リグルと恩返し

作品集: 最新 投稿日時: 2008/09/27 11:15:42 更新日時: 2008/09/30 02:15:42 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00





           <1>





――――あぁ、喉が渇いたなぁ。

 朝焼けの空をフワフワとフラフラと飛んでゆくのは虫の妖怪、リグル・ナイトバグ。どうにも元気が無い様子です。

――――どこかに水はないかなぁ。このままだと死んじゃうよ。

 リグルは水を求めて彷徨っていたようです。実は彼女はもう何日も水を口にしていません。
 それもそのはず、今幻想郷は深刻な水不足に悩まされているのです。昨冬は雪が少なくて、その為に雪解け水も少なく、今夏は日照りが続いたために水が渇ききってしまったのですから、彼女にとっては死活問題。
 なにせ彼女は蛍の妖怪ですから、水が無いとは同時に食料が無いということを意味します。人間を捕食するのも方法の一つですが、それは最終手段。彼女にとっては人より水なのです。だから今の状況は大問題としか言いようがありません。
 …今年の干ばつは全てに等しく大問題ですけどね。

――――水、みず………

 相変わらずフラフラと飛んで行くリグル。どうやらまともな思考力が奪われてしまっているようです。
 当てもなくあっちにフラフラこっちにフラフラ…本当に危険な状況の様です。
 そんな中、一軒の家屋がリグルの目に留まりました。それと同時に彼女はあることを思いつきました。

――――そうだ、誰か別の人なら水を持ってるかもしれない。

 そう思ったリグルはその家の人から水を貰おうと、ちょっとふらついたまま鳥居をくぐったのです。

――――鳥居? あれ、ここって…
――――あら、誰かと思ったら珍しい客人ね。前に一度会ったことあるわよね?

 ここはただの家屋ではなく、幻想郷で飛びぬけて有名な博麗神社でした。
 暑さと喉の渇きで頭が働かない彼女は、フラフラと妖怪退治で有名な神社の巫女、博麗 霊夢と出くわしてしまったのです。かく言う彼女も、かつて一度だけ彼女に叩きのめされたことがありました。
 その時の記憶が甦り、自分のしてしまったことに気づいたのです。万全の状態でもやられたのに、今のリグルでは彼女に敵うどころか逃げることすらままなりません。飛んで火に入る夏の虫、という言葉が彼女の脳裏を掠めました。

――――ひぇぇ。悪気は無かったんです、ごめんなさい〜。
――――いきなり何を謝ってるの? 何かやらかしたのかしら?
――――何もしてません。だから退治しないで〜。
――――なんだ。何もしてないんだったらいいじゃない。
――――ふぇ?

 リグルは思わず間抜けな声を上げてしまいました。
 それもそうでしょう、彼女にとって予期せぬ答えが返ってきたのですから、驚くのも無理はありません。

――――いったい何をそんなにビクビクしていたのよ?
――――えっと、退治しないの?
――――やっぱり何かしでかしたの?
――――な、何もしてません。
――――だったら私があなたを退治しなければならない理由が無いわ。それとも退治して欲しいのかしら?
――――滅相もございません。
――――そう。勘違いしているようだから言っとくけど、私は妖怪を見たら即退治なんて野蛮な精神を持ち合わせていないわ。

 リグルにとっては拍子抜けもいいところ。退治されるかと思って怯えていた自分が馬鹿みたいにさえ見えてきました。
 霊夢という少女は妖怪を退治しますが、それはあくまで悪さをした妖怪に限るということを、リグルは知らなかったのです。

――――あれ、だったらどうして初めて会ったとき…?
――――あの時は急いでいたのだし、それにあなたから攻撃してきたんじゃない。
――――そうだったっけ?

 どうも彼女の記憶はその辺りが曖昧なようです。その返答に霊夢は少し呆れ顔。

――――はぁ、まあそれはどうでもいいわ。それより今日はどうしたの、ここに何か用事?
――――ああ、そうだった。ねぇ巫女さん。
――――私は霊夢よ。博麗 霊夢。
――――あ、私はリグル・ナイトバグっていいます。リグルって呼んで下さい。
――――リグルね。
――――ねぇ霊夢さん。もしよろしければ、水を貰えませんか?
――――水? 水ねぇ…

 霊夢の表情はどこか優れません。その表情と返答からリグルは不安になりました。ここにも水は無いのではないか、と。

――――もしかして、無いの?
――――あるにはあるけど…あぁ、あなたは蛍の妖怪だったわね。それなら水が無いと大変ね。

 どうやら水はあるようです。その言葉を聞いてリグルはとても嬉しくなりました。
 なかなか見つからなくて、死にそうになってまで探し求めていたものが見つかったのですから、喜ばない方が難しいというものです。

――――そうなんです。だから助けて下さい。
――――わかったわ、しばらくそこで待ってなさい。今持ってきてあげるから。

 その返事を受けて、リグルはそれだけで天にも昇る思いでした。これで助かる、という思いが胸を一杯にしたのです。





           <2>





 しばらくして、霊夢が水の入ったコップを持って戻ってきました。

――――はいどうぞ。
――――わぁ、ありがとう。

 リグルはそれを一気に、だけどじっくりと味わいながら飲み干しました。
 何日か振りに飲んだ水は彼女の体の隅々まで沁み渡り、ただそれだけで生き返ったような心地を与えてくれたのです。

――――ありがとう、霊夢さん。あなたは命の恩人です、本当にありがとう。とても美味しかったです。
――――ふふ、それは良かったわ。

 大袈裟ではなく、リグルは本当に命を失う寸前だったのですから、彼女にとって霊夢は正しく命の恩人です。
 それに普段口にしている水を、これ程まで美味しいと感じたのは彼女には初めての経験でした。なので、精一杯の感謝の気持ちを伝えました。

――――このご恩は忘れません。ありがとうございました。
――――もういいわよ。そんなに感謝されるほどではないわ。
――――それでもです。あぁ、水を持っている人に出会えてよかった。

 リグルはこの日照りの所為で自分が探した範囲では水が涸れ果てていたためにもう誰も水を持っていないとも考えていたので、彼女にとっては僥倖でした。
 それにしても本当に暑い日で、よくよく霊夢を見やれば彼女も結構な汗を掻いているように見受けられました。そこで、リグルは不思議に思ってあることを聞いてみることにしました。

――――ねぇ霊夢さん、こんなに暑いけどあなたは水を飲まないの?
――――実はね、あなたにあげたのが最後の水だったのよ。
――――えっ?
――――もう私の手元にも水は無いわ。だから飲みたくても飲めないの。

 その言葉を聞いてリグルはショックを受けました。
 恐らく霊夢は自分にとっておいた最後の水を、惜し気もなく彼女に与えたのでしょう。その為に自分の水が無くなってしまっても…

――――そんな、だったらどうして私に水をくれたの?
――――助けを求められたからよ。あなたが困っていたからあげたの。それに、困っている人は助けるものよ。
――――私、妖怪だよ?
――――あぁ、そう言えばそうだったわね。でも、些細な問題だわ。

 霊夢が言うには、只リグルが困っていたから手を差し伸べたということでした。
 最早彼女の分の水が無いという事を、きちんと働くようになった頭で理解すると、リグルは少し罪悪感を覚えてしまったのです。

――――水が無くなって、霊夢さんはこれからどうするの?
――――そうねぇ、自分で探すか誰かから貰うかしかないわね。

 飄々とした態度ではあるけれども、どうやら霊夢も水が無くなって困ってしまっているようです。
 そこでリグルはある決意を固めました。

――――ねぇ霊夢さん、水が無いと困っちゃうでしょう?
――――そうね、確かに困るわね。
――――じゃあ今度は私が霊夢さんを助けてあげる。お礼に私が水を持ってきてあげるね。
――――あなたが気にする事無いわよ。私が勝手にやったことなのだから、わざわざそんなことしなくてもいいわ。
――――困っている人がいたら、助けるものなんでしょう?

