peephole of hand

作品集: 最新 投稿日時: 2007/05/13 08:55:44 更新日時: 2007/05/15 23:55:44 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00
 俺の左手には、穴が開いている。
 これは比喩でも冗談でもなく、厳然たる事実だ。
 原因は、一昨日に友人に誘われ登山に参加した際に森の中で穴に落ちたことにある。
 妙な気配がしたので興味本位で道を少し外れたのだが、登山慣れした友人が制止するまもなく直後に穴へと落ちてしまった。
 表面は長めの草で隠されていた所為で、穴について全く気づかなかったのだ。
 その時に、穴の中にあった岩――悪意ある罠のように穴の直下で真上に向かって突き出た岩――で左手の甲から掌を貫通されてしまった。
 幸か不幸か落下の衝撃で気絶したため左手貫通の瞬間は目にしないで済んだし、その友人が急いで人を呼んできてくれたためにそのまま遭難死せずに済んだ。
 そんなこんなで、穴倉の中からから救助された俺は急いで病院に搬送され緊急入院、現在に至るのである。
 検査の結果、脳や脚、内臓などには特に損傷なく、左手以外はほぼ無傷であった。
 後で聞いた話によれば結構な距離を落ちたのだとか。
 そのはずなのに、命に別状無い程度で済んだのは日頃の行いが良かった所為だろう。
 ……まぁ、さっきも言ったとおり左手だけは別だが。
 指先などには殆ど感覚がなく、医者には切断という選択肢も与えられたが、俺は拒否した。
 細菌感染の危険性とかも色々言われたが、「例え使えなくても、今まで共にあった左手を捨てるのは忍びない」ということでそのままの方向で治療してもらったのだ。
 本来ならば激痛モノの怪我らしいのだが、なぜか痛みが殆ど無いのも理由の一つか。
 先生には念入りな消毒とかで色々と迷惑掛けてしまったが、なんとなく夏候惇が隻眼になった時のエピソードの理由が分かった気がしたね。

 さて、本題はここからになる。

 病院で気が付いた直後に友人から聞かされたのだが、あの場所は民俗学的に結構な発見であったらしい。
 地面に(今風に言えば)魔法陣のような文様が描かれていたり、注連縄や御札があったりと、どうやら昔の祭壇だったらしいのだ。
 それが今回発見されたということで、何でも近いうちにどこかの大学教授らが調査に訪れるそうだ。
 「まさに怪我の功名だな」……と友人に言ったら手厳しいツッコミをいただいてしまったがそれもさておき。
 そういう経緯の傷な所為か、この左手の穴は妙な力を持ってしまったらしい。
 原理・システムは一切分からない。しかし、怪異が起きるのは紛れもない事実だ。

 「見える」のだ。別の世界が。

    ○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○

 最初にそれが起きたのは、入院した日の消灯時間少し前だった。

 手の怪我で入院することとなった俺は、山に誘ったことへ多少責任を感じてるらしい友人の奢りで個室に収容された。
 自爆に近いので気に病むことはないと言ったのだが、相手がどうしても折れなかったのだ。律儀な奴である。
 検査・治療も終わり後は寝るだけだが、買ってきた新聞も読み終えてしまい暇を持て余して眠れない……そんなときに、「それ」は始まった。
 唐突に左手の穴が熱を持ち、震え始めたのだ。しかも、その震え方が尋常じゃない。
 「ビクビク」「ブルブル」を超えて「ガクガク」と激しく振動を始めたのだ。
 あまりの熱さに耐え切れず、たまらず左手を覆っている包帯とガーゼを剥ぎ取る。
 しかし、そのような行為をしたところで熱と痙攣は治まることは無くむしろ悪化していく。
 急な変化にナースコールの存在も忘れて、俺は声にならぬ呻き声を漏らしながら左腕を抱えるように蹲ることしかできなかった。
 後で計算すると収まるまで10分くらいのことだったのだが、この時は30分以上に長く感じていたね。
 あるいは、時間感覚の変化もこの怪奇によるものだったのかもしれないが……感覚でしか残っていない以上、それは既に分からない話だ。
 何れにせよ、蹲っていた俺はどうにかこうにか手の震えが治まるのを感じ、ほっと一息ついた。
 そして左手を見て……絶叫を上げた。

 それを聞きつけて看護婦、じゃない看護士さんが来てくれたのだが、どうやら彼女には「見えていない」らしい。
 左手を指差しても、「何がなんだか分からない」といった顔をしている。
 徐々に冷静さを取り戻した俺は説明するのを諦め、「夢で事故の記憶がよみがえって混乱してたみたいです」と説明し当直している医師の所へ連れて行ってもらった。
 新たに包帯を巻き直した後で、ナースステーションへ帰る間際「お大事に」と言ってくれる気配りが心にしみるが、そのときの俺はそれに感動する余裕もなかった。
 一人になった部屋で今度は丁寧に包帯を解き、左手の穴を凝視する。

