船乗り達が恋した黄金郷

作品集: 最新 投稿日時: 2009/05/09 23:55:22 更新日時: 2009/06/16 21:33:12 評価: 23/25 POINT: 128 Rate: 1.28
 秋が深まっていた。
 強烈だった太陽の光も、うるさかった蝉達の鳴き声も、蒸し風呂のような酷暑も、全てが明らかに力をなくし数を減らしていた。
 まだまだ日中は残暑があるものの、朝夕は涼しく夜に至っては寒気を感じることすらある。
 季節が移ろいつつあった。生命力に溢れた夏は駆逐され、収穫と実りの秋が取って代わろうとしている。
 里の田畑の稲穂も大きくたれてきているので、里ではそろそろ稲刈りの準備で忙しい頃合だろう。
 そんな秋のある日の午後も、博麗霊夢は自宅である博麗神社の縁側でお茶をすすっていた。神社の掃除は午前中で終わらせてある。今は昼食後のごく休みと言うわけだ。
 これから何をしようか、と考えていると、ふと境内の木々が目に留まった。まだ多くの木々が色づき落ち葉が舞うようになるには時間があるが、落ちた枯れ葉の始末に霊夢が少々憂鬱になる。
「はあ…ん?」
 境内がまた落ち葉で一杯になる光景を想像してため息を吐いた時、不意に遠くの方からか風切り音近づいてくるのが聞こえた。
「ふむ」
 霊夢は湯飲みを置くと、こぽこぽとポットからきゅうすにお湯を注ぎ始める。このポットは香霖堂から持って来た物だが、実に便利な物だ。何しろ、朝お湯を沸かして入れておけば夕方まで暖かいまま保ってくれるのだから。どんな仕掛けが施されているのかは霊夢の理解の範疇外だが、もしもポットの発明者に出会ったら最大級の賛辞を送ろう。そう霊夢は常々考えていた。
 きゅうすから客用の湯飲みにお茶を注ぎ終わったとき、凄い勢いで轟いて来ていた風切り音が神社の真上を最高潮にスッと止まった。
「よう、霊夢」
 そしてそんな声とともに風切り音の正体が、箒に跨ったままゆっくりと降下してきた。
「いらっしゃい。魔理沙」
 いれたてのお茶を差し出しながら霊夢は友人である霧雨魔理沙を出迎えた。
「おー、いつもながら気が利くぜ。私が来るのが分かったのか?」
「あんだけ音立てていれば誰だって分かるわよ」
 霊夢から湯飲みを受け取り、魔理沙はドカッと霊夢の横へ腰を下ろす。
「で、今日は何の用?あんだけ急いで来たんなら、何か用があるんでしょ?」
「流石に勘がいいな。実はな、黄金を探してるんだよ」
「はあ?黄金?」
 訝しげに問いかける霊夢に、ニヤニヤとお茶を飲みながら魔理沙は饒舌に語りだした。
「ああ、今日は午前中紅魔館にいたんだがな…」



 その日魔理沙が紅魔館へ行ったのは暇つぶしだが、その本を見つけたのは偶然だった。
 『百万の』と題されたその古いフランス語の手写本は、13世紀にアジアを旅したヴェネチアの商人が遺した旅行記で、ヨーロッパに初めて日本が紹介された本だった。
 なんとはなしに薄汚れたその写本を開き、フランス語の勉強がてら眺めていたとき、日本の項目が目に留まった。
『ジパングは莫大な金を産出し、宮殿や民家は黄金で出来ているなど財宝に満ちている』
 いい加減な旅行記だ、と笑った魔理沙に、パチュリーが口を挟んだ。
「確かにその本のジパングの記述はいい加減もいいところだけど、他に文献のなかった時代の人々にはそれは真実だったのよ。たとえそれが本当は幻想だったとしても、それはやがて東洋への憧れを喚起し、人々を海へ駆り立て大航海時代を呼び寄せる原動力になり、遂には産業革命へと繋がっていく。まさに、人類の歴史を変えた一冊ね。ま、私やレミィにとってはここへこなくちゃならなくなった遠因の一冊でもあるけど」
 肩をすくめ、多少自嘲気味に笑うパチュリーを見て、魔理沙はふと思い立ったことがあった。
「なあパチュリー。外の世界で幻想になったから、お前さんたちは幻想郷へ来たんだよな?」
「正確には少し違うけど、まあそんなところね」
「じゃあ、外の世界で幻想になったジパングの財宝は、何処へ行ったんだ?結局幻想だったとしても、当時は実在したんならどっかに行った訳だろう?」
 魔理沙の問いに、パチュリーはきょとんとして答えた。
「さあね。案外私達みたいに幻想郷に来ているかもよ」
 ニヤリ、と魔理沙は口元を歪めるとパチュリーに別れを告げ、すぐにその足で博麗神社へとやって来たのだった。



