ワールド・イズ

作品集: 最新 投稿日時: 2009/05/09 23:47:27 更新日時: 2009/06/15 23:04:18 評価: 22/23 POINT: 152 Rate: 1.54
 逃走中。
「チィィィルゥゥノォォォ!!」
 怨嗟を多分に含んだ叫び声と共に、妖精メイドの集団が、押し寄せる津波のように、数間先の青い姿を追う。
「うわぁぁぁ!!」
 こっちも叫びながら、必死で逃げる青い姿。髪は空色、リボンも服も真っ青、まさしく外見からひんやり冷たそうな奴。
 氷精、チルノ。
 氷で出来たような羽をパタパタと揺らしながら、本気の形相である。
 だが、距離が詰まりそうで詰まらない。メイド達は焦る。青いチルノは若干の余裕を得る。
 あたいの足をなめちゃいかんぜ。
 しかし、思い返せば、どうしてこんなことになったのか。
「あんたぁぁ!!昼食用の料理をつまみ食いした上にぃぃ!!」
「他の料理を氷漬けにして逃亡!!」
「その罪、もはや見過ごせる悪戯の域を超えている!!」
「捕獲、後にメイドとして強制的に一週間くらい労働させてやるぁぁぁ!!」
 メイド達が、ご丁寧に罪状と判決を読み上げながら。何とも全面的にチルノが悪い。
「うっさぁぁい!!妖精の牙を抜かれた腑抜け達め、そんなんにあたいが捕まるかぁぁ!!」
 半身捻って後ろを向くと、舌を出して見せる。
「むっかぁぁ!!てめぇ、絶対殴る!そこで止まらんかぁ!!」
「もうメイドの仕事以外に喜びを見いだせない体にしてやる!私みたいな!」
 調教され過ぎである。周りのメイドが一斉に左右に少し離れるのを、ショックを受けた顔で見回すカミングアウトの当事者。チルノも哀れみを込めた視線を。
 しかし、状況変わるも、逃走劇は止まらない。無駄に広い館をドスドスバタバタ。
 今は階段を昇りながら、チルノは足りない頭で考える。このまま逃げ続けたって、いずれ行き詰まる。捕まれば強制的に労役、それだけは避けたい。
「階段を、はぁっ、昇りきったら、廊下を、曲がって……!」
 姿を見られないであろう、少しばかりの時間で、どっかの部屋に飛び込む。
「これしかないって!」
 叫び、飛びあがって階段から廊下へ。素早く身を捻り、左へターン。
 見られなていない、いないな!?ごろごろと、半分転がる様に、何番目かの扉を開いて飛び込む。
 コンマのタイミングで、昇りきったメイド達が見えたような。
 まだ転がりながら、視線を回せば。
「ほう……これはまた、面白い運命が飛び込んできた。ようこそ、悪餓鬼」
 牙を剥いて笑う、青白い髪と、白いドレス。
 それだけを確認して、チルノの視界はいきなりまたグルっと回ると、高速で流れ。
 目玉が飛び出そうな衝撃と共に、真っ暗闇へ落ちる。

 さて、廊下で一瞬立ち止まり、左右二手に分かれたメイド達。
 左グループはさらに分かれて、彼奴が逃げ込んだであろう部屋をあぶり出す態勢。
 絶対にどこかの部屋に逃げ込んだはずだ、煙のように立ち消えた姿。窓が破られた形跡なし。
 そう、部屋に逃げ込んだ、はずだが。
 ある一つの部屋の前で、躊躇する数人の妖精メイド。
 何故なら扉の奥から、いっつも感じる、プレッシャー、が。
「失礼します……」
 控え目なノック。周りのメイドにジッと見つめられてそれを促されたそのメイドは、本当に不幸であっただろう。
「入れ」
 返るは重々しい声。またもノックをしたメイドが、扉を開かされることに。心中ほぼ半泣きである。
 開いた扉の先は、シンプルな倉庫のような。棚が並び、収納が連なり、そして何より。
「どうしたね?」
 棚を探りながら、佇む、線の細い少女。しかし、纏う雰囲気は重々しく、厳つさを含み。
 何より。
「あ、は、はい!あの!」
 何より、人をざわめかせる。恐怖で、興奮で、衝撃で、歓喜で。見つめられれば、自分ですら計り知れないそんな感情に。
「こ、ここに、その、性質の悪い悪戯好きの妖精が逃げ込んでこなかったかと!」
 紅き館の当主、レミリア・スカーレット。
「それがお前達のことではないのなら――ふむ、ここには来なかったようよ。他をあたりなさいな」
 棚を見つめていた目を、少しだけ流して。
「……わ、わかりました。くだらぬことで、お手を煩わせてしまい、申し訳ございません」
 その視線だけで、妖精メイドは納得しなけりゃならん。
「構わんよ……物分かりがいいのね、お前達は。教育が行き届いてる、咲夜に褒めてもらいなさい」
 言葉を受けて無言、慇懃に頭を下げると、扉を閉めて。
「はぁ……」
 溜息は、ここまでちゃんと我慢した。周りのメイド達が気にするなといった風に肩に手をかけてくれる。一人尻を触る誰かのをつねりながら。
「あぁ……もう!今日は取り逃がしたぁぁ!!全員に伝えて、持ち場に戻る!」
 心底悔しそうに叫ぶと、扉から離れて歩きだす。捕獲作戦失敗。
 勝利者は――。

「そら、もういいぞ」
 レミリアが収納を開けば、ごろごろと氷精が一匹転がり出る。
「ぐるぐるする……体全体がなんか痛い……」
 寝ころんだ床の上を、さらにごろごろ転がりながら。吸血鬼の力で投げ飛ばされて、押し込められれば当然であろう。
「助けてやったんだ、感謝なさいよ。多少の傷はこらえてもらおう」
 くつくつ笑いながら、転がる氷精を足で止める。
「……あによー、あたいは頼んでないし……つか、あんた誰」
 仰向けで止められ、その顔を睨みながら、チルノは呻くように。
「頼んでなくとも、世界は動くぞ。運命ってやつだ、これはね。そして私はここの主だ、足りない頭で覚えておきな」
 体の下に潜り込ませて、足をちょんと上にやれば、氷精の体が自力なしでびょんと立ち上がる。
「おわっ!?」
 慌てて、二、三歩踏んで、逆向きに倒れそうになるのをこらえるチルノ。
「さ、もう行きなさい。この館での悪戯はほどほどにしとけよ、私が笑っても、咲夜は平気で怒るぞ」
 レミリアとチルノの関わりは今までなかった。たまに館に悪戯しに潜入しては追いかけまわされ、門前に来ては美鈴と遊んでいるのを見かけるくらい。
 賑やかなのは嫌いじゃない、むしろ好みだ。当主は、この館に来る運命は、どんなものであれ好んでいた。
 それがこれ、関わる時は今まさにここ。交わる機会はこれが初め。
 一度繋がったなら、また会う機会もあるだろう。今日はここで別れるはずで。
「へいへい……ま、助けてくれてありがとね、主様……ん?」
 しかし、運命は未だ切れない。この二人はここから始まる。
「ねぇ、これって、何なのさ?」
 二人の世界を、色で繋げて。



 チルノが見つけたのは、一枚の絵。キャンバスに描かれた、ある風景。
「これって……湖だ!」
 油彩のそれを、棚から引っ張り出す。レミリアは何故だかばつの悪そうな顔を。
「ん?」
 引っ張り出せば、その後ろにも風景。その棚には、いくつものキャンバスがしまわれていた。
「魔法の森だ!霊夢の神社!あ、鈴蘭畑まで!」
「ちょっと、もういいだろ」
 次々と引っ張り出しては、それを珍しそうに眺めるチルノを慌てて止める。
「これ、どしたの?」
 チルノは、真っ直ぐとレミリアを見て。うっ、と、一瞬息を呑む主。
 押されてどうする……。溜息をつくと、視線に向き直り。
「私が描いたんだよ。ああ、恥ずかしながら趣味だとも」
 あきらめたような口ぶりで、苦笑しながら。
 そう、これは、幼き悪魔のかわいい趣味。
 長く生きた妖怪は、自然と、行動の意欲が創作へ向くことがある。それが、上手かれ下手かれ。
 自分の生きた証を、何かしら残したいという気持ちの表れか、それとも単なる暇潰しか。
 そしてそれは、レミリアにとっても例外ではなく。元々、手先が器用で、芸術家肌、何より貴族の生まれだったこの吸血鬼は、色々な趣味を持つこととなった。
 楽器も使えば、書き物もする。手芸も学べば、庭もいじる。決して極めようとはしないが、自分が楽しみ、人を楽しませる程度には、色んな事を身につけていた。
 まあ、滅多にそんなものを他人に見せることはなかったが。
 そう、そして、彼の吸血鬼は、とりわけ絵を描くことを好んだ。
 その理由は――。
「あんた、これ……」
 チルノはなおもそれを見つめながら、少し震える声で。
「……」
 上手いと言われるか、下手と言われるか、この馬鹿に芸術を理解できる頭はないだろうが、人の素直な評価を聞くのは久しぶりだ。
 少しだけ、胸の高鳴りを感じながら、レミリアは無言で次の言葉を待つ。
「世界を自分のものにする気でしょ!こうやって、写して、閉じ込めて!」
 こけた。伊達にパチェや美鈴のボケに鍛えられてはいない、見事なコケ方であった。
「そうくるのね……お前は」
「面白そうじゃないの!あたいにも噛ませなさいよ!」
 ずるっと、仰向けになった吸血鬼をさして気にせず、その顔を上から覗き込む。
 どこまでも本気の瞳。偽りのないその眼差しを、何もかも恐れない笑顔を見て。
「ああ、確かに――お前に捕まえられる世界というのも、面白そうかもしれないな」
 レミリアは八分の可笑しさと、二分の嬉しさを混ぜて、久々に大声で笑った。


 二人は、舞台を移す。レミリアの私室、そのバルコニー。
 机を広げて茶を嗜める程度には広いそこに、突貫で門番に作らせた、どでかいキャンバスを置いて。
 画材と絵をしまっていた件の部屋から、必要な物をありったけ。
 未だ写せぬ世界を前に、向き合う二人。背丈はレミリアの方が少しだけ高い。
「それじゃあ、世界を私のものに」
「あたいのものに」
「私のだ」
「あたいのよ!」
 鼻息荒く譲らない氷精。レミリアはうんざりした顔で。
「ったわよ、じゃあ、二人のだ」
「……しゃーないわね、譲るわ」
「譲ったのは私だろ」
「あたいだって」
 いきなり胸倉を掴み合う。視線はどっちも逸らさない。
「あー、もう!堂々巡りだ!まったく!我の強い奴だね、私を目の前にして」
 レミリアは少しだけ皮肉めいた笑顔で、チルノを軽く突き飛ばして、襟を正す。
「あんた強いかもしれないけど、あたいだって相当なもんなのよ。だから対等でしょ」
 チルノは胸を張る。レミリアはそれを聞いて、思い出したように。
「そういえば、お前の名を聞いていなかった」
 チルノも思い出す。
「あたいもだ」
 二人して、笑う。
「対等ならば、聞かせておくれ。私は、レミリア・スカーレット。この館の当主」
 レミリアは真面目な声で。名を教えるのは、相当なことだと思っている。そして、こいつにならそれをしてやってもいいとも。
「おう、あたいはチルノ。最強の妖精よ!あの湖であたいを知らんやつはモグリだぜ」
 チルノは笑いながら。人に名を教えるのは、嫌いじゃなかった。誰かに呼ばれるのは気持ちいいものだ。
「チルノ」
 確認するように。
「レミリア」
 覚えるために。
「はっ……いいだろう、チルノ。お前に私の技術を教え、少しだけ、隣に立つことを許そうじゃないの。だから、やれるものなら」
 吸血鬼の瞳は、妖しく輝く。試すように。
「私とお前の世界を、色で閉じ込め、捕まえてみせなさい」
 受ける青い瞳は、絶対にぶれない。思う限りは。
「上等よ!」
 鉛筆を握る。

 捕まえる世界は、とりあえずはバルコニーから見える湖、そして森、山、何より――。
「こう、森があるだろう?さささっと、描いて、そうだな、地面の草もこうぱぱっと」
 レミリアの鉛筆が、獲物を捕らえる獣のように走る。
「ね、簡単でしょ?」
 写実的に、それでいて、若干の自分を混ぜて。
「了解よ!こうぱぱっと描いて、ささっと……」
 チルノの鉛筆が、天日に晒されたミミズのようにのたうつ。
 写実的をこえた個性がにじみ出て。
「そう、簡単……なわけあるかいっ!」
 叫びながら、鉛筆を床に叩きつける。
「そうかい。考えてみりゃ、人にものを教えた経験がなかったわよ」
 レミリアは苦笑しながら。
「あー、もういい!あんたの教えなんて従わないからね!」
 チルノはまた鉛筆を拾い。
「あたいはあたいの描きたいように描く!……あんたのと比べて、なんか、変でも」
 キャンバスに描かれるは、左右半分にわけて、個性と写実。
 しかし、レミリアはその個性を笑わない。
「それでいいさ。お前の絵、面白いよ」
 波打つような木が並ぶ森も、カクカクとした稜線も、捉え方一つなのだろう。きっと。
「そう?んふふ、あたいって才能あるかも」
 一瞬で機嫌を直す氷精に、少し呆れる。
「絵の才能はないけどな」
 素直な感情の発露は、才と呼んでいいかもしれない。
「よし、気を取り直して!」
 叫び、パンを豪快に齧るチルノ。
「あっ、お前、それ修正用なのよ!食うんじゃない、こら!」
 よほど舌に合ったのか、目を輝かせて無言でむしゃむしゃやり始めたチルノを、後ろから羽交い締める。前途多難。

 日も暮れる頃に、ふと、作業の手を止める。
「今日はこれくらいにしとこう」
 移る空の色を見上げながら、レミリア。
「まだ全然描けてないじゃん」
 しかし、チルノも手を止める。
「一日で描き上がるもんじゃないのよ。そら、カラスが啼いたなら家に帰りな」
「え?文?」
 チルノは目を凝らす。先には、燃える空を飛ぶ黒。
「違うじゃない……」
「お前のカラスの認識はあのブン屋か。はは、いいじゃないの、伝えてやれば喜ぶわよ」
 他愛無い会話を楽しみながら、キャンバスやらをしまいこむと、主は部屋の出入り口へ向かう。
「今日は終わりか……明日には出来る?」
「どうだかね。明日の明日の、数えきれない明日の先になるかもしれない。それまでお前は飽きないか?」
 見つめる紅い瞳を、真正面で見つめ返すは青い瞳。
「冗談」
「結構」
 くすりと笑うと、扉に手をかけ。
「帰るなら、そこから飛んでいきなさい。お前は指名手配中だからね。明日も来るなら、そこからおいで。ま、美鈴は通してくれるだろう」
 体半分出た辺りで、声がかかる。
「このパンもらっていい!?」
「好きなだけ持ってけ!」
 ドアを回し蹴って閉めた。



 吸血鬼は、沼のようなまどろみの中で思考する。バラバラに詩を書くように。
 私が、あの氷精みたいな、馬鹿みたいな餓鬼の頃。今でもそうか?いや、違うさ。
 躊躇するものは何もなかった。世界は広かった。私だけの。
 寝返りをうつ。
 世界を私だけのものに出来ると、私の色で染められると、本気で信じていたんだ。
 手を伸ばせば、届くと、掴み取れると。片っ端から、世界を塗ろう。
 仰向けに。
 考えて、私はいつ、それを諦めたのか。あいつは諦めていないな、本当に。
 腕を上げ、目に押し付けるように。
 それで、私が、あいつを羨ましいと思うのか?思わないね、何もわかってない餓鬼の理屈と考え方だ。
 私の諦観を、否定するつもりはない。それは、諦めだけじゃないのだから、そして。
「私の枯れた野心への慰みには、丁度いい」
 世界を写して、手に入れたと叫ぶ。私の色で塗ったそれを。
 今の私に出来るだろうか、少々の不安。あいつはどうだろうか。
 それでも――。息を吐く。
 あいつが、私とは違う可能性を見せてくれるなら。
(いくらだって、乗っかってやるとも)
 欠伸を一つ。

