暗闇色に覆われて

作品集: 最新 投稿日時: 2009/05/09 23:10:12 更新日時: 2009/06/15 18:53:42 評価: 18/18 POINT: 78 Rate: 1.08
 □□□ 0 □□□
 
 
 そこにいた理由を、私ははっきりと覚えていない。
 正解に近い答えを想像は出来るが、そんなことはどうでもいいことだから、考えたことはないし、これからもないだろう。
 覚えていたいのは二つだけ。
 
 一つはその日に出会った彼女の名前。
 もう一つは、目に焼きついた強烈な色だけだ。
 
 
 □□□ 1 □□□
 
 
 ××は目を覚ましたときには、そこにいた。
 どんな経緯でそこに辿り着いたのか、そんな記憶は一切無かった。
 というより、はっきりしているのは自分の名前と意識くらいで、今まで何をしていたのかも、ここが何処なのかも、照らし合わせる記憶も持ち合わせていなかった。
 石と土の寝床から身体を起こして、周りは真っ暗で、辛うじて見える物が木と草くらいしかないことに気付いた後、ようやく危機感が芽生えた。
 大体、××はいつもこうだ。他人よりも直面した出来事への反応が薄い。
 だから、貧乏くじをよく引いてきたし、起こしたことの重大さにも疎かった。まさかこんな形でそのツケを払うとは思わなかったけど。
 とにかく、今の状況は普通じゃない、その実感が夜の暗さと共に身に染みていく。
 
 はて、記憶を持たない××は何と比べているのだろう。
 比べるべき対象をもたない××が、
 それが今の危機的状況に陥っている××と、記憶を持っていた頃の××と比べているのか。それとも××が抱いていたはずの常識と比べているのか。
 もしかしたら、普通の人は普通の××より遥かに遅くあらゆる反応を起こしていて、今の××は反応精度が落ちている状態なのだろうか。
 それとも普通の××の反応はやっぱり人より遅くて、それと比べて××は……。
 
 む。なんだかよくわからなくなってきたぞ?
 人並みに動揺してるようだった、その人並みというのもよくわからないのだが、もう考えないことにする。
 ××はどんな人間だったのか、誰かに問いただしてみたいところだが、それを唯一知っているだろう人間はここで、見っとも無く地面にへばりついている。
 こんな出来損ないじゃ、聞きたくてもまともな答えは期待できないだろう。
 もしやすると、まとまな答えなんて無いほど、つまらない人間だったのかもしれない。

 そう考えると少し楽しくなってきた。
 つまらない人間だったはずの××は、今この瞬間にそのつまらなさから抜け出すことが出来たのだ。
 ××の中身は、少し端に色が付いて汚れている程度で、真っ白と言って遜色ないほど、薄っぺらでシンプルな状態なのだ。
 真っ赤な絵の具に身を浸すも、真っ青に塗りたくるも自分次第だ。
 気の向くままに色を塗っていった××は、どんな色に染まるにだろうか? その答えを知るのは、記憶があった頃の××でも今のシンプルな私でもない。
 ××の好きに色づけされた××しかいない。
 
「よしっ」
 自然と声が出て、立ち上がっていた。
 けどそれも仕方ない。だって、今思いついたことは、あまりにも魅力的すぎたから。
 私は、そこで"××"と決別を告げた。
 ここに来るまでの、記憶があった頃の××と。
 無い記憶を探っていた、数秒前までの××と。

 とりあえず、ここがどんな場所なのか把握しなくては。
 今が何時なのかわからないのも不便だ。月が見えれば大体わかるかもしれないが、月や星で時間を測った経験などないから、求めた時間に信用もできない。
 何をすべきなのか、この一つの疑問にいくつも解答らしきものが浮かんでは消えていく。拾い上げてまた再度捨てられることもある。

 少しの間目を瞑って考え込んだ後、どうせなら思いついた端から実行することにした。なので、とりあえずは色々と歩き回ってみよう。
 真っ暗で、数メートル先も見えないわけだけど、決めたからには歩き回らなくては。どこまで意味があるかはわからないけれど。
 そうして、私<ワタクシ>は新しい私<ワタクシ>を始めた。
 足取りは軽く、文字通り一寸先も見えぬ闇の中に歩き始めた。
 初めての抱いた感想は、足の裏に食い込んだ石ころへの恨み言だった。
 
 このとき以来、私<ワタクシ>は元の私<ワタクシ>を忘れた。
 微かに残っていた記憶と一緒に、自分の名前も全部。
 
 
 ■■■ 1' ■■■
 
 
 幻想郷の夜は、静かで明かり一つ無い。
 時折妖怪が飛び回り、その時にちらりと光が差して、ここが何かが生きている場所だと知る程度だ。
 この世全ての夜が、こうでないと知っている者からすれば、この深い深い夜は尊く感じられなくもない。ただし、その差に慣れてしまえば、ただ動きのない退屈な時間としか映らない。
 妖怪の息づく幻想郷といえど、主役は人間たちの活動する昼間だ。
 その理由が、人間の数の多さ故なのか、妖怪の成り立ち故なのか、それとも博麗の巫女がいる故なのか。
 答えを知るものはごく一部でしかなく、答えを知るであろう者は一様に口を閉ざしたままだ。
 もしかした、本人たちも忘れていてしまって、話そうにも話せないのかもしれないが。
 
 そして、その一員であろう彼女の影が、少女が目を覚ました頭上に、現れた。
 目を覚まして熟考を続け、ようやくその場から動き出した少女の背に独り言が漏れる。
「あらあら、これはいつになく新鮮な反応をする子ね。人選失敗? それとも、人選事故かしら?」
 少女は既にその場所を去った後で、その純然たる独り言に気付くわけも無い。
 彼女は空の境目から顔だけを出して、少女の歩き去った方向を見据えているだけで、言葉を届ける気はないのだから。
 だからこそ、その胡散臭くて心底楽しそうな笑顔を、目撃する者は誰もいなかった。
 
 
 ■■■ 2' ■■■
 
 
 その日は少し、いや、とても珍しいことが起こった。
 日は当に落ちていて、むしろ落ちてからの時間を数えるより、昇ってくるまでの時間を数える方がよっぽど早かったように思える。
 当然そのような時間では、里には物音一つない。多くが明かりを取るための蝋や薪を節約し、幾ばくかの夜更かしの過ぎる者たちですら、日中の疲れと暗闇に負けて寝床に逃げ帰っている。
 示し合わせたわけもなく、個々の生活がリズムを作り、そのリズムが集まって自然と里全体の生活も定まっていく。
 だから、その夜も私は明日のために身体を休めているはずだった。
 
 幸運だったことは、深夜の里に響いたその声を聞き逃さなかったことだろう。
 不運だったことは、この事態全てを指している。この夜が満月でなかったことも、この出来事のせいで折角休まっていた私の眉間に再度皺が寄ったこともだ。
 
「いただきまぁす」
 
 里の上空に浮かぶ人影が、両の手を胸の前に合わせた。
 食前の礼儀としてではなく単なる習慣として、これから食す料理に向けて両の手を合わせたまま礼をした。
 その垂れた頭の先にあるのは、眼窩に並ぶ家々――の中で熟睡している人間たちである。
 当の人間たちは、未だ起きる気配もなく寝床で身体を丸めているばかりだ。彼らが目を覚ますのは、この数刻後、里の空に音が響き、光の弾が視界を覆い尽くす頃である。

 手早く寝間着から着替え、お気に入りの帽子を頭に乗せて夜空に昇る。
 小さくなる、というほど高くは昇ってはいない。ただ里の姿形がある程度見える方が、守る立場としても責任を忘れずにいられる。
「待て、妖怪。堂々と真夜中に里を襲うとはいい度胸だ」
 少し位置のずれた帽子を正しながら、人影――いや、妖怪と向き合う。
「真夜中なのに、堂々?」
「お前のような宵闇の妖怪に限らず、妖怪が昼間から人を襲っている方が卑怯だろう」
 宵闇の妖怪と呼ばれた妖怪ルーミアは、私が現れたことにもさして動揺した様子もない。
 ルーミアはそれほど恐ろしい妖怪ではないが、多くの妖怪の例に漏れず、人を襲い食すこともある。どれほど、無邪気そうな顔をしていても、出て行ってもらうことには変わりない。
 それはルールだ、仕方ない。だが、それルールのお陰で、妖怪と人間の溝が最底辺まで落ち込んでいないのも事実だ。
「ねぇ、もう『いただきます』って言っちゃたんだけど?」
「礼儀正しいのはいいことだが、暢気だな……お前は」
 そーなのかー、と間の抜けた返答なんてしてくれる暢気さが私のため息を誘った。
 両手を上げて、足をそろえて宙に浮く姿は暢気を通り越して、間抜けがひっくり返って、幼い女の子のように可愛らしくもある。
 しかし、ともう一度ため息交じりで呟く。
「里の人間を襲うつもりなら早々お帰り願おうか、ルーミア」
「夜の方が堂々なら、いつも真っ暗なわたしはいつも堂々なのかしら?」
 終始気の抜けた態度には、肩透かしな感もあるが、幻想郷にはこんな奴らばかりだ。そのせいで頭が固いと私が言われるのは何か違うと、実は常日頃思っている。

 とにかく、前口上は充分。
 あとは本題。授業なら字を大きくして下線を引き、声を張り上げる部分だ。
 決闘<スペルカード>という後始末が始まる前に、聞かなければならない本題があるのだ。
「ルーミア、一つだけ質問に答えてもらう」
「なーに? 一つだけならいいよ」
 了解を得てから、果たしてどんな言葉で尋ねればいいのか迷う。
 こんなことなら、矢継ぎ早に質問を重ねてしまえばよかった。とはいえ、一つに絞る他ない。
 私は意を決してルーミアとは対照的に固い表情で口を開く。
「何故、今日に限って里に来た?」
 なんだか、失敗した予感がした。
「いつもよりお腹が減ったから」
「……そう、だよな、うん……」
 案の定何一つ、得たものはルーミアの胃袋事情だけだ。
 これでも里の知識と教養を司っている一人だと思うと、寺子屋を閉めたほうがいいかもしれないとも思う。
 かと思いきや、ルーミアの言葉はそこで終わらず、まだ先に続いた。
「だって、ワタクシを追っていったら、ちょうど里だったんだものー」
「は?」
「誰だってお預けされたまんまじゃ、たまんないわー」
 私を追ったら、里に出た……?
 え、なんだそれ。それって単に自分で里に向かったんじゃないのか?
「質問は終わりね」
 混乱する私をよそに、ふらふら宙に揺れていたルーミアの動きが変わる。
 力の抜けた動きのまま、私を惑わすように右に左に、軸を定めず旋回し始める。
 弾幕ごっこ、とも呼ばれる勝敗を決めるゲーム。そのゲームに負ければ、私はルーミアを止める術を持たなくなってしまう。
 どんな口上を並べて揃えて見せても、結局はこうなってしまう。
 というのが、この幻想郷のルールであり鉄則のようなものなのだ。
 
 私が質問をしたのは、このゲームの勝敗のためではない。
 ルーミアが人を襲うといっても、それはほとんどが夜道を一人で歩く粗忽者や、目に余るほどルーミアの気を損ねた相手だと聞く。
 そうでなくとも妖怪が一人で、何の理由もなく人里という人間たちの中心部を狙うことなどまずない。というより、あってはならないことだ。
 だからこそ、今回は何か別の要因が働いていると思ったのだが……疑問を解消しようとして、余計こんがらせたような気もする。
 しかし、質問を重ねて、約束を違えるわけにもいくまい。
『国体「三種の神器 郷」』
「げ……」
 もし何かがあったら、何かが起こる前に、"里自体を隠す"必要も生まれてくる。
 ここは、早期決戦でいかせてもらう。
 質問でなく、尋問であれば重ねて行っても適わないだろう。
 
 
 □□□ 2 □□□
 
 
 今まで知っていた夜とは、二つに分けられていた。
 今まさに歩いている一寸先も見えない暗闇の夜と、人の力で暗闇を隠して昆虫みたいに灯りに集まる夜だ。
 その影響か、こんな真っ暗な森の中がこれほど騒がしいことに違和感を感じてしまう。
 虫の囀りは休むことなく耳に届き、鳥や獣の放つ鳴き声を始めとした様々な音が時折それに混じり、何故かこの森が生きていることを実感させられる。
 息切れなく続く、虫の鳴き声があまりに規則正しいせいかもしれない。
 
「――!」
 何かの音が聞こえ、自然に身構えた。
 無意識で腰を落として、見えもしないのに周囲に目を走らせる。
 加速する思考の中で、武器が何も持たないことや裾の長いスカートを履いていることに舌打ちした。
 そう言えば、自然界の中で自分の足元を邪魔する物を身につける生物なんて、人間くらいかもしれない。腰まで届く髪の毛もまた同様で、重りにしかならないように思う。
 
 益体の無いことを考えていると、何かの気配が近づいてくるのがわかった。
 自分のいるこの場所をめがけて距離が縮まっているのか、それとも進行方向に触れているだけなのか。
 その差が明暗を分ける。
 相手はここの、この森の夜の住人だ。
 何もかもビギナーな人間が、正面から敵意を受けたとしたら一溜りもあるまい。
 相手も人間であるとは考えていなかった。
 流石に、目の前も見えない場所を歩く人間は、自分くらいだろう。何より、気配が近づいてきても明かりが近づいてくる様子は無い。
 
 野獣か何かか、もしくはそれ以外の何かか。
 後者の予想も捨てきれぬまま、遭遇の時が近づいてくる。全身の肌が危機と恐怖を感じ取る。
 まだか、まだか。
 来るか、いやまだだ。
 もう来るだろう、来るだろう。
 ああ、来る。来るぞ。
 近づくぞ、触れるぞ。どうする、××、何も出来ない。悩む暇も無く、狭い狭い視界の中にそいつは――。

 黒い円が現れた。
「へ?」
 月の明かりも、微かに見える森の風景も飲み込む真円。
 深淵な暗闇の真円……とかそんなことはどうでもいい。
 私<ワタクシ>の頭の高さに、円の底部があり、そこから人間一人分より二回りほど大きな黒い円が築かれている。
 二十年も経験していない私<ワタクシ>の人生の中で、こんなものは見たことも聞いたことはない。
 見たことはなくても、聞いたこともなく、想像もつかない物なんて案外少ないのではないだろうか。
 息を止めて、じっとそれを観察してもよくわからない。
 思い切って数歩分の距離を取ってみると、それの奇怪さがよりわかりやすくなった。
「……これは、何かしら?」
 黒い。というか、その一箇所だけ色がついていない。
 息を飲むほど美しい絵画の上に、絵の具が跳ねてしまったかのような喪失感がある。

 ぐるぐると、その怪異を中心に角度を変えてみると、少しだけわかることが増えた。
 正確に言うとこれは円じゃない。
 これは球だ。
 それも、ゆっくりと進行している。私を無視して、私<ワタクシ>の視界から消え去ろうとしている。
 もしかしたら、これは何かの自然現象なのだろうか?
 だとしたら、研究者でもないのにじっくり観察している姿はあまりにバカらしい。
 
 ゆっくりと遠ざかっていく球。
 得体の知れない気配が去っていくのだから、一つの危機から脱したことになるのだろう。
 もしあれが生物だったらどうだろう。私<ワタクシ>は千載一遇のチャンスを棒に振ることになる。
 いや、生物だとしても自分が襲われる可能性を含めれば、チャンスである可能性は減りに減って見るも無残。
 視点を変えれば、その見るに耐えないチャンスこそが、これから私<ワタクシ>に巡ってくる最大のチャンスなのかもしれない。

「――こんばんわ、良いお天気ですね」
 意を決する、それより前に、私<ワタクシ>は分の悪い賽を振っていた。
 それも定番の天気ネタ、内心では勢いで口を開いたことを後悔し始めていた。
 しかし、良い目が出ても悪い目が出ても、恨みっこなし。私<ワタクシ>の持てる力を総動員して、良い結果を引き当てるよう、全身全霊で努力してみよう。
 
「…………」
 ピタリ。
 黒い球体が、動きを止めた。
 その代わり返答は無い。
 これで相手は見たこともない自然現象で、気合入れて肩透かしを喰らうという情けない出目は無くなった。
 残りは目は、最高、最低、考え方次第、もう一度振る、ふりだしに戻る、というくらいだろうか。
 球体の一挙手一投足も見逃さんと、目を細めて凝視する。
 緊張しているような、
「そうかしら? 今日は特に月が眩しくて、昼みたいだわー」
「え?」
 黒い球体が、小さく円を描くように動いた。
 どうやら旋回したわけではなく、こちらを振り向こうとして少しズレただけのようだ。
 久しぶりに聞いた自分以外の声は、まだ無邪気さの残る少女のように聞こえた。
「昼だけじゃなくて夜も肩身の狭い思いをしなくちゃいけないだなんて、やんなっちゃうわ」
「そうなの?」
「そーよ? 今日なんて、チクチクするくらい真っ青な晴天でうんざりしてたわ」
 心底億劫な雰囲気は伝わってくるが、如何せん表情を読むどころか見えないのが苦しい。
 ハンデ付きの会話をしながら言葉の背景にあるものを探る。
 家柄とか出自とかならまだしも、今の私<ワタクシ>が探るのは理解を超えた世界、という可能性もある。
 少なくとも夜の森を歩いていたら、黒い球体とお喋りできる、なんて話を御伽噺だって聞いたことがない。
「そうね、私<ワタクシ>夜にしか出歩いたことありませんから」
 少なくとも昼と夜の時間の概念は変わらず存在してくれるらしい。
 弱気になってるせいか、この夜が永遠に続くと言われても信じてしまいそうだった。
「ワタクシ?」
「そう、私<ワタクシ>」
 黒い球体が半個分くらい近づいてくる。なにやら興味を惹いたらしい。
 会話の節々から色々拾えたとは言っても、こんな大きさ球体がふよふよ浮く原理の説明にはならない。
 まさか、大きな風船ということはあるまい。
 
 その風船が私<ワタクシ>を中心に弧を描いてみせる。
 近づいていたこともあって、警戒されていると言うより、興味津々に観察されてるような気分だ。
 しかし、こういう生きた挙動を見ていると、黒くて丸い身体を持った生き物のようにも感じる。
「ワタクシは人間?」
「人間じゃないの?」
 すっと、手を伸ばせば触れられるくらいにあった暗闇が薄くなったように見えた。
 闇夜より尚暗い暗闇が、満月の光に少しだけ溶け込んだ。
 それでもまだまだ黒い球体の中から小さな光が差す。
 球体の中から同じ高さの点が二つ。
 先程から観察されているような感覚が高まる。息が止まる。
 弛緩していた神経が一瞬にして引きつった。

 ただの観察は終わりかけている。
 あれは、眼だ。
 最終判断のために開かれた双眸だ。
「……何か?」
 唾を飲み込む。そんなことを意識してしまうのは、昂ぶっている証拠だろう。
 動きづらい格好を鬱陶しいと感じたのは何回目だろうか?

「なんだ、勘違いしちゃったじゃない」
 途端、視界を消滅した。
 視力を失った者の見る風景を思わせる、眼が潰されたと思わなかったのは痛みが無かったからだ。
 予想が追いつかず混乱しているせいで思考が定まらない。
 黒い球体の中に埋まっているんだと理解するよりも、恐怖から後ずさりする方が早かった。
「妖怪かと思っちゃったわ」
 二歩下がって後ろを振り向けば、見慣れた夜の森があった。
 明るすぎるという感想に少しだけ同意する。

「人間ならお腹を空かせた妖怪に襲われてもいいわよね」
 明るさを嫌い、暗さを纏った――妖怪。
 ここに来て、ようやく認識を改める機会がやって来た。
 どうやらここは、この世界は命の安全が、私<ワタクシ>思うほど保証されていないらしい。
 ごっこ遊びでは感じられない生の感覚だ。
 直感的に本物だとわかってしまう。
「本気? とか聞いてられないようですね」
「おあずけ、は好きじゃないわ」
 戦う?
 打開策を練る?
 思い切って逃げ出してみるか?
「私<ワタクシ>まだしなくちゃいけないことがあるの」
 思考を練る余裕はない。感性のままに口を開く。
 もちろん口から出てくるのは出任せもいいとこ、とにかく生き延びる。
 生きるか死ぬかで小賢しい真似も、潔い真似も趣味じゃない。
 その場しのぎくらいで、ちょうどいい。
 死期が延びただけでも、ただの悪あがきでも。

 何とかして生きたいと思っているから。
 まずは局面を変えなくてはならない。
 強引にでも実行の段階からズラす。
「しなくちゃいけないこと?」
「そう」
 力比べの必要は無い、とにかく逃げる。
 逃げるためには?
 足?
 逃げ道?
 いやそれよりも、
「そのためには人が集まる場所へ、行きたいの」
 何を言っているんだろう。
 怪しむ妖怪の顔が見えるようだ。
 けど逃げるために、恥とか余計なものはいらない。
 不必要なのは?
 必要なのは?
「それさえ叶うなら、あなたに食べられたっていいから」
 旗色は良好。
 何とか、なるか?
「んー、とりあえず里まで案内しろってことかしら?」
 とりあえず、頼れそうな人を探すのが最優先だろうか?
 里まで行ったら囮はたくさんいるだろうし、身を守ることを最優先にしよう。
 
 
 ■■■ 2'' ■■■
 
 
 妖怪と話をしていて、なんだか会話が成り立っているような気がしないのはいつものことだ。
 半妖である私ですらこれなのだから、里の人間にしてみれば言葉が通じないもの同然なのかもしれない。
「被害の出た家はあるか?」
 ルーミアはなんとか追い払うことができた。
 満月ならもっと早かったのだが、月齢に文句を付けても仕方がない。
 妖怪がいなくなったことで、大人たちは明かりをつけて、自分の家族が健在かどうか確認しているところだ。
 恐らく目立った損害は無いはずだが、私がルーミアに気付く前の被害もありえる。

 確認するだけだと言うのに、その手際はかなり悪い。
 不安が先立つのか、真夜中だと言うのに道端で情報交換している者や意味もなく逃げ出す準備している者が多いせいだ。
 必要以上に怖がって、未だに家に閉じこもっている者すらいる。

 しかし、それも仕方ない。
 妖怪が堂々と里に襲ってくることなど滅多に無い。
 妖精が悪戯しにきたり、人でないものが買い物に来たりすることは珍しくも無く、それに良い顔をしないものもいるのは事実だ。
 それでも今回の件を踏まえると、敵意の有無はやはり恐怖を掻き立てるようだ。
 致し方とはないとはいえ、暫くは里の警戒心は強くなることだろう。

 それより問題は、
「先生」
「む。何かあったのか?」
 里に住む大人の一人が、私のすぐ傍まで寄ってきていた。
 彼も一つの家族の大黒柱だが、かなり落ち着いてる方のようだ。
「いえ、違いますよ。ただ、ちょっと……」
 話の切り口探る風に、彼は言葉を濁す。
 落ち着き具合と煮え切らない態度のバランスの悪さが気になった。
 緊張を伝えないように、私は密かに気を引き締めて彼の話を聞いた。
 
 
 
 聞き取りやすい話ではなかったが、内容を伝達するために必要な情報は揃っていた。
「『妖怪のことで困っているから、どうにかならないか』か……」
「はい、それとなんだか息が切れてるようでした」
 要約すると、先程、見慣れない少女が里を訪ねてあっという間に去っていった、という話だった。
 見慣れない少女……連想することをいくつかあるが。
「その少女が現れたのは、ルーミアがやって来たのと同時だったのか?」
「いや、それはちょっと……」
 彼にはそもそもルーミアの現れたタイミングが正確わからないようだ。
 実際に相手をしたのは私だけだから、仕方がない。
「それで、博麗の巫女のことを教えたら、いつの間にか消えてた、と」
「そうなんですよ……見慣れない服装で結構目立ったんですけどね」
 外の人間は初対面の人間への警戒心が強いと聞く。
 この幻想郷で里の人間に警戒心を抱いてどうするのかと思うのだが、おそらくどうしようもなく妖怪の食事になるのだろう。
 そう思うと、こんな詮索も無意味かもしれない。
「巫女の名前を挙げたときの反応は?」
「名前は言ってないですけど……服装とか特徴聞かれましたよ」
 神社の巫女、という風にしか伝えてないようだ。
 しかし、幻想郷で巫女と言ったら博麗の巫女以外を連想するものは居るまい。
 やはり、外の人間が里を警戒して出て行っただけか?
 ルーミアに追われてきたと思えばわかるが、その割にルーミアの様子は……少し違和感がある。
 追っているのはあまりに堂々と姿を現しすぎていたように感じるが、文字通り余裕の表れとも考えられる、か?
「……最後に一つ」
 黙りこくった私を見て、立ち去るタイミングを見計らっていた彼を呼び止める。
 最後、と宣言することで、彼の少年のような救われた表情が少し頬が緩む。
「少女は、……いや、その……おかしな様子は無かったか?」
 気が引けて言いよどんでしまう自分が恨めしい。
 割り切れたない部分が自分にあるせいだ。まだまだ足りない部分が多すぎる、私は。
「おかしな、ですか? うーん……口調が少し変でしたけどそれ以外は……」
「変な、口調?」
「ええ、女の子なのに自分のこと『僕』って言うんですよ」
「それは……」
 それは、特に気にする部分ではない。
 肩透かしを喰らって、気勢が削がれた。余分な力が抜けたとも言える。
 緩んでたはずの神経はとっくに鋭くなりすぎていたことに、ここで気付いた。
「それは別に変ではないだろう。確か霧雨の娘さんも『僕』とか『俺』とか、そんな口調じゃなかったか?」
「そうでしたっけ?」
 はにかんで笑ってみせると、彼もそれに合わせて笑う。
 そうだ、これはあくまで他愛もない笑い話だ。
 聞こうとした質問は、聞かないことにして飲み込む
 こんな質問を戸惑ってない言えないのも、半妖という自分の種族を割り切れてないせいだ。
 構えて言わなければ冗談とも取れるものを。

『その少女は人間だったか?』
 理屈から疑っていたのか、それとも未熟さから過敏になっていただけなのか、それはもうよくわからない。
 
 
 □□□ 3 □□□
 
 
 里は思ったより寂れているような、想像よりは人がいて活気に満ちていたような、つもりそんな感慨も浮かばなかった。
 あの妖怪を連れてきてしまった以上、長居をする気は元々なかったからいいのだが。
 
 本当にそうか?
 人の群れる場所に、人の集まりに。
 嫌悪感を抱かなかったか? 僕は。
 劣等感か? それとも、疎外感か?
 あるいは全てが正解か。
 
 神社への道のりは、無意味な自問自答を引き起こせた。
 まだ賽銭一つ入れていない異邦人の私には、ご利益も何も無いだろうに。
 おおよその方角でしか神社の位置聞いていないので、迷うことは覚悟の上だったが、夜空に星が減って明るくなってきたお陰か、案外楽な道行きとなっている。
 
 里であった人間の話しぶりでは、妖怪に襲われる、とは不運であっても、極々有り触れた出来事のようには聞こえなかった。
 夜が妖怪の時間と言えど、人間と同じように夜に眠る妖怪もいるのかもしれない。
 もしやすると、里と神社を繋ぐ道だから妖怪も近づきたがらない、という線のほうが現実味がある。
 まさか妖怪が神社に集まることも、昼間から人間とまぎれて生活するなんてこともないだろう。
 
 
 深くモノを考えすぎないように心掛けて、淡々と真っ直ぐに暫く歩いていると
「んっ」
 ようやく何か神社らしきものが見えてきた。
 思わず声が漏れてしまうくらいには嬉しい。犬とか猫が飼い主を見つけたような原始的な感動だ。
 まだまだ木々の先にあると言えど、目的地が定まり迷っていなかったことの裏付けがされると力が抜ける。
 里に寄る以前の道と同じような、随分に不親切な獣道で本当にこの先に人が住んでいるのか、不安になっていたせいもある。
 
 正確に言えば、まだ見えいるのは鳥居の一部だけで、他の建造物はまだ視覚に捉えていない。
 柱一本分の厚みの建造物なんて、建設途中の家か、およそ見張り台くらいしか価値がないだろう。用途で言えば、信仰や象徴という意味合いを司ることもある。
 正面からの絵で捉えられていたら、もっとわかりやすいけれど、あの簡素な造りは遠めで横から一部だけ見てもわかりやすい。
 神社に入るのだから鳥居から入りたいところだが、流石にそれには遠回りすぎる。
 今の僕がいる場所は、どちらかというと鳥居の真反対側の方が近いくらいである。
 
 どこから進入するか、なんて辿り着くことより幾許も価値のないことを考えていると、大分近づいてきたのがわかる。
 思ったより進んだ距離を感じ、くだらないことを思いついて目測で距離を見る。
 先程も含めて約四回分、深く考えずに直感で決めた。
 そうなるとあと三回くらい、似たような思考に没頭すれば丁度よく到着するかもしれない。
 
 ならば次はどちらへ? なにか引っかかる部分はあるか?
 紅白の巫女。
 妖怪についてなら、という人物らしい。
 だが、どのような人なのだろう。そんな疑問が付いて出る。
 里からこれだけ離れた場所に住んでいるのが気になる。
 距離を問題にしなくても道が整備されているとは言いづらい。もしかしたら僕が見当はずれな進み方をしてるだけで、本当はきちんとした道があるのかもしれない。
 む、自分で自分の仮定を論破してしまった。
 この仮定を元にすれば、確かな地位に就いた権力者ではないだろうと予想でき、それだけ特殊な存在なだけに厄介がられているのかもしれない。
 などという方向性にも引っ張られるのだが、そうもいかないようだ。
 
 しかし、里で話を聞いた彼の口ぶりでは、妖怪が人間に脅威であるのは間違いない。
 そんな危険と隣合わせ、の一、二歩手前のような環境がこの里には、この世界には作り上げられている。
 人間の力が弱いのか、それとも弱かった頃なのか。その差は僕には関係ない。
 死を想え、とはどこの言葉だったか。
 どこかの文献で拾い上げたのか、自分で作った可能性も無きにしも非ず。
 しかし、そんなぬるま湯に浸かったこともない里の人間なら、その妖怪に関して明るい人物に頼ることはないのだろうか。
 無いとは思えないのだが、里にも何らかの機能が無ければ黒い球体の妖怪が、わざわざ道に迷った僕のような者を襲うわけはない。餌箱があるのだから。
 そう考えると、おそらく巫女ほどではなくても里には妖怪に対して何か防御機関があったのだろう。
 もしやすると、巫女がただ妖怪に詳しいだけで毎日妖怪に怯えて過ごしてる変人ということも有り得るが。
 ここまで仮定してしまうと、巫女に頼る人物などいなくてもいいし、その巫女などいなくていいような気もする。
 
 いや、そういえばなんで僕は神社を目指してたんだっけ?
 それは身の安全、という理由なはずなのだけど、それは正しいけど違うはず。
 肯定してる頭と手足に反して、心の中では奇妙なくらい当然のように否定していて。
 頭に乗せた帽子を見失ったような気分に襲われる。
 違う、違う、落ち着け。
 一歩退けば見えるはず、見つかるはず。
 何故、向かうのか。何故、離れるのか。何故、逃げるのか。
 もう少しで、もう少しで出てくるのだけど。
 
 ああ、だがしかし。
 もう神社は目の前で。僕は鳥居を左手に、境内を右手に。
 もう少しで、敷地に侵入する。
 
「はい、そこでストップ」
 
 
 ■■■ 3' ■■■
 
 
「そこまでよ、お嬢さん」
 その一歩の前半を、敷地の外側に合わし、
 その一歩の後半を、結界の外側に運んだ。

 神社に入らして博麗の巫女と会わすわけにはいかない。
 勘の良い彼女はなんとなしに、私が今神社周辺の結界に手を出したことに気付いたかもしれない。
 けれどそんなことはどうとでもなるだろう。
 
 まずはこの彼女の相手をしよう。
 口の端がつり上がり、扇で口元を隠した。
 
 
 □□□ 3'' □□□
 
 
 後になって考えると手際のいいことだが、浮遊感のようなものはなかった。
 まず最初に感じたのは、足の裏に伝わる反発力の違いだった。砂利を滑るような感触を期待していた僕の両足は、予想外の無骨な固さに安定感を奪われた。
 僕が踏むはずだった一歩は、神社の敷地に沿って切れる木々から踏み出した一歩目で、そこはまだ石畳ではなく土と葉と小石の混じる足場だった。
 しかし、今いるのは……神社に続く石段か?
 右側には目が眩むほど重なり合って、高さを下げていく石階段で、
 左側には数段足らずで、階段は終わってすぐさま鳥居が出迎えてくれる。
 
 まてまて、これは一体どういうことだ?
「お帰りなさい、外の世界に」
 正面から向かって両耳で受け取ったような、背後から忍び寄って何とか聞き取れたような方向と言うものを感じさせない声が響く。
 例えるなら、頭の中で響いてる、というやつだろうか。
 ありきたりの便利な表現だけれど、まさか自分が体験することになるとは思ってもいなかった。
 
 僕の驚きを置いてけぼりにして、声を続く。
「手違いで私たちの世界にお連れしてしまったことはお詫びいたします」
 外の世界、私たちの世界。
 頭の中で響く声が選んだ表現は少しわかりづらい。私たち、ということは主観の存在する何かの意思が僕に語りかけているということになる。
 何かの意思を個人と言い換えれば、瞬間移動を僕がしてしまっていることから考えても、人間であるとは考え難い。
 そこから導き出せる答えは?

 私は左側に体ごと振り返って、目印にしていた鳥居を中心に神社を全体を注視する。
 赤と言うよりは茶色に近い鳥居の柱。
 積もりに積もった葉や、意図性のない石ころや雑草。
 何とかまだ使えるかどうか吟味する必要を感じてしまう境内周辺。
「そう、外の博麗神社は朽ちかけたボロ小屋のよう。私たちの神社は、これよりはまだマシ」
 声の中にため息のような吐息が混ざる。
 というかため息なのだろう。この声の主はどちらの神社も満足できる状況ではないらしい。

 少しづつ声の主の正体が見えてくる。
 イメージ先行、輪郭は依然ぼやけたままだけれど。
 神社への言及、理解し難い現象の二つを考えてみると、一つ考えられることがある。
「貴方は、もしかして紅白の巫女様?」
 勝手に敷地に入ろうとした僕を咎めて、敷地外に追い出した。というストーリーなら辻褄が合う。
 なんで僕のことを察知できたか、とかそういう部分は、巫女にはそんな力があるということで投げっぱなしにしてしまう。
 
 回答は一拍以上空いた収まりの悪いタイミングで返ってきた。
「いいえ、巫女はこんな早朝じゃまだ寝てるでしょうね」
 言葉こそ丁寧なままだが、何やら面白がっているような声色だ。
 こちらの意図しない所で面白がられるのは、罵倒されるのと同じくらい人を不快にさせる。少なくとも僕はそう思っている。
 早い話が僕は面白くなかった。
「私は始りの紅でもなければ、終りの白でもない。どちらかと言うならば、とも言えやしない曖昧などちらつかずの紫色よ」
 これまた面白がっているようで面白くない。
 僕の中でこの声の主への評価が下がっていく。これは会話で後の先を取ろうと構えることに等しい。
 これ以上くだらないこと言うならば、冷たく叩きつけてやろう。
 これ以上煙に巻くようなことを言うならば、鋭く突き詰めてやう。
 ……と、ほくそ笑むような気分に慣れたのも一呼吸分だけ、折角待っている次の言葉が継がれない。
 どうにもタイミングが合わない。
 これでタイミングを敢えて外されているのだとしたら、相性が合わないという外ない。
 
「それでどうするつもり? 僕を」
 挑発的な口ぶりで相手に答えさせるようにする。
 後の先も何も無いけれど、一本とらないと気分が悪い。

 また独特の間が空く。
 性根の悪い人間が会話の節々に浮かべる笑い顔に似ている。
「どうもこうもありません。間違って連れてきてしまったのだから、これから貴方の望む帰り場所に戻して終わりね」
「なら、僕をさっきの方に戻してください」
 迷いも無く返答した。
 説き伏せたわけでもないのに、爽快感が少しだけあった。
「そういうと思ったわ、何故だか教えてもらえる?」
「嘘を言うかもしれません」
 微かに勝ち得た自己満足染みた爽快感を守りために、攻勢に打って出る。
 表情は動かしてもいい、けれど感情を動かしたらいけない。
 敵は明らかに規格外、どうやら紅白の巫女ではないようだが、その異常性がひしひしと伝わってくる。
 私たちの、という口ぶりと言い、あちらの世界の重要な役割を担っているのかもしれない。
 少なくとも外と内の行き来、というよくわからない概念の術を、問題なく実現させられるくらいには。
 
 じゃあこうしましょう、と前置きした上で、
「これから貴方が本当のことを一つ答えてくれたら、貴方の望むを一つ叶えてあげるわ」
 声はそんなことを提案してきた。
 真意が読めない、意図が掴めない、何の意味があるのだろう?
「本当のことを言わないかもしれないけど?」
 約束事を提示しただけで、問題は一切解決していない。
 しかし、続く声は聞こえてこない。沈黙という返事のようだ。
「わかったわ、どうぞ」
 不利な点は見つからない、強引に有利性を叩きつけていれば望みどおりに行くだろう。
 石段の上で胸の前で腕を組み、あらぬ方向に不遜な態度を貫いている姿は少し間抜けかもしれないが。
 
 それじゃあ、ともったいぶった声が頭に響く。
 開始の合図のようで身が引き締まる思いになる。
「素敵な鮮やか青のドレスね、自分で選んだのかしら?」
「それって質問? 衣服は衣服、飾りのことなんて覚えてないわ」
 まずは搦め手ということか。
 直球で来るとは思っていなかったので、動揺はしなかった。
 ようやく思い通りのペースになってきたように感じる。
「何故、『僕』と自分を呼ぶの?」
「」
「××って何?」
「ただの一人称の一つ」
「神社にやってきた理由は?」
「妖怪に追われていたから」
「嘘は言ってないだけで、本当のことを言ってもらえないんじゃ、ご褒美はあげれないわよ?」
「……それも質問?」
 また返事はない。
 これが顔の見える会話ならば、余裕をたっぷり蓄えた笑みが返事だった、と勝手に想像した。
 この相手が、生身の身体を持つ人間のような相手かどうかはわからないが。

「善処します」
「そう、それじゃあ」
 ここからが本番だ。
 言葉に出来ない感覚がそう囁く。
「何故、宵闇の妖怪は貴方を妖怪と勘違いしたと思う?」
「え?」
「何故、里で会った人間は貴方を人間だとわかったと思う?」
 答える前に矢継ぎ早に質問が重ねられる。
 いや、即答できなかった時点で有効打を取られている。詰まった時点で劣勢は確定的だ。
「それは……」
「わからない? それとも考えたこともない?」
 わからないのだろうか。
 考えたこともないのだろうか。
 その問いこそ嘘にはならないけど、本当のことは口に出来ない。
 わからないのも考えたこともないのも嘘なのだけど、その理由は出てこない。
 またこの感覚だ。
 何処で忘れてきたんだ、この答えを。
「あの世界はあらゆる物を受け入れる。けれど、それはあらゆる者が手を取り合っていることとは違う」
 今までのような質問ではない。
「人じゃないそれ以外、が認められているだけで、人間と人外の境が無いわけではないの」
 けれど、問い掛けであることには変わりはない。
 この声は何かを僕に伝えようとしている。
 
 理由もなく、里で感じた人間らしさから遠ざかりたくなったり、
 妖怪への警戒が、どうしても他人事にしか感じられなかったり、
 僕の中でどういう意味付けがされているのか。
 
「ほら、夜明けも近いからよく見えるでしょう」
 向こうの空を指差しているような言葉につられて、顔を上げて空を見上げる。
 黒ではない。
 青が混じるわけでもなく、黒が薄まったような曖昧さ。
 そう。それこそ、紫色のような淡い色遣いだ。
 もう星なんて一つもなく、あの夜に見た満月も薄くなっていた。
「今、何時?」
「聞きたいことは、あとでまとめて教えて差し上げましょう」
 時間なんて今は意味のないことだと言いたいらしい。
 でも、私は落ち着かない。日の出の近づくこの時間が、一体全体何時何分なのか。
「先程も言ったけど、素敵なドレスね」
「……ありがとう」
 息を調えようとしているのに、まだまだ落ち着かない。
 この声はチリチリ少しづつ理性を焼いていくようで、不快で仕方がない。
 言葉は通じるのに何一つ伝わっている気がしない。誤解が積もっていくようで、徒労を感ぜずにはいられない。
「森の中を歩いて来たには随分綺麗」
「そうかしら?」
「貴方の髪の色とも眼の色とも肌の色とも、よくドレスの色合いと合っているわ」
 何が言いたいのか、こればかりは先を読めたが答えてやるつもりはない。
 一度口を開けば、収まりがつかなくなってしまいそうだ。

 私の間を察したかのように、生温い風が吹いた。
 しかし、夜中の生温い風は星空を隠す雲くらいに気を滅入らせる。
「闇を操る妖怪も人間も、たとえ月の光が明るい夜でも、精々近くのものと光っているものしか見れていない」
「まるで昆虫みたいね」
「出来すぎた容姿に、危機感の希薄さ。それとそんな瞳を捉えたら、人間と思うかしら?」
「……さあ? 鏡はあまり好きじゃなくて」
「暗闇に隠れていなければ、貴方は立派な人外」
 あの妖怪と変わらない。
 人間でありながら人間の枠から爪弾かれる。
 この声はそれを伝えに、私をここに呼んだのだろうと勝手に思う。
 
「そんなこと、ずっと前から知ってるわ」
 私にそれ以上続けられる言葉はない。
 取り繕う気にもならないのは、本音だったせいだ。
 まともに答えてしまったのはこれで一回目だろうか?
 
 私の答えに満足したのか、声の主はこんな宣言をする。
「最後の質問」
 吐息混じりなその声は今までになく情感が篭っているように感じた。
 その声を聞いて、本当の本番はこの質問だけじゃないのか、と思った。
 前回同様、その感想に根拠はない。
 感想なんて直感で作られるものなのだから当然かもしれない。
 
 息を吸い込む音。
 否応なしに眼光が鋭くなるのがわかる。
「貴方は何で私たちの世界、幻想郷に戻ろうとするの?」
 人外だと言われても、なお……何故?

 それがわかれば苦労はしない。
 立ち上がりかけた感情的な部分が、そう言い放ちそうになった。
 自分が望んだことだと言うのにその理由も口に出来ない。
「わからないわ」
 結局、興味無さそうに告げることで逃げ出した。
 こんな態度なら相手には伝わっているだろうに、答えたくないことと答えないことは違う。
「ふふっ、可愛らしいとこもあるじゃない」
 得体の知れない奴に、こんな情けない本音を言うくらいなら地獄で生きることを選んでやる。
 私の想像力じゃ、それに見合う願望なんて思いつかない。

 頬に熱を感じたのなんて、何年ぶりだろう。
「何かよく切れる刃物。それとさっさと私を元の世界に戻して頂戴」
 紅色に染まった頬を誤魔化すために、自分の望みを思いつく限りに言ってみる。
 口調がぶっきら棒になってしまうのは、最早どうしようもない。
「それと時間だったかしら?」
「そう。さっさとして頂戴」
 そう言って十秒と経たないうちに、お待たせ、と声を掛けられる。
 なんだか変な感じで、質問が終わってから相手の声色も変だ。
 しかも、お待たせ、ということは刃物を何処からか持ってきたのだろうけど、どういう原理で運んできたのだろう。
 というかどうやって渡されるんだろうか。
「ささ、手を出して」
 プレゼントを差し出されて開けてみて、と言われてるみたいだ。
 調子が狂うのは今に始まったことじゃないが、なんだか居心地が悪くてたまらない。
 とりあえず、言われたとおりに左手を前に差し出す。
 生憎ダンスを誘うときのように、ご丁寧に見栄えがよくなるような手の出し方ではない。
 何より、そういう時はやわらかく笑ってみせるなければならないのに、私は仏頂面のままだ。

 と、差し出した指の先で変化が現れた。
「な、なにこれ」
 ダンスを受ける手は現れない。
 その代わりに指先にあったはずの、風景が裂けていた。
 風景画の裏側からカッタで刃を入れたかのようだ。絵なら勿体無いと思うくらいだが、現実でされると気味が悪い。
 指先にあった淡い色の空を引き裂いて、光も色も形も全部飲み込んでいる。
 裂け目は広がって瞳形に開かれる。
 半眼に開かれた裂け目から、人の手が伸びる。
 何となく想像できたと言うのに、何でこんなに気持ちが悪いのだろう。
 その腕は、私の掌の上まですっと伸びてくる。
 おそらくこの光景を横から見たら、もっと気持ちの悪い気分になるのだろう。
 得体の知れない腕と意思の疎通に成功していることですら、眼が回って倒れてしまいそうだ。
「はい。貴方のドレスと同じ色の刃物と、貴方の髪の色と同じ時計」
 肘まで覆う白い長手袋のせいで、肌は見えない。
 その先に言われたとおりの物が持たれている。細く長い指先には似合わないナイフに、無骨な造りの懐中時計だ。
「……ありが、とう」
 初めて動物とコミュニケーションを取った人はこんな気分なのかもしれない。
 というか、時間を教えてって時計が欲しかったわけではないのだけど。
 まあ、いいか。
 
 私がナイフと時計をしっかりと掴んで、胸元に退いて持ってくると、裂け目から現れた手も下がっていく。
 その様子は、機械的に私の声に反応したようでもある。
 だが、人が目の前にいるかのような受け渡しをしただけに、裂け目から現れた腕はこちらを視認しているのだろう。
 長手袋の華奢な腕や声の高さなどから考えると、相手は女性だろうか。
 その女性は何者なのか、それ以上考えられる気はしない。

 とりあえず目的の物を手に入れた。
 時間は、時間を刻むものを手に入れただけに焦るものでもない。
 ドレスの胸元のポケットにしまう。
 サイズといい形といい、ドレスに誂えたかのようにぴったり合うのが少し怖い。
 ここで素直に感心したり喜べたら、私の人生も少し違った色がつくのかもしれない。

 左手に残ったナイフを改めてよく見る。
 柄は言われたとおり、ドレスと同じ色をしているが、刃の部分は至って普通のナイフのように見える。
 ナイフの細かい良し悪しを判断できるわけでもないので、一端ナイフを右手に移して、左手でナイフを逆手に持ち直す。
 刃を内側に向けて心臓に突き立てれば、重苦しかった色々なものから解き放たれて、終止符が打たれる。
 が、そんな気はない。
 
 まずは長すぎて動きづらいドレスの裾。
「あら?」
 大胆に膝より少し上に刃先を当てて、そこからぐっと横に刃を入れていく。
 よく切れる、と注文をつけただけあって、ナイフは縦に走る繊維を、気持ちが悪いくらい鮮やかに横に切り裂いていく。
 途中で右手に持ち替えたりしてぐるりと一周。
 身体を一周して戻ってくると、高さが合わずに少し修正を入れる必要があった。
 
 思った以上に短くなってしまったが、これで動きやすい格好に一歩近づいた。
 そしてまたさらに一歩。
「あらら?」
 右手を使って首の後ろで髪を結わえるように、髪を親指と四つの指で作った輪の中に閉じ込める。
 ただしその先はゴムや紐の出番はない。
 括る代わりにまとめて右から左へ、よく切れるナイフを右手でまとめた髪の上へ走らせた。
 一緒に持ったままだった切り取ったドレスの裾も切ってしまいそうだった。
 頭を左右に振ってみるとその軽さに驚く。
 物足りない気分になるかと思ったが、なんだか無駄に陽気な気分になってくる。

 さて、これで終わり。
 これでこの世界にやってきてから感じてきた不満は解消された。
「さあ、次は私を元の世界に帰して」
 右手に残った髪の毛とドレスの裾を足元に捨て去る。
 無造作に捨てていいものだろうか、とも思ったが、私の中で決別をするためには必要な儀式だった。
 さようなら、××。
 私は、ここで生まれ直すみたいです。

 また、笑う声が聞こえる。
 肘から先を見たせいか、その声の先に誰かがいる、という感覚が強くなった。
「思った通り面白いわ、貴方。覚えておくわね」
「私は忘れるわ、ここで別れたら綺麗さっぱり」
 足場が揺れたような感触がした。
 地震かと思ったがそんなこともない。自分の周囲がまとめて揺らいだような感覚だったのだが。
 地震以外だとすると、声の主が私を元の世界に戻す準備をしているのかもしれない。
 そうと決めたら、名残惜しくもないはずのこの景色も少し名残惜しく思ってみてもいいかもしれない。
 望みは聞き届けられて、私はここからいなくなる。
 何か、やり残したことはないだろうか?
 頭の中を一歩退いて見直してみる。
 
 ん、あったぞ。
 やり残したこととは違うが、これが最後のチャンスであることには変わりない。
「あ、それと紅白の巫女さんってどんな人か教えてもらえない?」
 やはりこんなところに住む彼女は特別、なのだろう。
 いくらか想像は巡らしたものの、答えはわからず仕舞いで気になってしまっていた。
 望みをぽんぽんと叶えてもらった流れで、そのことを思い出した。

 しかし、反応が悪い。
 さっきまでは軽々しく応えてくれていたのに。
 いや、まさか?
 私がある懸念に行き着くと同時に、今度は前より大きく周囲が揺らぐ。
 基準を私の身体に、周囲をまとめて切り取って外と内の境目を跨ぐ。
 かなり大雑把な方法な気もするが、本当に大丈夫か……?
 
「貴方があと一回、ちゃんと答えてくれたら教えてあげてもよかったんだけどね」
 そうではないから、今回はダメ。
 最後に付け加えられた言葉は、何かに飲み込まれる感覚が邪魔して、よく聞こえなかった。
 小さなナイフと銀時計を胸に、ボロボロのドレスを纏った私はその世界から喪失した。
 
 
 ■■■ 3''' ■■■
 
 
 彼女の去った石段に、入れ替わるように降り立った。
 入れ替わると言っても、彼女が去ってから少し時間は経っている。
 深夜、早朝に限らず、外の博麗神社を訪れるものは滅多にいないので、彼女と私のいない間に誰かが現れることもなかった。
 外の世界に特別な感慨はないが、見下ろすこの風景は中々のものだと言うのに勿体無い。
 それにここには、
「綺麗な髪が落ちているっていうのにね」
 彼女の切り落としていった肩から下の髪の毛を一房拾い上げる。
 アッシュブロンドの髪の毛が、手の中で光って力強く主張している。
 外の世界の太陽も、幻想郷の太陽と同じように夜明けの姿は実に美しい。
 また、その光を反射している髪の毛もまた美しい。
 
 彼女がまた里に身を寄せるのか、それともどこかで野垂れ死ぬのか。それともまた別の運命に手繰り寄せるのか。
 これ以上、彼女の人生に関するつもりはなくなっていた。運命の任せるままに。
 私の愛する幻想郷で、好きに生きて好きに死ぬといい。
 
 
 ■■■ 0' ■■■
 
 
 そこにいた理由を、私ははっきりと覚えていない。
 正解に近い答えを想像は出来るが、そんなことはどうでもいいことだから、考えたことはないし、これからもないだろう。
 覚えていたいのは一つだけ。
 
 それは、目に焼きついた強烈な瞳の色だけだ。

「こんな所で珍しいな、人間」
 私の屋敷の近くにある湖、その畔におかしな少女がいた。
 その少女は何処もかしこもおかしな所だらけだった。

 まず、おかしくない部分を挙げるとすると、
 服装はうちの妖精メイドに似ているかもしれない。
 顔立ちはまだ人間としても幼い部類のように見える。
「貴方は?」
 そう言う少女の警戒心に無い笑顔もまた異様だ。
 物の一つも知らない子供とは違う。
 警戒する必要が無いことを知っているかのような、生き延びることを諦めた人間があんな表情をすることを私は知っている。
 しかし、それとも違う。
「空も飛べるなんて」
「誰だって目の前で当然のように見せられたら、空を飛ぶのなんて簡単だわ」
 その当然のように飛んで見せたのは私ではないはずだ。
 間違いなく少女と私は初対面なのだから。
 
 まともにこちらを見ていなかった少女の瞳がこちらを向いた。
 その眼差しに引き込まれる。
「満月の日は妖怪が多いのかしら? もう日の出が近いというのに妖怪が空を飛んでいるもの」
「いいえ、今日は十六日目の月。満月は昨夜ね」
 甘美な月夜から熱の引き始めた、興の乗らない月の夜とも言う。
 頂点に昇るまでも良い。独特の高揚感がある。
 まさに頂点にいる頃はいうまでもない。満月の夜にやれないことなど何一つない。
 反面、頂点から下り始めた熱の残留感は不快なだけ。
 当然の帰結で、半端に欠け始めた月もまた不快感を煽る。

 だと言うのに、
「こんな冷めた月なのに、素敵な夜になりそうだわ」
 惜しくらむはもう夜が明けてしまうこと。
 それもまた、少ない時間で楽しむことは楽しみを美味しく味わう一つの方法だ。

 少女の手にはそれぞれ銀器のナイフ、銀時計を握り、色白の肌に癖っ毛の銀髪。
 私の前でそんな出で立ちで現れること自体が面白い。
「私の名前はレミリア。レミリア・スカーレットよ、灰かぶり<サンドリヨン>」
 まるで灰をかぶっているかのような少女を、私はそう呼んだ。
 灰をかぶって、ボロ布に身を包んで、研ぎ澄まされた青色の瞳だけが私を射抜いている。
 その色が強く私を惹きつける。
「そう」
 素っ気無く、聞き取れているかも怪しい様子だ。
 少女は冷めた目つきでふっと眼を逸らす。
「今日はそんな気分じゃないから、お引取りください」
 興味は無い、とそうこいつは言い切った。
 
 そうだ、この態度もだ。
 何故だ? 高々十年ちょっとでこんな態度が貫ける?
 死人が生気溢れる子供をやっているような、長く生きた妖怪が稀に身に付ける生き方を。
 老成した精神と向こう見ずな希望を併せ持った、退屈紛らわしにしかならないような無意味な在り方。
 こいつはどんな経緯でここにやってきた?
 長く長く養ってきた感性が叫びを上げる。
 直感が騒ぎ立てて、どうにも止まってくれない。
 
 幻想郷にやってきて以来、最高のご馳走がやって来た、と。

 昂ぶった激情のままに、私は退くという選択をする。
「そうね、それじゃあ今日はこのままお暇さえていただくわ」
 羽を広げて高度を上げる。
 時間も手段も私の手の中にある。五百年生きてきたこの身体と、他社の生き方にケチを付けるこの力。
 その全てを使っても私は少女を手に入れる。
 食事に?
 玩具に?
 どんな使い方をしても、それはそれは愉快だろう。
 
 そのために飛び立つ前に私は、
 ただし、
 と付け加えることは忘れない。
「私の運命が貴方の運命を必ず貰い受けるわ」
 また遭いましょう、そう言い残して私は飛び去った。
 しかし、少女の名を聞き忘れたことだけが心残りだ。
 そうだ、どうせなら……。
この度は、私の拙作をお読みいただいてありがとうございました。
なんとなく下までスクロールしただけの方も、お暇でしたら読んでいただけると嬉しいです。

今回は既に使い古されたであろう題材を、自分なりに書いてみました。
現段階のこの場では特に語ることはありませんが、よろしければ批判、評価などいただけると幸いです


********
(6/15 追記)


まず皆様お疲れ様でした
こんぺ初参加どころか、きちんと書き上げた東方SSは初作品の癖にこんぺに参加するという暴挙に出てみました
東方自体には永夜抄あたりから付き合ってるので、致命的な設定ミスとかはない、はず……です
それでは敬称略ですが、ありがたいことにたくさん頂けたコメントの返信です


>>三文字
いいよね、僕っ子!
わかりづらい一人称にネタを理解しただけたようで何よりです
そういえば今作はあんまり頭の中でビジュアル思い浮かべずに書いてました、もったいねぇ……

>>パレット
あまり他の人のSSを読んでるわけではないので、意識はしませんでしたが、確かにレミリアがもっと出張ってくる方が自然ですね
極力どっかで見たな、とは思わせないようにしたつもりですが、新鮮さを感じてくれた方がいると嬉しいです

>>名前が無い程度の能力
中盤、というとどの辺りなんだろう?
あんまり親切な造りではないにも関わらず、途中でわかる方は珍しいのかもしれません

>>神鋼
申し訳ないです、雰囲気を出すのとわかりづらいのは別の話だと言うことはわかっているんですが
どうもまだまだ力不足のようです

>>気の所為
味があると言っていただけるのはとても嬉しいですありがとうございました
レミリアを前面に出すと、彼女の能力のせいで出会い方、関わり方のパターンが狭まっちゃうんですよね、自分の力量では
今思うと咲夜さんが咲夜さんになっていく過程はもっとゆっくり書いても良かったかもしれませんね

>>佐藤厚志
み、皆、遠子先輩が、本を食べちゃいたいくらい好きな方がいらっしゃるぞ!
濃密、という評価は予想していなかっただけに嬉しいです

>>As
読者に閉じすぎた話は日記帳と変わらないですよね……ピンポイントなご指摘ありがとうございました
一応作者側の回答としては、不明の少女、□と□で数字を囲った章の語り部は全て同一人物のつもりです

>>笊
一風変わったとは良い意味にも悪い意味にも取れる……んですが、この場合は裏目に出たようです
やはり作者が思っていることをきちんとアウトプットしきれていないようですね

>>有文
冴月燐って紅魔館の没キャラでしたっけ? むーそういう展開も面白かったですね、思いつきもしなかった
読み解きを犠牲にした雰囲気作りがせめて一味になってくれれば良かったんですが、もっと根本的な改善が必要なようです

>>so
元来、キャラ作りが下手糞な人間なので、立っているといただけると嬉しいです
機会があれば物語もよくできた物にしたいです
最後に落とすのは、自分の大好物な展開なので、それが演出できていたなら、後悔はありません

>>ふじむらりゅう
一人称をころころ変えていた理由は、自分を変えようとする努力の表れ、というのが大体の答えだったりします
その部分も含めて読みづらいと感じさせてしまったら、その時点で台無し……
レミリアとのシーンは、所謂おまけみたいなもので本当はもっと別の展開を考えていたんですが
尻切れトンボに感じさせてしまったのなら、失敗だったようですね、努力が足りねぇ、夏

>>八重結界
インパクトに欠ける、ぐぎぎ地味に大ダメージです
匂いを消しすぎたと言うか不親切すぎて、もっと工夫のしようがあったんでしょうね、色々反省してみます

>>moki
指摘されてやっと気付きました、確かにそっち側の肉付けがかなり粗いですね、気付け俺
欠点は山積していますが、それを考慮した上で評価していただいたようで何よりです

>>ぴぃ
王道だと言うのに、流れを壊して驚きが不足しているとなると、実に面白味のない作品になってますね……
さらには疲れを感じさせている、とまで来ると反省すべき点が浮き彫り、どころの話じゃないようです

>>リコーダー
独特、という感想は意外であると同時に嬉しかったり
あまり謎解きは意識してないのですが、それならもっとストーリーで魅せる必要がありましたね

>>時計屋
第一に技量不足、そして変に凝ろうとして惨敗した結果です
バランスをしっちゃかめっちゃかにするのは、自分の悪い癖のようです、ストーリー共々精進します
じました。

>>つくし
感想お待ちしています!

>>ハバネロ
起点に戻ってくる話は……確かに、その一言に返せる内容がない
うーん、こちらの考えを伝える能力が不足もいいとこのようです

>>K.M
落ちがポイントの作品は、それだけできれば良いってわけじゃない
そんな感想をいただいてるような気持ちになるのは疑心暗鬼なのか
ストーリーも面白かった、と言わせられる作品が書けるようになるには努力がまだまだ必要ですね


>>全ての読者の方へ
欠陥だらけの作品を読んでいただいてありがとうございました
ご指摘等、様々なご意見を自身の成長にフィードバックしていきたいと思います!

余談ですが、自分の書いた感想を見て「偉そうなことほざきやがって」と思われたらすみません
評価の立場に立ったときに弱腰なのもどうかと思いまして、苦肉の策というか断腸の思いというか……でした
あともしかしたらどっかに「渦巻」ではなく「しろ」と別のHNでコメントしてしまったものがあるかも(?)しれませんが、時間切れ間際で切羽詰まっていた故の誤爆ですのでスルーしてくださいw
渦巻
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/05/09 23:10:12
更新日時:
2009/06/15 18:53:42
評価:
18/18
POINT:
78
Rate:
1.08
1. 7 三文字 ■2009/05/16 14:26:11
咲夜さん僕っ子説浮上……とても、いいじゃないか!
髪を切り過去から完全に決別したことで「僕」が「私」に生まれ変わったのですね。
でも、髪の長い僕っ子さっきゅんなら見てみたいかも
2. 3 パレット ■2009/05/18 00:45:09
彼女が幻想郷にやってきたときの出来事を、あえてレミリアあたりとはあまり絡めずにやるあたりがなんとなく新鮮でした。
3. 5 名前が無い程度の能力 ■2009/05/18 14:32:54
ああ咲夜さんか…中盤までわからなかった
4. 2 神鋼 ■2009/06/01 21:38:36
最後以外がよくわかりませんでした。
5. 5 気の所為 ■2009/06/03 16:48:49
使い古されたと言えばそうなんですが、味があって面白かったです。
恐らくレミリアがおまけのような存在で、紫の方を前面に出したのが勝因でしょう。
ナイフ、時計、ドレス、髪と、だんだんと知っている姿になっていく演出が印象的でした。
6. 5 佐藤厚志 ■2009/06/03 23:24:52
まるでまんてんのカレーのように濃密な小説でございました。
7. 5 As ■2009/06/07 12:53:07
短めの文章のなかでころころと視点が変わっているためどうにも把握しにくかった気がします。
私<ワタクシ> = 僕 = 一番最後の私?
8. 5 有文 ■2009/06/08 00:39:33
最初は冴月燐かと思いました。使い古された題材であるからこそ、ひねりが必要なのが難しいところですね。出来れば、あと一歩だけ何かが欲しかった気がします。ただ、全体的に少し読み解きにくいところはありましたが、良かったです。
9. 7 so ■2009/06/11 07:28:45
「少女」がよく立っていると思います。

誰だろう誰だろうとわくわくしながら話を進めて、最後に、ああ貴方だったのかと分かった瞬間は思わず溜飲が下がりました。
10. 6 ふじむらりゅう ■2009/06/12 00:16:03
 なかなか咲夜さんだってわかんなかったです。悔しい。
 なんでボクって言ってたんだろう。何となくだろうか。
 1.の××が続くところはちょっと読みづらかったかも。
 レミリアと対峙するところも、ちょっと尻切れトンボだったかな。
11. 5 八重結界 ■2009/06/12 18:44:38
最後の方になるまで、これが咲夜さんの過去だとは気づけずにいました。
見事に匂いを消してあったのは良かったけど、いまいちインパクトに欠ける気がします。
12. 7 moki ■2009/06/12 18:50:15
お、誰かと思ったがそういうことか。これはまた雰囲気が良く個性的な作品。ミスリードを意図した、或いはオチを最後まで読めないようにしたのだろうけど、彼女の性格付けが変わってる分、納得できる何かがもう少しないと不自然かなと思いました。しかし、それを差っ引いてもいいなあ。
13. 2 ぴぃ ■2009/06/12 21:24:55
咲夜さんの過去話ですね。王道ではありますが、ストーリーの中に驚ける要素が不足していたように思えます。
地の文と会話も、話の流れを歪めている部分が多く、少々疲れを覚えてしまいました。
14. 7 リコーダー ■2009/06/12 22:53:37
いや、割と独特です。
特にとんでもない秘密がある訳でもなかったので、謎解きしながら読む必要はなかったのかな。
15. 1 時計屋 ■2009/06/12 23:06:13
 意図的に行ったものでしたら大変申し訳ないのですが、随分おかしな日本語になっています。
 余計な修飾を凝らそうとして文章がひどくバランスを欠いているように見えます。誤字脱字や文法の間違いも多々ありました。
 物語自体も流れや構成が把握しづらいものでしたが、文章がそれに拍車をかけているように感じました。
16. 2 つくし ■2009/06/12 23:11:24
申し訳ありません、時間が差し迫っているため、採点のみにて、感想本文は後ほど改めて。
17. 1 ハバネロ ■2009/06/12 23:12:36
起点に戻ってくる話は「で?」になりやすい

不確定存在、とかそんなニュアンスなのかしら
18. 3 K.M ■2009/06/12 23:18:32
人物については、刃物が出るくだりまで読んでようやく「なるほど」と思いました。
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