夕闇の空は紫

作品集: 最新 投稿日時: 2009/05/06 12:00:25 更新日時: 2009/06/14 21:51:04 評価: 24/25 POINT: 141 Rate: 1.33
 逆しまに降りてくる。
 真っ逆様に落ちてくる。

 てるてる坊主で雨を呼ぶ特別な方法があることをご存知だろうか。
 特別とはいささか表現が過ぎたしれない。ただ単に頭を下に向けて吊るすだけの話だ。子供でもできる。大アルカナ12番の絵面みたく綺麗に吊るすには少々工夫を要求されるが。
 あれを想像していただけたら良いだろう。
 逆しまになったてるてる坊主のようなものが、落ちてくる。
 地球上には万有引力の法則が働いているので落ちるのも当然と言えば当然だ。ただ、物理法則に従うとするとやはり当然その先には引力を発生させる巨大な質量、いわゆる地面が――

 てるてる坊主は頭から地面に激突した。
 本来てるてる坊主は布で作られる柔らかいものだ。地面に落ちたとて形が崩れることは基本的にあり得ない。
 私がてるてる坊主のようなものだと思っていたものは、既に一言では形容し難い代物へと変わり果ててしまった。
 歪にあちこち折れ曲がり、何やら棒状のものが服と思しき布を突き破って飛び出していた。
 距離を取って見上げていたはずの私の足下にまで、ゼラチン状の塊が飛び散っていた。
 ビル壁にピンポン玉のようなものがぶつかって止まっていた。

 それらが一体なんなのか、いまいち私にはよくわからない。何せ状況が劣悪すぎる。
 まず逆光だ。夕陽なのだか朝焼けなのだかわからないがまっさらな光が何もかも漂白するくせに、影となるものには深い闇を落として何もかもを判然とさせなくしてしまう。
 そして視界がモノクロだ。この世界は二〇世紀末一世を風靡した携帯ゲーム機よろしく何もかもが白黒だった。全ての色は陰影の濃度によって表現される漫画みたいな世界だ。
 音もない。あったなら激突時、相当な音がしたことだろう。
 匂いもない。前世紀からの遺跡であるビル群の谷間と思しき場所だ。それなりにレトロな香りがしそうなものなのに。
 触覚もない。同じく衝撃時、本来なら足裏に何か感じてもおかしくないはずだ。無風状態のように大気の存在がまるで感じられない。

 在るのは観測者の私と被観測対象である元てるてる坊主現何がなんだかよくわからない壊れた物体。
 実に退屈な夢である。こんなの蓮子に話しても話題の種にもならない。まだ妖怪に追いかけられたり筍掘ったりしている方が楽しかっただろう。
 あぁ、でも蓮子なら太陽を見ることで最低でも夜明けか夕方かくらいはわかるのかな、起きたら聞いてみよう。





 相棒は既にボックス席を陣取っていた。私はメリーに手を振って挨拶するが彼女は目下読書中で気がついていない模様である。
 人が本を読んでいるのを横から盗み見するのはマナー違反だとされたのはいつの時代か。最近では電子書籍が出回っており、端末そのものに盗み見防止機能が付属している。

「んぁ? 蓮子じゃない」
「私が蓮子さん以外だったら誰なんでしょうかね」

 鞄を置いてようやく私に気づいたメリーは携帯端末を閉じた。私はメニューを開きつつも相棒が読んでいたテキストが気になっていた。

「何読んでいたのかしら?」
「二十世紀末に出版された今頃の時代を舞台にした小説」
「そんなの二十世紀初頭か十九世紀末で十分荒唐無稽感は味わえるでしょう」
「そうね。でもこの話の要になっているっぽい合成食品の下りは興味深いわ。普及した理由が全然違うけど」
「火星人が放射能でもばら撒いて地球が汚染されたから?」
「いいえ。国策と企業のもつれによる結果論、みたいね。でも普及した合成食品が加工品ではなく原材料ってのは先見性があったわね」
「そりゃゼロから玉子焼きを作って販売するよりかは卵を売ってケーキにした方が良いでしょう」
「私もそうね。って、蓮子ちょっと待って」

 フルーツロールケーキと紅茶を選び、メニューの端末に注文内容を送信しようとするとメリーが注文を追加した。
 そういえば、メリーの前にはカップが一つ置かれているだけで他には何も無い。どうやら私が来るまでドリンク一つで待っていたらしい。
 しかしメリーは自分の学生証を端末に通して私の注文ごと支払いを済ませ、送信してしまった。
 タダより高いものはない。私は相棒の瞳を見つめる。

「しかし春でも冬でもセカンドフラッシュがメニューにあるってどうなのかしら。ダージリンとかアッサムとかの名前は今や品質の指針でしかないわね」
「紅茶はまだ天然ものが多いでしょう。ここのカフェがどうなのかは知らないけど。それでメリー。今日はどんなお話なのよ?」
「大丈夫、ちゃんとサークル活動に準じたものでただの雑談じゃないわ」

 それならまるで貸しを作っておくように奢ったりはしないはずだが。
 と、メニューの端末が注文品の完成を知らせる。私はこれ以上貸しを作らないようにカウンターまで自分で取りに行った。
 人間が注文を伺いにやってきて、持ってくるサービスが大衆食堂で途絶えたのはいつ頃だったか。一昔前のコミックスを読んでいたメリーがウェイトレスを指し「もしかして昔の日本にはメイドさんが溢れていたの?」と質問した記憶は新しい。

「前に蓮子が夢を現実にするって鼻息巻いていたじゃない」
「あら? もしかしてそのテキストは夢から持参したものなの? 夢遊病でメリーが自分で書いたテキストとかいうオチは嫌よ」
「ああ、物品ねぇ。何かそういうのを持ってきた方が良いわね。あのピンポン玉みたいなのにしようかな」
「じゃ、詳しい話を聞きましょうか」

 私はロールケーキをもそもそ口に運びながら、メリーの話を聞いた。
 大した話でもなかったようで、まだ半分残っているのにメリーは口を閉ざしてしまった。

「そりゃただの夢でしょう」

 私は一言で切って捨てた。
 メリーはまたその話かと言わんばかりに眉根を寄せる。

「そりゃ夢は夢よ。だから夢と現実は……」
「メリーの専攻は私には関係ないから論文にでもして発表してちょうだい。大体、五感のほとんどがまともに働いていないんでしょう? 当たり前よ、睡眠中なんだから余計な感覚を司る脳の部分も準備中に決まっているわ」

 以前見た竹林で大鼠がどうのこうのといった話をした時のメリーは、走っている時の緊張感、炎が何かを焦がす匂いすら感じたことを当たり前のように話の端々に織り交ぜていた。
 だが、今回は夢の中でメリーは動いてすらいないらしい。私だってその程度につまらない夢はしょっちゅう見る。

「でもこの夢見るのそろそろ二桁に登ろうとしているんだけど……」
「同じ内容の夢を見ることも珍しくないわ。夢の働きの一つに覚醒中に溜め込んだ記憶の整理があるの。メリーは夢に見た記憶を何度も整理しようとしては失敗しているんでしょうね」
「でも京都にあんなビル街なんて無いわよ。あんな二十世紀の遺産、蓮子の実家に行った時にしか見た覚えがないわ」
「あの時は四六時中私たち一緒だったから、メリーに何かあったのなら私が傍に居たはずなんだけどね。それに大分前の話じゃない。あれ、お彼岸の時よ?」
「だから不思議なのよ」
「私はメリーのメンタルカウンセラーじゃないんだけどなぁ」

 日本はメンタルヘルスの普及が海外に比べて遅れていた時期が長い。そう考えるならむしろ私がメリーにカウンセリングしてもらうべきなのではなかろうか。
 いずれにせよ、ここで話をしていても何も始まらない。
 我が秘封倶楽部は幽霊霊能サークルと皆様には思われているが、実入りはともかくとして具体的な活動だけは欠かさないようにしている。せっかくメリーという変な目がいるのだ。使わないと勿体無い。
 まずは行動あるのみだ。私は残りのケーキにフォークを突き立てた。

「また今度の休日、東京へ行きましょうか。あの時メリーに紹介していなかった場所はまだまだあるし」
「それは楽しみね。もうヒロシゲの景色は充分堪能したけれど」





 逆しまに降りてくる。
 真っ逆様に落ちてくる。

 匂いがした。
 錆のような匂いがした。
 赤錆を連想すると、日光が朱を差したかのように見えた。





「うん?」

 メリーに話を聞かされた私は変な声を出してしまった。
 私たちは東京のビル街で結界のほつれを探し回る充実した日帰り旅行を終えた。
 深夜遅く京都に帰り棒になった足を投げ出して床についたというのに、夢を見るような余力が残っていたメリーに少々呆れる。
 で、早速翌日私に夢の内容を報告してきたという流れである。

「錆の匂いなんかどこもしなかったでしょう」
「コンクリートジャングルだものね。鉄分はどこにも含まれていませんわ」
「あら、幸い関東直下型大地震もなく鉄筋コンクリートは過去の遺産として生き残っていたわよ? それにしても錆ねぇ……」

 私は先日メリーに話された内容から、既に『てるてる坊主』とやらが何かは察していた。今回の錆の匂いというキーワードでさらにその確信は高まる。
 メリーが夢の中で気づけないのは致し方ない。夢できちんと方向性の整った考えをまとめるのは困難だからだ。けれど起きて私に話している以上、メリーが夢の内容を目覚めた頭でちゃんと把握していることは間違いない。
 ならメリーも既に気づいてしかるべきだ。だがその様子はない――のかどうか、少しテストしてみよう。

「ここのカフェ、ナポリタン置いていたかしら?」
「ナポリタン? 随分と子供っぽいものを頼むわねぇ」
「鉄分を補給しようかと思ってね」
「ほうれん草のキッシュならあるわよ。ナポリタンもあるけど」

 ナポリタンから特に何かしらを連想した様子はメリーには見られなかった。少々難易度が高すぎたか。
 まぁ良い。メリーの見たものを活動方針にしてきたのは今までも同じだ。今回もどういう形であれ関わることにしよう。
 私はメリーに自分の考えを教えた。

「メリーが夢の中で見ているものって、話を聞いているだけで大体想像がつくのよね」
「あらそうなの? 私は全然わからないわ」
「それはたぶんメリーの夢と現の境界が揺らいでいるせいじゃないかしら。夢の中で見たものを現で考えようとすると、夢のフィルターがかかってしまうのよ」
「それで、お話を聞いただけでわかった名探偵の蓮子さんは何だと思っているの?」
「飛び降り自殺死体」

 日本の自殺者数が減少傾向に移ったのはいつだったか。
 自殺がもっとも頻繁だった頃の日本の人口はおよそ1億2千万人だそうである。これを平均自殺者数で割るとおよそ400人に一人が自殺をする計算になる。
 同じ学校に通う誰かが自殺、同僚が自殺、ウェブフレンドが自殺くらいは日常茶飯事だったと言えよう。時にはなれの果てを一般市民が見つけることも珍しくなかったかもしれない。
 今のご時世では自殺死体を見かけることなどほとんど無い。メリーが夢で見たそれも想像の産物かもしれないし、私も知識の中から導き出した結論である。

「そう言われてみればそう見えるかもしれないわ」
「これが現実になったところでメリーに殺人容疑がかかるだけかもしれないわね。外国人のメリーの有利に判決は動くかしら?」
「その時は名探偵の蓮子さんが逆転裁判してくれるんじゃないの?」
「探偵が裁判に出てきたってねぇ。五人がかりで怪人を叩きのめす正義の戦いに光の巨人が加わるようなものじゃないかしら」

 冗談めかしてごまかしたがメリーが現在どういった状況に置かれているのか私にはわからない。
 メリーの目で見た死体がただの死体であるわけはないだろう。果たしてうかつに藪を突いて大丈夫なものか。
 廃墟に忍び込むのは住居不法侵入罪だ。CD-Rが広まっていた時代には仲間内で一枚のゲームソフトを貸し合って、インストールするのも珍しくはなかったらしいがこれも軽犯罪だった。
 メリーの身に何かあった時、結界暴きの結果だと私は公安にすぐさま助けを求めることができるか?
 そもそも公安が役に立つのか。
 後悔先に立たずだ。私は自覚する程度に珍しく慎重に活動方針を考えている。
 メリーの夢は具体性を帯びてきている。いつか本当に現実へと変わりかねないのだ。

「蓮子が黙り込むと何を企んでいるのか不安になるわね」





 逆しまに落ちてくる。
 真っ逆様に落ちてくる。

 またこの夢か――
 頭の片隅ではいつも考えていたことだった。見渡す景色も相変わらずのモノクロビル街。見た目の上では何も変わっていないように感じられたはずだった。
 そのうえで、私は予定調和を忘れた。
 生温い風が踝をなぶりスカートを無闇になびかせていた。
 ブラウスの下で肌を伝う汗が下着の布地に衝突して吸い込まれた。
 アスファルトにてるてる坊主が激突すると、くぐもった重苦しい音が蒸し暑い夕暮れの大気を緩く揺るがした。
 私は今目にしているものを一瞬現実と捉えかけていた。色の有無などものの数ではなかった。
 金臭く暖かな液体が私の靴底を攫う。
 夕焼けに朱がさらに深く差されたような気がした。





「このあたりかしら?」
「違うわねぇ」

 衛星から伺えるビル街の画像を次々とメリーに見せるが、彼女の目は能力を発揮した素振りさえ見せなかった。
 私は苛立ちを隠せずカーソルを操作する手つきも少しばかり荒れている。
 そんな私を画像より面白がっている節のあるメリーは朗らかに提案してみせた。

「現場に出てやればいいじゃない。口と一緒に足も動かす蓮子らしくもないわよ?」
「そうしたいのは山々だけれどね。さすがに自前の足でこの速度並みに街を見て行くことはできないでしょう?」

 東京は既に利用者がいなくなった道は自然淘汰され行くサバイバルな場所である。徒歩移動が辛いのは先刻承知済みであろう。
 メリーはそれなら仕方ないわねと頷くや否や見せた画像にばってんマークを出した。

「でもそんなに急がなくても結界は……逃げるかもしれないけれどその時はその時で構わないじゃない」
「善は急げよ、メリー」

 本当の所は逆だった。あまり善くはなさそうだからこそ早く手を回さないといけない気がするのだ。
 メリー本人はそこまで危機感を抱いていないようなので、私の先走りだとは思うのだが。一つメリー自身の夢の感想を聞いてみようか。

「夢の印象? 退屈で仕方ない、かなぁ。こんな同じ内容の夢ばかり眠るたびに見ていたら気も滅入るわよ」
「ふぅん。そりゃあお酒も入って前後不覚になるまで酔い潰れないことには眠れそうもない話ね」
「お蔭様で二日酔いも無くこうして優雅に午後のお茶を楽しめるっていう寸法だわ。ねぇ蓮子。私の感触ではこの結界の揺らぎ、探すだけ無駄だと思うわよ」
「ん?」

 私は衛星画像の検索をする手を止めてメリーに向き直った。

「私の感触ではこの結界の揺らぎは私が夢を見ている時にだけしか存在しないように見えるのよ。どうしても探すというのなら寝ている私の横でやるしかないわね」
「それはそれで興味深いけど。痕跡とかを探すこともできそうにないの?」
「そもそも東京は結界がゆるゆるだって蓮子も言っていたじゃない。候補なんて挙げていけばキリがないわ。それより私はこの夢がこのまま行くとどうなるのかの方が気になるのよ」
「どうなるってそりゃ」

 匂いがしたと以前は言っていた。ではまさか。

「そうなのよ。今度は触感よ。風や温度が感じられてますます現実らしくなったわ。私の予想だと……」
「次は音や味、終いには色付いて完全な現実になる、とメリーは言いたいの?」
「それだとただの予知夢に終わるわ。だって場所自体は至って普通だもの。GPSさえ使えば自分がどこにいるのかなんてすぐにわかる。私の目は境目を見るだけよ。可能性を見るための目じゃないわ。これから一体何が起こるのか、それが気になって仕方ないのよ」
「それは私も同じ気持ちよ」
「蓮子としてはどういう風になると思う?」
「……うーん」

 私は今覚えている漠然とした不安を言葉に変えることに少しためらっていた。
 有言実行。一度口にして自意識から外界に出力した意志はその瞬間から独立し、言霊となる。言葉は自分の内的世界と外的世界の境界を揺らがせる力を持つ。
 よくある話だが自分の主張を周囲に誇示し続けたはいいが、時と共に考えも主義主張も変わってしまい、一度定着させた主張を取り消すに取り消せないことがある。それは最早自分から独立した言霊の力と言えるだろう。
 軽々しく最悪の事態を口にすることはためらわれた。だがこのまま私の考えを告げずにメリーの身に何か起きたとしたら、どうだろうか。
 私は結局、相棒の目の力に押された。

「メリー自身に何か異変が起きるかもしれないわね」
「警察に捕まるとか?」
「その時は差し入れにカツ丼くらいは出前してあげるけど……。もしその夢がこのまま現実味を帯びて何かしらのターニングポイントを迎えたとしたら、メリーも黙っちゃいられなくなると思うのよ」
「そうね。私としてはもう二度と見ないことを望むけど」
「夢の行き先は私にはわからないけれど、メリーの行き先なら面倒見れるわ」
「さすがに頼もしいわね。ならこれで安心して今夜もぐっすり眠れるわ」

 メリーはいつのまにか乗り出していた身を引いて背もたれにどっかり体重を預けると、ティーカップを傾けた。
 私はメリー自身に起きる変化とはなんなのかを、曖昧にぼかして語り終えてしまった。決定的な一言を口にすればそれが現実になりそうで怖かったのである。
 あの日以来考え続けている一つの可能性だ。現実の境界を踏み越えてしまったメリーは二度と私の前に帰ってこないかもしれない。私はまだメリーにその可能性をはっきりと告げることができていない。
 だが、今日はどこか不安そうなメリーを安心させるために思いがけない一言を口にしてしまった。
 面倒を見る。なんとも面倒な話だ。これも言葉にしてしまった以上、守らなければいけない約束であろう。やれやれである。





 逆しまに落ちてくる。
 真っ逆様に落ちてくる。
 上から下に落ちてくる。

 違和感を覚えた。
 この世界はこんなに流動的だっただろうか。
 今までの印象はむしろ停滞的だった。触覚が付加されてからは少し風があることを知ったけれど。
 その風はいやに強かった。滝のように叩きつけられる風。普段意識しない気体が実体を持っていることを嫌でも教えられるような凄まじい圧力がした。
 空は紅く、暗い。
 早回しした映像のように空は急速に暗さを増して私の頭上に圧し掛かるようだ。
 そこでふと私は気づいた。
 今日の逆しまてるてる坊主は足裏に何かくっつけている。
 まるで大きな黒い板で、てるてる坊主は蝙蝠のようにぶら下がっているのだ。

 あれ?
 それならあの大きな黒い板はそのうち私の頭にぶつかるんじゃないのか?

 あれ?
 今日のてるてる坊主の顔はどこかで見た気がしないかしら?

 あれ?
 もしかして逆しまてるてr――





 その遺体の身元が判明するまでには常より倍以上の時間を要したという。
 遺体の破損は大きく特に頭部はほとんど原型も残していなかったが、飛行機事故等の全身が砕け散った挙句火に焼かれるなどというような状況に比べれば明らかにマシだった。
 指紋も取れる。歯型もなんとか取れる。血液はいくらでも現場に散らばっているのでDNA鑑定も容易だった。それにも関わらず身元判明に手こずったのは、符号するデータが存在しなかったからだ。
 日本の人口が減少し、より戸籍登録データが管理しやすくなったことで詳細な情報を扱いやすくなった。にも関わらず全く引っかからなかったのである。
 いや、一応引っかかったという噂はある。しかし彼女らは存命している人間ばかりだった。
 遺体は比較的若い女性のものだった。どう見積もってもせいぜい三十代前半であったという。
 にも関わらず、海外のデータまで調べ上げた挙句に判明した遺体の主は大昔――今世紀初頭に行方不明になったギリシャ国籍の外国人女性であった。
 彼女が捜索届けを出された時の年齢は十六歳。それから半世紀以上の年月が流れていた。
 その珍奇な飛び降り自殺死体の一件は怪談じみた語り口でウェブ上の一部を駆け巡り、私も遺体発見現場の情報を見て唸ったのであった。
 何せ、先日メリーと一緒に衛星画像で見回っていた辺りだったので。

「結局、これがメリーの見ていた夢の行き着いた先ってことかしら?」
「そうね。これが終着点よ」

 断言してみせたメリーは眠そうにティーカップを傾けている。端末の投影機能をオフにして私もミルフィーユを切り崩す作業に戻った。

「案外尻切れトンボな結果だったわね。これからの活動方針はどうしようかしら」
「あぁ、それなんだけどね。蓮子?」
「んぁ?」
「私帰国するの」

 さすがにフォークを持つ手が止まった。

「そりゃ忙しくなるわね……いつ帰るのかしら?」
「家庭の事情ですからね。今週中にでも」
「帰れるの? 引越し作業間に合わないんじゃない?」
「まぁ間に合わないわね。だから必要最低限のものだけ持ち帰って、いらないものは業者に捨ててもらうことに致しましたわ。はい、これ」

 メリーはテーブルにカードキーを置いた。話の流れからしておそらくは

「これ、メリーん家の?」
「ええ。蓮子が欲しいものでもあれば譲るから業者さんが来るまでに勝手に持ち出して良いわよ」
「それなら有り難くいただくけど……今夜にでも送別会しない?」
「あら、私にお酒を入れるの? ふふふ、あなたって命知らずねぇ」

 私の方が圧倒的に強かったはずなのだが、まさか今までメリーは欧米人式鉄の肝臓を日本的美意識で隠していたというのであろうか。それはそれで楽しみだけど。

「正直な所、メリーがいなくなるなんて今言われても全く実感が湧かないわ」
「そうね、私もですわ」
「メリーはしっかり自覚しないといけないでしょう。あとその気持ち悪い笑い方やめて」





 ……こうして、私の青春は終わった。
 その後にも色々とロマンスらしきものを体験し仕事も見つけ結婚も無事迎えることができたが、結局人生で一番楽しかった時期を振り返れば、例の外国人の友人と講義もほったらかしにしてカフェで語り明かしたり夜の探検に出かけては結界を暴いたりした大学生時代に落ち着くのである。
 ウェブネットワークによって世界は縮まったとは言うが、メールでやりとりをしてもメリーの文面からはどことなくぎこちないものが読み取られた。私はひっそりとメリーとの交流を自然消滅させて彼女と過ごした日々を思い出に変えることにした。
 今思えば、よくあれほど結界の綻びを見つけられたものだと思う。
 メリーという目があればこそできたと当時は思っていたが、私はメリーの力を借りずとも割と自力で境界を見つけていたような気もする。あの行動力は一体どこから湧き出ていたのだろうか。
 十年以上経って、あの頃よりずっと私は出かけなくなってしまった。
 健康のために少しは身体を動かした方が良いのだろうが、どうにも続かない。やんちゃ盛りの娘が自重するようになってしまえば私も本格的に中年切符を手に入れることとなるだろう。

「お母さん、遅いわよ!」
「こらっ、階段で跳ね回ったりしないのっ」

 幸いにも今年で六つになったばかりの娘は一体誰に似たのかおてんばを絵に描いたような子に育ち、私の手を焼かせてくれている。
 それにしても、本当に子供の度胸というものには驚かされる。湿った木の葉が降り積もった石の階段を駆け上った挙句に飛び跳ねて振り返るとは。私なんて木漏れ日の僅かな明かりしかないことにおっかなびっくりで登っているというのに。
 子供を産むと体力が落ちるというが、置き去りにしかねない勢いではしゃぎ回る我が娘は私の中の元気という塊を八割くらい奪い去ってこの世に現れたような気がしないでもない。
 メリーと一緒に来た時はこんなに息切れした覚えなんか無かったんだけどなぁ。

「うわぁっ、すごいぼろーい」
「そうねぇ……というか、まだ本当に残ってたのねぇ」

 最後には娘に背中を押されて石段を登りきった私は額の汗を拭いつつ、感心を通り越して呆れた気持ちで鳥居の向こうにそびえる小さな神社を見つめた。
 博麗神社。学生時代、メリーと一緒に結界暴きをしに訪れたきりだったのだが、仕事の関係で取材することになったのである。
 退屈そうにしていた娘を連れて来たことで、私は月日の流れを痛切に身をもって味わっていた。だからもしかすると神社も朽ち果ててしまったのではないかと思っていたのだが、原生林に飲み込まれることもなく意外にも原型を保って健在である。
 まるでメリーと訪れた時と変わっていない。もっともあの時は夜に来たので真昼間の今とではやや印象も違うのだが。

「この神社、誰かいるの?」
「まさか。まぁお化けくらいはいるかもしれないけど」
「お化け? 出てきたらいいなぁ」

 そういう口ぶりが既に信じていないことを証明していた。普段なら我が娘ながら脅しても可愛げのない奴だと思うだけなのに、今の私にはふと棘のようなものが胸に引っかかっていた。
 ああ、そうか。確か私はメリーにいつかこんなことを偉そうに言ったか。「なぜこの国の子供たちは楽しそうじゃないのかわかる?」とか。
 当時の私に誇れるような子育てを私はできているだろうか。一度メリーに我が娘を見せてそんなことを聞きたくなった。

「お母さん、遊んできていい?」
「神社の周りから離れちゃだめよ」
「うん」

 カメラを構えて写真を撮る私に退屈を覚えていたのか、許可を出すと娘は飛び出していった。
 GPSのおかげで行方不明にさせる恐れは無いだろうが斜面から転げ落ちたり蜂の巣を突っつかれたりしてはたまらない。一応目の届く範囲にいてもらいたいが、言うこと聞くかなぁ。
 まあ多少の怪我は本人の責任だ。いい躾になるだろうと、私は割り切って写真を撮り続けることにした。
 そうしてある程度の枚数を撮ったところで画像を確認している時に、その一枚は現れた。

「……結界の綻びかしらね? こりゃ」

 神社の一角である一定の場所から空気の層でも出来ているかのように、世界の色が変わっていた。
 私は持参してきたスポーツドリンクをぐびりとやりながら、画像に穴を開けんばかりに見つめる。
 あれから詳しく調べていないが、月日も経った。恐らく結界暴きに関する法律は当時より厳しくなっているだろうと思われる。
 今や一児の母となった私が結界を暴いて警察に厳重注意されるのも問題だ。自重しろという言葉が頭の上に降ってきた。
 しかし、今撮りたてほやほやの境界が目の前にあるのである。数メートル歩けばすぐそこだ。
 何もためらうことなど無いだろう。
 私はカメラの画像を見ながら、結界の綻びに手をかけた。



「おーい、紫ぃ? あれ? せっかくお茶入れてやったってのにいないじゃない……」

 少女の声で、私は身体をびくりとさせて我に返った。
 私は博麗神社の片隅で突っ立っていた。それは変わらないが、その神社が心なしか画像を注視する以前より綺麗になっているというか、荒れ果てていないというか。
 頭を捻りながら私は幻聴かと疑いながら少女の声がした方向に歩き出す。

「だめよ」
「うぐっ!?」

 肩に吊り下げたカメラが後ろから引っ張られて、首が締まる思いをさせられた。一瞬視界の片隅に紅白の少女が見えたような気もしたが元いた場所に戻されて咳をする。

「けほっ、けほっ。だ、誰よこんなひどいことする奴はっ」
「勝手に境界を乗り越えてきてそんなこと言われてもねぇ」

 非難するような声に背筋が少し冷やりとした。
 まさか、博麗神社には管理人がいたのか? 私は暴くとまずい結界を弄ってしまったのか? 学生時代はそんなことは無かったはずだが。
 恐る恐る私は目線を上げる。そこには閉じた日傘を杖代わりにしたどことなく胡散臭い白人の少女が嫌な微笑みで――
 ん?
 見覚えあるぞこいつ。

「メリー?」
「あら、どこかでお会いしたかしら?」
「ほら、大学の時サークルが一緒だったじゃない。二人だけの二重の意味の幽霊サークルで……」
「……そうねぇ。ああ、なるほどねぇ」
「思い出した?」
「残念ですが、人違いですわ」

 扇子を口元に当てて上品なはずなのに嫌味ったらしい笑みで彼女は言った。
 冷静になった私も納得する。そうだ。あれから十年以上経って私も老けた。メリーもその分老けているはずだろうに、目の前の少女はあの日のマエリベリー・ハーンそのままだった。そんな不公平なことがあっては私はショックで寝込んでしまえるだろう。
 だが、それならそれで疑問はあった。彼女はメリーに似すぎていた。まさか私と同じようにメリーも子供を? と考えたが仮にあの突然の別れの真実の原因が妊娠であったとしても、この少女の姿形に成長するには些か無理のある年月ではなかろうか。
 可能性があるとすれば、外国人の姿や顔など日本人からしてみれば同じように見えるという説だ。私はついさっきまでメリーのことを思い出していたし……。

「あなたは二度と、この神社に近づかない方がいいでしょう」
「そうね……」

『あなたはいつまで若い頃の思い出を引っ張っていくつもりなの?』とあの日の頃のメリーに言われたようで、妙に堪えた。
 少女は傘を上げてあらぬ方向を指す。

「あちらへお行きなさい。あなたの帰る場所はそちらですわ」
「ごめんなさい。迷惑をかけたわ」
「いいえ。ちょうど巫女の代替わりを探していたところだったから助かったわ。この身体といいあなたからは色んなものを奪っている気もしますが……まぁ、その分命の保障はするということで」
「え? なんの話? ちょっ――」
「えいっ」

 背中を押された。
 たたらを踏んだ私はとっさに顔を上げたが、そこには荒れ果てた神社しか無かった。
 誰もいなかった。
 誰も、人の気配などしなかった。

「……ッ」

 嫌な予感を覚えて私は携帯端末を操作し、GPS機能を立ち上げて娘を探した。
 電話を鳴らした。
 声を張り上げて日が暮れるまで探し回った。

 娘が私の下に帰ってくることはなかった。
 神隠しに遭ったのだと、言われている。
本編を書くにあたって参考にしたお話

冒頭のシーンは夢違科学世紀収録版の「夜が降りてくる」のイントロを聞いた時に彷彿としたイメージです。
より正確に言うと萃夢想の前ダッシュゆかりんが45°傾いて落下してくるのがイメージです。
シンバル(?)の音で何が起こったかかが決定付けられて「ゆかりん怖いマジ怖い」に。

※ ここから終了後のあとがき ※


皆様お疲れ様でした。
おかげさまで84作中25位という「このくらい行けたら上出来」と思っていた中の上くらいの位置に収まりました。
全ての採点してくださった読者様、そうでない読者様にも心から感謝します。ありがとうございました。

>読人さん
私もお題が薄かったと反省しています。お題に沿って作品を書くというのは難しい限りですね。落語家の師匠方すげぇ。

>リペヤーさん
ドラゴンフライなんだから竜頭蛇尾であったらまだ良かったものの竜の頭にすらなってない導入部なんでどうしようもないですね、はい。

>Asさん
あらゆる読者を想定して書くのが書き手側の責務なんで読力なんて関係ありません、お気になさらず。
私は人の気持ちに立ってなんかするってのが苦手なダメ人間なんで好きなように書いてますがッ。

>佐藤厚志さん
河豚食べたことないんですよね。コリコリしてうめぇんだよォ〜〜らしいですが。
今回初めてホラーに挑戦しましたが神隠しって怖いけどちょっとロマンありますよね。

>名前が無い程度の能力 ■2009/05/13 14:54:19 の人

どうもありがとうございます。

>神鋼さん
さあ今すぐ緋想天で紫の下飛翔だ!天地開闢プレスを重ねると(ミンチよりひでぇや的な意味で)よりイメージが重なるぞ!!


>名前が無い程度の能力 ■2009/05/15 00:40:46 の人
元々紫が「博麗霊夢を創った」ホラーというか幻想板の某スレ用のネタがあったのでそこらへんを持ってきました。

あとどこかで読んだ紫は数式の妖怪で肉の器は式を貼り付けた依代にしか過ぎないみたいな考察も使わせていただきました。両方神隠しのイメージによく合います。

>パレットさん
誤字は自分で調べても絶対出てきますね。参ったもんだ。
今回は「20KBから30KB以内!締め切り有り!」と珍しくきちんと決めて書ききりました。程よく肉付きされたように思えます。オチ性急ですが。


>どうたくさん
>すみません。良く分かりませんでした。
これ以前の「きかい」お題で参加した幻葬再生でも言われたので、私はまるで成長していないようです。
わかりにくい文章をなんとかしろとは散々言われているので努力はしているのですが治りません。ライフワークになるかも。なったらいいかも。


>三文字さん
ゆかりんは悪役です。儚月抄では悪の枢軸、親玉です。コソ泥です。
だ が そ れ が い い

格ゲーなんて反射神経追いつかねーよバーカと思っていた私を引きずり込んだ「夜が降りてくる」や「御伽の国の鬼が島」に完敗。

>気の所為さん
あのイントロを聞いたら紫が落ちてくる――そのイメージが脳内に浮かんだ時点でこれを書いた甲斐がありました。
不気味さに辟易したら上海紅茶館でも聞いてリフレッシュしましょう。そのあと蓬莱人形版明治十七年の上海アリスで阿片浸けになりましょう。


>焼麩さん
メリー=紫説はメジャーすぎますがこういうのもアリだろ、と書いてみました。
「夜が降りてくる」が元にあるのでこのお話のテーマは「不気味な紫」ですね。友人知人には変な奴ぐらいに思われてても気の良い奴であるくせに、搾取するだけの相手には冷淡なのが私の紫のイメージです。

>笊さん
蓮子とメリー、それぞれ違う方向性のホラー被害者担当ですね。一次なら気にしないけど二次だとひどい話だ。


>名前が無い程度の能力 ■2009/06/08 01:47:07 の人
キャラ設定とか言動とか知らないで黄昏ゲーのアクションや妖々夢のイラスト(スキマから覗く目玉と腕)見たら紫はすごく不気味ですからね。香霖堂だとハンマーで手ぇぶっ叩かれてもあんなに可愛いのに。


>ふじむらりゅうさん
読んですぐ構造に気づく、というほどヒントを散りばめてませんからね。読者任せのひどい作品です。


>リコーダーさん
さすがに一言一言が的確で恐れ入ります。私もいつかこれくらいの批評ができるようになりたいものです。
ちなみに本文中で出た小説は京極夏彦著「ルー=ガルー 忌避すべき狼」です。予想通りだったでしょうか。

>八重結界さん
東方本編の妖怪は酒呑んで管巻いているだけですが人間が恐怖する姿あってこそアレが成り立つんですよね。
紫は特にホラーっぽい演出が多い気がします。黄昏ゲーにおいて。


>ぴぃさん
色というお題を入れているだけで使ってませんからねこの作品。こんぺやる気あんのか。
締めのシーンは昔話で「子供がいなくなった」系統のお話を参考にしています。あと甲田学人著「Missing」シリーズ。


>mokiさん
抑揚のない話だと言われて見ればその通り。もうちょっと演出を凝るべきだったかもしれません。


>木村圭さん
あのダッシュで近づかれたら怖いですよね絶対。ザッパかよ。しかも笑顔かよ。冷静に考えるとあんな挙動を平気でする奴と友達やれている霊夢や魔理沙の肝が恐ろしい。
しかし秘封ものでの蓮子さんの薄幸体質って本当にすごい。みるみるうちにバッドエンドへ直行します。すごい。

>時計屋さん

前半はホントどうにかならなかったんでしょうかね。ここですらっと改良案が思い浮かべばもう少し楽しませていただくことができたかもしれないのに。
文章中に細かなネタをぶち込むのは愛読しているラノベの影響でしょうねぇ。キョンみたいにならないように気をつけていたりします。

>ハバネロさん

「こんな感じでいいのか?近未来ってこんな感じでいいのか?」
とツッコミ入れられるのを恐怖しながら書きました。SF的ギミックは好きですけど書くのは苦手なんですよね。

>つくしさん

気を長くしてお待ちしております

>K.Mさん
逆に考えるんだ。
夢の中で紫に出会えただけで勝ち組と考えるんだ。

>つくねさん
すごい今さら感漂う夢違科学世紀を下敷きにした秘封SSなので、当然の如く夢がテーマ。
我ながら捻りが足りなかったなと思います。要反省。

>渦巻さん
参考にしたお話を読んでいただければわかりますが私も最後でようやくホラーになる、最後で全てホラーになる、という作品が好きです。
……というか始終ホラーだと疲れます。小説ならいいけど……ゲームだと泣きたくなります。零が怖すぎて二週目がプレイできない。
みづき
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/05/06 12:00:25
更新日時:
2009/06/14 21:51:04
評価:
24/25
POINT:
141
Rate:
1.33
1. 5 読人 ■2009/05/11 04:55:03
最後にゾクッときました。面白かったです。
ただ、色というお題が薄かったように感じました。
2. 3 リペヤー ■2009/05/11 09:52:48
文中のお言葉をお借りしますが、多少尻切れトンボに感じられました。
3. 5 As ■2009/05/12 01:55:22
何だかオチの方を駆け足で作り上げたような、そんな物足りなさを感じました。
読む力が足りてませんね、とりあえず夢違科学世紀買ってきますw
4. 7 佐藤厚志 ■2009/05/12 09:39:24
豊饒な幻想のイメージ。まるで下関名産(だったかな?)の河豚の肝を初めて食べたかのような衝撃でした。
怖さより、何故か憧憬に駆られた小説でございました。
5. 3 名前が無い程度の能力 ■2009/05/13 14:54:19
中々面白かったです
6. 7 神鋼 ■2009/05/13 19:19:33
これは怖い……本文もじわりじわりとくる怖さがありましたけど、後書きの紫を想像すると……ヒイッ!!
7. 7 名前が無い程度の能力 ■2009/05/15 00:40:46
…あー、これはかわいそうに。巫女としてさらわれたのか。
これこそ神隠しですね。面白かった。
8. 4 パレット ■2009/05/18 00:07:49
長すぎもなく短すぎもなく、オチもぴたりとはまった、読みやすいよくできたお話だと思います。お題の成分がちょっと弱い気もしますが。
「一斉を風靡」はたぶん誤字かと。
9. 5 どうたく ■2009/05/20 21:39:00
すみません。良く分かりませんでした。
蓮子とメリーのことを詳しく知らないというのもありますが、それでもてるてる坊主と紫がどう関係してくる
かは掴めませんでした。
ただ、メリーと紫が似ているというのは、そこそこ納得できました。

というわけで私が口出しできるのは文章についてです。
文章は描写も流れも安定しているし、悪くないと思います。
ただ、無駄で分かりにくい表現が多いかなと思いました。
例えば
@大アルカナ12番の絵面みたく綺麗に吊るすには少々工夫を要求されるが

まずいらない表現だと思います。例としても「タロット」の「絵」を知らない人には刑死者がどんな風か
イメージできないので、分かりにくいと思います。

A地球上には万有引力の法則が働いているので落ちるのも当然と言えば当然だ。ただ、物理法則に従うとするとやはり当然その先には引力を発生させる巨大な質量、いわゆる地面が――

問題ないのですが
→地球には引力が働いているので、それが落ちていくことは確かに当然のことである。
けれども、落ちていく「てるてる坊主」の先にあるものは何だろうか?
――「地面」である。

のように分かりやすく、簡単にした方が読者を逃がさないと思います。

B一度口にして自意識から外界に出力した意志はその瞬間から独立し、言霊となる。言葉は自分の内的世界と外的世界の境界を揺らがせる力を持つ。

かなり分かりにくいです。こういう難しい単語を使う文体はあることはありますが、それでも必要なのは
「読者」にイメージさせることです。直したほうが良いと私は思います。

他にも色々ありますが、とりあえず気になった三つを挙げてみました。参考になれば嬉しいです。

最後に「読者」に分かりやすい表現を心がけることが、重要だと思います。
長文失礼しました。
10. 8 三文字 ■2009/05/22 23:49:09
ゆかりんこええええ!!てか、外道だなぁ。
友人と娘を盗られたって、最早やることが悪役・・・・・・
まあ、紫らしいと言えば紫らしいですけどね。
「夜が降りてくる」はイントロの不気味さと、サビの哀愁がなんとも言えず、大好きです
11. 7 気の所為 ■2009/05/31 20:21:03
後書きで納得しました。
確かに落下するてるてる坊主は朧げで、逢魔が時の靄がかかっているようなそんな妖しさを感じました。
曲をバックに掛けて読むと更に臨場感が増しますね。
12. 10 焼麩 ■2009/06/04 00:28:44
怖い。本当に怖い。
だけど惹かれて気になってまた読んでしまう。
今まで読んだ中で最高の入れ替わりだと断言できる。
より大きな流れに呑み込まれてしまった感が絶望的に素晴らしい。
恐るべきはムラサキ、日光の欠片に幕を降ろす色よ。
つまりは……ゆかりん怖いマジ怖い。
13. 5 名前が無い程度の能力 ■2009/06/08 01:47:07
気味の悪い方のゆかりんの面目躍如ですね。少し、寒気がしました。
14. 5 ふじむらりゅう ■2009/06/10 23:49:03
 読み終えて、しばらく経ったあたりで内容を把握しました。
 この後味の悪さは、まさしく神隠しにあったような不可解さに満ちていて、気持ちは悪いんですけど非常に「らしい」お話でした。
15. 7 リコーダー ■2009/06/12 11:11:03
シーンの描き方だけなら10点入れても惜しくない出来です。
蓮子が読んでいた小説はもしかして。それは微妙にお前らの元ネタな気がするぞ。

墜落した女性は半世紀の間幻想郷で紫様をやっていて、代替わりのような感じでメリーが取り込まれた。黒い板はスキマ。という認識でいいのかな。
考えて分かっても「だからどうしたの」としか言えないんですよねえ。本文の中であっと言わせて欲しかった。
16. 7 八重結界 ■2009/06/12 16:29:10
紫に薄ら寒いものを感じましたが、これぞ神隠しの主犯という気もして、あらためて妖怪なのだと実感。
後味の悪さも、むしろ心地よかったです。
17. 5 ぴぃ ■2009/06/12 17:17:30
うーむ……謎の多い話。ちょっとお題の「色」からは離れちゃってる気がしましたが、最後のシーンではヒヤリとさせられて面白かったです。
ゆかりん怖ーい。
18. 6 moki ■2009/06/12 19:27:47
怖っ!
展開がなんかシームレスでオチが唐突ですが、その分不条理感が増してて(いい意味で)嫌な作品になってますね。お題は弱いように思いますが。
19. 6 木村圭 ■2009/06/12 21:23:55
ゆかりん転生説勃発? そしてゆかりん三十d(ry
落ちてくる光景を想像したらホラーだった。緋想天の下方向飛翔は正にこんな感じ、実際に相対したらトラウマになりそうだ。
しかし蓮子さんは不幸体質だな。
20. 8 時計屋 ■2009/06/12 21:55:22
 ゆかりんひどいよゆかりん。でもそこに痺れる憧がれる。

 落ちているのはメリーのほうだった、と気づいてから死体がいきなり現れるところでぞくっときました。
 そこから良かったメリーじゃなかった、と思ったら最後のオチ。二転三転する終盤の展開は実にお見事でした。
 
 文章も綺麗な上に興趣に溢れていて、読んでいて飽きがきませんでした。
 惜しむらくは前半の展開に読者を引っ張っていくような牽引力が少し弱いように感じた点と、お題が薄いように思えた点でしょうか。
21. フリーレス ハバネロ ■2009/06/12 21:57:21
正調に秘封「だった」話とでもいうか

細かいことだけど、秘封モノを現代で書きがちな人が多い中、きちんと未来を意識しているのは好感
22. 6 つくし ■2009/06/12 22:51:22
申し訳ありません、時間が差し迫っているため、採点のみにて、感想本文は後ほど改めて。
23. 3 K.M ■2009/06/12 23:14:12
てるてる坊主の夢を見そうだ……orz
24. 4 つくね ■2009/06/12 23:40:31
不思議ですねぇ……という印象。夢の中の景色、学生時代の話など夢が途切れ途切れにあるようで、しかしどこかしら繋がっているような、そんな気がします。
25. 8 渦巻 ■2009/06/12 23:43:37
自然と引き込まれました
最後でゾクっとさせてくれる作品は大好物です
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