 掌に開いたその穴の向こうでは、一人の黒髪少女が畳に敷いた布団の中ですやすやと眠っていた。

 とにかく冷静さだけは失わないよう心掛けつつ、俺は左手を裏返し甲のほうを見てみた。
 そこには、なぜか日本家屋の天井裏と思しき光景が広がっていた。
 呼吸を整え、右手が震えないよう努力しつつ右手でペンを持ち穴へ通そうとする。
 しかし、穴の表面――本来ならば皮膚があるべき位置――でそれ以上ペンを差し込むことはできなくなってしまった。
 少し動かしてみると、「カリ」という固いものを引っかくような音がした。どうやら、ガラスに仕切られているような感じらしい。
 何がなんだかさっぱり分からないまま、俺は無言で左掌へと視線を戻した。
 そこでは、相変わらず少女が寝息を立てている。ついでに言えば、かなりの美少女だ。
 少女の寝床を俯瞰……って、これはまるで変態の所業じゃないか。真上から見ている形なので、視点的には天井に当たるらしい。
 そういえば、裏側から見ると天井裏みたいなのが見えたっけ……と考えた瞬間、いきなり崩壊音がして画像がブレた。
 角度が傾きなら落下し、畳しか見えなくなる。左手を軽く揺すってみるが、画像に変化はない。
 暫し黙考し……どうやら視点としていたものが床に落ちたらしいと思い至った。
 左手を裏返し手の甲側から穴を覗くと、今度は「壊れかけた日本家屋の天井」が目に入った。
 どうやら、視点となっていた「天井の何か」は天井ごと床へと崩落したらしい。
 パラパラと埃が振る中、少女特有の高さを持つ声が聞こえた。
『スイカ、これはいったいどういうことなのかしら?』
 初めて聞く声だが、一つ判る事がある。彼女の声には、激しく怒気が含まれている。
『いや、レイム、あのね、これはね……』
 最初の声よりさらに幼い感じの、別の声が聞こえる。こちらは、どうやら狼狽してしどろもどろになってるらしい。
 カタンという音と共に、視点が変更され水平な視界になる。
 どうやら、どちらかが視点となる何かを持ち上げたらしい。
 変更された視点には、黒髪ではない少女が土下座する姿があった。
 黒髪の子よりもさらに幼い雰囲気の子は、額を荒れ果てた畳に押し付けている。
 ……って待て、あの子に生えているのは……角か?
『確かに、節穴開いてたりする天井だけど壊していい理由にはならないわよ……さぁ、はっきり言いなさいスイカ!』
 手の甲から掌へ視点を移すと、黒髪の少女が怒りにこめかみを震わせているのが見えた。
 右手は視界の上のほうへ伸び視界の外へ消えているが、どうやらその右手で俺の視界の基点――言葉から察するに、天井板――を持っているようだ。
 発言から察するに、この黒髪の少女が「レイム」で幼い感じのほうが「スイカ」らしい。
 先ほどの角が気になるので視線を甲側へと戻す。少女は、まだ土下座をしていた。
『屋根裏で寝ていましたら、その、夢を見まして……それで、夢の中で暴れましたら……えぇと……』
『ほほぅ?つまり寝ぼけて暴れて天井ぶち抜いた……ということね』
 パタンという音と共に視点が上向きになる。どうやら、レイムが天井板を離したらしい。
 上向きの視界には、少女の浮遊する姿が……惜しいな、後ちょっとで服の隙間が……っておい!この子宙を飛んでるっ!?!!
『平に!平にご容赦を!!』
『黙りなさい!今日と言う今日こそ色々と矯正してやるわ!!』
 まるでSF映画のように御札や針が飛び交い、その中のひとつが俺の視点へと飛来し……爆砕音と共に、画像が途切れた。




 左手の穴が普通の穴に戻った後も、俺はただ呆然と穴を眺め続けていた。
 今まで見ていた映像は、一体なんだったのだろうか?ただの幻覚にしては、リアリティがありすぎる。
 物理現象しては奇怪過ぎるし、それでは看護士さんには何も見えていないことの説明が付かない。
 何より、見えた映像は「この世界ではない」世界のようなのだ。

 包帯を巻き直しベッドに入ってあれこれ考えているうちに、その日はいつの間にか眠ってしまった。

    ○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○

 一晩寝てすっきりさせた頭は、色々な事を考えることができた。
 まず、俺の左手はどこか別世界の穴――あの時は、天井の節穴――と接続されていたらしい。
 向こうの声・光はこちら側へ来るが、こちらからどの程度干渉できるは不明であることも考え付いた。
 (とりあえず、指は通せなかった。しかし、こちらの音声・光景が向こうに届くかは実験してないので不明)
 そして、どうやら他人には聞こえない・見えないらしい。(これも、もう一度実験するべきか)
 原因は、やっぱりあの岩の力なんだろうか?
 俺は割とリアリストだったつもりだが、こんな経験をしちゃってはもうあの頃の俺には戻れなそうだな…そんなことを考えつつ朝食を済ませた。
 そして友人に公衆電話から連絡を取って、朝のお見舞い時に色々と物を揃え届けてもらった。
 幾つかの準備の果てに、昼食を済ませたその日の正午ごろに2回目の接続が開始された。
 「慣れ」なのか、2回目は熱こそ発生したものの振動は緩やかなものだった。
 そこで俺は包帯を外し、友人に用意してもらったカセットテープレコーダーに手を伸ばし録音ボタンをオンにした。
 録音できるにしろできないにしろ、有意義な結果が得られるはずである。

 穴に接続された映像は、広大な和風庭園だった。その中に、なにやら不釣合いなテレビ撮影のセットらしきものが見える。
 とりあえず、ベッドの左にある台へ手を伸ばし準備物その2&3であるポラロイドカメラとデジカメを使って手の穴を撮影しておく。
 そしてさらに準備物その5・ビデオカメラをベッドの上にこちら向きで置いておく。
 これも、映像・音声がどうなるかという実験のためである。
 ここまで下準備を終えたところで、左手を裏返してみる。そこは、樹木の内部に見えた。
 準備物その6にしてファイナルの虫眼鏡で拡大してみる……ふむ、確かに樹の内側だ。
 おそらく、どこかの庭園に生えた樹のウロに繋がったのだろう。
 とりあえず、この映像は虫眼鏡で拡大できるのだから光学的性質があるようだ。
 そんなことを考えつつ、手を元の向きに戻しどこぞの料理対決番組みたいなセットに目を向けることにした。
 セットのすぐ横には、紫色の洋服を着た金髪の女性と空色のひらひらした服を着た少女が座席に付いており、セットの方を向いていた。 
 他の座席には……何だあれ?人魂……いや幽霊か?
『さぁ本日もやってまいりました恒例の白玉楼vsマヨヒガ従者対決のお時間です!!』
 セットに二つある調理台の中央で、マイクを持った黒髪の少女が声を張り上げている。
 カラスを連れているのだが、その料理すると思しきセットに動物を連れ込むのはどうなのでしょうか。
 そういえば、さっき「迷い家」って聞こえたけどそれって遠野物語のアレのことなんだろうか?
『司会はこの私、新聞記事のネタに釣られてやってきた確認済み高速飛行物体シャメイマルアヤどぁ〜〜〜!!』
 なんだか、観客席から「自虐的よね〜」「ヤケになってるんじゃないの」と声が聞こえる。
『さて本日の対決内容は……キャベツの千切りスピード勝負です!それでは対戦者の皆さん、準備はよろしいですか?』
『あぁ、問題ない』『いつでも開始してくれ』
 対決するという2人は、既に調理台の前に佇んでいる。片方は緑色の服を着た少女で、もう片方は……どういう形容をすればいいんだ?
 陰陽師のような服とか御札模様の帽子とかはまだいい。しかし、その背中越しに見えるのはもしかして尻尾ですか?
 つーか、緑の服の子の方もふわふわの魂みたいなの連れてるし漫画に出てきそうな刀を2本持ってるし……それで斬るんですか?
 うん、間違いない。きっとこれも「別世界」なのだろうなと一人得心していると、舞台裏からキャベツが山と運ばれてきた。
『ラン、負けるんじゃないわよ!』『我に策あり、です。ユカリ様』
『ヨウム、負けたらお仕置きだからね!』『全力で挑みます、ユユコ様』
 ふむ、これで各人の名前が分かったな。
『それでは準備はよろしいですね?では対戦相手妨害防止用の仕切りを閉めさせていただきます!』
 司会のアヤさんが喋ると同時に、上から透明な檻みたいな物が降りてくる。
 ……今までの勝負で妨害行為があったのだろうか?
 前回みたレイムという少女みたいな力をこの2人も持ってるとしたら……ちょっと想像を絶する光景だな。
『それではスタートです!スリー、ツー、ワン……Go!!!!』
 その合図と同時に、対戦が開始された。
 普通に千切りを開始するだろうと思った俺は、二人が取ったそれぞれの行動によって度肝を抜かれることになった。
 まずヨウムと呼ばれた子の方は、増えた。
 あまりに意外だったので頭が状況把握できなかったが、あのふわふわがそっくりな姿になったのだ。
 そして二人分の体と2本の剣で以って、物凄い勢いでキャベツを千切りにしていく。
 一方、ランと呼ばれた女性のほうは、あのもふもふした尻尾から猫耳の少女が出てきた。
 そしてランはその場で高速回転し、猫耳少女がそれに向かってキャベツをポイポイ投げている。
 投げられたキャベツはあっという間に高速回転するランに切り刻まれ、下に溜まっていく。
 ……いやはや、もう確定だね。これは「別世界」だよ。こんなキャベツの千切り行為、少なくとも俺は見たことない。
 と、一人あきれ返っていたところ別の声も聞こえてきた。
 観客席で、ユユコとユカリが取っ組み合いのケンカになっているのだ。
『ちょっと、なんでチェンまで動員してるのよ!ズルいわよ!!』
『チェンはランの式なんだから、付属品なんだから問題ないわよ!そっちこそヨウム増えてるじゃないの!!』
『あれはもともと一人なのよ!そっちのが卑怯じゃない!!』
『何ですって!?』
 あ、なんか取っ組み合いから撃ち合いになってるし。
 蝶みたいな弾だけど、やっぱりこういう能力持ってるのね彼女たちも。
 ……あ、流れ弾がこっちに飛んできたし。



