処方箋(内容物:心と時間)

作品集: 最新 投稿日時: 2007/05/13 08:58:48 更新日時: 2007/05/15 23:58:48 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00
注:この作品は非常に好き嫌いが分かれそうな展開になっております
  少年漫画嫌いな方は避けた方が無難かもしれません





ズキズキと痛くないところを探すのが難しいくらいに傷だらけの体があげる悲鳴
同時に、内臓が浮き上がるような奇妙な感覚に、白ばんでいた意識が急激に浮上していく
パチリ、と瞼を開くと天は下に、地は上に、世界が逆転していた

―――違うッ!

慌てて体の天地を入れ替える
自慢の長い髪が反動で顔を打った、それだけで悲鳴をあげたくなるような痛みが走るが、そんなものに気を取られていられない
現状―――体中に擦過傷、打撲、骨折有り―――問題無い
眼下に目をやれば、僅かな距離に生い茂った竹林が目に入る
気を飛ばしていたのは僅かに数瞬だったのだろうが、後少し遅れていたらと思うとゾッとする

「ああ、クソ、折角の一張羅が台無しじゃないか」

視線を下に向けていた分、自分の格好もあたりまえだが目に入ってくる
ズボンは右足の方が膝から下が無く、上着は元が長袖だなんて誰も分からないくらいに両袖が無くボロボロ
お気に入りのサスペンダーは何処かに飛んでいってしまっていた
服を確認し終わる頃には、体中からの痛みも綺麗に消えている
まったくこの便利で厄介な呪いには良い意味でも悪い意味でもお世話になる
どうせなら、服にも効けば良いのにと思うのは贅沢か―――

「―っと!」

咄嗟に捻った体の側を、ボロボロの服を更に引き裂くように光弾が駆け抜けていく
ギリギリで間に合ったから良いものの、少しでも遅かったら風に流されて飛んでいく布切れが自分の姿だっただろう

「あー、あー、ようやく意識がはっきりしたよ」

ポンッと自分の頭を軽く小突く、既に痛みは無い
そうだった
体の傷なんかより、服の汚れや状態なんかより、気にすることがあっただろうが

「妹紅、本気でやってくれないとつまらないわよ?」

いけ好かない声が聞こえる
さっきの光弾を打って、その前に私の一張羅を台無しにしやがった奴だ
視線を上に向けると、満天の星空
その星たちの王の如く君臨する満月を背に、私のものとは正反対の黒く艶のある長髪を風になびかせて
声と同じく、いけ好かないにやけ笑いを浮かべながらクツクツともらす女が一人

ふざけんな! ふざけんな! ふざけんな!

ギリッときつくかみ締めた奥歯が鳴る
胸の奥、感情が爆発していく

憎い! 憎い! 憎い!

理由? それこそ目の前の星の数ほどあるね
でも、とりあえず今一番むかつくことは


「輝夜ぁぁぁっ!!」


その、月の輝きに照らされた、お前の笑顔だ


















「処方箋(内容物:時間)」
















「あー、もうだめ、限界」

ポーン、とさっきまで私の手の中に収まっていた筆が綺麗な弧を描きながら飛んでいく
何房か髪の束が頬を打つが、気にならなかった
それよりも背中に当たる木の感触が気持ち良い
何故か何時もどおり自分の庵でゴロゴロしていたところを、いきなりやってきた慧音にその場で1時間ほど説教をくらい、これまた何故か慧音の家で勉強会という流れになっていた
勉強なんてもういや、あー、ずっとこうして寝転んでいたいなぁ

「こら、妹紅」

声のした方を向くと、呆れ顔をした友人が目に入った
だらしなく板の間に背をつけている私と違って、ピンッという音が聞こえてきそうなほど伸ばされた背筋
少しの崩れも見れない正座、胸元輝く真っ赤なタイには微塵の曲がりも見えそうに無い

「だめ、限界」
「だめ、限界、じゃないだろう」

ちぇっ、と更に行儀悪く舌打ちをしてから渋々体を起こして胡座を掻く
正座なんて5分もしたら立ち上がれなくなるようなもの出来るか
昔は出来たのかも知れないな、忘れたけど

「だいたいさー、なんで今更こんなこと言うのさ」
「今更じゃない、そもそも妹紅、おまえはぐーたら過ぎるぞ
 そんなことして勿体無いとは思わないのか?」

目を瞑って、過去にあった私の生活や失態を片っ端から指摘をはじめる
曰く、一日のうち半分も寝るのは勿体無いお前はどこぞのスキマ妖怪か
曰く、残りの半分をぼーっと過ごすのなんてもっての外
曰く、慧音が三日おきにうちに来た時布団に寝転がっていた私の体が数センチのズレすらなかった―――等々、さらに慧音に会う前の話すら出てくる
ダメだ、ありゃ私の歴史を見ながら愚痴ってる
それこそ終わりなんてきそうに無い

「別にいーじゃないか、私には『勿体無い時間』なんてモノは無いんだし」

ん? と変な声を出してから、腕を組んで考え込み始める慧音
お小言終了かーって、何だその格好は、あれか全然成長しない私に対するあてつけか
元々豊満な部分が組まれた腕でより強調されていた、どっかのメイド長が見たら涙を流しながら襲い掛かってきそうな光景だ

「んー、いやいや、やっぱりダメだ」
「しまった」
「ん? 何がだ?」
「ああ、いやいやこっちの話」

胸元に目を奪われてる暇があったら、とっとと逃げるべきだったか
でも、そうすると次に会ったとき説教だけで一日終わらせられそうだからなぁ

「まぁいいや」
「だから、何の話だ」
「いやいや、それもこっちの話」

心の内を晒けだしたら、満月の晩に外で歩けなくなりそうだから勘弁

「まぁいい」
「何の話?」
「こっちの話だ」
「こっちって、どっちの話さ」
「時間の話だ」
「あー、小難しい話は勘弁してほしいなぁ」
「小難しくなんて無い、良いか妹紅―――」

やれやれ、慧音の説教がまた始った
心の内で慧音の説教に反論する
口に出したら10倍ですまない量の説教が帰ってくるからなぁ

「時間は無限にあるなんて考えてはいけない」
(あるさ、私には)
「今、この一瞬は永遠に等しい価値があるんだぞ」
(私にとっちゃ永遠こそが一瞬の価値)
「ああ、いや、違うな、時間に価値なんてつけられない、つけてはいけないんだ」
(そうさ、時間に価値なんてつけられない、無いものは無いんだから)
「故に、今を精一杯生きなくてはいけないんだ」
(だから、今くらい忙しなく生きなくてもいいじゃないか)

最近、この友人は私の能力を忘れてるんじゃないかと邪推してしまいそうになる

「老いる事も死ぬ事も無い程度の能力」

―――すなわち、不老不死
ああクソッ、嫌なことを思い出した
私が着ているような着古して痛んだ服とは違う、綺麗で艶やかな服を着た仇敵の顔
自分で思い出して勝手に不機嫌になってちゃ世話は無いんだけど
長い間を生きてきても、感情の制御なんて悟りはこれっぽっちも開けちゃいない
目を瞑って説教をしだした慧音に背を向けて、玄関に向かって歩き出す
一回死ぬなり何なりして冷静にならなきゃなぁ
見つかっても逃げりゃいいやと、思いっきり玄関の扉を横に開いた

ぱちくり

目に入ってくるのは、どんぐりまなこが1ダース

「慧音せんせー、遊びに来たよーっ」
「バッカ、遊びに来たんじゃなくて勉強しに来たんだろ」
「慧音せんせーこんにちわー」
「あれ、おねえさん誰?」
「あ、私このお姉さん知ってる。慧音せんせーのお友達の人だよ」
「わー、白くて綺麗な長い髪ー」

あちらこちらに擦り傷を作った里の子供が6人、玄関の前で並んでいた
男の子が3人、と女の子が3人の合計6人
扉を開けて外へ出るつもりが完全に通路をふさぐ形で並んでいる
正直、固まってしまった
押しのけて出て行くわけにもいかないし、かと言って戻っても今の扉を開ける音で気づいた慧音が待ち構えているだろう

「ど、どうするかな」

これがでかい男とかなら問答無用で殴り倒してでも出て行くんだけど
さすがに子供相手は、なぁ?
―――と、悩んでいるのがやっぱり不味かった
ギシリと私の肩が鳴った、いや正確には鳴らされたというか悲鳴というか、あいたたたたた

「け、慧音……」
「やぁおまえたち良く来たな、さぁ上がって上がって授業を始めるぞ」

振り向くとにっこりと笑う慧音の顔
でも、私の目には満月でもないのに角が生えたように見えるんだよなぁ
慧音に言われて子供達が家の部屋の中へと上がっていく、草鞋をきちんと揃えてから上がっていくのは慧音の教育の賜物だろうか

「さて、妹紅何処に行こうとしてたのかは知らないが話も勉強も終わっていないんだからな」
「ううううう、もう両方お腹一杯だー」

ズルズルと、両肩を後ろから慧音に押されて部屋の中へと連れ戻されていく
中からは子供達の笑い声が響いていた





空が茜色に染まり、大人たちが仕事から帰ってくる時間
遠くでカラスの鳴く声が聞こえる、また何処かで文屋が何か悪巧みでもしているのだろう

「それじゃ、おまえたち気をつけて帰るんだぞ」
「はーい、慧音せんせーさようならー」
「妹紅おねーちゃんもまたねー」

慧音への礼と、私への別れの挨拶を言い子供達が帰っていく
玄関外まで出て行って見送る慧音と、玄関で座って見送る私
元気に手を振って応える慧音と違って私のほうは、もう体力の限界だ
口を開くのも面倒くさくて手を軽く振ってに応えるので精一杯だった

「それみろ、ゴロゴロしすぎで体力も落ちてるじゃないか」
「なんで、子供って、あんなに、無駄に元気、余ってるんだ……」
「まぁ子供はそんなものだ、元気が有り余ってるくらいで丁度良い」
「ほんと、慧音って、なんていうか、里のお母さんだね」

もう、ほんと、限界ー
ズリズリと背中が横にずれていくのが分かる、あと、まぶたも……ぐぅ





きゅー、とお腹が鳴る
何処かから流れてくる美味しそうな匂いに鼻がひくひく動くのが自覚できた
瞼を開くと入った憶えのない布団の中だった

「んんん……」
「ああ、起きたのか」
「あー、ごめん、あのまま寝ちゃってた?」
「布団に移しても起きないとは、よっぽど里の子供と遊ぶのに疲れたみたいだな」

や、その原因の半分はあなたの説教でもありますよ
もぞもぞと布団からぬけ出すと横の部屋で慧音が晩酌の準備をしていた
慧音とは逆側の襖を開けると、既に日は落ちきって暗く、フクロウの鳴き声が聞こえる
暑くも無く、涼しい寝起きには丁度良い風が眠気を洗い流してくれた

「何にせよ、今日はお疲れ様」
「ありがと、しかしほんとに疲れたよ」

襖は開けたまま、卓袱台に慧音と向かい合うように座る
台の上には美味しそうなおでんと日本酒の瓶、陶器のうつわがいくつか用意されていた
とりあえず、茶碗にとぷとぷと酒を注いでいく

「ぷあー、美味しいーっ!」
「うん、美味いな」

しばし、二人で今日のことについて語り合いながら酒を飲みあった
瓶の半分ほども飲み切っただろうか、頬をうっすら桜色にしながら慧音が話題を変えてきた

「妹紅、折り入って頼みがあるんだが」
「なにさ、かしこまっちゃって」
「出来ることなら、また子供達と遊んでやって欲しい。お礼に酒とご飯を用意するから」
「…………」

コト、と茶碗を台の上に置く
酒に酔ってはいたが、慧音の目は真剣だった
申し出は正直嬉しいが、私には人里には近寄らない訳がある―――が、まぁ毎日でないのなら

「そうだなぁ、たまにで良いなら」
「本当か!?」

途端に更に機嫌がよくなった慧音が置いた茶碗になみなみと酒を注いでこちらに突き出してきた

「まぁ、飲め」
「う、うん。いただきます」

なんか、慧音変わったなぁ何て事を思いつつ二人の酒盛りは続いていく
結果として、私は気が向いたときにふらっと慧音の家を訪れるようになった
今までも極稀に慧音の家に行くことはあったがここまでの頻度で行くことは無かった
里の者ともだんだんと顔見知りになり、異質な能力者を嫌うものも幾らかはいたが
慧音の友人であるということと、子供達と遊んでいる姿を他の里の大人たちに見られていたことで何時の間にやら仲間にされていたようだ
相変わらず、住処は人里から離れた山の中ではあったが空を飛べる私には苦になる距離でもない
よくわからないペースで襲ってくる馬鹿輝夜の刺客とか本人を相手にしたり、こっちから向かったりは何時もの事だったけど
そんなこんなで結構長い時が過ぎた

思えばこれが私の人生一番幸せな日々だったのかも知れない





ある満月の晩のこと、慧音に呼び出された
ひさびさに見る満月の下の慧音は、その角としっぽを月明かりの下に晒しだしていた

「どーしたのさ、慧音」

場所は人里はなれた私の庵と人里からも離れた山の頂上
辺りには獣と餌を求める妖怪達の気配しか感じられない
いくら、半獣の姿を里の者達に見せたくないからってこんな辺鄙なところに呼び出す意味が分からなかった

「いや、何、ひさびさに満月の夜なんでな」
「何だ、そういう事か」

切り株が程よくテーブルの代わりをしている、その上に酒の入ったと思わしき瓶が幾つか並べられていた
とりあえず、駆けつけ一杯
二人でぐいっと茶碗をあおる
そのまま無言で互いに酒を注ぎあっては飲み、幾ばくかの時間が流れた

「ぷふぅーっ、これで最後かな?」
「まさか全部飲みきれるとは思わなかったな」

辺りを見ると空になった瓶がいくつも散乱していた
よくもまぁ、これだけの量をたったの二人で飲めたもんだ

「妹紅、頼みがあるんだ」
「んー?」
「私はもう長くない」

―――は?
いきなり何を言い出すのかこの友人は、酒の上でも冗談が過ぎるだろう
酔いも吹き飛ぶ馬鹿げた発言に思わず慧音を見る
何時かのように、慧音が真剣な表情をして私の目を見つめていた

「おまえと付き合ってきてもう100年を超えているんだ
 半分であれ、人間の血が混じっている私は普通の妖怪達よりも寿命が短いのさ」

外見は妖怪の力で若いままだけど、と慧音が続ける

「で、でも、冥界のあの斬捨て侍はピンピンしてるじゃないか!」
「あれの主の能力は?」
「確か『死を操る程度の能力』……」
「死なすだけが『操る程度の能力』の範疇では無いのだろう」
「じゃぁ、慧音もあの亡霊嬢に頼んで」

冥界へと飛び出そうとする私を慧音が止めた

「側に居続けるわけでもない私には効くかどうかは分からんさ、それに」

さっきまで元気だった慧音の体がガクリと崩れ落ちた。
慌てて駆け寄って抱きとめる。
側によって始めて気づいた。
慧音の顔、汗でびっしょりだ。

「なんでそんなこと……酒なんて飲んでる暇あったら何で先に言わないんだっ!」
「最後に近しい人とゆっくり酒くらい飲む、それくらいの我侭良いだろう?」

何で私は友人の体調に気づかないんだ……。
唇を思いっきり噛み締める、ブツっという音と共に口の中に地の味が広がった。

「それで」
「うん?」
「最後の頼みって何だよ」
「ああ、今から私がすることを見守っていて欲しい」

力なく私の胸を押して慧音が立ち上がる。
膝に力が入らないのだろうか、ふらふらと体が揺れていた。
止めたい、でも本当に慧音の最後は近いんだろう。
それなら友人として、最後の頼みくらいは聞いてあげたいと思った。

「今日が満月で本当に良かったと思う
 私の『歴史を隠す程度の能力』『歴史を創る程度の能力』、残った力全てで里にこれから先起こる災厄全てを消せるだけ消す!」

ぼうっと、慧音の体が光り始める。
赤い瞳が爛々と光を放ち、髪の毛一本一本までもが輝いていた。
1分ほども経たない時間が流れ、やがて慧音がとさりと地に臥した。

「慧音っ!」
「も、こう……最後にもうひとつだけ」
「なんだ! 頼みか!? もう幾つでも聞いてやるから!」

多分、涙でぐしゃぐしゃになった顔で無理やり笑顔を作る。

「里、永遠に、厄を消すのは無理だった、悪いが、守ってやって、くれないか……」
「うん、うん! 分かった!」
「それと、我侭かもしれないが……」
「何だよ! 水臭いなぁ! 我侭だなんて思わないよっ!」

ダメだ、感情を制御出来ない。
胸の中に火が灯るのが分かる。

「私の亡骸は、おまえの、炎で、焼いて、欲しい」

その一言を最後に。
慧音の目から光が、腕からは力が消え。
角と尻尾が消えて、普段の慧音に姿は戻り、その顔には満足そうな笑顔が浮かんでいた。

「慧音ぇぇーっ!」

私の背を突き破り、鳳凰が姿を現す。
制御なんて出来ない。
炎の温度が急激に上がり続ける。
その炎は術者である私の体すら焼きだしていた。
溢れる涙も、慧音が撫でてくれた髪も、慧音と一緒に灰になるだろう。
鳳凰は、私の体と慧音の亡骸を共に焼きながら天へと昇っていく。
どうせ私は気がついたら何処かで倒れているのだろう、五体満足な肉体で。
それなら、今は一緒に眠ろう、慧音。

鳳凰が、天へと、昇っていった。


















目が覚めた私を里の子供が見下ろしていた。

「あ、妹紅おねーちゃん起きた?」
「う……ん」

物凄く気持ちが悪い。
空にはお日様が煌々と輝いている。

「妹紅おねーちゃん、こんなところで寝てちゃダメだよー」
「いや、悪い悪い、酒の飲み過ぎで倒れてたみたいだ」
「うちのおとーさんみたいな事言うね」
「おまえのおとーさんも私みたいに酒飲みか」
「うん、いっつもおかーさんに怒られてるよ」
「そうか」

ぐりぐりと頭を撫でてやる。
子供は嬉しそうに笑った後、里に向かって帰っていった。
私が倒れていた場所は里が見下ろせる少し開けた丘のようなところだった。
日が真上を過ぎて少ししたくらいか、畑で作業をするもの、隣の里に向かうもの、騒がしく遊ぶ子供達。
―――守ろう、ここを。
慧音の願いでもあるし、何より今はそれが私の生きがいだ。



それから私はほとんど毎日里に顔を出すようになった。
慧音の行方を聞く里の者もいたが、大人にのみ理由を話し。
子供達には「別の里を守りにでかけたのさ、その代わりのこの私が守ってあげるから」と言っておいた。
慧音がいなくなって寂しくはある、心の内に大きな穴が空いているのが感じられた。
守っている大人達が老いて死に、遊んでやっていた子供達が大人になっていく、その大人が子を残して消えていく。
そんな様を私は見守っている、これは慧音の仕事のかわりだ。
里の歴史を私が伝える、私が守る。
しかし、私には一つだけ問題が起きていた。

「『不死「火の鳥 -鳳翼天翔-」』!……ダメだ、出ない」

最後に鳳凰を出したのは慧音の死んだ日。
それからしばらく経った日に攻めてきた輝夜を前にして、出ないことに気付いた。
そんな私を笑いながらいたぶって輝夜は帰っていく、そんな事が幾度かあった。
元々、輝夜自身が私を襲いに来ることはあまり無い。
今まではほとんどが私から永遠亭へ襲いに行っていたからだ。
それが、里を護りだしてからは行くことをやめていた。
輝夜の事をすっかり忘れていたから、とも言える。
今ではあいつの顔を思い出しても多少は気分が悪くなる、その程度しか心が揺らがなくなっていた。

「クソ! なんで出ないんだ」

何度もスペルカードを発動させたが、鳳凰が出てくる兆しは無かった。
幸い、空を飛ぶ力は残っていたようで庵から里に顔を出すのは苦ではなかったが。
空を見上げるとお日様が真上に上がるまでもう少しといったところ。

「……里に行くか」

力なくふわふわと空を飛んでいく、鳳凰が出ないというだけで此処まで無力なのか、私は……っ

「やっぱ、遠いよなぁ」

庵から里まではフルスピードで飛ばして10分くらいはかかる。
今日は鳳凰の確認の為、もっと遠くへ行っていたのが仇になったようだ。
いきなり出て庵吹き飛ばしたり、里に被害を与える訳にはいかないからな。

「……あれ?」

もうすぐ里が見える、といったところで違和感を感じた。
今日は祭りなんて無い。
あんなに煙が空へ上がっていく筈が無い。
嫌な予感が心を過ぎる。

「嘘、だろう」

やがて里の上空へたどり着いた私の目に入ってきたのは。

血、血、血、血、血、血、血、血、血
屍、屍、屍、屍、屍、屍、屍、屍、屍

血と屍の山、それに焼けた家。

「な、なんで、慧音が守ってるんじゃなかったのか?!」
「妹紅おねーちゃん…」

名前を呼ばれた方へと走りだす。
まだ辛うじて息があるのか、少女が一人、全身に酷い火傷を負って倒れていた。
一目見て、後がないと分かるそんな酷い状態だった。
抱き起こして頬を軽く叩く。

「おい、大丈夫か、私が来たからにはもう大丈夫だからな!」
「おと…さんは?」
「あっちにいる、大丈夫だから」
「よかっ……たぁ」
「何があった? 誰にやられたんだ!?」
「綺麗な…着物で……長くて、げほっ、綺麗、な髪の……おねーちゃんが」

続きを言おうと口を動かすが、少女の口からはヒューヒューという音しか漏れて出ることは無かった。
やがて、それもすぐに止み。
少女が次の言葉を紡ぐことは無かった。

「あ、あ、あああああああああああああああああああああああああ」

もう、息もしなくなった少女を胸に強く抱きしめる。

「またか! また私は何も護れなかったのか!」

大分昔に慧音が言っていた言葉を思い出す。

「時間は無限にあるなんて考えてはいけない」
(ほんとだな、無くなるのなんて一瞬だ)
「今、この一瞬は永遠に等しい価値があるんだぞ」
(ほんとだよ、今この瞬間にこそ価値はある)
「ああ、いや、違うな、時間に価値なんてつけられない、つけてはいけないんだ」
(そうさ、時間に価値なんてつけられない)
「故に、今を精一杯生きなくてはいけないんだ」
(私だって、あれから精一杯生きてきた! それにこの子達だって……今を精一杯生きてきたんだ!)

寿命を果たして、死ぬもの達は良い。
そういう奴らが満足そうな顔をして逝くのを見るのはもう慣れた。
でも、これはないだろう?
まだまだ世の中には楽しい事だって沢山あるんだ。
またこの少女とも酒を酌み交わす日が来て、子供を抱いてやって、笑顔で見送る、そんな普通の日々を……

「……ぐや、輝夜ぁっ!」

あの日、慧音との分かれの日以来感じていなかった暗く、熱い感情が胸に灯る。

「輝夜っ! 輝夜ぁっ! あああああああああああああああああああ!」

叫びつづけて、叫びつづけて、叫びつづけた。
そして、目の前が真っ赤に染まる。
少女の遺体を焼き尽くして、鳳凰が再び産声を上げた。















兎が逃げ惑う、どんなに逃げたって無駄さ。
私が片手を振っただけで炎は貴様達を逃がしはしない。

「出て来いぃっ! 輝夜ぁっ!!」

あれから、里の者達の遺体を全て集めて供養した。
私の炎で皆を焼いた、生き残りは一人も居なかった。
皆が死んだ理由は私にある、そんなことは百も承知だ。
でも、それでも。

「この、怒りだけは絶対に! 里の皆の無念だけはぶつけてやる!」

いま、私の体は燃え上がっている。
以前慧音の体を燃やしたときと同じくらいの温度だ。
それが、今は制御できている。
里の皆と、慧音が護ってくれているのだろうか。

「逃がしはしない、容赦もしない、命乞いも聞いてやるものか!」

無謀にも飛び掛ってくる兎を炎が包み込む。
普段の私なら、無益な殺生なんて好まない。
でも、おまえらだけは別だ。
実際にあの場にいたやつなんて僅かだろう、それでも私の知ったことか。
片っ端から、目に入った兎を焼き、屋敷を燃やしながら私は進む。
私が進んできた道が全て炎の道となっている。
どうせ、この道の行き着く先は決まっている。

「あら、いらっしゃい」

幾つ襖を開けたのだろうか、何匹の、いや何十匹の兎を焼いたのだろうか。
今までで一番豪華な襖を焼き落とした先に、優雅に座り込む輝夜がいた。

「随分と遅かったのね、ずっと待ってたのよ?」
「輝夜あぁっ! おまえだけはっ! おまえだけはぁっ!」

鳳凰の翼と共に目の前の仇敵に踊りかかる。
しかし、それが当たる事は無かった。
輝夜が私が飛び掛ったと同時に、真上に弾幕を放ち屋敷の外へと飛び上がったのだ。

「逃げんなぁ!」
「いらっしゃい、妹紅。今夜の月は良い月よ一緒に踊りましょう?」

そう言って、くるくると挑発するように空中で踊り始める。
こんな馬鹿の為に皆は死んでいったのか……

「その命、永遠に燃やし尽くしてやる輝夜!」
「その心、永遠に私が縛ってあげるわ妹紅!」


























ドンッ……

はるか彼方で起こった爆音は空気の壁を伝わり此方へと届く。
場所は洋館、紅き屋根、紅き壁、そして庭に咲き誇る紅き薔薇達。
それら全てを見下ろせる時計塔の最上階。
開け放たれた窓に行儀悪く腰掛け、紅い液体がなみなみと満たされたワイングラスを傾ける妙齢の美女が一人。
ゆっくりと傾けられたグラスから最後の一滴がその口に消えると、形のいい唇からひとつため息が漏れた。

「ああ、なんて―――」

もの憂げな表情を浮かべた美女の指から、ワイングラスが零れ落ち月の光に瞬きながら窓の外へと落ちていく。
水風船が弾けたような軽い音に気を止める事も無く、人間の肉眼では何も見えそうにも無い夜の闇へとその視線は固定されていた。
部屋の隅で待機しているメイド達も仕える相手のおかしな行動に首をかしげている。
まぁ、その相手の行動に理解できるところなど今まであったことなど無いのだが。

「うらやましいっ!」
「待ちなさい!」

今まさにワイングラスに続いて外へと飛び出そうと窓の桟にその足をかけた瞬間。
スパァンッ! と快音を響かせつつ豪奢な両開きの扉が豪快に開かれた。
床に真っ赤な靴で浅い穴を開けながら美女へと詰め寄っていく美幼女。
美女の胸にも届かない低い身長、フリル一杯のピンクの服は軽やかに揺れ。
不機嫌そうに釣りあがった眉はより一層見た目を幼く見させる。
幼女臭と頬っぺたを膨らませてプンプンさせているのはこの館の主人、レミリア・スカーレットだった。

「げ」
「げ、とは失礼ね」
「あいたっ、痛い痛いっ!」

片足を上げたまま、露骨に嫌そうな表情を浮かべた美女の耳を幼女が背伸びしながらひっぱる。
なんともシュールな光景だが、控えているメイド達は驚きの表情どころか安堵の表情を浮かべていた。

「こら、窓から飛び出して何処に行こうとしていたのさ」
「だってー久々に思いっきり弾幕ごっこ出来そうだったんだもん―――って、だから痛いってば!」

レミリアが、ふん、とその低い鼻を一つならしてから指を離す。
ようやく赤いパンプスのかかとがカーペットにその身を下ろした。
美女の方はといえば、耳を引っ張られたせいで桟から落ちてカーペットにそのお尻をつけ、僅かに涙目になりながら引っ張られて赤くなった耳を撫でている。

「お姉さま嫌いー」
「はいはい、嫌いでいいよ。体ばっかり大きくなって心の方はまったく成長しないんだからこの子は」
「ぶー」

レミリアをお姉様と呼ぶ、美女の名は「フランドール・スカーレット」姉に似ずすくすくと成長した結果がこれだった。
今度は対照的に膨れ上がるフランドールを尻目にレミリアがパチンと指を鳴らすと、控えていたメイドの一人が慌てて椅子を運んできた。
軽くジャンプしてその椅子に腰掛けたレミリアを見て、フランドールが膨れ上がった頬に溜まった空気を噴出して笑い声を上げる。
そんなに深く腰掛けていないのに、つま先すらカーペットに触れていないのがツボに嵌ったらしい。
いや、腕置きに肘を着こうとして腕が地面と平行に開いているところだろうか。
ともかくフランドールが腹を抱えて、姦しい笑い声を上げながらカーペットをゴロゴロと転がっていく。
ひとしきり転がり鈍い音をたてて部屋の壁に激突してようやく笑い声が止まった。

「あー、可笑しい」
「可笑しくなんて無い」
「まぁまぁ、お姉様」
「ほんとに成長しないね、おまえは」

肘を着くことを止め、膝の上で手を組み合わせてから、深く長居ため息を一つ。

「で、弾幕ごっこがどうしたって?」
「あ、忘れてた。凄いよお姉様、真っ赤で、ドーンってなって、すっごい綺麗」

大仰に両手を振り回しながらフランドールが全身で弾幕の凄さを表現する。
加減せずに動き回る体は、その胸部についている立派に成長した二つの塊も加減無く跳ね回らせる。
当然それを見るレミリア(ここ数百年0.1mmの成長すらなし)を不快にさせるが表現に忙しい妹様はそんな姉の変化に気づく筈も無かった。

「さっきから耳障りなこの音の事か、どうせまた馬鹿が二人遊んでるだけだろう」
「んー、何時ものとは何か感じが違うよ。なんていうか、昔の私みたい」
「まぁ、あいつらもそういう気分になる時もあるだろうさ」

ゴソゴソと洋服の首元から銀の時計を引っ張り出すレミリア。
それを見て、フランドールも自分の胸元にある金色の星型バッチに目を移した。

「うん、そういう気分になる時もあるよね」
「フラン」
「何、お姉様?」
「それ、すっごくダサいと思うのだけど」
「いいの、私が気に入ってるんだから。お姉様だってその時計肌身離さず着けてるじゃない」
「私のは実用性があるから良いんだよ」
「わ、私のだって実用性あるもん」
「ほう、たとえば?」
「ん…………、ぎ、銀の銃弾を受けても守ってくれる!」

妹の咄嗟に考えたとしか思えない答えに今度はレミリアが腹を抱えて笑い。
そんな姉を、また頬を膨らませながらフランドールが「お姉様なんて嫌い!」を連呼し始める。
遠くで爆音が鳴り響く中、吸血鬼の姉妹は今宵も仲が良かった。

























遠くで爆音と、吸血鬼姉妹の笑い声が僅かに聞こえるだけの静かな空間。
周囲を無数の本棚に囲まれる中、二人だけの茶会が開かれていた。
円卓に着くのは成長した七曜の魔女と、七色の魔法使い。
互いに互いを見ることなく、手元の本に目をおとしていた。

コトリ

どちらが鳴らしたのかは分からないが、紅茶の入ったカップがソーサーに触れる小さな音が鳴り響く。
外部の音が漏れてこなければ、耳鳴りがしそうなほどに無音の世界ではその音がやけに大きく感じられた。

「……騒がしいわね」
「それってここの主のこと? それとも―――」

タイミングよく、また遠くから爆発音が聞こえてきた。

「この馬鹿みたいな音を出してる二人?」
「……どっちもよ、それとここの主は私」
「ああ、そうだったわね」

クスリ、とアリスが小さな笑い声をこぼす。
飲みきったのだろうか、ソーサーごとカップを横によけると組んだ手の上に形のいい顎の下をあずけた。
読んでいた本に自家製だろう、たんぽぽの形を模した栞を挟み、閉じる。
左を向いてあいかわらず目線を下に、本を読みつづける図書館の主に一度目を留めてから背後に並び立つ本棚を眺めだした。
数などそれこそ数え切れないほどにある本棚達からは威圧感すら感じられた。

「この間来た時から、また増えたわね」
「……当たり前よ、この間って何年前だと思ってるの?」
「最近、ようやく研究がまとまったのよ」
「……それで最近来なかったのね」
「長年の課題だもの、夢中にもなるわ」
「…………で、その成果があれってわけ?」

パチュリーがゆっくりと、非常に緩慢に目だけを本から右にずらしてアリスのその後方、真剣そうな顔で何やら床を見つめる小悪魔と頭にある大きなリボンが目立った金髪の少女を見る。
小悪魔と少女が見つめる床をよく見ると、52枚の長方形が無規則に散らばっていた、絵柄を伏せられたトランプだ。
お互いに一切の発言をせず、今度はただひたすら変わりばんこにトランプを二枚ずつめくり合う。
しかし、めくりあった回数が100を超えても同じ数字が揃うことは無かった。
いい加減に限界に達したのか既に涙目になった小悪魔が主人を見据える。

「パチュリー様っ! どうなってるんですかこれ、詐欺ですよ詐欺!!」
「シャンハーイ!」
「……どうもこうもないわ」
「ムキーッ! 全部揃えれたら望み聞いてくれるって、聞く気ないんじゃないですかーっ!」
「シャンハーイ!!」
「……だから、全部揃えれたら聞くって言ってるじゃない」
「パチュリー様の鬼!悪魔!紫モヤシ!」
「シャンハーイ!!!」
「……鬼はここの館の主、悪魔はあんた、それと紫モヤシ?」

腰掛けていた椅子から、ゆっくりと立ち上がるパチュリー。
――おお、なんたることか。
昔とデザインが変わらぬ赤と白のストライプで彩られたワンピースはしかし、服の上からでもその抜群のプロポーションが見て取れた。

「……この体が、もやし?」
「ムキー!! 昔はあんなにモヤシだったのにズルイですよーっ!」
「ほんとよ!」

バンッ! と大きな音を立てて円卓に両手を着いてアリスが立ち上がる。
――ああ、残念なるかな。
昔とデザインが変わらぬ青と白で構成されたワンピースはしかし、重力に引かれるままにその布を曲げることなくその姿を晒していた。

「シャンハーイ……」
「うう、ありがとう上海慰めてくれるのね」

小悪魔とゲームに興じていた少女がアリスを慰める。
この少女こそ、七色の人形遣いアリス・マーガレットが長年をかけて研究した成果、完全自立人形の試作型「真・上海人形」だった。
完全自立ではあるが、発言機能が未だに出来ていないため「シャンハイ」以外の発言が出来ないのが難であった。
ちなみに、別にアリスの不幸オーラを大量に浴びた上海が進化したわけではない。

「……そういえば、あんたの望みって何だったの?」
「もちろん、思いっきりパチュ様を好きにすることです!」
「……あ、そ、揃えられたらね」
「揃えられる訳ないじゃないですかぁっ!」

目の前で乳繰り合うでっかいものを持つ小悪魔とパチュリーを見てアリスがどんどん落ち込んでいく、そんなアリスを必死に慰める上海人形。
――おお、悲しきかな。
己が胸の無さを嘆く主人を慰める上海人形はしかし、その僅かな膨らみを主人に押し当てていた。

「みんな嫌いよーっ!」
「シャ、シャンハーイッ!?」

自らの製作物に負けたことに甚くプライドを傷つけられたのか、キラキラと涙を振りまきあげながらアリスが図書館から走り出していく。
困惑した表情で頭にある大きなリボンを揺らしながら上海人形がそれを追って飛んでいった。

「ちょっと、上海さん手伝ってくれるんじゃなかったんですかーっ」

更に二人を追って出て行く小悪魔。
そんな友人達を見送ってから、パチュリーがまたゆっくりと椅子へと腰をおろした。

「……ほんと、何処も騒がしいわね」

深呼吸を一つして、円卓の片側を見やる。
円卓に座るはずの者は二人、しかし椅子はは三人分用意されていた。
きっちりと外周を三等分するように配置された椅子の一つは主人であるパチュリーのもの、机の上にカップと本が置きっぱなしになっているのはアリスの席。
そしてもう一つには―――

「……あなたが居なくなってから、何も変わってはいないわ」

椅子に立てかけてあるのは、使い古された箒が。
机の上には図書館の常連であった普通の魔法使いがトレードマークにしていた黒の魔女帽がちょこんと置かれていた。

「……寿命まで普通じゃなくても良かったのにね」

さて、と小さく気合を入れて再び立ち上がる開きっぱなしになった扉に体を向ける。
久々に動かない大図書館が動こうとしていた、目的は一つここから出て行った今日の主賓を迎えに行くこと。
帰るなら帰るで忘れ物くらいは届けてやろうとでも思ったのだろうか。
置きっぱなしにされている友人の本を手に取り、扉の縁に手をかける。

「……行ってきます」

そう言って、ゆっくりと扉を閉めていく。
今、図書館には誰もいない。
たまにはそれも良いだろう、人の目を気にせず本に囲まれるのは素晴らしい環境だ。
パチュリーが、歩き出そうとしてその足を止める。

「……そうそう、当図書館では持ち出しは厳禁。 黙ってもってかないでー」

広大な本のみが収容された空間から扉一枚隔てた薄暗い廊下の中、聞く者のいない冗談めいたセリフが夜の闇へと溶けていく。

























光と音を伴い、黒い空に赤が咲き乱れる。
そんな様が良く見える丘の上に三人の女性の姿があった。

「凄い凄い! 綺麗ー!」

赤を基調とした服に、赤い帽子を被った女性が遠くの空で開く華を見て飛び跳ねる。
長く、すらりとした健康的な手足を振り回して元気に跳ね回っていた。
手足に負けないくらいに、頭の上にある黒い耳と同じく黒いしっぽが忙しなく動き続ける。

「こらこら、そんなにはしゃぎ回ると怪我するぞ」
「あら、元気があって良いことじゃないの」

興奮して聞こえていないのか、止まることなく動き回る女性のその後ろ紫と白で彩られた服を纏った金髪の女性が二人。
同じような優しい目で女性を見つめている。

「ダメです、いい加減少しくらいは落ち着きを持って欲しいものなのですが」
「私は元気のある方が好きよ?」
「紫様が甘やかすから何時までたっても成長しないんじゃないですか!」
「んー、じゃ、藍は落ち着いた橙が想像できる?」
「う……それはちょっと」

手にもった扇で口元を隠し、クスクスと隙間妖怪が笑う。
そんな主と変わらずにはしゃいでいる式を見て九尾の狐はガックリとうな垂れた。

「でも、ほんの少しくらいは落ち着きを持って欲しいと思っているのは本当です」
「そうね」

興奮が絶頂に達しているのか、服が汚れるのも構わずに転がりまわったり、辺りの木で爪研ぎを始める猫娘を見て二人は同時にため息をついた。

「あの子、また背が伸びたみたいね」
「ええ、もう私よりも高いかもしれません」
「月日が経つのって早いものね」
「紫様が一年の四分の一寝てるのが原因じゃないですか?」
「あら、それって寝ぼすけな私に対する嫌味かしら?」
「そんなつもりで言ったんじゃありませんよ」

互いに微笑みあう主従。
と、いきなり紫が目の前の空間にスキマを作り手を突っ込み、引き抜く。
その手には何処から持ってきたのだろうか、熱々に燗された徳利が一つにお猪口が二つ握られていた。

「折角良いツマミが目の前にあるんですもの、一杯飲みましょう」
「喜んで」

空のお猪口が軽くあたって、ささやかな宴が始った。





二人が二本目の徳利を空にする頃。
暴れまわってすっきりしたのか、橙はふかふかの芝の上で丸くなって眠ってしまっていた。

「やっぱり、良いツマミを食べながら飲むのもいいけど」
「見ながら飲むのも良いものですね」
「命を散らす様はどうあろうが美しいものよ」
「それが減らないものであってもですか」
「皆が減らなければ良い、なんて思うのはやっぱり欲張りなのかしらね」
「それは……どうなんでしょうね」

ゆっくりと起こさぬように藍が橙に近寄り、その頭を優しく撫でた。
橙がくすぐったそうに体を揺するが、やがて安心したようにまた寝息をたてはじめる。
寝顔を見つめたまま、藍が口を開いた。

「紫様、それではそろそろ」
「藍」
「橙のこと、よろしくお願いします」
「……藍」
「お酒、大変おいしゅうございました」

笑顔を浮かべて紫の方を向き、空になったお猪口を放る。
紫が一瞬それに目を奪われ、戻した先には藍の姿は既に跡形もなく消えていた。
トサリ、と軽い音を立ててお猪口が芝の上に落ちる。

「やれやれ、あの笑顔じゃ幽々子の所には行きそうに無いわね」

よいしょ、と落ちたお猪口を拾う。

「橙になんて言えば良いんだか」

眠る式の式に近寄り、出来るだけゆっくりと、優しく頭を撫でる。
震える指先で起こしてしまわぬようにゆっくりと。
未だ、遠くの空では大輪の華が咲いていた。

























「幽々子様ーっ!」

大きなお屋敷の縁側に腰掛けて茶を飲む幽々子に背中のニ刀をカチャカチャ鳴らしながらを銀髪の少女が走り寄ってきた。

「お茶菓子まだー?」
「あ、それはこちらに……って、そうじゃないですよ!」
「もー、うるさいわねぇ」

文句を言いつつも、しっかりと差し出された羊羹に手を伸ばす幽々子。

「この羊羹美味しいわー」
「私が作りましたから」
「ほんと料理が上手ねぇ、ご褒美に頭を撫でてあげましょう」
「わ、ありがとうございます……って、だからー!」

頬をうっすらと赤く染めつつ撫でられていたが、すぐに正気を取り戻した。

「さっきから何を騒いでるのよー」
「何をって、聞こえてないんですか!?」

遠くから僅かに聞こえてくる爆発音に、少女が「これです、これ!」と声を張り上げる。
他に聞こえる音が風に木々がざわめく音くらいだ、聞こえないはずは無いだろう。

「これ、結界の向こう側、現世から聞こえてきてるんですよ!」
「これって、ドーンとか聞こえてくるこれのこと?」
「そうですよ、現世の音がここまで聞こえてくるなんておかしいですよ!」
「そんなに大きな声出さなくてもちゃんと聞こえてるわよー」

耳元で怒鳴りたてる少女に、幽々子が耳を抑える。

「耳が痛いわぁ」
「私、原因を探ってきます!」

ペコリ、とお辞儀を一つしてから少女が背を向け走り出した。
いや、走り出そうとしたが幽々子に襟首を摘まれつんのめる。

「まぁまぁ、待ちなさいな」
「ゲッホ、ゲホ、何するんですかぁ」

当然のことながら少女が咳き込んだ。

「お腹減ったからご飯作ってー」
「えええ、一時間くらいまえにご飯食べて今羊羹食べたじゃないですか」
「作って」
「あ、うー、分かりました」

渋々といった表情で屋敷の中へと入っていく少女。
「久々に現世の物が斬れると思ったのに」と、呟き声が聞こえたが幽々子は知らん振りを決め込んだようだ。

「どうやったって、あの子が敵う相手じゃないしねぇ」

常に薄暗い冥界の空を幽々子が見つめる。
その目には結界を越えてその向こう、現世で戦いあう二人の少女が見えていた。

「幽々子様ー、簡単なものでも良いですかー?」

屋敷の中から先ほどの少女の声が聞こえてきた。

「ダメー、きっちり出汁とって作った美味しいものが食べたいわー」

応えるように幽々子が返す。

「輪をかけて真面目かと思えば斬り癖にも輪がついてるし、自分の娘くらいしっかり躾ておきなさいよねぇ、妖夢」

屋敷の中からは良い匂いが流れてくる、この様子では程なく美味しいご飯が運ばれてくるだろう。
さてさて、と残って温くなったお茶をぐいっと飲み干して幽々子が大きく息を吐く。

「大事な子に危険と分かってる旅なんてさせられないものねぇ」

幽々子の頭の中には過去に妖夢に頼んだ数々の無理難題が浮かび上がっていた。
その中から出来るだけ時間が多く掛かるものをいくつかピックアップする。
どうせ、現世の戦いはしばらく終わりそうに無いのだ。
これを機に堪え性でも持たせましょうか、と幽々子が小さく呟いた。
























現世で鳴り響く音は冥界にも届く、それなら此処にも届かないわけが無い。

「おーおー、全く派手にやってるねぇ」

果ての見えぬ霧が立ち込めた大きな川のこちら側。
彼岸の花が咲き乱れた土地の僅かにある痩せた木に背をあずけて死神が腰掛けていた。

「頼むからあたいの仕事を増やさないでおくれよ、ただでさえ此処最近はここにやってくる奴が多いんだから」

ふわー、と大きく口を開けて欠伸を一つ。
目を閉じた死神の後ろにはその名もまさしく閻魔の表情を浮かべた上司が仁王立ちしていた。
不意打ちの蹴りが頭に直撃する。

「きゃんっ」
「そういうセリフは真面目に仕事をしている者にしか言う権利はありませんよ?」
「ややや、やだなぁ四季様、ササササササ、サボってなんかいませんよー」

おろおろと、どもりながら言い訳をする部下を映姫が冷たい目線で見下す。

「あああ、あれ、鎌何処行ったかなー?」
「まったく最近は少しは真面目になったと思っていたのですが、目を離した途端にこれですか」

四つんばいになって草を掻き分けて鎌を探そうとする小町を見て映姫が深く深くため息をはく。
これで本日何度目のため息になるのだろうか、一回で一つ幸せが減るのなら既に映姫の幸せはマイナスになってもおかしくは無いだろう。

「あ、あった」
「小町! あなたは少しは自分の仕事に責任というものを持ちなさい!」
「きゃんっ!」

ようやく発見した自分の商売道具を嬉しそうに抱く小町の大きなお尻に映姫の蹴りが容赦なく打ち込まれた。
蹴られた臀部を抑えて小町が転げまわる。

「ひぃん、四季様の乱暴者ー」
「蹴られたくなければ真面目にしなさい!」

遠くで爆音がなった。

「……はぁ、あの二人にも困ったものですね」
「あの二人はこっちに来ないから良いですけど、とばっちり受けた奴らが此処に送られてくるのが困りモノですよ」
「小町、あなたのその考え方は間違っています。それにあなたは単に自分の仕事が増えるのが嫌なんでしょう?」
「えーと、その、あはははははははは」

ポリポリと頬を掻いて苦笑いを始める小町を見て、再度映姫がため息を吐いた。

「あーっと、そういえば四季様あいつら止めに行かなくて良いんですか?」
「何故、私が?」
「だってあいつら争い合ってるし、罪じゃないんですか?」
「ふむ……」

小町が必死に話題を変えようとしたのは、どうやら成功したようだ。
相当強引ではあったが「罪」という単語に映姫が反応して考え始める。
それを見て、小町がゆっくりとすり足で移動を始めた。
膝から上を一切動かさずに本当にゆっくりとだが映姫の死角へと動いていく、どうみても逃げる気満々だ。

「小町」
「ひえぇっ、な、なんでしょう!?」

あとほんの少しで逃げる準備が整う、というところで映姫が小町の名を呼んだ。

「何変な声を出しているのですか、帰りますよ」
「へ、え、帰るんですか? 説教…もとい、罰を与えに行くんじゃないんですか?」
「ただでさえ仕事が溜まっているのに、そんな出張するわけがありませんよ、それに―――」

映姫が、少し躊躇いながら続ける。

「―――彼女達には、これ以上の罰は必要ないでしょう
 生き続けることが罪ならば、それもまた罰に等しい
 本当に稀有な存在ですねあの二人は、白か黒かで言えば黒ですが今はその罰で十分でしょう」
「はぁ、そんなもんですか」
「そんなものですよ、さぁ仕事に戻りましょう」

映姫がふわりと空に浮かび上がる。
さすがに小町も目の前でサボるわけにはいかないのか、漂っていた魂をいくつか船に放り込み漕ぎ始めた。

「そうそう、さっきサボっていた分と逃げ出そうとしていた分は後でみっちりお説教ですからね」
「えええええ、勘弁してくださいよ四季様ー」

浮かぶ閻魔と船を漕ぐ死神の姿は霧の中へと消えていく。
変わる光景、変わらぬ光景。
多少の年月くらいでは閻魔と死神に変化は無い。





























互いに幾度蘇生を繰り返しただろうか。
スペルカードは互いに出し尽くし、飛ぶことさえ止めて私と輝夜は地に下りていた。

「ゼェッ、ゼェッ」
「ハァッ、ハァッ、うふふふふ楽しいわね妹紅」
「楽しいわけがあるか、馬鹿が!」

服はお互いにボロボロ、しかし表情だけが違っていた。
私は苦悶の表情を、輝夜は憔悴してはいるが笑顔だった。
弾幕ごっこはもう終わり、ここからは意地の張り合いだ。

一気に詰め寄って、輝夜の顔に右の拳を叩き込む。
鈍い音がして、私の骨が砕けた。
輝夜の方も、口から大量に血を流している。

「輝夜ぁっ!」
「もっと私の名前を呼びなさい、妹紅!」

輝夜の膝が私の腹に決まる。
当たり所が悪かったのか、肋骨がいくつか折れて喉の奥に血の塊がせり上がってきた。
腹を抱えた格好のまま、輝夜の顎に頭突きを入れる。
そのまま、殴り蹴りあい、互いに地面に転がった。
蘇生が終わればまた殴りあう、それを幾度か繰り返した。
私は輝夜が先に死んで蘇生に入ればそれを妨害する。
でも、何故か輝夜は私が死んで蘇生に入ってもそれを見つめるだけだった。
そして、今度は二人同時に蘇生に入った。

