色褪せた恋路にくちつけて。

作品集: 最新 投稿日時: 2009/05/07 23:50:17 更新日時: 2009/06/19 20:42:29 評価: 25/26 POINT: 143 Rate: 1.29
   ○






 『私は、あなたが好きです』






   ●



 お手紙ですよ、という無駄に明るい天狗の言葉とともに、東風谷早苗の元へ一通の手紙が届いた。普段は配達なんてしていないのだから特別料金が云々――と五月蠅い天狗を追い払い、夕暮れの時の静寂を取り戻した境内の中、渡された紙の感触へと視線を落とす。
 少々色の褪せた外見ではあるけれど、薄らに桃色の可愛らしい便箋。表に切符は貼られておらず、裏返すと、東風谷早苗様へ、と控えめな文字で確かに宛名が書かれていた。
 考えた時間はほんの一瞬。
 風が吹き抜けるように、理解は追いついた。
 便箋を開かずとも、中に書かれているただ一行の言葉を、早苗は知っていた。



   ●



 風祝、とその名を口に出したとして、どれだけの人が反応を示すだろうか。同世代、少なくとも高校生では無理なように思われた。何かしらの機会に郷土研究でもしていない限り、そういった古いものを専門とする人以外にはわからないだろう。日増しに力が消えていっても当然の話だ。
 真夏の河原沿いをのんびりと歩きながら、早苗は自嘲気味なため息を零した。見上げた空は真っ青に晴れ渡り、緑の葉が揺れて、川はじゃわじゃわといつも通りの変わらない音を流している。毎日、水辺ならばまだ暑さもましだろうと考えて河原沿いを通っているけれど、太陽を遮る雲が欠片も見つからないような状況では、川の音を聞いてもただ思い切り飛び込みたくなるばかりで、あまり効果はあがっていない。
 ――いっそ、飛んでしまえたら。
 思いの向くままに空中へと、踏み出す一歩を進めたくなる。けれど、そんなことをする余裕は何処にも残されてはいなかった。結局は右足も左足も変わらずに熱された地面を踏み歩き、やがて後方から喧しい足音をまとった彼女が近づいてくるのがわかった。
 ただでさえ暑いというのにどうして駆けてくるのか。思考するだけでも暑さが増すから、すぐに無駄な頭を停止させる。
「さーなえ」
 おそらくは肩を抱くか背中を叩くかしようとしたらしい手を屈んで避け、勢いに負けて前方へすっ飛んでゆく彼女を阿呆だなあと思いながら、早苗は本日二度目のため息をついた。
「林檎さん、大丈夫ですか?」
 一応は声はかけてみる。彼女、夏野林檎は、立ち上がりながら搾るような声で言った。
「何故、私の愛を受け止めてくれないかわからないんだけど。何かな。これはそういうプレイなのかな?」
 何故何故、と繰り返し迫ってくる林檎はつくづくと暑苦しくて、薄らに顰めっ面をしてやった。何だかもの凄くショックを受けたみたいな顔をしているけれど、暑いのだから仕方がない。夏の暑さと、諸々の汗は乙女の敵だ。
「愛なんていらないですよ」
「そんなスッパリ言われれると傷つく暇もないんだけど……」
 自然と二人で並ぶ形になりながら歩き始める。足音が一つ増えただけなのに、じゃらじゃらと転がる小石の音は賑やかさをうんと増した気がした。
「早苗はさ、これから何か予定はあるの?」
 ふむりと少し考えるふりをしながら、結局は何一つ考えることなく早苗は答えた。
「何もありませんよ。するつもりもないですし」
「それでも、夏休み真っ直中の女子高生なのかっ」
「まあ、一応は」
 林檎は足を止めて右拳をぶるぶるさせながら唸り、早苗は足を止めることなく進んでいく。十メートル程に二人の距離が離れた頃になって、せかせかと早足で追いつきながら林檎は言った。
「よし、私と遊びに行こう」
「遠慮させてもらいます」
「よし、私が遊びに行こう」
「それも、遠慮させてもらいます」
 訪れた沈黙の上を鴉が鳴きながら飛んでいく。嗚呼、本当にあほーといっているように聞こえた。
「……早苗、夏休みに入ってから冷たさが数倍増してない?」
「そんなことないと思いますけれど」
 勿論、そんなことはあった。早苗からすれば、これだけの扱いを受けても自分に絡んでくる林檎の方が不思議でならない。
「まあ、早苗が一匹狼してるのは今に始まったわけではないけどさ、私はそろそろ早苗と群れになれてもよくない? だめ?」
「今、一緒に帰ってるじゃないですか」
「数学の講習で一人だけ居残りさせられる私が、この信じられない真夏の中を全力で走って追いかけなきゃ、一緒に帰らないでしょ?」
 ほんの数問でも数学を予習してくるだけでそんな事態は避けられるのだけれど、そんなことは言ったところで無駄だろう。それに実際、もし何かの間違いで二人同時に居残らされたとしても、彼女から声をかけてこなければ帰路が一緒になることはきっとない。
「それは、まあ」
「私、泣くよ、本当に泣くよ」
「困ってしまうので、泣くのはよしてください」
「あ」と、珍しいものでも見たように林檎は言って、すっと人差し指を突き出した。
「早苗、やっと笑ったよ」
 これで私の怒濤のボケ連射も報われる、と林檎は笑った。



   ○



 幻想郷、そう呼ばれる場所があることを聞いた。此方で忘れ去られたものが渡る、閉ざされた楽園。幻想を纏って初めて行くことのできる彼岸。風祝なんて、とっくの昔に流れていってもおかしくないものだ。
「早苗」
「大丈夫です。私も、彼方の方がもっと自由に動けるはずですから。少し、楽しみなぐらいです」
 幻想入りするということは、忘れられるということ。その速度はともかく、煙が立ち続けることはなく、やがてその姿が見えなくなるように。
「再来週には、私も諏訪子も移転の準備が終わるわ」
「私の現人神としての力も、そのくらいなら大丈夫だと思います」
 幻想に混じることに恐れがない、といえば嘘になってしまう。現人神としての力を喪失したとしても、同時に人である自分は、人間の世界で人として生きていくことはできる。
 ただ、現人神としての力が失われるということは、それはそのまま二人の神の消滅と等しかった。元より、一族が代々と現人神として祀られたのは二人がいてこそなのだ。
「こちらでは殆どなくなってしまった信仰も、幻想郷ならきっとありますよね」
「そうね。人だけでなく、あちらなら妖怪達からも信仰を集めれるかもしれないわ」
 人として此方に留まらずこの世界を失う――そのことより、二人を失ってしまう方がずっと怖い。ただ、それだけの話。



   ○



 相も変わらずぎらぎら反射する川面をぽつぽつと早苗は歩く。夏は足踏みしながらどんどんと巨大化して、いい加減にピークでもいいだろうに気温は毎日上がり続けている。
 何の気兼ねもなく空を飛ぶことができたのならばと、ここのところ毎日同じことを考えてしまう。そうすればこんな日でも涼しく風を切ることができるはずなのだ。スカートの中を晒してしまうわけにはいかないから、何かしらの防護策をとる必要はあるけれど、それにしてたって空を飛べることに比べれば微々たる障害にすぎない。
 けれど、やはり、今は本当にそんな余力もないし、そんなことができる時代でもない。飛べば注目はきっと集まってしまうだろうが、信仰と好奇心はまるで違う。機械仕掛けの奇跡にまみれた世界では、風祝の力なんてそんなものなのだ。
「さなえー」
 いつも通りの底抜けに明るい声に名前を呼ばれる。振り返るのは暑くて億劫で、軽く体を捌いて林檎をよける。今日は地面と接吻を交わすまでは至らず、根性で踏ん張っていた。
「そろそろ、一回くらい受けとめてくれてもいいと思うんだけれど、いかがか」
「却下ですね」
「ばっさりだー」
 こんちくしょーと叫びながら、左手で早苗の手を取って川面の方へと足を向ける。右手にはコンビニの袋ががさがさと揺れていた。
「何かあるんですか?」
「アイス買ったから一緒に食べようと思って。勿論、私の奢りっ」
 ぐいぐいと有無を言わさずに手を引っ張っていく強引さはともかく、アイスで涼めるというのは魅力的だった。暑さに負けて無意識に空を飛び、涼風に当たろうとするよりは間違いなく良い提案だった。
「では、お言葉に甘えて」
「……食べ物では釣れるのね」
「すみません。急に用事ができたのでやはり」
「私の言葉が悪くございました。本当に、申し訳ない。こんなに暑ければ、心が常時に氷河期の早苗でもアイスが食べたくなるって。仕方がないよ、うん、仕方がない」
 必死すぎてあんまり引き留めにはなっていないのだけれど、踵を返してしまう気もおきなかった。
「そういえば、そのアイス溶けてしまってはいないんですか?」
 帰り道にしているこの道には、アイスを買えるような場所はない。もし学校に来る前に買ってきたのなら、中身の現状は惨憺たるものだろう。
「大丈夫。料理同好会の冷蔵庫を拝借しつつ、今も保冷剤二つで挟み込んでるから」
「しっかりしてるんですね」
 こんなことばっかり、と付け加えればより正しくなるのだろうけれど、わーわーと騒がれては涼しいものも暑苦しくなってしまうので言葉をぐっと飲み込む。
「はい」
 アイスを受け取り、伸び放題の緑に囲まれた岩に腰を降ろす。日陰の中で落ち着いて聞いてみると、川のさわさわとした音色は確かに涼しさも感じた。
「あれ? 早苗、その手に持ってるの何?」
「手紙ですよ」
「いや、まあ、見るからにそうなんだけど」
 もごもごと一人で悶着したあと、林檎は間を取り直して言った。
「その可愛らしい便箋は、早苗が用意したの?」
「下駄箱に入ってました。たぶん、ラブレターですね」
 五秒ほどの時の停止を経てから、林檎は続ける。
「お、落ち着いてるけど、中は見たの?」
 早苗よりもよっぽど興奮した口調だった。口に含んだアイスを飲み込んでから、ぽつりと答える。
「ただ一言『私は、あなたが好きです』とだけ。名前も書かれてません」
「どうするの、それ?」
「名前も書かれていませんから、どうしようもないですね」
 そっか、と林檎にしては静かに落ち着いた声で答えが返ってくる。溶けてしまう前にと二人揃ってアイスに取りかかり、熱に包まれた体の内をひんやりさせていく。急かされるように食べたせいで直ぐになくなってしまったが、食べ終えてからも居心地の良い静寂が二人の間に座っていた。
 勿論、破ったのは林檎だった。
「よし。探そう」
「そうですか。頑張ってください」
「いやいや」ぶんぶんと右手を振って「探すのは、その手紙の差出人だから。早苗も頑張るの」
「……本気ですか?」
「早苗、私はやると言ったらやってしまう子だよ?」
 自信の出所はわからないが、確かにやってしまいそうな感じはした。早苗は大きく息を吸って、同じだけ大きく一つため息をついてから、言霊を乗せる神のように静かに言った。
「絶対に、探さないでください」



   ○



 早苗が考えていたよりもずっと穏やかな日々が、終わりに向かって進んでいった。あれからも林檎は一緒に帰路を歩いていたが、手紙については何も触れず、繰り返されてきた騒がしい風景だけがそこにあった。
 数えれば、残された時間はもうあと一日になっていた。
「終わっちゃうねえ、夏休み」
 普段より少しばかり遅い帰りとなった二人の影が、夕焼けに切り抜かれて伸びていく。視界に映る全ての景色が夕日に晒されて赤みを帯び、異世界のような佇まいをみせていた。
「そうですね」
「結局、早苗と何処にも遊びに行けなかったことが残念でならないよ、私は」
「それは、ありがとうございます」
「感謝されるのも変な話なんだけど」
 あはは、と間を取るように笑って、林檎は言った。妙に勘の鋭いところのある彼女のことだから空気の違いに気がついているのかもしれないと、早苗は自分の後ろへ意識を向けた。もし本当に気配を感じることが出来ているのだとしても、彼女に二人の姿を見ることは決して出来ないだろう。
 風が凪いで沈殿する熱気の中、川の水ばかりが流れていく。自然と、二人の足は止まっていた。
「それに、学校始まってからでも遊びには行けるしね」
 早苗は言葉は残さず、静かに首を横に振ってそれに応えた。たった一言に、伝えられる全てを乗せて言った。
「どうか、忘れてください」
 虚を突かれたように立つ林檎にあの手紙を手渡して、ゆっくりと踵を返す。二人と目が合って、誤魔化すように笑ってみせる。林檎には早苗の顔も見えなければ、二人の姿だってやはり見えてはいない。そして直ぐに、三人揃って見えなくなる。
 林檎が言葉を紡ぐより早く、身に残るなけなしの力を早苗は奔流させた。此方の世界での最後の奇跡の試行。立つ鳥が跡を濁さぬように、幻想に落ちる前に滞るものがないように。
 熱気を全て吹き消すような、吹き付けた強すぎる突風に林檎は目を瞑る。
「ありがとう」と声が聞こえた気がした。
「私の子孫を最後まで好いてくれたのは君だけだったよ。早苗に力を使わせるつもりはなかったのだけれどね……私たち二人の用意した式の効力を超えてしまっていたのが、唯一君だけだったんだ。今ひととき、その心を誇りにしてほしい」
 風が止むと、河原には林檎一人の姿があった。手には見覚えのない手紙が一通。真っ正面から照りつける夕日が強すぎて、ぼやけた色の世界が広がっていた。



   ●



 幻想入りとは、彼方の世界から欠落するということだ。忘れられて、その彼方で初めて存在できるのだから、誰の記憶に残ることもできはしなかった。
 もし能動的に幻想入りをするのでなければ、ただ自然としているだけでよかっただろう。星がやがて瞬きをやめるように、少しずつ消えていく。いないように席に座り、誰に気づかれることもなく学校を去る。ただ一人の帰り道を、蒸し暑い河原をなぞって帰る。
 あの日よりもずっと色褪せた手紙を優しく撫でる。記されてはいなかった宛名と、差し出し人の名前が、滲みながらもぼんやりと見て取れる。
 忘れて――そういったのは他ならない自分自身なのだ。この郷に来るが為、忘れ去ったのも自分が彼女よりも先んじている。だから、この手紙がここに流れてきてしまっても、文句をつけることなどできはしない。それどころか、今日まで彼方に留まっていたことの方が不思議なのだ。最後のあの風で、確かに何もかもを吹き飛ばしたはずであったのに――。
 早苗はそっと、手紙を懐の中にしまった。
 彼方側で忘れてしまっても、此方の住人が忘れることはもうできない。忘れてしまったらこの手紙は、自分は、何処へ行ってしまうというのか。もう、忘れることなど、できはしない。
 視線を上げた先、山を照らす落陽の色にあの日の風を感じたのは、きっと、ただの幻想なのだろう。



   ●






 『私は、あなたが好きです』
 『私も、あなたが好きでした』






   ● 


  
 忘れられて、忘れて、知られることなく忘却の彼方で受け止められて。



  「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「


 
 「色褪せた恋路に口つけて」をお読みいただき、本当にありがとうございました。以下、感想にコメントレスさせていただきますー。



 ○ドラ猫さん
>定番ネタを作者様独自の切り口で描かれていて、読後感まで含めて新鮮に読めました。
>場面場面でキャラクターの心情を直接的な表現で描写しなかった事が逆に読者に対する印象を深め
>想像の余地がある部分もあり、強く作品にひきつけられました。
>ただ、コンペのお題たる「色」の部分が薄かったかな。
>これが例えば創想話などに普通に投稿されていた場合、色のイメージが強い作品だなという印象を受けたでしょう。
>ただ色をテーマにした作品なのかといわれると残念ながらそこまでの色を私は感じることができませんでした。

 直接心情描写を可能な限り全て省く、というのは狙っていたことですので、気づいていただけたことだけでもかなり嬉しいです。ありがとうございます。
 正直なところ、自分でもお題の使い方は屁理屈じみた、というか明確にしてしまえばタイトルにしか使っていないレベルなので、反省するより他はありませんー。


 ○リペヤーさん
>うはぁ、切ない。なんで早苗さんはこんな話が似合うんでしょうか。
>林檎は早苗を何年も何年もずっと覚えていたけれど、それでも忘れてしまった。
>もし林檎がふとした時に手紙の事を思い出したら、手紙が無い事に気づくのでしょうか……。
>良いお話をありがとうございました。

 早苗さんの持つ雰囲気はこういう感じだと信じている私です。幻想入りしてしまうということは文字通りの意味なわけで、きっと林檎が思い出すことは永遠に訪れないでしょう。跡が残らないものこそが、幻想であれば。


 ○Asさん
>幻想郷に来た早苗さんが向こうに未練がなかったかといえば、やはりあったのでしょうね。
>情景を思い浮かべることができる作品でした。

 早苗さんはあくまで人としての形を備えていますから、葛藤が何もなかったはずはないですよね、きっと。


 ○名前が無い程度の能力さん
>早苗さんもいろいろ心中は複雑だったのか

 たぶん、きっと、もしかしたら、早苗さんにも色々あったのだと思います。


 ○神鋼さん
>ちょっと短く感じましたが思いのギュっと詰った良い話でした。ただ、色がちょっと薄かったです。

 ちょっと、というかかなり短いと思います。よくこんな短さにできたものだと自分でも思いますが、その分濃縮できていれば幸いです。お題は本当に薄いですね、反省。


 ○パレットさん
>二人が歩く夏の景色が浮かんでくるようでした。
>こんなに短いお話で、だけど二人を十二分に描ききっていたと思います。お題の成分がちょっと薄く感じることだけが残念かも。

 二人の最後の姿、最後の夏、少しでも想起していただけたら嬉しいです。お題は無視に近いほどないですね、反省。


 ○三文字さん
>これも友情あれも友情。
>騒がしい友人というのは面倒くさいと思っても、かけがえのないものですよね。
>傍から見たら見たら、いいコンビだったんだろうなぁ……
>それにしても、短さを感じさせない素敵な文章でした。
>ちょっと切ない友情話をありがとうございます。

 きっとかけがえないものだったのだと思います。忘れてと、己の口から言いたくなるぐらいに。
 自分でも驚きの短さですが、楽しんでいただけたようでほっとしています。友情は切ないからこそ光るもの。


 ○佐藤厚志さん
>文章が儚くて、美しい。
>まるで、なんでしょうね、ずっと昔に食べた駄菓子のような。
>駄菓子屋さんのような不思議な雰囲気の小説でした……。

 儚い、というのは言われると何だか凄く嬉し恥ずかしな言葉ですね。ありがとうございますー。駄菓子が食べたくなってしまいました(笑)


 ○気の所為さん
>こんぺ作品として,お題性が薄かったのが気になりました。
>いい友達だったね、林檎さん。今時居ないよ。

 林檎はいいやつです、とても、とても。お題は本当に申し訳ないです。


 ○どうたくさん
>良い所
>文章が安定していて、かなり読みやすかったと思います。また描写がなかなか的確で個人的には分かりやすかったです。
>また、いつもはいじられキャラの早苗を「ツンデレ」かつ冷たい感じにする発想はなかなか新しいと思いました。
>改善点
>この長さで、この内容だと綺麗にまとまっているので特に無いと思います。
>ただ、最後の林檎と早苗の別れの部分が少し分かりにくかったような気がしました。
>十分意味は伝わるのですが、重要なシーンだと思うので、もっと直接的な表現でも良いのではないでしょうか?

 私のとってはこれくらいの冷静さを備えている早苗さんが、「いつもの」早苗さんですので、そういった効果が生まれるとは全く考えていませんでした。書き手の数だけ幻想は存在するということで。
 直接的な描写は意図的に極力避けていたのですが、「描写しない、っていうのは、描写したところをその分だけ印象づけられるってことなんだよなあ」と今思いました。しかしながら、あの類のシーンを強調しては、ただのお涙頂戴、超典型となってしまう気がしますので、あの程度の描写で済ますことが私は多いです。次回以降、改善できることを目指します。


 ○笊さん
>しっとり。早苗さん、色々なものとお別れしたんですね。
>6章目のお終いの当たりで、視点が突然林檎さんに変わってしまい、ちょっとおよよと思ってしまいました。

 しっとりしっとり。
 あの場面で、舞台に立つ登場人物が林檎だけでしたので、名前を使うことなくとも動作主は伝わると思い省いたのですが、読み手の方への配慮を欠きすぎていたようです。反省。


 ○実里川果実さん
>しっとりとした読後感が心地よかったです。
>情景も目の前に浮かんでくる様で、丁寧な描写が素敵でした。
>暖かいなぁ。

 しっとりしっとり。
 お褒めの言葉、ありがとうございましたー。


 ○有文さん
>好きであるからこそ、忘れられたいこともあるものですね。覚えていては辛いからこそ。

 忘れて、と言わざるを得ないほどの好意。ここらへん、もう少し、読み手の方に強く伝えることができていたら良かったのかも知れません。


 ○ふじむらりゅうさん
>……あれ? と、読み終わった時に自然と呟いてしまいました。
>手紙について想像を巡らせることはできますが、それにしても早苗さんと林檎さんの心情があんまり深く描かれてないので、判断するにはヒントが少ない気も。妥当な結論を出すことはできるんですけども。
>風の吹く前と、吹いた後のようなお話。

 心情を深く掘りさげていないのは、狙い通りのことですが、やはりヒント不足にはなりますね。次に似たようなことをやるときには、上手いこと消化したいです。


 ○上泉 涼さん
>ちょっとお題的には弱いかなと。話の雰囲気は好きです。

 作中のお題の脆弱さは酷いものがあります。ほんとごめんなさい。


 ○ぴぃさん
>しっとりじんわり。早苗さんの幻想入りは、やっぱりいいドラマになりますねぇ。
>くどくなく、とても気持ちいいSSでした。
>(しかし夏野林檎という名前にはびっくりしましたw )

 気持ちよく読んでもらえて嬉しい限りです。
 林檎の名前は自分ではかなり気に入っています(そもそも自分のキャラクター好きになれなきゃ話にならないですが) 。何かこう……うん、変ですよね(笑)


 ○リコーダーさん
>いろんなものの描写がよかった。綺麗でした。
>ただ、早苗が林檎を好きっぽい描写何もないですよね。それでこの締めは少し実感が沸かないような。

 幻想入り、というのを主題に持ってきた以上、早苗さんが忘れなければならいものに関しては極力描写を避ける結果になり、心情面においてはうっすらとしか散らばっていない欠片から汲み取ってもらう、という手法になってしまいました。
 ただ、締めに印象深さや、実感というようなものを残そうとは端から考えていません。


 ○名前が無い程度の能力さん
>切ないお話ですね。胸にきました。

 何かしらを感じてもらうことができて嬉しい限りです。


 ○八重結界さん
>なんとも切ないお話で。
>林檎との掛け合いが軽妙で、もうちょっと見ていたかった感もありますが、これはこれで良かったのかもしれません。

 林檎を出すのには凄い勇気が必要だったんですが、そういってもらえると嬉しい限りですー。


 ○mokiさん
>鮮やかな一場面を切り取って短いながらもとても綺麗な作品で、雰囲気が凄く好きです。
>好きなんです。が、些か無理があるかなと思いました。
>林檎が早苗を忘れたからこそ手紙が届いたのでしょうが、イコールその手紙も幻想郷に来て早苗の元に届くというのはやはりご都合主義的な感が否めないです。
>また、早苗が林檎を好いていたことを暗示させる描写が最後の一文以外で欲しかったなと。恋が元の世界への執着・郷愁に変わってそれ故に色褪せたのかと読めたのですが、恋が「色褪せた」をテーマにするなら、色褪せる前の時期が確かに存在していたことを事前に描写しないと成り立たないというかフェアでないのではないかと思います。(自分が気付けてないだけなら鈍感でスミマセン)

 ご都合主義、というのを認めるか認めないかという話までいってしまいそうなんですが、それでもこの話における「あの手紙」が幻想郷に流れてくる、というのを描けてこその虚構であると思っています。しかしながら、『ご都合主義的な感が否めない』という言葉を黙らせるほどの筆力、作品の密度こそが書き手には必須だと思っていますので、いつかの次の時には、きっと克服したいと思います。
 早苗が林檎を好いていた、というのは描写を避けて避けて避けて避けて避けて避けて、避けまくった先に、うすらと浮かび上がればそれでいい、それでこそ成り立つ雰囲気もあるはず、と思っていましたので、「フェアでない」という言葉には頭をぶん殴られた感触がいたしました。確かに、そうですね、「フェア」ではなかったように思います。ちょっと自分のやりたいことに目が向きすぎていて、失念したことが多すぎたようです。本当に申し訳ないです。反省。


 ○木村圭さん
>大好きです。
>山も無ければ華も無いこの物語を彩るのは言葉に表しがたい空気なんだよなぁ。
>もっとこの空気に浸っていたいけど、これ以上は何を語っても興が冷めていくばかりのような気も。ままならないね。

 大好き、と言ってもらえるのはこの上ない喜びです。ありがとうございますー。
 描きすぎないからこそできる作品、少しでも薫っていたなら嬉しい限りです。


 ○ハバネロさん
>この、そこはかとなく漂う百合の香はいかがなものか
>LIKEとLOVEの境界なのだろうけど

 「いかがなものか」と問われて、何を答えればいいのか少々返答に窮するのですけれど、女の子同士が出てきて、それを「百合」であるから云々といわれるのには反感を覚えます。男と女をだしてればそれで良いのかも知れませんが、そうなったら私の書きたかったものは描けませんから。
 しかし、「いかがなものか」という問いに、作品関係なく私個人の意見を述べるのであれば。――百合はよいもの、です(笑)それ故の、百合の香りかも知れません。


 ○時計屋さん
>とても美しい、セピア色のSSでした。
>特にラストシーンが素晴らしい。
>ただ友人のボケキャラが物語の雰囲気からちょっと浮いている感じがしました。
>もし重い雰囲気を和らげるための緩衝材としての位置づけであれば、短いSSですし終始切々と書いても良かった気がします。

 林檎さん、浮いてしまっていましたか。オリキャラを主要にして混ぜ込ませるのは難しいですね。
 早苗さんが捨てるもの、その平凡さと、それ故の重要さを描きたくて林檎には強調した行動を取ってもらったのですけれど、やりすぎた感は否めません。最大の敗北は、作者がキャラクターを動かすことを楽しんでしまったことだと思います。反省。


 ○つくしさん
>申し訳ありません、時間が差し迫っているため、採点のみにて、感想本文は後ほど改めて。

 お待ちしております、いつまでも、いつまでも。


 ○K.Mさん
>手紙はやはりいい。実物の手ごたえがある。

 ですよね。手紙はいいものです――と、森見さんの『恋文の技術』に影響された思想の私が言ってみます(笑)


 ○渦巻さん
>綺麗にまとまっていました
>ラストの演出は好きなのだけど、ベタ過ぎたかも?

 言ってしまえば最初から最後まで全てベタですねー(笑)


 ○つくねさん
>ん〜切ない! ただお題を使っているかと言われれば微妙で、また手紙の時系列が分かりにくい。幻想入りした、ということでしょうか?

 手紙は幻想入りしております――というか、その点が伝わっていないと言うことは、私の書きたかったことは何一つ伝わっていないというわけで……書き手としては完全敗北です。うはあ……。



 皆さん、感想ありがとうございましたっ。
えび
http://casuca.yaekumo.com/indexmenu.html
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/05/07 23:50:17
更新日時:
2009/06/19 20:42:29
評価:
25/26
POINT:
143
Rate:
1.29
1. 6 ドラ猫 ■2009/05/12 06:11:04
定番ネタを作者様独自の切り口で描かれていて、読後感まで含めて新鮮に読めました。
場面場面でキャラクターの心情を直接的な表現で描写しなかった事が逆に読者に対する印象を深め
想像の余地がある部分もあり、強く作品にひきつけられました。
ただ、コンペのお題たる「色」の部分が薄かったかな。
これが例えば創想話などに普通に投稿されていた場合、色のイメージが強い作品だなという印象を受けたでしょう。
ただ色をテーマにした作品なのかといわれると残念ながらそこまでの色を私は感じることができませんでした。
2. 7 リペヤー ■2009/05/12 08:00:13
うはぁ、切ない。なんで早苗さんはこんな話が似合うんでしょうか。
林檎は早苗を何年も何年もずっと覚えていたけれど、それでも忘れてしまった。
もし林檎がふとした時に手紙の事を思い出したら、手紙が無い事に気づくのでしょうか……。
良いお話をありがとうございました。
3. 5 As ■2009/05/13 01:32:43
幻想郷に来た早苗さんが向こうに未練がなかったかといえば、やはりあったのでしょうね。
情景を思い浮かべることができる作品でした。
4. 6 名前が無い程度の能力 ■2009/05/13 15:12:01
早苗さんもいろいろ心中は複雑だったのか
5. 5 神鋼 ■2009/05/14 00:45:33
ちょっと短く感じましたが思いのギュっと詰った良い話でした。ただ、色がちょっと薄かったです。
6. 5 パレット ■2009/05/18 00:10:14
二人が歩く夏の景色が浮かんでくるようでした。
こんなに短いお話で、だけど二人を十二分に描ききっていたと思います。お題の成分がちょっと薄く感じることだけが残念かも。
7. 9 三文字 ■2009/05/23 00:37:38
これも友情あれも友情。
騒がしい友人というのは面倒くさいと思っても、かけがえのないものですよね。
傍から見たら見たら、いいコンビだったんだろうなぁ……
それにしても、短さを感じさせない素敵な文章でした。
ちょっと切ない友情話をありがとうございます。
8. 7 佐藤厚志 ■2009/05/29 22:02:46
文章が儚くて、美しい。
まるで、なんでしょうね、ずっと昔に食べた駄菓子のような。
駄菓子屋さんのような不思議な雰囲気の小説でした……。
9. 3 気の所為 ■2009/05/31 20:36:29
こんぺ作品として,お題性が薄かったのが気になりました。
いい友達だったね、林檎さん。今時居ないよ。
10. 8 どうたく ■2009/06/02 02:47:40
良い所
 文章が安定していて、かなり読みやすかったと思います。また描写がなかなか的確で個人的には分かりやすかったです。
 また、いつもはいじられキャラの早苗を「ツンデレ」かつ冷たい感じにする発想はなかなか新しいと思いました。
改善点
 この長さで、この内容だと綺麗にまとまっているので特に無いと思います。
 ただ、最後の林檎と早苗の別れの部分が少し分かりにくかったような気がしました。
 十分意味は伝わるのですが、重要なシーンだと思うので、もっと直接的な表現でも良いのではないでしょうか?
 
11. 8 実里川果実 ■2009/06/08 00:03:05
 しっとりとした読後感が心地よかったです。
 情景も目の前に浮かんでくる様で、丁寧な描写が素敵でした。
 暖かいなぁ。
12. 6 有文 ■2009/06/08 01:44:10
好きであるからこそ、忘れられたいこともあるものですね。覚えていては辛いからこそ。
13. 4 ふじむらりゅう ■2009/06/11 22:25:14
 ……あれ? と、読み終わった時に自然と呟いてしまいました。
 手紙について想像を巡らせることはできますが、それにしても早苗さんと林檎さんの心情があんまり深く描かれてないので、判断するにはヒントが少ない気も。妥当な結論を出すことはできるんですけども。
 風の吹く前と、吹いた後のようなお話。
14. フリーレス 上泉 涼 ■2009/06/12 02:00:55
ちょっとお題的には弱いかなと。話の雰囲気は好きです。
15. 7 ぴぃ ■2009/06/12 02:06:24
しっとりじんわり。早苗さんの幻想入りは、やっぱりいいドラマになりますねぇ。
くどくなく、とても気持ちいいSSでした。

(しかし夏野林檎という名前にはびっくりしましたw )
16. 5 リコーダー ■2009/06/12 11:12:01
いろんなものの描写がよかった。綺麗でした。
ただ、早苗が林檎を好きっぽい描写何もないですよね。それでこの締めは少し実感が沸かないような。
17. 7 名前が無い程度の能力 ■2009/06/12 16:33:25
切ないお話ですね。胸にきました。
18. 5 八重結界 ■2009/06/12 16:33:50
なんとも切ないお話で。
林檎との掛け合いが軽妙で、もうちょっと見ていたかった感もありますが、これはこれで良かったのかもしれません。
19. 7 moki ■2009/06/12 19:25:46
鮮やかな一場面を切り取って短いながらもとても綺麗な作品で、雰囲気が凄く好きです。
好きなんです。が、些か無理があるかなと思いました。
林檎が早苗を忘れたからこそ手紙が届いたのでしょうが、イコールその手紙も幻想郷に来て早苗の元に届くというのはやはりご都合主義的な感が否めないです。
また、早苗が林檎を好いていたことを暗示させる描写が最後の一文以外で欲しかったなと。恋が元の世界への執着・郷愁に変わってそれ故に色褪せたのかと読めたのですが、恋が「色褪せた」をテーマにするなら、色褪せる前の時期が確かに存在していたことを事前に描写しないと成り立たないというかフェアでないのではないかと思います。(自分が気付けてないだけなら鈍感でスミマセン)
20. 6 木村圭 ■2009/06/12 21:25:17
大好きです。
山も無ければ華も無いこの物語を彩るのは言葉に表しがたい空気なんだよなぁ。
もっとこの空気に浸っていたいけど、これ以上は何を語っても興が冷めていくばかりのような気も。ままならないね。
21. 3 ハバネロ ■2009/06/12 22:00:41
この、そこはかとなく漂う百合の香はいかがなものか
LIKEとLOVEの境界なのだろうけど
22. 5 時計屋 ■2009/06/12 22:00:59
 とても美しい、セピア色のSSでした。
 特にラストシーンが素晴らしい。

 ただ友人のボケキャラが物語の雰囲気からちょっと浮いている感じがしました。
 もし重い雰囲気を和らげるための緩衝材としての位置づけであれば、短いSSですし終始切々と書いても良かった気がします。
23. 6 つくし ■2009/06/12 22:52:53
申し訳ありません、時間が差し迫っているため、採点のみにて、感想本文は後ほど改めて。
24. 3 K.M ■2009/06/12 23:16:16
手紙はやはりいい。実物の手ごたえがある。
25. 6 渦巻 ■2009/06/12 23:42:10
綺麗にまとまっていました
ラストの演出は好きなのだけど、ベタ過ぎたかも?
26. 4 つくね ■2009/06/12 23:42:16
ん〜切ない! ただお題を使っているかと言われれば微妙で、また手紙の時系列が分かりにくい。幻想入りした、ということでしょうか?
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