったのは、メリーやトンネルがおかしかったんじゃなくて、私がおかしくなっていたからなんだ…と。

「何考えてるの?にやけるなんて気持ち悪いわ」
「うるさいわね、思考しない人間なんてただの葦じゃない」
「道理ね、でもにやける葦も気持ち悪いわよ」
「まぁ…そうね」

 にやにやと笑う葦を想像した私は、もう面倒くさくなって寝転がった。確かにそんな葦は想像したくない。
 静かに寝ころべば、道も案外快適なものだ。考えてみたら、このなま暖かいアスファルトは床暖房と似たようなものじゃない、若干ごつごつしているだけで。野趣溢れる感触を楽しむ。人工物じゃないかというつっこみは却下だ。
 何はともあれ、今更になって押し寄せてきた精神的疲労感を、少しばかり払うことにしよう。服が汚れるような気はするけど…まあいいわ。いつものことだもの。
 




「で、これが切れ目?」
 あれから少し時間をおいて、私はふと思い出し、メリーに問いかけた。私の中にある落とし穴を埋める最後の儀式、メリーがメリーであることを確かめる最後の質問。
 これにちゃんと答えが返ってきたら、さっきまでの私の思考が間違いであるとわかる。もはや確認するまでもないことだけど、念のため。
 あと、単純な好奇心もある。トンネルの中でメリーが言っていた切れ目というのはいったい何なんだろう?やっぱり私が落ちかけたこの崖なのかしら?
 確かにそこは大げさに言えば大地の切れ目、私たちが探していた『切れ目』とは全然違うけど、一応切れ目と言えないこともなかった。
 何はともあれ、この質問にちゃんと答えが返ってきたら、私はずっとメリーといたことに…そしてメリーが口を開く。

「はぁ?」
「え?」

 呆れたような…何がなんだかわからないという声。それに私のとまどいが応じる。これは…どういうこと?もしかして覚えてない?ほんの数分前のことを?いえ、まさかそもそもああ言ったのはメリーじゃなかったの?ねぇ…
 思考が混乱する。一度しぼんだ不安の風船が、また膨らみ始める。
 目の前の友人は、呆れたような、なんと言っていいのか迷っているような微妙な表情をして、そのままふむむと黙り込んだ。
 風が吹いて、メリーの髪が揺れた。私の髪も揺れて、少し重なる。ああ…またトンネルを抜ける前にかいだ匂いがする。今度は少し強い…あともうちょっと、あともうちょっとで思い出せそうな気がするんだけど…



「ねぇ蓮子…本気で言ってる?私を騙そうとしてるんじゃないよね?」
 しばらく時間が経って、メリーの声が聞こえた。私はこくりと頷く。メリーの呆れたような、でも少し真剣な顔、私は少し悩んで、そして決めた。
 今目の前にいるのはメリーに間違いない、なら、さっき誰に会っていたとしてもいいじゃない。過去の危険は追ってこない、それは連続していない。だったら、好奇心と疑問を解決する方が優先する。実に簡単な結論だ。だから私は言った。
「ねぇ…トンネルの中で言ったこと、もしかして覚えてない?」
 そう言った時、また風が吹く。少し肌寒い、もうすぐ夕方になるのかしら?

 そして…



「覚えているわよ、ほんの数分前のことだもの」
「あれ?」
 メリーはあっさりと答えた、また間抜けな答えを返してしまう。
「あれ?じゃないわよ…」
 ますます呆れたような顔をして、メリーは続けた。
「もう、今日の蓮子はなんか変よ?何でわざわざ確認するの?」
 もう何がなんだかわからない。じゃあ何でメリーはさっきあんな呆れたような顔をしたのかしら?仮説が立たない、思考が停止する。
「もう、蓮子は一つのものに集中すると他のものが見えなくなるんだから…まさか気づいてなかったとは思わなかったわ。反対側を見てちょっと視線を上げなさい。」
 何も考えられなくなった私に、メリーが言う。
 言われるままに反対側を向いて、視線を少し上げた。青空…?鳥が飛んでる、何かはわからない。雲はゆっくり流れている…いい天気だ。
「違う違う、もうちょっと下よ」
 今度は視線を僅かに下げる。小石、下げすぎた、もうちょっと上…

「あ…」

 とんでもなく間抜けな声が出た。



 目に飛び込んできたのは、陸と海との境界。
 崖の向こうには、畑と集落…ともいえないような小さな家の集まりがあって、そして、陸の切れ目があった。海沿いを細い道が辿って、陸と海とを遮断する。
 傾きつつあるお日様からの光を反射して、青い海はきらきらと輝いている。光っては消えて…消えては光って…その繰り返し。そんな中を、どこかに向かう貨物船がのんびりと進んでいた。白い航跡は少しずつ薄くなり、海へと飲み込まれる。
 いくつかの島が見えて、それを高圧線がたどっていく。小さな島にぽつねんと佇む鉄塔が、どことなく面白かった。
「ああ…そっか」
 私は呟く。入った時にかすかに感じたあの匂いは…潮の匂い。

 私の不安はもう膨らむことはない、はじけた不安の風船は、そのままどこかに消え去った。

 ゆっくりと潮風が空をゆき、崖にぶつかって私たちをかすめていく。この風のいくらかは、トンネルを通って向こうに海を届けるのだろう。
 あのトンネルはまだ生きている。人が通らなくなっても、人々に忘れられたとしても、確かに現役なのだ。
 


 もう視界に船は見えない。いつ目的地に着くのかわからない位のんびり進んでいたはずなのに、もうその姿は島影に消えている。



「ねぇ、蓮子はいつも私のことをのんびりって言うけど、そういうのも大切だと思わない?」
 しばらく境界を眺めていたら、後ろから声がかかった。とても落ち着く声、いつも以上にのんびりした友人の声。後ろは見ない、今度は見られないんじゃない、見る必要はないから見ないだけ。だって、この声は確かにメリーのものだとわかるから。
 崖下から来る潮風と、そしてもう一つ、後ろから来る暖かな吐息、トンネルの中の状況とほとんど変わらないはずなのに、なんでこんなに安心できるんだろう?
「そうね…」
 残念ながらメリーの言葉に反論の余地はなかった。私は素直に負けを認め、そして続けた。
「あと、ありがとう」
「え?」
 きょとんとしたようなメリーの声に、私は笑って言い返す。
「こっちに引っ張ってくれたのはメリーでしょ?遅れたけどありがとう」
 いくつかの意味を込めた言葉、だけどメリーにはわかるはずもないだろう。でも、それでいい。
「あはは、蓮子もたいがいのんびりだねぇ。でもどういたしまして」
 ころころと笑う声がする。空気が揺れて、そして私のじゃない髪の毛が視界にかかる。肩に手が置かれた、ゆっくりと静かに…そして優しく。
「きれいねぇ」
「そうね」

 ゆっくりとお日様が沈んでいく。青かった海が、少しずつ色を変えていく。海だけじゃない、小さな集落も、畑も、山も…なにもかもその姿を変えていく。
 気がつけば、雲が不思議な色に染まっていた。
 ああ、ここにも境界がある。世界が境界を越えている。
 そんなことをぼんやりと考えた。







 どれくらい時間が過ぎたのか、目の前では夜と昼との戦いの決着がつこうとしている。毎日繰り返される、勝敗の分かりきった戦い。
 そろそろ帰ろう…そう言いかけた時、視界の片隅に、坂道を登ってくる車が見えた。どんなに時代が過ぎても、基本的な形は変わらない軽トラ…
 車…大都市ではすっかり廃れた交通手段も、こんな所ではいまだに現役だ。
 起きあがる間もなく、車が迫ってくる。不思議と恐怖は感じない、まるで幻想の世界にいるような変な気持ち…
「え…?」
 そう呟いた時、それは私たちの横を通過し、風と、埃をぶつけていった。馬鹿みたいにあけた口に砂が入って、ざらざらする。
 ようやく起きあがった私の向こうで、何のためらいもなく車はトンネルの中へと消えていくのが見えた。その姿はすぐに闇へと消えていく、あまりにあっけない。



「変に思われたかしら?うらわかき乙女がこんな所に寝転がって」
 しばらくなんともいえないような時間が過ぎて、メリーが言う。惚けたようなそんな声。
「…まぁそうね」
 私も呆然としながら言葉を返した。本当に…肩すかしをされた気分だ、色々なものを失ったような、でもそれが自然なような…そしてなぜかほっとしたような変な気持ちが心を満たす。
「まだ…車通ってたんだね」
 メリーが言った。やっぱりぼんやりしている。
「そうね、使われていたのね」
 でも私もぼんやりしている、人のことは言えなかった。

 もう一度沈黙、今度は私から言葉を出そう。

「そろそろ帰ろっか」
「うん」
 メリーが立ち上がり、埃を払う。私もそれにならった。乾いた砂はぱらぱらと舞い落ち、黒い世界へと消えていく。何か『こっちの世界』に戻ってきたような気がした。
 海は青から橙へとその色を変え、もうすぐ黒になるのだろう。
 青空はもうどこにもなくて、複雑な色に染まっていた。

 



 私たちはてくてくと坂道を下る。自転車で坂道を下るのは楽しいけど、歩いて下るにはコツがいり、少し面倒だ。
 街が近いのは知っている、暗い中に灯りのまとまりが見えるから。道に迷う心配はない、だって空にはもう月が見える、隣には星が瞬いている。
 どちらが言うでもなく、私たちは同じ方向を目指し、歩いていく。
 無言の時間、だけど今度は別に何も不安はない。どきどきもわくわくもないけど、安心して歩いている。物足りないようだけど、それはそれで大切な時間。



 坂はやがて平らになり、そしてT字路にぶつかった。防潮堤の向こうには、真っ黒な海が広がっている。吸い込まれそうな黒い海は、ゆっくりとゆらめく。所々に反射する月の光がきれいだった。
「ねぇ蓮子」
 海の音が近い、砂をさらう波の音に混じって、聞き慣れた声がした。
「なに?」
 私の声も波に混じる。波の音と、かすかな風の音だけが耳に入った。
「切れ目は…どこにでもあるのよね」
 呟くメリーの顔は、どことなく柔らかかった。金髪がふわふわと揺れている。
「そうね、どこにでもある」
「うん」
 私たちはお互いに呟いた。波は変わることなく打ち寄せている、小さな飛沫が頬に届いた。
 
 ふと思った…やっぱり私はあのトンネルの中で境界を越えていたんじゃないかと、メリーも、それがわかっていたのかもしれないと。
 結局こちら側の扁額を見るのは忘れていた…名前はわからない、でもそれはそれでいいような気がする。
 今でも確かに二つの世界を繋ぐトンネル、それを抜けた時、私たちは確かに境界を越えていた。
 ほんの少しだけ心の視線をずらしたなら、そこにはきっと異世界が存在する。どんなものかはわからない、危険なところも、安全なところも、楽しいところもつまらないところもあるだろう。でも、確かにそれは存在する。

「あの軽トラ、どこに行ったのかしら?」
 ふと、メリーが言った。答えを期待していない、だけどそれ以外の何かを期待している質問。
「切れ目の先に…何があるか分かる?」
 質問に質問で返す。
「わからない」
 メリーが笑った、私も笑った。風が吹いて、少し寒さを感じた。
「気になる?」
 質問を続ける、答えはわかっていた。
「もちろん」
 月に照らされて、メリーの頬がぼんやりと光って、不思議な感じがする。
「…なら、また探しに行こうか?」
 私の言葉に、メリーは満面の笑みでこう言った。
「もちろん」
 友人の言葉に微笑みを返して、私はまた歩き出す。波の音に混じって、聞き慣れた足音がついてくる。
 向こうには、どこかへ向かう光の列が走っていた。





 
 
私の場合、穴と言われるとどうしても思い浮かぶのがトンネルです。
それも、大きなものではなく、歩いて抜けるような小さなトンネル。
そんなトンネルに入ると、なぜか不安になってしまって、どんどん悪い想像を膨らませ、怖くなってしまうことがあります。そして、あっけなく外に出たときには、嬉しいような、残念なような…そんな虚脱感を感じたりしていました。
今回は、そんなトンネルに、秘封倶楽部が入ったらどうなるんだろう…と、他の人より神経が鋭敏そうな彼女らなら、もっと何かを感じるんじゃないかな、と思います。
それでは、これにて。
アッザム・de・ロイヤル
http://www.rak2.jp/town/user/oogama23/
作品情報
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最新
投稿日時:
2007/05/13 05:47:28
更新日時:
2007/05/15 20:47:28
評価:
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5.00
1. 4 反魂 ■2007/05/13 14:44:55
雰囲気や舞台設定が私の今回の作品と似ていてびっくり。
ネタ被ったかとビクビク。

夢と現実、或いはオカルトチックなファクターなどの記号要素がふんだんに使われており秘封倶楽部物としては間違いなく成立しているのですが、いかんせん思考展開やモノローグに大きな部分を割かれすぎている印象が強いです。長さの割に動きが少なく、読んでいてだれてしまう面がありました。文章力は並以上の物を感じられたのですが、物語としてもう一つ二つのエピソードが欲しかったという印象です。
2. フリーレス A・D・R ■2007/05/13 16:23:35
岩子島の二つのトンネル…
トンネルの出口から見た瀬戸内海はとても綺麗でした。
不思議さのあるトンネルって心に残ります。
3. 8 爪影 ■2007/05/16 15:12:41
 雰囲気が好きです、実家に帰りたくなりました。
4. 7 詩所 ■2007/05/18 19:28:19
トンネルの向こうには雪国、じゃなくて海でしたか。

私は日々良く考えず暮らしています。
これだけ発達した脳を人は持っているのだから使わないと勿体無い、なのに深く考えない。罪深いことです。
5. 10 ■2007/05/25 00:40:02
長いトンネルの中での何とも言えない圧迫感と、そしてトンネルを抜けた時の視界の広がり。その二つが今目の前にあるように感じ取れました。
6. 5 shinsokku ■2007/05/26 13:58:09
おくのほそみち。はやみもこみち。
すみません。くだらない事を言いました。
読み進めるのに何の苦も感じずゆったりとできていいなぁ、と思うのですが、うーん、何も起こらない話ってのは矢張りちょっと寂しく感じます。
彼女達のエピソードから何故ここを抜き出したのか判らないというか。
7. 3 人比良 ■2007/05/26 21:03:43
トンネルを抜けた情景は素敵。彼女たちの言動のように。
8. 7 流砂 ■2007/05/26 21:55:31
秘封倶楽部は厳かな雰囲気があるのでコメントし辛いわー。
9. 5 deso ■2007/05/26 23:44:31
トンネルの中の恐怖感は十分に出てたと思います。
10. 7 blankii ■2007/05/27 11:23:12
 私もトンネルは大の苦手で、なんというかその、中で呼吸をしたくない、みたいな。墓地の前を通るときは息を止める、と同じなかんじでしょうか。
 そんな不安感みたいな空気が読んでいて感じられました。……意味不明な感想ですみません。とても面白かったです。
11. 6 椒良徳 ■2007/05/27 19:59:55
…は二個並べて使い、!と?の後ろに文章が続くときにはスペースを入れるのが一般的だったと思います。
 それはともかく、まあそこそこの秘封クラブ話であったと思います。しかし、背すじの凍るホラーというには少々力不足です。なぜかは私には判りませんが、蓮子の感じている恐怖を読者が十分に感じる事が出来ない。もう少し心理描写や情景描写を丁寧にするとよいのではないでしょうか。
12. 8 秦稜乃 ■2007/05/28 21:34:52
純粋な素敵さがありました。上手く言葉では言い表せないけれど…
秘封倶楽部らしい、そんなトンネルの物語、楽しませてもらいました。
13. 5 らくがん屋 ■2007/05/29 10:47:50
東方SSってより、思考実験的要素のが強いように感じました。秘封を使ってがっつり東方SSってのは、やはり困難なものなのでしょうか? 話自体は面白かったです。
関係ないけど、作者が特定できそうで特定できない……。
14. 4 鼠@石景山 ■2007/05/30 01:48:51
蓮子の独白ばかりに目が行って、なんだか目隠しをされているような印象を受けました。
……? 読み返しても普通に読めるんですけど……感想が出てきにくい、のか? 読み取れませんでした。
15. 4 いむぜん ■2007/05/30 02:33:48
んー、入ってこない。なんだでだろ。蓮子の思考は分かるし、仕掛けもわかる……気がする。暗さとかが伝わってこなかったのかな。
16. 8 リコーダー ■2007/05/30 16:05:46
何でもないものが無性に怖くなる、というのは、大きくなって忘れてしまった感覚かもしれません。
17. 4 眼帯因幡 ■2007/05/30 17:47:56
>私の言葉に、メリーは両手を腰にあてて頬を膨らませた。思わずつつきたくなる位思いっきり。
>子どもじみた笑顔が何か可愛かった。でも…
なんだか文の繋がりがおかしい?
さて、最後まで何かあると期待していましたが、何もありませんでしたねorz
オチで「私はそんなこと言ってない」とか「中有之道やっぱりだった」とか、そういったものがほしかった気がします。
ほのぼのとした終わりも良いんですけどね。ともかくお疲れ様でした。
18. 7 二俣 ■2007/05/30 21:06:18
一歩一歩、ゆっくりと奥に進んでいくような描写がいい感じ。
一つだけ注文があるなら、タイトルにもうひと捻り欲しかったことです。
19. 9 K.M ■2007/05/30 21:15:22
恐怖を感じる描写が素晴らしいです。
そして終わり方も上手いです。
20. 7 たくじ ■2007/05/30 22:22:10
蓮子に気持ちが伝わってきました。トンネル内で浮かんだ不安がリアル。それだけに出たときはホッとしました。きれいなお話ですね。
21. 5 藤村る ■2007/05/30 23:43:19
 前振りというか溜めが長いかな……。
 シナリオとしては悪くないんですが。が。
 なんだか誰がどの台詞喋ってるのかよくわからなかったところもありつつ。
22. 8 時計屋 ■2007/05/30 23:46:53
確かにトンネルを抜けた後の風景というのは格別に見えますね。
人生はよく長いトンネルにたとえられますが、トンネルが無ければ気づくことができないことも多い。
そんなことを考えさせられたSSでした。

さて、批評です。
トンネルという閉鎖的な空間のなかで、じわじわと締め付けてくるような焦燥感が
よく出ていたと思います。
そのため、それを抜けた後の風景の美しさが目蓋の裏に浮かぶかのようでした。
非常に綺麗なSSだと思います。

強いて気になった点をあげるならば、
読んでいて長さを感じてしまう点でしょうか。
前半、特に蓮子とメリーの会話にもう一味欲しかった。
23. フリーレス アッザム・de・ロイヤル ■2007/06/04 00:53:53
まずは沢山のご意見とご感想、ありがとうございました。
こういった雰囲気のお話を書いたのは初めての試みだったので、大変参考になったと同時に、大きく励まされました。

>反魂様
私もびくびくでした(笑)
ふむ…ふむ、成程、トンネル内の蓮子の思考にばかり気をとられていたように思います。山を作れなかったのは私の技量不足でしてorz

>爪影様
もしやご実家は広島県とかですかww

>詩所様
私はみょんなことばかり考えて生きていますorz
その結果がこういうお話だったり…

>翼様
そう言っていただけますとww
狙ったものを簡潔にまとめられてしまいました♪

>shinsokku様
>>彼女達のエピソードから何故ここを抜き出したのか判らないというか。
ふむ…ふむ…それについては全く考えていませんでした。考えが甘かったとしかorz

>人比良様
秘封倶楽部の言動は大好きです♪

>流砂様
彼女らはいくつもの雰囲気を持っているようなイメージがあったりwwそして、こんなのもありなんじゃないかなーと。

>deso様
そう言って頂けますと♪
トンネルの中の恐怖感というのは、なかなか言葉で表現するのが難しくて…orz

>blankii様
私は、大好きなトンネルもあるのですが、苦手なトンネルもあったりします。
じわじわと締め付けてくるような雰囲気を感じたりするところとか…わけもない不安に襲われるとか…そういうものを感じて頂けたなら幸いです。

>椒良徳様
ホラーではなかったのですが(笑)
何はともあれ、恐怖感を伝えることができなかったのは私の力不足故です。描写に関しては、今の私にはあれが精一杯でしたorz
これからは、技量を上げられるように頑張りたいと思います。
あと、文法に関しては、本の穴コメントレスに書きました通りでしてorz

>秦稜乃様
秘封倶楽部らしい…そう言っていただけますと幸いです。

>らくがん屋様
思考実験…なるほど、私は秘封倶楽部には『思考』に重点を置くイメージがありまして。
秘封のキャライメージと合わなかったのでしたら失礼致しましたorz

>鼠@石景山様
今回のお話では、不思議な雰囲気に重点を置いて、明確な答えがないようなものを目指していたりしました。実は、こういった感想を頂けて嬉しかったり(失礼orz)

>いむぜん様
怖さを伝えられなかったのは、私の筆力のなさゆえですねorz
精進いたしますorz

>リコーダー様
そうですね、子どもの頃は大きく、怖く見えていたものに何にも感じなくなる…そう思ったとき、無性に悲しくなります。

>眼帯因幡様
う…う〜んおかしいですか。ちょっと判断が付かずorz
実は、そういったラストへの誘惑もあったのですが、私としては、明確な答えを出さず、不思議な雰囲気へと繋げたかったりしておりまして、結局こうなりました。
ご趣味に合わなかったのでしたら、申し訳ありません。

>二俣様
タイトルを考えるのは昔から苦手でして(言い訳になってないorz)
何のひねりもないものになってしまいました。これからはタイトルにも気をつけたいと思います。

>K.M様
両方とも、今回重視した所だったのでそう言っていただけますとww

>たくじ様
じわじわと押し潰してくるような圧迫感にと、そこから抜け出したときの開放感、虚脱感、不気味なトンネルに入ると味わう気持ちですww

>藤村る様
わわ、二人のキャラをうまく立てる事が出来なかったのかもしれません。私の技量不足ですorz

>時計屋様
確かに、暗いトンネルがあるからこそ、そのあとに広がる景色がより綺麗に見えるのかもしれませんね。
最初の二人の会話については、仰るとおりですorz
トンネル内と出た瞬間の部分にばかり気をとられ、おろそかになってしまいました。



そして主催者の方、全ての参加者の方々に心よりのお礼を。願わくば、また次回も参加させていただきたいな、と。
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