 チルノは夜を飛ぶ。星明りしかない空を、笑いながら。
 退屈は嫌いだ。この辺の思考は、妖精、妖怪、誰でも似通っている。
 それを吹き飛ばせるなら、喜んで何でもやるのだ。
 喧嘩も売ろう、蛙も凍らせよう、悪戯だっていくらでも。
「世界だって、捕まえてやるわ!あたいの色に塗ったくってやるんだから!」
 ここ最近じゃ、最高に面白い出来事。何の気負いもなくチルノは空に叫ぶ。
「世界は、あたいの、もんだー!!」
 叫び、背面で飛びながら、くると回転して、位置を微調整しながら着地。
「なーにさけんでるのよー」
 チルノが着地したのは、森の中。騒々しい物音に、妖精達が飛び出してくる。
「あ、チルノだ!」
「あー、パン持ってる!すげー、どこで取ってきたの!?」
 チルノより少々背の低い妖精達。わらわらと、チルノに群がって。
「あー、もう!纏わりつくなー!ほら、パンだって、まだまだあるからやるわよ!」
 チルノはそれを引っぺがしながら、ポケットから二、三個取り出したそれを、妖精達に手渡してやる。
「気前いいー!チルノ愛してる!」
「わーい、パンなんて久しぶりー!」
 チルノに口々にお礼を言いながら、妖精達はパンを分け合う。いつもの光景。
 妖精の中では裏打ちされた実力と、人を分けない竹を割ったような豪快な性格から、チルノは一部の妖精達から親分のように慕われていた。
 しかし、本人にしてみれば。
「めんどくさいことこの上ない……」
 妖精達が離れてわいわいやり出すと、チルノはまた飛び上がる。
「お前らー、食糧ならね、あたいじゃなくて大妖精を頼りなさいよ!あれこそお前らのまとめ役なんだから!」
 少し浮きあがったところで止まって、そう言ってやる。
「えー、大妖精ー?」
「大ちゃんのくれるの、木の実とかそんなんばっかだもーん」
「大ちゃん怒るもーん」
 チルノは呆れて目をつぶると、友人の苦悩を思った。
「今度二人で、こいつらに色々叩きこんだ方がいいかもしれん……」
 呟き、高度を上げる。
「どこいくのさー?」
「あ、パンありがと!」
「また何か取りにいくの?」
 見上げる妖精達を一度だけ見て、チルノはまた速度を上げて走りだす。
 ああ、ああ、捕りにいくともよ。
「あたいの世界だ」
 呟いて、欠伸を一つ。



 二人の日々は過ぎていく。

 絵の具を油で溶き。
「いいか、油はつけすぎない。色は塗り重ねて混ぜる」
「了解よ!」
 滴る筆先。揚げ物でもする気か。
「お前いいから人の話聞け!」

 森を描き。
「世界には、糸杉って名画があってな。それの模倣かい、それ?」
「見たこともないわよそんなもん!オリジナルだ!」
 グネグネになった木を塗っていくチルノ、呆れるレミリア。お前森がこんなのだったら誰も彼も気が狂うぞ。

 山脈を塗り。
「ふんでさー、そのにとりが、妖怪の山から湖まで泳ぐっていって、川から出発して」
「ふーん、奇特な奴がいたもんだ」
 左端と右端で会話しながら、作業を続ける。
「最初順調だったんだけど、九天の滝を下る時に、滝壺の底で頭ぶつけて気絶してさ」
「お前並だなそいつ」
「そのままぷかーと浮かび上がって、穏やかな顔で流されてったんだけど、あたいも文も、それをまだ背泳ぎで泳いでるもんだと勘違いしてさ」
「お前の知り合い全員あれなのね」
「結局湖まで、その悟りを開いたような顔で流されていって、あたい達もそれを追いかけて、そんでゴールしたにとりにおめでとーって飛びついた時にようやく気づいたんだ」
「はは、いいわねそれ。今度その河童が泳いでるとこ、スケッチに行こうかな」
 笑いながら、そういう気持もこめて塗っていく。
「だから、ここに流されるにとりを描いていいかな」
「お前、その友人に泣かれるぞ」

 順調に進んでいく。
 それでも二人は、示し合わせたように。
 空だけを、まったく塗らなかった。


 二人の日々は過ぎていく。
 その心を、不安と、自信で、互いに離していきながら。



 残したそれを、ついに手にかける時が来る。
 森を塗った、山を塗った、湖も、地も。絵の順番としては異質。光の色を考慮しないそれ。
 吸血鬼は、最初はそんなものでいいと思っていた。氷精は、絵の基本を知らなかった。
 でも、違う。それはどっちも、逃げているだけ。

「違う」
 吸血鬼が塗りかけた筆を止めるように、氷精が呟いた。
 レミリアが、少し固い顔で振り向く。
「何が違う?空の色はこうだろう?お前の目に映るのは違うのか?」
 昼下がりの、抜けるような青い空を、筆に滴らせながら。
「そ、そうじゃないって……空は、そうじゃない……」
 言葉が、上手く出ない。もどかしそうに、チルノは。
「……空の色はこうだ。世界を写すなら、こう以外には塗れない」
「違う!!」
 こちらを真っ直ぐ見据える吸血鬼に、声を荒げて。
 受けるレミリアも、相手のそのもどかしさはわかっている。それでも――。
「何が違う!?言ってみろ!お前の言う世界は――」
「そうじゃないの!空の色は、そんな風に塗ったんじゃ――」
 吸血鬼は筆を投げ捨てると、歩み寄って、その胸倉を荒々しく掴む。
「お前に、空を、世界を、お前の色で塗って、こうだと叫ぶ気概があるか!?あるなら言ってみろ、何色だ!?」
「違う!あたいの色は、空は、捕まえようと思った世界は……」
 ぎらつく紅い瞳から、揺れる青はそれでも目を逸らさない。しかし、言葉に力が入らない。身体も、掴み返せない。
「――わかんない!わかんないよ」
 思う空は、青くて、でも、赤くて、時に燃えているようで、凍てつくようで。
「色が多すぎる……!」
 捕まえられない、自分の思う空の色が。自分が空に塗りたい色が。
「でも、だからって、そんな風に、見える色で塗っても、世界は捕まえらんない!!」
「――ッ!!」
 それでも、何でもいいから振り絞って、その体を突き飛ばす。抗わなければ、飲まれるのはわかっている。いつだって、そうだ。
「私の色も、自分の色もわからない!それじゃあ、確かに捕まえられないな!私にだって、自分の色なんて――」
 突き飛ばされたレミリアも、二、三、後ろに踏んで止まると、感情のままに叫び。
「……っ」
 しかし、唐突に言葉を止める。
 睨みあう。形になった不安と、形にならない自信が。
「帰れ」
 先に背を向けたのは、不安だった。
「そうさ、妖精なんて、こんなものだろう。ここまでよくもった方だ……諦めろ」
 それは、誰に向けての言葉だったのか。しかし、チルノはそれを受け止めて。
「……諦めるもんか」
 バルコニーの手すりを一度思いっきり蹴ろうとするも、目測外れて脛が衝突。呻きながら、よろよろと飛び立っていった。
 残されるは、締まらない空気と、塗りかけのキャンバス、背を向けたままの吸血鬼のみ。




 世界を諦めたのは、いつだっただろうか。
 子供がいつか、空想の存在を知るように――。そんなありきたりな失望はしていない。
 確信はあって、それを手にする力も、私にはあったはずだ。
 それでも、私は選んでしまった。
 もう、私に手は伸ばせない。私の色に塗ることが出来ない。
 それでも、少しだけ諦めきれない心があって。絵を描くことだって、単にその代償だろう。



 選んだことを、後悔している?




 レミリアは、ふらふらと、図書館まで歩いて来ていた。
 中へ入れば、奥へ、奥へ。そこが魔女の住処。
「あら、自暴自棄」
 気配に気づいた魔女が、書き物から顔を上げる。乱雑な机上の一部を横にどかして。
「そんな顔してる?」
 力なく笑う。どうも、あれしきのことで、結構参っているらしい。
「してる。なら、ここに来たのは正解よ」
 魔女が指を鳴らせば、どこからかひとりでに椅子が飛んできた。
 近づいたそれを引っ掴むと、魔女の机の真正面に置いて座る。
「正解?」
「そういう時は酒に限る、でしょ?そして、ここには私の秘蔵が」
 ゴソゴソと酒瓶を取り出すと、手品のようにグラスも取り出し、レミリアに渡す。
「夜にもなってないじゃないか」
 受け取りながらも。時刻的には、まだ夕暮れといったところ。
「だからいいんじゃないの」
 妖しく笑う、パチュリー・ノーレッジ。

「レミィの、そういう子供っぽいところ好きよ」
 相変わらず笑い続ける魔女に、苦い顔でグラスを呷る吸血鬼。
「どこが?」
「すぐ顔に出るところ」
 自分の顔を、ペシペシと叩いてみる。
「そうかしら?ま、素直なんだよ、それが私のモットーだ」
「ええ、素直で結構。こうやって、相談に乗ってやろうって時がすぐわかるしね」
 こちらもぐいっと一息に飲み干すと、またどぶどぶと琥珀色を注ぐ。
「さあ、どうしたのかしら?お姉さんに話してごらんなさい」
 その言葉に、ぶふ、と吹き出すと、笑いだすレミリア。パチュリーもニヤニヤと。
「あっははは、いや、そうね……お姉さん、一ついい?」
 ひとしきり笑うと、目の端の涙を拭いながら。
「なあ、私って、色で言ったら何色かしら?」
「色?」
「ああ」
 レミリアも飲み干して、酒瓶を掴む。
 今さら自分の色なんて、知った所で何が変わるというのか。それでも、レミリアは探らずにはいられない。
 その心は、まだ燻っていて。
「そうね……それこそ、あなたを表現する色なんて、いくらでも並べてあげられるわ、レミィ」
 笑顔を少しだけ緩め、難しさを混ぜる。
「その中で、どの色をお望みかしら」
「……そう?まあ、私って言ったら、紅かと思っていたのだけどね」
 グラスごしに、魔女を見つめる。
「紅、あらまあ、随分と安易だこと。レミィよりは、美鈴の方がずっと紅って感じよ」
「あっちは漢字として出ているものなぁ、そりゃ不利だわよ」
 スカーレットだって、一応は紅だと言うのに。
「でも、まあ、紅いあなたも想像できるわ。レミィ、あなたの紅は」
 魔女は見つめる。
「溶岩の紅よ。煮え滾る、大地の血液。それが、私から見たあなた」
 受けるレミリア、意外そうな顔で。
「どういう意味?」
「爆発力があるってことよ。パワーに満ち溢れてる、雄大で、何もかもを飲み込んで」
 魔女は変わらず、熱っぽい視線を向けながら、身を乗り出して。
「その身で溶かし込んで、なおも悠然としている。ああ、素敵でしょう?私もあなたに溶かされた」
 吸血鬼はうんざりした顔で、乗り出すパチュリーの額を軽く弾く。
「むきゅっ!?」
「まだ日が高い」
「……冗談よ、おーいたた……まあ、色の印象はそんなとこよ」
 額をさすりながら、口調を冷まして。
「溶岩の紅……ね。そんなに立派なもんかしら」
「ええ、立派なもんよ。だから、あなたの選択を感謝している」
 心底驚いた顔で、魔女に向き直った。見据える顔は、優しく笑って。
「顔に出るって言ったでしょ」
 時々、この友人は人相から心でも読んでいるんじゃないかと本気で思う。
 レミリアも、あきらめたように笑った。


 結局、夕食も食べずに、図書館でしこたま飲んでしまった。
 この程度で酔っぱらう体ではないが、未だ心と体はふらふらと、放浪を選択する。
 館の中を、適当に歩きながら。
「はい!手ぬぐい持った?替えの下着は?パジャマも!」
 声が聞こえた。我が従者の張り上げる声。
 廊下の先、少し開けたホールのようなそこで、まだ小さい妖精メイド達を並ばせて。
 その目の前で、咲夜が何とも大きな声で呼び掛けている。
「オッケーでーす!」
「大丈夫でーす!」
「あー、パンツ忘れたー!」
 咲夜の問いに、声を揃えず口ぐちに答える小さな妖精メイド。
「もう!あれほど忘れ物しないようにって言ったでしょ!取ってらっしゃい、はい一分」
「うわーん、メイド長の鬼ー!」
「シャラップ!鬼はこの館の御当主様ですよ!」
「悪かったね、鬼で」
 いつの間にやら、咲夜の隣に来ていたレミリアがにゅっと声を出す。
「うひゃぁ!」
 一瞬、本当に、コンマの世界をさらに分割した時の中で、ぎょっとした咲夜のいい声が響き。
 世界が止まる。
「あら、どうされました?お嬢様」
 世界は動く。何事もなかったかのような、瀟洒な笑顔で。
 妖精メイド達はきょとんとしている、何が起こったかよくわかっていないらしい。
「見ーえてーたわよー。繕わなくてもよい」
 隣に並んだ小さな当主は、横眼で従者に笑いかける。
「……何か御用でしょうか?」
 あくまでしらを切り通すらしい。この頑固さも瀟洒の証なのだ。
「いや、まあ何をしてるのかと思ってね。先生?そういや、美鈴もやってたなー、こんなこ――」
「ええ、まだ不慣れな妖精メイド達の、入浴の引率と監督を」
 言葉を遮って。何を恥ずかしがっているのやら。
「ふむ、そりゃ御苦労。パンツは取りに行かさなくていいのかしら?」
「……取って来なさい、一分よ。あと、お嬢様に挨拶」
「はーい、お嬢様こんばんわー!」
「……はい、こんばんわ」
 気分は保母さん。一度新人教育制度を見直すべきだろうかと思いながら、レミリアは苦笑する。
「すみません、何かもう、色々と」
「いーや、心底楽しんでるわよ。たまには気配を消して館中見て回ろうかしら、面白そうでたまらない」
 諦めたように、少し態度を崩す咲夜。実際、これくらいの方がレミリアの好みだ。
「そうだ、咲夜。少し聞きたいことがあるの」
「はい、何でございましょう」
 並び立っていた体を、咲夜に向けて。
「お前にとって、私の色は何色に感じる?」
 見つめる目には、真面目な声を。
「色……で、ございますか?」
 咲夜もレミリアに向き直り、少し上を向いて思案。
「ああ、色だ。どんな色でもいいぞ」
「そうですね……私が思うに……」
 視線を、レミリアと合わせ。
「青、でしょうか。高温の炎のような、透き通るような青」
 レミリアも、考える顔で。
「青、か。どういった理由で?」
「ええ、燃え盛る炎のような……熱血漢です、お嬢様は」
 これしかないと言った顔で、咲夜は言い切った。レミリアはここ最近じゃ一番の脚力を使って、こけそうになるのを何とか踏ん張る。
「ほ、ほう、熱血漢か、私は」
「ええ、熱血漢です!私の目には、いつもギラギラと、危ない情熱の青さで滾っておられますわ」
 むしろ咲夜の目の輝きが危ない。何かを吸い取られたような脱力を感じながら、レミリアは。
「うん、ありがとう、参考になったわ。熱血の青!……ふふ、なんとまあ」
「ええ、いつもそんなお嬢様であってください。館も活気づきますもの」
 花咲くような笑顔。たまにこんな顔で笑うから、レミリアはこの従者が好きでたまらない。
「そうか、そうね。ああ、熱血だとも。それじゃあ、思う存分お風呂でさっぱりしてきなさい」
「はい、それはもう。全員揃ったようですし、何かあればいつでもお呼びください」
 咲夜は一礼、妖精メイド達も意味がわかっているのかいないのか、全員綺麗な礼を。
 レミリアはそれを泰然と受け止めると、満足げな顔をし。
 無言で、また歩き出す。

 もう、ここまで来たら、あいつに会うまで放浪は終わらん。
 館を出て、庭を横切り。すっかり降りた帳の下を、満月の明かりを頼りに。
 正門、その横の門壁に、いつも変わらず腰かけている。
 弦が、空気を震わす音が聞こえた。
 胡坐で座り込むその紅い髪の女は、何か楽器の調律をやっている。
 小さくて、細い、弦の少ないバイオリンのような。
 長い付き合いの中で、彼女がそれを弾く姿は記憶に多い。そして、その音色は、嫌いじゃない。
 西洋風のこの館に、東方が大陸の情緒を運んでくるような、優しい。
「あれ、お嬢様?」
 美鈴はふと、その音を止めると、レミリアを見つける。
「ああ、邪魔してしまったか?」
 見上げるレミリアは、優しい声で。
「いいえ、まったく。御所望でしたら、お聞かせいたしましょうか?」
 月を背に、立ち上がり、深い緑色の衣装が風に揺れ。
 弓と楽器を一緒に片手で持ち、レミリアの目の前に飛び降りて、一礼をして笑う。
「お久しぶりです。こんな時間に、珍しい」
「ああ、本当に。ここが私の時間だったはずだろうにね」
 二人で、笑い声を合わせて。
「静聴していただけるならば、さっき私が座っていた場所はどうですか?眺めも、風もいいですよ」
「だから、お気に入りの昼寝場所かい?ああ、構わないわよ。さあ、美鈴」
 差し出した手を、優しくとられて。

 向かい合って座る二人。
 美鈴は目をつぶって、夜風に音を乗せるように弓を動かし。
 レミリアも目をつぶり、しばしうっとりと、それに聞き入る。
「……どうかしましたか?」
 美鈴は手を止めずに。
「ああ、どうかしてたはずなんだが、どうでもよくなりそうよ。心地いい……」
 レミリアは目を開き、その動きを見つめる。
「はは、それはどうも」
「お前こそ、どうしてかしら?」
 美鈴も目を開き。
「ええ、月が綺麗でしたので。埃をかぶせたまんまというのも、あれですしね」
 演奏は続く。
「……」
「……」
 美鈴は促さない。レミリアは月を見上げ。
「……ねえ、私の色のイメージって、お前にとっては何?」
 静かに問いかけた。音にかぶさるようなそれを、美鈴は一つも聞き洩らさず。
「……お嬢様の色ですか……そうですね、それこそ色々ありますが……」
 細く鳴くような弦の音と共に。
「私にとっては、白ですね」
「白、か」
 見つめあう。
「ええ、すべてに交わって、淡く変える。優しい色です」
「くすぐったい言葉だな。それ、本気で思ってる?」
 レミリアはからからと笑う。
「思っていますよ……思っているから、私はここにいるんです」
 美鈴も、優しく微笑み。
「そういう色だから、か……」
「そういう色だから、ですよ」
 レミリアは、またも月へ視線を逸らす。
「私は――」
 溶岩のように紅く。炎のように青く。優しさを湛えて白い。
 だからこそ、感謝と、活気と、人を預けられる。
「私の色は、世界とは――違う」
 だから……。
 月を掴もうとするように、手を伸ばすレミリア。
 その横顔が、進む方向を決めたように笑うのを、美鈴は見つめる。
(すぐ、そうやって顔に出る……)
 気づかれないように笑って。
 ほぅ、と、吸血鬼は息を吐くと。
「邪魔したわ」
 すっと、流れるように立ち上がる。
「いえ、お気になさらず」
 美鈴は演奏を一旦止め。
 レミリアは、静かに思う。
「あいつの答えを、待ってみるとしよう」
 誰に聞かせるでもなく呟いて、空を見据えた。





 森も、山も、大地も、その色でいい。
 でも、空だけはダメだ。空だけは、自分の色で塗らないと、意味がない。
 自分の色で塗るってのは、もう決定事項だ。
 それ以外はない、あたいならやれる、あたいだから出来る!
 でも、肝心の、あたいの、自分の、色がわからない。
 塗りたい色がわからない、そうしたい世界が見えてこない。
 どれも、これも、大好きな空なんだ。


 掴めないことに、不安は抱かない。






 あれからチルノは怒りのままにそこら辺を飛び回り。
 やがて、それにも疲れて、適当な木の枝の上で不貞寝に入った。
 起きれば辺りは真っ暗であった。今が何時か知れないが、腹が減った。
「あぁーあ、屋台やってるかしら……」
 また飛び立つと、行きつけの明かりを探して。

 今日はどこかの草原で。ぼうと光る優しい明かりを見つけ、チルノは高度を下げる。
 少し離れたところに降り立ち、行きつけの屋台――「やつめ」の暖簾がかけられたそれを見つめる。
 屋台に座る背中は四つ。盛り上がり方から見て、日付はまだ跨いでいないようだ。
「今日は繁盛してるなぁ」
 呟き、ずんずんと進んで、暖簾をくぐって顔を出す。
「おーい」
 店主に呼びかける。変な帽子の鳥妖怪。
「はーい、いらっしゃぁ……なんだ、チルノか」
 店主は愛想のいい笑顔を、一瞬で知り合いに対するレベルまで引き下げる。
「なんだとはなによ、あたいだって客だぞ」
 ぐいぐいと、体を、元からいる客の間に押し込むように。
「おいおいおい、詰まってるんだって、何してんのさお前」
 押し込む左の、真っ白い、長い髪の女と。
「おぉ?チルノか、こんな時間にダメだぞ、不良かお前は、はっはっは」
 右の、淡い青色の髪の女。
「おおお、弾き出される!実害は私の方が上みたいだわよ!」
 さらにその右、端に座った、金色の髪が慌てた声を。
「ああ、まったく無粋な客が来たもんだぁ、ってね」
 左端の赤い髪も、からからと笑う。
「おう?妹紅に、慧音に、ルーミアに……小町?珍しい面子だなぁ」
 チルノは見回すと、丁寧に全員の名前を確認する。人の名前を呼ぶのも嫌いじゃない。
「で、どうすんの、お客さん?」
 店主は呆れた顔で。
「ああ、ミスティア。何かさ、適当に腹のふくれるの作ってよ。酒はいんない、屋台の横で食うし」
 ぐいと拳を突き出すと、その下に開いた手を伸ばしたミスティアに、ぽろぽろと小銭を渡す。
 実はこの氷精、落ちてるのを拾ったり、行き倒れを助けてやる代わりに懐から頂戴したりして、結構な金を貯めていたりするのだ。
 まあ、こういう風にどっかで飲み食いするくらいしか使い道はないのだが。
「はい、まいど。ひぃ、ふぅ……ま、いいわ、サービス価格よ。横に回んな」
「ほいよ。悪かったね、みんな」
 押しのけていた体をずるっと引き抜く。
「まったくだ」
 白い髪の妹紅が、呆れた声で。
 しかし、普段は色々、頼んでもないのに、呑んでる客に突っかかってくるはずのチルノ。今日は片手を振るだけで、屋台の横に座り込み、空を眺めるだけである。
 妹紅は肩透かしをくらったような気分で、周りの客を見回す。全員も頷いた。
「あらら、元気ないじゃないのー」
 次にルーミアが右端から少し顔を出して、屋台の横のチルノを見る。
「うっさいなぁ、そっちこそ、またツケで呑みに来てんの?」
 チルノも、ぎろりとルーミアを見る。
「何言ってんのさ、お金が入ったから呑みに来てるのよ」
「毎回思うんだけど、あんたどうやってお金手に入れてるの?」
 ルーミアは、にぃぃと笑みを濃くして。
「聞きたい?」
 それだけで、大体の想像はついた。チルノは呆れた顔で、もう構うなと手で追い払う。
「なんだい、付き合い悪いのー。もう遊んでやんないわよ」
 ルーミアは舌を突き出すと、屋台に引っ込んだ。
「ま、何があったか知んないけどさ。ほれ、こいつでも食べて元気だしなよ」
 続いてミスティアが横に来て、チルノに茶碗と箸を渡す。
 茶碗の中身は、ご飯の上にドンと八目鰻の蒲焼きと、刻んだネギがたっぷりと。
「サービスしといたからね。ほら、お茶もあげよう」
「……ありがと」
 素直に礼を言って受け取ると、むしゃむしゃと食べ始める。
 ミスティアはそれを満足げに眺めると、屋台に戻り。
「ありゃ、重症でがすよ。まさか素直にチルノのお礼が聞ける日が来るとは……」
 真面目な顔で、客達に語りかける。客達も真面目な顔で頷く。
「よし、私が行こう」
 すっと立ち上がる、淡い青の髪。
「慧音……」
 連れの妹紅が、心配そうな顔でそれを見上げるのを。
「まかせておけ」
 安心させるように笑って、席から一歩を踏み出し、よろよろと二、三歩、見当違いの方向へ。
「駄目じゃん!」
 それを見た四人が声を揃える。慧音は、しこたま酔っていた。
 しかし、心配いらんという風に手を振ると、ふらふらよろよろとチルノに近づく。
 というか、その妖しい動きに、すわ何事かといった表情で、チルノも固まって動けない。
「なぁ、チルノ、どうしたんだ?何か悩んでるようじゃないか」
 チルノの横にどすっと座り込むと、その頭をぽんぽんと叩く。
「どっちかというと、あんたの方がどうしたのって感じだよ……満月の夜は忙しいんじゃなかったの?」
「ああ、あれはな、少し酒を入れてからやると調子が出るんでな、日付を跨ぐまでは呑んでいようかとな」
 少しどころではない、喋りかける息だけで酔えそうである。
「な、どうした?ほら、私に話してみろ」
 しかし、酔ってはいても根は真面目。チルノの頭をなおもぽんぽんと叩きながら、話を聞き出そうとする。
「……別に、あたい一人の問題だし」
 しかし、そっぽを向いて、話そうとしないチルノ。そうだ、こんなもん、あたい一人で解決しなくちゃ。
「ばかもーん!」
「あだっ!?」
 チルノの顔をがしっと掴み、見事な頭突き。酔うと気が短い。
「女三人寄れば姦しいという言葉を知っているか!」
「慧音、それは三人寄れば文殊の知恵だ!」
 レフェリーストップとばかりに妹紅が割って入り、慧音を後ろから羽交い締める。
「な、慧音、落ち着こう。水を飲もう、な?ほら、慧音はいい子だ」
 そのままずるずると屋台に引きずっていくのを、頭突かれたおでこをさすりながら呆然と見守るチルノ。
「ま、一人じゃ難しいことも、三人くらいで考えれば、少しはいい知恵も浮かぶだろうってことさ」
 驚いて横を向けば、いつの間にか小町がそこに立っていた。
 手に持った猪口をぐいっと呷ると。
「ほうら、来な。お前さんがそんなんだと、みんな調子が狂う」
 チルノの記憶の中で、二番目に背が高いのは美鈴。一番が、それをさらに一回り大きくした、巨人のようなうすらデカイ女のこいつだ。
 がっしと、チルノを小脇に抱えると。
「わっ、はっ、離せー!」
「はっはっは、無駄無駄」
 じたばたと暴れるチルノを、有無を言わさず屋台へ連行する。
「ほれ、到着」
 席に座ると、さらにチルノをぐるんと回転させて、自分の膝の上へ乗せる。
「なにすんのよー!もう!」
 チルノはいまだ余韻で回転する視界を、必死に元に戻しながら叫ぶ。
「お、調子出てきたじゃないか。そうさ、そうさ、そんな調子で悩んでることも叫んじまいな」
 しかし小町は気にせず、膝に乗せたチルノの頭をポンポンと叩く。
「みんな心配してるんだよ」
 右から、隣に座った妹紅の手がチルノの頭を撫でる。
 その言葉に、少しだけ頬を赤くして、チルノは妹紅を見て。
「なぁ?」
 笑いかける妹紅から視線を逸らし、次に見たミスティアとルーミアはニヤニヤと笑っていた。
 慧音はダウンしていた。
 小町の顔は、何か邪魔な物体が上にあってよく見えない。
「嘘ばっかり……」
 小さく呟いて。どう見ても面白がってるじゃないか。
 それでも目の前のお銚子と猪口を引っ手繰って、一杯呷ると、いつもの笑顔を作ってみせる。
 生意気そうな、自信に溢れた。

「あたいのさ、色ってどんな色だと思う?」
 ようやくチルノは、少しだけ胸の内を吐露した。思われるような、自分の色がわかれば、それで空を塗れるかもしれない。
「色?」
「色」
 全員の反芻に、律儀に応え。
「色ねぇ……」
 妹紅は考え込む。
「考えるも何も、あんた真っ青じゃない。青だー、青!」
 ルーミアは八目鰻に齧り付きながら。
「青?」
「いんや、そんな見た目通りでどうするのさ。チルノ、あんたは赤だ!ギラギラとした情熱よー」
 歌うようにミスティア。
「赤?」
「いやいや違うね。チルノ、お前さんは白だ。冷たーい雪の色さ、ひんやりしてて気持ちいい」
 だからちょいとこの温くなってきた銚子を冷やしてくれんかね、と、小町。
「色ぉ?そうだなあ、チルノの色は緑だ。爽やかな自然の妖精の色だ」
 いつの間にか回復した慧音が口を挟む。
「そうだなあ、私が思うに、お前は透明だな。氷のように……透き通って……」
 そして、考え込んでいた妹紅が、目をつぶって自分に酔った表情で語り始めた。
「あー、もう!バラバラじゃないのさ!」
 叫んでチルノは、勢いよく小町の膝の上で立ち上がる。
「そりゃ、感じる色なんてバラバラだろう、たとえば妹紅は私から見れば白だ。チルノはどう思う?」
 慧音はまだぶつぶつと言っている妹紅の肩をバンバンと叩きながら。
「妹紅は……赤」
 チルノは、憮然と。
「ルーミアは金ー」
 ミスティアもそれに乗るように。
「ええ、私は黒のつもりなんだけどー」
 ルーミアは間延びした声で。
「あたいも赤だろう?」
 小町は笑いながら猪口を傾け。
「私は青であり、緑でもある」
 慧音が何故だか胸を張る。
「ええい、わけわかんない!解決どころか余計混乱した!」
 チルノは頭から煙を噴きそうな心地、目をグルグルと回転させ。
 飛ぶように走りだす。小町の足から、妹紅の足へ。
「そう、宝石のよう……にっ!?」
 妹紅の足から、慧音の足へ。
「おう!?」
 慧音からルーミア。
「げぶっ!?」
 そこからそのまま地面へダイブ。
 ゴロゴロと転がると、仰向けになって夜空を見る。月を見る。
「つまりどういうことよー!!」
 叫びに、暖簾から全員顔を出して。
「つまり、チルノ、お前は緑だ!」
「青だ!」
「赤だ!」
「白さ!」
「透明だ!」
 慧音だけが酔っていると言ったが、訂正しよう、こいつら全員酔っている。
「ああ、そうかい!あたいは、緑で青で赤で白で透明で!」
 誰も彼もたくさんの色を持っていて。世界は色で溢れてて。
「こんなもん、一つになんて決められるかー!!」
 一際大きな声で吼える。
 そうだ、だったら。
「だから、全部、全部、思いつく色、片っ端から塗ってやる!!」
 それで、世界を主張してやるとも。
 勢いをつけて起き上る。表情は自然に、笑いが溢れて止まらない。
「悩みは晴れたみたいだな」
 慧音が笑って、こっちに近づいてきた。足取りは確かだ。
「まあ……おかげさま、で。か、どうかはよくわかんないけど」
 月に照らされる慧音の髪が、少しだけ緑色になったように見える。
「まあ、こんなのでよかったなら、いつでも、何でも答えてやるとも。知り合い全員集めて、知恵を振り絞ってやろう」
「……ありがと」
 少し俯いて。
「なあに、こちとら頼られるのが職業さ」
 そんなチルノの頭をくしゃくしゃと撫でると。
「さあ、これからどうするんだ?」
 そんなの決まっている、答えが出たなら。
「飛ぶしかないって!」
 チルノは走り出すと、すれ違いざまに、ルーミアの背を叩き。
「あり!」
「んっ!?」
 妹紅の背を。
「がと!」
「おう?」
 小町の背を。
「ね!」
「あら?」
 ぐるっと裏に回って、ミスティアの膝をかっくんと。
「そい」
「おわっ!?」
 そのまま走って飛び上がると、高度を上げながら。
「呑み過ぎるなよー!」
 上空から、屋台に向かって。
 手遅れだーと、下から声が届くのを聞いて、笑いながらチルノは飛ぶ。
 ぐんぐんと速度を上げて。








 明かりもつけずに、主は待つ。
 いや、明かりは月で十分だ。あの時に置きっぱなしだったキャンバスの前で、静かに座して。
 そう、もう見えている。こっちに一直線にかっ飛んでくる、玻璃色の羽が。
「待たせたー!」
 あのことなど、もう忘れたかのように叫びながら、普段通りにごろごろと転がる様に着地。
「諦めてなかったとはね」
 座した吸血鬼は、また少しだけ、皮肉っぽく笑う。
「誰が、いつ、諦めるなんて言ったのよ?あんたも待ってたくせに」
 氷精も、笑いながら。
「ああ、まったくだ。ならば、塗りたい色も、自分の色も、ちゃんと掴んできたんだろうな?」
 立ち上がり、向かい合う。
「さあ、聞かせておくれ、お前の答えを」
 見据える不安に。
「……塗りたい色も、自分の色も、わからない!!」
 根拠のない自信は。
「わかるもんかそんなもの!世界は色で溢れてる!だったら!」
 決してその位置を譲らない。絵の具の入った入れ物を探し出して、引っ掴むと。
「思いつく色、目につく色、自分が塗りたい色を、自分の色を、片っ端から塗りまくるしかないでしょ!」
 突き出して、二人の真ん中に置く。
「わかんなくても、それで迷って立ち止まるなんて、あたいは嫌だ!どうせ迷うんだったら、突き進みながら迷うのよ!」
 それが、チルノの答え。目茶苦茶な理論。根拠のない自信。
 でも、その馬鹿は絶対に、絶対にそれを信じきる。一度決めたら、その心を裏切らない。
 だから、人は――。
 答えを受ける吸血鬼は、その答えを、絶対に笑わない。真正面から受け止めて。
「……そう、か。なら、ちょっと付き合え」
 一度目を伏せると、その手を取って、飛び上がる。


 狂い悶える月明かりの下を、二人は連れ立って飛ぶ。
 眼下には湖。先を行くのは吸血鬼。
「どうした?もう、息が上がってしまったのかしら?」
「あ、あんたが早すぎるんでしょ……!ど、どういう体力してんのよ……!」
 チルノは改めて、目の前の妖怪との差を感じた。しかし、向こうはこれでも抑えている方なのだ。
「そうか?まあ、到着はまだ先だが、お前はここでもう飛ばなくていいよ」
 羽を少し動かし、下に切り込みながら、チルノの背後にいきなり回り込む。
 チルノはいきなり視界からかき消えたその姿に、飛行を止めると、驚きながら、自分の後ろ、下から上がってくる吸血鬼の姿を捉え。
「こっちの方が早い」
 レミリアは、向き合ったチルノの腰を抱くと、空気を下に叩いて、直上へと羽ばたき上がる。
「へ?えっ!?」
 いきなり速度を増した背景に、慌ててチルノがきょろきょろとしだすのを。
「私の目だけ見ていなさい」
 覗き込むように、その紅い瞳を、青いそれに映し。
 片方だけがその体を抱き寄せたまま、二人は真っ直ぐと空へ昇っていく。
「なあ、チルノ。私にだって、お前のように、世界を真っ直ぐ見つめて、自分のものだと叫べる時があった」
 見つめあったまま。
「お前と違って、根拠もあったよ。それでもね、私は諦めてしまった」
 上へと昇る感覚が増していくたびに、風を切る音も強くなる。耳も、変な感じで。
「ああ、確かに、世界には色が多すぎる。私はそれを、私の色で塗りつぶすことを、不可能だと思った」
 それでも、今までこの吸血鬼と出会った中で初めての、本当の本当に本気の声は、真剣なそれは、どんな音をも突き破って、チルノの中に響く。
「そして、私はその代わりに、世界とは違うものを、美しいと思ってしまった。私はそれを選んでしまった」
 吸血鬼は、視線を外して、見上げる。
「私は、私の選択を、諦観を、後悔はしていない。それは、確認した。それでも、私は可能性が見たい、それが手に入れられるものなのか」
 チルノも見上げる。眩しい、目が潰れそうな銀の光が。
「さあ、見せてみろ、チルノ!お前が、この、色に溢れた世界と対峙して、どうするのかを!!」
 吸血鬼は空を上る勢いのまま、抱き寄せたその体を、思いっきり、さらに上へ放り投げる。
 空をさらに上へ。チルノはその力に体を任せたまま、月だけを見ていた。
 月がこんなに近い。それは、こんなに近く見えるまで上って来たというわけで。
 上昇の最高点で、チルノの身体は一瞬だけ止まり。ふわりと、その身体が、寝がえりをうつように直下を向いて。
「――!!」
 チルノは見た。眼下に広がる、月明かりに照らされた、その世界を。
 広大で、色に溢れ、紅で、青で、緑で、白で、黒で、透明な、誰もが一度は夢見るそれを。
 誰しもが、諦めるそれを。
 そして、自分も一足早く自由落下しながら、上だけを、その氷精だけを視界に入れていた吸血鬼は、確かに見た。
 その馬鹿は、その世界を見て。それを見て。
 挑みかかる様に、笑ったのだ。いつもの、自信に溢れた、生意気な顔で。
「――ッッ!!」
 そうして、大声でそれに吼えかかった。言葉の体を成していない、腹の底からの歓喜と、興奮の雄叫びを。
 それを、その笑顔を見ただけで――。
 レミリアは視線を月に外すと、目を閉じて、声を出さずに静かに笑った。


「ならば、お前は世界を、空を、お前の塗りたいように塗りなさい。私も、少しくらいは手伝ってやる」
 また、キャンバスの前で向かい合って二人。
 あれから戻って来て、もう夜も深くなっていた。やり終える頃には朝だろう。
 しかし、チルノはその言葉を受け、訝しげな顔をする。
「何言ってるのさ、あんたも塗ればいいじゃない」
「いや、だから私は――」
「あんたも、選んだ色があるんでしょう?だったら、それを、世界に塗ってやればいいじゃないの。それとも」
 チルノは、からかうような笑い方になると。
「あんたは自分の選んだものが、世界に負けてるとでも思ってるの?」
 頬を張られたような衝撃だった。心底驚いた顔を一瞬。
 そうだ、私が選んだものは。
「……そんな馬鹿なことがあるか。世界なんて、そんなものより」
 綺麗で、あったかくて、だから私は、それに手を伸ばした。
「ああ、いいとも!私のそれを塗って、世界に、お前なんかに、私の選択が負けている筈がないと、叫んでやろうじゃないの!」
 笑って、筆を取る。
「いいわね、それ!あたいだって、世界なんて、もうすぐに捕まえて!ここで掴み切れなくても、挑戦状くらいは叩きつけてやるわ!」
 チルノも筆を取り。
 二人は、世界を描いていく。




 諦めも、不安も。自信も、挑戦も。色で混ぜて、二人を繋げて。
 二人はここに、世界の一端だけでも捕まえて。
 そうして、それを笑い飛ばしてやるのだ。




 明け方の空。青に、少しだけ赤を混ぜたその下で。
 氷精はキャンバスの左横に座り込んで、静かな寝息を立て。
 吸血鬼は、キャンバスを挟んで右横に座り、一人、酒瓶を開ける。
 グラスを介さず、直接それを飲み下し。
 背後に視線を流して、白み始めた世界を睨む。
「ざまあみろ。お前なんかより、こっちの方がずっと綺麗よ」
 紅で、赤で、青で、緑で、白で、黒で、金で、銀で、透明で、ありったけの色で塗られた空の、不格好なその世界を、こつんと叩いた。
だから人は、その世界へ集まる

ギリギリです、練り込みも何もあったもんじゃない今回の作品ですが
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです

馬鹿なチルノと、馬鹿になれないお嬢様
そんな二人と、友と、酒
キャラを崩し過ぎてすみません


6/15 拙いながらも、コメントへお返事させていただきます
    コメントしていただいた皆様、本当にありがとうございました


>>三文字さん
 ありがとうございます
 かっこいいお嬢様を目指したので、ストレートにそう言ってもらえるのは何とも嬉しいです
 それに、ロディーのロはロリコンのロですからね、小さい女の子の描写にかける情熱は(ry


>>名前が無い程度の能力さん
 ありがとうございます
 お嬢様はともかく、チルノも結構年齢は高めで考えてみました
 とはいっても、まだまだ餓鬼ですが


>>パレットさん
 ありがとうございます
 色々ともらった意見を参考にして、次も頑張ってみたいです


>>名前が無い程度の能力さん
 ありがとうございます
 自分の思うこんな味を美味しく感じていただけたなら、幸いです


>>神鋼さん
 ありがとうございます
 シリアスなところも、なるべくシリアスになりすぎないようにとは考えていました
 いつでもどこかにふざけが入っているのが、なんとなく自分が東方という作品に抱くイメージだったりします


>>佐藤厚志さん
 ありがとうございます
 二十歳越えてまだまだ青臭いこんな主張ですが、懐かしさと共に読んでいただけたなら良かったです


>>気の所為さん
 ありがとうございます
 むむむ、自分も急ぎ足のせいで、中盤ちょっと描写不足かなと思いました
 精進致します…


>>ASさん
 ありがとうございます
 滅多には見ないコンビですけど、自分の中では似た者同士だと感じております
 またこの二人で書いてみたかったり


>>笊さん
 ありがとうございます
 七人の侍!本当に古いですね、いつから人はそう思わなくなるのか
 これを書くにあたって、久々に昔の傲慢な思考を頑張って復活させてみたりしました


>>有文さん
 ありがとうございます
 実は自分自身、二人の考え方は漠然とした形だけで突っ走った今回でした
 今度はもう少し、丁寧に書けるくらいに理由を固めてみます


>>soさん
 ありがとうございます
 チルノの思考は深いというより、漠然とした何かを必死に掴もうとする感じです
 書いた本人もそんな感じです、理解は自分も自信はないです(酷い)


>>ふじむらりゅうさん
 ありがとうございます
 気障……セリフの恥ずかしさは自分自身読み返して思ったり
 もう少し、もっとそんなセリフに見合ったテンションの盛り上がりを出せるように精進致します


>>あすさん
 ありがとうございます
 勢いだけが取り柄です、自分自身も作品締切もひっくるめて突っ走りながら書いた作品です
 みすちー肌を感じるくらいに良かったと思ってもらえて光栄です


>>ぴぃさん
 ありがとうございます
 もどかしさのようなものは、チルノも自分もシンクロしておりました
 ラストのお嬢様は、プロットを浮かべた時にこういう終りにする!と気合いを入れて考えたので
 そう言ってもらえると嬉しいです


>>mokiさん
 ありがとうございます
 たとえば、誰もいない電車の車両に偶然乗り合わせてしまったような時の考えも近いかなみたいな
 タイトルですが、某有名漫画かつ某ボーカロイドの有名曲のもじりだったりします


>>リコーダーさん
 ありがとうございます
 少年漫画の主人公的な馬鹿さや愚かしさは今でも憧れだったりします
 チルノのくだりを書いてる時は「グングニル」を聞きながらだったり、だからもう恥ずかしいくらい青臭いわけですけどね


>>八重結界さん
 ありがとうございます
 それは少し狙って、作品に盛り込んでみました
 どっちもお互い離れている時は、似たようなことをしているんです
 結局、二人を分けるのは進む道、進んだ道の違いだけかもしれません


>>どうたくさん
 ありがとうございます
 カリスマというよりは、人徳みたいなものを目指してみたり(似たようなものですが)
 チルノには現在「心」しかありませんが、それで十分だとも思えます


>>木村圭さん
 ありがとうございます
 とにかく奇抜な考えは苦手なので、がっつりど真ん中になってしまいました
 確かに、お嬢様今回口調が所々怖いですね…
 お嬢様は、もっと優しい人という自分の中のイメージのように描けるように、努力していきたいです


>>K.Mさん
 ありがとうございます
 チルノの交友関係は、これくらい顔が広いと面白そうだなぁという自分の妄想ですが
 誰と絡ませてもそれほど違和感がないのが、そう妄想してしまう原因で、チルノのすごい所かもしれません


>>つくしさん
 ありがとうございます
 感想お待ちしております


>>時計屋さん
 ありがとうございます
 お嬢様には五百年という時間に見合った何かを背負っているんじゃないかなぁと考えたりします
 でも、子供らしいところも魅力なので、その釣り合いが取れるように頑張ってみたり
 作品の入口は、もっと入りやすい感じにできるように努力していきたいです


>>ハバネロさん
 ありがとうございます
 コントロール力というよりは、何とか寄り道を重ねながら着地させた感じですが
 そう言っていただけると嬉しいです


最後にもう一度、コメントしていただいた皆様、読んでいただいた皆様へ
ありがとうございました
ロディー
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/05/09 23:47:27
更新日時:
2009/06/15 23:04:18
評価:
22/23
POINT:
152
Rate:
1.54
1. 8 三文字 ■2009/05/12 00:59:14
自分の色に世界を染める、それは他の綺麗な色を無くすということ。
皆違って皆良いってことですね。
最後の世界にざまあみろというお嬢様が格好良かったです。
にしても、紅魔幼稚園、いいなぁ……
2. 9 名前が無い程度の能力 ■2009/05/12 12:10:28
チルノもレミィもいつもよりアダルティで良かったどすえ
3. 4 パレット ■2009/05/18 00:54:36
自分の色探しというテーマに対して、個人的にはとても納得のいく解答でした。
ただ、シリアスめなお話に際して、それぞれのキャラが、ちょっと「らしくない」かなという印象を受けたりも。
4. 8 名前が無い程度の能力 ■2009/05/25 17:36:32
二人のやりとりは良かった
屋台の連中も紅魔館の連中もいい味出てるね
5. 10 神鋼 ■2009/06/03 19:13:33
これは凄い、お嬢様とチルノがずれてる所も含めて見事に噛み合ってる。
後半二人がヘコんでるあたりもそれぞれの周りが、気遣いながらも緊張感の無い会話をするのでとにかく読んでいて気持ちが良い。
何気ないとこにちょこちょことエッセンスが散りばめられていて面白かったです。
6. 6 佐藤厚志 ■2009/06/04 03:12:00
何となく青春時代に吸った煙草って感じの小説でした。
青臭さがやたらと心に響いた小説でした……。
7. 7 気の所為 ■2009/06/04 06:11:41
キャラの対比が上手いですね。
最後の一行が凄く印象に残りました。
中盤辺りのシーンが想像しにくいかと少し感じましたね。
8. 6 As ■2009/06/07 13:07:26
面白かったと思いました。
チルノとレミリアという滅多に見ない組み合わせも、世界を自分色に染めようとするお話も。
9. 6 有文 ■2009/06/08 00:02:03
チルノとお嬢様、どちらもひたすらにまっすぐで心地よかったです。
ただ、もう少し空の色への、二人の考え方の違い、こだわり、思想などを語る下りは丁寧な方が良いかな、と。
10. 3 so ■2009/06/11 07:24:12
チルノの思考がかなり深いですね。

少しだけ、理解するのが難しかったです。
11. 4 ふじむらりゅう ■2009/06/11 22:10:27
 なんか台詞で笑ってしまうなあ……唐突というかお芝居じみてるというか、ふたりの台詞が気障すぎて。
 青春真っ盛り! にしても、ふたりのテンションが盛り上がっていく予兆もなく気障な台詞を言い放つのは、ちょっと台本そのまんま読んでる感じがするかなあ。
12. 9 あす ■2009/06/11 22:16:03
全作品中、唯一鳥肌が立った作品でした。練りこみが無いとのことですが、その分勢いがある文章で逆に良かったです。
最後での二人の会話をもっともっと絞ると(いっそ一言ずつとか)、読後のスッキリ感が大幅UPかなと思います。その直前がクライマックスですし。
13. 9 ぴぃ ■2009/06/12 05:06:36
ちょいと地の文が乱暴かな、とも感じましたが、それが逆によい具合に、ストーリーに激しさと勢いを与えていますね。
チルノのやるせない感情と真っ直ぐなエネルギーを表すという効果を生んでいるように思えました。
最後のお嬢様のセリフも素敵。
14. 6 moki ■2009/06/12 18:39:36
幼いが故、いや純真故かな、の全能感かぁ。見える世界が違うんだろうな、きっと。捻ねた性格してるもんで自分の幼い頃にそんな時期があったのか思い出せませんが。それにしてもタイトルがいい。
15. 9 リコーダー ■2009/06/12 19:10:15
気持ちは伝わった。
チルノのバカさをこういう方向に評価してる作品って、あまり無いんですよね。
思いっきりバカになりたいと思えました。
16. 6 八重結界 ■2009/06/12 19:27:41
チルノとレミリアでそれぞれが全く性格も異なるのに、どこか似ているように思えました。
ありったけの色で空を埋めるというのは、何ともチルノらしい話です。
17. 7 どうたく ■2009/06/12 21:46:25
 久しぶりにカリスマのあるお嬢様を見ましたw
 絵という媒介を通して、Hとカリスマが同じ夢を追いかける。
 そして空という無限の可能性を求める二人の姿。
 何かを追い求める時に最後に必要なのは「心」だと再認識させてくれた作品でした。
18. 8 木村圭 ■2009/06/12 21:55:25
チルノが某麻雀な姿で動き回ってました。
別ベクトルで自信に満ちた二人、相性は良いんだろうけど両方をきっちり光らせるのは簡単じゃないのよねぇ。
という訳でお見事でした。お題をでんっと中心に据えてもらえると気持ち良いものです、上方修正プラスいち。
パチェだの咲夜だのとの絡みが少なかったからレミリアがちと尊大すぎるように見えたりもしましたが、味付けの範疇だと思いますです。
19. 6 K.M ■2009/06/12 23:05:45
突き進む馬鹿に乾杯。チルノ交友関係描写が面白かったです。
20. 8 つくし ■2009/06/12 23:17:29
申し訳ありません、時間が差し迫っているため、採点のみにて、感想本文は後ほど改めて。
21. 7 時計屋 ■2009/06/12 23:19:11
 チルノとレミリアという珍しい組み合わせが、とても良い形で描けていると思います。
 キャラの描写も崩れているというよりは、その魅力を別の側面から見せられている気がして、違和感を感じるようなものではありませんでした。
 特にレミリアの幻想郷の一員としてではなく、かつて支配者であろうとしたものとしての一面が目新しかった。また、レミリアらしい威厳とそれに矛盾しているかのような幼さがよく表現されていたと思います。
 他には無い雰囲気が醸し出された良作だと思うのですが、ただその分、作品の世界に入りにくかったようにも感じました。
22. 6 ハバネロ ■2009/06/12 23:25:54
あとがきを読むに、作者のコントロール技術の高さはかなりのものなのだと思う
まさに短編、という内容。
老人と子供。諦観と未明。
ちょっと視点が遠い気がしたが、作品を損なうものではないと思う
23. フリーレス ■2017/01/26 01:09:02
パワーと言うか、文章の牽引力が凄い
勢いで最後まで読ませられてしまいました
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