 リグルは先ほど霊夢が言った言葉をそっくりそのまま使いました。
 その言葉を聞いた霊夢は少し呆気に取られた様子です。彼女は見返りを求めて水を与えたわけではなかったのですから。

――――確かにそう言ったけど、本当に気にする事無いのよ?
――――いいの、私がやりたいって思ったから勝手にやるの。だから霊夢さんが気にする事無いよ。

 リグルはまた霊夢の言葉をそのまま返しました。これにはさしもの彼女もお手上げです。

――――はぁ、そこまで言われたら止める訳にはいかないわね。それに止めても行くのでしょう?
――――うん、そのつもりだよ。止めても無駄だから、水を入れる桶を貸して?
――――仕方ないわね、今持ってきてあげるけど当てはあるのかしら?
――――あるにはあるよ。だけど教えられないんだ。
――――へぇ、それはどうして?
――――秘密の場所だから、教えられないよ。
――――そう、それなら仕方ないわね。

 リグルは嘘をつきました。教えられない本当の理由は、教えたら多分止められると思ったのです。
 彼女には確かに当てがあります。それは、川の上流まで探せばきっと水はあるだろうと踏んでいたから出た言葉です。しかし川の上流と言うからには山に入らなければなりません。霊夢に止められる最大の理由はその山にあるのですから、教える訳にはいきません。
 その山とは、天狗たちが住まう『妖怪の山』だったのです。無闇に立ち入れば最悪攻撃される恐れだってあります。お山の上に神社が出来て多少なりとも開放的になったとの噂はありますが、それでもまだまだ余所者を受け付けない雰囲気が漂っているのです。
 もし攻撃されようものなら、リグルは妖怪とは言え虫なのですから、天狗に太刀打ちできるわけがありません。妖怪としての格が違い過ぎます。
 それでもリグルは行く決意をしました。自分を助けてくれた霊夢に恩返しをする事を固く誓ったのです。

――――はい、桶を持ってきたわよ。
――――ありがとう霊夢さん。きっとこれを一杯にして戻るから、楽しみにしててね。
――――張り切るのはいいけれど、無茶だけはしては駄目よ?
――――うん、行ってきます。
――――行ってらっしゃい。

 リグルは意気揚々と出発しました。これからどんな出来事が彼女を待ち受けているのでしょう…?





           リグルと恩返し





――――うわぁ、やっぱり下流には水が無いんだなぁ。この辺りにあったら助かったんだけどなぁ。

 暑い日差しの中しばらく飛び続けたところ、リグルは妖怪の山の麓に辿り着きました。
 そしてまずは川を探そうと思い麓をフラフラとしていたのですが、見つけた川は案の定涸れていたのです。

――――うーん、でももしかしたら残ってるかもしれないし、ちょっと探してみよう。

 決意を固めても、やはり彼女は山を登るのが少し怖いようです。そこで、リグルはとりあえず下流域をくまなく探索することにしました。

――――やっぱりなかなか見つからないや。もうここらには水が無いのかも知れないなぁ。

 やはり上流を探すしかないのだろうか、とリグルが半ば諦めかけたとき、キラリと光る場所が目につきました。

――――おや、あれはもしかして?

 わずかな期待を胸にその場所に向かってみると、リグルの思った通り、水が残っていたのです。
 残っていたと言っても、それはとても沢山あるとは言えず、小さな水たまりの様なささやかなものでした。それでも手にした桶を一杯にするには十分。
 リグルは大層喜びました。そして桶に水を入れようとしたのです。

――――よーし、これで一杯にできるぞ。早く霊夢さんに持って帰ってあげよう。
――――ねぇ、ねぇ。妖怪さん、ちょっと待ってよ。

 桶を水につけたところでリグルの耳に誰かの声が入ってきました。彼女の傍には誰もいません。
 不審に思って辺りを見渡してみましたが、それでも誰かがいるような気配はありませんでした。リグルが首を傾けていると、また声がしました。

――――こっち、こっちだよ。妖怪さん。

 リグルが声のした方向に目をやると、そこには水たまりがありました。
 声をかけてきたのはこの水たまりなのだろうか、と彼女は思いましたがどうも違うようです。よくよく見ると水たまりの中に小魚たちが何匹もいて、リグルの事を見ていました。

――――今話しかけてきたのはあなたたちなの?
――――そうだよ。ねぇ妖怪さん、ちょっと待ってくれない?
――――何を待つの?
――――ここの水を持って行かないで。

 どうやら小魚たちは水を持って行こうとしたリグルを止めようとしていたみたいです。
 リグルは魚が話しかけてきたことに少し驚きましたが、自分だって本は虫であることを思い出し、そんなこともあるかと納得しました。
 そして次に、なぜ水を持って行ってはいけないのかと疑問に思いました。

――――ねぇ小魚さん、どうして持って行ったらいけないの?
――――もし妖怪さんがここの水を汲んじゃうと、僕たちが生きられないよ。少しの水だと、すぐ日上がってしまうでしょう?

 それは確かにその通りでした。もしもリグルが桶一杯にここの水を汲んだならば、わずかな水しか残されない事になります。
 水が無いと生きられない。水がどうしても必要だという気持ちは、彼女は痛いほど分かっていました。でも、霊夢との約束があります。

――――お願い、見逃してよ。僕たちも困ってるんだ。

 困っている人は助けるもの。この場合は魚ですが、リグルは霊夢の言葉を思い出しました。
 霊夢との約束は大事ですが、彼女にはここの水を汲むことがどうしても出来そうにありませんでした。水が無いと辛いのは、彼らも同じだからです。

――――わかったよ、ここの水は諦めるね。
――――良かった。ありがとう、ありがとう妖怪さん。

 リグルは別の水場を求めて川をさかのぼることにしました。
 去り際に水たまりに目をやると、小魚たちが嬉しそうに泳いでいました。





           <3>





 リグルは結構な距離を飛び続け、中流付近までやってきました。さすがにここらまで来ればちらほらと水が見受けられます。しかし下流で見つけた水たまりと同じ様で、どこにも小魚たちがいて、その度にリグルはそれらの水を諦めざるを得ませんでした。
 やはりどうしても上流域まで行かなければならないようです。

