あの子を助けなきゃ

作品集: 最新 投稿日時: 2008/02/11 06:06:18 更新日時: 2008/02/13 21:06:18 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00

「それっ」
「えーいっ」
幻想郷の湖。様々な妖精や妖怪が住み、また住んでいない者にも憩いの場として使われている場所である。真っ赤な、しかし周囲にとけ込んでいる屋敷もあり、なかなか見栄えの良い場所だった。
ミスティア達4人──ミスティア、チルノ、リグル、ルーミア──も、よく集まって遊んでいた。今日はボールで遊んでいる。
「えいっミスティアっ」
「よーし・・・それっ あっ」
「わっ高いよ!」
まわされたボールを弾いたミスティアだが、おかしな方向に弾いてしまった。ボールはルーミアの頭上を飛び越え、紅魔館の塀に当たって転がった。
「ごめ〜ん」
「大丈夫ー」
ルーミアがボールを取りに走る。
塀のそばまでいき、ボールを拾った。ふと見上げると、館の窓から女の子がこっちを見ている。
「お?」
「ルーミア、どうしたの?」
チルノが寄ってきた。
「んー、あの子」
「んん?」
チルノも見上げる。
「誰かな。紅魔館の人かな?」
「でも、ここって吸血鬼が住んでるんじゃ・・・」
「じゃあ、あの子が?」
「えー、まさかあ・・・」
リグルとミスティアも寄ってきて話に加わる。ミスティアが試しに手を振ってみた。と、窓辺の女の子も手を振り返す。
「ね、誘ってみる?」
「いいかもー」
「じゃあ・・・ねー!一緒にあそぼーよー!!」
チルノが叫んでみた。と、その子が窓に寄ってくる。
「あ、来るのかな?」
が、奥からもう一人、メイドが出てきてその子を奥に引っ張り込んだ。
「あれ?」
「・・・連れてかれちゃった?」
「なんで?」
「閉じこめられてるのかもー」
「! それよ!」
叫ぶチルノ。
「それって・・・どれ?」
「あの子よ!見たでしょ。こっち来ようとしてたのにメイドに連れ込まれたじゃない!」
力説するチルノ。
「確かに・・・」
ミスティアも賛同。
「まさか・・・館の吸血鬼に捕らわれてる?」
「食糧係?」
ルーミアが彼女らしいことを言う。

椅子に座ってワインを飲んでいる吸血鬼。
その前に縛られた女の子が連れられてくる。縄の端はあのメイドが握っている。
「フフフ・・・今夜もまた血を貰うとしようか・・・」
「やっ・・・いや、止めて・・・」
吸血鬼が女の子に迫る。
「じっとしてなさい。吸えないでしょ」
暴れるが、メイドに頭を押さえ込まれる女の子。
首筋に、がっと牙が突き立てられる。
「・・・ふう、旨い」
「あ・・・あ・・・」
虚ろな目をした女の子。吸血鬼がメイドに命じている。
「しっかり閉じこめておけよ。逃げられないようにな」
メイドに引き立てられていく女の子。その目は光を失いつつあった・・・

「・・・って、生かさず殺さず、血を吸われてるんだよー」
ルーミアが声色まで使って自説を披露。
「ま、まさか・・・」
「で、でも、あり得るかも・・・なんかあの子顔色悪かったし」
「貧血気味ってこと・・・?」
「た、大変だ! 助けようよ!」
「え?」
リグルがとんでもないことを言い出す。
「だって、可哀相だよ・・・そ、そんな、食糧だなんて・・・」
「でもー、吸血鬼さんだって血を吸わないと死んじゃうよー?」
自身も肉食系の妖怪であるためか、シビアな指摘をするルーミア。
「で、でも・・・」
「じゃあほっとけって言うの?」
「んー・・・まあ、確かに生殺しは可哀相かなー?」
「よし!決まり。あの子を助けよう!」
「具体的にどうやろうか・・・」
「うーん・・・」


まずは偵察ということで、ボールを投げ込んでみることにした。取る振りをして、中の様子をうかがうのだ。ジャンケンの結果、ミスティアが敷地に潜入することになった。
「がんばれ〜」
友人達の声援(?)を受け、ミスティアは塀を跳び越える。周りを見回し、誰も居ないことを確かめた。ボールと窓を探す。
「窓、ないんだね・・・やっぱり吸血鬼の館だからかな・・・?」
がしっ
肩を掴まれた。
「こらっ」
のみならず、怒りの声がかけられる。
「  っっっぎゃああああ!?!?!」

ぎゃあああ・・・
ミスティアの悲鳴が聞こえた。
「ミスティア・・・ミスティア!?」
耳をそばだてていたリグルが叫ぶが、返事がない。
「どどどどうしよう!?」
「つかまっちゃった・・・」
「あ、謝れば・・・」
「だ、大丈夫! 飛び込んだボールを取るだけだし」
「私たちもフォローしたほうがいいかも」
「そうだね・・・門、こっちだっけ?」
「うん、たしかそうだよー」

「あなたね、ボールを投げ込んだのは」
ひとしきり叫んだミスティアが振り向くと、緑と赤の中華風の女の人がいた。手にはボールを持っている。
「ご、ごめんなさい。遊んでいたら、ボールを飛ばしちゃって・・・」
打ち合わせ通り、ちょっとしたアクシデントを装う。
「ああ・・・もう、しょうがないわね。はい、ボール」
「あ、ありがとう・・・」
恐怖の館の住人にしては、優しかった。
「ほら、ちゃんと門から出てね」
「はい」
てこてことついて行く。その間にも、ミスティアは庭を観察。時折メイド達とすれ違うが、別段変わった様子はなかった。
門までくると、チルノ達が心配そうに様子を見ていた。
「あ、美鈴さん、この子たちが・・・」
外回りのメイドが告げてきた。
「ええ、この子よ。さっき庭にいたの」
「ミスティア!」
「チルノ!」
「お友達ね。しょうがない子たちね。気をつけて遊んでちょうだいね」
美鈴と呼ばれていた女の人が言ってくる。
「はーい、ごめんなさい」
「それから、飛ばしちゃったら入り込まずにちゃんと言ってね。何もなかったから良かったけど、もし咲夜さんとかに見つかったら・・・食べられちゃうわよ?」
「た、食べ・・・!?」
さらりと告げられた一言に震え上がるチルノ達。
「そうよ〜。こわ〜いメイドさんがいるの。侵入者には、子供だろうと容赦しないわよ・・・」
ふふふ、と美鈴が言ってくる。
「じゃ、気をつけてね?」
「は、はい・・・」
くるりと回れ右。ギクシャクと数歩歩いた後・・・全速力でその場を後にした。


「はあっはあっ」
「こ、怖かったよ〜・・・」
「や、やっぱり、あの子、閉じこめられてる、んだよ」
息を切らしながら告げるリグル。
「そ、そうかもー」
「助けよう!」
叫ぶチルノ。
「うんっ」
一も二もなく首肯するリグル。
「私だって!」
「てつだうよー」
ミスティアとルーミアも賛成する。
「そうと決まれば、作戦を練らないと・・・」
「うん、吸血鬼の館だもんね」
「あれ?」
ふいに首をかしげるミスティア。
「ってことは、もし失敗したら・・・」
「あ・・・」
「私たちも、食糧にされちゃうねー」
「う・・・」
うなだれる4人。
「やめよっか・・・」
女の子は可哀相だが、自分達のことも大切だ。
「で、でも・・・」
ミスティアがおずおずと切り出した。
「あの子、手を振ってきたんだよ・・・私が、振ったら・・・」
「うん・・・」
「だよね」
「もし、またあの子が見えたら・・・ううん、見えなくなったら・・・」
「そうだよね・・・気になっちゃうよ」
「やろう!」
「おー!」
「じゃあ、改めて作戦会議!」
「よしっ」
4人は円陣を組むと、ひそひそと話し始めた。


その日の夕方、ちょうど日が沈み、辺りが薄暮に覆われた頃。
「ねえ咲夜、昼間はどうして止めたの? 遊べそうな機会だったのに。太陽なら日傘があれば大丈夫よ?」
レミリアが自室で、昼間窓際にいたレミリアを慌てて引きずり込んだ咲夜に、ぶーたれていた。
「それはそうですが、遊んでいる間ずっと日傘というのはいくら何でも無理ですよ」
「ダメかしらね?」
「申し訳ありません。」
深々と頭を垂れる咲夜。
「う〜ん・・・まあいいわ。ところで、新しい服というのはそれかしら?」
「ええ。最終の確認ですわ。翼の穴はあとで開けますので」
咲夜が手に持っていた新作の服をとりだした。「そろそろ新しいデザインが欲しいわ」と言い出したレミリアの求めに応じて、つくったものである。
「ふむ。悪くないわね。じゃあ翼はっ・・・と」
ぼふんっと翼だけをコウモリに変化させ、天井に止まらせる。
「では失礼して」
てきぱきと服を着せかえる咲夜。
「はい、できましたわ。こちらをどうぞ」
咲夜が姿見を──吸血鬼のレミリアでも映るように魔法がかけてある──用意する。
レミリアはくるくると品定めをする。
「うん、良いわね。気に入ったわ」
どうやらお気に召したようである。
「それはようございました。では、あとは穴を開けて・・・」
「ああ、今はいいわ。また後でやってちょうだい。今日はこのままでいいわ」
「かしこまりました。では紅茶を持って参ります」
「ええ」
一礼して、咲夜は部屋から出て行った。

「ふんふ〜ん♪」
紅魔館の台所で、上機嫌で紅茶を用意する咲夜。時間停止では、ケーキやカップの用意はともかく、お湯ができない。自然現象が相手では時間停止もいかんともしがたい。
「えっと、あとはクッキーを用意して・・・ん?」
そのとき、遠くから悲鳴のような物が聞こえた。
「なにかしら? また魔理沙?」
念のため、ナイフの数を確認していると、
「いやあ〜!?」「きゃーきゃー!!」
厨房にメイド達がけたたましく叫びながら駆け込んできた。
「こらっ 静かに! 落ち着きなさい!」
咲夜が一喝。
「ああっ咲夜さんっ」
「ででででもっ、大変なんですよっ」
「一体どうしたのよ」
あわあわ、と落ち着き無くしゃべっているメイド達に尋ねる。
「虫ですっ すっごい量の虫が、西館の庭に・・・」
「ムカデやらなんやら訳わかんない虫が大量に・・・気持ち悪いっっっ」
話を聞いた咲夜は、思わず大量のムカデを思い浮かべてしまい、げんなりした。
「なんなのよ、それ」
「わかりません・・・とにかく突然で、ナニが何やら・・・」
「どうしてこんなことに・・・」
たしかに、何の前触れもなく大量発生はヘンである。虫のコロニーでも出来ていたのだろうか。
「それで、被害は? だれか噛まれたとか」
「いえ、そういうのは無いと思います。びっくりしてすっころんだ子はいましたけど」
「ふむ・・・」
ちら、と紅茶の抽出具合を確認する。もう少しかかりそうだ。
「私も見てくるわ。あなたたちはその紅茶の具合を見ててちょうだい」
「判りました。あ、あの・・・でも、あまり見ない方がいいと思いますよ・・・」
「大丈夫よ。虫くらい」
言うやいなや、ふい、と消えた。時間停止して言ったのだろう。
「たしかに虫だけど・・・100や200じゃなかったよね」
「うん・・・あれはトラウマだよね」


一方、レミリアの自室では。
「なにか悲鳴が聞こえた気がしたけど・・・」
今日の紅茶はなにかな〜、とぼんやりしていたレミリアにも、かすかに聞こえた。
「また魔理沙かしら」
咲夜と同じ事を言っていると、キィ、と扉が少しだけ開いた。
「・・・?」
咲夜ではない。彼女ならノックして声をかけてくるはずだ。
「誰?」
「こっち! 居たよ!」
「早く早く」
「??」
誰何の声には答えず、誰かを呼んでいる。と、扉が勢いよく開かれ、見覚えのある4人が入ってきた。
「あなたたち・・・たしかボールで遊んでた」
何でこんな所に?といぶかしんでいると
「私たち、あんたを助けに来たのよ」
氷精が一歩前にでて意味不明なことを言う。
「助け?」
「ここの吸血鬼から、君を助け出しに来たんだ」
「昼間引っ張り込まれてたのを見たからー」
「みんな虫騒ぎに気を取られてる、今のうちに!」
「もう、血を吸われなくていいんだよ」
他の面々も、口々に言ってくる。
「・・・あ、あー、そういうこと・・・」
レミリアは合点がいった。つまり、この連中は自分の事を館の吸血鬼に捕らわれた少女だと思っているのだ。
「えっと・・・私のために、わざわざ?」
話を合わせてみた。
「そうだよ! ほら、早く逃げよう! 早くしないとメイドがきちゃう」
蛍の妖怪がせわしげに言ってくる。
どうしよう、なんだか面白そうだ。
「で、でも・・・ダメよ。逃げたりしたら、追いかけてくるかも・・・」
「森に逃げれば大丈夫。広いから探すのに手間取るだろうし、ダメなら神社に逃げればいいよ。きっと」
夜雀が言ってきた。そんな希望と楽観的推測でいいのだろうか。
「・・・大丈夫かしら・・・」
ダメな気がする。
「大丈夫! それに、森には魔理沙っていう魔法使いも居るし」
こいつらに任せて大丈夫だろうか、という意味の呟きだったのだが、逃げても大丈夫か、の意味に取ったらしい蛍の妖怪が言ってきた。たしかに魔理沙ならおもしろがって協力してくれるかもしれないが。
「逃げられるかな・・・」
乗ってみることにした。ちらっと見ただけの女の子のためにここまで来た彼女達にネタばらしするのはなんとなく気が引けたし、なにより楽しそうだ。こんな機会を逃す手はない。
「みんな虫の方に行ってるから。今の内に窓から・・・窓ないわね。この部屋」
氷精が見回しながらいった。
「あ・・・えっと、この部屋、この館の吸血鬼の部屋なの。吸血鬼は日光に弱いから。その、私、血を吸われるところだったの・・・」
適当にごまかし、脚色を入れる。
「そうだったんだ・・・あれ? じゃあ吸血鬼はどこに?」
「ええと、その虫騒ぎを見に行ったわ。あなたたちがやったの?」
「うん! 私は虫を操れるからね。集まってもらったんだ」
蛍妖怪が胸をはる。
「そうなの・・・」
「早くしないと、吸血鬼さんが戻ってくるよー」
宵闇の妖怪が廊下を気にしながら言う。たしかに、そろそろ咲夜が紅茶を持ってきそうだ。
「じゃあ・・・逃げるわ! こっちに窓があったとおもう」
こんな面白いイベントを放っておく手はない。レミリアは立ち上がると、廊下に出る。たしか、この廊下の突き当たりは窓だったはず。
「ここから逃げられると思う・・・」
窓を開ける。
「よし、逃げよう! あ、そういえば、飛べる? あと名前聞いてなかったよね」
「あ、えと、と、飛べない・・・」
翼はコウモリになって天井にぶら下がっている。一応、付いてこさせているが、ここで翼なんかつけようものなら一発でバレる。
「名前は・・・ミリアよ」
「じゃあ、私たちで抱えていけばいいかな。あたいはチルノ」
「私、リグル」
「ミスティアだよ」
「ルーミア。よろしくー」


「あー、見るんじゃ無かったわね・・・」
咲夜はげっそりしながら、紅茶セットを乗せたカートを押していく。大量発生したとはいっても所詮虫、煙でいぶしてやれば消えるだろう、と思いつつ駆けつけた彼女が見たのは、視界一杯で蠢く、凄まじい量の虫だった。敷地内どころか、周辺一帯から集まってきたかのようだった。
「それにしても、なんで急に居なくなったのかしら・・・」
凍り付きながら見ていたのだが、突然散っていったのだ。もっとも、敷地内に広がったので、しばらくは虫駆除が大変そうだった。
そんなことを思っていると、いつの間にかレミリアの部屋の前だった。
「お嬢様、紅茶をお持ちしました」
咲夜は姿勢を正すと、声をかける。が、返事は無かった。
「お嬢様? 入りますよ?」
待ちくたびれて寝てしまったのか? 訝りながら扉を開けた咲夜を出迎えたのは、無人の部屋だった。
「・・・お嬢様?」


「ここまで来れば大丈夫かな」
首尾良く館を抜け出した5人は、森の中にいた。
「そうね。あっ、追っ手が来てないかな」
ミスティアが木の枝に隠れるようにして紅魔館の方角を窺う。実はレミリアのコウモリがさりげなく付いて来ているのだが、どうやら気がついていないらしい。前途多難である。
「ミリアちゃん、大丈夫?」
「ええ・・・大丈夫」
「じゃあ、これからどうしようかー」
「うーん・・・」
「あ、あのね」
レミリアが声をかけた。このまま楽しむのはいいが、一つ言っておかないとまずいことがある。
「ん? なに?」
「えっと、実は私、吸血鬼に呪いをかけられて・・・太陽の光にあたると死んじゃうの」
そういうことにしておかないと、昼間に遊ぼうと言われると非常に困る。
「ええっそうなの!?」
「う、うん・・・だから、昼間は家の中にいないとダメなの」
というか昼間は寝ていたい。
「じゃあ、夜しか遊べないの?」
「そういうことになるかしら」
「夕焼けとかも見られないの?」
「そうね」
「そんな・・・酷いよ」
リグルとミスティアがうるうるした目で見てくる。
「い、いいのよ、気にしないで、えっと、生きてるだけいいじゃない」
吸血鬼としては、太陽なぞ見たくもない。そのつもりで軽く言ったのだが、予想外の反応にちょっと慌てる。
「ほ、ほら、それよりも、こんな所じゃ落ち着けないし・・・誰かの家にいきましょ?」
「あ、うん、じゃあ私の家においでよ。とりあえずここから近いし」
ミスティアがほい、と手をあげる。
「そうだね」
「賛成〜」
「じゃあ、早くいこっ」
他の面子にも異存はないようだ。
「ミスティアの家・・・どんなところ?」
レミリアが問いかける。
「おっきい木の上だよ。まあ、見てのお楽しみって事で」