 流れ弾によって樹が破壊されたのだろう、今回の映像はそこで途切れた。
 とりあえずポラロイドカメラの写真とデジカメのデータをチェックしてみたが、そこには自分の手が写ってるだけだった。
 ビデオカメラも同様。おまけに、音声もない。カセットテープもやはり無駄だった。
 やはり、というべきかなのか、この現象を記録することはできないらしい。
 「確か、吸血鬼が鏡に映らないのは人間の認識能力の限界がどうとかいう話があったな……」ということが脳裏をよぎった。
 よく分からないが、この現象自体が十分に超常現象なのだ。おそらく、この世界の物理法則で解釈することはできないのだろう。 
 とは言え、コンピューターの構造は知らなくてもそれで遊べるように、この現象は理屈不明でも楽しむことはできる。
 包帯を巻きながらも、俺は次の接続を楽しみにし始めていた。

    ○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○

 楽しみにしていた俺の心情を汲み取ったのか、3度目の接続は2回目が発生したのと同じ日の深夜に発生した。
 真夜中に違和感を感じて目を覚ましてみると、左手が震えていたのだ。俺はあわてて上半身を起こし包帯を解き左手を注視した。
 暗い部屋の中なのに、穴の向こう側はまるでテレビのようにしっかりと見ることができた。
 
 繋がった場所は、洋館風の廊下だった。ただし、とんでもなく広く長い。 
 視点の高さは人の胸ほどで、移動スピードは走るぐらいのようだが、なぜか視点が殆どブレていない。
 穴を裏側からチェックすると、そこはとても暗かった。というよりも真っ暗だった。
 ただし、辛うじてなにやら液体がたぷたぷしているのは認識できた。そして、かなり狭いようだった。
 いったい何の穴だろうかと思案していると、ある扉の前で移動がとまった。
 そして床に下ろされた。このとき、今まで自分を運んでいたのがメイドだったことがちらりと見えた。
 メイドは確かにこちらの世界にも存在するが、この映像は別世界のものらしい。何せ、そのメイドは飛んでいたのだから。
 おそらく、振動がなかったのは走るのではなく飛んでいた所為なのだろう。

『ちょ……ダメ、マリサそれはやめて』
『いいじゃねぇか。それにもう出しちまったんだし。どうだ、アリス?』
『ん……いい感じだわ』
 俺の意識は、一瞬にして視覚ではなく聴覚に集中した。
 いや、だって仕方ないよね?奇怪な現象に遭遇してる入院患者の一人とか言う以前に俺は一人の健全なる男なんだから。
 扉の向こう側からこんな声が聞こえたら、男たるものホモを除けば反応しちゃうよね!?……え?そんなことはない?
 あぁそうかそうだよね声からして少女なんだからオバコンも反応しないかもねあははーー……
 などとメダパニ掛かったみたいに思考回路がわやくちゃになった俺を他所に、扉越しの声は続いていく。
『くっ……でも、まだよ。まだ終わっていないわ』
『その通りです。うちのパチュリー様はこれからが凄いんです』
『小悪魔はちょっと黙ってて……ん……そうね、これでどうかしら』
『うあぁぁあぁ!?そこでそんなのを入れられたら……や、やば』
 え〜と……今この扉の向こうにはどんな光景が……?
『分かってると思うけど、負けたら体で払ってもらうわよ。勿論肩叩きとかそんな生温いもんじゃないからね』
『パチュリー様、ナイス悪役です。悪魔の私よりも悪魔みたいです』
 体で払う!?しかも肩叩きとかじゃないとな!!
 ナイスだ姿も知らぬパチュリーさんとやら!おかげで肩透かしオチはひとつ消滅したぜ!!
『ぬぐぐぐぅ……しかしパチュリーよ。こっちが勝ったときの事も忘れてはいまいな?』
『分かってるわよ……私の大事なものをちゃんとあげるわよ。まだ誰にも見せたことのないアレを……』
『ふふ、楽しみよねマリサ』
 大事なものってナンデスカ!それってまさか大事なものナンデスカ?
『アリス、貴方は会話してないで早く出しなさい』
『分かってるわよ、審判役のサクヤさん。せっつかれなくてもちゃんと出すわ』
 審判役って何をジャッジメント!?
『……はい、スペードのクィーンね』