――――うう、やっぱり怖いなぁ。この辺りだってもうそんなに安全とは言えないし。

 そう、ここまで来ると最早天狗たちの領域に足を踏み入れてしまっているのです。それがリグルの足取りを重くしてしまいます。

――――でも霊夢さんに恩返ししないと。怖いけど頑張ってみよう。

 決意を新たに、彼女はさらに川をさかのぼることにしました。
 すると突如人影が彼女の前に躍り出て、リグルに声をかけました。

――――そこで止まりなさい。

 その人物は頭から犬の様な耳を生やし、剣と盾を携えて言葉と同時に剣先をリグルに突き付けてきたのですから、彼女は大変驚いてしまいました。

――――ひぇぇ。と、突然何ですか?
――――これより先は私たち天狗の領域です。山の上の神社に行きたいならば道が違います。

 どうやらリグルの前に立ちはだかるのは懸念していた天狗の様です。それを理解した彼女は、すっかり怯えてしまいました。
 彼女の身から発せられる圧倒的な存在感と力。そのどれもがリグルには慣れないもので、彼女が怯えてしまうのも無理はないというものでしょう。

――――すぐに引き返しなさい。素直に立ち去るならば無闇に危害は加えません。
――――えっと、その、私は川の上流に行きたいだけなんです。

 しかしリグルも簡単には引き下がれません。他に水の心当たりがない以上、ここで帰ってしまう訳にはいかなかったのです。
 けれども彼女にとって天狗はやはり恐ろしい存在の様で、体が小刻みに震えています。

――――先ほど言いましたが、ここから先は私たちの領域です。通すわけにはいきません。
――――で、でもどうしても行きたいんです。行かなくちゃいけないんです。
――――駄目だと言っているでしょう。口で言ってわからないなら、体にわからせましょうか?

 リグルの前に立つ天狗はどうあっても彼女を通す気が無いようです。言葉よりも何よりも、天狗と思しき女性の雰囲気がそれを雄弁に語っていました。
 ですが、その空気に晒されながらもリグルは帰る気配を見せず、じっと堪えて天狗の目を見続けました。帰る意思は無いと、彼女も語っているようです。

――――ふぅ、ここまで言ってわからないなら少し痛い目を見てもらいましょう。
――――く、来るなら来い。私は帰らないからね。

 強い言葉を吐くのは自分を奮い立たせるため。そうでもしなければ今すぐにでも飛んで逃げてしまいそうだから、リグルは強い視線で天狗を睨みつけます。依然として体の震えは止まりませんが、彼女は決して引き下がりませんでした。約束もそうですが、彼女にだって妖怪としての矜持があります。
 そうして天狗が彼女に向かって前傾姿勢をとると、リグルは覚悟を決めました。

――――椛、何をやっているの?

 しかし、緊迫したその場に似つかわしくないのんびりした雰囲気の声が突然間に割り込んできて、二人は戦闘態勢を解きました。

――――射命丸様。いえ、我々の領域に踏み入ろうとした者を追い返そうとしていただけです。
――――へぇ、どれどれって、彼女ですか。これはまた珍しい子が来たものです。
――――あ、いつぞやの天狗さんだ。
――――射命丸様、お知り合いなのですか?
――――以前取材で少し関わったことがあるの。それにしても椛?
――――何でしょうか、射命丸様。
――――彼女が怯えてしまっているでしょう。そんなに敵意をむき出しにしてはいけません。
――――ですが射命丸様…
――――職務に忠実なのはいいけど、あなたの事だから話も聞いてないんでしょう?
――――それは確かにそうですが…
――――やっぱり。ここはとりあえず私に任せなさい。

 少し見知った顔が出てきたことでリグルは少し緊張が解れました。
 この人なら話せば分かってくれるかもしれない、そんな思いが彼女の頭をよぎりました。

――――確かリグルさん、でしたよね。なにか御用ですか?
――――えっと、私は水が欲しいんです。
――――水ですか? 水ならそこら辺にあるじゃないですか。どうしてそこから持って行かないのですか?

 リグルの考えた通り、どうやら射命丸と呼ばれた天狗は話を聞いてくれるようです。これで何とか戦いは回避できるようで、彼女はほっと安心しました。
 しかし根本的な解決には至っていません。彼女は何としても水を手に入れなければならないのです。

――――だって、そこから持って行くと魚さんたちが困っちゃうじゃないですか。
――――魚たち?
――――もし私がそこの水たまりから水を持って行くと、そこにいる魚さんたちが困るから、だから持って行けないんです。

 射命丸はリグルの話を聞いて、じっと黙りこんでしまいました。口元に手を当てて、何かを考えているようです。
 リグルは少し不審に思いながらも話を続けました。

――――上流に行けばもっと水があるかと思って、それでこの先に進みたいんです。
――――話は分かりました。ですがどうしてそんなに水を求めるのですか?
      確かに今年の水不足は深刻です。それだけに、私達とてそこまでの余裕があるわけではありません。
      だからこそ、ただ欲しいというだけではとても水を分ける訳にはいかないのです。

 射命丸の話はもっともです。もしここで軽々にリグルに水を分けてしまえば、山にもっと水を求める者がやって来ることでしょう。
 天狗たちにとって、それだけは回避したい出来事でした。そしてリグルもそれを理解しました。

――――実は私、ある人に助けてもらったんです。
――――ある人、ですか?
――――博麗神社の巫女さんです。私は水が欲しくて彼女に助けを求めました。
      彼女は嫌な顔一つせずに私になけなしの水を与えてくれました。彼女のお陰で私は命を救われたんです。
      だから私は彼女に恩返ししたいんです。
――――それで彼女の為に水を持ち帰ると、そう言うのですね?
――――その通りです。

 リグルは包み隠さず全てを話しました。彼女にとって嘘偽りの無い事実なので、そもそも隠す必要だってありません。問題は相手が信じてくれるかどうかでした。
 射命丸は再びじっと押し黙りました。だんまりはさっきと同じですが、先程と違う点は射命丸がリグルの目を見つめているということです。

――――どうしたの、天狗さん?
――――その言葉に嘘は無いようですね。
――――嘘なんてついてないよ。
――――ええ、それはあなたの目を見れば分かります。こう見えても私、人を見る目はあるんですよ?

 リグルは疑われたのかと思って焦りましたが、それは杞憂でした。射命丸が彼女の目を見ていたのは真偽を見破るためだったのです。

――――なら、信じてくれるの?
――――信じるも何も初めから疑っていませんよ。
――――それじゃあ…
――――霊夢さんに倒れられたら、いざというとき困りますからね。水は分けてあげましょう。椛もいいですね?
――――射命丸様がそう仰るのであれば構いません。

 その言葉を聞いてリグルは本当に安心しました。これで霊夢に水を持って帰れるのですから、危険を冒してまで妖怪の山に踏み込んだ甲斐があるというものです。
 椛と呼ばれた天狗も同意してくれたようですし、これで彼女の不安は一切ありません。後は神社に戻るだけです。

――――では私が汲んできてあげましょう。その桶に入れればいいのですか?
――――うん、お願いします。
――――ではここで少し待っていて下さい。戻るまで椛と話でもしててね。

 射命丸はそう言って物凄い速さで飛んでゆきました。あまりに速くて、もうリグル達からは見えなくなってしまいました。リグルはそのスピードに少し唖然とし、目にも留まらぬ速さというものを実感したのです。





           <4>





 射命丸がいなくなって、今この場にはリグルと椛の二人だけ。先ほど攻撃されそうになっただけに、リグルにとっては些か居心地が悪いようで、何を話したらいいのかわからない様子です。

――――リグルさん、といいましたか?
――――は、はい。あなたは椛さんでいいんですよね?
――――ええ、相違ないです。

 リグルが言葉を選んでいると、椛の方から話しかけてきました。
 彼女はまったく予想していなかったようで、少し言葉に詰まってしまったようです。一体どんな話をするのかと、リグルは内心怯えの入った不安を抱えています。

――――あなたに一つ言っておかなければならない事があります。
――――な、何でしょう?
――――ごめんなさい。
――――ふぇ?

