作品集: 最新 投稿日時: 2008/02/11 07:14:28 更新日時: 2008/03/06 22:00:59 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00


 紅魔館の地下。
 大図書館は今、大掃除の最中だった。

「この泥、どうにかならないかしらねー」
「ほんとほんと。いくら本を守るためって言ったって、こうも多いとイヤになっちゃうわ」

 静謐と知識が占めるはずの世界に、何故だか土くれが山をなしていた。
 別に天井が抜けたとかそういうわけではない。
 これらは少し前までは、図書館を守る為に生成されたゴーレムだった。
 髪の毛など身体の一部を媒体として作られるそれは、作成が簡単だったが、主剤が土の為に破壊されると後始末が面倒だった。
 なお悪いことに侵入者も同じ術式を用いて(製造法が漏洩したらしい)攻め込んでくるのだ。
 材料は外に山ほどあるので、勢い、群同士の激突となり、戦いが終結する頃には図書館の内部は屋内庭園でも始められる有様になっているのだ。

 掃除はメイドたちの仕事になる。
 本棚は簡単な防護があるので汚れないが、床はそうもいかない。
 崩れたゴーレムは再利用できないので、土を集め、一輪車に乗せて運び出す。
 地味な作業だし大変疲れる。
 必然、口もよく動く。

「そうそう、最近さぁ、なんか変な噂があってさぁ」
「噂ぁ?」
「うんそう。一階のね、誰も使ってない部屋から、時々女の呻き声が聞こえてくるっていうのよぉ」
「それのどこが変なのよ」

 女所帯の紅魔館では、珍しくもなんとも無い話だ。
 おおかた誰かが仕事をサボって昼寝でもしているのだろう。
 
「悪魔のお屋敷で、そんなの怪談にもならないよ」
「怪談っていうのは私もどうかなーって思うけどね。それには続きがあって」
「うんうん」
「それが聞こえるようになったのって、ここ最近でね。この掃除とタイミングが近いんだって」
「あー。それで私が知らないんだ、ってなんでアンタは知ってんのよ」
「私も昨日聞いたのよ」
「ふーん」
「でね、その声が、返して、返してって言ってるんだって!」
「きゃー、こわーい」

 そんな程度ならフランドールお嬢様が出歩いている方がよっぽど怖い。
 メイド達からすれば、退屈しのぎの噂話でしかなかった。

「でも、上の娘たちの間じゃ、ゴーレムの怨念なんじゃないかーって」
「本を盗られたから返せーって?」
「そうかも? でも、これって壊れたらそれまでじゃん?」
「命も何も無いしね」
「だから、奇妙で怪しいって」
「悪魔の館の奇怪な噂! 真相を探る美少女メイド探偵ー!」
「あっは、それいいかもー!」

 口を動かしつつ、手も動かす。
 空になった一輪車に、水の入ったバケツを載せて戻ってくる。
 土を片付けた後には拭き掃除が待っているのだ。

「もー、こんなんだったら普通に攻めてくれた方がマシだよー」
「せめてもう少し人数を回してもらいたいわぁ」
「ぼやかないの。どうせすぐ飽きるわ」
「あ、メイド長〜。なんとかして下さいよ〜」

