夏の頃

作品集: 最新 投稿日時: 2008/10/05 06:36:28 更新日時: 2008/10/07 21:36:28 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00
今よりちょっと前。
まだ暑かったある日の事。

「きゃっ!冷たい!!」
「やっぱり水辺は気持ちいいねぇ〜」
川で遊んでいるのは椛とにとり。
まだまだ暑い日が続く幻想郷。
こういうのも無ければやってられません。
「も〜み〜じぃ〜…」
「あ、文様!!」
そこに思いっきりだれた感じの鴉天狗がやって来た。
自身の色も相まって、ものすごく暑そうだ。
「昼日中に仕事サボって、なぁ〜にやってんですか〜」
「す、すいません!暑かったんでつい……」
不機嫌な文の声を聞いて小さくなる椛。
「まあまあ、今日は暑いんですから……」
「暑いのは分かってますよ」
横から口を挟むにとり。
「そ、そうだ!文様も一緒に遊びませんか?」
「何を言い出すんですか急に!」
「そうですよ!さぁ一緒に!!」
「こ、こら手を引っ張らない!か、カメラが〜!!」
ぐいぐいと文を水辺に引っ張り込む二人。
「そぉれ!」
「わっ!わわわ!!」
ざぶーんっ!
「ちょっ、いきなっ…!うわっ!」
「はははっ!どーですか文様?気持ちいいでしょー!」
「もみっ!わらってるば!がふっ…!ちょっ!ここ、深っ!!」
「それそれ〜!」
「ちょっ!まちな……がぼっ!!」
文に向かって水を掛ける二人であったが、どうも様子がおかしい。
「あははは〜…って、あ、アレ?」
「た、たずげっ!がばっ、がはっ!!わ、わたしおよげっ!」
「……流されてる?」
「た、大変だっ!」
あきらかに溺れてる文。
初めは二人ともふざけていたものの、事の次第が分かると血相を変えて文の救出に向かったのでした。

〜少女救出中〜

「はぁ……はぁ……」
「ごめんなさい…」
「ご、ごめんなさいじゃ……ありませ……ごほっ!」
水浸しになった文。その横で耳と尻尾を垂れてしゅんとなる椛。
全身すっかりびしゃびしゃである。
そんな文ににとりはこう尋ねた。
「文さん泳げないんですか?」
「ご、ご覧の通りですよ…か、鴉が……泳ぎ好きな訳…ないでしょう?」
息を整えながら答える文。
「なるほどねぇ……椛ちゃん、ちょっと手伝って!」
「ふぇ?」
「あのね、ごにょごにょ……」
椛に耳打ちをするにとり。
「ちょっ!ちょっと待って下さい!」
その内容を聞いてあきらかに怪訝な表情を浮かべる椛。
「じゃあやるよ?」
「えぇ〜!?」
しかしそんな椛を余所に、にとりは文の前に立った。
「文さん……」
「な、何ですか?」
まだ息も整ってない文の前に立つにとりと椛。
にとりの顔は、笑っていた。
椛は怪訝な顔をしている。
そして
「えぇーマジぃ?カナヅチぃ!?」
「キモーイ!」
「カナヅチが許されるのは下っ端天狗までだよね?」
「キャハハハハハ!!」
言い切った。
「……」
「………」
「に、にとりがやれって言ったから……」

〜少女折檻中〜

「と、とりあえず今日はこの辺で勘弁しといてあげます」
「痛たたたた…」
「さ、皿が……」
地面に転がる二人。
何があったかはご想像にお任せします。
「…全く、えぇ私は泳げませんよ、それが何だって言うんですか!!」
「い、いやぁ〜ここまでは冗談半分ですよ」
「冗談?」
ぴくっと反応する文。どうやらかなり怒っている様子。
にとりは流石にこりゃヤバイと思った。
「いやね、泳げないって言うんなら僭越ながら私が泳ぎを教えて差し上げようかと思いまして」
「泳ぎを教わる?別にそんなの要りませんよ…」
「いやいやそう遠慮しないで、そこに居る椛ちゃんだって私が教えたんですから」
「えっ、そうなんですか椛?」
「ははは……実はその〜…」
頭をぽりぽりと掻きながら恥ずかしそうに答える椛。
「これがチャンスですよ!今こそ泳げるようになって、オンナの株を上げましょう!」
そう言って文を煽るにとり。
「ん〜…」
普段の文なら、こんな分かりやすい振りに喰い付くことは無い。
どちらかと言えば他人を煽って取材をしたり騒動を起こしたりする方が多い。
しかし今日の文は水に濡れて気が弱くなっていたのだろうか、
「じゃあちょっとだけ……」
と、承諾してしまったのである。
「分かりました、それではにとりの水泳教室を始めましょう!」


何だかんだで始まった水泳教室。
「それじゃあまずは、この水着に着替えて下さい」
「はぁ……どちらで着替えれば?」
「あ、そこのサークルに立って下さい」
にとりが指をさした先にはちょうど人が一人入れる分位の輪が木陰の地面に置いてあった。
「はい、立ちましたよ」
文がそこに立ったのを確認するとにとりは指をぱちんと鳴らした。
すると輪は文の頭の高さまで上がり、カーテンがぶら下がった。
「おぉ〜、これも発明品ですか?」
「そうです、どこでも着替えられるようになってるの」
「便利ですねぇ」
そう言いながら服を脱いでいく文。
「ちなみに名前は『熱湯生着替○クン』って言いまして」
「ふふっ…どこに熱湯があるんですか?」
「一分でカーテンが落ちるんですよ」
……
「そーなのかー…って、えぇ!?」
「後30秒〜」
「わーっ!!ちょ、ちょっと待って下さい!!!」
大急ぎで着替えようととする文。
「ぬ、濡れてるから脱ぎにくい…!!ちょちょっ、ちょっと!!」
「後5秒〜」
「も、もみじー!なんとかして下さいー!!」
「は、はいーっ!」
「しゅーりょー!」
どさっ!
「きゃーっ!!」
必死に着替えるのも空しく、カーテンが落ちてしまった。うずくまる文。
「も、もみ、もみじー!か、隠してー!!」
「はははは、はいっ!!!」
「あ〜ほとんど着てたか、残念」
「何が残念かー!!」
「あ、文様動いたら脱げますよ!!」
真っ赤な顔をして怒る文だった。

「ではこれから水に入る訳ですがここで一つ、水泳とはなんたるか?を説明します」
すったもんだの着替えも終わり、にとりの前に立つ文と椛。
ちなみに三人ともスクール水着なのはお約束。
「例えば音楽、これは音を楽しむと書いて音楽ですよね?」
「そうですね」
「水泳も同じ、水曜日に泳ぐと書いて水泳なんです」
「それは違うでしょう!?」
「今日は幸い水曜日!さぁ泳ごう!」
「だから違いますって!椛も真剣に頷かない!」
文が横を向くと椛が「なるほど」と言う顔をしていた。
「じゃあ早速ウォーターネームを付けましょうか」
「ウォーターネーム?」
「そうです、ウチでは水の中はみんなが平等だって事で普段と違う呼びやすい名前を付けてるんです」
「そんなの要るんですか?」
「ほら溺れた時とか、頭と目元が隠れてるから名前がぱっと浮かばないことってあるでしょう?」
「う〜ん……納得出来るような出来ないような……」
「それに、余所余所しい呼び方なんて みず 臭いじゃないですか」
「はぁ……」
「お互い みず 知らずなんですし」
「……ずっとこんなノリなんですか?」
「さぁ泳ごう!」
「そりゃ泳ぎたいですけど……って言うか、さっきからその泳ごうって何なんですか」
「では早速文さんにウォーターネームを付けましょう」
「どうしても付けなきゃ駄目なモノなんですか?」
「そうですね〜文さんは射命丸なんで……水射命丸さんで!」
「水が付いただけじゃないですか!呼びにくくなってるし!」
「ちなみに私は川河城、椛ちゃんは水走です」
「何ですか『かわかわしろ』に『みずばしり』って……」
「ちなみに、ウチは他にも幻想郷の人がやってくる事があるんですよ」
「えっ?そうなんですか」
「体を動かしたいとか泳げるようになりたいとか、人によっては目的は様々だけど」
「へぇ、どんな方が来られるんですか?」
「それは新聞記者の文さんに言っちゃうと問題ありそうなんで…」
「ここまで言われたんですから教えて下さいよ」
「じゃあウォーターネームだけですけど……水霧雨魔理沙さんとか」
「モロバレじゃないですか!何ですかその湿度がもの凄く高そうな名前は!」
「後は、伊吹水萃香さん」
「すいすいか……」
「八意水琳さん」
「永じゃなくて水?」
「最近じゃ水橋パルスィさんとか」
「隠してませんよ!?」
「プリズムリバーリバー三姉妹」
「いや、リバーリバーって…」
「後は……レミリア・ウォシュレットさんとか」
「こらーっ!」
「まぁ本名は明かせないんですけど、こんな感じで」
「全バレでしたよ?」
しかしちゃっかりメモは取る文。
メモ帳を、スク水の何処に隠してたんだお前。
「後は、ウチは泳げる具合でクラス分けをやってましてね」
「ほうほう」
「一番下から雷電クラス、朝日嶽クラス、象ヶ鼻クラス、境川クラス……」
「何故四股名だ!もっと泳げそうな名前にして下さいよ!!」
「最後はクジラクラスになってます」
「何で最後だけまともなんですか!スケールが急に変わった!」
「クジラクラスまで行けば本名が取り戻せるんですよ!」
「取り戻すって何なんですか!?」
「みんな泳げるようにとか言うより、本名を取り戻したい一心で泳いでますね」
「じゃあそのウォーターネームの制度を廃止して下さいよ!!千○千尋みたいになってるじゃないですか!!」
「それでは水射命丸さんはどのクラスで始めますか?」
「……とりあえずまぁ、全然泳げないので雷電クラスでお願いします」
「初歩の初歩ですよ、いいんですか?」
「はい」
「分かりました、それでは水射命丸さんはこちらに、水走さんは別メニューで」
「はーい、いつもの滝登りだね?」
「その通り!」
「滝登りってなんですか!!って言うか、椛が居たの忘れかけてましたよ!!」
「これが突破できたら本名を返すからね?」
「よしっ!がんばろう!」
「卒業検定!?」
「クジラの道はかくも厳しいモノなのです」
「厳しいなんてもんじゃないでしょう!?」
「それじゃあ最低クラスの水射命丸さんはここに浸かって下さい」
「最低クラスって言うな!!」
ざぶん
じゃぶっじゃぶっ
「それじゃあ水に慣れるところからいきましょう」
「そんなところから始めるんですか?」
「水射命丸さん……最低クラスでしょ?まず己を知ろうよ」
「……すいません」
「じゃあゆっくり水に顔を浸けて」
ざぶっ
「はい吸って〜」
がぼっ!ぶくぶくっ!!
「はい顔上げて〜」
がばっ「ぶはぁ!!」
「はい息吐いて〜」
「はぁ!はぁ!!」
「はい顔浸けて〜」
ざぶっ
「はい吸って〜」
がばぁ!!
「ぶはぁ!!はぁ……み、水ガンガンに…げほっ!!……吸ってるじゃ……ないですか!!!」
「これは昔から伝わる河童の呼吸法で…」
「こ、こんな事が出来るのはあんたらだけでしょうがあぁ!!!」
「続いては〜」
「放っておいて続けるなぁ!!!」
「さぁ泳ごう!」
「泳げるか!!」


(終)
元ネタはトータルテンボス。
竹原屑仁
作品情報
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投稿日時:
2008/10/05 06:36:28
更新日時:
2008/10/07 21:36:28
評価:
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0
Rate:
5.00
1. フリーレス 慶賀 ■2008/10/05 13:26:40
25.テーマはコント?すいません、個人的には余り笑えませんでした。
2. -3 小山田 ■2008/10/07 09:04:51
何かを観て感じた面白さを伝えるためには、読み手に伝えるための工夫を凝らした演出が必要となります。これが、文章を起こすという作業ですね。
ですが、今作ではそのために必要なことができていませんでした。
3. 5 あやこふ ■2008/10/09 23:48:26
にとりん、もみじかわいいぃ。もみじすきになりました。勢いで読めて楽しかったです。
4. 3 yuz ■2008/10/12 20:21:13
にったじゅんか。にったじゅんだよね?
5. 6 神鋼 ■2008/10/13 22:58:13
何処も彼処も水だらけ、周りには水しかありません。
6. 5 三文字 ■2008/10/16 23:07:08
おぜうさま泳げるのか?
いや、それよりも着替え途中の文ちゃんの詳しい描写をですね……
7. フリーレス deso ■2008/10/23 22:52:46
ノリが良くて面白かったのですが、あいにくトータルテンボスを知りません。
どこまでが元ネタなのか判断がつかないので評価できません。
フリーレスとさせていただきます。
8. 3 詩所 ■2008/10/26 20:41:15
ネタ分からない……。
9. 2 ミスターブシドー ■2008/10/27 00:51:39
まあ鳥が泳げなくても、ね。
トータルテンボスで東方SSか、かまわんよ。
10. 4 PNS ■2008/10/29 00:05:17
元ネタは知りませんでしたが笑いました。
でも、話としてもギャグとしても、もう一膨らみさせることが出来そうなのが残念。
11. 3 眼帯つけた兎さん ■2008/10/30 06:42:33
元ネタは分らなかったけれど諸所に小さな笑いがありました。
12. 1 つくし ■2008/10/30 20:36:40
 どうもネタのパロディというよりは拝借という感が否めません。小説における漫才と実際の漫才とは文法が違うはずです。その辺の効果的な手法を探るのも一興かと。
13. 1 じらふ ■2008/10/31 21:44:13
えーかげんにしなさいっ!(ハリセンずびしっ!
こういう掛け合い漫才をそのまま文にしても面白くないので、その辺を工夫して欲しかったかなあ、と。
うーん、ネタ自体は嫌いでないだけにちょっともったいなかったです。
14. -3 今回は感想のみ ■2008/11/01 00:16:01
で?
15. 7 リコーダー ■2008/11/01 09:19:33
ウォシュレットさんがどうやって水泳の練習をするのか気になって夜も眠れない。
色々おかしかったけど笑えたからもういいや。

16. 1 八重結界 ■2008/11/01 18:45:29
会話が多いのはいいのですけど、肝心のネタがイマイチです。
17. 3 藤ゅ村 ■2008/11/01 19:54:01
 ここできたか水曜日。
18. 3 木村圭 ■2008/11/01 21:59:13
お嬢様よくブチ切れなかったな……
19. 3 blankii ■2008/11/01 22:52:46
まさか東方SSで『キモーイ』なネタを見る日が来ようとは(いやまぁウサテイで有名ですが。なにせ更に元ネタがアレなもので……)。ちょっと衝撃。
内容は会話中心のギャグで、ネタは豊富で面白いしノリも良く、一気にスルリと読めました。
難点としては、ううむ、どうにもオチでない気がががが。
20. 1 つくね ■2008/11/01 23:19:22
途中からは台詞のみ、というのは躍動感などはあっていいのですがちょっとあれなように思いました。
21. 1 時計屋 ■2008/11/01 23:50:32
SSで漫才をやろうとした心意気を評します。
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