 本日二度目の間の抜けた声でした。それもそのはず、リグルには彼女が謝る理由が皆目見当もつかないのです。
 戸惑うリグルを余所に、椛は言葉を続けました。

――――初めはただの不届き者かと思って、話もろくに聞かずに攻撃しようとしました。
      ですが私の勘違いでした。あなたは義心と優しさを併せ持つ素晴らしい人物です。
      私の勘違いであなたを無闇に怯えさせてしまいました。本当にごめんなさい。
――――わぁ、顔をあげてよ。私は気にしてないから。

 深々と頭を下げる椛を見てリグルはさらに戸惑いました。
 先ほどの凛とした雰囲気からは一変して、今の椛からはどこか元気の無い様子さえ窺えます。犬耳もペタンとしていて、しょんぼりしているようです。

――――相手の本質を見抜けないとは、私もまだまだ修行が足りません…
――――私は気にしてないってば。だから顔をあげてよ〜。
――――こんな私を許してくれるのですか?
――――初めから恨んでなんてないよ。椛さんは自分の仕事をしただけなんでしょ? だったら仕方ないよ。
――――やはりあなたは優しい。そんなあなたに攻撃しようとしていたなんて…あぁ、自分が恥ずかしいです。
――――わぁ、まただよ。お願いだから顔をあげて〜。

 椛に対する怯えは無くなりましたが、違う意味での苦手意識がリグルの心の中に芽生えてしまいました。リグルの言葉を無視して必死に謝る椛の姿を見て彼女は、なんだか思い込みの激しい人なんだなぁ、という感想を抱きました。
 リグルがなだめて椛がひたすら謝るという構図がしばらく続き、いい加減リグルも疲れてきてしまいましたが、そんな彼女を助ける声が聞こえたのです。

――――なんか面白そうなことやってますね。新手の漫才ですか?
――――あ、射命丸さん。助けて〜。
――――はいはい、わかりましたよ。ほら椛、リグルさんが困ってるでしょう。それくらいにしておきなさい。
――――射命丸様…ですが…
――――もう、彼女もさっきから気にしてないって言ってるでしょう? 気にしなさ過ぎるのも問題だけど、あなたは明らかに度を越していますよ。
――――はい、わかりました…

 射命丸のお陰でようやく場が治まりました。ずっと謝られ続けたリグルにとってすれば、これ程居心地の悪い空間は無かったことでしょう。
 しかし、彼女は何よりもまず射命丸の放った言葉が気になりました。

――――ねぇ射命丸さん、さっきからって言ったけど、もしかして見てたの?
――――それはもうバッチリと。
――――見てたならすぐに助けてよ〜。
――――あはは、面白かったのでつい。そんなことより、水を汲んできましたよ。
――――む〜。

 リグルは少し頬を膨らませて、納得がいかないといった表情で射命丸を見ましたが、彼女に動じた気配はありません。それどころかリグルの表情を楽しんでいるようです。
 何を言っても無駄だという事を悟ったリグルは大人しく預けた桶を受け取りました。すると、不機嫌だった顔が一変して何とも幸せそうな表情になりました。

――――わあ、水が一杯だ。ありがとう、射命丸さん。
――――構いませんよ。早くそれを霊夢さんに届けてあげて下さい。
――――うん、射命丸さんに椛さん、さようなら。
――――さようなら、リグルさん。そしてごめんなさい。
――――椛ったら真面目なんだから。さようなら、リグルさん。面白いネタがあったら是非とも教えて下さいねー。

 二人の声を背にその場を後にするリグルでした。
 桶の中には水が一杯。そしてリグルの顔にも笑顔が一杯。





           <5>





――――うーん、水が入ると結構重いなぁ。相変わらず暑いし。

 水入りの桶は思いのほか重くて、リグルはちょっとフラフラしながら来た道を下って行きました。重さがあるためにそんなに高く飛ぶことができず、木々の無い場所を選んで飛ぶしかないのです。
 それに暑さでどんどん体力が奪われるので、なおさら高くは飛べません。

――――早く霊夢さんに届けてあげたいけど仕方無いか。
      でもこれでちゃんと恩返しできるし、きっと霊夢さんも喜ぶよね。

 ゆっくりでも確実に届けることが大事だとリグルは考えました。両手にぶら下げた桶の水がチャプチャプと波打ちます。
 すると、暑い日差しの中、それでも笑顔を絶やさずに飛び続けるリグルに声がかかりました。

――――ねぇそこの妖怪さん、ちょっと止まってくれないかい?
――――あれ、誰もいない。私に話しかけるのはだあれ?
――――こっちだよこっち。
――――変だなぁ。声はするけど姿が見えないよ。
――――あぁ、そうだった。忘れてたよ。
――――わぁっ。

 そんな声がしたと思ったらリグルの目の前に突然水色の服を着込んだ少女が現れました。
 あまりに突然の事なので彼女はとても驚いてしまいました。しかし水色の少女はそんなリグルの様子など気にする事なく話し続けたのです。

――――私はにとり。河城 にとりって河童だよ。
――――にとり? ねぇ、突然現れたけど、どうやって隠れてたの?
――――それは河童の技術だよ。光学迷彩ってやつさ。
――――こうがくめいさい?
――――えっとだね、光を透過・屈折させて…って難しい話はどうでもいいか。
      そんなことよりあんたに少しお願いしたい事があるんだよ。

 にとりの話を聞いている内にリグルの頭はどんどんこんがらがってきました。今度はにとりもそれを察したようで話を打ち切り、彼女にお願い事があると切り出しました。今度もまた突然だったので、リグルはまた驚きました。

――――ちょっとこっちに来てくれないかな? 悪いようにはしないからさ。
――――うん、いいけど。お願いしたい事って何?
――――着いてから話すよ。

 河童のにとりに連れられて、リグルは小さな小さな水たまりに案内されました。

――――ここに何があるの?
――――よーく見てごらん。ほら、そこだよ。
――――何も見えないよ?
――――もう、ちゃんと見てよ。そこに魚の卵があるだろう?

 にとりに言われてようやくリグルもそれを見つけることができました。
 でもその卵はとても小さく、小さな水たまりの中でもさらに目を凝らして探さなければ見つからないほどでした。

――――あ、本当だ。結構あるね。
――――でしょう? だから困ってるんだよ。
――――そう言えばお願いって何なの?
――――そう、それなんだ。卵があるのはいいけど、水が少ないのはわかるよね?
――――うん。少ないね。
――――そこでお願いがあるんだけど…

 にとりは少し言いにくそうに口籠りました。それにちょっともじもじしている様子です。
 その様子を察したリグルは彼女がリラックスできるように先を促しました。

――――私にできることなら何でもやるよ。気にせず言って?
――――うん…いきなりこんなことお願いするのもどうかと思うんだけど、その水を少し分けてくれない?
――――えぇっ?
――――このままだとここの水はすぐに渇いちゃって、この子たちが死んじゃうよ。生まれる前から死んじゃうなんて、かわいそうだよ…

 にとりのお願いというのは、苦労して手に入れた水を魚たちの為に分けて欲しいというものでした。
 これには彼女も困り果ててしまいました。何せ霊夢の為に持って帰らなければならない水なのですから、そう簡単に分けてあげることなど出来ません。だけど、もしリグルがこのお願いを断れば魚の卵たちがどうなるかは想像に難くはないでしょう。

――――お願い、本当に少しでいいから。この子たちが卵から孵るまで凌げれば他の水場に移してあげられるの。
――――う〜ん…

 にとりは必死にお願いしています。その懸命さはリグルにもしっかりと伝わりました。
 困っている人は助けるもの。リグルはそう自分に言い聞かせて、水を分けてあげることにしたのです。

――――わかったよ。そんなに沢山はあげられないけどね。
――――本当に? ありがとう、えーと…
――――私はリグル。リグル・ナイトバグだよ。
――――リグルだね。ありがとうリグル、この子たちも喜んでるよ。
――――困った時はお互い様だよ。じゃあ私はそろそろ行くね。
――――本当にありがとう、リグル。また会おうね。

 にとりの声を背に、リグルは神社に向かって飛び立ちました。水はまだあるし、これくらいは大丈夫だよねと彼女は考えました。
 桶の中にはまだまだ水がたっぷり。リグルの笑顔もまだまだ元気です。





           <6>





 リグルは山を離れてからしばらく飛んでいました。相変わらず茹だるような暑さで、彼女の口からもとうとう呻き声がこぼれ始めてしまいました。

――――う〜、暑いよう。この暑さ、どうにかならないかなぁ。

 ですが、いくらぼやいたところで涼しくなんてなる筈がありません。リグルもそれをちゃんと理解しているだけに、虚しさが募るだけでした。
 リグルは行きの時よりか幾分ふら付きながら飛び続けています。そんな調子の悪そうなリグルに声をかける人物がまた現れました。

――――あら、リグルじゃない。
――――あ、幽香だ。こんな所で何してるの?

 リグルが出会った女性は風見 幽香でした。
 幽香は花を操る程度の能力を持っていて、その為虫の妖怪であるリグルに対して妙な親近感を持っていました。しかし少し強引な面も持ち合わせているので、リグルはほんの少しだけ幽香の事が苦手でした。

――――ちょっとね…あなたは何をしているの?
――――私はこれを運んでいる最中なんだ。
――――それは…水。ちょうど良かった、ちょっとこっちに来てくれない?
――――え、でも…
――――いいからいいから。
――――あ〜れ〜。

 幽香に手をひかれてリグルはあっという間に連れ去られてしまいました。
 そうして連れられた先は、一本の木が生えた草原でした。

――――もう幽香ってば、こんな所に何の用があるって言うの?
――――この子を見てちょうだい。
――――この子って、このお花のこと?

 幽香に促されて目を向けると、そこには小さな花が木の傍でひっそりと生えていました。しかしどうにも元気が無いようです。その花は萎れかかっていて、枯れる寸前と言っても過言ではないでしょう。

――――たまたまこの子を見つけてしまったのよ。それでどうしても気になってしまって。
――――萎れちゃってるね。
――――この木に栄養を持っていかれちゃってるの。日当たりも悪かったから、それは私が植え直したのだけどね。
――――ねぇ幽香、ところで何がちょうど良かったの?
――――あなたは今、水を持っているわね。

 リグルは幽香が言わんとしていることを即座に理解しました。先ほどの魚と同じように水を分けて欲しいというのでしょう。
 しかし、リグルはどうしても納得のいかない点がありました。

――――幽香は花を操れるんでしょ? だったら幽香が咲かせてあげればいいんじゃないの?
――――勿論それもできるけど、自然のものは自然のままに咲くのが一番なの。何でも能力に頼っていては駄目よ。
      そんな訳でこの子の為に水を探していたのだけどなかなか見つからなくて、そんな時にあなたがフラッとやって来た、という訳よ。
――――そうだったんだ。
――――ねぇリグル、ほんの少しでいいの。この子に水を分けてあげて?
――――う〜ん…

 リグルは再び困ってしまいました。
 もちろん彼女とて分けてあげたい気持ちは山々なのですが、そもそもこの水は霊夢のものなのです。これ以上少なくなると、帰った時に彼女ががっかりしてしまうかもしれません。
 リグルにとって、それでは恩返しにならないのです。

――――この子を助けてあげて、お願いリグル。

 幽香もまた必死にお願いしています。リグルはその真摯な思いをしっかりと感じ取りました。そして彼女自身も花が可哀そうに思えてきて、何とかしてあげたいと考えました。
 困っている人は助けないといけない。それに少しだけでいいみたいだからまだ大丈夫と、リグルは再び自分に言い聞かせました。そして、水を分けてあげることにしたのです。

――――わかったよ。少しだけでいいんだよね?
――――くれるのね? えぇ、それでこの子も満足すると思うわ。
――――それじゃあ、はい。
――――ありがとうリグル。この子も喜んでいるわ。
――――それじゃあ私はもう行くね。
――――本当にありがとう、リグル。今度ちゃんとお礼をするわ。

 幽香の感謝の言葉を背に、リグルは神社に向かって飛び立ちました。
 桶の中にはまだまだ水が沢山。でもリグルの笑顔は少し曇ってきてしまいました。





           <7>





――――はぁ、どうしてこんな事になっちゃったんだろう…

 時刻はお昼を過ぎたころです。幽香と別れてから数刻も経っていないのに、さっきまで笑顔だった顔が今ではどんよりとしていて、その上溜め息までこぼしています。一体どうしてしまったのでしょう?

――――水も半分くらいになっちゃった…霊夢さんがっかりするだろうなぁ。

 なんと桶に一杯だった水が、今では半分ほどしかないというのです。これではリグルの顔が優れないわけです。
 なぜこんな事になったのかというと、幽香と別れてからというもの、神社に向かう道程でリグルはたくさん声をかけられたのです。動物に植物に虫たち…そして彼らは一様にリグルにお願い事をしました。それはもちろん、水を分けて欲しいということです。誰も多くを求めることはしませんでした。しかしあまりに数が多過ぎたために、分け続けるうちに半分ほどまで減ってしまった、ということだったのです。

――――断ればよかったんだろうけど…うぅ、みんな困ってるみたいだったしなぁ。
      はぁ、仕方無いか。これだけでも霊夢さんに届けないと。

 どうやら彼女は、頼まれると嫌とは言えない性格の様です。そんな自分の事をよく理解しているからこそ、リグルの口からはため息が止まりません。
 顔を曇らせたまま飛んでいて、ふと視線を下に落としてみると誰かがいるのに気づきました。

――――あれは、人間の女の子? どうしてこんな所にいるんだろう?

 まだ昼間とはいえ、人里からは離れた場所です。人間の、それも子供が一人で歩くのは危険と言う他ないでしょう。リグルは少女の事が気にかかったので、思い切って話しかけてみることにしました。

――――ねぇねぇ、そこの君。
――――だあれ? 誰かいるの?