 魔理沙の話を聞いて、霊夢は素直に笑った。いつも通りの魔理沙だと。
「そんな黄金が幻想郷にあったら、うちの神社にはもう少しお賽銭が溢れてるわよ」
「誰も気付いてないだけって事もありうるぜ?」
 飄々と魔理沙は答える。だが霊夢はさらに突っ込んだ。
「だいたい、もともと存在しない黄金が流れ着く訳無いじゃない」
 霊夢の言葉に、魔理沙はちっちっちと指を振る。
「ところがだ、迷いの竹林や魔法の森も外から流れ着いたんだぜ?特に魔法の森、あんな瘴気が濃くてキノコだらけの森が外に存在していた訳がない。きっと魔女がいそうな魔法の森っていうイメージが幻想入りして今の魔法の森になったんだ。だったら実在しなかった、黄金郷というイメージが幻想入りしていたとしても不思議じゃないだろう?」
「まあ、そうかもしれないけど」
 魔理沙に言われて、霊夢は言葉に詰まる。今度は逆に魔理沙が畳み掛ける。
「探してみようぜ、黄金」
「どうして私が」
「暇だろ?」
「まあ…ねえ…」
「じゃあ決まりだ」
「なんでそうなるのよ」
「黄金山分け」
 単刀直入な魔理沙の言葉に、流石の霊夢も動揺する。
「ず、随分と大胆な提案ね」
 魔理沙は不敵に微笑み、さらに駄目押しをする。
「世界史を動かした黄金だ。山分けしたっておつりが来る。な?」
 その一言が決め手だった。
 霊夢はぐいっとお茶を飲み干すと、スッと立ち上がった。
「なにしてるの魔理沙。すぐに探しに行くわよ」
 グイっとこぶしを握り締める霊夢に、魔理沙もニヤリと笑い、傍らの箒を手に取った。



 まず二人が訪れたのは魔法の森のたもとにある香霖堂だった。
 あの商売っ気の全くない変人店主なら妙なことを色々知っているから、ひょっとしたら黄金郷のことも何か知っているかも知れない。
 がちゃり、と店の扉を開け中に入ると、店主の霖之助は浮かしかけた腰を下ろしため息をついた。
「おいこーりん酷いじゃないか。客だぞ?」
「そういうセリフはまずこれをどうにかしてからにしてくれないか」
 机の上の分厚いツケ帳をコツコツと人差し指で叩きながら霖之助は言った。
「なんのことだか分からないぜ。なあ霊夢?」
「そうね、妖怪退治したりいろいろしてるつもりよ」
 霖之助の苦言を2人は軽く受け流し、椅子に腰掛ける。
「まあいいよ。君達には何を言っても無駄だ。で、今日は何の用だい?ツケの上増しならお断りだよ」
 霖之助は肩をすくめて、読んでいた本にしおりを挟んで2人に向き直る。
「実はだな・・・」
 そう言って魔理沙は先ほど霊夢に話したこととほぼ同じ事を霖之助に話す。
 魔理沙の熱の籠もった話しが終わると、くつくつと霖之助は笑い始めた。
「魔理沙、君は本当にそれを信じているのかい?」
「じゃなきゃ聞かないぜ」
 自信たっぷりに話す魔理沙に対して霖之助は両手を大仰に開いて問う。
「じゃあ魔理沙、この店を見てくれ」
「ん?」
「この店が、そんな歴史を動かした黄金のありかを知る男の店に見えるかい?」
「・・・見えないな」
「だろう?もしもそんな大それた宝物を手に入れていたら、もう少しいい店にしてるよ」
「別に黄金そのものじゃなくてもいいんだ。何か、ヒントになりそうなこと知らないか?伝説とか、噂とか、そんなのでもいいんだ」
 食い下がる魔理沙に、霖之助は子供をあやす様に言った。
「残念ながら、心当たりはないね」
 ため息を吐く魔理沙と霊夢。そんな2人を見て、霖之助は思い出したかのように続ける。
「そういえば、里に歴史に詳しい人がいなかったかい?」
「慧音の事?」
 霊夢が問い返す。
「そう。上白沢先生。彼女なら、歴史にも幻想郷にも詳しい。きっと黄金の正体も教えてくれるよ。さ、商売の邪魔だ。もう行ってくれ」
「商売なんてする気ないくせに」
 魔理沙は霖之助の言葉を茶化すが、おとなしく霊夢を伴って里へと向かった。二人を見送った後、霖之助は読みかけの本を開きながら一人呟く。
「船乗り達が恋した黄金郷、か。果たして魔理沙たちは、その黄金を美しいと思えるかな?」