一方、紅魔館。
千年一日を絵に描いたように図書館で読書中の──虫騒ぎ?なにそれ?──パチュリーの元に咲夜が飛び込んできた。
「たたた、大変ですパチュリー様!」
「独逸語で」
読んでいるその本──ドイツ語で書かれている──から1オングストロームたりとも目を上げずにパチュリーがつぶやく。
「ええ? えっと、バームクーヘン・・・違います!」
「騒々しいわ。どうしたの?」
これまた本から1フェムトメートルたりとも目を離さずパチュリー。
「は、はい。その、え〜と、私にもよく分からないのですが・・・ありのまま起こっている事を話します。お嬢様が居なくなりました」
「なんですって?」
パチュリーはやっと顔をあげた。
「何を言っているのか判らないかもしれませんが、私にもさっぱりです」
「本当に居なくなったの? お手洗いってるとか、廊下で寝てるとかじゃなくて?」
さらっとひどいことをいうパチュリー。
「館内はくまなく見て回りました。紅茶を用意する10分足らずの間に居なくなってしまわれたんです!」
パチュリーは読んでいた本に栞をはさむと、椅子から立ち上がった。
「最後は何処にいたの?」
図書館の出口に向かいながら訪ねる。
「お嬢様のお部屋です」
「とりあえず見てみましょうか。もしかしたら、何かのいたずらかもしれないし」
「それなら、いいのですが・・・」


「へえ・・・なかなか素敵じゃない」
レミリアが思わず感想を漏らした。ミスティアの家のことである。
二階層に分かれており、一階部分は地上数m、二階部分は辺りの木より上の位置にあった。地上部分には、物置のような小屋もある。一階部分へのハシゴのところには、郵便受けもあった。もっとも、こちらは蜘蛛の巣が張っていたが。
「へへ〜、いいでしょ。二階の眺めが・・・と、ええと」
眺めが良いと言おうとしたミスティアだが、「太陽にあたれない呪いのかかったミリア」に気がつき、言いよどむ。
そんなミスティアに、
「いいのよ。気にしないで。月明かりや星空もいいものよ」
クスリと笑って何事もないように言った。
「う、うん。まあ、とにかくどうぞ」
「ええ、お邪魔するわ」
「わ〜い」
「おじゃましま〜す」
「そういえばミスティアの家にくるの久しぶりだなあ」
チルノ、ルーミア、リグルもてんでに上がり込む。

「さて・・・どうしよっか?」
ミスティアハウスに腰を落ち着けると、新たな問題が浮上してくる。そう、今後のことだ。
「ミリアちゃんは、今夜はここに泊まるにしても、ずっとって訳にもいかないだろうし、紅魔館から追っ手がかかるかもしれないしね」
「人間の里に頼めばいいんじゃない?」
チルノが提案する。
「どうかな〜。吸血鬼さんが襲ったら危ないよ〜」
ルーミアが危険性を指摘。
「それより、霊夢に頼めばいいんじゃない? 前も紅魔館から帰ってきてたし」
リグルの発言に、
「あ、いいかも」
「そうだね〜。霊夢なら吸血鬼さんに話つけれそうだし」
「吸血鬼も退治しちゃうかも」
皆の賛成が集まる。
(退治されてたまるもんですか)
レミリアは心の中だけでツッコミを入れた。
「ミリアちゃんもそれでいい?」
「あ、う、うん。良いわ」
こくこくとうなずく。
「あ、でも、今夜はあの人も探してるだろうから・・・明日か明後日くらいで・・・」
レミリアが付け足す。いきなり霊夢のところにいってネタばらしでは、、せっかくの面白そうな機会の意味がない。
「あ、そうだね。じゃ、今夜はみんな泊まっていく?」
「あたい泊まる〜」
「じゃあ私も」
「わたしも〜」
次々と手を挙げる面々。かなり楽しんでいるようだ。


パチュリーの実験室。その真ん中に幻想郷の地図を広げ、パチュリーが水晶の振り子を使ってダウジングを行っていた。ただのダウジングではない、目当ての人物の気を元に探り当てるという、尋ね人ステッキ並に的中率の高いやり方である。
「・・・ダメね。探知出来ないわ」
パチュリーが、ダウジングしていた地図から顔をあげ、開口一番に曰った。
「そ、そんな!」
固唾を呑んで見守っていた咲夜がずっこける。
あれから、パチュリー自身も現場検分をし、様々な角度から調査した結果、紅魔館の住人以外の妖気を見つけたのだ。
このことから、第三者が進入し、レミリアを連れて行ったか、ついて行ったという結論に達した。
そんな訳で、ダウジングでおおざっぱに場所を突き止めようとしたのだが。
「探知できないとは、どういうことなのでしょうか」
「言葉通りよ。探し当てられないってこと」
説明になっているようで、実は全然なっていない事を言うパチュリー。咲夜は言葉の定義ではなく、どうして探知出来ないのか、を聞きたかったのだが。
「そうね。多分、レミィは力を抑えてる、もしくは抑えられてるんじゃないかしら」
「力を抑えられている、ですか?」
「ええ、今やってるこの方法は、相手の気を探知するやり方なのよ。当然、相手の気が小さいと引っかからなくなるわ」
同様の理由で、死んでいても探せないのだがパチュリーはその点は黙っていた。いくらなんでも死んではいないだろうし、余計な事を言って咲夜に暴れられてもうっとうしい。
「なるほど・・・。しかしそうなるとますます謎ですね。一体誰が何のために・・・」
咲夜が首をかしげる。レミリアを誘拐するメリットが見えない。
「たしかにね。メリットが思いつかないわ。それに、他に気取られることなく、レミィの抵抗を排除してつれていくなんて、ね」
「紫なら出来るかもしれませんが・・・」
「まあ、事情がどうであれ、レミィを見つけるのが先決よ。とりあえず、探査の精度を上げれば引っかかると思うけど、一度に探れる面積が小さくなるのよね・・・やれやれね。時間が掛かりそうだわ。咲夜」
「はい、なんでしょう」
「なにか精の付く物作ってちょうだい。徹夜仕事になりそう」
「かしこまりました」


「ん〜・・・これだあ!」
「残念、死神でした」
「がーーーん!」
チルノがレミリアの3枚の手札から引いたカードには、あっかんべーをした小町が描かれていた。
せっかくだから遊ぼう、ということになり、今は皆でババ抜きをやっている。
リグルとルーミアはすでにあがり、ジョーカーを引いたことでチルノが3枚,ミスティア3枚、レミリアが2枚の状態になっていた。
「ちぇ〜」
口をとんがらせるチルノ。一生懸命に手札を混ぜている。
「次、引くわよ」
レミリアがミスティアの手札に手を伸ばす。
「はい、どうぞ」
(普通に遊べるっていうのがこんなに楽しかったなんてね・・・)
紅魔館では、ほとんどこういう機会は無かった。館の主ということでメイド達には遠慮があるし、なんと言っても自分の能力──運命操作──は、勝ち負けの要素があるゲームとは極めて相性が悪い。
勿論、ゲームするときは操作なんてしないし、皆もそのことは判ってくれている、と思うのだが、やはり一歩引かれてしまう。引いてしまう。
だが、今は違う。自分は吸血鬼に囚われていたミリアである。最初はちょっとした余興というか暇つぶしのつもりだったのだが、どうやら想定外の絶好の機会だったようだ。
「あっ・・・と。これでペアね・・・」
ミスティアから引いた札で、一つペアが出来る。
「ミリア、次で上がりね」
リグルがのぞき込みながらつぶやいた。
「チルノ、カード・・・」
「あ、うん、はい」
手を伸ばしたミスティアに、チルノが手札を示す。真ん中がずぼっと飛び出していた。
「チルノ・・・怪しすぎだよ」
ミスティアがため息混じりに言った。
「ああああやしくなんてないわよ! 安全よ! お勧め、みたいな感じ?」
「じゃあ、こっち」
ミスティアは右側のカードを抜いた。
「あっ、ちょっとぉ!?」
「お、ペアできた」
これでミスティアも残り一枚になった。
「はい、チルノ。どうぞ」
「うぐう〜〜〜」
レミリアがニコニコしながら残り一枚の札を渡す。
「ちぇ、ペアにならないや・・・」
「え?」
チルノのぶつくさに、リグルが反応する。
「なってないよ。ほら」
後ろからのぞいていたリグルに手札を見せるチルノ。
「ホントだ。なんで?」
「へ? どういうこと?」
「だって、ミスティア一枚しか持ってないんだよ。で、順番でいうと次ミスティアが、チルノから引くよね。それがペアになったとして、そしたら一枚余っちゃうじゃない」
「・・・足りないじゃん」
やっと気がついたチルノが口をとがらせる。
「え〜、私持ってるの、五芒星の9だよ」
ミスティアが見せる。
「ええと、棍棒の9に、杯の3、死神」
チルノも手札を見せた。
「さっき、たしか五芒星と剣の3が出てたわよ・・・これね」
レミリアが捨て札を確認する。
「じゃあ、この棍棒の9をもらって・・・これもペア」
ミスティアがさりげなくあがった。
「棍棒の3が足りないね〜」
ルーミアが指摘した。
「・・・なにこれ。イジメ? は! さては、最強のあたいを誰かが妬んでるわね!?」
「いや、最後に遊んだときに無くしただけじゃ・・・」
レミリアがツッコミを入れる。
「たしか、先週もトランプしたよね。ここで・・・」
リグルの発言に、場に沈黙が落ちる。
「さ、探して〜!?」
ミスティアの悲痛な叫びに、皆一斉にそこらの床を探し出した。
「この棚の隙間とか・・・」
リグルが細い隙間をのぞき込む。なんせ相手はカードだ。いかなる隙間にもジャストフィットである。
「ゴミに混ざって、捨てちゃったってことは〜?」
ルーミアがのんきに尋ねてくる。
「ゴミはまだ捨ててないよ。あ、でも一緒になってるかも・・・」
ミスティアがゴミ箱をひっくり返し始めた。
(ん〜・・・ちょっとなら、大丈夫かな?)
レミリアは、ベッドの下をのぞき込みながら能力を発動させる。
(カードは、見つかる運命にある・・・)
「ん〜・・・お、あった〜!」
棚の下をのぞき込んでいたチルノが叫んだ。
「え、どこどこ!?」
「ほら、この下」
指さされた方をみると、たしかにカードの角が床と棚の隙間に見えている。
「こ、こんなところに・・・」
「最後に遊んだときに、すっ飛ばしちゃったのかな〜」
ルーミアがつぶやく。
「これなら、爪を引っかけて・・・」
ミスティアが爪を伸ばして、カードの角を抑え、そのままゆっくりと引っ張り出す。
「もうちょっと・・・とれたあ!」
ミスティアの手の中に、燦然と輝く棍棒の3のカード。
「あ〜、よかったあ・・・」
「一枚でもなくなったら終わりだもんね!」
「さすがチルノ!」
「ふふん、あたいは最強だからね!」
関係ない。


「・・・あら?」
一方、パチュリーの実験室では。
咲夜の作った夜食を食べながら、少しずつダウジングを進めていたパチュリーだが、一瞬、振り子が大きく揺れた。
「どうされました?」
食器を片づけていた咲夜が反応する。
「お嬢様が見つかったのですか?」
「いえ、そうじゃないみたいなんだけど・・・」
今は振り子は何処を指すともなく、ぶらぶらと揺れている。
「今、一瞬反応したのよ。どうもレミィが力を使ったみたいね」
「では・・・!」
「ええ、どうやらこっちのほうにいるみたいね」
反応したのは魔法の森のほうだった。
「可能性が高そうなのは、この森かしらね・・・」
森のはじっこから、再びダウジングを始めるパチュリー。最悪、幻想郷全体をローラー作戦しなければいけないかと思っていたのだが、かなり範囲が絞れた。


「でね、そのときあたいは言ってやったわけよ。『あたいったら最強ね!』」
真夜中。
ミスティアたちは、布団を引っ張り出して寝ていた。正確には寝ようとしていたのだが、とりとめなくおしゃべりが続いている。
さすがに人数分の布団はなかったので、ベッドはレミリアに譲り、他の面子は毛布やら座布団やらを引っ張り出して雑魚寝している。
「チルノ、そればっかりね・・・」
レミリアが苦笑気味に言った。
「とーぜん! あたいは最強なんだから!」
「最強もいいんだけぇーーーふぁぁ」
リグルが発言の途中で大あくび。
「もう寝ない? 紅魔館だって、ミスティアのところまでは探しにこないだろうし」
「そうね・・・そう思うわ」
レミリアも同意する。なんといっても、痕跡がないのだ。パチュリーの魔法にかかれば早晩見つかってしまうだろうが、今の自分はかなり力を抑えている。
(ふふ、パチェ。あえて運命には手出ししてないわ。たまにはお遊びもいいでしょう?)
力を使ってしまえば、そこを足がかりにされてしまう。先ほどのカード探しの件が気になるが、あんな一瞬の弱い出力、よほどうまく捜索しないとヒットするものではない。
どこか暢気なレミリアであった。
「んじゃ、おやすみ〜」
「おやすみー」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
ややあって、全員が夢の世界に旅立っていった。


遊びというのは、双方の合意の上に、一定のルールに基づいて行う物である。
「ぜぇっ・・・ぜぇっ・・・」
「パ、パチュリー様、大丈夫ですか・・・?」
一方が勝手に始めるのは遊びではない、単なる迷惑行為だ。
「だ、大丈夫よ。一刻も早く見つけないと、ね」
「無理をなさらずに。このうえパチュリー様にまで倒れられては・・・」
「ふ、ふふ、いいのよ。後でレミィには迷惑料としてたっぷり泣き叫んでもらうわ・・・くくく」
「・・・」
疲れが限界突破したのか、変な方向にテンションが上がってきたパチュリー。
「さ〜て、レミィ〜、どぉこかしらぁ〜?」
ゆらゆらと揺れながらダウジングを続ける様子は、かなり怖かった。
「お、お願いしますわ・・・それにしても、お嬢様、本当にどうされたのかしら・・・」


  ☆  ●


朝、やや日も昇った頃に。
「見つけたわ!!!」
パチュリーが叫んだ。
「何処ですかっ!」
そばに控えたままうつらうつらしていた咲夜も、一瞬で覚醒。
「ここよ・・・」
パチュリーが下げた振り子が、森の一点を中心にグルグル揺れている。
「あの川の曲がっているところから、南へ・・・判りました! 直ちにいってきますわ」
「お願いね・・・私は寝かせてもらうわ・・・ぐう」
パチュリーは、ベッドへいく手間ももどかしい、とばかりに、机につっぷし、そのまま夢の中へ旅だった。


「・・・アちゃん、ミリアちゃん!」
誰かが呼んでいる。が、このレミリアをちゃん付けとな?
「ん〜・・・もうちょっと・・・」
「朝だよ〜」
「朝・・・? 朝・・・さく・・・ああ、朝ね」
(あぶないあぶない、咲夜の名前出すところだったわ。)
レミリアはミスティアの声で起こされた。普段は寝ている時間だけに、まだすこしぼ〜っとしている。
「おはよう」
「おはよっ、もうご飯だよ」
「あら、寝過ごしちゃったわね・・・」
「いいよ〜」
いつの間にか部屋はかたづけられており、真ん中にちゃぶ台が置いてあった。そこに、チルノとリグルが朝ご飯を並べている。
「おっけ、みんな座って座って」
「「「「「いただきま〜す」」」」」

「とりあえず、霊夢のところに頼めばいいと思うんだよね」
おなかも一杯になったところで、今後のことについて相談する。
「そうだね。あそこならそうそう手出しできないだろうし」
ミスティアの発言に、リグルも同意。チルノ、ルーミアも、特に異議はないようだ。
「ミリアちゃんも、それで良い?」
「ええ、大丈夫とおもうわ」
「よし、じゃあ、問題は移動方法だけど・・・」
日光に当たると死ぬ、というミリアが居る以上、昼間の移動は危ない気がする。だが、夜になると紅魔館の吸血鬼も動くだろう。
「直接あたらなければ大丈夫だから・・・傘とか、おっきい布とかでも大丈夫よ」
「傘ならそこにあるけど、布をかぶった方が安全かなあ」
「そうね・・・毛布を借りれれば」
「じゃあ、早いところい、どう・・・を・・・」
リグルが言いよどむ。視線は窓の外を見ていた。
「どしたのリグル」
「あ、あ・・・」
カタカタ震えながら、窓のほうを指さしている。
「窓? 外に誰、か・・・」
全員無言。
窓の外には。
メイドがいた。
銀髪に、紅く染まった目。手にはナイフを構えて、にっこりとほほえんだ。
一瞬後。
「っっっっっわああああ!?」
「見つかった!」
「ににににに逃げ」
「裏口へ〜」
「・・・思ったより早かったわね・・・」
「ミリアちゃん、こっち!」
リグルは、呆然と立っている(ように見えた)レミリアを引っ張り、裏口へ走ろうとする。
ミスティアは歌声で咲夜に鳥目攻撃をしかけるが、明るいのでは意味がない。
しかも、次の瞬間には咲夜は家の中にいた。いつのまにかドアが全開になっているところを見ると、時を止めて入ってきたらしい。
「逃がさないわよ。まさかあなたたちが絡んでたとはね」
咲夜がため息をつきながら言った。
「くっ・・・このおっ」
チルノが一歩前に出ると、冷気を固め始めた。こうなったら応戦するしかない。彼我の実力差はいかんともしがたいが、こっちは4人いるのだ。一斉にぶっ放せば・・・。
「やめて、みんな」
りん、とした声が掛かった。
「ミリアちゃん・・・?」
「だ、大丈夫よ、こんなやつ、私たちにかかれば9秒でコテンパンよ!」
「いいのよ。楽しかったわ」
言いつつ、レミリアは4人と咲夜の間に出てきた。
「・・・お嬢様? 何がどうなって・・・」
咲夜も戸惑いながら言った。
「お嬢様、って? ミリアちゃんは紅魔館にとっつかまてったんじゃ・・・」
ミスティアも戸惑う。
と、レミリアが上着をたくし上げ、背中をさらす。
「??」
全員が疑問符を──咲夜は構えをといて成り行きを見守っている──浮かべていると、開いていたドアからコウモリが飛び込んできた。
「うわっ、コウモリ!?」
そのコウモリは、レミリアの背中にくっつくと、とけ込むように消えてしまう。そして、翼だけが背中に残った。
同時に、レミリアから妖気が立ち上る。圧倒的な妖気が。
「な・・・!? これ・・・!?」
リグルが愕然とする。それはそうだろう。ただの女の子だと思っていたミリアにコウモリがくっついて翼になり、あまつさえ本人は自分たちを遙かに上回る妖気を吹き上げているのだ。
「改めて、自己紹介するわ。勇敢なあなたたちに敬意を表して、ね」
そこには、もはや非力な女の子は居なかった。爛々と輝く瞳に、鋭く伸びている牙。
「私は、レミリア・スカーレット。紅魔館の主にして、吸血鬼よ」
「・・・・・・」
「あなたたち、気がついてなかったの・・・?」
咲夜があきれ気味に言う。どうやら、誘拐とかでは無かったようだ。
「くす。いろいろありがとう。騙してて悪かったわね。あなたたちが真剣だったから、なんだか言えなくて。でも、楽しかったわ。本当よ?」
レミリアはにっこりと笑うが、ミスティア達は固まったままだ。
「・・・どゆこと?」
やっと、リグルが言葉を絞り出す。
「ん〜・・・そうね。じゃあ、紅魔館にいらっしゃい。歓迎するわ。全部話してあげる。おいしい紅茶とケーキもごちそうするわ。ねえ咲夜。かまわないわよね?」
「お心のままに・・・」
咲夜は恭しく頭をさげる。
「・・・」
事の成り行きについて行けないミスティアたち。
「遠慮は無用よ。いらっしゃいな。そして・・・また、ミリアとカードゲームをしましょう?」
レミリアのその言葉に、はっと気がつくミスティア。
「あ・・・あ、うん! やろう!」
「ミ、ミスティア!?」
リグルがビビる。
「みんなも、い、いこうよ。ほら、ミリアちゃんのお誘いだよ!」
「あ・・・そ、そうだっ、いこう!」
チルノも気がつく。レミリアは、彼女たちに悪意を持っていたわけではない。それなら最初の時点で追い返されている。彼女は、自分たちを遊び仲間として誘っているのだ。
ミリアは、居なくなったわけではないのだ。
「いく〜」
「う、うん、いくよ。ミリアちゃん!」
「ええ、大歓迎よ。じゃ、いきましょ咲夜。帰ったら、紅茶とケーキの用意、お願いね」
「かしこまりました」
咲夜は、キレていたパチュリーの事は黙っていた。ここで水をさすこともあるまい。



ミスティア達が帰った後、図書館からは、レミリアの悲鳴のようなものが聞こえたらしいが、それはまた別の話。
永夜抄で顔見知りになってるんじゃって?
しーっ そういうことは言っちゃ駄目だ!
   
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2008/02/11 06:06:18
更新日時:
2008/02/13 21:06:18
評価:
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Rate:
5.00
1. 10 読者 ■2008/02/12 02:01:26
飽きることなく、いっきに最後まで読みたくなる作品でした。
面白かったです。
2. 2 小山田 ■2008/02/13 02:06:40
状況の把握ができませんでした。登場人物を絞ってみてはいかがでしょうか。ストーリーの発想自体は、結構好みです。
3. 6 #15 ■2008/02/15 21:16:12
>後書
言われてみればww
4. 6 織村 紅羅璃 ■2008/02/23 18:19:59
カリスマ溢れる「レミリア」と、無邪気な普通の少女「ミリア」の書き分けられていたのが面白かったと思います。
5. 4 あまぎ ■2008/02/24 13:04:48
お題がどこにあるのか分かり辛いのが少し残念です。
が、SSとしてみればとても良いお話でした。
個人的には、助けられるのはフランでも似合うような気がしましたが、
最後まで読んでみるとなるほど、レミリアの方がそれっぽい、そう思いました。

ところで、ミスティアたちについて。
「4人組」という組み合わせをもう少し丁寧に練られていたなら、もっと面白くなったように思えます。
登場人物が多くなると、どうしても会話がごちゃごちゃしがちになります。
なので、やむなくも3人に削る……又は、各々のキャラの特性を生かしたシーンを挿入する、など手を加えてみてはどうでしょうか。
6. 5 ■2008/02/27 21:55:23
永夜抄で……いえ何でもありませんw
ちょっと悪戯っ子なお嬢様が可愛かったです(あとパチェも)。
でも咲夜にアッサリ捕まりすぎかなと。
出だしが斬新でおもしろかったので、博麗神社まで話の幅を広げられたら、と思うと惜しく感じます。
というかぜひ続きが読みたい……。
7. 1 つくし ■2008/02/28 16:50:39
作品全体を包む予定調和的で善良すぎるほど善良でヌルい空気がすごくアレでした。地の文を単なる説明手段として扱うこの手の作品では、よほど良いエピソードで魅せない限り評価は難しいです。
8. 4 ■2008/02/28 20:21:21
あー。まあ面識なくても……? 永夜抄……って、作者も理解してるかw
あはは、面白い。紅魔館側の勘違いと、バカルテットの無邪気さがいい感じ。
レミリアの根がワガママな子供だという点に同調できれば、するりと入ってくる。
作りは簡単だけど、なんかいい。
9. 6 たくじ ■2008/02/28 22:25:24
いくらHで鳥頭で虫で天然な4人だからって、ちょっと幼すぎるかなという印象です。三月精っぽい感じ。咲夜も全然瀟洒じゃないし。
だがしかし、ほのぼのしちゃいました。ニヤニヤしながら読みました。テンポがいいですね。こういう話、好きです。4人の純粋さ(単純なだけ?)とレミィの遊び心がなんとも可愛いじゃないですか。
永夜抄で会ってるじゃんとは確かに思ったのですが、紅魔組以外が永夜事変を解決したとすれば、レミィとは会ってないということも考えられるような。公式的にはどう解釈すればいいんでしょうかね?
10. 4 飛び入り魚 ■2008/02/28 23:02:22
大丈夫だ! 永夜以前にもリグルもミスティもいたはず! 時系差つければOkさ!
こういうの、好き。少年時代のロマンが蘇る。
妙にスリルを求めて知らない所を冒険した、その、ときめきに通じるものがあったと思う。
書く技術がうんぬんじゃない。そのあなたのセンスが大好き。

…にしてもタロットでババ抜きされるとは。
見つからなかった棍棒の3は出会い、そして冒険の意味になります。
妙にその場面と、そしてこのSS全体にマッチするんだよなぁ。
11. 5 椒良徳 ■2008/02/28 23:49:53
・・・ではなく……(三点リーダー)を使いましょう。
まあそういうことは置いといて。
バカルテットと友達になるレミリアというのも新鮮でよいですね。
案外良い友達になるかもしれませんね。
12. 9 もろへいや ■2008/02/29 00:34:41
お題への主張は弱かったように感じたけど、この作品はそれが良かったのだと思っています。
とても微笑ましいお話で面白かったです。
13. 1 時計屋 ■2008/02/29 00:36:22
描写が簡素で味気ないです。
また、伝えるべき情報も整理されていないため、読みづらい文章になっています。
さらに同一シーンに人物が四〜五人いるにも関わらず誰が発言主か分かりづらく、総じてごちゃごちゃとした印象を受けました。

話も安直かつ冗長に思えます。
プロットを練る段階で、どうやって読者を楽しませるか、色々と工夫してみてください。

苦言ばかりになってしまいましたが、あくまで私見ですので、参考にしていただければ幸いです。
14. 3 つくね ■2008/02/29 01:16:58
レミリアが普通の少女に見える……一瞬ミリアという二重人格設定もありかと思えてしまいました。それぐらい自然にミリア設定がとけ込んでいてGJ。
15. 7 ZID ■2008/02/29 01:23:25
またと無い良い機会って奴ですね。広げ方が綺麗で閉め方もうまく、上手な作品だなーという印象が強いのですが。この手の身分詐称で紛れ込む作品には付き物の、バレたらどうしよう的なハラハラ感があっても良かったかなー、と。上手いし、面白くはあるんですが、もう一味欲しいかなと感じてしまいました。
16. 4 木村圭 ■2008/02/29 04:51:13
まずい、なんだこの和みオーラは! それはさておき、新しい服の描写が全くないのが残念でした。折角ミリアになったんだから、外見も一新……といきたいのにどうしてもイメージが出てこなくて。
17. 2 とら ■2008/02/29 09:06:25
キャラが変に幼すぎる印象を受けました。タイトルにも、もう少し捻りが欲しかったです。
18. 1 らくがん屋 ■2008/02/29 11:03:41
作中に楽しむポイントが見つけられない。どこがテーマなのかも判らない……(機会?)。
19. 6 カシス ■2008/02/29 11:49:36
見た目は子供、頭脳は大人でも、やっぱり遊びたいんでしょうね。
20. 6 as capable as a NAMELESS ■2008/02/29 14:48:41
相変わらずカリスマが無いなあお嬢様。
21. 3 中沢良一 ■2008/02/29 15:11:14
ほのぼのさせていただきました。
お題がわからなかったですね。それと、改行後に1文字字下げするのが一般的な文章だと思います。そのほうが読みやすいですし。
22. 6 八重結界 ■2008/02/29 18:33:47
何も知らないがゆえの純粋さが、チルノ達の魅力を倍増させていました。
そして、それに合わせるレミリアもまた魅力的です。
ただルーミアとミスティアの影が薄かったように思えるのが残念です。リグルのように活躍して欲しかったなと思います。
23. 9 ☆月柳☆ ■2008/02/29 19:46:58
なんか始まってそうそう危険な匂いがした。さすがバカルテット。
でも以外とおちゃなレミリア様(実は最初フランかなって思ってたけど)が可愛いかった。
微妙にネタも仕込まれてて、ちょっとニヤリとしたところもあり。
ババ抜きしてる自称最強チルノにもツボった。
読んでて楽しかったし、最後もほのぼので終わって後味もよかった。
作者メッセージについては了解です!
最後に、レミリア様に合掌。
24. 6 K.M ■2008/02/29 19:52:11
外見年齢相応なレミリア様のイタズラ心が、読んでてとても可愛く感じました。
25. 7 レグルス ■2008/02/29 20:10:25
バームクーヘンに吹きました。
威厳だけじゃない、こういう面もある種のカリスマですよね。
とても和みました。
26. 6 12 ■2008/02/29 21:42:24
ほんわかほのぼの。
どこまで丸くなるんだお嬢様っ……!
27. 5 O−81 ■2008/02/29 21:49:02
 なんか新鮮な面白さがあったです。飾られてないというか。
 でもリグル以下四人の会話は、誰が喋ってるのかよくわかりませんでした。
 最後のほのぼのしてる感じが好き。
28. 4 只野 亜峰 ■2008/02/29 21:54:48
通常文章は出頭に一マス空けると良いかな。
「・・・」は「てん」で変換できる三点リーダーを使うと吉。
……みたく二つ1セットが主流な模様。
やたら・・・で余白を作ろうとするところとか初めてSS書いた頃を思い出すなぁ(遠い目
お話としては面白く、終始テンポ良く楽しめるものでした。
29. 5 BYK ■2008/02/29 22:02:42
これはお茶目なお嬢様。かの4人も吸血鬼と仲良くなれてさぞかし複雑に…馬鹿だから思わないか(
30. 7 名無しの37番 ■2008/02/29 22:51:59
うわあ、みんな可愛いなぁ。特にレミリア、五百歳の吸血鬼の威厳なんてかなぐり捨ててますね。勿論、彼女は子供らしい稚気も併せ持っているのですから、これはこれでありでしょう。
そしてその裏でせっせと働く紅魔館勢。特にパチュリー。何だかんだ言いつつ手伝ってる貴女はとてもいい人だと思います。だからちょっとくらい憂さ晴らししても誰も怒らないよ!
ちっちゃな妖怪たちの大冒険とレミリアのちょっとした我が儘、そして広がる友達の輪。とても癒される作品でした。
31. 4 moki ■2008/02/29 23:18:46
戯れるミリアちゃん可愛いよ。うーうー言うのを幻視した。
32. 9 カミルキ ■2008/02/29 23:33:48
悪戯が見つかるまでの程よい緊張感。ほんわかぴりぴりと。
二つの場面を上手く対比していると思う。
33. 5 blankii ■2008/02/29 23:48:19
これは良い『機会』。鈍感さが仇とならずに良い結果に繋がったことが、単純に嬉しく思います。レミリアも色々と不自由であるのなら、立場とか全く気にしそうにない4人との出会いが幸福となるのでしょう。

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