 現れたメイド長の顔にも苦笑が浮かんでいた。
 彼女もまた余計な仕事が増えて頭が痛いのだ。

「あれ?」

 メイドの一人が首をかしげる。

「どうしたの?」
「ん、メイド長、髪形変えました?」
「え、ああ、うん。そうね、たまには気分を変えてみようかと思って」

 咲夜は髪に手を添えて微笑む。

「お似合いですよー」
「あー、ゴマすって点数稼いでるー」
「ほらほら、お喋りはそのくらいにして。次に奴らが来る前に片付けておいてね」
「「はーい」」



 図書館を出た咲夜はこっそりため息をつく。

「まったく。あの子達って変に勘が鋭くて困るわ……」

 咲夜が向かったのは門番の詰め所だった。

「美鈴。ちょっといいかしら」
「あ……咲夜さん」

 突然訪れたメイド長に、それまで和やかだった詰め所の空気が冷える。
 なんでもない風を装って席を立つ門番長を、メイドたちは死刑囚を見る心持ちで見送った。



 紅魔館には使われない部屋など山のようにある。
 咲夜が美鈴を連れ込んだのも、そんな一室であった。

「な、なんですか、咲夜さん」
「ごめんなさい。またなのよ……」

 ビクビクする美鈴に、咲夜が頭を下げる。
 その表情は本当に申し訳なさそうで、偽りの無い心情を物語っている。

「えええーー!? も、もうムリですよー!」
「本当に申し訳ないと思うわ。でも貴方じゃないとダメなのよ……」
「そ、そんな事言われても……」
 
 困惑する美鈴に請願する咲夜。
 その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。

「じゃないと私……」
「そっ、そんな顔をしても、ダメなものはダメですっ」

 美鈴は縋る咲夜を振り払うと、自分の頭に手をやった。
 そのままの勢いで髪を掻きあげると、紅玉を溶かしこんだような美鈴の麗髪が。
 ズルリと、外れた。

「もうこんな状態なんですから!」

 美鈴は、丸坊主だった。
 見事に、丸坊主だった。
 バリカンで刈られたような頭は、撫でればさぞや気持ちのよい手触りだろう。
 美鈴はカツラを手にしたまま、涙目で咲夜を睨む。

「そうよねぇ、貴方のゴーレム、コストが安いからって大量投入しちゃったものねぇ……」

 先ほどの泣きそうな表表はどこへやら、咲夜は疲れた表情でうなだれる。
 美鈴の手にあるのはパチュリーの作ったカツラだった。
 当人の生気を吸い上げることで、被っている間は地毛と区別がつかないというスグレモノである。

「そうね、もう髪はムリそうね」
「そうでしょう? ですから諦めてくださいよー」
「でも、貴方のゴーレムが作れないと、今度は私なのよ」
「そ、そんな事言ったって……」

 美鈴は自分がパワーハラスメントに晒されている事を自覚する。

「それにね」
「な、なんですか」

 咲夜の笑みに悪い予感を感じつつ、美鈴は先を促す。

「頭の毛はもう駄目かも知れないけど……」

 うっすらと微笑む咲夜の手には、いつの間にか剃刀があった。

「まだ剃れる所があると思うの」












「オー!」


こんな話でごめんなさい。
ぱちゅコンやってない人置いてけぼりでごめんなさい。

もう1本の方を書きあげて、「あー、タイトル決めないとなー」と、だらだらとぱちゅコンを始めて思いつき、1時間で書きました。
その所為であっちの話の投稿が割とぎりぎりだったりしますが。
でも、魔理沙はどこから材料をもってきたんだろう?

ちなみにこの話の先を考えて、眉毛まで抜かれた美鈴を想像して一人で笑ってました。

>もろへいやさま
咲夜さんは人間なので、髪の伸びる速度が……あ、美鈴の発毛速度を変えれば!

>blankiiさま
この話にはヒドイという評価こそが正しいです。
でも、へこたれない美鈴が好きです

>カミルキさま
てゐとか丸裸になってそうですね。あっちは薬のエキスパートがいるから、発毛薬くらいありそう。

>冬生まれさま
おや? どこの毛とは一言も書いていませんよ?
それ以前の問題な気がしますが。

>mokiさま
アホほど増やした時、こいつらの材料ってどこからくるんだっけ? と。

>BYKさま
「パチュリー様、美鈴からは暫く体毛の採取は無理そうですが」
「大丈夫、発毛薬が出来たから培養槽に漬けておいてちょうだい」
「その研究を他に向けた方がよろしいのでは?」

>12さま
おや? どこの毛とは一言も書いていませんよ?
「あれー? 門番長、お風呂はいんないですかー?」
「あ、うん、私、あとではいるから」

>只野 亜峰さま
荒削りというか、これ、焼いてないパンみたいな話ですしねぇ
笑っていただけたようでなにより

>O−81さま
鼻毛はそれないでしょう。剃刀は入りませんって。いや咲夜さんならやりかねないか。

>八重結界さま
頭の形の綺麗な人は、坊主でも美しいのです。
だから美鈴もあんまり落ち込むなよ?

>☆月柳☆さま
しかしLV6

>K,Mさま
ま、まあ妖怪ですし。
咲夜さんもその程度で刈ってますよ。じゃないと自分の髪が持っていかれるので。

>中沢良一さま
今回はギャグの少なさと、長編の多さが目立ちました。
この話が息抜きになれば幸いです。

>as capable as a NAMELESSさま
おや? どこの毛とは一言も書いていませんよ?
腋とか脛かもしれませんよ?
それ以外かもしれませんが。

>らくがん屋さま
腋かもしれない。
そうでないかもしれない。

>とらさま
ああ、すみません。
これは黄昏フロンティアさまの「ぱちゅコン!」というゲームのネタです。
図書館を防衛するために、パチェが作り出した「ゴーレム作成の術」が話の肝なので、ぱちゅコンをやっていない人にはさっぱりでした。
ただ、1発ギャグでくどくどと説明するのもどうかと思ったので、この際スッパリと説明をきりました。

>木村圭さま
そこですよねー。
魔理沙は、まあ、あちこち出入りしてますし。

>つくねさま
初期プレイならまず美鈴を増やしますからねぇw
そういう眼でみながら遊ぶと、何か違う事が見えてくるかもしれません。

>カシスさま
いえ。そんな面倒な捻りはありません。
メイド妖精の会話だけです。
1発ギャグなら、お題の消化は二の次でいいだろうと(酷)

>ZIDさま
門番長はお肌ツルツル!

魔理沙がどこで入手してくるのか? その辺は、なんとなく想像できそうなw

>時計屋さま
咲「中華風な門番に逃げ場は、ない」

>椒良徳さま
そうですね。
片眉なくなった美鈴とか。

>たくじさま
そこはそれ。
紅魔館のヒエラルキーとか、瀟洒だけどちょっと抜けてる咲夜さんのうっかりとかで。

>つくしさま
大丈夫! とりあえず服を着てカツラを被ってれば分からないから!

>畦さま
オー!×100

息抜きギャグのつもりで書いたので、お題の消化はほとんど考えていません。
さもありなん。

>飛び入り魚さま
実際、どうなんだろうとか。
花映塚の妖精みたいに弾けて消えるって訳でもなさそうですしねぇ。
土がリサイクルできれば、あとはパーソナルのデータだけなんですが。
あ、塁審は買収しておいたので。

>名無しの37番さま
咲夜さんはその辺容赦なく1体=1本で要求してきそうです。
咲夜さんも多少の被害にはあっています。だから切実。

>床間たろひさま
オー!

>織村 紅羅璃さま
お口に合いませんでしたか。
咲夜さんは割と切実な問題なので、部下に無理を強いています。

>俄雨さま
ンゥ?

>#15さま
牧場をしている時に考えてみてください。
彼女らの犠牲について。

>あまぎさま
咲夜さんもパチュリーも、最善の手が分かっているのに遊んでいます。
紅魔館ってステキなところ!

>小山田さま
ああ、この話は「ぱちゅコン!」前提なので、知識のない方を置き去りです。
そこでは「髪の毛を触媒に動くゴーレムという存在があらかじめ共有されている世界観」なんで。
しょうもないギャグ話なので軽く流していただければ。

>読者さま
本当に悲惨なのは、むしろ全身剃られてツルンツルンになったあと。





オー!
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2008/02/11 07:14:28
更新日時:
2008/03/06 22:00:59
評価:
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Rate:
5.00
1. 4 読者 ■2008/02/12 00:42:55
これは悲惨
2. 3 小山田 ■2008/02/13 02:10:54
一発ネタとしては、ゴーレムという前提条件を理解しないといけないのはちょっとつらいかも。髪の毛を触媒に動くゴーレムという存在があらかじめ共有されている世界観なら、もっとストレートに面白さが伝わったと思います。
3. 5 あまぎ ■2008/02/15 00:36:00
咲夜さん鬼畜すぎ笑った。
>紅玉を溶かしこんだような美鈴の麗髪
この表現も上手過ぎる。
あとどうでもいいけど、カツラのスグレモノっぷりが半端なくて最高です。
4. 3 #15 ■2008/02/15 20:21:10
ああ、あのゲームですか…。凄いことになってましたもんねぇ
5. 1 俄雨 ■2008/02/21 18:21:07
ァーオ!!
6. 3 織村 紅羅璃 ■2008/02/24 20:34:10
キャラが壊れすぎてるのは、あまり好きではないのです...
取り敢えず咲夜さん、少し落ち着きましょうか。w
7. 4 床間たろひ ■2008/02/24 23:05:36
アー!
8. 5 名無しの37番 ■2008/02/27 11:24:25
ネチョと見せかけて馬鹿話と見せかけて続きはネチョで。見事なグレイズですね。
でも美鈴は髪の毛長いから一本一本を小分けにすればもっと長持ちしたような……どうでもいいですねごめんなさい。
咲夜さんが髪型変えてたのは、自分も何割かは犠牲になってたからかな?
9. 1 飛び入り魚 ■2008/02/27 20:09:48
パチュコンを真面目に考えたらこうなるわな。
良ネタに思える。
それはともかく、ちょっくら三塁側塁審に判定を求めてきます
10. 7 ■2008/02/27 22:04:13
「ギャー」
怖かったです……最後の方が特に(頼むからもう魔理沙来ないであげて……)。
むしろパチェは育毛剤を開発すべし。
SSとしては程よくまとまっていた感じなんですが、
作品の印象としてお題の「奇怪」より「恐怖(?)」というのが強かったです。
だってラストがry
11. 3 つくし ■2008/02/28 17:55:31
これはひどいwwwwwwwwwww

ぼくには ただ 合掌することしか できません
12. 5 たくじ ■2008/02/28 22:28:47
これは酷い。
でもみんなから少しずつ集めたって別にいいのでは。
13. 3 椒良徳 ■2008/02/28 23:53:39
ううん、確かに剃れる所があるな。うんうん。
14. 6 時計屋 ■2008/02/29 00:40:46
こ、これは酷い話だ!
逃げてー、美鈴逃げてー。
15. 5 ZID ■2008/02/29 01:29:31
なんというオチw 侵入者のほうは『誰』を使っているのかが微妙に気になるとこですなー。
16. 5 カシス ■2008/02/29 01:40:59
ゴーレムを機械に見立てているのでしょうか?
ぱちゅコン!って髪の毛とかで作ってましたね。咲夜さんならやりかねないと思ってしまいました。
17. 3 つくね ■2008/02/29 02:27:39
あなたたちここは全年齢(ry
髪の毛は約10万本ってことは……すみませんそこまで行かなくても1万ぐらいは投入していると思いますホントすみません。

当然魔理沙なんかもそうなんだろうなぁ……
18. 2 木村圭 ■2008/02/29 04:53:18
可哀相な美鈴に幸あれ……。侵入者こと魔理沙はどこから媒体を調達してるんだろう、と考えたら魔理沙が辻斬りになってしまいました。
19. 3 とら ■2008/02/29 09:09:01
肝心のゴーレムについて言及が少ないような気がしました。「髪の毛」と「ゴーレム」の関係性についても明言して欲しかったです。
20. 4 らくがん屋 ■2008/02/29 11:06:36
なんというぱちゅこん? プレイしたこと無いけど。しかし美鈴が腋毛ボーボーだったとは、ショックです。
21. 3 as capable as a NAMELESS ■2008/02/29 14:57:31
まさかの下ネタ。
不覚にもあとがきで吹いた。
22. 2 中沢良一 ■2008/02/29 15:15:03
1ネタ短くておもしろかったです。
23. 4 K.M ■2008/02/29 19:45:00
髪は女の命と言うのに、これは酷いw美鈴、強く生`
24. 2 ☆月柳☆ ■2008/02/29 19:49:11
ありがとう美鈴、今までご苦労様美鈴。
お前のことは忘れないよ…。
25. 5 八重結界 ■2008/02/29 20:47:04
咲夜さんひでえ、の一言に尽きます。
坊主の美鈴はきっと、少林寺に入門したら良いと思いますよ。
26. 6 O−81 ■2008/02/29 21:46:01
 鼻毛乙。
 腋毛とデッドヒートしましたが、鼻毛でした。ハナ差で。
27. 4 只野 亜峰 ■2008/02/29 21:49:29
多少荒削りなところを感じるものの一発ネタとしては大分面白かったです。
され、それじゃとりあえず吹き出したコーラを返してもらおうか。
28. 9 12 ■2008/02/29 21:53:09
私のようなおっさんは、このようなオチが大好きなのであります。オー!
29. 5 BYK ■2008/02/29 22:06:16
これは良い自主規制オチ(←
というか、そこまでする位ならゴーレム以外の方法を講じた方g(禁則事項
30. 7 moki ■2008/02/29 23:20:55
上手いなぁ。きっと美鈴で牧場したに違いない。牧場することに罪を感じてきた。
31. 3 冬生まれ ■2008/02/29 23:37:02
ぱちゅコンネタとは・・い
ーのかなーと思いつつもこういうネタは好きです。
32. 5 カミルキ ■2008/02/29 23:41:37
俺は主に永遠亭組みの髪の毛をむしりとっています。
むしりとられない魔理沙は、幸福なのだろうか…
33. 2 blankii ■2008/02/29 23:50:04
これはヒドイ(心の底から褒め言葉)。美鈴オチ万歳と叫びたくなる私は、最萌2決勝戦の観戦者だったりするのがまた酷い。

34. 6 もろへいや ■2008/02/29 23:56:10
オー!
さくやさんはしょうしゃだな。
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