スエツムハナ。

作品集: 最新 投稿日時: 2009/05/08 16:03:41 更新日時: 2009/05/08 16:03:41 評価: 28/28 POINT: 166 Rate: 1.32






 あの時、私は初めてこう思ったんだ。

 ――恋の色って何色なんだ?











「よう香霖。居るか?」
 問いつつ私は扉を開けて、香霖堂の敷居を跨ぐ。
 途端、相も変わらず黴臭い空気が漂ってくる。天狗や河童あたりなら、換気の一つもして欲しいと眉を顰めるかも知れないが、蒐集家の住まいなんて大抵こんなもんだ。
 黴と埃と淀んだ空気。我が家とさして変わらないそれを足早に掻き分けながら、お目当ての人影を探す。
 ――ああ、居た居た。来客だってのに構いもせず、手にした本に視線を落としている。
「おい香霖。聞こえてるんなら返事くらいしたらどうだよ」
 呆れた調子でそう声を掛けると、
「ああ、おはよう魔理沙。悪いが聞こえなかったよ」
 頁をはぐる手を止めて、眼鏡の向こうにある山吹色の瞳が私を捉えた。
「たまには耳の掃除くらいした方がいいと思うぜ? 埃が溜まってるみたいだからな」
 朝っぱらから億劫そうな顔を見上げて言い返してやる。すると香霖はいかにも面倒だと言わんばかりに溜息一つ吐いて、読みかけの本に栞を差した。どうやら観念したと見える。
「……で、何か用かい。朝食なら今日は用意していないし、たかろうとしても無駄だ」
「あー? 心配無用だよ、ご飯に味噌汁、ちゃんと食べてきたしな。……そんな事より香霖、今日が何の日か覚えてるか?」
 挨拶もそこそこに、私は本題を切り出す。
「うん?」
 問われた香霖は早速、首を捻ってカレンダーへと目を遣る。今日の日付で視線を止めて、しばらく沈黙。
「…………何か有ったかな」
 その内軽く眉根を寄せたまま、そう呟くのが聞こえてきた。
「ははは、冗談が上手いな香霖は。まさか忘れたなんて言わないよな?」
 私は内心、まあこいつはそんなもんだろうなと思いつつも、一応更に問い掛けてみる。
「いや、特に心当たりは無いな」
「…………」
 断言しやがった。
 まあいい、香霖相手にまだるっこしいのは無しだ、日が暮れる。もっとこう、ストレートにいくべきだ。
「そういう事なら教えてやるよ。いいか香霖、黴びた耳穴かっぽじってよーく聞けよ、」
 溜めつつ私は卓上にあった筆を取り、今日の日付に大きく丸を付けて、
「今日は私の、た・ん・じょ・う・び、なんだよ、誕生日。忘れるなんてひどいぜ」
「……ああ」
 言われてようやく思い出したか、ぽんと手を一つ打って頷く香霖。
「そう言われてみれば、そうだったか」
「まったく。……なんか去年もこんな遣り取りしたような気がするな」
 はっきりとは覚えていないが、大方そんなとこだろう。こう、どっかで見たような感じ――デジャヴュ?ってやつが、ひしひしと。
「もう一年経ったか……時の流れは速いものだな」
「そりゃ、こんな薄暗い家の中で年中引きこもってりゃそうだろうよ。私の方は一年分、着実に成長してるけどな」
 ふふん、と得意げに胸を張る。新しい魔法、新しい弾幕、新しい蒐集品、どこをとっても去年の私より着実に進歩している。
 対して、代わり映えのないこの横顔ときたらどうだ。レディの誕生日を綺麗さっぱり忘れ去るなんて、失礼にも程がある。……まあいい、何やら思案に耽っているらしいところを遮って、更に分かり易く催促してみる。
「で、だ。そういうわけだから、遠慮無く祝ってくれていいんだぜ?」
 にかっと愛想のいい笑みを浮かべて、両手を差し出す。平たく言うなら、なんかプレゼントくれ、って仕草だ。
 それを見た香霖は再度顔を顰めて、
「ああ、わかったわかった。今何か見繕うから、勝手に倉庫を漁るのは止めてくれ」
 言うが早いか腰を上げ、近くの戸棚を探り始めた。……さては去年のハロウィンにやったアレ――お菓子の代わりに蒐集品を幾つかかっぱらった事――が、未だに尾を引いているらしい。うん、学習能力が高いのは良いことだな。……待ってる間両腕上げっ放しってのも疲れるので、取り敢えず下ろしとこう。
「……ところで魔理沙。今年で幾つになった?」
 ふと、香霖からそう尋ねられる。
「なんだよ、レディに歳を訊くのは失礼だって紅魔館のメイド長が言ってたぜ?」
「年齢について、まだ気にするほど長くは生きちゃいないだろう。それで?」
 ま、言われてみればそうなんだが。妖怪連中やら色々詐称してそうな奴らと違って、私は現役の乙女だしな。
「数えで十五歳だ。もう立派な大人だろ?」
 背は以前ほど伸びなくなってきたが、体つきは徐々に発展してきている。今は霊夢とどっこいだが、このペースならその内追い越す事も不可能じゃない。……まあもうちょっとこう、胸にボリュームが欲しいのは正直なところだが。
「そうか。……じゃあ、これなんてどうだい」
 私があれこれ考えている内に贈り物が定まったのか、気付けば香霖は私の側にやって来ていた。そして、手にした何かをこちらへ差し出してくる。
「ほら、手を出して」
「ん?」
 請われて再び両手を差し出すと、その上にぽん、と何かを載せられた。
「なんだこりゃ」
 それは片掌にすっぽり収まるサイズの、丸く、金色をした、
「……貝殻?」
 うんそうだ。煌びやかな装飾が施してあるものの、大きさといい形といい、紛れもなく貝殻だ。子供の頃遊んだ『貝合わせ』のアレそっくりだからな。それにしてもこんなもの寄越すなんて、一体どういう了見なんだ?
「……なあ香霖、なんのつもりなんだよ。子供の遊び道具渡すなんてさ」
 不満を声に滲ませる私に、しかし香霖は呆れた様子で、
「まあ待て魔理沙、それは早とちりだ。まずは中を開けて見てくれ」
「中?」
 言われるまま、二枚合わさった貝殻の上側だけを持ち上げてみる。もしかしてまだ中身が入ってるなんてオチじゃ……とも思ったが、
「……赤いな」
 取り敢えず、見たままの感想を述べる。
「ああ」
 貝殻の内側が真っ赤に塗られている。香霖の相槌からも、どうやらそれ以上のものではないようだ。中に何も入ってないし、念の為上蓋もひっくり返してみたものの、やっぱり何もくっ付いちゃいない。
 再度視線を香霖へ向けると、
「口紅だよ」
 文句を口にするより早く、簡潔な答えが返ってきた。
「口紅、ねぇ」
「ああ。魔理沙も言っていたように、十五歳といえばもう大人、男子なら元服にあたる年齢だ。そろそろ、化粧の仕方でも覚えてみるといいんじゃないかと思ってね」
「化粧? それっておしろいとかお歯黒とか、そういうやつだろ。そんなあれこれと顔に塗りたくらなくても、私はすっぴんのままで十分可愛いじゃないか」
 これでも肌の瑞々しさには自信があるし、そんなもんで誤魔化す必要なんてこれっぽっちも感じない。それとお歯黒についてだが、こいつは特にパスだな。昔実家の使用人のおばさんが付けていたが、あれで笑われると綺麗どころか思わず泣くほど怖いんだよなあ。おかげで「お歯黒べったり」とかああいうのは今でも苦手なんだ、そいつの真似事なんかまっぴらごめんだ。
「そうは言うけど、改まった場では必要になる事もあるだろう。服装に拘るのもいいが、化粧だってお洒落の一つだよ」
 ……まさかこいつの口から『お洒落』なんて言葉が飛び出してくるとは思わなかったが、それでもあまり気乗りはしない。
「うーん、悪いが別のにしてくれないか」
 蓋を閉じ、香霖へと貝殻を差し出す。
「……そうか、仕方無い」
 落胆の息を吐いて、それを受け取ろうと手を伸ばす香霖。少し悪い気もしたが、どうせならもうちょっと私に合ったものの方が……。
「どうやら、まだまだ子供な魔理沙には解って貰えなかったようだ。それなりに希少な品だし、物の価値を解しそうな、別の女性に贈るとしよう」
 ……って、ちょっと待て。なんか今聞き捨てならない台詞が!
「む。香霖、今の無しだ!」
 私は慌てて手を引っ込める。それで香霖の腕が空を切って、
「なんだい今更。要らないんだろう? なら返してくれないか、魔理沙には勿体無い」
「珍品と聞いちゃあ話は別だぜ。有り難く受け取っておくよ」
 そう、レアものって事なら食指の動かないわけがない。私は笑みつつ、香霖から距離を取り始める。しかし呆れたような視線を寄越すのも一瞬、香霖はやれやれと三度溜息。
「……まあいいか、せめて大事に使ってくれよ。そうだな、誰かに塗り方を教わるなりして、思い人の一人も出来たらつけるといい」
 どうやら早々に諦めたらしい。よしよし、最初から大収穫だな。……と、貰うものも貰ったことだし、そろそろ次をあたるとするか。
「ああ、心配するな。それじゃ他にも行くとこあるから、じゃあな!」










「お、居た居た。おーい霊夢ー」
 次に博麗神社を訪れた私は、珍しく境内の掃除に精を出している巫女さんの姿を眼下に認めて、そのまま急降下。
「よっと」
 着地の風圧に飛ばされないよう帽子を押さえつつ、霊夢の目の前に降り立った。
「……ちょっと魔理沙、せっかく集めたゴミがまた散らかっちゃったじゃない!」
 出会って早々、怒り心頭の霊夢。ああそうか、降りる場所が少しマズかったか。
「まあまあ、細かいこと気にするなよ。見たところ目立つ様な大きなゴミも落ちてないしさ、箒でちまちま掃くよりかこうやって吹き飛ばしちまった方がいいと思わないか?」
「どういう理屈よ」
「ゴミってのは一カ所に集めるから目立つもんだぜ。見えなくなっちまったものはもう、気にするな」
 そう笑って霊夢の肩を叩いてやる。幸いそれで毒気が抜けたらしく、表情が和らいだ。
「もう。まあいいわ、掃除はこれでおしまい。で、魔理沙、何の用事?」
「おっとそうだった。なあ霊夢、今日が何の日か――って、おまえが覚えてるわけ無いよなぁ」
 早速怪訝な顔しやがって。いいや、単刀直入に行こう。
「聞いて驚け今日は私の誕生日だ。というわけでなんかしら祝ってくれ」
「誕生日、ねぇ? ……もうそんな時期だったかしら」
 変わらぬ表情のまま首を傾げる霊夢。くそ、香霖と同じ反応しやがって……私の周りは薄情な奴ばっかりなのか。
「そうだよ、もうそんな時期なんだ。年がら年中代わり映えのない生活してるから、時間の感覚が鈍ってるんじゃないのか?」
「そんな事は無いわよ。あんたの誕生日が今日だって、ようやく思い出してきたもの。正常だわ」
 正常って、言われなきゃ気付かなくて当然みたいな言いぐさだな。そうかおまえにとっては友人の記念日なんて、新聞の配達日とか図書館の返却日みたいなもんなのか。寂しいぜ。
「……そうか、それなら遠慮はいらないぜ。レアアイテムの一個か二個かで十分だからさ」
 ほれ、と手を差し出してみる。しかし霊夢はそれを一瞥すると、
「んー……そうだ魔理沙、もう誰かのところに寄ってきたの?」
 なんて、意外な質問を発してきた。
「え? ……ああ、手近なところから行ってきたぜ」
「ふーん。霖之助さんとアリス?」
「いや、アリスは後回しだ。多分すんなりとはいかないだろうからなあ」
 同じ魔法の森に居を構える人形遣いの顔を思い浮かべる。あいつのことだ、「なんで私があんたにプレゼントなんかあげなきゃならないのよ」とか空気の読めないこと言って弾幕勝負に発展するのが目に見えている。なるだけ多くの所を廻る為には、厄介な相手は先送りするべきだ。
「じゃあ霖之助さんの所には行ったのね。で、何貰ったのか教えてよ」
「ん? なんでそうなるんだよ」
 興味津々といった風情でこっちの顔を覗き込んで来る霊夢にちょっと後退りながら、取り敢えず理由を聞いてみる。
「大丈夫よ、あんたと違って横取りなんかしないから」
「酷い言われようだぜ」
「日頃の行いでしょ。……ま、何かあげようにも、他の人のと被っちゃったら嫌じゃない。だから参考までに見せて貰いたいなぁ、って」
「あー、なんだそういうことか」
 それなら見せないわけにはいかないな。まあ霊夢も実のところ気遣い半分興味半分なんだろうが。
「ほら、これだよ」
 言って私は、懐からあの貝殻を取り出す。
「なにこれ。金色の……貝殻?」
「これは単なる容れ物だよ、中身はなんでも口紅だそうだ」
「へえ! 口紅、ねぇ」
 私がそれの正体を明かした途端、霊夢が驚嘆の声を上げる。ついでに、なんか目が輝きだしたような気が。
「なんだよ、やっぱりレアものなのか? やらないぜ」
「分かってるわよ。取りゃしないから、もうちょっとよく見せてよ」
 ほれほれ、と手を差し出してくる霊夢。なんか立場が逆じゃないかとも思うが、ここまで「物」に興味を示す霊夢ってのもなんか珍しいな。一応渡してみることにしよう。
 霊夢は私から貝殻を受け取ると、ためつすがめつ眺め廻す。
「へぇ、中に紅が塗り込められてるのね。しかもこの玉虫色の輝き……霖之助さんも気前がいいわねぇ」
 ……そうか、霊夢の目の色が変わったのはアレから金目のものの匂いを感じ取ったからか。
「なあ、それそんなに値打ちものなのか? 私には何が凄いのか、いまいちピンと来ないんだが」
 後ろ頭を掻きつつ私が訊くと、
「もう何言ってるのよ魔理沙、上等な紅って凄く高いのよ? 昔から『紅一匁は金一匁』って言って、紅は金と同じ価値があるものなのよ」
「ほー」
 金っていうと、大判小判のあれか。そりゃ確かに凄いが、やっぱり判然としないな。金銭的価値には大して興味無いし。
「なによその気の無い返事は。もっと喜んでもばちは当たらないと思うわよ?」
「いや、霊夢こそ持ち上げ過ぎなんじゃないのか? ほら、おまえが今着てる服だって赤いじゃないか。紅がそんなに高いなら、その服だって目が飛び出るくらい値打ちもんの筈だろ」
 霊夢の巫女服……と言って良いのかよく判らない衣装を指して訊いてみる。すると霊夢はスカートの裾を摘んで、
「ああこれ? 流石に紅で染めるのは無理だから、代用品を使ってるの」
「代用品?」
「そうよ。魔理沙になら想像付くでしょ? 並み居る妖怪どもをちぎっては投げちぎっては投げしているうちに……うふふふふ」
 言って危険な笑みを浮かべる霊夢……うえ、流石にこれはちょっと引く。
「……どこぞの吸血鬼と良い勝負だぜ」
 思わず後退るが、そんな私に外道巫女は軽く手を振って、
「嫌ね、本気にしないでよ。これは蘇芳よ蘇芳」
「スオウ?」
「ええ。木の心材から採れる色素で、いわゆる偽紅ってやつ。ベニバナ染め、しかも本紅だけで真っ赤に染め上げるのは高価だから、霖之助さんがこっちで我慢しろって」
 ん? なんでここで香霖の名前が……ってああ、思い出した。霊夢の服やらお祓い棒やら、全部あいつから調達してるんだったか。しかも代金踏み倒してるらしいし、そりゃ我儘も通らないよなぁ。
「ともかく、そういうわけよ。たったこれっぽっちの口紅にしたって貴重なんだから。里の人達だって、祝い事でもなきゃ付けたりしないもんよ」
「へぇ、そーなのかー」
「判っているのかいないのか……」
 私の適当な相槌に、呆れ声を出す霊夢。
「まあいいわ。そんな様子じゃ使い方も判らないだろうし、この際塗り方教えてあげる」
「え、使っちゃうのか? なんか勿体無いな」
「何言ってるのよ、化粧品は使ってなんぼよ」
「わ、私がか? いやでも」
「ええい往生際が悪いわよ」
 そんな風にあーだのこーだの霊夢と言い合いをしていると、
「お、なんだか楽しそうですねぇ。一体なんの揉め事で?」
 やたら嬉しそうな声と共に降ってきた影は、
「どうも。清く正しい射命丸です」
 ああ、厄介な奴が騒ぎを聞きつけて来やがった。
(まったくどーすんだよ)と霊夢に視線を投げ掛けると、(魔理沙が尻込みするのが悪いんでしょ)と同じく視線で返ってきた。付き合いが長いのもいいんだか悪いんだか。
「騒動の原因はぁ……それ、ですか?」
 霊夢の手にした貝殻を目ざとく見つけて、すかさずにじり寄ってくる文。
「ねぇ霊夢さん、ちょっと見せて下さいよ」
「おい文、言っとくけどそれ私のなんだ、」
「大丈夫です、貴方と違って盗んだりしませんから」
 私が釘を刺すより早く答えが返ってくる。……どうでもいいが、どいつもこいつも失礼だな。
「はい、壊さないよう気を付けてね」
「ええ。……ふむふむ、これは」
 霊夢から貝殻を受け取ると、文は目を細めてそいつを検めだした。まるでさっきの霊夢みたく、なんだか楽しげな雰囲気だ……そんなに興味深いもんなのかなあ、それ。
 そうして一通り眺め廻した後、私に向かって文が口を開いた。
「京紅ですね、これ」
「きょうべに?」
「はい。金泥を塗布した蛤の殻に白梅の絵、飾り物としても十分な器の中に、最上級の紅を塗り込んだ品ですよ。……魔理沙さん、これをどちらで?」
「えーとだな」
 しかし天狗へ素直に話して良いものか躊躇っていると、
「それがね、誕生日プレゼントとして貰ったらしいのよ、霖之助さんから」
 その隙に霊夢が喋ってしまった。
「なんと!」
 叫んでたちまち、にやけ顔を浮かべる文。……なんていうかこれは、凄く嫌な予感がするな。
「へぇー、あの店主さんがねぇ……いやはや、人は見かけによらないと言いますが、なかなかやりますね彼。で、魔理沙さんはなんとお返事したんですか?」
 私の周りをぐるぐる回りながら、もうニコニコと凄く気色の悪い笑顔を浮かべて尋ねてくる。
「な、なんだよいきなり。全然意味が分からないんだが」
「またまた、惚けなくても……」
 そこでピタリと動きを止め、「んんー?」と私の顔を覗き込んでくる。
「……まさかとは思いますが、お気づきでない?」
「ねぇ文、あんたさっきからどうしたの? 私もわけが判らないんだけど」
 当人たちを置き去りに一人突っ走っているらしい鴉天狗を止めるべく、霊夢からも苦言が上がる。
 そこで文は私と霊夢の顔を交互に見比べると、おおげさに肩を竦めた。そしてもう一度私の方を向き、
「なんだ、本当に知らないんですね。恋色魔法使いが聞いて呆れます」
 ふぅ、と溜息混じりに吐きだした台詞は、どうにも聞き捨てならなかった。
「なんだよ、さっきから黙ってれば意味不明なことばっか言いやがって。勝負なら受け」
「はいストップ。そうじゃありません、喧嘩を売るのはまたにして下さい」
「じゃあなんだよ!?」
 いい加減回りくどい言い方にイライラしてきた。
「それでは、色恋に疎いお二人に教えて差し上げます。いいですか、男性が女性に口紅を贈るというのは――」
「「贈るというのは?」」
「――ずばり、『愛の告白』です!!」
「アイノ、」
「コクハク?」
 私と霊夢、二人して首を傾げて言葉の意味を……って、
「「ええええええぇぇぇええぇぇぇ!?」」
「うわ、叫び声までぴったりハモらなくても……耳が痛いわ」
 私は両耳を押さえている文に歩み寄り、襟首掴んで問い質す。
「お、おい、どういう意味だよ!?」
「ちょ、ちょっとがくがく揺さぶらないで下さいっ……と、今説明しますから」
 途中で私の手を振り払い、微妙に距離を取る文……いいから早く説明しろよ。
「ええとですねぇ、『口紅の贈り物』っていうのは、それなりに特別な意味合いが有るものなんです。決して安価な代物じゃないんだから、意中の女性以外へとそうホイホイ渡せるものじゃないって事ですね。それが京紅なら尚更、いわゆる給料三ヶ月分ってやつです。だからこう、唐変木な店主さんの事ですから、遠回しなプロポーズなんじゃないのかなーって」
「いや、香霖に限ってそんな筈は」
 無いだろ。うん。
 しかし文は拳を振り上げ力説する。
「いえいえ、貴方に気があるに決まってますよ! 『人知れず 思へば苦し 紅の 末摘花の 色にいでなむ』……万葉集の和歌にもこうあります、これは彼の秘めたる思いの告白に違い有りませんって」
「和歌って……さっぱり解らないぜ」
「相手に知られずにじっと思いを秘めているのは苦しいので、表に出してしまおう、という決意を表現した歌ね」
 霊夢がさらりと補足した。……なんか、おまえまで楽しそうな表情になってないか?
「そうですよー、加えて言うなら、ベニバナの花言葉は『情熱』『特別な人』! 自信持っちゃっていいんじゃないんですか魔理沙さん!」
「と、特別な人?」
 ……いかん、なんだか目眩がしてきた。なんなんだよ、この乙女ちっく全開なノリは。
「そうね、もしかしたら万が一、いや億が一兆が一……まあそういうことも無きにしもあらずもナイアルよーっ、て感じじゃない?」
 霊夢も無責任に相槌を打つ。天狗の片棒担ぎやがって、この裏切り者め!
「ですよねですよね! ああ、俄然面白くなってきたわー! 久々に色恋沙汰が書けるなんて、ペンを握る手にも気合いが入るってものです!」
「って、結局それなのかよ!」
「? ああ、そんな照れなくても。上手く事が運んだ暁には、勿論一面記事にして差し上げますから。タイトルはそうね、『香霖堂店主(フラグクラッシャー)電撃入籍、十数年越しの恋ついに実る!』なんてどうですか?」
「にゅ、にゅうせ……? それって私と香霖が、その、け、けけ」
「入籍、平たく言えば結婚ね」
 ぶちっ!!
 っと、霊夢のその一言で、私の中の何かが音を立てて引き千切れた。
「だぁあああ、人をからかうのもいい加減にしろぉぉぉーーーっ!!」
 有り得ない! あの朴念仁と私がそんなどうこうなるとか、絶対に有り得ないっての!!
 絶叫と共にミニ八卦炉を取り出し、文へ向かって思いつくまま攻撃魔法をぶっ放す。
「おおっと! はい霊夢さん、お返しします」
「え?」
 そこで件の京紅が文から霊夢の手に渡り、
「ああそうか、おまえも同類だったよなぁ!」
「ちょっ、魔理沙、これ割れちゃう割れちゃう!」
「そんなもん無くなった方が私の為だっ!」
「あはは、ちょっとからかい過ぎましたかねえ。それでは、何か進展が有りましたら連絡して下さいね。インタビューにはいつでも駆け付けますからー」



 ややあって。
 霊夢にしばき倒された私が気付いた頃には、騒ぎの元凶たる鴉天狗の姿はどこにも見当たらなくなっていた。
「……落ち着いた、魔理沙?」
「……おう」
「じゃ、せっかくだから口紅の塗り方教えてあげるわ。返事は?」
「……はい。お願いするぜ……」










 引かれるがまま連れてこられたのは、霊夢の寝室。入るなり敷かれっ放しの布団が目に付いたが、その主はそれを邪魔そうに部屋の端へと追いやった。……畳みすらしないんだな、この面倒くさがり屋め。
「これで良しと。さ、魔理沙、鏡台の前に座って座って」
「あ、ああ」
 室内の一角に据えられた、質素な鏡台。幾つか引き出しが付いていて、目の前に正座すると丁度首から上が映る様になる。
「ほら帽子は邪魔だから脱いで。あ、ちょっと水汲んでくるわね」
 そう言ってそそくさと霊夢は部屋から出て行った。
 言われた通り帽子を脱いで脇へ置く。再度鏡に向き合うと、障子越しに差し込む柔らかな光が私の顔を照らした。
 ぱっと目を引く金の髪に色素の薄い透ける肌。榛色の瞳はこう、くりくりっと丸みを帯びていて、まるで子猫みたいな愛嬌がある。――うん、自分で言うのもなんだが、十分可愛らしい顔立ちだよなあ。これならわざわざ余計な事しなくても……と、霊夢が戻ってきた。じっくり鏡を見入っていたのがばれると何となく嫌なので、慌ててそちらに振り向く。
「よ、よう霊夢。ん? その手に持ってるのは……茶碗?」
「ええ、水が要るからね。あとは……ちょっといい?」
 霊夢は私の左隣に座って鏡台に茶碗を置くと、引き出しをごそごそと漁って、一本の筆を取り出した。
「良かった、新しいのが有ったわ。これを使って塗るのね」
「ふうん? それって口紅専用なのか?」
「ええ、紅筆っていってね。こう、指でも出来ないこともないんだけど」
 言いつつ霊夢は、薬指で自分の唇をスッとなぞって見せた。なんでもない仕草の筈なのに、なんだか妙に色っぽい。
「形をしっかり整えるには、やっぱり筆の方がいいわ。じゃあ、はい魔理沙」
 寄越された筆を受け取る。
「いい? 左手でこう持って……あ、魔理沙は右利きだっけ。じゃあ右手でいいわ、それからお茶碗の水を筆先に含ませるの」
「ああ」
 お互い利き腕が逆だから少々やりにくいが、そこは上手いこと解釈しよう。
「筆先の形が崩れないよう、適度にね。もし毛先がバラバラだったら整えて」
 指示に従い、ちょいちょいと水を付ける。
「で、ここで紅の蓋を開ける。ちなみに開けっ放しにしておくと、日光で褪色しちゃうから要注意……」
「じゃあ手早くやらないとな。次はこう、だろ?」
 答えも聞かず、私は貝殻の内へと湿った筆を押し当てる。と、思った通り、水気に朱が浮いてきた。
「そ。筆先に掬い取ったら私に貸して頂戴」
 毛先に十分紅が乗ったのを認めて、霊夢に筆を渡す。
「はい魔理沙、こっち向いて。で視線は鏡へ」
 霊夢と向かい合ったまま、二人で鏡を覗き込む。次いで霊夢が身を乗り出して、私の唇に触れてきた。
「うわっ!?」
「ほら動かないの。いい、まずはこう……輪郭をなぞるの」
 ひんやりとした指先がすすすと動いて、私は心持ち堅く唇を引き結ぶ。
「こら。強張ったら正しい形がわかんないでしょ」
「く、くすぐったいんだよ」
「ちょっとぐらい我慢する」
 ぷにぷに、と咎めるみたいに唇をつついてきた。人の顔で遊びやがって……。ふん、じゃあこれでどうだ!
 ぱくっ。
「ひゃっ!?」
 そのまま指先に食い付いてやると、面白いぐらいに驚く霊夢。慌てて手を引っ込めた。
「な、なにすんのよ!?」
「あはは、これでおあいこだな」
「もう、あんまりふざけないでよね。次やったらこっちの筆の方を突っ込むわよ」
 ……それはあまり洒落になってない。ていうかこいつはやると言ったら本気でやる奴だ。
「あ、ああ。気を付けるよ」
「ほんと? まあいいわ、先ずは上唇と下唇の位置を決めて……」
 霊夢が解説しながら、私の唇へ筆を走らせてゆく。逐一鏡と付き合わせながら教えてくれてるんだが、こっちはくすぐったさの余り笑い出さないよう我慢するので精一杯だ。
「……で、内側を塗っていく、と。よし」
「……終わったか?」
 霊夢が貝殻から紅を取る合間を縫ってそう尋ねてみる。こりゃ一種の拷問だよ、早く解放されたい。
「そうね、手順はこれまでの通りだけど……後は重ね塗りよ、もう少し我慢して」
「ええっ、一度じゃ駄目なのかよ!?」
「ぶつくさ言わない。それとも筆を食べたいとか?」
「いや……遠慮するぜ」
 それきり私は口を噤んで、ただひたすらにこそばゆさを耐えた。
「――はい、出来上がり。もう動いていいわよ」
「……はー、やっと解放されたか……」
 思わず深く息を吐く。なんだかどっと疲れが吹き出たような感じだ。
「ほら、俯いてないで。鏡を見なさいって」
「んあ?」
 ぐい、と押されて鏡台と対面する。
 まったく、何がどうしたっ、て――
「うんうん、まあこんなもんかしらね。どう、ご感想は?」
「…………………………」
「? 魔理沙?」
 ――――――はっ!?
 ゆさゆさと身体を揺すられ、ようやく私は我に返った。
「もう、しっかりしなさいよ。それでどう? 初めて口紅を塗った感想は?」
 ……感想、ね。
 鏡に映った私はこう、ぐっと大人になったみたいに見えて……どういったらいいか良く判らないんだが、なんだその、胸がドキドキして妙に落ち着かない。
 色素の薄い肌と対照的な、濃紅の唇。ぱっと花が咲いたような華やかさと同時に、それは奇妙な生々しさをも感じさせた。
「……なんだか、自分が自分じゃないみたいだ」
 でも指を遣って感触を確かめると、それは確かに私の唇で。
 熱に浮かされた様な薄ぼんやりとした気持ちで、ただそれだけを霊夢に答える。
「そう?」
 そんな曖昧な私の感想に霊夢は一言疑問形で相槌を打って、しかし妙に楽しそうな笑みを浮かべている。……くそ、なんだかからかわれてるみたいで居心地が良くないぞ。なんとか話題を変えてみよう。
「な、なあ霊夢、なんだかテカテカしてないか? ちょっと厚く塗りすぎなんじゃ……それに突っ張った感じがして、むず痒いぜ」
 そう文句を言って舌先で唇を湿そうとすると、
「駄目!」
「うぶっ!?」
 突如延びてきた霊夢の手にガシッ、と顎を鷲掴みにされる。痛いぞ……。
「駄目よ、紅は溶けやすいんだから。舐めたりしたら色落ちして、すぐにみっともなくなっちゃうわよ。気を付けること」
「ふが」
 くぐもった返事を上げると、ようやく手を放してくれた。まったく、なんてことしやがる。
「それと、薄過ぎると目立たないでしょ。緑に光る位厚塗りするのが丁度良いの」
「はあ、そんなもんなのか」
「ええ、そんなもんよ」
「なんだかおまえ、やたら詳しいなあ。塗り方といい道具一式揃ってることといい、私なんかよりよっぽど興味が有るんじゃないのか?」
 その蘊蓄ぶりにふと疑問が湧いた私は、そう霊夢に訊いてみる。
「ん? ……ああ、興味が有るっていうより、義務なのよ。だから知ってるの」
 途端、霊夢の声のトーンが落ちた。
「義務?」
「そ。巫女を継ぐ時、神楽舞の作法やらなんやらで教わったの。だからお化粧ってったって色気なんか何にも無いし、今みたいに楽しいものでもなかったわ」
 冷めた声音で薄く笑って、肩を竦めた。それが私にはやけに寂しそうに見えて、
「だったらほら、霊夢も一緒にしようぜ、お化粧。さっきまであんなに楽しそうだったじゃないか」
「ありがと。でもそれ、仕事用のじゃないし私はいいわ。『博麗の巫女』を辞める気は無いもの」
 ……ああ、「神様に嫁ぐ」とか、そういう意味か。こいつは昔からこういう所は変に真面目で、頑固だ。私の言うことなんか聞いちゃくれないか。
「別に魔理沙が気にすることじゃないわ。……でもこういう時に役に立ったんだから、覚えて損は無かったわね」
 柔和な微笑を浮かべる。もうこの話はお終い、そう視線が告げていた。
「そうだな、一応礼は言っておくぜ。ありがとな」
「いいのよ。ほら、こういうじゃない、『命短し恋せよ乙女、紅き唇褪せぬ間に』ってね。……そうだ、せっかく塗ってみたんだから、霖之助さんに見せてあげたらどう?」
「って、なんでそうなるんだよ!?」
 いきなり香霖の名前が挙がったもんだから、不覚にも声が上擦った。
 それに霊夢は意味ありげにニヤニヤして、
「ねぇ知ってる? ベニバナの色素は九割九分が黄色で、紅は残りのたった一分しか採れないの。だからとっても貴重なのね」
「……?」
 話の流れがいまいちよく判らない。しかし怪訝な顔付きの私に構わず霊夢は続ける。
「転じて、普段は隠れて出てこない本心、『思いの色』とも呼ばれるのよ。……文の話が本当かどうかはともかく、霖之助さんが魔理沙を特別に思ってるって事は、確かだと思うわ?」
 うぐ……な、なんなんだこの台詞から醸し出される妙に乙女ちっくな雰囲気は!
「あ、あいつがそんな気の回る筈が無いだろ!? どうせ適当に寄越したに決まってるぜ!」
「そうかしら?」
「ぐ……か、帰る!」
 なんかとても危険な空気だ、飲まれる前にさっさと引き上げよう!
「そう? じゃあその前に一つだけ」
 しかし、逃げようにも服の裾を掴まれた。
「な、なんだよ?」
「魔理沙確か、今日で十五歳だったわよね?」
「ああ、それがどうした」
「いえ、なるほどねって。じゃあ大人になったお祝いにお赤飯炊いておくから、夕飯時になったらまた来るのよ」
「んなっ、だからそういう大人じゃないって言ってるだろ!?」
「え、そういうって『どういう』?」
 〜〜〜〜〜〜〜!!
「帰るっ! 離せ!」
 叫んで霊夢を振り払い、私は一目散に神社を後にした。










 ――で、だ。
 何故私はここに立っているんだろう?
 別に文や霊夢の話を真に受けたってわけじゃないのに。
 ……うん、そうだ。
 貰った上の義理というか。
 こんな紛らわしいもの寄越した意図を問い質したい人情というか。
 いっその事、こっちがからかってやろうか。
 私の顔を見てどんな反応するか、とても楽しみだ。
 そう、だから私は香霖堂の前に立っている。
 散々私を焚き付けてきたあの二人に、勘違いでしたと謝らせてやる為に!



「おい香霖。居るかー!?」
 朝のそれより威勢良く、私は声を張り上げる。
 相変わらず埃っぽい空気を先より乱暴に押し退けて、人騒がせな引き籠もり男の姿を探す。
 昼下がりの斜光も薄く、仄暗い店内。そいつはまるで置物か何かの様に、今朝と同じ場所に腰掛けて読書に耽っていた。手にした分厚い書籍の頁数だけが、時間の経過を物語っている。
「だから居るなら返事しろって言ってるだろ、香霖」
 幾分強い語調で言う私に、そいつはようやくこちらを向く。
「ああ魔理沙か。どうした、そんな血相変えて」
 ……おっと、勢い込み過ぎて不信感を与えちまったか? そりゃマズい、警戒されたらからかいにくくなっちまう。
「いや、普通二度も無視されたら声の一つも上げたくなるだろ? それだけだよ別に」
「そうか。ならいいんだが」
 本に栞を挟んで卓上に置く。そして立ち上がると、凝り固まった身体をほぐす様に、一つ大きく伸びをした。
「うーん、結構経ったみたいだな。それで魔理沙、何か用かい?」
 言って再度こちらに視線を寄越す香霖。……よし、作戦決行だ。これからの段取りを、頭の中で手早くシミュレートする。


 まずはこうだ、
「なあ香霖、私どこか変わったと思わないか?」
「ん? ……いや、特におかしいところは無いと思うが」しかし朴念仁のこいつの事だ、勿論気付かない。
 そこで私は身を乗り出して言ってやるんだ、「ほら、今朝の口紅だよ口紅。どうだ、これでもう子供だなんて言わせないぜ?」
 すると衝撃を受けた香霖は、思わず私の肩を掴んでだなあ。
「!! ……魔理沙、今まで済まなかった。君はもう立派な大人だよ」うん、よしよし。判ればいいんだ。
「しかしその口紅を付けて来てくれたという事は、僕の本当の気持ちに気付いてくれたんだな」ってちょっと、なんだか変な方向に
「あ、ああ。ちょっと恥ずかしかったけど、さ」うぇなんでそこで頬染めるんだ
「魔理沙……」「香霖……」いや待てちょっと待てこら私、うわわわそんな早まるなぁっ!?


「……魔理沙?」
 ――はっ!?
 な、なんだ今のは? 違う違う、絶対違う! そうじゃなくてだな、こう香霖をぎゃふんと言わせるような流れをだなぁ!
 しかし混乱している私の側に、いつの間にやら背高い影が。
「ほら、呆っとしてないでしゃんとするんだ。様子が変だぞ」
「い、いや、特におかしいところは無いと思うがっ?」
 だあっ、これ香霖に言わせる台詞じゃないか! とにかく軌道修正を、
「……ところで魔理沙。どうしたんだ? その唇」
「ひっ!?」
 先を越された!? くそ、先手必勝と来たか!
「いや違うんだ香霖、これはだなあ、そのなんていうかだな、」
 絶体絶命の大ピンチ、そう覚悟した瞬間。
「ああ、大方どこかで御馳走にでもなったんだろう? 油汚れで光っているぞ」
 ――は?
 言うが早いか、ほら、とハンカチを投げて寄越す。
「十五になったかと思えば、色気より食い気というわけか。やはりまだまだ子供のようだ」
 …………………………ああ。
 なんだ、私の勘違いか。
 目の前で私を見下ろし「やれやれ」なんて溜息吐いてるこいつはやっぱり、朴念仁以外の何者でも無い。
 そうかそうだよな、良かったじゃないか。これでまだ挽回出来る。この無神経を仰天させて、私が大人だって認めさせて――。
 なのに、
「……なんだよ。せっかくおまえがくれたから、付けてみたっていうのに」
 勝手に手が動いて、ハンカチごと貝殻を投げつける。
 あれ?
「これは……魔理沙?」
 なんで、
「……子供で、」
 なんで私は震えて、
「子供で悪かったなあっ!!」
 泣きながら、走り出してるんだろう。










「…………はあ」
 魔法の森と人間の里との間にある、一際高い一本杉の木。
 その天辺に蹲った私は、もう何度目か判らない溜息を零した。
「あーもう、なんだってこんな事に……」
 ぼやいて、自分の頬に手を遣る。
 指先に感じるカサツキは、紛れもなく涙の乾いた痕跡だった。
 ……はっきり言って、ショックだ。
 悪戯するつもりが失敗して思わぬ醜態を晒してしまった、まあ不本意ではある。とはいえそれ自体は大したことじゃない。あいつとはそれこそ私が物心付く以前からの付き合いだし、今更取り乱したり泣いたりしたって気にするような事じゃない。
 じゃあ、何がショックかっていうと、それは私自身の内側が問題で。
 なんで自分が泣いてしまったのか……それが解らないことが、一番ショックなんだ。
 そもそもだ。
 私はあの時、一体どうしたかったのか。
 私はあの時、一体どうして貰いたかったのか。
 普段なら明確である筈の私の行動原理。「知的好奇心」とか「物欲」とか、そういったもの――それらとは異なる不明瞭な何かが、あの時の私を突き動かしていた。
 それが一体何なのか。自分の胸に手を当ててみるが、しかしどうにも判然としないのだ。
 ――まったく、私はどうしちまったんだ。
「なんで」とか「どうして」とか、そんな疑問詞ばかりが頭の中をぐるぐると廻っている。
「……」
 カア、カア。
 黙考する私の耳に、鴉の鳴き声が聞こえてくる。
 そうかそうか、もうおまえらは山に帰る頃合いって事か。いつの間にか、結構時間が経っていたらしい。
 俯いていた顔を上げる。なるほど、西日が里の風景を真っ赤に染め上げている。まるで、あの口紅みたいにだ。
 ……そう、口紅、口紅だ。この不可解な気持ちはあの口紅の所為で引き起こされたものなんだろう。
 理由ばかりを探していても埒が明かない。答えが出ないのは私が悪いわけじゃなくて、問題そのものがはっきりしないからだ。何がどうなってこのもやもやに繋がるのか、一度、最初から整理し直そう。
 まずはそうだな……と思考を切り替えようとした矢先、頭上から暢気な歌声が響いてきた。
「はぁ〜〜〜〜〜〜ちんちん♪ 火力強ても叶わぬものはぁ、弾幕(たま)の勝負と恋の闇ぃ〜♪」
「――――うるせぇっ!!」
 その夜雀の歌がどういうわけか無性に勘に障った私は、次の瞬間にはそいつめがけてマスタースパークをぶっ放していた。
「……ふぅ」
 視界を覆い尽くす程の光の奔流が収まると、辺りは再び静寂を取り戻す。
 突然の闖入者を吹き飛ばして、取り敢えずは溜飲が下った。そうして使い終わったミニ八卦炉とスペルカードを懐へとしまい込もうとして、
「……『恋符』か」
 しかし途中で手が止まる。
 今や私の代名詞とも呼べるそれは、恋の名前を冠した魔砲。極彩色の煌めきと何にも勝る大火力、魔法の醍醐味を体現した様なその在り方。弾幕の華やかさに焦がれた私が、その素敵さ加減を遺憾無く表現する為に、乙女にとって最も大切なものであろう『恋』という字を選んで当てたのだ。
 しかし肝心な恋心そのものについて、実のところ私はよく解っていない。
 子供の頃から旧家の一人娘としてそのまあ、今から考えてみればだいぶ「箱入り」な感じで育てられてきたし。その上胸が膨らみ出す前には家から飛び出して魔法の森に移り住み、化け物茸採集と魔法の研鑽に明け暮れる日々を送ってきた。要するにおよそ普通の女の子らしいものとは遠いところに居るわけで、コイだのアイだの、どうにもその辺の事情に疎い。その所為か、私はこんなにも可愛らしく素敵な少女だというのに、交際を申し込まれた事すら無いのである。
 またひとたび外に出れば友達は多いが、どういうわけかそいつらだって浮いた話の一つも聞いた憶えが無い。
 だから実家で読んでいたおとぎ話や恋愛小説から想像するしかないんだが……はっ!? そんなまさか、いやもしかして!?
 今この胸に抱いている不思議な感情、これこそが『恋』なのか?
 このもやもやとして重く、息苦しい感じ。恋の悩みってこういうものなんだろうか。……いやちょっと待てよ、『恋』ってのは辛いだけじゃあ無い筈だよな、それなら誰も好き好んで恋なんかしない。そう、嬉しさとか喜びとか、もっとこうすっごいお宝見つけた時みたいなキラキラした感じの想いも対になって存在する筈なんだ。
 ……ちょっと冷静になって考えてみよう。万が一、いや飽くまで仮になんだが、その……私が香霖の事を、好き、だとしよう。そしてさっきの事……せっかく口紅付けてみたのに気付かれなかった事なんだが。
 もしその、私が香霖に恋をしていたとして、それなら気付かれなかった、気付いて貰えなかったのならまあ、当然悔しいし悲しく思うよな。うん、これは別にいい。
 じゃあ反対にだ、もし気付いて貰えたとしたら……その時は、どう感じるだろう?
 私の意外な大人っぽさに気付いて、「綺麗だ」とか「似合ってる」とか言われたとして。私はどうだろう? 嬉しいだろうか?
 ……頭の中で色々と思い描いてみる。そうそれこそ、脱線したのもいいところなあの妄想みたいなシーンとか。しかし、
「うーん?」
 そんな恋愛小説さながらな状況を想定しても、何故か私は嬉しいとは感じられないのだ。
 あいつを上手いこと驚かせてやれたなら胸の空くような気持ちにはなる。だが、私の肩を掴んで迫ってこられたとしたならどうか?……そうだな、今の私なら、それに応えるどころか問答無用で張り倒すだろう。
 そこら辺を総合して考えてみると、これはどうにも『恋』とやらじゃなさそうな感じだ。いくら頭を捻ってみても、嬉し恥ずかし……ってな気持ちに結びつかないのだ。
 じゃあ一体、ますます以て意味不明だ。なんであの時私は、泣いたりなんかしたんだ……? 不本意ながら子供扱いされるのも珍しくないし、別に泣くほど悔しかったわけでもない筈なのに。
 思考が振り出しに戻る。いい加減頭が痛くなってきた頃、ふと下方から声が掛かった。
「……ここに居たのか」
 それは、今最も出会いたくない人物のものだった。
 だが無視するわけにもいかず、身を乗り出して枝葉の隙間から下を窺う……ああ紛れもない、地面に立ってこちらを見上げているのは香霖だ。
「おい魔理沙。聞こえてるんなら返事くらいしたらどうだい」
 この木はそれなりに高さがあるんだが、妙に通る声でそう訊いてくる。……私の台詞を真似してくるあたりが腹立たしい。だからこっちも同様に返してやる。
「ああ香霖、悪いが聞こえなかったよ」
「そうか、ならたまには耳の掃除くらいした方がいいと思うが。……まあいい、忘れ物を届けに来た」
 ……ああ、それでか。そこで一端言葉を切った香霖に、私は取り敢えずこう続けた。
「なんで私がここに居るって判ったんだ」
 普段は引き籠もっているくせに、こういう時には妙に勘が良い奴だな。
 しかし私の問いにまず大きな溜息一つ吐くと、
「何故もなにも、長い付き合いだ。魔理沙が一人になりたい時はここに来るだろうと、そう思った」
 呆れ混じりの声色でそう答えた。
「空を飛べるようになってからというもの、親父さんに叱られたりすると、いつもそうだったろう」
 ……そういやまあ、そうだったか。
 初めて魔法で空を飛んで、この木に引っかかって降りられなくなって。「無茶はするな」なんて説教しながら助けてくれた香霖を驚かせたくて、必死に飛ぶ練習をして。……その内、ここからの眺めが好きになったんだ。居並ぶ山々、青黒く鬱蒼と茂る森、小さく身を寄せ合う里の家々。それらを横並びに見通していると、人間だの妖怪だの魔法使いだの、そういったものの違いに拘る事が馬鹿らしく思えてくる。
 魔法の事が親父にバレた時も、確かこうして香霖が私を説得しに来たんだったっけか? まあ結局家から飛び出しちまったんだけどさ。
「あー、もう判ったからいい。余計な事まで思い出させないでくれ」
 後ろ頭を掻きつつ、ぶっきらぼうに返答する。思い出話なんてのはどうにもむず痒いしな。
「じゃあ、次は僕の質問に答えてくれ。どうして口紅を付けて僕の所に来た?」
 う、それは……。
 黙ったままの私に業を煮やしたのか、香霖が続ける。
「貴重な物だから大事に使ってくれ、と僕は言った筈だ」
 ああ、確かにそんな風に言ってたか。恋人がどうだの結婚がどうだのって。だからこうして説教に来たってのか? おまえに投げつけてきた貝殻の、その内側を見てようやく気付いてさ。
 今更遅いんだよと、不服を沈黙に代えて押し黙っていた私だが……その内香霖はとんでもない事を口にしだした。
「……もし、これを渡した事で何か誤解が生じたようなら謝る。だが魔理沙、君は僕にとって妹のようなものであってだな、その将来を考えていざという時の為に役立つ物を……」
「だあもう、違うっ!」
 一人勝手にヘンな方向へ突っ走ろうとする香霖を怒声で遮り、勢いついでに私は地面へ降り立った。
「勘違いするなよ。私は別に、おまえの事がこう、どうだとかそういう意味でやったんじゃない」
 私の剣幕に目をしばたかせているこの朴念仁に、正直なところを白状する。
「いつまで経っても子供扱いされるのは癪だからな。もう子供じゃないんだって、それで驚かせようと思ったんだ」
 それこそ子供の悪戯じゃないか、もしかしたらそうやって怒られるかも知れない。色々齟齬が有ったとはいえ、こいつが私を祝おうとしてくれたのは事実だから。
 しかし香霖は得心いったと頷くと、
「……そうか。僕も流石に無神経過ぎたな、済まなかった」
 そう素直に反省の色を見せたもんだから、思わずこちらも毒気を抜かれる。
「ああいや、解ってくれればそれでいいんだ、が」
「そう言って貰えると助かる。じゃあ魔理沙、改めて受け取ってくれ。大人になった妹への、僕なりの門出祝いだ」
 言って差し出された右手に乗った、金色の貝殻。
「……いや、もういいんだ」
「?」
「大人だとかお化粧だとか……なんか、自分でも舞い上がってたみたいなんだ。そいつはまだ、私には早いんだろうな。だから、それは受け取れない」
 思い返せば恋だのなんだのって話になったのは、浮かれた文や霊夢に感化されたからだろう。他人に流されたり、自分の気持ちが判らなかったりするうちは、どうにも似合いそうにない。事実金一匁の化けの皮は、この鈍感な兄貴分にすら通じなかったわけだしな。
「私が、一人前の大人になるまで。……そうだな、取り敢えずは二十歳くらいか、その時まで預かっててくれよ」
 まああと五年も有れば、どうにかなっている事だろう。この胸に生じた不可解な気持ちの色も、それまでには見定めてみせるさ。
「その時にはきっと、おまえにも認めさせてやるからな。……ってことで、背伸びはもう止めだ、止め。こっちも返すよ」
 言って私は香霖の袖を取ると、それで唇を思いっきり拭ってやった。
「魔理沙? ……ああっ!?」
 口紅がべっとり付着した袖口を見て吃驚する香霖。そうそうこれだよ、私が見たかったのは。
「あー、さっぱりした。じゃあ香霖、忘れるなよ!」
 半端に紅の落ちた唇を笑みの形に釣り上げて清々しく叫ぶと、苦笑する香霖に背を向け、夕日の残光へと向かって飛び立つ。
 途端、ぐううと可愛げの無い声音で腹の虫が鳴いた。はは、色気より食い気か。案外あいつはあれで、私の事をよく見てくれてるのかもな。そう思えば、こんな調子が狂いっ放しの誕生日も、そう悪いもんじゃない。
 ……ああそういや確か、霊夢が晩飯用意してくれてるんだったか。よーし、余計な事吹き込んでくれた礼も兼ねて、思う存分たかってやるとしようじゃないかっ!





(了)
霊「……でも、『妹』って愛しい女性を指して使うこともあるのよね。血繋がってないし」
魔「ぶーーーーーッ!?」


 普段の言動からはなかなか見えづらい、魔理沙の乙女心の色や如何に?
 そういうテーマで挑戦してみました。
 こう、恋愛未満の何かの萌芽とかなんとかわかりづらいものを書きたかったんですが、取り敢えず一つだけはっきりしている事が有る。
 魔理沙は可愛い、それだけは間違い無い。
きつつきけい
http://3.5aeons.nth.jpn.ch/
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/05/08 16:03:41
更新日時:
2009/05/08 16:03:41
評価:
28/28
POINT:
166
Rate:
1.32
1. 4 リペヤー ■2009/05/12 16:58:56
香霖朴念仁にも程があるぞっ! ……と言いたくなるようなお話ですねえ。
恋愛未満でも仄かな恋が文字を通して見えてきました。
面白かったです。
2. 5 As ■2009/05/13 01:34:31
色恋ですねぇ。にやにやさせて頂きました。
3. 8 名前が無い程度の能力 ■2009/05/13 15:36:10
これは甘々なお話やね
4. 6 ■2009/05/14 00:01:06
後書きの会話文だけで魔理沙と共に盛大に吹き出させていただきましたww
5. 7 名前が無い程度の能力 ■2009/05/17 17:47:55
なんという微笑ましさ。そしてミスチー……
6. 4 パレット ■2009/05/18 00:11:49
まっすぐで、素直にラブコメじみたお話。楽しませていただきました。
7. 7 焼麩 ■2009/05/20 01:16:04
お題の消化がうまい。
がさつなようでいて、年相応に恋を想ったり悩んだり。
でも自分で吹っ切れて真っ直ぐ走っていく姿が私のイメージとぴったりはまった。
普段は出さないけれど、一番乙女チックなのは間違い無い。
8. 10 名前が無い程度の能力 ■2009/05/23 14:29:10
まさに恋色って感じがして、良い作品でした。
9. 6 三文字 ■2009/05/24 23:53:38
魔理沙は乙女だよ!
でも、幻想郷でもお歯黒あんのかなぁ……時代的には微妙だ。
こう、微妙に野暮ったい感じの魔理沙もいいですね。
10. 6 佐藤厚志 ■2009/05/30 02:07:53
まるで上品な茶菓子みたいに可愛い小説でございました。
途中、何故か板垣恵介の往年の漫画を思いだしたりして。メイキャッパー的な意味で。
11. 4 気の所為 ■2009/05/31 20:46:03
みすちー空気読め。
12. 6 どうたく ■2009/06/06 22:13:07
 良い所
 口紅と、恋。そして、魔理沙の代名詞の一つである「恋符」をかけたのは、色の課題もクリアできますし、良い発想だと思いました。

 改善点
 内容は悪くは無いのですが、心情描写が少ないなぁ、と最初から最後まで感じました。
 三人称視点なら、まだ良いのですが、この作品は魔理沙の視点。しかも、魔理沙の心が右往左往する視点なので、もっともっと彼女の心の内を文字に表した方が良いと思います。
13. 6 実里川果実 ■2009/06/08 00:05:11
 いけずですなぁwみんなして素直じゃないのが、また良いですね。
14. 9 有文 ■2009/06/08 01:42:21
紅を引く。この四文字が引き起こす魔理沙さんの少しくすぐったくてさっぱりしたお話、ごちそうさまでした。恋色の魔法使いの面目躍如、最高でした。
15. 5 ふじむらりゅう ■2009/06/11 00:01:45
 間違いない。
 いいテンポですね。そしていい関係でもある。
 なんかまあ魔理沙のもやもやっとしたものがこっちにも伝わってきて、読んだ後もなんかもやもやっとしてましたが。
16. 5 so ■2009/06/11 07:51:01
ああ、乙女チックモードの魔理沙は可愛いなあ。

というのは、魔理沙と霖之助が絡む話を見る度に思っていました。

筆主様ならではの一スパイスが欲しかったという印象です。
17. 7 上泉 涼 ■2009/06/12 02:02:54
心の揺れ動く魔理沙が可愛くて可愛くて仕方がない。それにしても香霖は罪作りなやつですねw
18. 8 ぴぃ ■2009/06/12 02:28:28
いやー、可愛いですねこれ! 
魔理沙の乙女心がよく書けていると思います。
薀蓄具合もまた素敵。堪能しましたぜ。
19. 5 リコーダー ■2009/06/12 11:12:46
いくらなんでも油汚れ扱いは酷いと思った。
けれど魔理沙っぽさと乙女っぽさの兼ね合いは良い塩梅だったと思います。
20. 7 八重結界 ■2009/06/12 16:36:05
乙女な魔理沙にこっちも心が痛んだり、ニヤニヤしたり。
恋する乙女というのは、見ているだけで面白いものです。悪趣味な話ですが。
21. 5 moki ■2009/06/12 19:23:53
なんとも乙女乙女してるというか年齢相応の少女な魔理沙だなぁ。新鮮。
内面描かれない分あまり意識しませんが、一人称で語るとこんなもんになるのかしらん。
22. 4 木村圭 ■2009/06/12 21:25:44
よしこーりんころす(お約束
それはさておき、自身の感覚として持っていない恋というモノを魔法の名前につけるというのはどうにも違和感が。
それを知った時に初めてマスタースパークが真の威力を持つようになるのだ、なんて話も面白そうだとは思うのですが。
23. 3 ハバネロ ■2009/06/12 22:03:02
少女漫画のような一幕
実妹の居るものには妹萌えが分からない、というアレだろか

魔理沙、強く生きろ
24. 7 時計屋 ■2009/06/12 22:04:11
 とりあえず乙女というより少女な魔理沙に十二分に悶えさせていただきました。
 文章もこういう恋語りの一人称は読んでいるこっちが恥ずかしくなることが多いですが、このSSは甘すぎることなくあっさりしすぎることもない、絶妙な味加減だったように思えます。
 ただ流れがちょっと型通りだったかな、と感じました。
 特にあの魔理沙の恋の話なので、もう一癖二癖なにかが欲しかった。
25. 2 つくし ■2009/06/12 22:53:47
申し訳ありません、時間が差し迫っているため、採点のみにて、感想本文は後ほど改めて。
26. 4 K.M ■2009/06/12 23:17:39
みすちーマジとばっちりw
27. 7 渦巻 ■2009/06/12 23:41:19
あとがきにやられた、良い読後感でした
思っていた展開と少し違っていたのも好印象
28. 9 つくね ■2009/06/12 23:43:12
乙女乙女していて翻弄されてと、魔理沙の魅力が良く引き出されていたと思いました。
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