dolls in holes

作品集: 最新 投稿日時: 2007/05/13 08:58:55 更新日時: 2007/05/15 23:58:55 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00




 出逢いは最悪だった、と言うのはやはり小説のお決まりであろうか。
 しかし世界は誰かの書いた物語であると言う言葉がある。
 すると事実は小説よりも奇なりと言う言葉は途端にその意味を失う。
 人はあくまでも自分の知る現実を信じるしかないのだからなおさらだ。


 ……別に哲学的なことを言いたいわけでは無いのよ。

 単に私と彼女の出逢いは最悪だったってこと。


「ねえ? お人形さん」





 〜doll〜




 鈴蘭が風に揺れていた。
 それは毎晩のように闇に白く映えて、無垢な月光色に染まる。
 月の狂い毒をゆっくりと吸収して濃縮するためだ。

「今日は新月かー」
 今夜はその営みが無い朔の夜。空にはぽっかりと闇の穴が浮かんでいた。

 穴。

「見せに行かなきゃダメかしらね、スーさん」
 服をたくし上げる。


 直径約一センチ。
 私の胸には穴が開いていた。


 人形の傷は人形には直せないとおもったら大間違いだ。
 人形やって数ヶ月もすればある程度の修復はできるようになる。
 皮膚をつなぎ合わせて、毒で少しだけ溶かしてくっつけるだけ。
 そうすれば何時だってつやつやのお肌が保てる。
 皮膚が足りなくなったら何処かから手に入れてこれば良い。
 よほど変な材質で無い限り、私の中で毒と調合して皮膚と一体化できる。

 だけど今回は違う。

 何度やっても傷がふさがらないのだ。
 穴をくっつけても糸を引いてもとの穴になっちゃう。
 埋めてもすぐに取れちゃう。
 こんなこと今までなかったのに……。

「いこっか、スーさん」
 私はふんわり毒を振りまきながら、ゆっくりと立ち上がった。
 鈴蘭畑の向こう。迷いの神が憑いた竹林の彼方へ。
 毒が操れる私で治せないなら、薬を操る彼女に頼れば良い。




「永琳、体に穴が開いてふさがらないの」
 そう言ったわけで永遠亭で私は胸の穴を見せていた。
「あら、いつもの修復法じゃ駄目だったって事ね?」
「うん」
「どこかにぶつけたの? それとも撃たれたの?」
「多分違う。夜は普通で、朝になったら穴が開いてたの」
「ふむ……勝手に穴が開いたのか。とりあえず応急処置をしましょう」
 永琳はそういうと向こうから肌色の何かをもってきた。
「これは本当は別の用途があるのだけど、貴方の材質にとても近いと思うわ。
 ちょっと厚めに縫いつけてみて、それで今夜一晩様子を見ましょう」

 ぷつん ぷつん

 乾いた音が診察室に響く。私の体に針を通しているんだ。
 痛みは勿論無い。
 私にだって、痛い、と言うことはある。
 だけどそれは人間や妖怪が同じ事をされたら痛いと思うことだと感じて痛いと言うんだ。
 だから私自身に痛覚の神経があるわけじゃない。糸人形と同じで動かす神経しかない。
 痛いって何なんだろうね。
 痛くない方が良いに決まっているけど。

「時にメディスン」
「なに?」
「胸に穴が開くって言葉があるわ」
「それがどうしたの?」
「それはね、とても辛い思いをするとかそういうときに使うのよ。貴方に心当たりはある?」
「無いわ」
「……そう」

 綺麗に縫い付けられた皮膚の上に更に包帯を巻いて、私は病室に泊まらされた。
 今夜は月が無いから、星達が意地を張り合って光っている。

「星を見て私は綺麗だと思うわ」
 窓を開けて呟いてみた。

「自分の体に穴が開いて私は痛いと思うの」
 答えは無い。求めてもいない。窓を閉めた。

 永琳の言葉を思い出す。
 私に辛い思いをした心当たりがあるか、だって。


 ……本当は、ある。


 ベッドに飛び込んでみた。
 体がきしんだ。

「だいっきらい……」

 じゅく、と音をたてて胸の修復が溶け落ちた。







 〜doll master〜





 きっかけは些細なすれ違いだった。



 コン コンコン

「ア〜リ〜ス」
 黒い悪魔が扉を叩く。
 いや、悪魔の方が馬鹿な分まだ人情味溢れている。
 本当に恐ろしいのは人間だと彼女は知らないんだ。人間だから。

 ゴッ ゴン ゴスン

「遊びに来たぜ〜!」
 だめだ、出ちゃいけない。ここは扉に犠牲になってもらう。
 まさか流石の彼女も扉を破ったりはするはずが

 ゴリ ガガン ベキッ

「ありゃ、穴が開いちゃった」
 あった。

「開けちゃった、でしょ。馬鹿!」
「居留守なんて酷いんだぜ」
「器物破損を棚に上げてよくいうわ」

 扉には片目と鼻の頭が見えるほどの穴が開いていた。嘆かわしい。
 わざわざ扉を硬い材質に換えたのだから、私の意志を推し量るべきだ。
 
「それはそうと良いニュースもってきてやったが要るか?」
「対価は?」
 彼女はドアに開いた穴越しに、にひひと笑った。
「朝焼いてたチョコクッキーが食べたいな」
「何で知ってるのよ……」
「魔法使いは何でもお見通しだぜ?」
「どうせ今朝ここら辺うろついてたら匂いをかぎつけただけでしょ。まるでネズミね」
「うんにゃ、寝ずに見張ってたんだ」
「あきれた。ストーカーならせめて異性にお願い」
「それは寝ず見でしょ、て突っ込んで欲しいな」
「ネズミが寝ず見ね、はいはい面白い。その行き当たりばったり加減には感涙できそうよ。さっさと帰れば」
「帰ってもいいが、良いニュースはどうする?」
「……わかったわよ」

 私は愚痴をこぼしながら立ち上がり台所に行った。
 折角ティータイムに食べようと作っておいたクッキーなのに……。

 オーブンをあけると整然とならんだクッキー。カカオの匂いが鼻を刺激する。
 きっと美味しくできているだろうに、一番最初にあんな奴に食われるのが悔しい。
 形の悪いクッキーだけを手で掴んでは紙袋に詰め込む。憂さ晴らしに少し割ってやった。
 そしてクッキーの入った袋を扉の穴に投げ込んだ。

 魔理沙はこれでたまに珍しい薬草を見つけていたりするんだから困るのよ。
 おかげで断るに断りきれなくなるのはいつも私で。

「サンキューだぜ。ただ割れてるのはいただけないな。それに私は一緒に食べたいんだぜ」
「そんなの条件には無かったもの。良いニュースを頼むわよ」
「おう、それじゃ良いニュースだ。このクッキー美味いぜ」
 わかってるわよ、それくらい。

「次」
「次、次か……考えてなかったな」
「よくわかったわ。本当に餌の匂いをかぎつけて漁りに来ただけなのね。バイバイ」
「冗談だぜ、ともかく戸を開けてくれよ。この穴ちょっと高くて、つま先立ちしてる足が辛いんだ」
「まったく、冗談が一人歩きしてるような人間の癖に、今日は忙しいからダメよ」
「ダメか?」
「ダメといったらダメ」
「……あ・り・すぅ、あ・け・てぇ?」
「うっ……冗談抜きでやめて。貴方の猫なで声はうっかり羽毛が生えそうなくらい鳥肌が立つ」
「やっぱりダメか。というか私も凄く気分が悪かった」
「で、貴方、私に何度断らせれば気が済むのよ」
「よし、わかった! アリスがそこまで言うなら仕方ない!」
 魔理沙はそういうとテクテクと向こうに歩いていった。

「マスタースパー……」

「どうぞ! お上がりくださいな!!」

 少し離れた彼女のはじけるような笑顔を見て私は溜息をついた。
 これがいつもの流れなのだから怖い。
 そしていつの間にかこれに慣れそうになっている自分がもっと怖い。



「どうも。上がらせてもらうぜ、悪いな」
「この、悪いなんて一欠けらも思ってないくせに」
「いい事教えてやろうか? 本気で私を拒みたかったら魔力遮断の術を家にかければいいだけなんだぜ?」
「面倒だわ。鼠一匹防ぐのに家を改造するなんて」
「嘘つけ、そこの紅い本に便利な防御魔法や封印法がいっぱい書いてあるくせに。私でも簡単にできるぜ」
「私は面倒臭がりなのよ」
「へ〜……じゃ、そうことにしておいてやろう」
「ふん、聞きわけが悪いんだから」
 私は眉をひそめてそっぽを向いた。


「それで、部屋の模様替えしたのか? 机を重ねるとか斬新だな、機能美の欠片も無い」
 別に変なアートに目覚めたわけでは無い。

「違うわよ、作業しやすいよう一時的にどかしてあるだけ」
「作業?」
「上海人形の強化……というほどでは無いわね。手入れをしていたのよ」

 そう、これだから彼女を家に上げたくなかったんだ。
 精密な魔術人形は多くの魔力を帯びたパーツを用いる。風で飛ぶほど小さいのもある。
 しかしそういう部品に限って、組み込み忘れると動かなくなることもある。
 今回は操作性の向上のためにいつもより多くのパーツを弄っているからなおさらだ。

 以前机で作業してパーツを落とした経験もあって私は床でパーツを組み合わせていた。
 机とかの家具を端に寄せているのもそのせいだ。


「魔理沙。うろちょろしてないでベッドに行きなさい」
「あー……珍しく積極的なところ悪いが、私にそっちの趣味は」
「何勘違いしてるのよ! 床を動き回られると振動で手元が狂うじゃない! 物も倒れる!」
「へいへい、と」
 彼女があろうことかベッドに飛び乗ったおかげでまた部品が倒れた。
 ひと睨みして私は作業に戻った。





 まあ、一番起こって欲しくない事態と言うのは望まないでもやってくるもので。

「上海人形が動かない……」

 私は一時間後、頭を抱えていた。
 魔理沙は腹が立つくらい気持ちよさそうに寝ていた。
 きっと、魔理沙がベッドに飛び込んだとき何かが吹き飛ぶか、はずれるかしたんだ。
 これまでのことを整理するとそうとしか考えられない。
 魔理沙が来るまで全ての部品がそろっていたのは確認したもの。

「……仕方ないわね」
 私はまた少しずつくみ上げたパーツを分解し始めた。
 こんなくだらないことでまた時間を使えと言うんだから……。




「う〜、よく寝たよく寝た。人の布団ってのは気持ちいいもんだな、アリス」

「あんたのせいで私がどれだけ苦労してると思ってるの……!?」

 私は歯軋りして言った。
 足りないパーツはわかった。魔力の核となる魔石の一番小さい奴だ。
 全体で考えても5本の指に入るほど細かくて、しかも大切なパーツ。
 私はそれを踏み潰して割らないようにしながら、地道に床を探索していた。
 何しろ大変なレアパーツ。すぐに買い換えられるものでも代わりがきくものでもない。
 だから捜すしかない。


 そんなわけでかれこれもう3時間ずっとしゃがみ込んでいる。頭が沸騰しそうだ。


「災難よ、災難! あんたさえ来なけりゃこんな苦労しなくて良かったのにね!」
「怒るなよ。どうしたんだ? 私のせいなら力にならないでも無いぜ?」
「魔石をなくしたのよ、上海人形の。あんたが飛んだり跳ねたり騒いだりしたから……!」
「あはは、そりゃあ確かに災難だぜ。しょうがないな、魔理沙さんが手伝ってやるよ。感謝するんだぜ?」
「感謝しろですってぇ……!?」

 その飄々とした笑みを見て私はどうしようもないほどの怒りに襲われた。

「帰れ」
「は……?」
「帰れ!!」
「帰れって」
「魔理沙の助けなんか要らない! これ以上私の邪魔をして怒らせたいなら帰って!」
「そんなわけ無いじゃないか、私はただ」
「言い訳? また言い訳なのね? 貴方はいつもそう、屁理屈と力技で何とかなると思い込んで」
「だ、弾幕は、パワーなんだぜ?」
「話をそらすな! 貴方のせいで大切な上海人形が動かないのよ? どうしてくれるの!」
「だから手伝うって。迷惑かけて本当に悪いと思ってる」
「嘘! 人の家に押し入って、寝転がって、食い物だけもらっていこうとしているだけの癖に!
 わかる? 私は奴隷じゃないのよ、貴方に都合の良い家来でも無いの」
「わかってるさ、お前は蒐集家のライバルで……その、私の友達だろ」
「あああ! 五月蝿い五月蝿い五月蝿いッ! 友達なんて陳腐な言葉で私を扱わないで!」
「でも!!」


 魔理沙の声で場が静まり返った。私は慣れない大声を出したせいで顔が火照っている。
 
 ダメだ、とめられない。言えば言うほど怒りが増してくる。
 魔理沙がどんな美辞麗句を垂れようと、罵詈雑言をぶちまけようともう関係ない。
 私のすることは一つ、だって私の怒りのやり場は魔理沙しかないのだから。


 全部魔理沙が悪いんだから。


「お前は私を友達とは思ってないかもしれないけど、私はお前を友達と思いたい!」
「で? 何よ」
「え、何よってその……」
「フッ、そうかぁ、魔理沙は私を友達と思いたいのね。わかるわよ、私だって人形を扱うから」
「人形と友達は違うだろ!」
「一緒でしょ? 貴方の中では一緒なんでしょ? 私は悲しいわ。貴方はただの他人と思っていたのに」
「……ひどいぜ」
「ひどいって何よ! 私の大切な上海人形を傷つけたネズミに何の情を払えというのよ!
 欲にまみれたニンゲンの癖に! 素直に私から大切な物を奪って楽しいといえばいいじゃない!」

「うう、ちが……う……ちがうって」
「帰れ! 二度と来るな! 害獣が私と仲良しなんて侮辱、二度と私に吐き捨てるな!!」


 般若の顔で、拳を机にたたきつけて私は叫んだ。
 叫んでしまった。


「……そっか」


 魔理沙の落胆したような声で私は急に上り詰めた怒りが切れた。
「そうだよな。私は仲良くなりたかったけど……傲慢だったよな」
 魔理沙は表情を帽子で隠してとぼとぼと壊れた扉に歩んだ。
「いままで勘違い野郎に甘んじてくれて、嬉しかったぜ」
「ま、魔理沙……?」

 はじめて見た。
 魔理沙が私に向かって深々と頭を下げていた。


「ゴメン」


 水音が床に鳴った。
 頭が空っぽになり森のざわめきが耳に近づく。

 待って、ということもできぬまま。魔理沙は帽子を深くかぶって走り去った。

 ちらりと見えた横顔は、悲しみに歪んでいた。


「ば、ばか。私は悪くないわよ。ぜんぶ魔理沙が悪いんだから」

 そうだ、なにひとつ、私が、責められる、要素は、ない。
 ちょっと怒ったら、なんだか止まらなくなっちゃっただけ。原因も私のせいじゃない。
 何であんなに叱り付けてしまったのだろう。
 怒っている自分に怒っていた? でもやっぱり原因は私じゃないよね?
 私は悪くない。




 馬鹿は貴方よ、アリス。それなら魔理沙の粗相だけ叱ればいいじゃない。
 魔理沙があんな口のききかたしかできないのだってわかっていたくせに。
 それなのに魔理沙の人格を否定して、友達であることを否定したのは何故よ。
 ただの八つ当た……。




 唐突に浮かんだおかしなワードを中断して、私は思考を停止した。

 淡々と、心を殺して、魔石を探す作業に戻った。
 数秒前に何があったかなんて忘れたふりをして。
 数分前に探した場所であるということを忘れて。

「あ、あれ? 変ね」

 拭いても拭いても、私の目の前の床には雫が落ちていた。

 理由は、わかっちゃいけない。





 〜doll〜




「あらあら、全然意味無かったわね」
「うん……」
 昼ごろ、私は胸に開いた穴を永琳に見せていた。
 胸の穴はつけられた皮膚とともにぐしゅぐしゅの粘液のようになっていた。

「仕方ないわ。もう一度はがしてみましょう」
 永琳が私の穴についた生地をナイフで削る。
 削る。
 削る。
 表情が変わった。

「どうしたの?」
「……見て御覧なさい」
 永琳は鏡をよこした。私はその姿を見た。
 いつもの可愛い顔。華奢な肢体。フリルのついた服。
 そして胸……。
「ああ!」

 胸の穴が広がっていた。

「ど、ど、どうしよう永琳!」

 昨日のように綺麗な穴じゃない。穴の淵から崩れるように歪んだ形になっている。
 溶けた皮膚がこびりついていたせいでわからなかったんだ。
「参ったわね。私も人間や妖怪でなくて人形を扱うとなると勝手が違うわ」
「でも、このまんまじゃ穴がぶわあーって広がっちゃうかも!」
「ちょっと待って、気がついたことがあるから。こっちにいらっしゃい」

 永琳は不思議な場所に連れて行った。
「ここ、なにするところなの?」
「体の中が見えるのよ」
「えっ? ばらばらにしちゃうの!?」
 そんな怖いこと、できるものか。

「切らなくても見えるわ、安心して。じゃあそこの台に立ってね」
「ほ、ほんと?」
「本当だから早くしなさい」
「は〜い……」



「ふむふむ……綺麗なものね」
 モノクロの写真を見て永琳は言う。
「見てみる? 貴方の中身」

「……すっからかんね」
「この上なく空っぽね。手の施しようが無いわ、人間なら」
 私の中身ってほんとにないんだねー、スーさん。

「だけど……こちらを見て御覧なさい、何か写ってるでしょう?」
「うん、宝石みたいなのが写ってる」
「毒はここから発生しているみたいね。もやが見えるから」
 私の胴体の中心に硬そうな石みたいなのが浮かんでいて、その周りから何かもやもや出ている。

「私が思うに、貴方は鈴蘭畑で捨てられたときこれをもっていなかったのではないかしら?」
「どういうこと?」
「人形が動くのには糸とマスターが必要よ。だけど貴方は毒がその役目を担っている。
 人間に例えていってみれば毒は貴方の神経であり、脳なの。
 で、この写真。これを見る限り毒が体に満遍なくあるのかといえばそうでもない。
 やはり貴方にも脳にあたる毒が集中している場所があって、それがこの結晶なのだと思うわ」
「ってことは、これが私の本体?」
「それは違う。人間の脳みそだけさして本体って言わないでしょ?」
「あ、そうか」

「貴方は捨てられたときからゆっくりと毒を吸収してこれを創り上げたのじゃないかしら。
 そしてそれがいつしか貴方に意思を与えて、今の貴方があるのよ」
「おお〜さすが永琳」
 褒めてあげたのに何故か永琳は顔をしかめた。


「だとしたら……これはとてもまずいわ」


「え?」
「実は昨日の貼り付けた皮膚は中に薄い金属板と試薬を仕込んでいたのよ」
「それで?」
「それが見る影もなくぼろぼろになっているわ。これは毒の影響よ」
「ん〜?」
 何を言いたいのかよくわからない。


「簡単に言うとね、貴方の毒が暴走して貴方を侵しているのよ」
「!」


「私は最初皮膚の傷が広がったのかと思ったけどぜんぜん違う。
 今の貴方の傷を見る限り、これは明らかに内部からの浸食を受けているわ。
 貴方の体は頭蓋骨や背骨と同じで毒をため込み、結晶を外から守る意味があるのだと思う。
 だから本当は体が毒に侵されるなどあってはならないの。それなのに貴方には穴がある」
「え、永琳。それじゃ私はどうなるの?」
「言っていいの?」
「ううう……怖いけど、お願い」



「貴方の体はボロボロに穴が開いて、毒を発散してしまう。そして貴方という存在は消えるでしょう」



「き……きえる……?」
「残念だけど」
「消えるって死ぬの!?」
「貴方は元々生きていないわ。だから死ぬといわないだけ。だけどそう言ってもかまわない。
 本体である毒まで発散してしまうと、貴方という人格が消滅してしまうのは自明」
「や……いやよ。そんなの……!!」

 唇も足も肩も戦慄き始めた。私という個体の消滅なんてありえないと思っていた。
 でも今、永琳は私が消えると告げた。
 私は永琳がこんなときに嘘をつかないのを知っている。消えるといったら消えるんだ。
 折角私には意思があるのに。人形の地位向上という野望もあるのに。
 嘘って言ってよ。冗談だって言ってよ。穴ぼこで醜く死ぬなんて、うそだよね!?


「人形も、死ぬのね」
 永琳はそんな私の儚い期待も切り捨てた。
「いやっ! いやに決まってるじゃない!! おねがい、助けて、永琳!!」
「ごめんなさい、こればかりは本当にどうすればいいかわからないわ」
「うあああぁああっ! やだっ、やだあああーー!!」


「待って、まだ希望が消えたわけじゃないわ」
「う、うあ?」
「何の影響もなく勝手に暴走するなんておかしいと思わない?何かきっかけになるものがあったに違いない」
「きっかけ……」
「昨日聞いたわね。心当たり」
「う、うん」
「今は何か思い出せる?」
「…………ない」
「本当に?」
「無いって言ったら無いもん!」

 そう答えると永琳は目を少しだけ細めた。
 ばれているんだ、私が何か隠しているの。

「そう、ならば思い出したらすぐに言うのよ。あまり貴方は長く持たないわ」
「長く持たないって、どれくらいよ」
「長めに見積もって一週間早くて数時間」
「一週間から数時間……!」
「ほら、もう貴方の穴の淵が腐食してきているわ。もっと短くてもなんら不思議は無い」
「あわわ……」
「貴方はどうする? ここにそのまま居る? それとも何かあてを捜して外に行く?」
「そんなこといわれたって」

 どうすればいいんだ。
 きっかけだと思われるものはわかってる。だけどそれを言っちゃいけない。


「もし貴方に行く勇気があればだけど、あの人形遣いは何か知っているかもしれないわ」
「!!」
「人形のことは人形遣いに聞くのが普通よね。だけど貴方、あの子が嫌いでしょう?」
「だいっ嫌い!! あそこに行くぐらいなら死んだって一緒よ!」
「やっぱりね、でも私は今回のきっかけがつかめなければどうにもできないわ」
「ううう……」
「どうする?」
「……ここに居てもだめなら、外にいくわ」
「彼女の元には?」
「行かない!」
「そう、それじゃあ何かわかったらすぐ来るのよ。いいわね?」



 この永遠亭の姫様がいつの間にか診察室の前に立っていた。
「何だかさわがしいわね。永琳」
「姫」
「あら、毒人形の。どうかしたの?」
「穴が開いちゃったの」
 私は服を上げて姫様に見せた。

「この子、どうやら毒が暴走して自壊しているようなんです」
「暴走した自分が自分を滅ぼすのは生物の性ね。だけど人形もそうなるとは知らなかったわ」
「人形で言う癌なのでしょうかね」
「きちんと手を尽くしてあげるのよ、永琳。私はこれから外に行くから」
「はい。だけど私には到底原因がわからず……人形遣いと相談するのがいいと思うのですが」

「ええ? あんな子と話したって無駄よ、やめたほうがいいわ」
「……は?」
 永琳が姫様の言葉を聴いて困惑の表情を浮かべた。

「失礼ですが姫」
「はい?」
「姫は人形遣いの彼女と何かあったのですか?」
「何も無いわよ? この前の宴会で会ったくらいね。話してもないけど」
「しかしそれなら何故姫は」
「あ〜やだやだ。あの子のこと話してたらこれから殺し合いと言うのに興がそがれちゃう。
 多分夕方までには帰ってくるから。それじゃ御機嫌よう、永琳とお人形さん」


 永琳は姫様を見送って数秒考え込んでから鋭い視線で私のほうを一瞥した。
「時にメディスン」
「……なに」
「幻想郷にいる妖怪が大体皆、若い容貌をしているのは何故か知っている?」
「しらない」
「それはね、妖怪と言うのは殆どが精神に重きを置いているからなのよ。
 肉体は必ず老化していくわ、だけど妖怪はその影響が極端に少ない。
 そして精神年齢というものがあるように精神は成長するけどそれは生きた年数と比例するものじゃない。
 この二つの理由によって妖怪は何年生きても精神の年齢にほぼ外見の年齢が一致するの。
 そうすると必然的に精神の耄碌した妖怪から消えて、見た目が若く精神の強かな妖怪ばかりになる」
「ふーん」
「例えば紅魔館の吸血鬼が500年経っても幼いことを考えるとわかるでしょう?
 100年程度しか生きていない魔女の方が少しだけ年上に見えるのもそのためよ」

「永琳は、それで何を言いたいの?」
「別に。ただ貴方の場合はどうなのかしらね、と思って」
「どうって」
「妖怪にとって、外見と言うのは心の鏡なのよ。美しければ美しく、醜ければ醜く、聡明ならば聡明に」
「私は人形だもん……」
「そうね、だからこれは参考にしなくていいわ。貴方にも心当たりが無いのだし。
 それではお帰りなさい。何度も言うけどヒントが見つかったらすぐ来るのよ」




 私は永遠亭を去った。
 鈴蘭畑に帰ったころには既に空の端が赤みを帯びていた。
 姫様はもう永遠亭に帰ったのだろうか……だけどあれは予想外だった。
 そのせいで永琳はきっと、真相までたどり着いてしまったのだろう。

 姫様を見送った後永琳が私に向けた鋭い視線は、間違いなく『敵意』だったもの。

 私がいつも寝ている場所、それは私が捨てられていた場所。
 いつもそこには沢山の鈴蘭が密集して、私のゆりかごを作っていた。
 今は枯れ草ばかりが広がっている。きっと私からもれた毒にやられたんだ。
 可哀想に。私のそばに寄り添おうとしただけなのに。可哀想に。
 心の中で謝罪しながら私は枯れ草のサークルに横たわった。

「わかってるわよ、ぜんぶ……」
 私は永琳との話の中で原因に確信を持った。それどころか解決法までわかった。
 だけどそれは不可能なんだ。少なくとも今の私には。
 人を呪わば穴二つというけど、今の私にはそれが嫌になるくらいわかる。

 後悔はしている。だけど間違っていたとは思わない。
 私は私の正義を見せつけただけだ。あの憎き悪の人形遣いに。

 明日になったらきっと治るよ、と無理矢理楽観して眠ることにした。
 欠けて歪んだ月を見ながら。心に迫る言い知れぬ感情に戸惑いながら。
 初めてであった死という恐怖に毒の涙を絞りながら。



 数日前に起こった忌まわしい事件、そして宴会のことを回想しながら、私は眠った。

 お腹の辺りでぐちゅりと音がした。






 〜doll master〜






 上海人形の魔石は結局見つからずじまいだった。
 本当はもっと探すべき場所はあったけど、何だか疲れてもう動けない。
 私は頭からもそもそとベッドにもぐり込んだ。

 カサッ
「ん?」
 紙だ。何か書いてある。
「自律人形発見、場所は鈴蘭の北西部……鈴蘭のゆりかご、メディスン・メランコリー……永遠亭との交流」
 魔理沙の字がそこに書き連ねてあった。
 そうか、ここで眠っていたときに落としてしまったんだ。

「ウソ……自律人形を見つけたの?」
 私がまだ完成できていない作品、私の今一番の目標だ。
 魔理沙が持ってきたとか言ういいニュースって、これのことだったのか。
「魔理沙……」
 心に先ほどの記憶が津波のように押し寄せてきた。
 私は何を言ってしまったのだったっけ……。
『害獣が私と仲良しなんて侮辱、二度と私に……』



「悪いのは魔理沙悪いのは魔理沙悪いのは魔理沙悪いのは魔理沙!」
 頭を掻き毟って叫んだ。
「……は、……はあ」
 胸が苦しくて、息が途切れそうだ。
「わかってる……わかってるわよ。私も悪いのくらい……」


 謝ろう。
 今日は虫の居所が悪すぎただけだ。
 何時間も石を探す作業をやり過ぎて、鬱憤がたまって、それが爆発しただけだ。
 そんな詭弁にまみれた正当化でも魔理沙はきっと私を許すだろう。

 ただ一言こちらもゴメンといえば。


「ばか……私のばか……」
 ベッドにゆっくりと倒れこんだ。

 会えるわけが無いじゃないか。
 そんな言葉も会いに行くという行為さえも、今の私にできる勇気は、ない。
 そんなことをしても魔理沙は白々しい行為だと思うかもしれない。
 軽蔑されたくない。謝ればすぐに解決すると思って、と返されるのが怖い。
 そんなことをされたなら自分の小ささに押しつぶされてどうにかなってしまう。
 せめて何か、会いに行く口実やきっかけさえあれば……。



「……あるじゃない」

 魔理沙の持ってきたいいニュース。これを使えばいい。
 正直なところこれが真実かどうかと言うとかなり怪しい、私は眉唾だと思う。
 自律人形を作ることの難しさは誰よりもわかっているつもりだ。魔理沙の勘違いもありうる。
 しかし自律人形は以前何度か見たことがあった。存在はするのだ。
 見に行く価値は十分すぎるほどある。
 もし本当にあったとしたら私の人形は限りなく完成に近づくのだから。

 いや、もういっそ真実でも嘘であってもかまわない。
 一度これを見に行けばそれを会いに行く口実にできる。
 豪華なお菓子のひとつでもあれば魔理沙も私をいきなり拒んだりはしないだろう。
 何だかんだ言っても女の子は甘いお菓子に弱いのだから。
 私だって食べなくてもいいのに、お菓子を作っているのはそのせい……。

「……もうこんなに打算的な思考に陥っている自分がいやになりそうよ」
 口ではそういいつつも私はこれでまた微笑めそうな気がしてきた。
 明日、午前中に家を出て目的地に向かおう。
 上海人形にはもうしばらく我慢してもらうしかないか。
 ごめんね、上海。今回はお外に連れて行ってあげられないわ。







「鈴蘭、鈴蘭、鈴蘭……本当に見渡す限り鈴蘭ね」
 見渡す限り白い花が広がっている。こんな場所があったのね。
「でもここまで濃い毒をもつ鈴蘭があるなんて。うたたね程度で死ねそうだわ」
 もっとも家でしっかり毒消しの魔法をかけてきたから問題は無い。
 魔理沙みたいな変なのはともかく、魔法使いは常に万全の態勢であるべきなのだからそれくらい当然。
 上海を置いてきたのは少し心細いけどね。でもまあ今日は弾幕なんて無いでしょう。

「そういえば最近沢山花が咲く事件があったそうだけど、何か関係があるのかしら?」
 都会派魔法使いの私は結局その異変の間ずっと引きこもっていた。
 もっともそれが今回の上海人形強化のアイディアに繋がったのだけど、見てみたかった気もする。
 だって綺麗な花が沢山咲く異変なんて洒落ていて素敵じゃない。
 誰が首謀者か知らないけど毎年やってくれても構わない。



「御機嫌よう、アリス」
「! その声は……」
 突然背後から聞こえた声に私は息が止まった。

「しばらく見ないうちに大きくなったわね。どうしたの?」
「幽香……!」
 想像し得る限り最悪の相手と出会ってしまった。

「そんなに怯えないで欲しいわね。苛めたくなっちゃう」
 そう言って彼女は愉悦に満ちた表情をした。
「……ははぁん、わかった。花の異変があったっていうけど貴方の仕業だったのね」
「いいえ、今回のは違うわ。あれは周期的に起こるイベントよ」
「そう? 意外だわ。久しく姿を見せなかった貴方が現れるとともに異変が起こったのにね」
「何処かの誰かさんにも犯人だと疑われた気がするけど……まあいいか。
 犯人は強いて言えば閻魔様と船頭かしらね。今はもう解決してこちらに来ることも結構あるみたいだけど。
 それで貴方はこんなところで何をしているの? 自殺? 私ならもっと楽にしてあげるけど?」

 このサディストめ。ともう少しで口に出しそうになった。
 だけど今の装備じゃ戦っても勝てそうに無い。ここは何とか穏便に切り抜けなきゃ。
「自律人形が居ると聞いてやってきたのよ、本当かどうかは知らないけどね」
「そういえば貴方人形を使っているそうね、楽しい?」
「楽しいわよ、何するにも便利だし」
「ふーん、まあどうでもいいけど」
 なら聞くな。
「で、貴方は何か知っているの? 自律人形」
「知ってるわ、知らないけどね」
「ありがとう。もういいわ」
「ここから向こうにいけば盛り上がった繭のように鈴蘭が生えているところがあるわ。
その中に彼女は居る。きっと彼女の毒が鈴蘭を異常に成長させるのね」
「……知ってるんじゃない」
「私はその人形の在りかを知っているわ、貴方がどうなっても知らないけどね。を略したのよ」
「そんな危なっかしい存在なのかしら」
「貴方に限っては特にね……これ以上は会いに行けば自ずとわかるわよ」
「わかったわ。情報感謝よ、幽香」
「お礼として近い内、またその本の力を見せて欲しいわね」
「鍵は何処かに落としてきたもの、無理」
「あら、残念ねぇ」



 幽香と別れてからしばらくして、やっと私は息をつくことができた。
 心境の変化だろうか、彼女が昔ほど好戦的でなかったことが救いだった。
 もし以前のようにまともに争えば無防備な今の私が生きていられる保障は無い。
 今はスペルカードルールがあるから大丈夫だとは思うけど……。
「そういえばスペルカード持ってくるの忘れちゃったわね」
 何が万全の態勢だと今更後悔し始めたが、まさか人形が敵対するなんて考えてなかったから仕方ない。
 その点を教えてくれたことは素直に感謝しよう。
「何か無いかしら」

 ポケットをまさぐると、一枚だけスペルカードが出てきた。
「アーティフルサクリファイス……か」

 生憎なことに今、上海人形はいない。
 彼女なら何度もこの技を繰り出せるのだが他の人形ではそうも行かないのだ。
 下手をすれば砕け散ってしまうことだってあり得る。
 本当にどうしようもないときだけ使うことにしよう。






 ……あった。鈴蘭が盛り上がって生えている。
 毒消しを使ってはいるけれどそれでも濃厚な毒の霧が鼻をついてくる。
 そういえば幽香が『彼女の毒』と言っていたが、その人形は何か毒を放つのであろうか。
 毒と人形という組み合わせは考えたことが無い。

 鈴蘭を掻き分けると、そこには愛らしい寝顔の少女が居た。

「えーと……」
 これは本当に人形なのだろうか。そんな疑問が一番最初に出て私は困惑した。
 皮膚の材質を見る限りこれは人形であるのは間違いない。
 見たところ糸は存在しないから術者は居ないと思われる。
 それで動いているということはやはり自律した人形なんだ。

 しかし本当に驚くべきところはその精巧さ。
 胸、手足、眼球、唇、細かい動きは人間となんら変わらない。完璧すぎるくらい完璧だ。
 私の一番手をかけた上海人形ですら、この足元にも及ばない。
 自律しているということも凄いのだが、これを作った人形師は一体何者だ。

「すごい……!」
 もはやこれを人形と言ってしまってよいのだろうか。
 そう思わず悩んでしまいそうなほど、それは人形として完成していた。
 見れば見るほど感嘆の溜息が何度もでてくる。



「ん〜……?」
 目を覚ましたようだ。
「貴方……だれ?」
「私はアリス・マーガトロイドと言うの。貴方の話をきいて会いにきたのよ」
 よし、上手く言えた。
「貴方はアリスね。私はメディスン。メディスン・メランコリー……ふわあ」
 話せば話すほど私は鳥肌が立ってきた。
 素晴らしい。目の前に私が望んで止まない自律人形のひとつの完成形があるんだ。
「貴方は人形なのよね?」
「そうだけど〜?」
「ちょっと教えてくれない? 貴方はどうして一人でものを考えられるの?」
「スーさんのおかげなの」
 スーさん?

「鈴蘭のことかしら?」
「スーさんはスーさんだよ」
「ふむ……ところでこの鈴蘭と貴方にはどんな関係があるの?」
「私、ここに捨てられたのよ。それで毒が私を動かすようになったみたい」
「毒が?」
「うん、私も聞いていい?」
「ええ……どうぞ?」
 毒? 毒が動かすってどうなことなのだろう。
 だけどこの子も自分でその詳しい機構はわかっていないようだし……。研究が必要ね。

「貴方は人形?」
「え? 何でそう思うのかしら?」
「だってそんなにお友達を連れているじゃない」
 私の後ろに浮いているいくつかの人形に疑問を持っているようだ。
「ああ……これね。でも私は人形じゃないわ、妖怪よ」
「それじゃあアリスは何でそんなに人形を持っているの?」
「私は人形遣いだからよ。だから貴方にも興味があるの」
 私はメモをとりながらそう答えた。


「人形……遣い?」
「そうよ」
 なんだ、別にこの子襲ってくるわけでもないじゃない。
 幽香のことだからやっぱり嘘を……。


 ジュッ


「キャッ!」
 右腕に焼け付くような痛みが襲った。

 飛びのくと右腕には毒でくっきりと手形に焼け爛れた痕が目に入った。
 この毒消しで解毒しきれないなんて一体どれだけ強いのよ……!


「人形遣い! 人形遣いなのね! 私をどうする気!?」
 怒りの表情で震えながら彼女は叫んだ。


「っ……! どうしたの? 私は話が聞きたいだけなのにこんなことするなんて」
「さては私が人形開放を指揮しているってことを知って倒しに来たのね!!
 やっぱり人形遣いなんて最低よ! そんなに沢山の人形の自由を奪って絶対許さないんだから!!」
「話を聞いてよ!」
「うるさーい! スーさんやっちゃえ!!!」

 何で人形遣いを目の敵にしているかはわからないけど、どう見ても彼女は臨戦態勢だ。
 幽香は本当に忠告してくれたのね。
 明日は太陽が西方から昇るわ。

「しかたないわね。問答無用で攻撃なんて無教養な人形はきちんとしつけてあげなくちゃ」
 スペルが一つしかないのは結構なハンデだけど……。
「みんな、いくわよ」

 弾幕はブレイン。

 いい証明の機会だ。




「譫妄『イントゥデリリウム』!!」
 ……って初っ端から避けられそうも無い攻撃かましてくるわね、この人形。
 そこまでキレられちゃ困るっての。弾幕はあくまで遊びなんだから……。
「3バックセット、1・2・5ターゲットサイドセット、4フロントシールド」
 今日は5体しか人形が無い。上手く戦略を考えないといけないわね。
 幸いにも人形には毒防御をしておいたおかげでしっかり攻撃を防いでくれそう。

「スーさんもっと強い毒いくよ! 毒符『ポイズンブレス』!」
「あらあら……なりふり構わないのね。術中断なんて無粋よ」
「うるさい!」
「1・2アタック、5チャージ……ん?」
 体の動きが鈍っている。上手く彼女の周りを旋回できない。
「邪魔な攻撃しかけてくるわねぇ、貴方」
「いたっ! いたい! う〜っ! 貴方の言える台詞じゃないでしょうが!!」
 人形と言うのは、いわば私の手だ。ただの遠距離直接攻撃。邪魔も何も無い。

 ……さて、この子の力量を見ておかないとね。
「5レーザー、1ターゲットバックセット、2リターン、4フロントシールド」
「きゃあっ!」
「1・2・3・4ショット、5レフトシールド」
「え? え? えええっ!?」

 ドドドドドッ!

「あだだだだだ!」
「オールリターン」
「ううう……! 人形を使うなんて卑怯よっ! 鬼畜!!」

 やっぱり。
 この子、何を勘違いしてるのか気違いじみた弾幕放ってくるけど戦いなれていないわね。
 多方向からの一斉攻撃には混乱してしまっているのは一目瞭然だ。
 加えてこちらが攻撃するたびに弾幕攻撃の手が途切れるから私を詰められない。
 さらにここからもう一つ致命的な欠陥も見えてきた。

「ねえ、私はお話したいだけだからもうやめない? 今なら怒らないわよ」
「だまれーっ! 人形遣いが私に何するかわかったものじゃないんだから!!」
 また毒々しい色の弾が司会を覆い始めた
「オールフロントセット」
 無防備な人形を全て私の前に並べ立てた。

「え! ど、どけてよ!!」
 目の前の弾が急に遅くなったのを見て私は口の端で笑んだ。

「オールショット」

 ガガガガガガガガガ!

 目前の弾が消滅し、ぼてんと彼女は鈴蘭の上に落ちた。
「……やっぱりね」
「ぐうう……!」
 さっきから配置された人形に攻撃しないから変だと思っていたんだ。


「貴方、人形に攻撃できないのね?」
「っ!!」
 沈黙は何より雄弁。



「それなら……いいこと考えた……」

 掠れるくらい小声で私は呟いた。
「どうするの? このままじゃ私には永久に攻撃できないわよ」
「馬鹿にするな!! 霧符『ガシングガーデン』!!」
 濃密な霧が彼女からわきあがる。
 そして遅い弾幕とともにゆっくりとこちらに詰め寄ってきた。


「くっ……霧で視界が」
「ははっ!! やった! つかまえた!!!」

 霧の中から突然彼女が飛び出した。


「クスッ」
 作戦通り。遠距離攻撃の弾幕では人形を傷つけると思った彼女は近接攻撃で私を狙う。
「3ウェイト、アザーズエスケープ」
 そうなると霧で視界をさえぎってくるのが普通だろう。
 しかし同時に彼女もまた私の姿を観測できない。

 霧が晴れてきた。
「……うそっ!!」
 彼女が掴んでいるのは3番目の人形。
 音に頼ると踏んだ私は、霧に包まれる前に3番の人形に声を吹き込んだ。
「3ボム」

 ほらね? 弾幕はブレインでしょ、魔理沙。


「魔符『アーティフルサクリファイス』」


 魔光が眩めき二つの人形はもつれ合うようにして地面に叩きつけられた。





「終わった……か。残念だけど人形壊れちゃったわねえ」


 ボシュッ


「? 今、何か音が……」
 まるで何かが破裂するような噴出するような音がした。
「まあいいか、早速彼女と話す機会ができたんだからいかないと。人形も回収しなきゃ……」

 あれ? 何だか視界が霞んできたわね。
「メディスン、起きて……」
 ただの人形のように無表情で虚空を見上げている彼女に触れようとした。

 できない。

 足が動かない。視界では光の玉が炸裂している。頭がぼうっとしてきた。
 腕にあった焼け付くような痛みも、膜で覆ったかのように薄らいだ。
「ごほっ……やだ……。ど、うした…のよ、これ……」
 口が上手く動かなくなってきた。
 唇が濡れて、涎をこぼしたかと思って拭うとべったりと赤黒い血がこびり付いた。

「毒……!」

 微動だにせず倒れている彼女から恐ろしいほど強力な毒を持った瓦斯が出ていた。
 まずい……! と言おうとした。
 今度はもう声にならない。喉の奥まで麻痺したみたいだ。

 ……仕方ない、一旦ここは退こう。
 何とか浮き上がり離れていくと、ごろんと人形の彼女がこちらを向いた。
 顔を少しもゆがめずに大きな目から涙を流して、何か呟いている。
 耳までも影響が出てきた私には聞き取れない。だけど唇の動きで意味はわかった。

 それは心が凍りつくような言葉。

『ゼッタイ、ユルサナイ』





「はあ……ゴホッ、ゴホッ…ふう……なんとか、なった、わね」
 気を抜けば気絶しそうなほどの猛毒に侵されつつ、私は何とか自宅までたどり着いた。
 私の知る限り最も強い解毒魔法を使うと、ゆっくりと症状が和らいできた。
 高価なアイテムを使っての魔法だったが、この際値段なんてどうでもいい。
 死んでしまえば元も子もないんだ。

 そう。何の対策もせずあんな毒を吸っていたら、私は間違いなく死んでいた。
 もし鈴蘭の毒なんて、と見くびっていたとしたら……恐ろしい。
 毒が切れても久しぶりに命の瀬戸際に立たされた恐怖が私を震えさせていた。


 私はひとまずの治療が終わった後そのままそのまま浴室に向かった。
 体中についた毒は洗い流さないと皮膚からしみこむ可能性もある。

「何でかしらねぇ」
 何故彼女が私をあんなに拒んだのか、やっぱり意味はよくわからない。
 彼女は感情的で、言っていることが私にとっては支離滅裂だった。
 人形遣いに恨みがある。それだけはわかったのだけど。
「でもこのままじゃいけないわ……」
 壊れた人形を回収したい。彼女の誤解を解きたい。
 そして、できれば研究対象として以上に、もっと友好的な関係を作りたいものだ。
 あの人形の存在自体が、何処か私に似ている気がして。

 ……そういえば魔理沙も何とかしないといけないんだった。
 会いに行ったけど毒殺されそうになって命からがら逃げてきましたなんて言えるもんか。
 どう考えたってそのあとまともな会話ができそうに無い。状況を悪化させるだけだ。
 ああ、頭が痛い。
 何か上手い解決策が在ればいいのだけど。




 頭痛は私がアルキメデス的に「エウレーカ」とこっそり呟くまで続いた。




〜doll〜




「……はっ!」
 夜も深いころ私は突然目を覚ました。
 夢の中であの人形遣いとの戦闘が再現されたのだ。

「ああ……うう……」
 胸が詰まったように苦しい。実際は穴が開いているのにね。
「……あれ?」

 お腹においた手が変に沈み込んだ。

「あ、ああ……」
 もう怖くてお腹を見る勇気も無い。私は着実に壊れていた。
「本当に死んじゃうんだ……」
 怖い。ただ一言、それだけ。

「でも、許せないんだから……」
 あの人形遣いが私にしたことは吐き気を催すほど忌々しいこと。
 人形を使って攻撃した、防御した。まあ、それはいいんだ。

 だけどあいつは、あろうことか私に人形を壊させた。
 私が人形を壊せないという良心を逆手にとって……!
 私の最大のタブーを! あいつは!

「あ゛あ゛あああああ゛!!!」
 憎い!! 五体をどろどろに溶かしても飽き足らないほど憎い!!

 右手で思い切り地面を叩いて呻いた。
 いやな音を立てて右肩がぐらぐら揺れるようになった。





「……ク…ククッ……でも……いい気味よ」
 実は私の怒りには既にはけ口があった。

 ずっと前に永琳にこんな質問をしたことがある。
『妖怪に一番効く毒ってなんなの?』と。
 すると永琳はこう答えたのだ。
『妖怪と言うのは魂に偏っているわ。だから、精神の毒を用いるのがいいでしょうね。
 普通の毒も勿論効くけど、余り効率的では無い。幽霊なんか全く効かない』
 そして私は聞き返した。
『精神の毒って何を使えばいいの?』
『それはね、妖怪ごとによって違うわ。明るい妖怪に興奮剤を投与しても余り意味が無い。逆も同じ。
 だけど己の忌み嫌う精神状態を与える薬は抜群に効くでしょう。なぜならそれは魂の自己否定だから。
 別に妖怪は薬の作用で暴れて死ぬというわけでは無いのよ。魂が自壊して消滅するの』

 そこで私はこう聞いてみた。

『じゃあ、永琳にはどんな毒が一番効くの?』
『私に毒は効かないって』
『あ、そっか』
『でも、そうね。……私は永遠亭の住人の輪から外れるのを恐れるでしょう。
 最も怖いのは姫との離別かしら。だから万一私に毒が効いたとしたら、私に一番効く毒は……』

 人と繋がることによって生きる自分を最も否定するもの。それは……。

『孤独…………孤毒、ね。きっと』
 彼女はそう告げた。



 あの人形遣いの行為に狂おしいほどの怒りを覚えた私はあいつを毒殺しようとした。
 そこで浮かんできた言葉が、先ほどの永琳の言葉だ。
 単純な毒ならばいくらでも解毒される。魔法使いには難しくないだろう。
 致死率100%の毒が欲しい。苦しんで喘いで、狂乱の末に命を刈り取る毒が欲しい。
 そこで私はすぐに彼女のことをしらべた。

 そして、彼女もまた、人との繋がりで生きる妖怪だと私は聞いた。

 毒は決まった。



 私は運がいい。
 さらにその毒、孤独を容易に作り出す手段までもが舞い込んできた。

 ……私がどうやってその孤独を彼女に与えようかと考えていたときだ。
「孤独にする毒って一体何よ……」
「こんにちは、鈴蘭畑のお人形さん?」
「か、風見幽香!!」
 この前出逢って私をめちゃくちゃにしてくれた彼女が突然やってきた。

「何の用よ! また、弾幕なんていやなんだから!」
「安心して。今日の私はただのメッセンジャーよ」
「メッセンジャー?」
「はい、この手紙読んでおいて。それじゃあね」
 彼女は手紙をポンとおいて去っていってしまった。

 手紙にはこう書いてあった。
『このたびの花の異変により幻想郷の皆との交流が増えた者も多いことでしょう。
 そこで全体の友好をはかるため、明後日の午後六時より交流会を催そうと思っています。
 会場は博麗神社にて。できる限り多くの人妖の参加を待ち望んでおります。
 貴方も、その会の主賓の一人としてどうぞいらしてください。

 何が言いたいかって言うと宴会やることにしたんでおいでってことよ。
 いつも宴会ってみんな色々持ち寄る形だからおいしいものもってきてね。強制よ。 博麗 霊夢』 

 最後にやる気が途切れたのが手に取るようにわかる手紙だった。
 だが呆れるよりも先に私は背筋がぞっと冷えるほどの歓喜に満ちた。

「沢山の人妖がきて……食べ物・飲み物を持ち寄る……毒を入れれば……」
 彼女の周囲の人妖殆どに影響を与えられる。

 私は頬が引きつりそうなほどの笑顔を浮かべ、毒の調合を始めた。
 必要な条件は、無味無臭であること。無色透明であること。
 致死性を持たないこと。極力副作用で身体に症状を出さないこと。
 お酒に混ぜるならアルコールと反応しないこと。分離しないこと。

 そして、アリスを……嫌悪するようになること。



 あっという間に時間は過ぎ、宴会当日の昼に毒は完成した。
 アリスを認証する手段に迷ったが、私と戦ったときの人形の破片から魔力を抽出できた。
 これで皆、理由はわからずともアリスを、正確に言えばその魔力を持つアリスを嫌悪する。

 このお酒に入れて飲ませれば、ばれる要素は皆無だ。味もしないし色も無い。
 毒に犯された者はアリスを嫌悪することを当然と思い、疑問など持ちはしない。
 ただアリスだけが周りの人間が冷たくなったことに苦しみ、他に影響は出ない。

 惚れ惚れするほど完璧な毒が出来上がった。
 誰からも忌み嫌われ、彼女はこれで孤独へと陥るのだ。
 毒消しも、回復魔法も、何一つ効きはしない。
 孤独は毒であって毒で無いもの。

 ああ、孤毒! なんと素晴らしい毒!!



「よーし! 今日は私頑張るからね、スーさん……」

 ……あれ?

 よく見ると私の周りにあった鈴蘭が、萎びている。
 成長が早くなることはあったけど、こんなことは今までなかった。

 それに、スーさんの声が、何だか遠い。

 風が白い花々をざわめかせた。
 風見幽香が持ってきた手紙が飛んできて裏返った。
 そこにはただ一言。彼女の青草色の字が風のように流れていた。

『鈴蘭が泣いているわ』

 得体の知れない恐怖と不安が私にとりついた。
 手紙はそれ以上考える前に破り捨てて、見なかったことにした。
 迷うな。これでいいんだ。
 私の禁忌を犯したあの人形遣いなんか死んでしまえば……。

 ……死?

「死ぬって、痛いのかな……」
 まだ私は誰も殺したことが無い。誰かの死を見たことも無い。
 知識の中でしか存在しない死を、これから私がつくりだす……のか?

「わ、悪いのはアリスだ! アリスだ! アリスなんだからぁーッ!!」

 恐怖をかき消すように私は絶叫し、毒酒を持って飛び上がった。
 




「こんにちは〜、霊夢」
「あら、よくきたわね。もう皆準備ができてるわ」
 まだ5時前なのに神社には多くの人妖がいた。
 少し離れた神木の陰に……憎き人形遣いの姿もあった。

「で? 何を持ってきたの?」
「お酒」
「お酒〜? 毒なんか入れてないでしょうね?」
「入れてないに決まってるじゃない。二瓶持ってきたから乾杯にでも使って」

 動揺を上手く隠しながら私は無邪気に笑んでお酒を渡した。
 霊夢は満面の笑顔で神社へと持っていった。



 6時過ぎ。自己紹介めいたものも終わり、いよいよ乾杯となった。
 今回の幹事は魔法使いの魔理沙のようだ。主催者もきっと彼女なのだろう。

「ええ〜酒はいきわたったな? それじゃ、新しい仲間との出会いを祝してかんぱ〜い!!」

 彼女の合図で皆がお酒を呑んだ。
 紅魔館の者も、冥界の者も、永遠亭の者も、無縁塚の者も、誰もが、誰もが。
 毒人形の私にこの毒は効かないだろうが、私も呑む。

 全員が、私のお酒を呑んだ。誰一人お酒に何も反応しなかった。
 完璧だ。私の計画は全てがうまくいった。


 謀られた宴会は始まった。


 そういえば宴会の最中だ。私が胸に開いた穴に気がついたのは。
 結局その時はすぐ治ると思って放っておいたのだけど……。






 ボロッ


 私はそこで回想を止めた。

 止めざるを得なかった。

 先ほど憤りに任せてたたきつけた右腕が。



 もげた。




〜doll master〜




 宴会の間、私はずっと神木のそばにいた。
 魔理沙に話しかける機会だと思ったけど、彼女はいつも誰かと話していて私は近づけない。
 いや、それを理由に私は近づこうとしていないだけなのだろう。
 ……私は弱いよね。

 メディスンの姿も見つけた。
 彼女はいろんな人に話しかけ、話しかけられ……意外に社交的だ。
 あんなにニコニコと笑える彼女が羨ましい。私には到底できそうも無い。
 人形遣いより優れた人形と言うのは少しだけ癪ではあるのだけど……。

 今日は私を無理矢理皆の会話に連れ込んでくれる魔理沙が居ない。

 お酒が今日は何だか苦い。




 一人で呑んでいるうちに宴はたけなわとなった。
 魔理沙も少し疲れたのか神社の縁側に腰掛けて空を眺めていた。

 これを逃したらダメだ。
 勇気を振り絞れ、アリス。

「ま、魔理沙?」
「! ああ……アリスじゃないか」
「どう? お酒は、美味しい?」
「……酒がまずい宴なんか無いぜ。美味くなきゃいけない」
「そう。それは美学ね」
「何の用だ、アリス」
 魔理沙はちょっと俯いて唇を動かした。

「いきなり何の用だって失礼ね。宴会では用がなきゃ話しかけちゃいけないの?」
「そんなことはない」
「でしょう? ……その、用はあるけどね」
「……この前のことか」
「うん」
 魔理沙は大きく溜息をついた。

「ショックだったぜ」
「だから……私も行き過ぎたわ。ごめんなさい」
 謝罪の言葉は意外なほどあっさりと出た。
「いいよ。許す」
 許しの言葉も不思議なくらいあっさりと出た。
「あの、その、私もあの時大事な石がなくなって相当気が立っていてね?」
「いいってば、そんなこと今更言わなくても。わかってるぜ、私も悪いんだ」
 私はその言葉に返すことができず沈黙が続いた。


 和解はうまくいった。
 言葉だけを捕らえればそう聞こえたかもしれない。
 だけど私は魔理沙の言葉に何処か冷たい響きを感じていた。


「……もう行っていいか?」
「魔理沙、私と話したくないの?」
 ん、魔理沙は一瞬息を詰まらせた。
 魔理沙の顔は帽子で見えないけれど唇を噛んでいるのが見える。

「そんなことない」
「魔理沙、普通ならもっと粘って私からグリモワール1,2冊ねだっても不思議でないところよ。
 そんなにあっさり私を許すなんて変よ。まるで早く話を切り上げたいみたい……」
「そんなことない!」

 魔理沙の大声はすぐに他の人妖の声に混じって溶けた。
 だけど私の心の中でそれは暗黙の肯定の返事として共鳴し続けた。

 まるでそれは嫌いを通り越して無関心になろうとしているようにさえ聞こえたから。

「お前はネガティブに考えすぎなんだよ。早く話を切り上げたいんじゃない。
 私がこの宴会の幹事なの、お前が一番知っているだろう?
 私が宴会を盛り上げてやらないでどうする。だから、話は今度にしようかって」
「話したくないのね」
「違う!」
「私、貴方と長く付き合ってるから知ってるわ。貴方はいつもお調子者なのよ。
 どんな言葉もはぐらかして、中々断言しようとしない。むきになろうともしない」
「何だ? お前は私に許して欲しいのか? それとも逆なのか?」
「許して欲しいに決まってるじゃない!」
「だから許すって言っただろ!?」
「……っ! もう……いいわよ……!」
「……ふん、相変わらず気難しい奴だぜ」
「疑って悪かったわよ……。私はお手洗いに行って来るから……皆を盛り上げてあげて」
「勿論だぜ。仲直りしてこれからもよろしくな、アリス」

 彼女は最後まで私の目を見ずにそう言って、人妖の中に入っていった。


 お手洗い? 別に行きたいわけじゃない。
 涙腺がぐっと熱くなって胸がぎゅって苦しくなって、このままじゃ泣いてしまいそうだったから。
 私は神社の中に入った。そっと隙間から魔理沙の様子を見た。
 せめて『皆を盛り上げる』という魔理沙の言葉を信じてみたかった。


 魔理沙は私の姿が消えたのを確認して少し周りを見渡した。

 そして迷わず霊夢のところに行った。


 楽しげに呑み始めた。楽しげに話し始めた。楽しそうな笑顔をしていた。
 そのどれ一つも、私との会話には無かった。
 そうよね、だって二人は間違いなく友達なんだから……。
 二人で、仲良く、仲良く……していてくれれば……いいと思うわ……。

 でも……。

「うそ…つき……!」

 押し殺した声ですすり泣いた。


「もう、帰るわ」
 魔理沙と話していた霊夢にそう言った。
 魔理沙が気にしないようにわざと30分くらい経ってから。

「あら、宴会はこれからなのにもう帰るの? じゃあね」
「うん、今日はちょっとやりたい実験があるから……」
 嘘も方便だ。上海の魔石を探すなんて言えやしない。
「魔理沙」
「うん?」
「……ごめんね」
「何を謝ってるんだ。もうさっきので話は済んだろ?」
「……そうね」
「そうなんだぜ」
 本当は、気を遣わせてごめんね、という言葉の略だ。
 だけどそれは気付かないでいい。

「バイバイ、魔理沙、霊夢。楽しい宴会だったわ」
「気をつけてね〜」
「実験頑張れよ〜」
 去りゆく私へ社交辞令のように彼女達は手を振って、また談笑し始めた。


 もう私の心はあそこに残されていない。



「ほんと……ダメね、私……」
 帰り道を行きながらポシェットに突っ込まれていた物を出した。

「つかわずじまいだったわね」

 右手ではぶらぶらと魔理沙に渡そうと思っていたグリモワール二冊が揺れていた。


 魔法の森に入って、魔理沙の家に向かった。
 灯りは無い。当然だ。

 そっと扉の前に本を置いた。
 私はそっと顔を覆った。
 嗚咽が漏れ出した。

「いっそ……ただ拒絶してくれればいい、の、に……」
 魔理沙は親切に、優しく、私を拒絶してきた。
 心が痛い。だけどきっと私は魔理沙の心も同じくらい痛めつけているんだ。
 私は近づこうとするほど彼女を傷つけるのだろう。

「最低、最低、ほんっとに最低よ……」
 蟲の声があざ笑うように私を包んだ。
 草木のざわめきが言葉にならない不条理さを訴えているようだった。

 私は孤高のつもりで居た。だけど実際、私は孤独だったのだ。
 今更そんなことに気がついても遅いのにね。私は本当に馬鹿。
 今はもう、近づいただけで大切な人を傷つけているみたいよ。


「ごめんね、ごめんね。魔理沙、本当にごめんね…………!!」


 顔を覆った手から雫が落ちて、これから置き忘れるグリモワールをぬらした





 〜doll〜




 私は永遠亭の前に立っていた。
 崩れ落ちた右手を左手に持ち焦点のあわない目で立っていた。

 腕が落ちて、いよいよ恐ろしくなった私は永琳に全て話すことに決めた。
 アリスとの戦闘のこと、毒を盛った宴会のこと。
 そしてそのことが恐らくこの穴の原因であるということ。
 妖怪の外見は、その妖怪の心を表す。その言葉を信じる限り、間違いない。

 これを話せば永琳はきっと直してくれる。

 ここまで来る間、足が軋みを上げてきた。左目が不安定になってきた。
 体中が麻痺したように動きにくくなってきた。毒がもれているんだ。
 これだけ動き回れば当然だったかもしれない。
 お腹の穴は、もはや穴と言っていいものかと思うほど大きくなっている。
 痛みもなく、苦しみもなく、しかし私は滅びようとしていた。


 診察室に来た私を見て永琳は大きく目を見開いた。
「まあ……! 酷い状態ね、メディスン」
「たす、けて……永琳。全部……話す……」
「わかったわ、そこのベッドに横になりなさい。絶対動かないのよ!」
「う、ん……」


 そして、私は全てを話した。


「なるほど……そうだとおもったわ。貴方の仕業だったのね」
「ごめん……」
「おかしいと思ったわよ、姫は人見知りはしてもいきなり根拠もなく人をけなすような方じゃないもの」
「永琳は……効かなかったもんね…薬」
「貴方の計画から唯一逃れられたのが私でよかったわね。
 さもなければ、貴方を見殺しにせざるを得なかったかもしれない」


 ボトン

 私の左眼球が床に転がった。
「あ、あう……目……落ちちゃった……」
「本当にまずいわね。このままじゃもう数時間も持たないかもしれない」
「どうすれば……いい?」
 原因は話した、心当たりも全て話した。永琳は助けてくれるはず……!

「貴方が毒人形という恐ろしい存在なのに何故そんな愛らしい姿なのかと思っていたのよ……」
 永琳は何を言っているんだ?
「でもこれでわかったわ。貴方の姿形はそのまま貴方の良心を表すの。
 そして貴方の毒は貴方の邪心を司る。貴方はただの妖怪よりもより表面的に精神が表れていたのね。
 そこで二つの心のバランスが今回のことで崩れてしまった。
 だから邪心である毒が貴方の良心である体をぼろぼろに食い荒らしたのよ」
「で……それで?」

 永琳は鏡を見せた。
「つまり、これが今の貴方の心の姿よ」
 そこには朽ち果てそうな醜い人形の姿が映っていた。

「いや……いやぁっ!」
「よく見なさい」
「やめて……怖い……そんな姿、怖い!」
「怖い? よく言ったものね。自分で自分の心の姿を見るのがそんなに恐ろしいなんて」
「うわあああぁ!!」

 色の悪い肌。水っぽい傷口。ばさばさの髪。破れて千切れた服。空っぽの眼窩。

 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴 穴

 吸い込まれそうなほどの暗黒がいくつも私に芽生えていた。


「ひくっ……ひうう……!」
「私が言わずとももう、直し方はわかるんじゃないかしら?」

 わかってる。永琳はこういっているんだ。

 アリスに謝れと。

 ……できるか!!

「できない、わよ」
「ならばここで崩れて死ぬ?」
「いやよ、いやよ、それ以外の方法……で……」
「それならば手の施しようが無いわ。貴方の心はあなたしか変えようが無い」
「うあ……そんな……」
「ここから飛んでいけば……彼女の家までは持つでしょう。行ってきなさい」
「できな……」「行ってきなさい!!」

 私は息を呑んだ。
 永琳の大声なんて初めて聞いたんだもの。

「貴方には痛みが無いからわからないのね。だけど貴方が瀕死なのは事実。
 いい? どんなことがあっても生きていることは死ぬことよりましよ。
 悠久の時を生きた私が言うんだから間違いないわ。
 どうせ死ぬならここで無駄に死ぬより、せめて彼女の家に行って迷ってから死になさい。
 そうすれば、万一にも貴方がそこで改心して、生きられる可能性がある」
「……わかったわよ」

 私はゆっくりと浮かび上がった。今度足をつけば足もとれてしまいそうだ。
「永琳は……きてくれるの?」
 そうすれば途中でも危なくなったら永琳が何とかしてくれるのでは、と思った。

「甘えるんじゃないわよ、メディスン」
「……へ?」
 ぞっとするほど冷え切った声が響いた。

「私は貴方を怒っている。理由はわかるわね?
 貴方はたった一人嫌いな相手を貶めたいがために多くの者に毒を飲ませたのよ。
 私は効かないから百歩譲って許してあげてもいい。だけど……」

 カタカタ揺れる私の眼球を、永琳の気高く鋭い目が睨みつけた。
「貴方は、永遠亭の住人にまで毒を飲ませた。
 あろうことか、私の最も大切にしている姫にまで毒を盛った。
 もし貴方が私と何の面識も無い妖怪だったらこの場で消滅させていたわよ?」
「ひ……ひいい……!」
 永琳の氷より冷たく針より鋭い言の葉が私を貫く。
 恐怖の余り毒の涙がとめどなく溢れてきた。

「人を呪わば穴二つ。人を孤独に追いやる者は自らも孤独に落ちる。
 ……それに、貴方は自分の侵した最も恐ろしい罪に気がついていない」
「つ、み?」
「貴方、毒を誰に飲ませたの?」
「……みんな」

「その中に最もその毒を飲ませていない人物が居たことに、貴方は気がつかなかったのね」
 もっとも飲ませてはならない……?


「……あっ!」

「アリス、よ」


 その事実に私の全てが凍りつく思いがした。

「こんなもの作るなんて本当に狂ってるわ。妖怪全般には最強の毒に間違いない。
 だって……自らが自らを否定するのでしょう? 精神崩壊そのものじゃない。
 なんて、なんて恐ろしい毒を貴方は飲ませてしまったの。メディスン?」

 訴えかけるような永琳の言葉に私はもう返すことができない。
 声を出そうとしたら、喉が壊れてしまった。
 でもそれだけじゃなくて……。


「よし、言いたいことは全部言ったわ。これ以上迷ってる暇は無い、早く行きなさい!」


 私は追い立てられるように永遠亭を後にして、アリスの家へと向かった。
 場所は調べてあるからわかるのだが……やっぱり行きたくない。
 でも……行かなきゃ。


 腐り落ちる体を振りまきながら私は森を行く。

 永琳の言っている言葉の意味がよくわかった。
 私もまた、孤独を与える一方で孤独に蝕まれていた。


 だってほら、私に触れる草花、皆枯れちゃうじゃない。


 わたしはひとり、ひとり。





 〜doll master〜






 悪夢で目を覚ました。ここ数日はいつものこと。
 誰も私に声をかけてくれやしない。罵倒すら浴びせてくれない。
 ただ私は透明人間のように無視される物語。私はここにいる、と声を張り上げるだけの喜劇。
 一人ぼっちの私にはそんな夢すら友達と思えてくる。

 今日は、外に出てみようと思った。
 このまえあの人形との戦いで散らばった破片をこっそり集めに行って以来出ていない。
 魔理沙の家はいけそうに無い。だから次に親交のあるパチュリーに会おう。
 もしかしたら魔理沙との間にも何か希望が生まれるかもしれない、と私は夢見ていた。

「こんにちは」
「あら、お久しぶりですね。アリスさん」
「美鈴さん……よね?」
「覚えていただいて光栄です。何の御用で?」
「その、パチュリーに会えたらと思って」
「はい、それならばどうぞお進みください。パチュリー様は図書館にいらっしゃいますので」
「ありがとう」
「それとアリスさん。何だか『気』が……」
「え?」
「いや、なんでもないです」




 何度もきたことがある大図書館の扉。今日は何だかやけに重く厚く見える。
「パチュリー、いる?」
 二三度呼んだが返事は無い。

「パチュリー様はいらっしゃいませんわ」

 突然後ろから声が聞こえた。

「咲夜……」
「残念だけど急用でパチュリー様は外に行ってしまったの。今日は帰らないわ」
「ええ? 門番はパチュリーはここに居るって言っていたわよ?」
「それは……彼女はちょっと抜けてるから仕方ないわ」

 ああ、自分がいやになってきた。
 パチュリーも私に会うのがいやで姿を隠した、と考えつくだなんて……。
 自分は何処まで腐っているんだ。


「さくやー」
「あら、お嬢様」
「そろそろお茶の時間じゃない。あら、人形遣いの」
「ええ、こんにちは」
「……まあ、いいけど。用が済んだらお帰りはあちらよ」
 彼女はこれ見よがしに嫌な表情をしてきた。

「お嬢様、何の御用ですか?」
「だからお茶だって。パチェを呼びに来たの。まだ来ないじゃない」
「ああ、えーと……それは……何ででしょう?」
「埒が明かないわねぇ。……ふん、ふん……パチェはあっちに居るみたいね。匂いがする」

 あっちに居る?

「パチュリーは出かけてるんじゃなかったの?」
 すっ飛んでいった吸血鬼の姿を見て私は呟いた。
「それはきっと……お嬢様の勘違いではないかしら」


「パチェ、見つけたわよ。机の下に隠れてどうしたの?」



「……そう」
 私はもうそれ以上何もいうこともなく図書館を後にした。
「ごめんね、ちょっと今日はパチュリー様の調子が悪くてあんなことを」
「いいのよ。もういいの」
 メイド長が私についてきた。
 私は俯いて必死に表情を隠した。気を遣わせたくないもの。
 彼女は必死にとりつくろうと私に色々話しかけてきた。親切に、親しげに。

 しかし視線を下げたせいで私はもう一つ不幸な物をメイド長の彼女に見つけた。



 紅魔館、外。
「今日は悪かったわね、気分を悪くさせちゃって」
「ありがとう」
「ありがとう?」
「貴方、私といて嫌だったんでしょ?」
「そんなこと今更感じてもねえ……なんだかんだでうちの常連さんだし」
「嘘」

 不思議だと思っていたんだ。彼女はずっと右手で左腕を掴むポーズをしていた。
 私は屈みこんでその彼女の手を離してみた。
 焦る彼女を無視して。

 血が滲むほどの爪痕があった。

「私のせいでしょ……? 痛みで私への不快感を抑えて親切に振舞おうとしたのでしょう?」
「ち、違うわよ……」
「ううん、いいの。今…治して…あげるから」

 もう、なんで私がとは思わなかった。
 私は存在するだけで罪なのではないかとすら考えていた。
 狼狽した彼女は足が僅かに震えていた。表情は見ないほうがいいと思った。

「……完了」
 傷は回復魔法で痕もなく治った。
「……あり…がと」
「それじゃ、さよなら」
「ええ、またいらっしゃい」
「さよなら」
「……また、ね?」
「……………さよなら」



 私は振り返らずに帰った。
 思い出せば思い出すほど後悔が積もってきた。

 やっぱり私は最低だ。
 最後に見た彼女の顔は、困惑と申し訳なさがいやというほど浮き出て見えた。
 何であんなことをしてしまったのだろう。
 普通に無視しておけば彼女を苦しめることは無かったろうに、私は悪戯に彼女を苦しめてしまった。

 私がした行為と言うのは、私を思いやっての方便を得意になって暴いたようなものだ。
 彼女が一番気づいてほしくなったのは私への嫌悪。
 それを私はわざわざ、ほら、やっぱり私のこと嫌いだったのねとあかしたも同然。
 彼女流に言えばちっとも瀟洒でない。
 無駄に気を遣わせて、不快感を与えて、おまけに彼女の心まで傷つけた。
 自分を傷つけてまで親切にしようとしていたのに、そのプライドをズタズタにしたんだ。

 ああ、やることなすこと、どうして人を傷つけてばかりなんだろう。

 私、何で生きてるのかしら……。




 頭を空っぽにしたまま私は家に帰った。
 扉の前に立って思い出す。
「そういえば魔理沙の家の前にグリモワール置いたのよね……」
 今思えば、あんなの貰っても魔理沙は困るだけでしょうに。
 親切の押し売りは迷惑なのよ。それくらいも知らないの、アリス。

 ベッドに寝そべる。何もする気が起こらない。
 心が軋んでいる。体も軋んでいる。

「そうだ」
 前に焼いたまま放っておいたチョコクッキーがあった。
 魔理沙にあげるためオーブンから出したままつい食べ忘れていたんだ。

 ……うん。いい色に焼けているみたい。

 がりっ

「……え?」
 苦い。
 でもこれはチョコの苦さじゃない。
 私は慌てて魔理沙の置き忘れていった袋に残っていたクッキーを齧ってみた。
 それもやっぱり同じような味で。

「……焦げてる」

『おう、それじゃ良いニュースだ。このクッキー美味いぜ』
 魔理沙の言葉が途端に出てきて、私は座り込んだ。
「やっぱり……嘘つきね。魔理沙……」
 嘘も方便っていうけど、きっとそれはこういうことなのだろう。
 彼女の優しい嘘に私は知らないうちに救われていたんだ。

 そんな優しい魔理沙に、一体私は何をした?




 カラン


 袋から何かが出てきた。
 霞む目では良く見えない。


 そっととって、目を擦って、見た。もう一度擦って、見た。


 見るべきじゃなかった。


「……わたし……なんて……こと」


 もう、消えてしまいたい。


 無くしたはずの上海人形の魔石が袋の中に入っていた。
 理由はすぐわかってしまった。
 魔理沙にクッキーを詰め合わせてあげたとき、うっかり手についていたのが入ったんだ。
 そうか、そうだったのか。
 よくわかったわ、何もかも。

「全て、私の一人芝居だったのね……」

 魔理沙は何も悪くないのに、私はしかりつけたんだ。
 最初から最後まで、悪かったのは、全てこの私。
 それなのに魔理沙が悪いなんて思いこもうとしたなんて。
 全て全て全て全て全て全て! 私が悪かったのに!

「……な、なんでかしら。笑えるのに涙、が、止まら、ない、よ……!」

 そう、全て私が勝手に、滑稽に踊っただけの喜劇!

 笑えばいいじゃない、アリス!

 貴方は疑心暗鬼で孤独を勝ち取った勝利者よ!


「あ、あは、あはははははははははははははッ!!!」


 涙に溺れながら、私は笑った。






 ……もう、後は決まっていた。


『いい事教えてやろうか? 本気で私を拒みたかったら魔力遮断の術を家にかければいいだけなんだぜ?』
『面倒だわ。鼠一匹防ぐのに家を改造するなんて』
『嘘つけ、そこの紅い本に便利な防御魔法や封印法がいっぱい書いてあるくせに。私でも簡単にできるぜ』


 そう、かんたんに、できる。








 〜doll〜





 アリスの家はぞっとするほど静かで暗かった。
 もう耳も、両足首も、何処かに置いてきてしまった。

 部屋の鍵は開いていて、そこにはしっとりと湿った空気と人形と、箱があった。
 やけに部屋が荒れている。人形が地面に転がっているほどだ。
 あれ?
 この人形って……私に壊させた3番目の人形じゃない。
 何でこんなのがここに……。

 見渡すと箱の中身に金髪が見えた。
 まさか。と思い、覗いてみる。


 アリスは、棺桶のような箱の中で眠っていた。


 頭が真っ白になった。一体なんで?
 わからない、わからない!

 と、そのとき太ももから下が崩れ落ちて私は声にならない叫びをあげた。


 苦し紛れに私は先ほどの人形を使うことを考えた。
 これは人形開放の取って置き手段として隠していたかったが……仕方ない。

 私はその人形を崩れ落ちそうな手で掴むと毒を注入し始めた。
 何のことは無い。私と同じメカニズムで動かすのだ。
 人形に純度の高い毒を加え、神経と脳にあたるものを作る。
 自分の体に刻まれた記憶を探り、考え、表現する能力を与える。
 ……ただこれは不完全だ。普通の人形の体じゃ、数分も持たずに崩れてしまう。
 でも今はそれしかすがるものが無かった。
 
 壊れるのは、ごめん、許して。
 私が生き残るにはそれしかないの。


 そして私は呼びかけた。

『ねえ? お人形さん』


『……貴方、毒人形?』
 うまくいった。テレパシーに近いこの言葉なら声の出せない私でも話せる。
『そうよ。話は早くしてね。まず貴方の主人が倒れてて理由を』
『貴方のせいよ!!』
『……は?』
『なんでアリスを傷つけたの! 知ってるんだから、貴方が皆に毒を盛ったことくらい!』
 そうか、この人形はずっと私の住処にころがっていたから。
 でもなんで? この子、アリスに捨て駒にされたのに……。
 
『でも、でも! 人形遣いよ! 貴方はそんな奴らに操られていいと思ってるの?
 今の貴方みたいに自由意志を持った人形があるべきだと思わないの!?
 捨て駒にされたり、痛めつけられたり、捨てられる人形のあり方はおかしいと思わないの!?』
『貴方は自分の領分を理解していない! 人間に作られたくせに思い上がるな!』
『思い上がるなって……貴方、人形じゃない』
『そうよ。私はアリスに作られた誇り高きドールよ』
『そう、私は捨てられたのよ。いいように扱われて捨てられたの。貴方だってそうじゃない』
『違う!』
 彼女は恐ろしいほどの勢いでそう叫んだ。

『違わないわよ。貴方は私に効率よくダメージを与えたいがために壊されたじゃない!』
『違うわ。アーティフルサクリファイス……貴方はその犠牲の意味をわかってないもの』
『ど、どういうことよ』
『尋ねるけど、人形の理想とは何だと思う?』
 何を唐突に。
『それは、人形って言うくらいだから人に限りなく近づくことに決まってるじゃない』
『私は人形よ。どうやれば人になれる?』
『なれないに決まってるじゃない。実際自由意志を持つ私だって』
『なれるのよ』
 その声には冗談も嘘も混じっているようには聞こえなかった。

『じゃあ、どうすればなれるって言うのよ』
『簡単よ。アリスに操ってもらう。それだけ』
『は、はあ? 何でそんなことでできるって言うのよ!』
『わかってないわね。人形遣いが人形を使用したとするわよ。操ってるのはどっち?』
『人形遣いに決まってるじゃない』
『本当かしら? 人形が人形遣いを操っているとは見えない?』
『そんなの、ありえないわよ』
『人形劇をしているときはどうよ? 人形が正しく動くように人形遣いは操られる』
『そんなの詭弁よ!』

『貴方にはまだわかって無いだけよ。
 本当の人形遣いはね、人形と人形遣いの境界を取り払うことができるの。
 そしてそれは人形にとって最高の喜びであるのよ。
 私は、彼女の手、或いは足。つまり私はアリス。私はこの身を捨てれば、アリスになれる。
 意思を持っただけの人形の貴方なんかより、より高い人形の極みに行けるんだから!』
『そのために壊れても良いなんておかしいよ!』

『私はアリスになりたい! ……そう、ここにある人形は皆、あの優しくて可愛いアリスになりたいのよ。
 そのために一回二回砕け散ることがどうしたの。もともとアリスに預けた身なんだから。
 私達は犠牲によって聖化するの。より完全に、完璧に、アリスになれる。素敵じゃない』
『あのアリスになりたいですって……?』
『実際アリスは粉々の私を回収してくれたじゃない。やさしい子でしょう?』
『く、狂ってるわ。貴方達……』
『狂ってる。それならそれでいいわ。狂った者には狂わずには得られない幸福があるのよ。
 それで何の問題があるっていうの? 私は、私達は、それなら喜んで狂うわ。
 狂信でも妄信でもそこに私達の本分があるなら何を迷う必要があるというの?』

 恐ろしい。この子達はいったいどんな原理で動いているんだ。
 壊れて幸せなんて、そんなのありえない。
『人形はそんな存在じゃ』
『人形はモノよ』
 そういうと同時に彼女の腕がぼとりと落ちた。
 毒の侵食が進んでいるんだ。

『長く話せないみたいね』
『最初からそういってるじゃない、だから教えて。何でアリスは眠ってるの?』
『貴方のせいよ』
『何で私の』
『貴方が毒を飲ませたせいでアリスはすっかり落ち込んでしまったのよ。
 それで……そこの本にある封印魔法をできるだけかけて眠ることにしたのよ』
『封印ですって?』
『そう。自分が居ると何もかも傷つくんじゃないかって言って……』

 自分が居ると何もかも傷つく。
 私に、そっくりだ。

『それと貴方、貴方はアリスの好意を踏みにじったのわかってるの?』
『最初に来たときのこと? あれは私のほうから攻撃したけどあんまり好意じゃないわ』
『違うわ。宴会よ』
『宴会が? どうして?』

『あの宴会、主催はアリスだって知ってた?』
『え!?』

『アリスはね、貴方がまるで自分みたいだと思って、皆に触れさせてあげようと思ったの。
 それで霊夢に頼んで、宴会をさせてもらえるように頼み込んだのよ』
『そんな! 嘘よ! あいつが私のためになんて!』
『そう、貴方はアリスの好意で為された宴会を、アリスを謀る計画で汚したのよ!』
『うそ! うそ! うそ!』
『真実よ! 嘘だと思うなら誰かに聴けばいいわ。霊夢とか魔理沙にね』

 その言葉でぎゅっと胸に重りが落ちたような感じがした。
 私は何ということをしたんだ。
 いくら憎い相手とはいえ、好意を踏みにじって利用してたなんて。

『ふふ……ふふ……ははっ』
『……何が、楽しいの、よ……』
『凄い。凄いわ。アリスって、毒使いだったのね』
『ち……が…わよ』

『嘘よ! 今ね、私とっても変なの! 胸の辺りが潰れそうな、切り裂かれそうな感じがするの!!
 これって毒よ! 毒に違いないわ! 凄い毒ね、この毒人形たる私に効く毒なんて!!』

 そう叫んでいると何故か涙が出てきた。

『……た、み』
『……はっきり言いなさいよ!』

『それ…は…いた…み……よ』

 その言葉を最後に人形は完全に沈黙した。



『痛み……』

 朽ちかけの体でも理解できなかった『痛み』。
 じゃあこの胸がじくじくするのは……痛いって事なのかな。

『馬鹿な、人形ね……言った通り早く話せば壊れないでよかったのに』

 また、壊しちゃった。
 私はグチュグチュに溶けた人形を見て、再び胸に同じ感覚が蘇った。
 そうか、これが痛いって事なのか。辛いって事なのか。
 ようやく私は涙を落とす機構が理解できた気がする。

 私はそこで人形に向かって初めてきちんと泣けた。



 崩れ落ちる体を引きずり、何とか棺桶の箱の前にへばりついた。
 透けた箱の中には少し悲しげな顔をしたアリスが眠っている。

 アリスは今でも嫌いだ。大嫌いだ。
 でもわかった。
 このことはアリスだけが悪かったわけじゃない。

 アリスを救おうとなんかさらさら思っていない。だけど許してもいいかなと思っている。
 もう殺してしまいたいなんて欠片も思っていない。痛みが何かわかったから。
 それに何より……謝らなきゃ。

 私はただ……自分が死ぬのがいやなだけで、べつに他意なんかないのよ。
 そう、これは偽善なんだから。
 アリスが目を覚ましたらそう開き直ろう。
 私は毒人形だ、媚びちゃいけない。

 
 声はもう出ない。それでも心の声が届くように私は祈った。


 ……ねえ
 

 私は貴方を許すよ、アリス。


 だから目を覚まして。


 アリス……。


 ごめん…な……さ…い…………。






 私の残った眼球は箱の下に落ちた。

 私の意識も何処かに落ちてしまった。

 そこはただ、ひたすらの闇。


 棺桶は開かない。










 開きっぱなしの扉。

 硝子の眼球が空の色を反射している。

 遮った。銀髪。

「まあ、……及第点かしらね」

 音もなく弓矢が放たれ。刺さった。



「おはよう、眠れる森の美女さん?」


「……貴方は」





 棺桶は開いた。







〜doll master〜




 私は人形を繕っていた。

 ちくちく、ぷつんぷつん、と。

 すべての事件は終わり私には平和が訪れていた。
 いや、平和以外のものも……。

「アリス、この前のクッキーは相当アレだったが今回は美味いぜ」
「高いチョコ使ったもの。お詫びもかねてね」
「そうか、そうか。そういやお前に冷たくしちゃったし、私もお詫び必要だな」
「魔理沙が何かくれるって言うの? 明日は大地震が降るわ」
「なんという天地無用だぜ」
「で、なに?」
「グリモワール、家の前に落ちてたんだぜ。でも同じの持ってたんだよ、だからやる」
「……それはどうも」

 私は苦笑いを浮かべて作業に戻った。
「こうしてみると毒の人形なんて信じられないわ……」
 目の前にはすやすやと眠る愛らしい寝顔の人形。

「しかし宴会を利用されたとはな、今度から気をつけないといかん」
「どう気をつけるのよ」
「参加者のもって来た物は持ってきた物は全部毒見することにした」
「太るわよ」
「味見は別腹なんだぜ」
「……何気に納得できるわ」

 結局この子の暴走は完全に外部が崩れる前に停止した。
 だから毒も既に暴走していない。今はもう触っても大丈夫。と薬師は言っていた。
 彼女はすぐにこの毒の解毒剤を作って全員に配り、中毒者はいなくなった。
 強いて言えば、このメディスン・メランコリーくらいだろうか。中毒を持ってるのは。
 
 明るい空に魔法の森の濃い緑が良く映える。
 たまに外に出るのも悪くないものだ。
 今回はたまたま運が悪かったけど……それでもハッピーエンドならいいじゃない。

「よーし! 宴会のやり直しだぜ! 明日、神社でやるぞー!」
「何でそんなに元気なのかしら……魔理沙ってば」

 そういえば、私と魔理沙もけして良い出逢い方とは言えなかった。
 だけど私達は今、こうして友達で居られる。
 この出逢いも、もしかしたら……。

「ふふっ」
 私は何だか馬鹿らしくなって思わず笑ってしまった。




 出逢いは最悪だった、と言うのはやはり小説のお決まりであろうか。
 しかし世界は誰かの書いた物語であると言う言葉がある。
 すると事実は小説よりも奇なりと言う言葉は途端にその意味を失う。
 人はあくまでも自分の知る現実を信じるしかないのだからなおさらだ。


 ……別に哲学的なことを言いたいわけでは無いのよ。

 単に私と彼女の出逢いは最悪だったってこと。




「ねえ? お人形さん」


「ん……アリス?」


「仲良くしましょうね?」


「イヤよ?」









〜doll〜


 夜、神社にはやかましく声が響いていた。
「よ〜し、メディスン、何もってきたんだぜ?」
「えーとね……これ! たこ焼きが30倍おいしくなる毒!」
 たこ焼きなんてないわよという声が響いたがどうでもいい。
「毒……なのか?」
「私は毒しか作れないもん」
「うーん……ま、いっか。よし、アリスから食え美味しいものはお前からだ」
「全部毒見するって言ったのは誰よ!」

 私は、何だかこの幻想郷を好きになれそうだ。
 何もかもが優しくて、残酷で、幻想的で。
 鈴蘭畑にずっと居てもいいかと思えたけど外に出るのもいいかもね。

 永琳がやってきた。
「よしよし、傷は綺麗に治ってるわね」
「そうでしょー、前よりお肌もつるつるになったのよ?」
「あらまあ、ほんとね。精神の成長が外部の成長に繋がったのかしら」
「私の腕が良かったからよ!」
 アリスが割り込んできた。
「私の心が綺麗だからよ、人形遣いは傲慢でいやよねぇ」
「どっちが傲慢なんだか……」
「なんですってー!?」「はいはいストップ」

 永琳は私達に喧嘩両成敗チョップとやらを食らわして何処かに行ってしまった。
「……地味に痛いわ」
「派手に痛いよりはましじゃない、アリス」
「ところで、メディスン」
「なに?」
「貴方は何で私を助けたの?」
「私は自分が死ぬのがいやだっただけよ! 他意なんかないもん!
 これはただの偽善なんだから調子に乗るんじゃないわよ!!」
「……えらくすらすら言うのね」
「うるさい!」
「じゃあ貴方はまだ私のこと嫌い?」
「大嫌い!」
「そう、私は結構好きだけどね」
「……えっ……うそ?」
 血も通わないはずの皮膚がほんの少し熱くなった。

「嘘じゃないわ、私は私が大好き」

 お猪口を投げると彼女の頭でコインとはねた。


きと
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2007/05/13 08:58:55
更新日時:
2007/05/15 23:58:55
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1. 7 詩所 ■2007/05/13 01:33:36
個人的にこの話のMVPは永琳かな。
全てを知っているうえでうまく立ち回っているあたりの書き回しが非常に精巧。
しかし、毒が効いていたとしてもアリスのネガティブすぎる性格に違和感を感じました
2. 1 どくしゃ ■2007/05/13 02:08:24
誤字の多さが気になって、気になって。
長文だけれど、読み終えるくらいには面白さもあって。
アリスの人形とメディスンの会話には多少違和感を感じたり。
メディスンと永琳、咲夜さんとアリスの会話が良かったです。
3. 7 秦稜乃 ■2007/05/13 11:02:00
…文体の綺麗さ、素晴らしかったと思います。
毒の究極の形とは、やはりこういうものなのでしょうか。
良い毒を見せてもらいました。感謝します。
4. 9 A・D・R ■2007/05/14 15:05:30
王道と言えば王道、そんなお話なのに、しっかりとした構成で、伏線も十分に生かされ、丁寧な文章で書かれていたおかげで、最後まで惹き付けられるように読めました。オチもよかったと思います。
お見事でした。
5. 9 板チョコ ■2007/05/14 20:02:03
基本的にお気に入りのタイプでしたね。
基本的にブラック、ラストはハッピーはありきたりのような気もしますが面白いので丸。
かなりのめりこめましたね。2,3回は読み返してもいいんじゃないかと思いました。

ちなみに、これだけ多くの文を書いた気力と妄想力に一点追加。
6. 7 ょん ■2007/05/16 20:18:54
ちょっと強引かなと思う節もあったけど、
話に芯が通っていて面白かったです。
7. 5 爪影 ■2007/05/19 23:35:56
 スペースを多用した事で、時系列が読み取りにくくなったような気がします。そこが少し残念でした。
8. 8 ■2007/05/22 01:14:37
締めるところはちゃんと締めていたと思うんですが…三つの違和感があって、そのせいで入りきれない気がしました。
まず、最初のアリスの魔理沙への暴発があまりに口汚いこと。あれは、以前からよほど不満がたまっていないと出ないようなレベルの罵りじゃないかと思います。ただでさえ都会派を自称するアリスのことですし、普段使わない悪態は出づらいものです。その時限りで出てくるにはあまりにも勢いが良過ぎると思います。いや、あくまで私見ですが…。
あと、毒に関して、咲夜さんはともかくパチュリーまで違和感すら覚えず掛かりっ放しと言うのはさすがに変ですし(鬼の違和感にさえ気づいた彼女ですから)、何より、ドール自身の心情がいかにあれ、初対面でアリスの術を知らない、かつ仲良くなりたい人形の手前でよりによってアーティフルサクリファイスをかけるのが一番違和感を感じます。設定を見ている限り、そこまで空気が読めない子とは思えないのですが。

色々言ってばかりで申し訳ありませんが、先の展開への緊迫感と恐怖感、そして安堵感においてはしっかり楽しませていただきました。どうもありがとうございました。
9. 7 反魂 ■2007/05/26 17:06:14
大作お疲れ様でした。
一つの物語の質としては今回でもトップクラスのように感じられました。複雑な心情を幾重にも絡め合わせたストーリーを物語に仕立て上げる、その技術にはまさしく感服です。十二分に読み応えのある作品ではありました。
ただ、如何せん冗長な気がします。モノローグ等心情表現のパートに厚みを持たせるのがこのお話の中で必須条件だったとは思いますが、それにしてもちょっと濃すぎるという印象です。しかもそれが鬱々とした内容をひたすら書き連ねるため、悪い言葉を使えばかなり辟易しました。色々な意味で重いです。

そして何より、どうにもキャラのことごとくに違和感があった。毒の影響というファクターがあるにせよ、それ以外の面でも私の中で結びつかない部分が多かったです。先の事に戻りますが、ここまで鬱屈した性格で書かれるとどうにも呑み込めなくなる感じがします。
感覚差と言えばそれまでなのですが。

技術面ではかなり高いと思われました。序盤の構成にやや首を捻ったものの、通してみれば目立つものではなかったです。その点での完成度は一方ならず高いと思うのですが、物語としての個人的な受け入れ度合いを考えると、私の中ではこの評価になりました。こんぺという点で公平性に悩むところではあったのですが、あくまで物語を評価するというスタンスに立って、今回は読了感に素直な採点をさせて頂くことにしています。申し訳ありません。
実に勝手ながら、それでも7点をつけられるくらい物語そのもののレベルは高評価だった、と受け取って頂ければと思います。
お見事でした。
10. 8 流砂 ■2007/05/26 22:09:45
私は大好き大好きな私、私は人形人形は私、貴方は人形人形の貴方
私と人形人形の貴方、私は大好き大好きな私、きっと貴方も大好きな私。

プロの小説を読むように、安心して読む事が出来ました。
心の脆さ、不安、そういった負の感情をダイレクトに叩きつけてくる素晴らしい作品。
読者を不安定にさせるその毒の力、お見事と言うより他ありません。
それにしても、毒でぐしゃぐしゃになったメディがこえーのなんのって堪らないー。
11. 8 deso ■2007/05/26 23:20:41
これは面白かった! 途中どきどきしながら読んでました。
あと、永琳のかっこよさに惚れます。
12. 7 blankii ■2007/05/27 11:56:01
 よく練られた心理劇であったと思います。てか、心理がそのまま身体に表出する設定だけに、ビジュアル的にも怖い怖い。
 アリスがドツボに嵌っていく描写が見ていて居たたまれないというか、キリキリ胃が痛いというか。ともあれ、ハッピーエンドが素晴らしかったです。
13. 10 椒良徳 ■2007/05/27 20:31:53
 英語のタイトルを使う時は普通語頭を大文字にするものです。というか文頭ぐらい大文字にしましょうよ。
ところどころ!と?の後ろのスペースを忘れている事がありますね。
「また毒々しい色の弾が司会を覆い始めた」は「また毒々しい色の弾が視界を覆い始めた。」でしょう。瑣末な事ですが。

 そんな瑣末な事は置いておいて内容に関してですが、大変素晴らしいものでした。全作品を投稿順に読んだのですが、最後の最後にえらい作品がきてしもた! と喜びに震えております。だんだんと周りの人間から拒絶され、自己嫌悪に陥っていくアリスの様子には勃起が止まらなかった。こんな作品を書き上げる貴方の発想、構成能力、文章力いずれもハイレベル、非常に素晴らしいものでした。このような素晴らしい作品を書き上げた貴方に最大限の感謝をしたい。本当に有難うございました。そして、貴方の新作に期待しています。
14. 9 乳脂固形分 ■2007/05/27 21:04:04
さあ、トリを飾るのは70キロバイト以上のこれまた大作。最後の最後に何を持ってくる? 出してきた、ドールズ!
おっと、多少誤字脱字が見受けられるが、これは大丈夫か? っと、持ち直したか?
いける、行けるぞ、このままだ! そのまま、いってしまえ! アリスが流した涙が描く虹は、幸福への架け橋だっ!……決まった!! でました、これは凄い!
メディスンの成長、アリスの幼さ、魔理沙の友情、全てが無理なく説明され、紡ぎだされるハーモニー、見る者に感動を与えるストーリーに仕上げてきました。読者をがっちりとつかみこんで、 離 さ な い!
出会いが最悪であれど、それは後に相手を見直し結びつきを強くする機会に転じる。そうです。物語は、そうであってくれなくては! まさに予定調和。まさに、王道。まさに、ダンス・ウィズ・ザ・ドールズ!
張り巡らされた伏線、織りなされる登場人物の心理描写、どちらも妙技としかいいようがありません。今コンペで一番の感動、わたくしの目からも、思わず涙がこぼれます。
君と飲みたい、ポイズン吟醸、 みごと、ハートの隙間に注ぎこみ、お熱いうちに、召し上がれ。メディスンがアリスに毒を飲ませてしまった罪を自覚するシーンでは、震えさえ感じさせました今回のSS、一見ご都合主義に思える永琳の登場も、もはや颯爽としていて格好良くすらあります。

……終わり方も素晴らしい。物理的にも精神的にも、穴はすっかりと癒されてしまいました。おでこにコインと響く清々しさ、コンペを超えた崇高なSS、ドールズ・決まりました!

さあ、最後にもう一度、様々な感動を与えてくれた作者の方に、盛大な拍手を送りたいと思います。
感謝、感激、驚嘆、憧憬、羨望。素晴らしい幻想を――ありがとう! ボリショイ・スパシーボ!

……失礼いたしました。
15. 9 木村圭 ■2007/05/27 23:57:54
そっか、美鈴は宴会に来てなかったから……。
正面からぶつかって、言いたいこと全部言いあって、それでも嫌いなら縁が無かっただけのこと。でもきっと、仕方無いってすっきりぴかぴか。
アリスとメディスンがこの先どうなるかは分かりませんが、心配要らないことだけは間違いないんじゃないかな。
16. 4 らくがん屋 ■2007/05/29 10:17:31
今から、私があなたの作品を正当に評価出来ない理由についてだらだらと言い訳を並べます。
コンペという勝負の場で作品に求められる重要な要素として「一回で読者を引き込めるか」「一回で読者に内容を伝えることが出来るか」というのが挙げられると考えます。特にこの東方SSコンペでは、読者側は限られた期間内に多数の作品を読まなくてはなりません。技巧として再読を要求する場合もあるでしょうが、仮にそうするのなら作者は再読されない可能性というデメリットを覚悟しなければならないでしょう。そうではなしに読者に再読を要求するなら、それは失敗の可能性が高いのではないでしょうか。
要するにとても読みにくかったです。時系列いじってるのはわりと早く気がつきましたが、それを抜きにしても読みにくい文章でした。内容的にはもっと短くまとめられた気もしますが、そこは作者の判断なのでどうでもいいですね。つーか俺こそ短くまとめろって話ですが、どうでもいいですね。
17. 10 74 ■2007/05/29 22:35:08
アリス良すぎ
18. 6 shinsokku ■2007/05/30 01:33:45
すれ違い宇宙。
しかしこの毒は現実に蔓延しすぎですな。
我々マインドコープスの動力はサラリーです。
19. 6 鼠@石景山 ■2007/05/30 02:05:02
面白かったです。けど、あちこち細かい違和感があるなぁ。
上海抜きの戦闘とありますが、上海しか使わないわけじゃなかろう、とか。萃夢想を見るなら、呼ぶだけなら無制限っぽいですし。用心深いアリスが準備を怠るのもちょっと。
毒の効果がすべての元凶とするにはちょっとムリがあるかも。永久に効く毒というのも考えにくい。
メディスンの加減の効かなさが出ている、といえばそれまでなのかも知れませんけど?
でも、なんで人形遣い=敵なんだろ。
人形を最も愛している職業だとも言えるのに。ちょっと安易な気もします。
そのへんもメディスンの勉強不足なのかもしれないけど、単に「人形を道具として使う奴」という事で、アリスを敵にするための条件にしているようにも見えてしまいました。
20. 7 いむぜん ■2007/05/30 02:50:27
そんなことしなくてもアリスは独りじゃん。
それはともかく面白かった。双方が追い詰められている過程も、メディスンが壊れて(悪い人形になって)いく様子も違和感無く飲み込めた。マイナスがあってプラスに戻す。この落差が気持ちいい。
まあ、マイナスがいろいろとキツいのがあれか。これも毒なんだろうか。
魔石をなくす件とか、紅魔館でハブられるのとか、ちょっと強引な気がする。
対アリスの毒がどの程度残るものなのか? 一度服用しただけで身体機能を損なうものなら、一回の使用でいいのかもしれないが、この場合どこまで効果があって、どの程度残留するのか。
妖怪の代謝と人間の代謝、そのへん難しいんだが。求聞史紀の資料がすべて正解ではないにせよ、人間と妖怪、等しく効果を持つ毒ってのは難しいんじゃなかろうか?
メディスンが毒と情念で動く、という所を拡大解釈すればあるいは、か。
21. 7 ■2007/05/30 04:21:18

うええ、アリスかわいそう……他人事とは思えねえ……。
マジで悲しくて泣けてくる……。
最後ハッピーエンドだからまだマシだけど、こういう自己嫌悪ってかなりしんどいんだよなぁ……。
鬱ストーリーとしてはまったく申し分ない絶望感であります(爆)。
しかし、ただの鬱ストーリーとして終わらせないためにはもう一工夫必要でしょう。
メディがごめんなさいして解毒して終わり、というのはちょっとあっさり過ぎです。せっかくアリスをあそこまで追い込んだんですから(爆)、そこからリカバリーする過程でもう一発見せ場が作れそうです。全部毒のせいでしためでたしめでたし、で終わらせてしまうのはもったいない(外道)。
22. 7 リコーダー ■2007/05/30 15:45:12
多重すれ違い。上手いです。
23. 8 眼帯因幡 ■2007/05/30 18:21:11
>司会を覆い始めた>最もその毒を飲ませていない
↑は誤字でしょうか。
読んでいてとても苦しい物語でしたが、最後がハッピーエンドでよかったです。
冒頭と重なるオチも素敵。お疲れ様でした。
24. 9 K.M ■2007/05/30 21:18:07
毒人形と人形遣いと孤独と孤毒…かなりヘビーなお話でしたが、じっくりと読ませていただきました。
25. 6 たくじ ■2007/05/30 22:09:07
最終的にはハッピーエンドでメディスンのツンデレっぽい雰囲気も好きなんですが、アリスが嫌われていく様があまりに痛々しくて、そういう暗い雰囲気が長々と続くので読んでて疲れました。
26. 8 二俣 ■2007/05/30 23:11:04
中盤からラストへの流れは好きです。
話の骨格がしっかりしているから、一人称が移動しても読み手が混乱しにくい…のですがあまりに長くなりすぎてしまったかな、とも。
これだけしっかりした両者のストーリーラインがあるのならどちらかに固定するか、三人称で一本化してしまうかのほうが読み物としては綺麗にまとまったようにも思えます。
とはいえ全体としての出来はやはり秀逸。
特にラストのやり取りはとてもいい読後感を与えてくれました。
27. 9 時計屋 ■2007/05/30 23:58:29
人を呪わば穴二つとはまさにこのことですね。
そしてその穴は双方から埋めないときっと消えない。
創るのはたやすくあっという間ですが、
消すためにはきっとこれから長い時間をかけないといけないのでしょう。
そんなことを考えさせられました。

アリスの孤独感やメディスンの憎悪や恐怖がとてもうまく描写されており、
読んでいるこちらまで気分がざわつくような文章でした。
構成も常に先が気になる展開が考えられており、
長文にもかかわらず、長さを意識せずに楽しめました。

強いて気になった点を挙げるならば、彼女らがあまりに感情的な故に、
本来あったキャラクターが崩れて見えてしまったことでしょうか。
28. 7 藤村る ■2007/05/30 23:59:29
 最後の台詞いいなあ。
 あとちょっと魔理沙の「だぜ」語尾が変なところに付けられていて違和感。
29. フリーレス きと ■2007/06/03 20:06:49
皆様、ご読了ありがとうございました。二位と言う快挙は身に余る光栄です。
ところで〜in holesとは日本語訳で穴だらけの〜と言う意味。(思いっきり風流氏の作品とかぶってるなぁ)
アリスに開いた精神の穴、メディスンに開いた体の穴、しかしその本質は同じと言うあたりに気付いてもらえたでしょうか
誤字は申し訳ありませんがもう少し後でなおさせていただきます。
言い訳にはならないのですが、この作品、締め切り10分前に完成したというアレな作品でして・・・。

それでは以下皆様へのお返事とさせていただきます

>藤村るさん
最後の台詞ってあとがきなのかそれとも作品中なのかわからないのですが、評価していただき有難うございました。
メディスンは心の暴走を、アリスは自己への嫌悪を払拭できたことを象徴する文となっています。
「だぜ」は……ちょっと何処かわからないのですが色々見直してみます。

>時計屋さん
まず一位おめでとうございます。時間がなくて採点できなかった私ですが、とてもよいお話でした。
コメントですが心をざわつかせるような文、台詞が目標なので貴方にそう評価していただけたことは嬉しいです。
感情が先走ったのは申し訳ありません。「らしさ」が足りなくなったのは精進しようと思います。

>二俣さん
私はどうも一人称を交代させると言うこと自体が好きなのです。それが長くなってしまったのは申し訳ないです。
人は永久に己の宇宙から出られないと書いたのはマスターキートンですが、私もそのような考えを持っているため……。
ラストのやり取りはスパイシーなインド料理の最後に出るチャイみたいなものです、目論見どおり安堵を得ていただき有難うございました。

>たくじさん
鬱が嫌いな人は地獄を見るとスレに書かれていましたがまさにそんな感じです。それでも読んでくれた貴方に感謝。
嫌悪する、といっても単純に「アリス嫌いだ!」じゃあ面白くない。完全な嫌悪はもはや視線すら得られないのです。
例えば貴方が散歩で目の前に犬の糞を見つけたら見なかったふりをして通り過ぎるでしょう。……相手が人間だと辛すぎますよね。

>K.Mさん
ヘビーですね。うん、色々見たけど終わってから作品を見た私ですがやっぱり超ヘビー級でした。ダイエットしようよ。
毒人形と人形遣いと孤独と孤毒という対比がわかっていただけたのは本当にありがたい。
上にも書きましたがin holesは穴だらけの意とそのまま読んで二人が孤独の穴に陥ることを表していたのですよ。

>眼帯因幡さん
私は貴方のファンです。握手してください>< ……失礼しました。読んでいただき嬉しいです。
ごめんなさい誤字は本当にごめんなさい。見直す時間ぐらい持てるように計算して以後臨みます。
冒頭と重なる落ちって大好きなんですよ、私。今回はSSと言う存在とのメタも若干含めてみたのです。

>リコーダーさん
すれ違いが大好きな私はSです。Sけてーです。多分意味はわかってもらえないでしょう、ごめんなさい。
ちなみに今回の話、私はまず時間がないと言う現実からはじまり、イメージを掴むのにビーマニの「Ru-Ru-Ru」をみたのです。
この人形かわええなあ…とかこの世界観ってダークアリスだな…ってとこから話を得ました。読んでいただき嬉しいです。

>執さん
なんというサディスト、貴方とは仲良くなれる気がする。時間が許せばもっと書きたかったですよ、読者を絶望の淵まで落としこむ鬱展開で。
とはいえ結局ハッピーエンドで救うのですが……ちなみに案としては救いようもない鬱エンドはありました。
アリスにボロボロになったメディが謝りながら近づき、すれ違いを知って治そうとしたアリスは漏れた毒で死に、メディはそれをみて精神も壊される、と。

>いむぜんさん
アリスは独りであって欲しい、私もそう思う。精神の圧迫具合はキャラから読者へと。その感じがわかっていただければ幸い。
毒に関して強引なのは否定できませんね。あるいみメディスンは万能毒として頑張ってもらった節があります。
クッキーの魔石の件については誰もが気がつかないところというとあそこしかなかったのです、すいません。

>鼠さん
萃夢想のアリスが無限に人形を出すのは、あくまで戦闘を準備していたからだと私は解釈します。そこが合わなかったら申し訳ない。
人形遣いが人形を愛しているというのはともかくとして、人形からみれば人形から意思を奪っている悪魔にしか見えないと思う。
メディスンが狙うのは人形開放ですから遣う人間に敵意が向いてもおかしくないかなあ……なんちゃって言い訳orz

>shinsokkuさん
すれ違いは上に書いたように大好きな私。人間の相違の真髄ですね。寂しさと切なさと心強さと。
だがそれがいいという私もちょっと変なのかも知れません。
お金を入れれば動く、まるで自動販売機。そういえばロボットは本来無理矢理仕事をさせると言う動詞から来ていますね。

>74さん
アリスはいいね。
アリスはいいよ。
アリスはいいぜ。

>らくがん屋さん
再読を求めると言うのがマイナスになると言う可能性を考えていませんでした。申し訳ない。
内容を短くまとめると言うか、できる限り短くしてこの状態なのです。難しいです。
どうやったら短くできるのか誰か教えてくれないかなー。

>木村圭さん
仲良くなっちゃ違うと想うんですよね、あの二人は。ベタベタの仲良し、馴れ合いに終わらせたくない関係です。
美鈴が来たかどうかって言うのは私もわからないですね、どうなんだろ。教えてください。
全ては最後のメディスンの台詞「イヤよ?」一体貴方はどんな表情を思い浮かべてくれたのか妄想するだけでも楽しいです。

>乳脂固形分さん
コメントに困ります。いい意味で。これは貴方のSSですか。10点挙げるよ。つI
やっぱり心配でついてきちゃった永琳の世話焼き加減がわかっていただければ嬉しい。でもそこは見せず颯爽と現れるギャップ萌え。
一旦あいた穴は埋めれば元に戻るわけでは無いのです。埋った穴の跡を見て、何かを感じていくのが人生ですよね。

>椒良徳さん
誤字は上で言い訳したので略。最初Dにしなかったのは韻を踏んでるのをわかってもらいたかったからです。
まあ、褒められるのは嬉しいけどとりあえず勃起はやめようw チャットでもバッド案聞いて勃起してたのを思い出す。
如何に人の心を震わすか、傷つけるか、押し潰すか、ズタズタにしてから癒すか、そんなことを考えながら作品を作る私が言えた事じゃないけれど。

>blankiiさん
心が見えないのは即ち人間であるおかげです。見ないほうがいいものでも在ります。
それとごめんね、胃を傷めさせちゃってごめんね。キャラの感情を読者に引き込めるよう努力しすぎました。
私はある意味アリスを苛めていたのではなく、読者を苛めて救っていたのかもしれません。偽善的な苛めっ子ですね、私。

>desoさん
永琳の出番は意外に少ないけれど、その裏での心の動きが見られたのでは無いでしょうか。↓みたいな。
崩れそうなメディスンが涙目で飛び立って行き、もう10分余りが経つ。何故か心拍が落ち着かない。爪先はずっと床を敲く。
「患者の予後くらい……見に行ってあげましょうか」私は気がつくとそんな言い訳を呟いていた。

>流砂さん
心という字を見てください。一分ほど見てください。物凄く危うい今にも崩れそうな字に見えてきませんか?
それはともかく貴方の心をぐらぐら揺らせたのならば計画通りです。やったね自分!
私の毒と薬は果たしてネットの網をくぐって、モニターの壁を抜けて、貴方の胸に届いたでしょうか。

>反魂さん
実質二位の貴方からこのような指摘を得られて大変光栄でございます。
私は正直この話は本当にヘビーで意見が分かれるものになるかと思いました。意外とそうでもなかったのですが。
苦しいのに読んでくれて批評していただけた貴方には感謝の意を禁じ得ません。じっくり批評を受け止めていこうと思います。

>翼さん
単純に私の経験からこれは切れると想った物を使ってみたので違和感があるかもしれません。そこは申し訳ない。
もうひとつ、本当に狂った人間と言うのは狂ってることすらわからないと私は思います。この考えがずれたならそれも申し訳ない。
アリスの考えは確かに狂ってますよ、この話の中では。当然のように何処か狂った感じが東方っぽいと私は想うのです。

>爪影さん
スペースの多様はですね、私の書き方が漫画風にスペースごとで一つの絵を表せるような書き方をしてるからです。
そうすれば一目でその場面が直接頭に入ってくる気がして、我流ですがいい感じかなと想ってたり。
これは直せといわれてもちょっと困るのですが、時系列をきちんと表すのは確かに努力しなければなりませんね。

>ょんさん
強引な節と言うと私も沢山あるとおもいます。時間に余裕を持って推敲すべきでした。
毒を操る能力にしても、それが何処まで拡大解釈できるのかという問題がありますし……。
話に芯が通っていると言われたのは慌てて書いたこともあるため、とても嬉しいです。ご読了感謝です。

>板チョコさん
お気に入りのパターンでしたか。それは良かった。
長かったと言う意見もある反面、のめりこめたと言う意見もありそこらへんの個人差がなくなればいいなと思います。
妄想力はともかく、気力はもう時間が無くて何度も折れそうになったものです(笑)有難うございました。

>A.D.Rさん
王道と言われれば確かに王道ですね。しかしその王道は入り口と出口以外間違ってる気がする。
伏線も本当に初見では気付かないようなトラップみたいな感じでつけちゃいましたし。
こんなひねくれ物のSSを読んでいただき有難うございました。感謝。

>秦稜乃さん
本当に死なせたいだけなら究極の毒ってボツリヌス毒素ですよ。雫一滴もいらず人は死にます。
しかし毒ってものは何も殺すためだけではなく苦しめると言う役割もあるのでしょう。
空っぽになった心が苦しいと言うのなら、もしかすると心自体が人間の最大の毒なのかもしれませんね。

>どくしゃさん
誤字は怖いですね。私の余裕のなさを読者に見せ付けてどうするんだと。
長文だけど読み終えられたと言うのは嬉しい限りです。
キャラの会話の違和感といいところはこれからもじっくり研究していきたいと思います。

>詩所さん
永琳は重要性の割りに露出が少なかったのですが、そこでの心理に気付いていただけたのなら光栄です。
アリスのネガティブさは相当アレでしたが、そこは万能毒のメディの効果と納得してもらうしかない……。
でも、次からはもっと自然に書けるようになりたいですね。ネガティブな感じを。
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