 ……
 …………
 ………………トランプ?
『あ、ラッキーです。これでカードが出せます。はい、スペードのキング。スペードの3と4は死に札になりましたね』
 しかも七並べ?端と端が繋がってるルールの……
『ありゃホントだ、抱えてる奴は大変だなぁ』
『そうね』
『え?あれ?……もしかしてパチュリー様……』
『小悪魔、後で話があるわ』
『ひぃぃぃぃ!!』
『ふふん、あんなタイミングで空白にジョーカーなんて入れるからバチが当たったんだぜ』
『むきゅー……』
『さて、一区切り付いたところで少々お待ちください』
 足音の後、軋む音と共に扉が開きメイド服の少女が現れた。
 その少女がこちらに手を伸ばし、俺の視点となっているものを持ち上げた。
『時間通り紅茶が届いています。一息入れましょうか』
 扉の中では、4人の少女がトランプの並んだ机を囲んでいた。
 そして、視点が5回傾く。今気づいたのだが、どうやらポットの蓋にある穴が今回の接続先らしい。
 穴の大きさからすると視界が妙に広いのだが、きっと魚眼レンズみたいな感じで補正が働いているのだろう。
 今更その程度の不可解さは気にするのも面倒だ。
 ポットはうまい具合に、5人の見える角度でトランプが乗っているのとは別の台に置かれた。
 視界では、全員が手札をおき紅茶を飲んでいる様子が確認できる。
『しかし何で、私が審判役に呼ばれたのですかパチュリー様』
『物理的なイカサマ対策よ。魔法によるイカサマなら感知できるけど、単純なテクニックによるものは気づきにくいの』
『そういうことです。手品の得意な貴方なら、見分けられるかな……と思いましてお呼びした次第です』
『はぁ……しかし、そこまで警戒するほどの大勝負なのですか?』
『あぁ。こっちは負ければ危険図書の整理手伝いをしなきゃならんし、パチュリーは新開発した魔法の術式レポートを見せることになってる』
『なるほど』
『まったく、マリサってば私まで巻き込んで……』
『そうは言いつつも、内容話したらほいほい来たじゃないか』
『う゛』
『『あはははははは』』

 ……うん、そうだな。こっちが勝手にヒートアップしただけだよな。
 でもさ、なんだろうな?心の中を何かが猛烈な勢いで吹き荒れているんだ。
 心の破裂をを防ぐためには、どこかに放出しなきゃいけないよね?
 俺は左手を振り上げ、ベッドの左側にあるカメラとかを置きっぱなしの台へ叫びつつ叩きつけた。
 「なんだそりゃ!!!!」
 この衝撃の所為か、今回の接続はこれで切れた。

    ○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○

 結局あの後はすぐに包帯を巻き直し、不貞腐れてさっさと寝てしまった。
 そして翌日に目を覚まし朝食をとった後でふと違和感に気づいた。
 昨夜に左手をぶつけた台の上には、まだポラロイドカメラとビデオカメラ、虫眼鏡などが置いてある。
 しかし、「写真がない」のだ。

 2回目の接続のとき、俺は確かにポラロイドカメラで写真を撮った。
 結局その写真は無駄に終わったので、どうでもいいということで台の上に放っておいたのだ。
 しかし、台の上は勿論裏側や下まで探しても写真は見つからなかった。
 窓を開けてないので風で飛んだとも思えないが、部屋中探してみても結局は無駄な労力だった。
 混乱する頭をなだめて必死に記憶をたどると、昨夜寝る前は確かに写真が置いてあった事を思い出した。
 しかし、今はどこにもない。朝食を届けてくれた人は台に近づいていないから、その人が持って行った可能性もない。
 つまり1枚の写真が忽然と消えてしまったのだ。 
 昨晩からこの紛失に気づくまでにした事と言えば…一つしかない。
 俺が驚愕するのとは無関係に、左手は勝手に違和感を生み出し始めた。
 もはや熱も振動もないが感覚的に分かる。またしても接続が開始されたのだ。



『コマチ、何故に呼び出されたかは分かっているのでしょうね……』
『スイマセンスイマセンスイマセン』
 正面には、机の向こうに妙な格好の少女――と言うよりも、むしろ幼女か?――が見える。
 ただし、視界が規則的にゆれる所為でよく見えないのだが。
 逆側を覗くと、布地に押し付けられているのが分かった。
 視点の高さなどの情報から総合して察するに、今回の視点は謝罪しているコマチという女性のベルトのバックルか何からしい。
 このコマチという女性が頭を下げるたびに、視界がガクガクと揺さぶられている。
 だが、今の俺はその状況に対して特に興味を持たなかった。
 ある一つのことで頭がいっぱいになっていたからだ。

 俺はそれを確認するべく、右手でゴミ箱から新聞を拾い上げた。
 片手だけでは巧くできないので、両手を使ってちぎり筒状に丸め、直径1cmほどの紙筒を作った。
 そして残りの部分からさらに紙を千切り、それを丸めて紙弾を幾つか作り上げた。
 左手の穴を見ると、まだ接続は繋がっている。
 俺は無言で筒に弾を詰め、筒の端を口に銜えると吹き矢の要領で左手の穴へと飛ばしてみた。

 ……紙弾は穴を通り、向こうの世界へと到達した。

『……コマチ、叱られている最中にこれはどういう了見ですか?』
『知、知りません分かりません!』
『嘘をおっしゃい!これは貴方のほうから飛んできたんですよ!!』
 穴を通り過ぎた紙弾は叱っているほうの少女へと当たり、少女はそれで激昂したようだ。
 コマチの言葉も功を奏さず彼女は机を持ち上げコマチに向かって投げつけ……それがぶつかったのか、接続が切断された。

    ○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○

 さて、以上が回想だ。
 ここから先は現実時間に戻そう。

 俺は1時間前に4回目の接続を終えてから、ずっと考えることを続けている。
 まず気になるのは、接続と接続の間隔がどんどん短くなっていることだ。
 このままいくと、インターネットの回線でもないのに常時接続という事態が待っているのかもしれない。
 そしてもう一つ懸念するべき要素がある。こちらのほうが厄介な問題である。
 最初の接続のときは、ペンを穴に通そうとして通らなかった。
 しかし、4回目の時は紙弾が穴を通過し「別の世界」へと届いてしまった。
 これはどういうことを意味するのだろうか?
 単に「金属は通さないけれども紙は通す」というのならば、大したことではない。写真も紙なのだし。
 もしそうであるならば、これからもちょくちょく別世界の観覧を気ままに続けられるだろう。
 しかし「時間経過により物質通過が可能になった」だとしたら?
 つまり、この現象は「ここが終了点」ではなく「現在も何かが進行している」という事になる。
 さらに先があるとしたら、この先に待つのは一体……
 そう考えているときに、また左手へと違和感が走った。
 俺は包帯を解いて左手を見る。
 しかし、そこには何も変化が発生していなかった。
 違和感が気のせいかと思った瞬間……俺は、自分の左手の穴へと吸い込まれていった。



 俺は、不思議な空間にいた。周囲は紫色で、水の中のように浮いているのだ。
 全身を確認するも、変化した箇所はない。体が麻痺しているということもない。
 光や空気があるのかどうかは不明だが、自分の体は見えるし呼吸もできる。
 吸い込まれるときは、不思議な動きだった。さながら手袋を裏返すような……
 落語かなにかにあった、頭の穴の池に身投げした男は、こんな感覚を感じながら身投げしたんだろうか?
 などと、色々考えていると声をかけられた。
「気の毒とは思うが、助けることはできないんだ。すまないが諦めてくれ」
 声がしたので振り向くと、そこにはどこかで見たことのある人物がいた。
 いや、九本の尻尾があるのだから「人間」ではなさそうだが。
「えぇと、たしかランさん……でしたっけかね」
 俺がこう言うと、彼女は酷く吃驚仰天した顔をした。
 あの事故以来こちらは驚いてばかりなんだ。これくらいの役得はあって然るべきだろう。
「貴様、何者だ?何故私の名前を知っている!」
 ヤバい、彼女は戦闘体制に入ったみたいだ。
 下手に行動すると一瞬で射殺されそうな雰囲気を感じ、俺は急いで空気を緩和させることにした。
「待、待ってください!俺の話を落ち着いて聞いてください!!」

「かくかくしかじか……という事なんです。嘘じゃありません」
 俺は、左手を岩に穿たれてからの経緯をかいつまんで説明した。
「なるほど……な」
 彼女は腕を組み俺の話を聞いてくれていたが、ここまで話を聞いてそう発言し、深く嘆息した。
「世の中には数奇な運命を辿る者もいるというが……まさかこういう形で遭遇するとはな」
「あの、私にも分かるように事態を説明しては頂けないでしょうか?」
 状況を完璧に把握したらしい彼女に対し、説明を求めてみる。
 正直、今までずっと振り回されてきたのだ。いい加減事態を「理解」したくなるのは当然のなりゆきだろう。
「む……それは構わんが……辛い内容だぞ?」
「かまいません」
 理解に対する欲求が何よりも最優先となっている俺は、即答した。

「私のフルネームは八雲藍。主人である妖怪、八雲紫に使える式だ」
 移動しながら、という条件で俺は説明を聞かせてもらえることになった。
 ちなみに、俺は移動の仕方が分からないので彼女に手を引っ張ってもらっている。
 紫というのは……やはりあの時の紫色の服を着ていた彼女だろうか?
「お前も気づいているようだが、その左手の穴が力を持っているのはあの場所で怪我した所為だ」
 やっぱりそうですか。で、あの場所は何なんですか?
「今からはずいぶん昔だが、人間たちが『境界を超える力』を求めて作り上げたシステムだ」
 そんなことが可能なんですか?
「あぁ、人間の執念というのもなかなかに凄くてな。ついに作り上げたんだが……」
 だが?
「成功率がとにかく低いのだ。正規手順でやったとしても、時間・星の運行・人体の適正他諸々の要素がうまく噛み合わないと成功しない」
 ほへぇ。
「で、あれを作り上げた人間たちは、より成功体を増やすために、無差別罠を大量に仕掛けた」
 精度を上げるんじゃなくて「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」理論ですか。罠……とは?
「ああいう落とし穴状のギミックを各地にたくさん作り、子供や通行人が嵌るのを待った」
 エゲツナイなぁ。なんだか蛸壺漁とかセルビンを使った漁みたいな話ですね。
「それには飽き足らず、無関係の人間・動物を突き落としたりして大量に実験を行ったのだ」
 外道ですね。
「しかし、大して成果は上がらなかった。たくさん仕掛けを作っても、結局成功例は殆どなかったのだ」
 骨折り損のくたびれもうけ、ですか。
「さらに力が備わってもそれが成長するとは限らない。殆どは時間と共に消えていき、成長するのはまた極稀だ。結局人間たちは諦め、仕掛けは忘れられていった」
 ……で、俺はそんな超低確率くじで大当たりを引いてしまった…と?
「まぁ、そういうことだ。そして、その極稀の成功例は我々の世界である幻想郷にとって好ましくないのだ」
 それが、私が今こうしている理由ですか?
「あぁ、そうだ。幻想郷は、結界によってお前のいる世界と隔たれている。しかし、お前は将来それを透過しうる力を持つだろう」
 まぁ、確かに今でも紙弾とかは突破させちゃってますしね。
 将来的にはもっと他のものも通せるとしたら……例えば、細菌兵器とか核爆弾とか……いかん、考えるだけで不快になってきた。
 でも、それは俺だけがそれをしなければいいという話では?
「結界は強固だ。しかし蟻の穴から堤も崩れることは十分にある」
 俺の穴の所為で、結界が脆くなる……と?
「そういうことだ」
 ……
 …………
 ………………それで、俺はどうなるんですか? 
「……我が主、八雲紫は境界を操る力を持つ」
 なるほど、その紫さんなら分離できるというわけですか。
「だが、その能力は成長の過程でお前という人間の魂を抉り穴を開け喰い込み同化している」
 ……?
「つまり、その能力はお前の命と直結してしまっている。お前の命と能力には境界が存在しないのだ」
 ……え〜と……つまり分離は無理と仰りたいので?
「ミックスジュースからリンゴジュースだけを抜き出すことはできると思うか?」
 100%無理とは言いませんが、エントロピーとか考えると不可逆に限りなく近そうですね。
「まだ言っていなかったが、紫様は結構面倒くさがりで、人間を喰う事もある妖怪だ」
 それは、直喩でも隠喩でもなくそのままの意味ですか?
「あぁ、そのままの意味だ」
 …………
「普通に死なれると、その力だけが暴走する可能性がある。紫様に処理していただかねばならないのだ」
 なんてこったい。あの場所に落ちた所為で俺は妖怪にバリバリ喰われてしまう訳ですか。 
 とは言え、俺はこの状況から逃げられない。逃げようにも逃げ方が分からない。
 ……それに、ここで逃げたりしたら、あの子達にも迷惑掛かるんだろうな……
 向こうはこちらを当然知らない。
 こちらが少しだけ相手を見ていただけの、そのままずばり他人の少女たち。
 とは言え、彼女たちは確かに生きていた。
 もしその世界が崩れるのだとしたら、確かに心が痛む。
 ……
 …………
 ………………
 あの〜、藍さん。最初に言った言葉は、つまり「自分たちのために死んでくれ」という意味なんでしょうか?
「そういうことだ。もう一度言わせて貰おう。気の毒とは思うが、助けることはできない」
 分かりました。ですが最後に慈悲を二つもらえませんか?
 ……自分の声が、震えているのが分かる。しかし、もう戻ることはできない。言葉を続けなければならない。
「なんだ?」
 せめて、骨とか元の世界に送ってやってはもらえませんか?
 全部が無理ならば、「死亡が確認できる何か」だけでもいいですから。
 最近は、骨の一部からでもそれがどこの骨か調べて、判定できれば生存に必要不可欠かどうか調べることができるそうですから。
「その意図は?」
 死亡確定なら、単なる行方不明よりも、死亡確認された上で死体の行方が不明の方が残された者の気が楽だと思うんです。
 諦めが付くから……登山に誘った友人は怪我したことでさえ気を病んだんです。これ以上心を傷付けたくありません。
「願いとは、命乞いではないのか?」
 しても無駄なんでしょう?それに、もう諦めました。
 きっと俺は、あの穴に落ちたときに死んでいたんです。何かの弾みで不思議体験をしていただけで。
 ……未練が無いわけじゃない。しかしそれでも、多くの人(?)たちの生死を握ってしまった以上、虐殺のトリガーとなることが怖かった。
「…………努力しよう」
 もう一つの方なんですが、楽に死ねませんかね?
「できるだけ安楽死がしたい、ということか?」
 お願いします。今でももう既に泣きそうなくらい怖いんです。
 現実感が欠けてる所為か涙は出てこないんですけれども。
「……わかった。元はといえば我々の都合の所為なのだ。その二つ聞き入れよう……何なら、今から眠り続けるか?」
 死ぬ瞬間に目を覚ます、なんてことはしませんよね?
「しない」
 ……ありがとうございます。
 そう呟いて、俺の意識は二度と出られない闇へと落ちていった。



    ○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○●◎●○



「紫様、この背骨や頭蓋骨の欠片にはもう力はないのでしょうか?」
「えぇ無いわ。力は魂ごともう飲み込んだから。私の中では徐々に私の力の方へ引かれていくから、魂の方も力と分離でき次第閻魔に届けるわ」
「では、この骨は彼のいた世界に返してもよろしいのですね」
「なぁに、どうしたの?」
「ツキのなかった男に対して私ができる、たった一つの手向けです」
物理的な落とし穴は、落ちても出ることができる。
しかし「運命における落とし穴」は、落ちたら這い出ることができない。
這い上がれたとしたら、それは穴ではなくただの窪みだったのだろう。
K.M
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2007/05/13 08:55:44
更新日時:
2007/05/15 23:55:44
評価:
0/0
POINT:
0
Rate:
5.00
1. 7 秦稜乃 ■2007/05/13 17:59:37
背筋に何かが走った気がしました。
東方分が少ないように思えるのが少し残念でしたが、幻想郷と外界のつながりの面では素晴らしいと思います。
2. 7 A・D・R ■2007/05/14 02:29:31
発想がとてもよかったと思います。
最初はギャグかと思っていたのにこういうオチとは…
こういったオチはあまり好きではないのですが、好き嫌い以上にお話がとてもよくできていたので気にならず…お見事でした。
3. 2 反魂 ■2007/05/14 18:49:26
ヤマにもオチにもイミにも欠ける気がします。読み終わって「では結局これはどういう物語だったか」と考えると、どうにも形容する言葉に困るのが事実。もう少し起承転結や、各展開に対する合理的な伏線などを忍ばせていけば見方が変わったかと思います。いきなり手に穴が空いていきなりどこかが見えるようになっていきなりそれに飲み込まれていきなり死んでしまった、では、感想としても何とも言いようがありません。
それが運命というものだ、という話であればどうとも言い返せないのですが。
物語を楽しませるという技術について、今一歩、手が行き届いていないかなという印象でした。妙味が欲しかったです。
4. 8 乳脂固形分 ■2007/05/14 18:54:36
これは面白かった。そりゃあそんな覗き穴があったら、誰でも夢中になるよなあ。
最後に食われちゃうのは、覗き見という後ろめたい行為をしていた応報なんですかね?
穴から見えるエピソードのそれぞれも楽しかったし、総じて良作だと思いました。
それでなぜこの点数かというと、三国志を知らない人に通じないネタはどうだろうとか、
主人公が若干オタク臭いのが鼻につくとか、どうでもいいところなのかもしれないんですけど、
気になったという、全く趣味の問題です。ごめんなさい……
5. 6 板チョコ ■2007/05/14 20:11:47
はいブラック系です。
オリキャラ系は問答無用に減点していますが、この作品ではなんだかかわいそうなので点を下げませんでした。
個人的にはシリアス系なのはいいんですが、微妙にギャグが入っているのもいいのか悪いのか。逆にラストで後味が悪くなったような気がします。よって6点。
6. 3 詩所 ■2007/05/14 20:56:42
主人公がオリキャラであるせいか東方分が欠けてしまっている気がしてなんとも惜しい。
あと、自分の体に穴が開いてしまった場合、生理的にその穴を覗こうと思わない気がする……私だけか?
7. 10 名無し妖怪 ■2007/05/17 19:24:07
このついてない男の思考になんとも共感を覚えた。
死ぬときは死ぬ。死なないとろくなことにならないのに無理に足掻くのはよくない。
死ぬなら苦痛なしで死にたい。どれも激しく同意する。
8. 6 爪影 ■2007/05/19 12:32:44
 運命なんて言葉に甘んじてしまえば、窪みも穴となるかと。逆も然り。
9. 6 どくしゃ ■2007/05/21 05:24:28
おぉ・・・なんとも感想に困るお話でした。
最後どうなるかは読めなかったし、実に面白かった。
10. 8 ■2007/05/25 00:09:10
こういう潔い性格の人間だったのが救いなのか、はたまた悲惨なのか…何とも言いがたいものがあります。
11. 1 人比良 ■2007/05/26 21:09:09
上下差がなければ平面位置がニュートラルに固定されてしまう

12. 1 流砂 ■2007/05/26 22:06:23
着眼点や想像力、は特に誰に劣ってる訳でも無いと思う。
けれど能力持ちのオリキャラ主人公を扱うには残念ながら一年くらい早い。
シナリオ的には良い奴なんだろうけど、正直読むのが辛かった。
弾幕を見ても驚かなかったり、突然フランクになったり……まぁなんていうか
基本的になんかおかしい。 現実味がない、というか主人公像があまりに曖昧。
幻想郷の様子も色々と問題アリ、挙げていくとキリが無いので精進せよ、とだけ。
とりあえず、自分で読んでみて違和感の無い文章を書いて下さい。
13. 5 deso ■2007/05/26 23:27:07
最初はSFっぽくて良かったのですが、終盤はイマイチでした。
穴の中に吸い込まれたところで終わった方が、個人的には良かったかなと思います。
14. 7 blankii ■2007/05/27 11:45:57
 おお何とも面白い。一人称も何処か飄々として受け入れやすかったし、その意味でオチの穏やかさも納得できました。
 名前も知れない誰かに合掌いたします。それと、ありがとう。
15. 5 椒良徳 ■2007/05/27 20:21:24
 !や?の後ろに文章が続くときにはスペースを入れ、…は二つつなげて使うのが一般的です。
「物理現象しては」は「物理現象にしては」でしょう。

 ユニークな作品ですね。面白いとは言いがたいですが、非常に印象に残りました。
ただ、オリキャラが主人公という時点で読むのを止める人も出たでしょう。
ちょっとチャレンジしすぎなように感じます。
主人公があっさりと自分が死ぬ事を受け入れてるのもなんだかなあと思います。
もうちょっと人間は生きるのに意地を張るもんだと思いますね。
ただ、穴というお題からこんなアイデアを発想してくるのは素直に凄いと思います。
その点だけは評価できますね。
16. 9 木村圭 ■2007/05/27 23:54:48
徹頭徹尾が逆走出来ない落とし穴。完璧な構成に惚れ惚れしました。お題補正で得点アップ。
17. 9 74 ■2007/05/28 23:00:02
この兄ちゃんかっこいいな
18. 8 shinsokku ■2007/05/29 01:10:29
おお、これはまたスムーズに幻想奇想。
グッときました。テーマも多重に絡んでいてお美事!
19. 4 らくがん屋 ■2007/05/29 10:25:18
面白いけど退屈ですわ。あとオチが拍子抜け。
思考実験的文章、とでも呼べばいいのかな。某扉の外を彷彿とさせる文章でした。淡々とした状況説明の文章が続くのは退屈だけど、そういう行動を取る主人公だからこそ最後の決断が自然に見える、のかも知れない。それは評価したいんだけど、やっぱ退屈ですわぁ……。
20. 4 鼠@石景山 ■2007/05/30 02:01:23
こういった幻想を受け入れる人間だからこそ、穴が開いたのかもしれない。
都合のいい話だけど、彼の勇気に敬意を表す。
21. 3 いむぜん ■2007/05/30 02:45:43
あら、助からなかった。
でも、どうなんだろう。同じ境遇だったら。俺もオタだから幻想郷の平和の為なら喰われても、むしろゆかりんに食われるなら……!
22. 6 ■2007/05/30 04:03:04

なかなか面白かったですが、オチにもう一捻り欲しかったです。いくらなんでも聞き分け良すぎだろこの男w
23. 6 リコーダー ■2007/05/30 15:56:48
タイトルのpeepからえっちい覗きを期待した。
青年すまぬ、安らかに。合掌。
24. 5 眼帯因幡 ■2007/05/30 18:17:28
幻想卿の風景を垣間見れた男性。
果たして彼は運が無かったのか、よかったのか。てゐの身近な穴と接続できていれば、生き長らえることも出来たかもしれませんね。
もし、死んでもおかしくない状況の後に幻想を見られたとしたら、運が良いと言い張ることが出来そうです。
勿論、無事に生き続けられるのに巻き込まれたら不運だったのでしょうけど。
その点で言えば、彼は幸運だったのではないかと思ってしまいます。
お疲れ様でした。
25. 5 たくじ ■2007/05/30 22:12:03
うわ…本当に殺されちゃったんですか。なんともかわいそうです。
26. 2 二俣 ■2007/05/30 22:24:02
この話なら、オリキャラからの視点ではなかったほうが良かったと。
オリキャラを『とある誰か』として突き放している分、感情移入が非常にしづらいのが読む身としてはちと辛いです。
27. 6 時計屋 ■2007/05/30 23:56:03
最初はなんだか羨ましい話だなぁ、と思っていたら……。
これといった罪も無く死んだ男に冥福を。

正直オリキャラが主人公ということで、最初は読むのに抵抗があったのですが、
終盤以降はお話に逆に引き込まれていくような感じでした。
ただ序盤〜中盤はちょっと冗長な感じもあったので、
このネタならもう少し話を短くして密度を上げても良かったかなぁ、と思いました。
28. フリーレス 藤村る ■2007/06/03 02:15:11
 オリキャラ死んじゃったか……。
 なまじ一人称で自我をもったキャラだったから、あっさり殺されたのを見てちょっとショックでした……。
 わりと無個性なキャラで、詰まるとこなく読むことができました。
 途中に挟まれるネタと、オチの容赦ない感じとのギャップが凄まじく、読んだ後もなんだかすっきりしませんでした。
 ていうか、ゆかりんガチ食いなのか……。
29. フリーレス K.M ■2007/08/01 23:46:35
「この度は私の作品に眼を通してくださり、ありがとう御座います」
と、まずは全ての読者の方々に対して感謝の言葉を。

この作品は、「穴=世界の境界を穿つもの」という認識が何よりの根底にあります。
当初、そのアイディアだけでプロットを考えているときは
単に外の人間が幻想郷を覗き見し時々酷い眼にあうだけのギャグ調物語だったのです。
しかし、その状態では『そうなる「原因」とその物語における「結末」』にいい案が浮かびませんでした。
そしてあーでもないこーでもないと色々考えているうちに、もう一つの要素
「陥穽」すなわち「悪意ある罠」というエッセンスが加わったのです。
それにより前述の案にこの「運命的な落とし穴」という要因が噛み合わさり、
このような(直接的描写は無いにしろ)死亡を含む結末に落ち着きました。

実は、原案では「紫様に力を分離してもらい、能力はなくなるがいつもの生活に戻る」オチでした。
しかしいつもならハッピーエンドを選ぶはずの私の頭がバッドエンドを考え、
かつ「Bad Endのほうがいい作品になるんじゃないか?」という囁きを続けたためにこちらを選びました。
コンペの時期が違っていたならば、あるいは別の結末だったかも……
これは、特定の期間内に作品を完成・投稿するというコンペの特徴を考えると野暮なことですかね。

それでは、お礼も兼ねて一人一人にコメント返しをさせていただきます。

>藤村るさん
ごめんなさい。苦い話なんです。
無個性さはそう狙って書いたので、そう感じてもらえる方が居て嬉しいです。

>時計屋さん
ぐは、またしても冗長になってしまいましたかorz
以前にも指摘されたことなので、色々と努力してみたのですが……さらに精進していきたいところです。

オリキャラに関しては、確かに悩んだのですが「SSコンペスレ5」の5を読んで勇気付けられ、
「やってみたい」という新境地開拓欲もありそのままの方向で突っ走りました。

>二俣さん
「外の世界から幻想郷を見る」という内容でオリキャラを使うなと言われると、
根本的に辛いのですが……(冷汗)。秘封にするのは、「二人」を動かすのが私のスキルでは
手に余ってしまいまして。(どうにも矛盾無く行動させることができず、期間の所為もあって断念)
あるいは「名前が無い」という点についてでしょうか?
こういうのは「名前の無い男」の方が面白いと思ったんですけどね……弊害がありましたか。

>たくじさん
この結末は、ひとえに作者のコンペ時の心持ちによる物です。
自分が書いてきた作品の中でも最も辛い命運をたどった彼には、
作者としても深く哀悼の意を表さずに居られません。

>眼帯因幡さん
幸運か不幸かを、他人が決定するのは難しいですよね。

>リコーダーさん
言わんとすることは分かります。私自身もちょっと頭をよぎりましたから。
魔法使いのパートは、エロいミスリードを狙ってみたのですがちょっと無理がありましたかね。

>執さん
確かに、彼は生に対する執着が薄いですよね……
あれやこれやと書いていると冗長になっていきまして、「グダグダになるよりはいっそ」……と。
……卑怯ですねorz

>いむぜんさん
そのときは、ぜひ悔いのない決断を……

>鼠@石景山さん
製作中にある意味「英雄」を意識したことは否定しません。

>らくがん屋さん
ぐぅ、エンターテインメントたりえませんでしたか。
「面白さ」の追求ってやっぱり難しいですね、

>shinsokkuさん
素直に褒めていただき、ありがとうございます。

>74さん
男にやらねばならぬときがある。
私は、スクライドの君島とかそんな感じのキャラは好きです。

>木村圭さん
「穴」と言う題材に、真正面から挑んでみました。その結果が上手く出せたみたいで、うれしいです。

>椒良徳さん
日本語の失敗・記号の使い方については指摘恐れ入ります。推敲不足でした。
オリキャラチャレンジは、上で書いた通りです。
「オリキャラ嫌いの人には読まれない」を覚悟の上で書きました。
死について淡白なのは……返す言葉もありません。これも上で書いた通りです。
ネタに関しては、褒めてくださりありがとうございます。
……なんだか、毎回毎回「ネタはいいが文章に難がある」と言われてる気がするなぁ……(自嘲的苦笑

>blankiiさん
「一人称か三人称か」「主人公の性格面描写」については色々と考えたので、
気に入ってもらえたのならば幸いです。彼もきっと成仏してくれるでしょう。

>desoさん
投げっぱなし式のお話よりも、きっちり決着つく話が好きなもので……
説明はどうしても入れたかったので、そこを削ることはできませんでした。

>流砂さん
辛辣な批評、恐れ入ります。いつか、もっと上手くオリキャラを扱える日を目指して……

>人比良さん
すみません、それが何を意味するのかすらもわかりませんorz
穴越しの視点についてどこかで無理があったのでしょうか?

>翼さん
死は悲劇か救いか……書いている私自身も、締め切りの直前まで悩み続けました。
潔さを美とするか否かも、又然り。

>どくしゃさん
ありがとうございます。そして感想に困る話でごめんなさい。

>爪影さん
それは確かに。
「落とし穴」と「窪み」の区別は、あとがきの理論で行けば結果論ですからね。

>名無し妖怪さん
最高得点の10点、ありがとうございます。
当初は、乞う慈悲は一つだけでした。しかし、それではあまりにも
死の恐怖が少なすぎると感じたのでもう一つ「安楽なる死」の願いを追加しました。
共感箇所が増えたのなら、それは改良に成功したのだな、と感じております。

>詩所さん
オリキャラに関しては、ホントにごめんなさいとしか……
東方分の薄さもこの形式では如何ともしがたかったですorz
覗いた事は……発作による突発的偶発、2回目以降は興味、って理由じゃダメでしょうか?

>板チョコさん
うーむ、やはり後味が悪かったですか……しかし、このエンディングは
苦い結末を目指した結果のことなので、その批評甘んじて受け入れます。

>乳脂固形分さん
原因と経過と結果と……そのすべては連続しているわけでして。

三国志ネタはダメでしたか。
私はこういう雑多なネタ・知識を絡めるのが好きなのですが……以降、自制します。

>反魂さん
ぐは、一応起承転結は意識したんですけどね……こんな感じで。
「起:怪奇の起こる原因」「承:怪奇の満喫」「転:違和感の発生」「結:一方通行の運命」

『穴を介してある男に起きた怪異』というイメージで、世にも奇妙な物語風の作品を
書き上げたつもりだったのですが……妙味が足りませんでしたか。
次回精進できるよう頑張りたいと思います。

>A・D・Rさん
気に入っていただけたのならば嬉しいです。ギャグ調からシリアスへの転換は
意識して狙ってやったので、ギャップを楽しんでいただけたのならば幸いです。

>秦稜乃さん
東方分の不足については、陳謝せざるを得ません。
外と幻想郷の関係については、褒めていただきありがとうございます。
紫様のテキストとかで色々思索した結果、この様なシビアかつドライな関係となりました。
名前 メール
評価 パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード