流れよ我がトイレと早苗は言った

作品集: 最新 投稿日時: 2008/10/04 09:21:43 更新日時: 2008/11/07 23:33:57 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00



「平和だねぇ」
 食後のお茶を啜りながら守矢神社の神である神奈子はのんびりと呟いた。
「ま、人間平和が一番だよねぇ」
 その隣では守矢神社の真の神である洩矢諏訪子が、ちゃぶ台の上につっぷしながら答える。

 守矢神社の面々は、移転した頃こそ色々と騒動を起こしたが、現在ではすっかりと幻想郷に馴染んでいるようだった。
「さて。こないだは天狗達と宴を催したわけだが、分社を置いている手前、たまには博麗神社にでも顔を出さないといけないかねぇ」
 そんな事を言いながら神奈子は、湯のみのお茶を少しお茶碗に入れてゆっくりと回した。そうして茶椀に残った米粒を浮かし、お米を残さず綺麗に食べる。

「そんなこと言いながら、神奈子は酒が飲みたいだけだろー」
 一方、諏訪子のお茶椀にはコメ粒が結構残ってた。
 そもそも、米を一粒残さず綺麗に食べるという考えがないのかも知れない。
「あっはっはっ、お神酒を上がらぬ神は無し。だいたい諏訪子だって私に負けず劣らず飲んでいるじゃないか」
 実際、天津神や国津神を問わず、日本の神々は酒好きだ。
 天津神であれば、供物には酒が欠かせないほどの酒好きだし、国津神たち土着神も酒によって酷い目に合いながらも懲りないほどの酒好きである(代表例はヤマタノオロチなど、何かと酒盛りからの騙し討ちのコンボを喰らっている気がする)。
 そんな話で盛り上がっている神様二柱を前に一人黙々と食器をかたずける人影が一つあった。

 人界の現人神にして幻想郷では割と普通の人、奇跡を起こす程度の能力の持ち主にして、守矢神社の台所事情を取り仕切り、神様の面倒を見る苦労人、東風谷早苗その人だ。

 こないだの天狗から献上された酒は美味かった、流石は飲兵衛な妖怪だけはあるだの、いやいや河童の酒もなかなかだ、水にこだわったいい酒だったという、神様のロクでもない話を聞き流しながら早苗はそつなく朝食の片付けを終わらせ、二柱の神の前にちょこんと座る。
「で、天狗どもは焼き鳥を食わないわけなんだよなぁ。突然『いえ、焼き鳥は食べません』とか言われると少し白けるよ」
「まー、共食いになるからしゃあないんじゃないの?」
 しかし、そんな早苗に気づかず神様二柱はツマミと妖怪の付き合いの悪さの話を続けていた。そんな二柱に早苗は『ごほんごほん』と咳ばらいをしてみせる。
「だいたい、幻想郷はツマミの種類がいまいち少ない。まあ、酒に関しては色々と仕方がない面はあるがツマミに関しては完全に努力不足だ」
「ま、しゃあないよね。ここでの文化の担い手は人間ではなく妖怪、あいつらは酒さえ呑めりゃかまわないと考えて、ツマミの改良は気にしてないんだろうさ」
「ビールはまるで見かけないし、腸詰めもぜんぜん見ない。たまにはポン酒じゃなくてビールが呑みたい日だってあるってのにねぇ」
「前のとこじゃお供え物でビールって結構あったからねぇ。最初はこんなもの呑めるかって怒っていたのに気がついたら結構イケる、特に淡麗生はイイとか言い出したんだから、神奈子も良い性格してるよ」
「良いだろ別に、だいたい諏訪子だって最初はビールを毛嫌いしてたじゃない」
「ま、結局は酒なら何でもいいのかも知れないねぇ」
 そう言って二柱の神は笑い合った。
 和やかな神様二柱、その背後で早苗は、今度こそと思いっきり咳ばらいをする。
「ん、どうした早苗?」
「なんだ風邪か、駄目だぞ身体を大事にしないと」
 ようやく神の注意を引いたことで、早苗は安堵のため息を付く。
「いえ、風邪では無いです。実はお二方に相談したい事がありまして……」
「ふむ、相談とな」
 深刻な様子の早苗に神奈子が座り直した。
 大切な守矢神社の風祝の相談だ、容易に扱ってはいけないと思ったのだろう。見れば隣の諏訪子も神奈子と同じように早苗の方に向き直っている。
 乾、つまりは天を支配する神と、坤、地を支配する神、そんな天津神と国津神たちに注視されながらも早苗は怯むことなく対峙した。

「……私は外の世界から、お二方と共に幻想郷へとやってきました」
「うんうん、そうだね」
 諏訪子が早苗の言葉を首肯する。
「そして、紆余曲折を経ながらも、この幻想郷での生活のも慣れてきたところです」
「まあ、住めば都とはよく言ったものだな」
 神奈子は早苗の言葉を深く頷いた。
「この幻想郷は良いところです。過激なところもある住人達も、慣れれば刺激的で退屈しませんし、自然も溢れています、天狗や河童といった隣人たちも話してみれば愉快な方たちばかりです……幻想郷、この素晴らしい場所を私は愛しています……たった一つを除いて。その例外である一つを、私はどうにも受け入れることができません」
 そこまで言って早苗は顔を伏せる。

 愛しき幻想郷。

 素晴らしき幻想郷。

 そんな幻想郷で、愛せないところが一つある、そう早苗は断言した。


「……それは、なんだ?」
 神奈子は真剣な面持ちで尋ねる。
 いまの神奈子は、すでに幻想郷の神なのだ。
 その神の住む場所を、自分の代行者である風祝が『愛せない』と断言する。子供の食べ物の好き嫌いなどとは違い、一番の信徒からの拒絶は神奈子の存在を根本から揺るがしかねない。
 たった一つの許せないこと、そのたった一つが結果として神の全否定につながることなど良くあることだ。

 愛されない神はただ消え去るのみ。

 だからこそ、神奈子は真摯に早苗に聞いた。
「教えてくれ早苗。何を持って愛することができないのか、どうすれば愛してくれるのかを」
 早苗の両肩を掴み揺さぶらんばかりの勢いで神奈子はちゃぶ台の上から早苗に近づく。
「……なんていうか、恥ずかしい台詞だね」
 諏訪子の突っ込みに神奈子は無言の逆水平で答え、何事も無かったかのように早苗を見つめていた。
「……ひとつ、どうしても許せないことがあります」
 深い、苦悩の色を滲ませて早苗は呟いた。
「……許せないこと」
「はい、それは……」
 そこまで言って早苗は言葉を詰まらせた。
 そんな早苗を神奈子はちゃぶ台の上で真剣に見つめ、畳の上では諏訪子が喉を押さえて転げ回っている。
 どうやら気管を激しく打ったようだった。
 しかし、そんな諏訪子は放っておいて早苗と神奈子の会話は続いて行く。
「……真剣に聞いてくれますか?」
「当たり前だ」
「笑いませんか?」
「人の悩みを笑う奴なんているか」
「呆れませんか?」
「呆れたりするものか」
 しばしの沈黙の後で、
「……信じて良いんですね」
 早苗は神奈子を見つめ、意を決したように呟いた。
「当然だ、私は神様だ。信じられるのが仕事だ」
 しっかりと早苗を見つめ返して神奈子は答える。
 そんな二人の背後で、転がり疲れた諏訪子が倒れて悶絶していた。

「わかりました、お話します」

 そして早苗は言葉を紡ぐ。

 自身に起きた忌わしい出来事を――



 とうとうと。

 吐き出すように。

 少しづつ、幻想郷を愛せない理由を語り始めた。



 それはこの守矢神社が幻想郷に移転した当初に遡ります。
 神奈子様と諏訪子様のお力で、守矢神社をそのまま移動させたわけですが、当初は色々と不都合がありましたよね。
 社務所に置かれていた家電製品や、拝殿の照明などは電気の供給がされませんので使えませんでしたし、水道やガスなども同様でした。
 
 正直、最初は何でこんな場所に来たんだろうと、後悔もしたりしました。
 
 それでも、水は水脈を導いて井戸を作り、照明は里で照明器具などを購入し、煮炊きするかまどを作ったりなど、むかしの暮らしに比べれば不便ですけれども、そんな不便な生活を楽しみ、以前に比べてはるかに充実した生活を送っている自分に気がつきました。
いつしか私はこの幻想卿を心より愛するようになっていたのです。

 そんな中、一つだけ。

たった一つだけ許容出来ないことがあります。

不便を楽しめないものがあります。

慣れることも、受け入れることもできないものがあります。


 



それは、トイレです。




 以前の守矢神社では下水施設が整っていたので水洗だったトイレが、現在では、ええと、そのボット……じゃなくて汲み取り式のトイレなんです!

 落下式とも言いますよね、ともかくアレです!

 想像できます!?

 花も恥じらう乙女が汲み取り式のトイレに入らなければならないという、この気持ち!

 以前の学校の級友で、山のてっぺんに住んでいたA子ちゃん(仮名)の家のトイレだって汲み取り式じゃあ無かったですよ!

 そりゃあ、未だに下水設備が完備されてない地域だって存在してることは理解してます。でも、私の実家のトイレはウォシュレット完備の便座が暖かい清潔なトイレだったんです!

 そこからボッ○ンを使うというこの心境、なんなんですか、この天国から地獄への急転直下は!

でも、良いですよ! 百歩、いえ千歩ゆずってボッ○ン良いですよ!

 でもコンクリ打ちっぱなしのボ○トン便所に朝入ったとき、つい視線を下に彷徨わせた瞬間に白く蠢くアレを見つけた時の気持ち、分かります!?

 思わず泣き出しそうになりますよ、っていうか実際に涙目でした!

何が悲しくて朝から蝿の赤ちゃんとコンニチワしなくちゃならないんですか!


 もうだめです!


 幻想郷はもうだめです!

 私は帰ります、文明に毒された世界に帰って、あったかな便座でリラックスできるトイレに入るんです!


 そう叫ぶと、ついに早苗はちゃぶ台に伏して泣きはじめた。

 生まれた時から、ボット○便所を使っていれば早苗もこうして苦悩することも無かっただろう。
 そうするとこれは一つの悲劇と言えるのかもしれない。

 異なるトイレ文明圏の激突、それこそが早苗に起きた問題の本質なのかもしれない。そんなトイレに翻弄された一人の少女が、そこに居た。

「そうか……早苗、最近元気がなかったのはトイレだったんだね」
 寝ころがっているのに飽きた諏訪子は立ち上がり、早苗の肩に手を置いた。
「しかし、まさか雪隠とはな……」
 諏訪子の反対側には神奈子が立ち、まだ泣き崩れている早苗の肩に手を置く。
 ちなみに雪隠とはトイレのことである。
 
 そうして、二柱の神はどちらともなく早苗の頭上で目を合わせると、


――凄まじい勢いで爆笑した。


「……え?」
 突然の笑い声に早苗は泣くのも忘れて思わず顔を上げた。
 腹を抱えてゲタゲタ笑う二柱の神、早苗はその様子を見て泣くのも忘れて呆然する。
「いや、だって……ぷぷっ、雪隠が嫌だって、おしめが取れたばかりの餓鬼じゃあないんだからなぁ」
 神奈子は涙を目に溜めて豪快に大笑いをしている。
「なはははっ! しゃあないしゃあない! 結局は穢れへの忌諱だって早苗の気持ちは分かるからねぇー、でも現人神が『トイレが嫌だ―』って泣いてるのは、ちょいと情けないかも知れんねぇ」
 諏訪子は足をバタつかせながら、腹を抱えて大笑いしていた。
 そんな二柱の神を見て、早苗はしばし呆然としていたが、次第にプルプルと俯いて震えはじめた。
「いやー、なんつーか現代人ってのはひ弱だな。割と骨があると思った早苗でもこんなんとは思わなんだ」
「そう言ってやるな。人間ってのは無菌状態にはすぐ慣れるからね」
「まー、そんなもんかねぇ」
 二柱の神がそんな話をしている時、早苗の震えはある時ピタリと止まった。
 顔を上げて早苗は二柱の神を見ている。その眼は冷静に、まるで永久凍土の如き瞳で笑う神を眺めていた。

 そして、早苗は神に質問する。

「……お二方は、ウジの沸く汲み取り式トイレ(和式)で、できるだけ床への設置面積が狭くなるようにつま先立ちになりながら用を足したことはありますか?」

「無いねぇ、神はトイレに行かないからなぁ」
「右に同じー」

「では、全くもって清潔なトイレから、不潔極まりないトイレで用を足さざるえない女子高生の気持ちも分かりませんよね?」

「わかんないねー。神に学校はないしなー」
「そもそもトイレに行かないからねー」

「だったら、明らかな異臭が凄くて、見えない底から何かおぞましいものが這いでそうな真夜中のトイレに籠って、涙目になり膝がガクガクになりながら、昔の家の清潔なトイレを思う気持ちも全然分からないですよね?」
「ま、難しいよな。だいたい幻想郷の連中なんて、ずっとそんな雪隠で用を足してるんだろ?」
「だよねー、まあ早苗もそのうち慣れるよー」
「なるほど、お二方の考えは把握しました」
 早苗は、二柱の神の答えを聞き、こぼれるような笑顔で答えた。
 
 その笑顔を見て、二柱の神は凍りつく。

 確実にそれは『危険な類の笑顔』だった。
 言うなれば子供が飽きた玩具を壊す前に浮かべる『もういいや』という顔、すべてが、どうでもよくなった人間がする顔だった。

「……あー、その、すまなかったな。茶化して」
 早苗の豹変に危険を感じたのか、神奈子が半笑いでおずおずと謝る。
 その心情の半分は『調子に乗って悪い事をした』であるが、もう半分は『畏れ』からだった。
 自暴自棄になった人間ほど恐ろしいものは無い。それは神奈子をして、即座に現在の早苗を危険だと判断するほどだった。
「良いんですよ、別に」
 そんな神奈子に早苗は笑顔で答えた。
「さ、早苗さ、怒ってる?」
 少し子供っぽく、怒る母親に尋ねるかのように諏訪子は早苗に聞く。
「はい、怒ってますよ」
 神奈子に答えた時と同じように素敵な笑顔で答える早苗、その様子に二柱の神は思わず一歩引いてしまった。
「その、わ、悪かった! 出来る限りの協力を八坂の名にかけて約束しよう。この八坂神奈子の全知全能を持って早苗の願いを叶えると」
「わ、ずるいぞ神奈子! 私も約束するよ! ミジャグジの長にして守矢神社の真の神である洩矢諏訪子の名にかけて早苗の願いを叶える!」
 早苗に宣言をする神が二柱、そんな神々を見て早苗は微笑みを強くして、
「その言葉に偽りはないですね?」
 と尋ねた。
 その問いはどこか不吉なものを感じさせるものだったが、心がすっかり離れてしまった早苗の歓心を買いたい二柱の神は気がつかず、
「勿論だ!」
 と、同時に頷いた。
「本当ですか? ……さっきのように偽りがあったりはしませんか?」
 どこか危険な笑顔で、早苗が二柱の神に念を押す。
「だ、大丈夫だ! 信じろ!」
「私だって大丈夫だい! 信じてくれー」
 その言葉を聞き、早苗は笑みを強くすると、我が意を得たりとばかりに説明を始める。

 神達に嘲笑われている間に思いついた計画を。
 
 この幻想郷を根本から改造する計画を。

 早苗が、己の願いのために起こす異変の概要を。

「待て、それは流石に……」
「ちょ、ちょっと待って考え直そうよ……」
 安易に早苗の案に頷いた神達は、抗議の声を上げる。
 しかし、
「別に意見を聞きたいわけじゃないんですよ、貴方がたはガタガタ言わずに、ただ私の言葉に馬鹿みたいに頷いていればいいんです」
 という、早苗の容赦のない言葉に沈黙するだけであった。

 あの時、信じた神に嘲笑われた時に心優しい早苗は死んだ。

 すがった神に裏切られた時、人には二つ道がある。


 生きるために修羅になるか、それともさめざめと泣くことしかできない負け犬になるかだ。

 早苗は、あの瞬間にその選択を迫られ、そして選んだのだ。

 生きるために修羅となることを。

 幻想郷に、どのような手段を使おうと水洗トイレを誕生させることを。


 レバーを回すとジャーと水の流れるトイレを求めたのだ。


 こうして、東風谷早苗の闘争は幕を開けた。






「だいたいさー、天界はあんまり美味しくないんですよねー」
 人間の里の居酒屋で、真っ昼間から酒を飲んでいる不埒ものが声を上げる。
「しかも、甘味と言えば桃、桃、桃って『また桃かよ!』って突っ込みをしてもまだ桃ですよ。あいつら頭が沸いてるとしか思えません!」
 声の主は比那名居天子と、
「まー、天界の名物は桃じゃないか。お前さんも頭に桃を括りつけてるくらいだしね」
 伊吹萃香だった。
 昼間っから酒とは良い身と言えよう。
「私の桃は関係ないですよ……でも、実際下界に降りてきて大正解です。こうしておいしい甘味が食べ放題ですからね」
 そう言って天子は甘露梅を口に入れる。
 甘露梅とは、梅を紫蘇で巻き砂糖漬けにした菓子であり、吉原で出されていた由緒正しい和菓子である。
 他にも天子の前には、あんころ餅、ういろう、ところてん(酢ではなく蜜をかけたもの)、軽羹(かるかん)など甘いものがずらりと並んでいる。
「なんていうか太りそうなラインナップだねぇ」
 呆れたように呟く萃香だったが、彼女の目の前に並んでいるのは納豆の油揚げの包み焼きにおくらの胡麻和え、とろろなど粘り気のあるものばかりが並んでいる。
 粘りものばかり頼む萃香に天子はどうこう言うつもりはないようだが、どこか気味の悪そうな顔で見ていた。

 ついでに炒った豆ではないのだからと言って、鬼が発酵した大豆を食べるのはどうなのだろうか。

「しかし、まー、お前さんの気持ちも分からないでもないね。地獄の酒も旨いけど地上の酒は色々あって嬉しくなるからねー」
 何よりも、水が良いから清酒が旨くて具合がよろしいと萃香は続けた。
「お酒ですか。私としてはワインとかリキュールとか洋酒関係が気に入りました」
「あー、その辺りだとスコッチとかその辺のが呑みたいかも、でもやっぱ前に紫に貰ったピスリタスは、最高だった……あっ、でも神便鬼毒酒だけは勘弁な!」
「まあ、そんなのを呑ませれば多少は大人しくなるんですかね」
「あれはねー、もう味は最高だけどその後が地獄だからねー。でも体に悪いものほどウマいって本当だね」
「ま、確かにそれは言えるかも知れませんね」
 天子は甘味とロゼで、萃香は粘りものと清酒で店の売り上げを順調に伸ばしていった。
「ま、しかし平和だねー」
「私たちが言うのもアレですけど、平和が一番ですよ」
 そんなまったりとした昼下がりに、それは現れた。

 突然開け放たれる居酒屋のドア、現われたのは緑の髪の人影。

「どうも、はじめまして」
 東風谷早苗だった。
 
 早苗は、一つ挨拶をすると、つかつかと天子と萃香のところにおもむき、天子に向かってにこりと微笑んだ。
「えっと誰?」
 キョトンとしている天子に早苗は穏やかな笑みを浮かべると、
「突然で恐縮ですが、一戦お相手してもらってよろしいですか?」
 と、出しぬけに言った。
「へ?」
 その早苗の突然の宣言に混乱し、状況を把握しきれない天子、そんな天子に早苗は、
「良いんですか、もう間合いに入っていますよ?」
 と、天子に警告した。
 そこまで言われて天子は不穏な気配を感じ取り、とっさに立ち上がろうとする。
 しかし、
「平和ボケですか? ぜんぜん駄目ですね。反応が遅いです、弛んでますよ?」
 と、早苗は居合抜きをしたかのような上段蹴りで、天子の顎の先をかすめさせ、てこの原理で天子の脳が激しく揺さぶった。
「な!」
 閃光のような上段蹴りに萃香は思わず声を上げた。一方、脳を揺さぶられた天子は声を上げるいとまもなく崩れ落ちる。
「さて」
 そして、呆気にとられている萃香には関心を示さず、早苗は意識を失った天子を担ぎあげるとそのまま居酒屋を出ようとした。
「ちょ、ちょっと待った!」
 萃香が慌てて早苗を止める。
「なんです? いま忙しいんですが」
 足を止めると早苗は顔だけ振り向いた。
「いきなり呑んでる相手を連れさらわれたら普通は止めるだろう、お前は一体なんなんだ、なんで天子を連れて行く?」

 幻想郷でも名が知られ、畏れられている鬼。

 そんな鬼である自分を歯牙にもかけぬ早苗の態度に戸惑いながらも、萃香は天子をさらおうとする怪人物に対峙する。
「私は守矢神社の風祝、東風谷早苗です……この間に間接的ですがお会いしましたね、お久しぶりです。この天人を連れ去るのは必要だから攫うんです、あなたたち鬼も人を攫うでしょう? 鬼が人を攫うなら、人が天人を攫うことだってあります。で、質問は以上ですか?」

 なかなかどうして無茶な理屈だが、人をさらう鬼である萃香にはそれなりに説得力がある。
「いや、そう平然と言われても困るんだが」
 ポリポリと頭を掻きながら萃香は言った。
 こうも傍若無人な人間にあったのは初めてかも知れない……いや、一人いた。目の前の人間は、あの巫女にどこか似ている。特にこの容赦のなさはそっくりと言っても良いかもしれない。

 ただ、前に間接的に会った時はここまで攻撃性が高くなかった気がしたが。

「ともかく、あんたが肩に担いでるそれは、一応わたしの友人だからね。勝手に攫われちゃあ困る」
「鬼が人さらいを止めると」
「ぬう、なんか私も腑に落ちないとは思うけどさ。それでも鬼は義理人情に厚いのがモットーだからね」
「そういった事は、他人に言って貰わないと説得力がないと思いますが」
「仕方無いね、他に言ってくれる奴なんていないから」
 漫才のような会話を交わしながらも、萃香は無造作に間合いを詰めていく。
「しかし、出会いがしらに問答無用とは容赦ないね」
「あいにくと、現在の私は達成したい目的のためならどのような手段でも許容するつもりでして」
 そう、うそぶきながらも早苗はさりげなく、萃香の間合いから一歩離れた。
 平然としながらも、鬼の圧倒的暴力には相応の警戒を抱き、間合いに入らないようにしているのだろう。
「なるほど。んじゃ私にも、どんな手段でも使うってわけだ」
 ようやく調子を取り戻してきたのか、萃香はニヤリと笑い無造作に間合いを一歩詰めようとし、そこで思い出したように懐から巾着を取り出すと居酒屋のおやじに『勘定だ』と放り投げる。

 サイフ丸ごとで勘定とは豪気な事だ。

「ま、外に出ようか。ここじゃ人間に迷惑がかかる」
「私は、一向に構いませんよ。楯ぐらいにはなりそうですからね」
「……なかなか外道な事を言うね」
 あまりに非人道的な台詞に萃香は思わず眉をひそめる。
「まあ、貴方を怒らせるのは得策ではなさそうですからね、外に出ましょう」
 そう言って早苗は天子を担いだまま外に飛び出し、萃香もその後を追った。

 騒ぎを嗅ぎつけて人間やら妖怪やらが辺りに人だかりを作っている。
「やれやれ、どっからこんなに集まったのか」
 萃香が角をかいた。
 できるだけ被害が出ないようにと外に出たのに、こんな有様では外に出た意味があまりない。
「いいんじゃないですか。屋内なら逃げ場はないですけど、ここなら何かあっても逃げることができるでしょう?」
 担いでいた天子を地べたに放り投げて、早苗は周囲を軽く見た。
「その『誰がどうなろうと気にしない』という態度、ちょっと私的には気に喰わないねぇ」
「そう言われましても、実際、その通りなのですから仕方がありませんね。今の私にとって、重要なのは自分だけです」
 萃香の言葉を早苗は一蹴する。
 その態度は、萃香を大いに苛立たせる。
「それだ。そのさー、あんた、自分の同族である人間を軽視するのは感心しないな」
 どうにもさっきから萃香が苛立っている原因はそれだった。
 まるで、意図的にやっているかのように早苗は、人間への配慮を欠いている……いや、意図的に人間に被害が出るかのように振舞っている。
 それは、同族に強い絆を持つ鬼にとっては、極めて気分の悪い行いだ。
「たかが他人ですよ、別に配慮する必要があるとは思えませんね」
 そう言って早苗はおかしそうに笑った。
「……知ってるかい? あんたみたいな奴のことを人間は人でなしと言う。でもそれっておかしいよねぇ、人間じゃないものの方がよほど仁義に厚いわけだからさ……だから、私ら鬼はあんたらみたいな奴の事を、生き物が歩むべき『天道』に外れた奴の事を『外道』と呼ぶ」
「なるほど、鬼から見て私は外道ですか」
 気楽な口調で早苗は、萃香の言葉を聞いていた、まさに馬耳東風と言った感じである。
「ま、これ以上、口で言っても無駄だろう……お前みたいな奴にはちょっとキツイお灸をすえる必要があるみたいだね!」
「どうぞ、お好きなように……できるものならですけどね」
 人間の里の往来で対峙する現人神と鬼が、衆人環視が見守る中で地べたに寝っ転がっている天人をかけて、どうにも奇妙な戦いが幕を開いた。

 無造作な加速、無造作な間合いの詰め方、無造作な攻撃、それはあまりに大雑把であり、それゆえに『鬼としての理』に叶った攻撃だった。
 純粋にして圧倒的な暴力、本能の赴くまま、小手先の技術など無い、ただ全力で殴るだけの攻撃。
 単純して絶対の攻撃が早苗を襲う。

 だが――

「当たらなければどうという事はないんですよ」
 ふわりと風に舞うように早苗は萃香の一撃を回避すると、反撃とばかりに五芒星を描く弾幕を萃香に向かって撃つ。
「じゃあ、当たるようにするさ」
 だが、萃香は早苗の弾幕を気にせずにすべて身体で受け止めると、密を操る力を以て黒く渦巻くモノを手のひらに作り出した。

 その黒い何かは、萃香の手を離れると周囲の全てを吸い込み始める。万物を吸い込む暗黒玉はその吸引力で早苗の移動を激しく阻害し、萃香の所へと引き寄せる。

 逃げるのであれば逃げられないようにするだけだ、そう萃香は考えたのだ。
「それは困りましたねー」
 暗黒玉に引き寄せられ萃香の間合いに入ろうとしてる早苗、しかし、その表情には余裕が浮かんでいる。
「それじゃ、こういうのはどうですか?」
 そう言うと早苗は、右手を振り上げ天を指した。

 すると空からどこからともなく穀物が降り注いでくる。

 古代、ユダヤ人が荒野を放浪していた時、ユダヤ人を憐れんだ神は『マナ』と呼ばれる不思議な食べ物を空から降らせた。
 それを模倣するかのような奇跡、早苗のスペルカード、神徳「五穀豊穣ライスシャワー」である。
「施餓鬼米も混ざってますから危険ですよ?」
 施餓鬼米とは、施餓鬼の時に餓鬼を成仏させる米のことだ。
「私は、餓鬼じゃない! って、ちょ、おまえ降らせすぎじゃないか?」
 パラパラと降っていた五穀は、徐々に勢いを増し現在では土砂降りと言って良いほど降っている。
 特に萃香はすべてを吸い込む暗黒玉を出していた為、玉が吸い込みきれない穀物に埋もれて前が見えなくなるは身動きがとれないは、散々だ。
「で、どうです? 完全に視界は閉ざされた気分は……これで私が何をしようとあなたには全く分からない」
 穀物の土砂降りの中、早苗の声だけが萃香の耳に響く。
「ふん、ならば散らすだけだ!」
 疎を操る力を以て、萃香は五穀を吹き飛ばした。
 完全に視界が晴れて見えたものは、穀物を集める里の人間と、野次馬の妖怪たち……青い空に白い雲、里の町並み。
「あれ?」
 そこに早苗と天子の姿は無かった。
 まったくもって影も形も存在しなかった。


「に……逃げやがったあ、あんにゃろー!」

 何の事はない、目くらましをかけた後、早苗は天子を連れ去りさっさと逃げたのであった。
 思えば、あの挑発的な態度も、攻撃的な言動もすべては『鬼にガチンコで戦う』と思いこませるためだったのだろ。
 しかし、恐らく早苗は最初っから、萃香とまともにやり合う気は無かった。早苗は『目的のためならどんな手段でもとる』と明言していた。

 その目的とは天子を攫う事。

 その目的達成のために必ず萃香を倒さなくてはならないわけではない。
 別に萃香を一杯くらわせて、天子を連れて逃げたって構わないのだ。

「あー、もー、覚えてろよー!」

 完全に一杯食わされた格好となった萃香は、往来のど真ん中で絶叫する。
「……まったく、何やってるんだか」
「うわ!」
 突然、背後から声をかけられ、萃香は驚いて振り向く。
 見るとそこには怪しげな雰囲気を漂わせた女性が立っていた。
「ゆ、紫……」
 それは萃香の友人にして神出鬼没のスキマ妖怪、八雲紫だった。
「あんな小娘に一杯食わされて遠吠えって、恥ずかしくないの?」
「うぐぅ……」
 現われて早々、痛いとこを突かれて萃香はうめき声を上げる。
「ま、今回のところは負けを認めて引きなさい。鬼たるもの引きの美学は心得てるでしょう?」
 紫にそうまで言われては、萃香も引き下がるしかない。

 実際、一杯食わされたのは事実なのだ。
 鬼が一杯食わされた以上は、人間を讃えて引くのが道理だ。
 しかし、その一方で疑問もある。
「いやにあの人間を庇うじゃないか」
 普段の紫は、そんな事を気にはしない。
 よほど大規模な異変であれば、出てきて色々とかき回したりするが、こんな小さなことで他人に口出しすることなんてまず無い。
 しかも、それは良く分からない人間のことで出てきたのだ。
 基本的に紫は不可解な存在だが、この行動はスジが通っていないように萃香は感じた。
「そうね、あの人間の気持ちがどこか分かるから……かもね」
「どういう意味だ?」
「ま、私も外の世界を知る存在だから、ついつい外の世界のトイレと幻想郷のトイレを比べてしまう事はあるわ」
「はぁ?」
 何を言ってるんだこいつは、と言う目で萃香は紫を見るが、紫は気にせず遠くを見ていた。
「まあ、頑張って見せなさい。その願いが実現すれば私もいちいちトイレの度に『アキハバラノユウリョウトイレ』に行かなくてすむからね」
 萃香は何となく紫の見ている方を見てみた。
 しかし、そこには屋根の上で昼寝をしているルーミアしかいなかった。



 さらに言えば、天子の事はすっかり忘れられていた。
 






「掘って掘って、また掘って……」
 かすかな光源の中、河童たちが土砂を猫車で運ぶ中で、天人と神がトンネルをひたすらに掘削していた。
「うう、さなえー。そろそろ許してくれー」
 土着神である国津神は土木工事が得意だ。
 かの偉大なる国津神『一言主』も役行者に使役され、橋などを作らされたりした。
 当然ながら、ミジャグジ様を束ね、坤を創造する程度の能力を行使する諏訪子もその気になれば土木工事に高い親和性を発揮する。
 
 それは、現在の諏訪子にとって不運なことだった。

 早苗の『幻想郷に水洗トイレを作ります』という鶴の一声によって始まった『幻想郷公衆衛生整備計画』は、主に上下水道の整備、ウォシュレット付き洋式便器の設計、製作などを含めた妖怪の山を巻き込んだビックプロジェクトとなった。
 外の世界との違いは、下水を流れるものは現在のところトイレの排水に限定されるので、汚水処理施設の建設は無く、代わりに排水を肥料として畑へ分配するシステムを構築することぐらいである。
 他は外の世界と変わりはなく。早苗のおぼろげな知識と河童の知恵でどうにかプロジェクトは進んでいた。
 しかし、このプロジェクトで最も困難な問題が、開始してすぐさま浮上した。
 それは上下水道の整備である。
 特に下水に関しては、昔の下水のように地上に設置したら、それこそ公衆衛生に悪影響を及ぼすことになる。その為、上下水道は当然のように埋め込み式が予定されていた。
 しかし、そのためには地面にトンネルを掘って水道管を埋め込まなければならない。
 当初は諏訪子一人でトンネルを掘っていたが、神様とはいえ流石に幻想郷の主要な地域を結ぶ上下水道網の整備には人手が足りなかった。
 そこで早苗が注目したのが『大地を操る程度の能力』を持つ比那名居天子の存在だ。
「……ふえぇ」
 半泣きのまま天子は諏訪子の隣で、ドリル弾をフル回転させながら地面を掘削している。
 天子は連れ去られた当初は色々と抵抗していたが、現在は早苗の『心のこもった説得』で大人しく工事に従事するようになった。

 目が死んでいるのはご愛敬と言う事にして置いてください。

「さー、皆さん頑張ってください。すべては想郷の輝かしい未来のためです」
 そんな死んだ目の天子の隣では、目をキラキラと輝かせた早苗が、弁舌を振るっている。その背後では現場監督を務める河城にとりの指示のもと、河童たちが水道管の設置やトンネルの補強、土砂の排出などをハイピッチで進めている。
「……うう、なんで私が」
「仕方無いんです、恨むなら生まれ持った自分の力を恨んでください」
 どうにも、最近の早苗の言う事は無茶苦茶だ。
「ひーん、衣玖ぅ助けてぇ」
「泣き言をいう暇があるならさっさと掘ってください。これではスケジュールに間に合いません」
 早苗は長々と工事を続けるつもりは全く無い。
 昼夜を問わない突貫工事で、およそ10日ですべてを終わらせる。それ以上、早苗は汲み取り式で用を足すつもりは無い。
「……いくら恨んでくれてもかまいません。しかし、すべてが終わったときあなた方はきっと私の行いを感謝するでしょう。そして幻想郷の歴史の一ページに東風谷早苗によって衛生的なトイレが誕生したと記録され、私もあの汲み取り式トイレから解放を……」
「あーうー」
 そんな弁舌がされる最中、諏訪子が声を上げた。
「って、どうしたんですか?」
「……ごめん早苗しくじった、たぶん崩れる」
「……え?」

 その直後、突貫工事で作られたトンネルは見事に崩落した。




「まったく、何が起きたんだか」
 深夜の出勤となった博麗神社の巫女が月夜を飛んでいる。
 夜中に寝ていたら突然の大音響に凄い振動にびっくりして飛び起きた。
 普通の地震なら、揺れはともかくあんな音はしない。
 妙な時間に起こされたこともあって、霊夢は原因を探るべく月夜を飛んでいた。
「……なにこれ」
 しばし飛んでいると、原っぱのど真ん中に巨大な穴が開いていた。
 割と深い穴なのか、儚い月の光ではぽっかりと空いた穴の底は暗く見えない。
「なるほど、さっきの地震はこの穴が空いた音だったわけね」
 そう言うと霊夢はお払い棒を取り出す。
 どんな輩が起こしたかはわからないが、これも異変の一つ。
 少なくとも安眠妨害をした輩は懲らしめなければならないだろう。
「ん? あれは」
 穴に潜るかどうかを思案していたところ、穴の中から何かがわらわらと出てきた。

 土まみれになった沢山の河童たちの姿だった。

「なるほど、今回の異変はあんたらの仕業ってわけね」
 そう言って得心した顔でお払い棒を振りかざした瞬間、
「残念、外れです」
 と、背後から声がした。
 慌てて霊夢が振り向くとそこには緑の髪の人影が、天人と神の襟首を掴み、二人をぶら下げて飛んでいた。

「ええと、どういう状況?」
 東風谷早苗を見て、霊夢は言葉に詰まった。
 比那名居天子はさめざめと泣きながら『今なら逃げられると思ったのに』と呟き、洩矢諏訪子は『あーうー、早苗許して―』と泣いていた。

 なかなか良く分からない状況と言える。
「ま、このお二方は置いておいてどんな御用ですか?」
 地面に降りて、天人と神を放り投げながら早苗は霊夢に訪ねた。
「……あんたがこの異変の黒幕?」
 そんな早苗を追いかけて着地しながら霊夢は尋ねた。
「別に異変を起こすつもりはなかったんですが、結果的にはそうですね」
「じゃ、話は早いわ。ちょっとこの穴を塞いでもらうわよ」
「それは当然ですね。こっちとしても、この穴は完全に事故だったわけですから。すぐに塞がせます」
 霊夢の要求を早苗は間をおかずに頷いた。
「……あと、何をやってるのかはわからないけど、ひとまずあんたのやってる事は中止してもらうわ。またこんな事故が起こったら堪らないからね」
「それは全力で拒否します」
 にこりと笑って早苗は霊夢の要求を一蹴した。
「あっそ。じゃあ少し懲らしめなきゃならないみたいね」
 そう言うと霊夢は早苗に向かって、お払い棒を突き付けた。
「そうですね。こんな事をしていれば、どこかであなたが出てくるとは思っていましたから、少し予定よりも早いですけどここで返り討ちにしてあげます」
 そう言って早苗は笑う。
 穏やかに、底知れぬ笑顔で。

 そして紅白と緑は激突した。


 ぶつかり合う弾幕、打ち合う打撃、壮絶な相殺戦の果てに先に動いたのは早苗だった。
 霊夢の放ったホーミングアミュレットを潜り抜けながら、早苗は霊夢のもとへと近接する。
「近寄れば安全とでも?」
 そう言うと霊夢はお払い棒を構え、早苗に向かって投げつけた。それはまるで意思を持っているかのように早苗を襲う。
 しかし、飛んできたお払い棒を早苗は軽く右手で払うが、その次の瞬間、霊夢の姿はそこには無い。
「……後ろですか」
 空間転位し、背後から蹴りつける霊夢の攻撃を早苗は華麗にかわす。
「良い勘しているわね」
攻撃をよけられた霊夢が感心したように呟いた。
「勘? それは違います。単なる注意力ですよ」
そう言いながら早苗は印を結ぶ。
「さ、それじゃあ、九字刺しにしてあげます」
九といわず四方八方から現れた無数の霊力の針が霊夢を狙う。早苗のスペルカード、秘法「九字刺し」である。
「ったく、一々鬱陶しいわね!」
しかし、霊夢は再び空間転位をし、霊力の針をかわす。
「……今度は前ですか」
そう言って早苗は一歩後方に飛び、その直後に霊夢が早苗のいた場所を攻撃した。
「なんで分かるのよ?」
 少し苛立ちながら霊夢は早苗に問うた。
 行動パターンが読みきられているというのが、非常に不快なのだろう。
「簡単ですよ。貴方は転移前に、前方に転位するときは右足を、後方の時は左足を前に出す癖があります。だからあなたの足を見ていれば簡単に予測できる訳です」
「嘘、そんな癖は無いわ」
 早苗の指摘を霊夢は否定する。
「わからないものですよ、自分の癖なんてね。そんな貴方は、今も転移して攻撃しようと思っている、ほら、左足を前に出してますよ?」
 そう言われて霊夢は、思わず足元を見た。
 なぜなら、いま転位して後方から攻撃しようと考えていたからだ。

 はたして霊夢の足元は……右足が前に出ていた。

「何よ、やっぱり嘘じゃ……」
「ハイ、嘘ですよ」
 霊夢が前を見た時、早苗は目の前まで近接し、上段蹴りを放つ寸前だった。
 慌てて霊夢は腕を上げて防御しようとするが、早苗の上段蹴りはガードの上からでも相当な衝撃を霊夢に与えた。
「っく!」
「まだまだ行きますよ?」
 右上段を振りぬくと、早苗はそのまま回転し左回し蹴りを、再び霊夢の頭部に叩き込み、霊夢はガードをその回し蹴りで吹き飛ばされる。
「なっ!」
「はい、トドメです」
 さらに早苗はクルクルと回転し、背中を向ける。そしてそのまま回転し、背面から回転蹴りを霊夢の頭部に叩きこんだ。

 両手によるガードの吹き飛ばされた霊夢にはなすすべもなく、その頭部に後ろ回し蹴りの洗礼を浴びる。

 クルクルと霊夢は回転しながら吹き飛び、地面に転がった。
「最初のあなたの指摘が正解です。勘ですよ、どうにも現在の私は異常に冴えていますからね。いわゆる『自分が主役の日』って奴ですか? まあそんな訳で、なんとなくあなたの行動が分かった。それを利用して揺さぶりをかけた、それだけです」
 そう言って早苗は、頭部に強烈な打撃を喰らった霊夢に淡々と説明する。
「……まったく、やってくれるわね」
 頭を振りながら霊夢が立ち上がる。
「……びっくりです。てっきり気絶したと思ってました」
 そう言って早苗は目を見開いた。
「頭を蹴られる直前に首をひねってダメージを逃がしたのよ」
「……なんと言うか、メキシコ人ですか貴方は」
 呆れたように早苗は言った。
「ともかく、これだけ酷い目にあわされた以上は本気で行くわよ!」
 そう言って霊夢は早苗に近接する。
「眼には眼を、歯には歯を! そして蹴りには蹴りを!」
 ハムラビ法典を叫びながら霊夢は早苗を蹴りあげた。
 早苗が横回転の蹴りであるなら、霊夢は縦回転の蹴りの奥儀があった。

「喰らいなさい! 神技「天覇風神脚」!」
 
その壮絶なる蹴技を前に早苗は――笑っていた。
技の出始める直前、その刹那に蹴り上がる右足を早苗はがっちりと受け止める。
「な!?」
「駄目ですよ霊夢さん。いきなりこんな大技を出して……これじゃあ『折ってください』と言っているようなものです」
 そう言って笑うと早苗は足を捕ったまま巻き込むように回転した。

 くるんという、音がするかのような見事な回転。

 そのまま足を取られて投げられた霊夢は足を押さえたまま地面に転がっている。
「っく、痛たた……」
 それは『投げ』と『極め』の複合技であるドラゴンスクリューという外の世界の技だ。
 効果は相当なものがあったのだろう、霊夢は右足を押さえてどうにか立ち上がろうと膝立ちになる。

 だが、その背後には既に早苗が立っているのに霊夢は気が付いていない。

「それじゃあ、霊夢さん。眠ってください」
 早苗は腕を霊夢の首にするりと回し、もう片方の手で回した腕を掴み、頸動脈を締めあげた。

 首の頸動脈を締めあげる絞め技、裸締めである。

 霊夢は必死に頸動脈を締める腕をほどこうともがくが、一度極まった裸締めを解く事は困難である。
 だが、
「…冗談じゃ…ないわよ……」
 完壁と言って良いほどの裸締めが決まっているというのに、霊夢は抵抗を止めようとはしない。
 何とか自分の首と早苗の腕の間に手を食いこませて脱出しようともがいている。
「諦めてはいかがですか? こうなっては逃げることはできませんよ」
「やだ……生憎とあきらめは悪いのよ」
 そう言うと霊夢は早苗の腕を外そうと指を食いこませた。
「……そうですか。だったらこの一撃で意識を刈り取らせていただきます」

 その言葉と共に早苗は笑った。

 裸締めのクラッチは首を締める腕をもう片方の腕で交差させてロックするというものだ。
 しかし、早苗は裸絞めのロックのかけ方を変化させ、ロックしている腕と首を絞めている腕をクラッチし、そのまま腰投げの要領で、首を絞めたまま投げ落とした。

 霊夢の身体がくるりと空を舞い、首を絞められたまま地面に叩きつけられた。

 ドラゴンスクリューが極めと投げを組み合わせた技であるなら、この裸締めからの投げ、通称『逆落とし』は投げと締めの複合技である。
 その威力は、まさに『必殺』の名が相応しい。
「かはっ」
 霊夢が『逆落とし』の衝撃で、肺から酸素が吐き出された。
 だが『逆落とし』の真の恐怖はここから始まる。
 
 投げたからと言って、早苗が裸締めを解く理由はないのだ。

 そのまま早苗は霊夢の頸動脈を締めあげる。
 投げられ急激に喉を絞められ、肺の空気を出されてもかろうじて霊夢は意識を保っている。
 だが、それはかろうじてと言うレベル。すでにまともな思考も、裸締めからの脱出を考える力も残っていない。
 できる事はただ、助けを求めるかのように手を伸ばすだけだ。
 そんな霊夢に早苗は、 
「おやすみなさい」
 と言って、強烈に締めあげた。
 それですべては決着した。
 霊夢の意識は急激に遠のき、伸ばした手は力を失って崩れ落ちた。


 かくして、異変解決の専門家、博麗の巫女は守矢神社の風祝によって敗れ、早苗の計画を邪魔するものは一人としていなくなり、早苗は幻想卿を改編する権利者となったのであった。








 その日は雨が降っていた。
 というか、このところはずっと雨だ。
 別に雨が嫌いなわけではないのだが、こうも雨ばかりだとたまには太陽が見たくなる。
「諏訪子様ー、ご飯ができましたよー」
 早苗に呼ばれたので、社務所の茶の間に急ぐ。
 八坂神社の真の神であるのだから本来であれば本殿で食事をしなければならないのだろうが、それでは一人で飯を食う事になる。

 一人飯はやはりつまらない。

「あいよー、今行くー」
 あれから一月が過ぎた。
 幻想郷の様々な人物を巻き込んだ『幻想郷公衆衛生整備計画』を、早苗は博麗の巫女襲来から10日で本当に完遂させた。
 それは守矢神社だけではなく人間の里を中心とした一大整備計画であり、おためしと称して幻想郷の主要な場所に『水洗式の公衆トイレの設置』も含んでいた。
 物珍しいのが好きな幻想郷の連中に、水洗トイレはなかなか好評なようだった。
 この騒動で一番ひどい目にあった巫女でさえ『まあ、これはこれで悪くないわね』と好感触だ。
 もしかしたら、幻想郷のトイレは近いうちにすべて水洗へと変わるかも知れない。

 これもあの時の、黒早苗の恐るべきリーダーシップのおかげと言えるだろう。

 しかし、まったくもってあの時の早苗は恐ろしかった。
 なんとなくだが、あの時の早苗は何かが付いていたのかも知れない、たとえばツィツィミトルとかそんな邪神の類が。
 現在では、あの時の面影は欠片もないから、なおさらそう思う。

 しかし、最近の早苗の元気がいい。
 少し前までは、どこか元気がなかったが、水洗トイレができてからはだいぶ活発になったような気がする、ついでによく笑うようになったし、飯もよく食うようにもなった。

 たぶん、できるだけトイレに行きたくないという思いから、無意識に食事量をセーブじていたんだろう。

 地下での突貫工事は恐ろしくきつかったが、早苗が元気になったのであれば苦労の甲斐があったというものだ。
 まあ、比那名居の娘は犬にかまれたと思って諦めてもらおうか。
「ふーむ、今日も下界は平和なようだな」
 神奈子が天狗の発行している新聞を見ながら味噌汁を啜っている。
 相変わらず、行儀が悪い。
 でも、工事で色々と根回しをしたり妖怪の山の協力を取り付けたりしていたのは神奈子だ。
 特に河童の協力がなければ、工期は確実に伸びていただろう。
 一応は感謝をしておこう。
 まあ、その程度しかできることが無かったとも言うのだが、私は大人だからその辺は口には出さない。
「じゃ、いただきまーす」
 そう言いながら、私は納豆にネギを入れた。
 
 って、醤油が無い。

「さなえー、醤油くれ」
「あら、出し忘れてましたね。ちょっと取ってきます」
 そう言うと、早苗が台所へと消えていった。
「最近、早苗の元気がいいなー」
早苗の後ろ姿を見送っていた神奈子が声を上げる。
なんだ、意外とよく見ているじゃないか。
「そうだねー、良いことだよ」
 まったく、一時期はどうなることかと思ったが、どうにか落ち着いたようで良かった良かった。
 そんな感じで、私は神奈子と茶の間でダラダラした時間を過ごしていた。
 
 ……ん?

台所の方から、絹を裂くような悲鳴が聞こえてきた。
「なんだ、今の声は」
 神奈子が声を上げる。
「早苗の声だ、ちょっと見てみよう!」
 私と神奈子は台所へと向かった。


 それは、まったくもって信じられない光景だった。
「あ、ああ……」
 早苗はただ呆然とその光景を見て立っている。
「げっ」
 隣の神奈子だってそれは変わらない。
「なんてこったい……」
 そして私は疲れたように呟いた。
 水洗へと変わったことで、トイレを室内に造っても問題が無くなったので、社務所の勝手口近くに新たなトイレが作られた。
 それは台所の通り道に存在し、どうも、そのトイレから水が盛大に漏れ出しているのだ。

 洋式便器から溢れだす水、先入観を抜きに語れば、それはちょっとした噴水でありなかなか楽しげな光景と言えるかも知れない。

「な、なにが起きているんですか?」
 戸惑った早苗が声を上げる。
「これは、多分逆流してるんだね」
 このところ雨が続いていたから、下水の許容量を超えて下水が逆流した、多分そういうことだろう。
「そんな……逆流なんて」
 あっけにとられる早苗、ほらほらそこにいると溢れた下水で濡れるよ。
「ま、突貫工事だったからなぁ。問題が起きるのは仕方ないか」
 諦めたように神奈子が言った。
「ま、そうだね。ローマは一日にして成らず、だっけ? 幻想郷インフラ整備なんて大事業がほんの数日でどうにかなるわけはないか」
 まあ、水が治まったら河童たちと協力して対策を練ろう。
 それでも、またなにがしらの問題が起こるかも知れないが、そればかりはしょうがない。

 治水と言うものは、本来そういうものなのだから。

「あの、そうなると今のトイレは……」
 気が付いたように早苗が声を上げた。
 そう言えば外に設置していた汲み取り式トイレは取り壊してしまっている。
 つか、水洗トイレが完成した暁に、早苗が嬉々として一片の欠片も残さずこの世から消滅させたのだった。
 そんな訳で、いま八坂神社に存在する唯一のトイレはこの逆流しているトイレだけなのだ。
「ええと、おまるとか?」
「あるいは、そこらに穴を掘ってそこでするとか」
「そんなの嫌ですぅー!!!」
 雨の中で早苗の絶叫が響き渡った。



 そういや、山の上である守矢神社でさえ、逆流現象が起こってるんだから、里はどんな酷い事になってるんだろうね?


 ま、今は考えるのをやめておこうか。




 めでたし、めでたし。
トイレ文化圏の激突は、実際のところ悲劇なのに喜劇にしかならないのがさらに悲劇。


今現在、なんかこう申し訳ないという気分で一杯です。
どう考えてもタイトルで悪目立ちした、そんな気分です。
ともあれ、こんな暴発チックな作品をお読みくださりありがとうございました。

そして早苗さんファンの方。
正直、スマンかった。

>リコーダー様
確かにこれは尖り方は、まだまだ甘いですね。
どうにもギャグはキャラクターに対して遠慮というものがあると鈍ると思うのです。
そして、私はまだ、どこか東方に対して遠慮というものが抜けない。
もうちょいとエッジを効かせたい今日この頃です。

あと、順位に関してはむしろ恐縮ですがな。

>774様
テンポとは嬉しい褒め言葉、ありがとうございます。
説明過多は知り合いからも良く指摘されます。
バトルに関しては、うん、もうちょいなんとか戦闘してる感じが出したかったですね、お恥ずかしい……

>id様
残念な誤字はいつもの事とはいえ、やはり見つけると残念な気分になります。
愉快と言われると嬉しいですね。

>時計屋様
着眼点はお褒めいただき嬉しいような、流石に攻める場所がアレすぎ所為で何とも気まずいような、でも、ここま胸を張ってお褒めの言葉を受け取らせていただきます。

>なにせ○○○から生まれた神様だって――

埴安命でしたっけ? やはり八百万ですからねー

ご推察の通り、この話は実体験が元になった話です。
私の田舎は茨城の奥の方にありまして、水洗じゃありませんでした(当時)
当時、人との回し飲みすら強烈に拒絶するほど潔癖症だった小学一年の私にとって田舎の汲み取り式トイレはまさに地獄。
絶対にトイレに行かないと決意しながらも、人間というものは排泄をしなくてはなりません。覚悟をきめてトイレに行くと……そこには以下略。
子供心に強烈に植え付けられたトラウマ、それを思い出しながら今回の作品は書かせていただきました。

>木村圭様
タイトルで騙して御免なさい。
なんというか、期待させすぎて本当に済みません。
戦闘描写が真面目なのは、元々プロレス者な所為で、ギャグ系のバトルシーンでも『説得力を持たせないとな!』と、本能的に思ってしまうんです。
戦闘描写が説明的なのも、説得力を持たせようと思ってしまうが故。
そんなのを最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。

>blankii様
はい、タイトルはディックの『流れよ我が涙、と警官は言った』の改造です。
どうにもあの頃のSFのタイトルはセンスが良すぎるせいで、ついつい改造して使いたくなってしまいます。
Mの世界は素晴らしい世界です。

>名乗る名前がない様
そうですね、目的のためにあらゆる手段を許容した時、人はどこまでも強くなります。
人間の強さ、そして恐ろしさはそんなところになると思うのです。

>つくね様
アキバで前を通るたびに中はどうなってるんだろうと気になります。
乙女には重要でしょう、抜き差しならない状況ですからねー
ありがとうございます。

>八重結界様
タイトルで悪目立ちしてどうにもすみません。
実際、目標を持った人間の強さ、これはシャレにならないと思うのです。

>藤ゅ村様
タイトル賞ありがとうございます。
自分的には、やっちまった感バリバリなんで、なんというか「あーうー」な気持ちでいっぱいです。
バトルに関しては、ええと、すみません元プロレス者のサガが出てしまいました。
実際、もうちょい軽くした方が良かったかなー、せめてキャッチからのドラゴンスクリューをアンクルホールドにしておくとか……

そういう問題じゃないですね。

>じらふ様
立ってるものは神でも使えと、うちの母が良く言ってました。
水害でも下水の逆流は、マジ大変です。
トイレ絡みのトラウマが何個あるんだと言われそうですけど、この逆流のくだりも実体験を少しだけ元にしています。
お褒めいただき、まことにありがとうございました。

>入場テーマ曲は風祝なだけにやはり「風になれ」か…。

おお、そう言えば鈴木みのるのテーマ曲は「風になれ」でしたね。

>今回は感想のみ様
もう少し切り詰めて、捻れればと本当に思います。

>つくし様
戦闘描写技術の無駄遣い……ありがとうございます。
技術の無駄遣いという言葉にあこがれている人間としては、こうして褒め言葉はもう凄い嬉しいの一言です。
実際、この手の話は悲劇なんですけど、人に話す時は笑い話です。
それもまた悲劇の一つ、笑い話にして供養するのが一番ですね。

>眼帯つけた兎さん様
田舎の実家が回想して汲み取りトイレが取り壊される間、ずっと慣れませんでした。
回想した家に水洗トイレができた時の嬉しかったこと……

>このあと早苗さんが再び動き出すのですね。分ります。

治水の歴史は人類の歴史と同じですから。

>三文字様
黒の方向が、いわゆる黒化的なものじゃなくて『青の速水』とかの方向なんでよけい性質が悪い気がします。
本当に水洗に慣れた人間は弱いです。
しかし、アキバのトイレには憧れますな。

>#15様
驚かれましたか、私は『ああ、一週間もこのトイレに入るのか』という絶望を味わいました。
それはさておき、落ちは本当に弱いですね。
もう少しと思ったのですが……んー、せめてもうちょいとプロットを練ればと思います。
しっかりと〆ましょうと反省します。

>るみゃは日当たりのいい場所で昼寝なんかしないやい。

これは失敬。昼間のルーミアなんだから黒い謎の球体と表現すべきでしたな。

>PNS様
実体験であります。
あんまり、リアルにしないように気を付けました。

>ミスターブシドー様
説明的な描写ですみません、どうしてもプロレスの様式美を文章上で再現したくて……

>すべては後書きに集約されていると思う。

本当に笑い話に昇華するしかないんですよね、こういうのは。

>詩所様
汚いトイレは、入ると泣きたくなりますね。
もう×××な×××となってるトイレとか、助けてと叫びたい。
誤字発見、ごくろうさまです。
さっそく、手がかりを元に見つけ出したいと思います。

>vol様

早苗さんのようなタイプは、一度切れると性質が悪いと思われます。

本当にアレはきついですよねー

>大崎屋平蔵様
守矢一家は暴走してなんぼだと、最近思うようになりました。
お褒めにあずかり恐悦至極です。

>deso様
本気と書いて『マジ』と読みます、きっと。
ありがとうございます。

>yuz様
これはこれは、ありがとうございます。
モンティ・パイソンを信奉する人間としては、コメディとお褒めいただけると嬉しいですね。

>神鋼様
勢いをお褒めいただき、ありがとうございます。
落下式、汲み取り式、ボッ○ンどう表現してもつらい事には変わりはありません。

>危険がいっぱい様

>こんな早苗を待っていた!

!!!

そ、そうだったのか!

>佐藤 厚志様
いろんな意味で、正直、スマンかった。
タイトルは当初は『幻想郷での生活の考察と東風谷早苗による穏健な提案
』というものでした。
タイトルは本当になんか、うん、ごめんなさい。

>小山田様
もうちょい、なんとかとは思うのですが……あーうー

>日本のトイレは素晴らしい様
海外のセレブも日本のトイレは素晴らしいと発言するぐらいですからね。
まこと、日本のトイレは凄まじいの一言につきます。

>no name様
ついでにドギャーン! とかいう擬音も入れたくなりますなそう言われると。
あとケロちゃんを殴る時の音はメメタァですね。
ありがとうございます。

>めるへん☆きっく様
実際、まっとうにプロットを練るべきでしたね。
基本のネタの良さに甘えた作りをしてしまったと、そんな気はします。
ただ、書くことの楽しさに突き動かされた結果のこの作品何で、まー、あとはブラッシュアップをするのに十分な時間が……ッ! と、自分の計画性の無さを悔やんだりもしてます。
あと最後に一捻りあればとは思いますが、そのネタが落っこちて来なかった以上は仕方のないところですね。
ともあれ、指摘ありがとうございました。
あと、お褒めいただきありがとうございます。

>慶賀様
本当に下品ですみません。
ええ、下品は生きるバイタリティですから。
オチは、もうちょいどうにかしたいところでしたね。
七々原白夜
http://derumonndo.blog50.fc2.com/
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2008/10/04 09:21:43
更新日時:
2008/11/07 23:33:57
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1. 6 慶賀 ■2008/10/05 13:19:18
テーマはトイレですとも。もうやっちまったなぁですよ。
いや好きなんですけどね。お下品なヤツ。
またバトルが動きますね。とっくみあいですか。
どうせならオチは水に流して欲しかった。
2. 3 めるへん☆きっく ■2008/10/05 18:37:04
 着眼点も新鮮で納得でき、よくまとまっていたので期待しながら読んでいたのですが、戦闘描写が入り始めたところから迷走しだし、挙句、落ちが前半の期待感を完全に無駄にしてしまったように感じられ、作品としては致命的な物のように思います。

 早苗の腹をくくった状態を表す為にこれら戦闘を入れたのでしょうが、捻りも無いのに描写がしつこく、シーンとしての役割も忘れ、ただ文章に振り回されただけの代物に私には見えました。
 そもそも、それらの早苗の状態を表現したいのなら、むしろ戦闘などではなく、より有無を言わさぬ手段によるものの方が、より切羽詰った常態を表せる上、読者に予測不能な面白みも簡単に付加させられたはずです。
 さらに霊夢との戦闘に至っては、取って付けたようなクライマックスとしか言えず、さすがに白け切ってしまいました。……正直に言えば、それがクライマックスだったのかすら私には判断しかねています。

 落ちについてはおそらく私が言わなくても分かってらっしゃるでしょうから、あえて指摘はしません。

 せめて全体の構図くらいは決めて書き始めたら、こんな事にはならなかったのではないでしょうか。
 ただ、文章を書く意欲がとても感じられ、個人的には好感の持てる作品でもありました。
3. 5 no name ■2008/10/05 20:40:08
中盤の早苗さんは口から吐く息がフシュゥゥウウって擬音を伴ってたり
登場する度に ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ って音が聞こえる気がするね。
お疲れさまでした。
4. 10 日本のトイレは素晴らしい ■2008/10/06 02:13:01
日本人のトイレに対する研究は他の国では
「やりすぎ」と評されるほど進んでいるのだとか。
とにかく日本の水洗トイレって素晴らしいですよね。
5. 3 小山田 ■2008/10/07 00:10:51
トイレにこだわる現代っ子という楽しげな題材に期待しましたが、展開の突拍子のなさが、SSとしての面白さにつながらなかったのが残念。
とはいえ、全体としては楽しげな雰囲気でした。
6. 7 佐藤 厚志 ■2008/10/07 06:15:04
多分皆が疑問に感じているのだけれど、声に出しにくい幻想郷のはばかりの問題。長いssをトイレ色で染めた作者さんへ最高の敬意を、ありがとうございます。あとタイトル何とかならなかったすかw
7. 10 危険がいっぱい ■2008/10/07 22:04:23
こんな早苗を待っていた!
8. 9 神鋼 ■2008/10/09 18:53:19
天子の口調と態度に多少の違和感がありましたが、とにかく勢いが凄いです。
ボッ○ン便所は本当に辛いですよね……臭いとか雰囲気とか……

最後にやさしい早苗さんが帰って来たのでめでたしめでたし。
9. 6 yuz ■2008/10/14 19:07:48
まさにコメディ。
10. 7 deso ■2008/10/23 23:31:40
この早苗さんは本気だw
面白かったです。
11. 7 大崎屋平蔵 ■2008/10/24 07:23:23
守矢一家が暴走しすぎているw
テンション高いですねぇ〜、いいですねぇ〜。
結末があまりにショッキングw
12. 6 vol ■2008/10/26 12:44:16
 これは「ここですか?ここですか?お別れです」とか言い出しかねない黒早苗さんですね。霊夢に勝つパターンは珍しいです。
 くみ取り式のリアルな描写に経験者としての悲哀を予感させます。アレ臭いですからね。
 
13. 7 詩所 ■2008/10/26 20:22:10
わぁーいウォシュレット機能が付いたぞー、やったあー(棒読み)。
汚いトイレは誰でも嫌なものです。
公園のトイレに入りたくないのもその一員かと。

誤字修正をば
「想郷」→幻が抜けているかと
14. 4 ミスターブシドー ■2008/10/27 00:21:15
あー……タイトルの時点で大体見当が

若干格闘シーンがくどい気もするが、滅多に見られる描写でもないし。
すべては後書きに集約されていると思う。
でも、確かに外の子にはキツいよなー 
説得力というか、読まされたというか
15. 5 PNS ■2008/10/28 14:22:35
早苗さんの体験は、間違いなく作者さんの体験談なんですね、わかります!(汗)
16. 6 #15 ■2008/10/29 21:35:57
早苗さんの気持ち、男の私でもわかります。昔、田舎の雪隠にだいぶ驚きましたし。
アキバの有料トイレ、入った事無いんですけどどうなんでしょう?

とても勢いのある作品でしたが、オチが弱い感じがしますね。
途中までのアッパー具合からすると、もう少し暴走しても良かったのではないかと。

あと、非常に細かいツッコミで申し訳ありませんが、

るみゃは日当たりのいい場所で昼寝なんかしないやい。
17. 8 三文字 ■2008/10/29 22:09:19
黒早苗つええww
まあ、トイレは死活問題ですからねぇ、ボットンは中々慣れないでしょうし。
水洗に慣れた人間のなんともろいことよ。
あと、霊夢戦をギャグテイストで軽くあしらうのかと思えば、結構な肉弾戦で……
にしてもゆかりん、一々秋葉まで行っていたのか。
18. 4 眼帯つけた兎さん ■2008/10/30 06:53:10
これは酷い、僕には耐えられない。
流れて幻想郷のトイレ。
このあと早苗さんが再び動き出すのですね。分ります。
19. 8 つくし ■2008/10/30 14:52:51
 これだけ清々しい戦闘描写技術の無駄遣いははじめて見た。そして悲劇なのにこういう感想が出てくるのがなおのこと悲劇であります。
 こwwwれwwwはwwwひwwwどwwwいwwwwwwwww
20. 4 今回は感想のみ ■2008/10/31 21:12:10
冗長になって見せるところが散漫になっている印象。
構成をぎゅうと締めれば化けそうな気がする。
21. 7 じらふ ■2008/10/31 21:34:32
鬼を欺き河童や天人、神をこき使う早苗さんマジ外道。
ネタが汲み取り式トイレなだけに上手くオチた内容になっていて(ぇ 大笑いさせて貰いました。里のトイレについては想像するだに恐ろしい事態になってそうですが…まあ考えない方向で(笑

あと早苗さんのプロレスファンっぷりに惚れました。ドラスクだけでなく逆落としまで使うとは…入場テーマ曲は風祝なだけにやはり「風になれ」か…。
22. 4 藤ゅ村 ■2008/11/01 17:09:48
 タイトルの出落ち感が凄まじい。今回のタイトル賞。
 しょっぱなからギャグ展開のわりに、バトルの比重が異様に高い。それだけならバランスが悪いとも言えないんですが、ちょっとそのバトルがガチすぎたかなという気がしないでも。肉弾戦だし。
23. 6 八重結界 ■2008/11/01 18:34:26
タイトルのインパクトにやられました。
人間、目標があると気合いが違いますね。
24. 6 つくね ■2008/11/01 18:48:02
ちょっとアキハバラユウリョウトイレに面接に逝ってくる。
割と早苗が強くなるネタは見てきたつもりですが、大抵シリアスものなのでこういうギャグ調(っても乙女にはシリアスな問題か)で霊夢倒すというのは楽しいですねぇ。
25. 7 名乗る名前がない ■2008/11/01 21:22:15
目的があるから人は強くなれる。
26. 6 blankii ■2008/11/01 21:49:14
なんというか、盛大に吹いた。
早苗さんが、俺の(嫁的な意味で)早苗さんがぁぁ!! とか思いつつも新たな何かに目覚めた。ああ早苗さんに締め落とされたい。

……P.K.ディックだっけ? 違ってたら盛大にスミマセン。
27. 5 木村圭 ■2008/11/01 21:49:30
全体的にはっちゃけ具合が足りなくて中途半端な感じ。特に格闘シーンが変に真面目で醒めてしまいました。
バトル中の早苗さんが暴力の権化にしか見えないのも個人的にはちょっと。何の面白みもなくただ怖い。
面白いのに何かしっくりこないです。タイトルからギャグを期待しすぎたのかなぁ。
28. 9 時計屋 ■2008/11/01 23:35:38
そういえば幻想郷のトイレ事情ってどうなってるんでしょうね。
きっと「しないよ派」が多勢でしょうが、神様だって○○○はするんですよね。
日本の神様と酒が切っても切り離せない関係にあるように、○○○だって切り離せない関係にあります。
なにせ○○○から生まれた神様だって――

閑話休題。

軽快なテンポでありながら丁寧で読みやすい文章。
おそらく誰も着眼しなかったであろうところからテーマに攻め入ったことも好印象です。
汲み取り式の描写も実体験であろうかと勘ぐってしまうほどリアルで、おもわず日々頑張ってる水洗トイレに向かって拝みたくなるほどでした。
家族に見られたらそのまま救急車を呼ばれそうですからしませんが。

とまれ、良い作品を読ませていただきありがとうございました。
29. 7 Id ■2008/11/01 23:47:10
いろいろと全力で逆方向だけど、題名の通りになってよかったね早苗。愉快なお話でした。若干の誤字が残念。
30. 8 774 ■2008/11/01 23:58:59
いや全然めでたくないし!

テンポが良く面白くよめました。
ただ、バトル部分にちょっと違和感を感じました。
説明過多で闘ってる雰囲気がしないというか。好みの問題の様な気もするんですが。
31. フリーレス リコーダー ■2008/11/03 13:33:40
最終日ラスト5分、最後の手段点だけ入れるを発動したものの、この作品を開いたらコメント入力欄が無くなっていて愕然。
すいません、自分的にはギャグ物は尖ったのが好きなので、この作品はちょっと見所に欠ける感じになってしまったかな。
しかし共感はできた。
点入れるなれば6点……あ、順位逆転した。
32. フリーレス 一言 ■2009/01/13 13:21:25
あ〜・・・『国津神』って中央神話だって分かってる?
33. フリーレス 一言 ■2009/01/13 13:33:57
ああ、あと誤字
>幻想卿
 幻想郷
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