 少女はきょろきょろと周囲を見回しています。どうやら空にいるリグルには気付いていない様子です。

――――こっちだよこっち。
――――え…と、飛んでる。もしかして、妖怪…?
――――そうだよー。
――――ひぃ、た…食べないでください。

 少女はリグルが妖怪だという事を知ると、途端に怯え始めてしまいました。
 リグル自身は脅かす気なんてなかっただけに、どう反応したらいいかわからなくなってしまいましたが、とりあえずその少女をなだめることにしました。

――――食べないから怯える必要なんてないよ。ねぇ、顔をあげて?
――――うそ。妖怪はみんなそう言って騙すって教わったもん。
――――私は滅多な事じゃ人を食べないの。少なくとも今はお腹一杯だしね。

 リグルは少女を刺激しないように、極力穏やかな口調で優しげに話しかけるように努めました。その甲斐あってか、少女は少しずつ顔をあげ始めたのです。
 ですが、まだ少女の顔から警戒の色は拭い去れません。

――――本当に食べない?
――――食べないよ。私はちょっと話をしようと思っただけなんだから。
――――何をお話ししたいの?

 本当に食べる気が無いということが伝わったのでしょうか、少女はリグルの話を聞いてくれるみたいです。

――――どうしてこんな所に一人でいるの? 危ないんじゃない?
――――うん、危ないと思うよ。
――――わかってるんだったら、どうして?
――――実はね、どうしても欲しいものがあるの。
――――欲しいもの? 何を探しているの?
――――えっとね、水を探してるの。

 少女はどうやら水を探し求めてこんな所を一人で歩いていたようです。
 しかし、リグルにはどうしても理解できない事がありました。

――――そういう危険な事は親がやるべきじゃないの? どうして子供の君がそんな事をしているの?
――――親はもういないんだ…
――――そうなんだ…でも他の大人に頼むとか分けてもらうとかすればいいんじゃない?
――――私、たくさん兄弟がいて、分けてもらおうにも誰もそんな余裕が無いの。
      それに私が一番お姉さんだから、だから私が頑張らないと駄目なんだ。

 なんと少女は兄弟たちを助けるために危険を冒してまで水を探そうとしていたようです。
 しかし、リグルが妖怪の山まで行ってようやく見つけられたようなものなのに、この小さな女の子が見つけられるとは到底考えられません。どこかで行倒れてしまうか、妖怪に食べられてしまうことでしょう。リグルにはその未来が容易に想像できました。それではこの子の兄弟が悲しむことでしょうし、もしかしたら水が無いために死んでしまう可能性だってあります。
 リグルはまたまた悩んでしまいました。手元の桶を覗けば水は半分ほどあります。これだけあれば十分ではないにしろ、子供数人なら当分の間は凌げることでしょう。ここで水を渡せば数人の命が救われますが、それは同時に霊夢に恩返しができなくなることを意味します。

――――う〜ん…
――――どうしたの、妖怪さん?
――――本当に行くの? 雨が降るのを待つとかできない? そもそも当てはあるの?
――――当てはないけどどうしても行かないと。今だって弟たちが泣いてるかもしれないもの。
――――そうかぁ。う〜ん…

 困っている人は助けるものだと霊夢は言いました。そんな霊夢はこんな場合どうするのだろうかとリグルは考えました。しかし考えたところで答え何か出る筈がありません。霊夢の心は霊夢にしかわからないのですから。
 リグルは本当に思い悩みましたが、考えれば考えるほど分からなくなってしまいました。そこで、自分が一番正しいと思える行動をとることにしたのです。

――――容れ物はあるの?
――――うん、あるよ。
――――じゃあそれを出してくれるかな?
――――いいけど…どうするの?
――――これをあげる。だから早くお家に帰るといいよ。
――――えぇっ、いいの? 妖怪さんだって水がいるんじゃ…
――――いいの。私が勝手にあげるんだから。
      そんなこと気にするより、早く帰って弟さんたちを安心させてあげて。

 リグルは少女の顔を見ないようにして桶の水を全て移し替えました。今の顔を決して見られたくないが為にとった行動でしたが、少女は感動していてそんなリグルの様子に気づいた気配はありません。

――――ありがとう、ありがとう妖怪さん。これで私たち助かります。
――――いいから早く帰りなよ。一人で帰れる?
――――大丈夫だよ。本当にありがとう、優しい妖怪さん。

 少女は嬉しそうに、何度も何度もリグルにお礼を言いました。それを見たリグルにも自然と笑顔がこぼれます。
 しかし彼女の内心はどんよりとしています。霊夢に渡すはずの水を全て使ってしまったのですから、どうしようという気持ちで一杯です。

――――じゃあ私はもう行くね。
――――うん、さようなら。ありがとう。
――――いいんだよ。じゃあね。

 リグルは少女の声を背に飛び立ちました。
 桶の中はもう空っぽ。リグルの顔もしょんぼりしています。

――――はぁ、どうしよう。霊夢さんに何て言ったらいいんだろう…?





           <8>





 結局リグルは空っぽの桶を抱えたまま博麗神社に辿り着きました。
 途中、もう一度妖怪の山で分けてもらおうかという考えもあったのですが、それでは天狗たちが迷惑してしまうだろうということと、意気揚々と出発した手前、もう一度下さいとは言いにくかったということもあり、山に向かうのは諦めたのです。
 他に水がありそうな場所も思い当たらず、リグルはやむなく神社に引き返すことにしました。

――――あら、リグル。お帰りなさい。
――――ただいま、霊夢さん…
――――どうしたの? 元気が無いようだけど。

 今のリグルは誰の目から見ても明らかなほど落ち込んでいました。それに気付いた霊夢は心配そうにリグルに声を描けましたが、リグルからの返事はありません。それで霊夢はますます心配になってしまいました。
 霊夢はリグルが怪我でもしたのかと思い、傍まで駆け寄りました。

――――本当にどうしたの? 体の調子でも悪いの?
――――霊夢さん、ごめんなさい…
――――どうしたの? 何を謝っているの?
――――水、持って帰れなかった…
――――約束を守れなかったからそんなに落ち込んでいるの?
――――うん…
――――じゃあ、あなたが怪我をしたとかではないのね?
――――うん…
――――そう、それは良かったわ。心配しちゃったじゃない。
――――ふぇ?

 リグルはまたまた間の抜けた声を上げてしまいました。驚いて霊夢の顔を見てみると、彼女は本当に安心したような表情をしていました。リグルはてっきり約束を果たせなかったことを怒られると思っていたのですが、霊夢は怒るどころかリグルの身を案じてくれたのです。
 その霊夢の表情を見た時に、リグルの感情は喜びや不安がごちゃ混ぜになってしまいました。

――――怒らないの…?
――――どうして怒らないといけないの?
――――だって、だって水を…
――――水よりもあなたの方が大事よ。妖怪の山まで行ったんですって?
――――えっ、どうしてそれを?
――――さっき文が来たわ。それで教えてもらったのよ。無茶したら駄目だって言ったじゃない…

 霊夢はリグルが水を手に入れたという事を既に知っていました。それでも水が無いという事を聞いた時、少しも落ち込んだ様子は見せず、ただ彼女の身だけを案じていたのです。
 リグルはそれを理解して、もうどうしたらいいのか分からなくなってしまいました。どうしたらいいのか分からなかったので、リグルはぐちゃぐちゃの感情のまま霊夢に抱きつきました。彼女の眼からはいつの間にか涙が零れています。

――――ひっく、霊夢さん…ごめんなさい…
――――よしよし、水の事なら気にしてないわ。あなたのことだから、ちゃんと理由があるんでしょう?
――――ぐすっ、うん…
――――じゃあ、少しずつでいいからそれを聞かせてちょうだい?
――――うん…あのね…

 霊夢に促されて、リグルは涙交じりの声でぽつりぽつりと話し始めました。
 山で水を貰ったこと、河童のにとりと出会ったこと、幽香に連れ去られたこと、色々な動物に植物に虫たちと出会ったこと、そして最後に人間の小さな女の子に出会い、その子とその家族の為に残った水を全て譲った事を、リグルは包み隠さずに話しました。
 それを聞いている霊夢の表情はとても穏やかで、優しげに微笑んでいます。

――――そう、そんな事があったの。
――――だから、ひっく、水は無いの。ごめんなさい…
――――困っている人たちをたくさん助けたのね。偉いわよ、リグル。
――――偉くなんかないよ…
――――あら、どうして?
――――約束、守れなかったもん…
――――そんなことないわ。あなたは立派に約束を果たしてくれたわよ。
――――えっ?

 リグルは桶を一杯にして帰ることができなかったのに、霊夢は約束が守られたと言っています。
 彼女には霊夢の言葉の意味が全く理解できませんでした。相変わらずの涙目で霊夢を見上げると、霊夢は優しげな声で諭すように話を続けました。

――――あなたが出かける時にした約束を覚えてる?
――――桶に水を一杯にして…それで持って帰るって…
――――違うわ。あなたは『桶を一杯にして戻る』って言ったのよ。
――――桶は空っぽだし、やっぱり約束は…
――――私には一杯に見えるわ。
――――どうして…?
――――その桶には、あなたの優しさが一杯詰まってるじゃない。
      水は無いのかも知れないけど、減った水の分だけあなたの優しさが入っているわ。だから、あなたは約束を守ってくれたのよ。
      ありがとうリグル。最高の恩返しだわ。

 本当は霊夢だって水が無くて辛いはずです。それなのに、彼女はリグルを気遣うような言葉をかけ続けます。
 その言葉を聞いたリグルは、どうしようもなく胸が締め付けられました。痛いくらいに心が暴れだし、もう彼女の手に負えない程になってしまいました。

――――ひっく、霊夢さん…霊夢さん…
――――お疲れ様、頑張り屋さんのリグル。私の為に一生懸命だったのね。
      ありがとう、優しいリグル。あなたのおかげで沢山の命が救われたわ。

 霊夢の言葉を背中に受けて、リグルの瞳からは涙が零れ続けています。ぽたりぽたりと地面に染みをつくり、新たな涙がその上に降り注ぎ、さらに大きな染みをつくってゆきます。ぽたり、ぽたりとまた一つ。

ぽたり、ぽたり、ぽたりぽたりぽたぽたぽた――――――――――――――――

 リグルは目を閉じていて、霊夢もただリグルの背を撫ぜるだけですので、その音はリグルの耳に良く響きました。だからこそ、自分はこんなに涙を流しているのだろうかと不思議に思ったのです。

――――リグル、顔をあげてごらんなさい。
――――どうしたの…わぁっ。

 顔をあげて空を見たリグルの目に入ったのは、なんと大きな雨雲でした。それは徐々に雨を降らし始めていて、リグルの耳に聞こえたのは雨音だったのです。

――――さっきまであんなに晴れてたのに、どうして?
――――きっと、あなたへのご褒美よ。
――――ご褒美?
――――そう、頑張り屋さんのあなたへの、神様からのご褒美よ。
      ありがとう、優しいリグル。あなたのおかげで幻想郷のみんなが救われるわ。

 大きな雨雲はきっと長い間雨を降らし続けてくれることでしょう。それなら魚たちも、動物も植物も虫たちも、あの女の子だって救われるはずです。
 霊夢はリグルへのご褒美だといいましたが、彼女にはそんなこと分かりません。だけど待ち望んだ雨が降っているということは事実です。なので、リグルは何よりもまずそのことを喜びました。いつの間にか涙は止まっています。

――――それに、これは恩返しでしょうね。
――――私から霊夢さんへの?
――――あなたからの恩返しはもう受け取ったわ。だからこれは、あなたが助けた命たちからの、あなたへの恩返しよ。
――――そうなのかな?
――――そうに決まってるわ。
――――うん…そうだね。

 いつの間にか雨は本降りになっていました。それでも二人は家の中に入ろうとはしません。
 雨を喜ぶかのように、降りしきる雨の中二人は笑い合いました。本当に幸せそうに笑い合っています。





 桶の中は空っぽ、でも優しさが一杯。幻想郷も笑顔が一杯溢れています。

 そして、当然リグルと霊夢も満面の笑みでしたとさ。



 めでたし、めでたし…

のんびりほのぼのとした、絵本のような雰囲気を目指しました。
会話に「」が使われていないのは仕様です。読み難かったらごめんなさい…

少しでも皆様の心が温かくなったなら幸いです。
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
お腹が病気
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2008/09/27 11:15:42
更新日時:
2008/09/30 02:15:42
評価:
0/0
POINT:
0
Rate:
5.00
1. 6 no name ■2008/10/05 08:56:02
キーワード「にとり」「能力」「みzなにをするきさまー

すごく・・・暖かいです・・・
2. 7 慶賀 ■2008/10/05 13:10:17
テーマは絵本ですね。これは心地よい。
あぁ現代人のオアシスよとどこそこの屋上から叫びたくなりました。
いやぁ癒されますねぇ。
3. 3 小山田 ■2008/10/06 22:52:09
ですます調からも、物語の優しさが伝わってきました。
ただ、それだけに予定調和に向かっているのがありありとわかってしまって、淡々と読み進めるしかなくなってしまったのが、ちょっとした瑕疵ですね。
4. 6 佐藤 厚志 ■2008/10/07 02:48:05
この作品に至るまで、幾つかssを読んだのですが、そのテーマの多くが「水害」を扱ったものなんですよ。干ばつ、洪水など。不思議ですよね。その中で一番希望に満ちて暖かい話でした。
リグルってひょっとしたら優しい奴なのかもしれませんね。霊夢はもっと非道な女ってイメージですが。「だったら貴様の生き血をよこせ」ってこれじゃ吸血鬼だ。
5. 2 神鋼 ■2008/10/07 23:56:42
お題に囚われすぎてそれぞれの行動や言動が不自然に感じました。
6. 8 大崎屋平蔵 ■2008/10/15 21:38:42
似た言い回し、判りやすい展開。そこが良かった!
確かに絵本ぽかったです。展開といい、言葉回しといい。
絵本的表現苦手なので、いいなぁと思いながら読ませていただきました♪
7. 3 #15 ■2008/10/18 18:54:02
ええ話や…
8. 3 yuz ■2008/10/18 19:10:41
いい手法だと思います。
9. 7 三文字 ■2008/10/21 01:23:15
うん、人物の全員に優しさがあふれた、まさに絵本のようなSSでした。
捻くれた東方キャラからしたら、ちょっと優しすぎるかもしれませんけど、まあ、そこはご愛敬。
でも、さらに絵本のような雰囲気を目指すなら、もっと簡単な言葉で書いてもよかったかもしれません。所々、ほのぼのとした雰囲気に合わない単語があったりしましたから。
でも、小魚との会話や女の子との会話が、優しさにあふれて、心温まりました。
10. 5 twin ■2008/10/23 22:35:44
 絵本のような雰囲気の為に「」≠使わなかったのは分かるのですが、私には読みにくく、くどく感じました。
 絵本的な雰囲気を出すのなら、普通に「」≠使っても、それぞれの口調、簡単な言い回しなどで事足りるかと思います。読み易さを妥協してまでする試みではなかったかと。

 ですが、文章の雰囲気は、後書きを見る前にも絵本みたいだなと感じさせる柔らかさがありました。またほとんどの絵本に示されている教訓的なものも見えて、穏やかな情景が頭の中に流れるように感じました。
 絵本らしくもう少し内容を凝縮していれば、もっとよくなったのではないでしょうか? のんびりほのぼのとした物語は見ていて心が和みますが、ずっと読み続けているとどうしても飽きが出てしまいます。その点を鑑みて、もう少し削れる場所は削った方がいいと思いました。

 読んだあと心が安らかになってよく眠れる気分にさせてくれるような作品でした。色んな妖怪や人間と関わるリグルの姿も読んでいて楽しかったです。
11. 7 deso ■2008/10/23 23:39:44
これはまた可愛い!
童話っぽくて良いお話でした。
12. 9 詩所 ■2008/10/26 20:13:54
オチは読みきったぜ、って絵本風なんだから読めて当たり前じゃないか!

いやーこういう話はホント好きです。分かりやすいし和みます。
童話みたいないい話は歳を食うごとに聞かなくなりますからね。
直球だからこそ響く話、そう感じました。
13. 4 ミスターブシドー ■2008/10/27 00:06:07
絵本のような話、というコンセプト通りに仕上がっているか。
それぞれに自分の都合を主張するだけのところは、意外と残酷な童話に近いものを感じる。
オチが読めてもこういう話ならあまり期待はずれ感はない。
ただまぁ、ここまで日照りが続けば、誰かがどうにかしそうな気がしなくもないけどなー。
まあ何でもかんでも力技で解決すりゃいいってもんじゃない。誰かが何かしてる隣の話でもいいじゃない。
その結果で雨が降っても、リグルには預かり知れぬ事ということで。
14. 10 尾張典待 ■2008/10/29 06:45:31
実に感動するお話でした。
ト書が俯瞰的なのにリグルに感情移入が出来たのは、地文の安定感故でしょうか?

このまま子供に説話として聞かせても遜色ない出来だと思います。
是非こういったお話をまた読みたいものです。
15. 4 つくし ■2008/10/29 17:23:57
 絵本調の物語というよりは絵本文体の模倣であり、小説形式にするとなんとも、違和感がぬぐえない。文体を模倣するだけにならない、小説を絵本調にする方法はあったはずです。あと半分くらい読んだところで予想できるオチのとおりであり、オチを想像させた上で読ませるためのリーダビリティもなかったのでちょっとしんどかったです。
16. 8 眼帯つけた兎さん ■2008/10/30 06:57:19
特に言葉が思い浮かびませんでしたね。
あえて言うなら面白かったと温かかった。
17. 6 PNS ■2008/10/30 09:36:15
まさに童話の雰囲気ですね。
この美談は、「幻想郷昔話」として、後世に伝えられることでしょう。
18. 4 今回は感想のみ ■2008/10/31 16:52:02
意図した部分は表現できていたと思います。
ただ、似たエピソードが延々と続くのは冗長。
19. 6 藤ゅ村 ■2008/10/31 17:36:27
 みんながみんないい奴過ぎる……!
 だがそれがいい。けど霊夢がちょっとだけ優しすぎるかな。ちょっとだけですけど。幽香はそのまんまで好き。
 日本昔話のような寓意の込められたお話のようで、所々に幻想郷とか東方キャラぽい雰囲気が醸し出されていて大変よかったです。
20. 6 じらふ ■2008/10/31 21:30:05
こういう優しい切り口で語られる東方も大好きですね。
色鉛筆で描かれた絵本のような、N○Kの人形劇を見ているような…そんな童話っぽいお話が素敵でした。
21. 5 つくね ■2008/11/01 01:43:10
台詞部分はわかりやすかったのでそんなに問題なく読めました。
ほのぼの系が好き、という部分を抜きにしてもとてもよい物語でした。
これで助けた方々達から恩返しの描写とかがあればさらに良かったかもと思う反面、そこまでやると上手く描写できないとくどくなってしまう可能性がある諸刃の剣。その意味では安全安定ラインで収まっていて良かったかもしれません。
22. 6 八重結界 ■2008/11/01 18:30:12
すらすらと、一気に最後まで読めてしまいました。
リグルの優しさが表れた、素敵な話だと思います。
23. 6 blankii ■2008/11/01 21:26:34
全体的に童話調の語り口で、登場人物も皆優しい。なんというか、作者様の意図した世界を書くことに成功しているように思います。その分目新しさが感じられなかったのが少し残念。
24. 3 木村圭 ■2008/11/01 21:45:02
霊夢がイイお姉さんすぎて眩しいぜー。
25. 3 時計屋 ■2008/11/01 23:22:49
絵本のような雰囲気を目指したということですが、
地の文がまだまだ固過ぎる様に感じました。
文章の柔らかさ、語り口など工夫してみてください。
26. 6 リコーダー ■2008/11/01 23:59:37
すいません、コメントは後で
27. フリーレス リコーダー ■2008/11/03 12:55:39
実はほのぼのと水不足の深刻さとの間に落差を感じていたなんて言えない……
親切を強要する周囲に絶望sちょっとムカっとしたりしたんですが、思えばそういうのって子供の頃に絵本読んでて味わった感覚だなと思い返し。
オチは予想できる形でしたが救われました。
28. フリーレス お腹が病気 ■2008/11/23 20:23:34
レスがこんなに遅くなって大変申し訳なく思います…
少々身の回りがごたついており、PCも満足に使えない状況が続いております…

皆様のご意見・感想をじっくり読ませていただきましたところ、総合して文体が固いとのご意見が多かったように感じられました。
確かに、私は文を書くにあたって独り善がりな面が強いと前々から感じておりまして、今作においてはそれが顕著だったのかと反省しております。
皆様のご意見を糧に、これからはもっと自分を客観的に眺められるように努力する次第でございます。

簡単ではございますが、これをもってコメント返しとさせていただきたいと思います。
最後に、本当に沢山の評価を頂き且つ多くのお言葉を寄せていただきましたことを心から感謝いたします。

皆様、本当にありがとうございました!

P.S 
にとりの能力に関しては私も執筆中に感じましたが、それは水が無ければ使えないものだと解釈してこんな形に…
違和感を感じた方はきっと多かったと思います。こんなところでの補足ですが、ごめんなさい。
名前 メール
評価 パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード