いやがらせ

作品集: 最新 投稿日時: 2008/10/05 08:07:37 更新日時: 2008/10/07 23:07:37 評価: 0/0 POINT: 0 Rate: 5.00



 今日はみんなでシューティングゲームをします。
 チルノちゃんは今日も元気です。
「わー」
「きゃー」
 姦しいですね。ゲームというのは一人だとすごく静かにプレイするのに、傍に誰かがいるととっても口が動きやすくなります。その誰かが、自分と親しい仲だったなら尚更です。
 シューティングは、そこらへんが少し他とは違うゲームだったりもしますが、それでも似通ったところはあるものです。やっぱりゲームですからね。
「ぱるすぃーって変な名前だねー」
「ゆーぎも変な名前だよー」
 好き勝手に言ってます、妖精ですからね。妬ましいわ、とでも言ってきそうなくらい和気藹々としてます。
 まあ、ここからいきなりドッグファイトやらリアル大乱闘やらに発展しちゃうことも、よくあるんですけどね。妖精ですから。
「らめええええええ四面でおちちゃうのおおおおおおお」
「サニーうるさい」
 落ちては代わって、また落ちては代わって。
 ゲームをするための機械は一個しかないので、みんな大人しく順番を待っています。
 珍しいですよね、妖精が大人しくしているなんて。実は一回、辛抱出来なくなった一人がいきなり弾幕をしちゃって、機械が壊れちゃったことがあったんです。その子は、夏の間にカキ氷屋さんとか魚屋さんとかで氷を売ってお金を貯めて、その機械を山の河童さんに直してもらったんです。
 ええ、そのとおり。機械を壊したのは、チルノちゃんでした。
 だから今日はみんなしっかりと順番を守っているんです。また壊されたらかなわないですからね。でも当の本人であるチルノちゃんが、今は一番大人しくしていました。どうやら前回の失敗を、チルノちゃんなりに反省しているようです。
 ああもう、可愛いなあチルノちゃんは。
 待つのに飽きてきた子なんかは、店内でトランプとかして時間を潰しています。そっちもかなり姦しい。
 でも、場所を貸してくれた霖之助さんは、意外とまんざらでもない様子。と言うより、妖精たちの様子なんて目に入っていませんでした。みんなが持ち寄った、ガラクタにしか見えないものの数々、それを興味深げに調べていたからです。
 そんな訳で、みんなは香霖堂の店内を少しばかり拝借して、ゲームに熱中していました。
「ううー音消したって無理だよー」
「ルナの能力じゃあ無理よねー。まあ任せなさい、ここは動くものの気配が分かる私の能力で」
 ぴちゅーん。
 ぴちゅーん。
「おりんりんじゃまー」
「にゃーんじゃまー」
 金髪ドリルと黒髪リボンがピチュりました。
 さっきピチュったミルク金髪は、もう飽きたのか後ろの方で他の妖精たちとトランプをしています。あ、ババが見えた。いやいやここはジョーカーと言った方が適切でしたね、失敬失敬。
 今回のシューティングは中々難しそうです。
 普段ならみんな、それなりには進めるんですけどね。今回は五面をクリアした子はまだいません。金髪ドリルと黒髪リボンが、機械の前から退きます。
 さあ、次にプレイするのは。
「ふんっ」
 チルノちゃん、鼻息荒いってああもう可愛いなあチルノちゃんは。
 どうやらチルノちゃんの番みたいです。弾幕も出来るチルノちゃんは、果たして弾幕を避けることは出来るのでしょうか。そもそも、プレイすること自体が出来るのかどうか――
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
 いや五月蝿いってチルノちゃん。
 でもうまい!
 土スパイダー、妬ましいわ、コ○ット村の一角竜と、次々にクリアしていきます。と同時に、弾幕を避けるのと一緒に、小さなその身体が右に左にと動き回っているのがなんとも微笑ましい。霖之助さん曰く。
「レースゲームでも見ているみたいだね」
 だ、そうです。
 気付けば四面です、チルノちゃんが使っているのは、恐るべし外道巫女とトランプでいうジョーカーさんのペアです。あ、ババじゃないですよ、確かにババ抜きではジョーカーのことをババと呼びますけど、でもババではないですよたぶん。
「やれやれ、姦しさでは変わらない分、妖精の方がまだマシに思えるよ」
 溜め息ひとつ。赤白が鮮やかな外道巫女を見て霖之助さんが呟いている間にも、チルノちゃんはどんどんと進んでいきます。
 あ、四面もクリアしました。
 いつも思うのですが、この妖怪さんになら妖精でも勝てそうな気がするんですよ。特に、チルノちゃんなんかは。
 五面がはじまると、それまでトランプをしていた子たちも徐々に集まってきました。みんな、チルノちゃんの意外なうまさに興味津々なようです。食い入るように、でもチルノちゃんの邪魔だけはなるべくしないよう注意を払いながら、機械を覗き込んでいます。
 にゃーん。
 あ、また猫です。可哀想だとは思いますが、でもうんざりしちゃいますよね。猫さんもういいよ。
 音楽が変わります、さあいよいよです!
「ひゅい」
「うぎぎ」
「あーうー」
 なんか色々と別の人たちのが混ざっていますが、全部みんなのささやき声です。妖精ばっかりです。
 固唾を呑んで見守る中、どんどんと弾幕が出てきます。ゾンビフェアリー、スプリーンイーター。ところでゾンビって何なんでしょうね、あとで霖之助さんにでも聞いてみることにします。
 そんな霖之助さんも興味あり気にチルノちゃんのプレイを見ています――彼は再び顎に手を当てて俯いてしまった。写真で見る芥川龍之介に能く似ている――さっき、そこにあった本に載っていたんです、なんとかの夏と書かれてました。
 って、え。
 あ。
 おお!
 すごいよチルノちゃん五面クリアしちゃったよ!
 一斉に歓声が上がります。
 外道巫女と猫さんが何事かを話していますが、みんなそんなことは割りとどうでもいいようです。新たなステージに進めたこと、それを今から見れることを、それぞれ興奮した様子で語り合っていました。むしろ、声高に自分の興奮を吐き出していましたね。
 そんな妖精とは離れた位置から、霖之助さんはその様子をぼんやりと眺めています。疲れたような顔でしたが、その目はどこか優しいものが感じられます。
 で、当のチルノちゃんはと言うと。
「ふふんっ、やっぱりアタイってば最強ね!」
 いつもの台詞で、ビシッと決めていました。
 ああもう、可愛いなあチルノちゃんは。