「どーしたよ、あいつを呼ばないのか」
「あいつって誰のことかしら」
「えーりん、えーりんって何時も困ったときに呼んでるじゃないか」
「ああ、永琳ならもういないわ」

一瞬耳を疑った。
あいつも蓬莱の薬を飲んだはずだ、それがいない、死んだのか?
お互い同時に起き上がり、殴りあう。
今度は私の方が先に死んだようだ。

「永琳の部下の月兎が少し前に死んだのよ
 色々と延命や蘇生を試みたりしてたみたいだけどね
 最終的には死んだようね、それから永琳おかしくなっちゃった」

繰り返してきた蘇生で私の復元速度が上がらない。
そんな私を見下ろしたまま輝夜が続ける。

「この地に入って、私には永琳だけが居れば良いと思ってた
 でも、私には妹紅、あなたがいた
 そして、永琳にも月からやってきた兎がいたの」

両腕の復元が終わる。

「その兎が死んでから、永琳はしばらく部屋に閉じこもったわ
 それから一週間経っても出てこない、一ヶ月経っても出てこない」

体の復元が終わる、なんで足の復元が一番最後なんだ。

「どれだけ経ったか分からないくらい経って、私が部屋に行ったら永琳寝てたわ
 置手紙に、私への謝罪が書いてあった
 変なクスリでも飲んで、永遠に目が覚めないようにしたんですって
 本当に永遠に目が覚めなかったわ、殺しても眠ったまま、だから妹紅私の名を呼びなさい」

ようやく、全身が復元した。

「この世で私の名を呼んで良いのはあなただけ
 あなたの私を呼ぶ声が
 あなたの私を見る目が
 あなたが私を殴る手が
 あなたが私を蹴る足が
 私を生きているって実感させてくれるのよ
 里を焼いたかいはあったわね、あなたの心と鳳凰をまた呼び覚ましてくれたんですもの」

ふざけんな、そんなことだけの為に里を!

「あなたも私の屋敷と兎を焼いたじゃない」
「ふざけんなっ!」
「だから、世界には私とあなただけが居ればそれで良いのよ
 他のなんてどうせ朽ちて腐っていくものばかりで汚いだけ
 気にとめてもどうせ目の前からいなくなるんだから」
「ふざけんなぁっ!」

輝夜に殴りかかっていく。

「だから、妹紅私の名を呼びなさい」
「輝夜ぁっ!」
「そうよ、呼びなさい、今後幾度あなたが人と交わろうと私はそれを悉く潰してあげる、焼いてあげる」

血だらけになった顔に笑顔を浮かべて輝夜が私にこう言った。

「あなただけが私の心の穴を埋めてくれるのよ」



























薄暗い部屋に大きな円卓が置かれている。
そこに十数人の少女が座っていた。

「で、あんなことになってるけど出て行かなくて良いのか?」
「なんで私が、もう後のことは引き継いできたわよ。順番待ちの間に好きなお茶啜るくらい良いじゃない」
「私はお嬢様に害が無ければ構いませんわ」
「同じく、お嬢様方と御館に異常が無ければそれで」
「私は、少し心配です、絶対見に行きませんが」
「大丈夫、少し前に顔を見に行ったが、しっかりしたいい子に育っていたぞ」
「なんだ、まぁここにいるってことはそういうことなんだろうな、あんたは?」
「私は後を頼んできたものがいるんでな、あんなことになってしまったのは心苦しいが」

遠くで誰かを呼ぶ声がする。

「あ、私の番来ちゃったみたいです」
「おめでとう、がんばってな」
「はい、それではまた幻想郷で会いましょう」

兎耳をゆらしながら少女が扉を開けて部屋から出て行く。

「んー、しかしあいつら幻想郷壊したりはしないだろうな」
「それは大丈夫でしょ、誰かしら止めるだろうし、むしろそれを続ける心の方が問題じゃない?」
「ああ、それは確かに問題ではあるが民と触れ合った妹紅の例もある、病んだ心を治す薬は2つだけだ」



「誰かの心と、時間だけが自然に癒してくれるだろう」



すいません、時間ないので後書きかけません
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投稿日時:
2007/05/13 08:58:48
更新日時:
2007/05/15 23:58:48
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1. フリーレス ■2007/05/13 01:39:02
どうも、作者です
とはいえ、ここに書き込んでも見えるのは感想期間が終わってからになりますが
書き上げたのが締め切り3分前くらいでしたので、申し訳ありませんが後書きをここに残させてもらいます
今回の駄文の内容についてですが、相当自分の勝手な解釈がつまっております
更に、時間の関係でかけなかった部分などが多々ある上に気付く人も居るでしょうが
句読点がめちゃくちゃですスイマセン推敲する時間もありませんでした
本来なら投稿してはいけないような馬鹿な状態での投稿となりましたが
このまま眠らせるのも、徹夜して仕上げたので勿体無く思い投稿させていただきました
……なんか謝ってばかりなので作品の説明に入りたいと思います


穴、と聞いて思いついたのが地面に掘る穴、そして心の穴でした
よく大好きだったアニメやドラマが終わる、ゲームをクリアしてしまった時などに
「心に穴があいたような感じ」と表現することがあります、喪失感とかに近いものですかね
それを題材にするか、ギャグで書くか悩んだのですが
ギャグの方はちょっとオチが夢落ちにするしか思いつかなかったものでこちらで書かせていただきました

東方キャラで一番心が病んでいるのは誰か、一番イッてるのは輝夜
これは多分賛同していただける方もいるかもしれません
あとはまぁ、大筋で書きたいのは妹紅と輝夜の確執だったのですけれど
大切な人を無くして他の住人達はどうなるのか、結局のところ全員一緒だと思うんです
最後に書いた、病んだ心を癒すのは他人の心と時間だけ
他人との触れ合いが多ければ多いほど、その悲しみや事件から時間が経てば経つほど色合いは薄れて笑顔で語り合える時期が来ると思っています
その時間のずれみたいなモノを伝えようとに対象の死亡した時期をずらしてそれに対する残った人たちの思い、みたいなものを書いたつもりなんですが
私の筆力ではこれが限度のようです

それでは駄文を読んでくださった皆様、貴重な時間を割いていただきまして大変ありがとうございました
2. 5 詩所 ■2007/05/13 10:21:38
展開が速いことと東方らしからぬ血生臭いイメージが気になりました
3. 5 秦稜乃 ■2007/05/13 11:23:45
未来、か。というのが読んだ感想です。
幻想郷の幻想は長い、ですね。いつまでもその心のために素敵な弾幕ライフを。
4. 7 どくしゃ ■2007/05/13 13:33:52
面白かった。大作を読んだ後の如く、お腹いっぱい。
寿命の長さは解釈次第でしょうから、素直に楽しめました。
フランドールの身体が成長したことにだけ、疑問。
5. 6 だおもん ■2007/05/14 00:26:50
あまりにも虚しいですね。
6. 2 A・D・R ■2007/05/14 14:16:41
好み…というのもあるのかもしれないのですが、読み終わった時の印象を正直に言わせていただきますと『拍子抜け』でした。あれ?ここで終わり…?といった。
ここまでが起承転結の転までで、この後にあっと驚かせるような結があれば、それまでの部分も十分生きると思うのですが、なんとなく消化不良な雰囲気が。あと、少々文章がかたいように感じました。
どうしても、後半部分のとってつけた感が否めませんでした。それが狙いだとしたら申し訳ないのですが…
とはいうものの、これだけの長さの作品をしっかり仕上げられるというのは凄いと思いますし、最後の各人の会話には心惹かれるものがありました。もう一ひねり欲しかったなぁというのが正直なところです。
7. フリーレス 板チョコ ■2007/05/14 20:03:57
見事に少年漫画嫌いなので点数はつけられませんが、それなりにすらすらと読み進められました。独特の痛いところもあるけど。
8. 2 爪影 ■2007/05/19 23:10:11
 なんだかなぁ、と思いましたので。
9. 7 ■2007/05/21 10:06:05
少年漫画の要素は確かによく出ていると思うのですが、里ひとつ壊滅は、ちょっと博霊の介入確定事項なのでやり過ぎかなとは思います。それと、最初だけ句読点がなくて後半が句読点ありなのが違和感を感じます。
10. 5 反魂 ■2007/05/25 01:37:21
作品の内容については、特に語るべき所もありません。
少年漫画の好き嫌い以前に、ひどく命が軽く感じられる作品だったという印象しかありません。湯水のように命を捨てた割に結論は実に軽佻浮薄。少なくとも私にとっては、かなり嫌いな部類に入ります。
「好き嫌いが分かれる」とのことですが、この辺は物語として根本的におろそかにしてはいけない部分である気がします。

文章はやや特異な形を用いられていたものの、テンポ感などは総じて優れていて、少なくとも読みにくいということはありませんでした。
内容面については上述の通りなのですが、技術点と結末の妙を勘案し、5点の評価とさせて頂きます。
11. 3 流砂 ■2007/05/26 22:08:54
神主曰く名前間違えだけは勘弁してくれ、との事。 以後注意を。
さて、妹紅と輝夜の話だけなら良い話だったのでしょうが少々蛇足が過ぎたかと。
真面目なシーンの余韻は完全に失われて、後に残るのは滑稽な二人。
そんな心では最後の言葉も響きませんでした。
まぁそれは兎も角として、大人の妹様がむきーってなってるのが可愛いよ!
もっと練っていれば大作になっていた事かと思います、残念無念。
12. 3 deso ■2007/05/26 23:22:51
妹紅メインのシリアスだったのが、途中でほのぼの話になってしまうのがついていけませんでした。
シリアスの書き方をするなら、最後までシリアスの書き方を通さないと。
もっとはっきり言えば、妹紅と輝夜の話以外は必要ないと思います。
この二人の話をもっともっと深く描写して欲しかった。里を滅ぼしてまで妹紅を求める輝夜に説得力を感じませんでした。
13. 7 blankii ■2007/05/27 11:49:11
 うわー、似たテーマでつくってしまった人がココに一人。白旗。
 時間の経過は何故、永夜のふたりだけには厳しかったのでしょうか、交流度の差? あと幻想郷偉人円卓会議は、もしや輪廻を外れた英霊じみた何かへと――(それたぶん違う。
14. 5 椒良徳 ■2007/05/27 20:30:11
 「思えばこれが私の人生一番幸せな日々だったのかも知れない」は「思えばこれが私の人生で一番幸せな日々だったのかも知れない」でしょう。いや、あかんわけではないですが気になる。!と?の後ろに文章が続くときには後ろにスペースを入れるものです。あまり守られていないですが。

 さて、人によって意見が分かれるとは思いますが、変な前書きは不要だと思います。表題と本文中に出てくるタイトルが違うのも何か落ち着かない。時間が無かったとこことですので、単純なミスだと思いますが、もう少し気をつけましょう。

 人が生まれ、育ち、子をなし、老いて死んでいく。時の流れは残酷ですが、それを表現するには貴方の文章力は不足しています。大分不足しています。確かに言われて見れば少年漫画のノリのような気もしますが、少年漫画ほど面白くなく。人や兎がプチプチと虫けらのように死んでいくのには勃起がおさまりませんが、プチプチと死んでいく虫けらにも人格があり、性格があり、ストーリが合った方がより股座がいきり立つものです。それが足りない。ちんちんをしこしこするに至らない。それがこの作品の残念な所です。もう少し精進しましょう。
15. フリーレス らくがん屋 ■2007/05/29 10:18:49
読了後第一声「オチてねぇよっ!」
時間不足で推敲不足、練り込み不足ってとこですかね。現時点の完成度は七、八割でしょうか。話の作り自体が杜撰というか、作者の都合が透けて見えて楽しくない。終わり方も尻すぼみなだけで、きっちりケリつけられなかった感が強いです。妹紅と輝夜の関係を中心に据えていたのに、終盤の連続場面転換でメインテーマがぼやけきってしまっています。中盤以降、時間が足りずに焦ったのでしょうか、“雑”の一語に尽きます。
点数を入れるなら2点か3点ですが、未完成と判断しフリーレスといたします。
16. 4 shinsokku ■2007/05/30 00:53:26
少年漫画というとジョジョですね。おお、にありーいこーる。
は置いといて、話の枠が広がりすぎているのかな、とか。
「時間」の重みが、題として植わるほど強くは伝わってこなかったように思います。
面白く読むことができず、申し訳ありません。
17. 3 鼠@石景山 ■2007/05/30 02:04:00
輝夜が里を戯れに焼く。
人間の所業を博麗はどうする。原因が妖怪でなかろうと異変は解決する?
人間の枠を超えている者が相手なら、容赦しなそうだけど。あるいは、人間を討つ妖怪が出てくるとか。幻想郷のバランスを崩すなら、妖怪が狂人を討つこともあるかもしれない。
なんというか、「殺していい者」というのが明確に定められているのが感じられて。
幻想郷である時点で博麗と八雲は居るんだから、妖怪と人間のバランスを崩す、「間引き」のような真似は許されないはず。その大前提を忘れてるような気がしてなりません。
18. 3 いむぜん ■2007/05/30 02:49:18
時間の経過を表すのに殺すのはいいんだが、ちと殺しすぎではないか。
咲夜も美鈴も寿命で死ぬようなタマか。いや、どのくらい時間が経ってるか知らんが。
「その後」なんだろうけど、別に幻想郷にはこいつらしかいないわけじゃないんだし。
なんというか薄い感じ。残念。
あと、上海人形は永夜抄の頃のバージョンでも普通に話せる。
19. 5 リコーダー ■2007/05/30 15:52:06
後半はスナップショット的な部分が多く、動きのある前半と比べて求心力に欠けた感があります。
20. 3 眼帯因幡 ■2007/05/30 18:20:26
……えーと、最後の場面は死者が穴を埋めに行っているってこと?
私の理解力不足かもしれませんが、説明不足かなと感じました。
あと、もう少し句読点が欲しいかな。
未熟者が偉そうにすみません。お疲れ様でした。
21. 8 K.M ■2007/05/30 21:06:34
今より少し先の話…心に沁みました。
22. 4 たくじ ■2007/05/30 22:09:56
妹紅と輝夜以外の部分は一つ一つのシーンが薄いというか、あまり印象に残りませんでした。それに妹紅と輝夜に全然余裕がないのには違和感がありました。
23. フリーレス 二俣 ■2007/05/30 22:49:23
技術的なことを述べれば、細部の描写にもっと力を注いだほうがいいのではと。ややあっさりした文体のため、間に別視点のワンシーンを挟むとそれ以前のシーンの印象があまり残らないように思えます。

注意書きが点数に影響してしまいそうだったので、採点はせずフリーコメントにさせてもらいました。
24. 7 時計屋 ■2007/05/30 23:58:03
薬も過ぎれば毒。
そもそも彼女らが病んだ原因が、過ぎた人の心や時間のせいなのかも……
とか考えると穿ちすぎでしょうか。

お話は暗めで救いの無い割りに、
幻想郷のらしさがでていた良いお話だったと思います。
特に後半、幻想郷の面々に場面転換していくシーン。
普通にやれば冗長になるところですが、各々のもち味がでていました。

残念な点は、穴がほとんどお話に関係なかったことでしょうか。
25. フリーレス 藤村る ■2007/06/03 02:12:19
 どうも、既存のキャラをドス黒い悪役に据えるのはちょっと読んでいて辛いかなあ……。
 このあたりは、好みの話になってしまうのですが。
 最後、リタイアした面々があれこれ語っているシーンなど、ああいう軽いノリで美しいような感じにまとめられてしまったので、途端に話の全体が軽くなってしまったように感じました。
 死者は黙して語らずってイメージがどうしても離れないので……それが、幻想郷だとしても。
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