「なんだ、珍しいな。霊夢と魔理沙じゃないか」
 里の寺子屋に行くと、慧音は丁度子供達の宿題をチェックしているところだった。
「宿題って、こんなにあるのか?」
「全員分だからな、それなりの量はある。で、今日は?」
「ちょっと慧音に聞きたいことがあるのよ…」
 2人は早速黄金の話をし始める。話を聞き終えると、慧音はすぐに心得たとばかりに解説を始めてくれた。
「なるほど。『百万の』か。確か『東方見聞録』のフランス語写本はそんな名前だったな。さて、お探しの黄金の行方だが、魔理沙の仮説は半分だけ正解だ」
「半分だけ?」
 霊夢が小首をかしげる。
「ああ。結論から言おう。ジパングの黄金は確かに存在している。だが、それは外の世界にある」
「そ、外だって!?」
 慧音の言を聞いて魔理沙が身を乗り出す。
「そうがっつくな。マルコポーロが書いた黄金の国、つまり黄金で出来た宮殿というのは、中尊寺の金色堂の事だ」
「ちゅうそんじ?」
「奥州平泉にある天台宗のお寺だ。そこにある、奥州藤原氏の藤原清衡が天治元年に建てたと言われているのが金色堂で、中も外も総金箔貼りの豪奢なお堂だ」
 慧音の解説を、二人は呆然とした様子で黙って聞き入る。
「東方見聞録の黄金の国の記述は、その金色堂の描写が誇張され伝わったものと言われている。だから魔理沙、残念ながらお前がどんなに幻想郷中を探そうとも、黄金は出てこない」
「いや、まさか、世界史を動かしたのがそんな小さなお堂だったって言うのか?」
 食い下がる魔理沙。慧音は子供をあやす様に続ける。
「そうだ。しかも一辺が一間(5.5m)程度のな。寺の仏堂としてもかなり小さい。そんな小さなお堂だが総金箔貼りは相当インパクトがあったのだろうな。尾ひれ葉ひれを付けて遠く中国まで伝わったのだから」
 愕然とした様子の魔理沙を、霊夢が肘で突っつく。
「魔理沙、黄金は?山分けは?」
「・・・か、必ずあると言った覚えはないぜ?」
 霊夢の眼圧にぎこちなく答える魔理沙。二人を慰めるように慧音は続けようとした。
「まあまあ。この話には別の一説も・・・」
 その時突然、ガラガラと玄関が開く音がし、大きな男の声が響く。
「おおーい!上白沢先生ー!おりますかねー!」
「はーい!ただいま参ります!」
 応えて、慧音が立ち上がる。
「すまん、週明けから稲刈りでな、少しバタついているんだ。この話の続きはまた今度することにしよう」
「里の人たち総出だもんね。行きましょ魔理沙」
 霊夢に促されて、魔理沙も立ち上がった。そのまま縁側から飛び立ち神社へ帰ることにする。
「まったく、とんだ無駄足だったわ」
 帰路、終始霊夢はご機嫌斜めだった。魔理沙が必死にとりなす。
「悪かったって。でもほら、損は何もしてないんだからいいだろ?な?後で賽銭入れてやるからさあ」
 午後も遅い時間になり日の傾き始める空をふよふよと飛ぶ霊夢の周りを魔理沙がうろうろ飛びながら神社付近まで帰ると、突然霊夢が眉をしかめた。
「どうした?」
「変な気配がする」
 そう言うと霊夢は一気に速度を上げた。



 霊夢が神社の縁側へ降りると、妖怪が一人お茶をすすっていた。魔理沙も遅れて降りる。
「なに勝手にお茶飲んでるのよ」
「あら、茶道具をほったらかして神社を留守にしたのは誰かしら?」
 隙間の大妖八雲紫は霊夢の露骨に嫌そうな表情を気にすることもなくお茶をすすりながら言った。
 霊夢はお盆を挟んで紫と反対側に座る。魔理沙も霊夢の隣に座る。
 手早くお茶道具を紫の手元から奪い返し、手際よくお茶を入れ一口すする。
「で、何しに来たのよ」
 魔理沙の分のお茶も入れながら、霊夢は紫に訊ねた。
「暇だから様子を見に来ただけよ」
 言いながら紫は扇子を取り出し中空をスッと薙ぐ。すると隙間が開きお饅頭の箱が顔を出した。
「はい。お土産」
「だから紫って大好き!」
 魔理沙が思わず振り返るほどの変わり身の早さに流石の紫も苦笑する。
「それで、神社を留守にして何をしていたの?」
 ぺりぺりと饅頭の包みを破りながら紫が聞いた。
「黄金を探していたのよ」
「黄金?」
 紫が小首をかしげて聞き返す。
「そ。魔理沙が世界史を動かした黄金が幻想郷あるって言うからね。でも結局それは外のお寺にあるお堂のことなんですって」
 早くも2つ目のお饅頭を頬張りながら霊夢が答える。
「世界史を動かした黄金?外のお寺のお堂?それってひょっとして、マルコポーロの『世界の記述』と中尊寺の金色堂のことかしら?」
「そうよ」
「ふーん。マルコポーロの夢見た幻を探そうなんて、なかなか面白いことしてるじゃない。でも、金色堂の話なんて誰がしたの?」
「里に行って、慧音に聞いたのよ」
「なるほどねえ。でも、もう一つの説は聞かなかったのかしら?」
「もう一つの説だって?」
 魔理沙が2つ目の饅頭に手を伸ばしながら聞く。
「そう。黄金の国伝説の正体は奥州平泉中尊寺の金色堂とする説が一般的だけど、実はもう一つ説があるのよ。彼女なら知っていそうなのに、教えなかったのね」
「途中で里の人が訪ねてきたから。週明けから稲刈りで忙しいんですって」
 ああ、と霊夢の言葉を聴いて得心したように紫が頷く。湯飲みを置き、スッと立ち上がる。
「それでは見せてあげましょう。船乗り達の恋した黄金郷を」
 霊夢と魔理沙がきょとんと紫を見上げる。
「あるのか?」
 魔理沙の問いに、紫はにっこりと微笑んで言った。
「もちろんありますわ。幻想郷も黄金の国の一部ですもの。それはそれは美しい、黄金色に染まる黄金郷が」



 紫に連れられて霊夢と魔理沙がやってきたのは、妖怪の山の手前にある小高い山であった。
 日はかなり傾き、空は茜色に染まり始めている。
 紫に言われ、空を飛ばずに徒歩で登ってきた2人は不満たらたらだった。
「なんでこんな獣道を歩かなきゃいけないのよ」
「そうだぜ。場所が分かってるなら飛んで行ったっていいじゃないか」
 だいぶ息の上がった2人とは異なり険しい山道をずんずんと進んでいく辺りは、流石に妖怪という所だろうか。
 やがて木々がまばらになった、少し開けた小さな広場のような場所に出くわす。
「さあ、着きましたわ」
 言って紫が振り返ると、息も絶え絶えの霊夢と魔理沙がやっとの思いで広場にたどり着いたところだった。
「情けないわねえ。この程度であごを出してどうするのよ」
「あいにく、足は余り使わない商売なものでして。だいたいあんたとは身体のつくりが違うのよ」
 呆れる紫に、荒い息のまま霊夢が愚痴る。
「で、何処にあるんだ?黄金は」
 魔理沙が辺りを見渡しながら訊ねる。その問いに、紫は太陽の位置を確認し、一つ頷きこう言った。
「そうね、もう良い頃合でしょう。2人とも、その辺りから里が見下ろせるから見て御覧なさい」
 2人は怪訝な顔をしながら、紫が指し示した辺りまで歩くと、息を飲んだ。