 結局、そのあとの六面ではすぐに落ちてしまいました。
「弾幕はやかったねー」
「でもあのボス、なんか妖精に似てなかった?」
「あ、それ言えてるかも」
 それでもみんなは、どこか満足した様子で帰っていきました。妖精は、楽しくなかったら嫌だと思うものです。逆に言えば、楽しければなんだって良いものなんです。
 チルノ。
 そう書かれた記録と、点数として表示された数字が、一番上に載ってあります。
 最高得点を取れて、チルノちゃんはとても満足したようです。次は絶対にクリアしてやると機械に向かって宣言したその声も、踊るように弾んでいました。良かったね、と言ったら、歯を見せて本当に嬉しそうに笑ってくれました。
 そんな可愛らしいチルノちゃんも今はいません。たぶん湖に帰って、寝てしまっているでしょう。
 私は少し、あのシューティングをプレイするための機械を弄くっています。霖之助さんは道具を整理するために、店の奥へと姿を消しています。私の他に、その場には誰もいません。
 これで良し。
 山の河童さんから聞いた動かし方なら、これで大丈夫なはずです。ちなみに教わったのは、チルノちゃんの最高得点の記録が故障かなにかで消えても、別の場所にそれを取っておくやり方です。
 まあ、私がやったのは、違うことなんですけどね。
 試しにあのシューティングゲームを、動かしてみます。うん、出来てます、その嬉しさに思わず笑ってしまいました。

 チルノちゃんの最高得点は、しっかりと消せていました。

 次にこれを見た時、チルノちゃんはどんな反応を見せてくれるのでしょうか。
 今日のことなど忘れていて、でもかすかには憶えているので首を傾げて、とっても可愛らしく悩んでくれるのでしょうか。
 それとも、折角あそこまでクリア出来ていた記録が消えているショックから、思わず泣きじゃくってくれるのでしょうか。
 ああ、堪らない。
 悩むチルノちゃんも良いですが、個人的には泣きじゃくるチルノちゃんが見てみたいです。
 たぶん豪快に泣いてくれるでしょう、強がりな子ほどその反動は強いですし。周りの視線とかも気にならないまま、ぽろぽろと涙は出てずるずると鼻水まで出て、涎まで垂れてしまいそうなその口からはショックで歪んだ可愛らしい声が漏れ出ている。
 ああもう、ああもう!


 可愛いなあチルノちゃんは!



 氷−`=水
「こおり」ひく「てん」は「みず」
 こおりをチルノ、てんを点とかけました。すいません出直してきます。
爪影
http://tumekage.blog.shinobi.jp/
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2008/10/05 08:07:37
更新日時:
2008/10/07 23:07:37
評価:
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Rate:
5.00
1. 5 慶賀 ■2008/10/05 13:17:53
テーマは地霊殿でしょうか。うーむ。小学生ですな。
 おじさんの何やらがくすぐられますな。いや、
いろいろすいません。
2. 4 vol ■2008/10/06 23:26:27
御題の無理くりな解釈っぷりに「こういうのもありか」と感心しました。
チルノをいじめているのは大妖精でしょうか。
妖精達の姦しさが子供が集まってゲームしてる様に見えて微笑ましかったです。
3. フリーレス 小山田 ■2008/10/07 11:26:14
チルノはかわいかったですね。
それ以外は評価できませんので、フリーレスにて。
4. 3 #15 ■2008/10/07 21:54:29
>後書
いや、上手いですよ?
5. 8 歩人 ■2008/10/08 19:47:17
なんという外道w

面白かった。
6. 3 佐藤 厚志 ■2008/10/09 07:07:25
この発想はなかったですね。いろんな意味で。
7. 2 yuz ■2008/10/12 01:18:17
この発想は好きだ
8. 4 三文字 ■2008/10/12 19:53:05
大ちゃん視点で話が進んでいるのかな?それとも作者さん視点?
まあ、どっちにしても点数を消すというのはちょっと酷いかと。
お題もちょっと薄いかなぁ。
いきなりのサニーのセリフで吹きましたけどねw
9. 5 神鋼 ■2008/10/17 18:30:40
なんという鬼畜、最後はてっきりチートでクリアーすると思ってました。
10. 4 twin ■2008/10/19 21:22:39
 語り手鬼畜ww
 意外にチルノが強くて面白かったです。
 でもあの方をジョーカーだなんて、勇気ありますね。私にはとてもとても……。テーマの解釈の仕方が奇抜で、後書きを見た時に感心させられました。こういう話も良いですね。でもやっぱり一番のツボはジョーカーの所……おや、誰か宅配便が来たのかな。
11. 6 deso ■2008/10/23 22:44:16
解説されないとわからないくらいお題が薄いですが、面白かったです。
ああ、可愛いなあチルノちゃんは!
12. 1 ミスターブシドー ■2008/10/27 01:01:03
香霖堂に遊びに来ている、という絵は想像すると何か微笑ましいものが。
古の、ファミコンのある家に集まるような感じか。友達のおにいちゃんが持ってる、とかな。
それにしても大ちゃんはヒドイ子だ
13. 3 詩所 ■2008/10/29 00:26:56
一発ネタに近い感じがしますがいささか本文が迫力不足でした。
14. 3 PNS ■2008/10/29 20:09:12
うーん、一発ネタですか。
内容については、かなりイタいとしか……。
でも気持ちは分からんでもn(ry
15. 3 眼帯つけた兎さん ■2008/10/30 06:37:29
大ちゃんらめぇぇええっ!!1!!
……いや、これはこれで、また、いいものだ。
正に水の泡。
16. 3 つくし ■2008/10/31 11:23:23
 ヘイブラザーときに落ち着け。いろいろつっこみどころがあるのにもう最後の一行で全てを許していい気がしてきました。と言ったところで俺ももう我慢の限界です。思うさま芝生やしておきますね。
 てめぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
17. 2 じらふ ■2008/10/31 21:47:18
ちょ、ちょっと苦しいかな?>氷−`=水
でも面白いテーマ解釈なのとチルノちゃんが可愛いのには同意なので各々1点ずつ差し上げて2点で!
つか大ちゃんドSすぎです…
18. フリーレス 今回は感想のみ ■2008/11/01 14:59:56
んー、適当に力を抜いた作品なのかな。
ただ、テーマのクリアの仕方といい、ちょっと評価できない。フリーレスで。
19. 5 八重結界 ■2008/11/01 18:52:18
大妖精の語り口はテンポがよくて素敵でした。少し変態チックなところも尚素敵。
ただ、お題の消化方法が些か合いませんでした。
20. 3 藤ゅ村 ■2008/11/01 20:44:29
 その発想はなかった。
 ていうかもう何に突っ込んだらいいものやら。
 とりあえず悪戯好きなサドっ子大ちゃん可愛いなあと思っておくことにします。そのうち家に来ないかしら。
21. 2 木村圭 ■2008/11/01 22:02:56
ひどい! ひどすぎるぜ! ……大妖精?
22. 7 リコーダー ■2008/11/01 22:52:40
とある事情で名乗れません、と同コンセプトの黒大ちゃん。
だからこのキャラ付け大好きだって!
サニーは色々自重。
23. 2 blankii ■2008/11/01 23:20:30
うわマジ外道。

俺も初めてえーき様に勝った時のリプレイが、バグって保存できなかったこととか思い出した。アレは泣ける。

というか一人称が誰のものか気になりますが……大妖精?
24. 2 時計屋 ■2008/11/01 23:52:29
あー、あるあ……いや、ねぇよ。
25. 1 つくね ■2008/11/01 23:53:15
漢字ネタと東方実機とをかけるというアイディアに一票。
26. 3 Id ■2008/11/01 23:55:11
なるほど、そういうお題の使い方も……ちょっと無いかな。わざとでしょうが、とても平易な言葉で書かれているがゆえに気だるさや幼さを出せている反面、読みにくさも生んでいる感じです。もう少し締りのある話にしちゃうとこのお話は殺されちゃうんでしょうが、いや、難しい。
27. フリーレス 爪影 ■2008/11/03 01:46:27
 チルノ泣かせたい。
 事の発端はこんな気持ちからでした。皆々様、感想の方、ありがとうございます。

 慶賀さん
 下手したら、小学生より下かも?

 volさん
 まんま子供ですからね、微笑ましくもあり、少し鬱陶しくもあるはずです。

 小山田さん
 チルノなら仕方がないな、ですね。

 #15さん
 ありがとうございます。

 歩人さん
 ふひひすいません外道で。それとありがとうございます。

 佐藤 厚志さん
 お題にかんしては、半ば以上に強引でしたしね。

 yuzさん
 ありがとうございます。

 三文字さん
 チルノの泣くところが見てみたかったんです。

 神鋼さん
 ぬ、それもありでしたね……

 twinさん
 チルノには妙な勝負強さがあるような気がするんです。
 それとゆかりんは個人的にジョーカーなイメージ、一緒にババ抜きやってみたい。

 desoさん
 お題は薄くチルノは可愛く、好き勝手にやりました。

 ミスターブシドーさん
 昔、近所の友達の家でファミコン前に集まってたのを思い出してました。
 ヒドイのは、チルノちゃんが可愛いからですよ?

 詩所さん
 まんま一発ネタです。文章はまあ、気ぃ抜いてましたし。

 眼帯つけた兎さん、さん
 泣きじゃくるチルノを見れるなら、私は大ちゃんをプッシュしちゃいます。

 つくしさん
 ふひひすいません。

 じらふさん
 むしろ苦し過ぎですね、ありがとうございます。

 今回は感想のみさん
 力を抜いて、欲はぬとりとひり出してみました。

 八重結界さん
 無理やりだったと本人も重々感じております。

 藤ゅ村さん
 じゃあ私は、からかい甲斐いじくり甲斐いぢめ甲斐のあるチルノを家に連れて帰ることにします、無理矢理。

 木村圭さん
 うふふ。

 リコーダーさん
 意外と黒い大ちゃんは好評なご様子。サニーはサニーですからね。

 blankiiさん
 私も、花映塚のリプレイが保存出来なかったことを思い出してました。

 時計屋さん
 うむ、ねぇです。でも泣きじゃくるチルノはありありあり愛。

 つくねさん
 ありがとうございます。

 Idさん
 確かに締まりがない。
 でも実は、結構こういう文体も気に入ってたりします。だからこの話も、意外と気に入ってるんです。

 正直、意外と好感触な感想を多くいただいて、驚きました。
 改めて皆々様、感想の方ありがとうございました!
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