上白沢慧音の事件ファイル 「縦穴の怪」

作品集: 最新 投稿日時: 2007/05/13 08:31:55 更新日時: 2007/05/15 23:31:55 評価: 27/31 POINT: 128 Rate: 1.09
私の名前は上白沢慧音、人里に住まい、普段は教鞭を振るっている。
人の中に住んでは居るが、実のところ私は人間ではない。
歴史を喰らい、歴史を綴りし神獣『白澤』の力を内に秘めた人間。
所謂、半獣という種族にあたる。

この生の特殊さと、蓄えられた知識から里の人間達の相談役となる事も多く。
その相談と言うのも、「彼が私の事本当に愛してるのか知りたいの!」などという乙女の悩みの様な
平凡な相談事も無くは無いが、大半を占めるのは妖怪や妖精が関わった奇々怪々なものであった。

『類は友を呼ぶ』とでも言うべきか、そうやって常日頃から不可思議な事件に関わっていると、
何でもない日常の中にあって、不可思議な事柄に出会ってしまう事も少なくない、
例えば、只の散歩中に事件に遭遇し、その場で全てのなぞを解き明かしてしまう様な事もあった。

さて、ここで現在の私の視線からものを伝えるとするならば、

私の目の前に大きな穴が開いている。

以上……


これでは何がなにやら分からないと思うので、もう少し詳しく話そう。
久しぶりの休日、少し里の外を散歩しようと思い人里から博麗神社へと至る道を私は歩いていた。
その途中、道の脇に生い茂る林の中から「ドスンッ!」という大きな音が聞こえたのだ。
急いで駆けつけてみると、そこには大きな深い穴が開いていた。

……と、いうのが、ココまでで起こった事である。
つまり私にも、林の中に不自然なほど大きな穴が開いている。という事以外何も分からないのである。
まあ、子供の悪戯か自然の悪戯かで出来た物だろう。

「アイタタタ……。ん? あれ? ここどこーっ!?」

その時、穴の奥から確かに声が聞こえた。
どうやら、誰かがこの中に落ちてしまったらしい。
穴を覗き込んでみるが中は薄暗く、先程聞こえた声もくぐもっていて、それが誰かは判別できないが……

「真っ暗で何も見えないっ! な、何!? どうなってんの!?」

穴の中に居る者もかなり混乱しているようだ。
これは早く助けた方が良いだろう。

だが、待てよ。
こんな森の中をウロウロしている連中が、普通の人間である確立は、はっきり言って低い。
という事は、この中に居るのは妖怪や妖精の類である事も考えられる。
まあ、そういった者であっても私は等しく助けるつもりではある。
しかし、もし、これが落ちた様に装っているだけで、助けに行った者を引きずり込むような罠だったとしたらどうだろう。

いや。
仮にそうだったとしても、その場合おそらく人間を捕獲する為の罠であるはずだから、
私が懲らしめておいた方が良いと思われる。

だが!
これがもし、人を助けている妖怪(半獣だが)である私を倒す為の、戦略だったとかんがえたとすr……



「ちょっとーっ! 誰か居ないのーっ!?」

はっ!? いかんいかん。
つい我を失ってしまった。とりあえず助けてやらねば。
どうやらこっちには気付いていない様だし、罠という事はあるまい。

けれども、これがコチラに気付いている上での物言いという可能性も完全には捨て切れない。
弱肉強食の自然界に存在する幾多の罠は、獲物が近くに来た時に甘い誘惑を放つものなのだ。
つまりこれもその一種で、私が近くに来ている事を察知した上での行動である。と、思われるわけだ。
大体が、私が側に来た途端に大声で助けを呼び出すという行動そのものが……



「誰かー。あたいはここよーっ!」

しまった!
また、うっかり考え込んでしまった!
とりあえず、助ける事が先決だな。

だが、先程の一言でかなり穴の中の人物は絞り込めた。
幻想郷広しと言えど、一人称に「あたい」を使う者と言えば、チルノか小野塚小町のどちらかだ!


……と、簡単に答えを出してしまうのが素人考えというものである。
確かに、現在確認されている一人称が「あたい」の者は、その二人であるが、
ある確かな筋からの情報に寄れば、かつての霊夢と魔理沙は今と全く違う喋り口調だったと言うではないか。
新作、キャラリセも近い今。
二人が再び口調をガラリと変え、自分達の新たなキャラクター性を立てようとしているという可能性も
必ずしも無いとは言いきれないと思えなくも無い。

そいうえば、さっきの「しまった!」で思い出したが、昔「しまった! 扉が!」という私の渾身の駄洒落を
いたく気に入ってくれた子がいたなぁ。
ああ、そうだ太郎だ。
あの頃はやんちゃ盛りで良く悪戯をしていたっけ。
そんな太郎も今や2児の父、立派な百姓になったものだ。
確か今年の夏ごろには三人目が生まれるとか言っていたな、出産祝いに酒でも振舞ってやるか。
あいつも、若い頃は私に恋文を……



「どうしよう〜。 ずっとこのままだと、お腹減っちゃうよーっ!」

むっ!! そうだった。
太郎の事は後に回して、今はコチラをどうにかせねば。

しかしだ、先程の言葉がまた私の灰色の脳細胞を刺激した。
いや妖怪なのに脳があるのか?と言う様な質問をしたいのだろうと思うが、こういった物言いはあくまでも
フィーリングの問題なのだ。
実際にそうである必要は無い。かの有名な名探偵も実際に脳が灰色だったか、と言えば眉唾物だろう。
レミリアも言っていたが脳で物を考えるのは人間くらいで、妖怪や妖精の類は違う。
無論、私やそれを言っていたレミリアも、そうである。

彼女はあくまでも悪魔だ。

……く、何て事だ。
こんなに面白い洒落が瞬時に出来てしまうとは。
自分の才能に恐ろしささえ感じる時がたまにあるが、今がまさにそれである。
ふふふ、これは帰ったら妹紅にも教えてやらねば!

妹紅の奴、私が洒落を言うと決まって仏頂面になるからなぁ。
でも、それが必死で笑いを堪えてるんだって事は私にはお見通しだぞ!
聞いた後、妙な速さでお茶を飲み干すから分かりやすい。
まあ、人に弱みを見せたくない性格だから仕方ないがな。
だが心配するな妹紅、私は分かっている。
お前が私の洒落を誰より分かってるって事、分かってる。



「誰かー! 大ちゃーん!レティ! 居ないのー!? 助けてーっ!」

またしても、話が脱線してしまった!
一体なんだと言うのだ!

しかしコレまでの叫び声を分析すれば、自ずと穴の中に居る者は誰か推測が出来る。
聞くところに寄れば、魔理沙は口調を変えた事はあるがそれを決して良い意味ではないネタにされ、
うんざりしていると言う。と言う事は今更「あたい」口調という大幅なキャラ替えはしないだろう。
また、「お腹が減る」という物言いから霊夢でないことも分かる。
というより、今更「お腹が減る」も何も無いだろう、霊夢の場合。

と言う事は残るは小町とチルノの線だが、ああいう混乱している時、近親者に助けを求めてしまうのは必定!
小町ならばその相手は閻魔殿か死神仲間のはず……

つまり大ちゃん……おそらく大妖精とレティの名を呼んだという事は……!

「その中に居るのはチルノか!?」
「えっ! うんうんあたいあたい! 誰か知らないけど助けてー!」

ふっ、やはりな……
現場の状況を素早くかつ的確に判断し、事実という複雑に絡み合った糸をほぐしながら真実へと辿り着く。
これこそ、人間の里で奇々怪々と向き合う私の、相談役……いや、名探偵上白沢慧音の実力だ!

しかし、いかなる物語にも終わりは来る。
この春風の名残が運んで来た様な、小さな事件もいま終焉を迎えたのだ。
とはいえ、謎はそこいら中にあるものだ、ここはほんの始まりに過ぎない。
一時の思考の愉悦を味わわせてくれたこの場所にほんの一秒、後ろ髪引かれて。
私はその場を後にした。



「ちょっとー? ねぇー? たすけてってばー…………」






しかし、穴に落ちていたのがチルノだったとは、妖精らしい間抜けぶりだ。

チルノ、穴に落チルノ。

……はっ! ま、またしてもこんな面白い洒落を思いついてしまった!
ふふふっ、こっちの方も妹紅に教えてやらねば!

もう初夏と言っても良い様な春の日差しの中、妹紅の笑顔を思い浮かべ、私の足取りは軽いっ。



「軽いっ。」じゃねえよ。
早く助けてあげて!
Looser
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2007/05/13 08:31:55
更新日時:
2007/05/15 23:31:55
評価:
27/31
POINT:
128
Rate:
1.09
1. 6 久遠悠 ■2007/05/13 08:46:10
……飛ぼうよ、チルノ…
2. 6 A・D・R ■2007/05/13 22:15:13
慧音…慧音…でもこういう慧音も大好きですww
慧音の思考がおもしろおかしく書かれていて、非常に楽しめました。
3. 3 だおもん ■2007/05/14 00:23:25
自分の世界に引きこもる慧音と必死なチルノに、落ちに吹きました。
4. 7 秦稜乃 ■2007/05/14 17:08:08
何この駄目慧音wwwwwwwww
5. 2 詩所 ■2007/05/15 22:46:50
謎の改行が気になり、読みにくいかと。
あと確立→確率?
6. 5 名無し妖怪 ■2007/05/17 03:35:45
全妹紅が泣いた
7. 4 爪影 ■2007/05/17 19:39:16
 なんかもう、慧音さんの洒落センスに全部持っていかれました。
8. 9 ■2007/05/19 01:05:22
真面目なのに大ボケ。いや、これは実によいけーね先生ですね。…いや、助けてやんなさいよあんたw
そして、可哀想な妹紅。大真面目なジョークほどリアクションに困るものはないのです。
9. 3 どくしゃ ■2007/05/24 09:54:18
ちょw慧音先生!助けてあげて!
10. 3 反魂 ■2007/05/25 16:07:47
短いですが、尺を求める物語ではないですね。
ノリが良かったです。
軽い口当たりで楽しめました。
11. 6 流砂 ■2007/05/26 22:02:54
序盤では「読み難いなぁ」と思っていた文も、読み進めて行くうちにこの慧音さん独特の
語り口調に見えてくるから不思議。
この序盤の読み辛さを計算づくでやっているとしたら作者様はかなりヤバイ腕の持ち主。
慧音さーん。
12. 5 deso ■2007/05/26 23:32:26
なんと役に立たない慧音先生w
13. 5 blankii ■2007/05/27 11:36:09
やべぇ。けーね先生、思考のドツボに嵌りすぎです。そして自己解決しすぎ、最後爽やかすぎ。……というかんじでニヤニヤしました。いや、いささかあの洒落では笑ってませんよ?
14. 6 椒良徳 ■2007/05/27 20:15:30
>彼女はあくまでも悪魔だ。
>チルノ、穴に落チルノ
寒冷のジョークきた! 温めておきますね。

ナデナデ ナデナデ ナデナデ
 ナデナデ  ナデナデ
    ∧_∧
.∧_∧( ・ω・)∧_∧
( ・ω・)U)) .(・ω・ )
 ⊃)) (;´Д`)((⊂
.∧_∧∩))((∩∧_∧
(   )    .(   )
ナデナデ ナデナデ ナデナデ

それはともかく、慧音先生の脱線しすぎる思考回路が面白すぎる。コミカルで良い作品でした。
15. 3 木村圭 ■2007/05/27 23:50:28
ああ、平和だなぁ。でも空気はちゃんと読んであげて。誰も幸せになれないから。
16. 4 shinsokku ■2007/05/28 21:33:14
一体なんだというのだ! この慧音は。トレパネーションでも受けたのでしょうか。
17. 4 らくがん屋 ■2007/05/29 10:34:34
慧音、おちつけーね (お前が落ち着け)
18. 3 鼠@石景山 ■2007/05/30 01:56:41
ああ、頭のいい人のギャグセンスの無さw
19. 3 いむぜん ■2007/05/30 02:41:17
こんなダメな慧音はじめてみた…… この人、バカなんじゃなかろうかw
あと、他にもあるけど「お前、飛べるだろうに」って話もどうかと。
20. 6 ■2007/05/30 03:52:04

やべこの慧音先生かわいいw
っていうか私もこういう癖あるから笑ってる場合じゃないかもしれんw
それにしても最後の『軽いっ。』がいい味出しとるw
21. 8 リコーダー ■2007/05/30 15:59:29
こういうの大好きです。
22. 4 眼帯因幡 ■2007/05/30 18:12:48
……慧音orz
とても微笑ましい反面、慧音の洒落のセンスが寒すぎですね。
それと、妙なところで改行されているようですが、メモ帳を右端で折り返す設定にしてコピペするとなるみたいですよ? 
お疲れ様です。
23. 7 K.M ■2007/05/30 20:48:26
ちょ、慧音さんww
とりあえず思考回路がユニークなのは分かりましたから、いっぺん思考回路を再確認する事をお勧めします。
例えば「確率」と「確率」はどっちがどっちか、とか。
24. 3 二俣 ■2007/05/30 21:57:46
互角の勝負を見た気がした。
25. 6 たくじ ■2007/05/30 22:14:14
なんでこんなひとりよがりなのwこの慧音は好きです。
26. 6 乳脂固形分 ■2007/05/30 22:38:55
早く助けてあげてーー! 推理している場合じゃないって!
しょうもないダジャレが、良いアクセントになっていました
27. 1 時計屋 ■2007/05/30 23:53:01
最大の謎はなんで空飛べるのにチルノが穴に落ちてるか、ってことだが……。
まぁいいか、チルノだし。
28. フリーレス 藤村る ■2007/06/03 02:17:08
 確かに、慧音は駄洒落が好きそうなイメージが……あるのか?
 周りが見えなくなる感じはしますが。が。
 結局、チルノはどうなってしまったのだろう……。
 飛べばいいのになあ……。
29. フリーレス Looser ■2007/06/04 23:16:51
たくさんのコメントを頂きまして、本当にありがとうございます。
締め切り2時間前に書き始めた作品ですので、後から読んで推敲の足りないところが続々と見つかり、一人被害妄想に浸っていたんですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

>確立→確率
確かに誤字です(汗
というか、投稿した後気付いたんですが直せませんでした。

>謎の改行
これは仕様です。
少しでも読みやすくしようとしたら逆に読みづらくなってしまったようですね。
もっと修行せねばっ。

>チルノ
チルノは自分が穴に落ちていることに気が付いてません。
謎の空間に入り込んでしまった!くらいに考えています。
これも説明不足でしたね。すいません。
30. フリーレス 匿名評価
31. フリーレス aazwgitj ■2011/12/07 18:33:07
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