 そこには、黄金色に光り輝く黄金の絨毯が広がっていた。
 里はまるで、金色の原野の中に存在するかの如く、あるいは黄金色の海に浮かぶ孤島の如く、眩しくきらめく黄金に囲まれていた。
 あまりの美しさと眩しさに、2人は呆然としただ驚くほかなかった。
 少しして、やっと魔理沙が口を開く。
「なんだよ、あれ」
「稲穂、稲穂よ」
 霊夢がつぶやくように答えた。
「そう、正解。博麗霊夢の言うことは全て正解よ。大きく実る、黄金色の稲穂は豊かさの象徴。それが里一杯に広がっている風景。それをマルコポーロは黄金の国と譬えたの。莫大な黄金を産出し、宮殿や民家には黄金が溢れている、とね。かなり誇張が含まれているけれど、これが世界を動かした黄金の国ジパングの正体。どう?中尊寺のちっぽけなお堂なんかより、余程説得力がないかしら?」
「ああ、全くだぜ…」
 予想だにしていなかった黄金郷の正体に2人は、山々の峰の向こうに陽が沈み、辺りが逢魔ヶ時を迎えるまで見入っていた。



 すっかり陽は沈みきり、夜の帳が幻想郷中を包み込んだ。
 紫と別れた霊夢と魔理沙は神社へと帰り、夕飯のうどんをすすっていた。
「しかし、まさかあれが黄金の正体とはな」
 ずるずるとうどんをすすりながら魔理沙。
「そうねえ。でも稲穂があんなに綺麗だったとは知らなかったわ」
「そこには私も同意するぜ。しかし、なんで気がつかなかったのかな、子供の頃から見てきたはずなのに。でもそうか、言われてみれば秋の田んぼをまじまじとなんて見たことはなかったぜ。日常に溶け込みすぎていたのか」
 なるほどなるほど、と魔理沙は一人で納得して頷く。
「でも残念だったんじゃない?黄金って言ったらやっぱり金だと思っていたでしょう?」
 霊夢の問いかけに、魔理沙は苦笑しながらこう答えた。
「ああ。あれも確かに綺麗なお宝ではあったんだがなあ、ただ…」
「ただ?」
「流石にあれは、私の蒐集物にするには大きすぎるぜ」
 魔理沙の言葉を聞いて霊夢が笑い出す。一緒になって魔理沙も笑った。



 17世紀、ヨーロッパの船乗り達が恋した黄金郷。時が流れ形が変わっても、決して幻想とはなりませんように。

fin...
さて、如何だったでしょうか?
正直、もう少し推敲を重ねたかったのですが、締め切りがあっては致し方ないですよね…
技量不足を痛感。

少々解説みたいなことをすると、黄金=稲穂と言うのはNHKの大河ドラマ「北条時宗」のネタです。
これを当時見て、ジパングの新解釈に随分と胸を打たれました。
で、今回「色」というお題を見て悩んでいたときに、ふとそれを思い出し、これだ!となった訳です。
秋の田んぼは金色の野原になったようで本当に綺麗で、いつもついつい見入ってしまいます。
最後に書きましたが、この光景だけは決して幻想入りして欲しくないと切に願っています。

では、結果発表を戦々恐々としながら、皆様のご感想をお待ちしております。
土岐八雲
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/05/09 23:55:22
更新日時:
2009/06/16 21:33:12
評価:
23/25
POINT:
128
Rate:
1.28
1. 7 名前が無い程度の能力 ■2009/05/10 04:42:53
ちょっと物足りない。が、良いお話でした。
2. 6 焼麩 ■2009/05/10 17:39:40
それだけやって夕飯うどんかよ!
つい突っ込んでしまった。
王道でお題の織り込みもシンプルでした。分かりやすく粗のない文も良かったです。
しかし先が容易に読めてしまう上に量として物足りない印象。
二軒目で解答が出てしまっているので……もっと回って欲しかった。
3. 5 #15 ■2009/05/11 20:50:12
マルコ・ポーロは、実は日本には来ておらず、中国で聞いた日本の噂話を元に『当方見聞録』を書いたらしいですね。

ためになるお話、ありがとうございます。
4. 6 三文字 ■2009/05/11 21:37:20
稲穂って確かに金色に見えるよなぁ。
黄金も食べる物がなければただの金属。
実りの宝をいつまでも大切にしていきたいものです。
5. 6 名前が無い程度の能力 ■2009/05/12 09:43:04
いいトリビアでした。良かったどすえ
6. 3 パレット ■2009/05/18 00:59:58
稲穂の伏線がきちんと仕込まれていたからか、ネタ自体はそこまで意外性を感じなかったかも。これは伏線にしておかないと唐突なオチになってしまうし、けれどこの作品くらいに強調してしまうと意外性が損なわれるようにも思えて、難しいものだよなあと感じます。
気になったところとしては、「そこには、黄金色に光り輝く黄金の絨毯が広がっていた。里はまるで、金色の原野の中に存在するかの如く、あるいは黄金色の海に浮かぶ孤島の如く、眩しくきらめく黄金に囲まれていた。」という見せ場のシーンで、ちょっと黄金という言葉が重複しすぎていたように感じました。「黄金色に光り輝く黄金の絨毯」は特に。
7. 8 名前が無い程度の能力 ■2009/05/30 00:39:58
今日もご飯が旨い!
8. 5 嫌な ■2009/06/04 02:26:37
>「流石にあれは、私の蒐集物にするには大きすぎるぜ」

 魔理沙それ、かの有名な大泥棒の台詞や。
9. 7 気の所為 ■2009/06/04 18:49:51
ああ、これは良い。短く綺麗に纏められていて起伏もしっかりしている。
変わり身の早い霊夢可愛いよ。
結局話が終わっても全員それと言って感情を揺らさなかったのがいいですね。あくまで日常的で。
解釈には夢がないと。幻想万歳。
10. 5 神鋼 ■2009/06/05 19:47:57
話としては割と予想してた内容でしたが、あれって結構凄いですよね。特に風が吹いた時とか。
11. 5 有文 ■2009/06/07 23:30:10
なんだかとってもいい話という感じでした。やはり、稲穂は国の宝ですね。
12. 6 佐藤厚志 ■2009/06/10 01:32:52
秋の田んぼって美しいですよね。
田んぼといったら米、米といったら酒、酒といったら八海山。
13. 6 ふじむらりゅう ■2009/06/11 00:23:25
 かなり最初の方で、というかタイトルの時点でオチは予想ついたのですが、予想した通りに綺麗な話で面白かったです。
 でも欲をいえば、霊夢と魔理沙には自力で辿り着いて欲しかったかな、と少し。
 ゆかりん便利キャラすぎる。
14. 6 上泉 涼 ■2009/06/12 02:40:31
稲穂を黄金に譬えている、なんて素敵な解釈があったのですね。
15. 7 ぴぃ ■2009/06/12 05:19:53
そんな説があったんですか。
私も稲穂の黄金郷の方が好きですねぇ。ロマンがあります。
作品についてですが、ちょっと冗長なところがあるかな、と思いましたが、全体を通して、とても良い雰囲気がでした。
タイトルも素敵。
16. 5 moki ■2009/06/12 18:35:18
黄金色の稲穂も好きですが、この季節の新緑に染まる早苗の田も美しいなと思いまする。
17. 4 リコーダー ■2009/06/12 19:08:47
もう少し広げられたか。
霊夢魔理沙は俗説や推測をもっと出してバタバタさせ、畑仕事をする村人+慧音をもう少しクローズアップして、最後に一人上空から郷を見下ろす紫様の薀蓄で終わるとか、こちらでちょっと考えた所ではそんな感じ。
18. 6 八重結界 ■2009/06/12 19:33:27
ああ、白米が食べたくなる。
日本人らしい、とても和風なお話でした。
19. 3 木村圭 ■2009/06/12 21:57:03
山に登っていく辺りで読めましたが奇をてらったものでもないので問題ありません。
が、この手の話はやはり漫画の方が映えると思います。絵にすることができない類のものでもありませんし。
20. 5 K.M ■2009/06/12 23:01:57
まずタイトルに惚れました。番組の事は知りませんでしたが、慧音が呼ばれていった理由で予想はできましたね。
21. 7 つくし ■2009/06/12 23:20:01
申し訳ありません、時間が差し迫っているため、採点のみにて、感想本文は後ほど改めて。
22. 8 時計屋 ■2009/06/12 23:26:21
 元ネタがあったとはいえ、黄金=稲穂という解釈は素晴らしい。
 実に心温まる、幻想郷らしい、黄金探しでした。
 時間が無かったという話でしたが、短編としての完成度はとても高く、最後の田園の光景は心に鮮烈な印象を残しました。
 良いお話を提供していただきありがとうございました。
23. 2 ハバネロ ■2009/06/12 23:30:03
予想というか知識の範囲内で進む話だが、特に破綻も無く、すいすいと進んでいく。

しかし、この光景を見ている筆者の貴方。
どこの育ちだろう
24. フリーレス 匿名評価
25. フリーレス 土岐八雲 ■2009/06/16 21:36:03
コメント下さった皆さん、ありがとう御座いました!

>名前が無い程度の能力さん
 自分的にもちょっとあっさりしすぎかなあと思ったんですけど、中だるみしそうなんで短くまとめさせて頂きました。

>焼麩さん
 田舎の夕飯はうどんと相場が決まっているのです。
 というのはともかく、新米が収穫される直前で一年で1番お米がない季節ということで夕飯はおうどんです。

>#15さん
 そうです。マルコポーロは実際には中国、当時の元王朝で聞いた日本の噂を元に東方見聞録を書いたと言われています。

>三文字さん
 稲穂は綺麗ですよねえ。いつまでも実りの宝を大切にしてください。

>名前がない程度の能力さん

 ありがとうございます!

>パレットさん
 自分的にもそこは物語の1番強調しなくちゃならない場所なので、もう少し推敲を重ねたかったです・・・技量不足ですね、次回の課題にします。

>名前が無い程度の能力さん
 ご飯美味い!

>嫌なさん
 最後の最後に言わせてみましたww

>気の所為さん
 ありがとう御座います。自分的には霊夢はあれくらい変わり身が早いのが普通な気がしてます。その方が可愛いし!幻想万歳!

>神鋼さん
 ホントに凄いですよね。日常に溶け込みすぎてますけど、ふとした瞬間に見ると圧倒されます。

>笊さん
 ありがとうございます。機会があれば是非夕陽か朝日を浴びてきらめいてる秋の田んぼを見てください。ホントに綺麗で、まるで黄金の絨毯を敷いたようです。

>有文さん
 間違いなく国宝です。まさに日本人のルーツだと思います。

>ふじむらりゅうさん
 霊夢も魔理沙もやっぱりまだまだ子供なんで、誰かに言われないと気付くのは難しいかなあと思ってお姉さん役としてゆかりんに教えてもらいました。
 でも、一度教えられれば幼子でもあの美しさは理解できると思います。

>上泉 涼さん
 自分もあの大河ドラマを見て初めてその解釈を知りました。
 日本のいったい何を見て黄金の国なんて言ってるのかと思っていましたけど、この話を聞いて氷解しました。

>ぴぃさん
 ありがとうございます。
 説というほど大きなものではないですけど、自分も中尊寺金色堂よりも秋の稲穂のほうが黄金の国に相応しいと思っています。

>mokiさん
 この季節の田んぼは、まるでモンゴルの草原のようですよね。秋も好きですが、春も大好きです。

>リコーダーさん
 プロットの段階では、香霖堂と慧音のところ以外にも永遠亭と阿求の所へ行って、無縁塚で穴掘りもさせる予定だったんですけど、どうにも冗長になりそうな感じがしまして。
 で、中だるみするならいっそすっきりスリムにしちゃえってんであの二箇所だけにしました。
 もう少し長編を書ける技量があれば違和感無く5箇所回らせられたと思うんですが、やはり今の自分にはまだそこまでの力がありませんでした。

>八重結界さん
 どんどんお米を食べてください!あ、でも食べる前にお百姓さんに手を合わせるのは忘れないで下さいね!

>木村圭さん
 絵の描ける人が羨ましいです・・・この作品も、漫画でででーんと2ページ見開きで田んぼを見下ろすシーンを描ければとても見栄えすると思うんですけど・・・

>K.Mさん
 ありがとう御座います。タイトルは風神録の『神々の恋した幻想郷』からお借りしてますけど素敵だと思って頂けたなら幸いです。

>つくしさん
 コメントお待ちしております。

>時計屋さん
 ありがとう御座います。その様なコメントを頂けるととても励みになります。

>ハバネロさん
 生まれも育ちも生粋の埼玉県人です。自宅の周りは田んぼだらけの田舎に住んでます。
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