There will come soft rains

作品集: 最新 投稿日時: 2009/10/25 16:57:15 更新日時: 2009/10/25 16:57:15 評価: 26/27 POINT: 102 Rate: 0.94
 

 

 

 

 

 

 

 

たそがれどきだった、冷たい風が吹きはじめた

家がピシリと呻く、それはいつものことだが

今夜はちがう



 とん・・・、とん、とん・・・



アリスは読書を続けながら

白い綿のような人差し指と中指で裏表紙を叩いている



 とん、ととん・・・、とん、ととん、とん・・・



リズムを無意識に取りはじめた、こころなしか体が揺れる

まだ、はじまってもいないのに





いや、それは唐突にはじまった

 パタン、パタパタ、パタン!チットンチットンチットンツー

 チテン・・・トントン・・・、バチバチバチッパリン!

まだ少ないが楽しく騒々しいステップがはじまる

幾つかしか窺えぬ踊り狂う足元に宴がはじまったことをアリスは知る

貴重な本から目を外し、貴重な読書の時間を投げ捨てて

アリスはソファに座りなおす



 パタンパタンパタン、パタパタパタ・・・

少しずつ、しかし性急に参加者が増えていく

そして、例外無く踊りまわる、走りまわる、歌い尽くす!

 バチンッ、バタバタ、トトンチントンテンシャン、シャンシャンシャン



さぁさ、舞踏会のはじまり!はじまり!



 キッドンキッドンキッドンク!

 パラパランパラパタラン!シャラシャラシャランシャラン・・・

 ジャブン!



時折はじまるこの舞踏会を、アリスは心待ちにしていた

普段の静かな生活を一変させるこの宴

 ガーッザンッザンッザンッ

大げさな楽曲、テンポもこのときばかりは好ましい



パタン、パタンのひとつひとつにリズムが滲む

指で、かかとで、つま先で、瞳で、脳で、くちびるで

まだまだ序の口、登場口、音合わせ

ぴしり、ぴしりと家も泣く

 パタンパリパリパリ、ピシン!



参加者が増えるにしたがって、踊りも激しさを増していく

豪快なステップ、地ならしで、家はなお苦しげに泣き崩れ

舞踏会は盛り上がる、あちらこちらの笑いの渦がアリスをつつむ

しびれる空気、合唱もはじまった



 チャランコロン、チャランコロン、チャンチャンコロン

 オーヒュゥテレツクテンツクレンテンテンテンテレツクスケテンテン

 ドドン、ピヒーリ、チーリ、チリッ、テンテンヤァスケテンテン、ドロン

 テン、スケテテンドロン、テン、テケツクテケテケツ、コリャ

 エイヨウフリョウノケッカツイニハクギョクロウチュウノヒトトナル

 アアジンセイオモシロイカナマタユカイナリ

 ドロンドロンドロン・・・ドロドロドロドロ・・・



間断無くしたたる音に、人形たちが震え脅える

パリパリパリ、リズムを取りきれないほどに激しく踊り狂う

音の無い世界を探すのがもう難しいほどに!



人形たちはパニックを起こす

上海人形はソファの下に滑り込み

露西亜人形は本棚の裏へと一目散

蓬莱人形は露西亜人形の頭を土台に天井裏へと駆け上がり

誰かは地下への階段で転げ落ち

誰かはアリスのスカートへ潜り込む

それを見てアリスは笑う



"こんなにもにぎやかなのに? こんなにも丈夫なのに!"





踊る踊る!

 パリパリバリン!



歌う歌う!

 ヒューンヒューゴリン!



傍観者を装っているつもりだったアリスも思わず立ち上がり

貝がらを踏むようにおずおずと

霜柱を崩すようにしっかりと

リズムをつかみ、ステップを踏もうと動き出す



 バリバリバリガッシャーン!!

 バババババパランパラパランパラ・・・パラ・・・パラ・・・



「あ・・・」



ひときわ大きな音は万雷の拍手

それはお開きの合図



 パタン、パタン、パラッパラッ、コツン



参加者は踊り疲れたか、はたまた歌い疲れたか

めいめいに去っていく、遠くでゴロゴロと、今宵の出来を語っている

ひとり、またひとりと遠ざかる



 パチ、パチ・・・パチ・・・、ザー・・・





一歩、踏み出しかけたアリスは無表情を装いながら

ソファへやや乱雑に、雪だるまが溶け折れるように座った

人形たちは晴れ晴れと、安心したような顔で集まってくる



どこかで音がする

夢のようだ

窓から明かりが差してきた

本を手に取る

紅茶は冷めてしまった



 ゴロ・・・、ゴロ





さあ、もう舞踏会は終わりだ

雨は止んだのだから

 

 

 
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作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/10/25 16:57:15
更新日時:
2009/10/25 16:57:15
評価:
26/27
POINT:
102
Rate:
0.94
1. 6 バーボン ■2009/11/22 00:12:38
擬音語を豊富に使った軽快な文章が見てて楽しいです。
短くあっさり纏まった詩は、雨の日の賑やかな一時を表現するには良かったと思います。
2. 4 shinsokku ■2009/11/22 01:03:40
アリスってば、雨が降っただけでもおかしいお年頃かー。
こりゃ緋想天のときは大変だったでしょうな。雹とのダンスは靴が重すぎる。
3. 3 神鋼 ■2009/11/22 02:31:44
何か物足りない感じでした。もう少し深みが欲しいところ。
4. 2 冬。 ■2009/11/22 11:48:38
沢山の擬音が出ていますが、最後の一文まで雨の音によるものだと気が付きませんでした。
通常、雨がこのような音を奏でるでしょうか?
迷いの森の所為か、アリスの家の所為か、または雨が奇妙な音を奏でるのが幻想郷の常識なのか。
一文だけでも理由付けがあれば良かったかもしれないです。
5. 10 ねこにゃん ■2009/12/10 17:41:51
ああ、なんだかとても不思議でとても美しい。
>貝がらを踏むようにおずおずと
>霜柱を崩すようにしっかりと
こういう比喩、大好きです。
6. 2 ノノノ ■2009/12/15 17:53:42
コンセプトは嫌いじゃないけれど、少し擬音がわかりにくいかな。
7. 8 夕霧 ■2009/12/29 12:22:35
これはいい雨の舞踏会。アリスの雰囲気もお話に合っててよかったです。
8. 3 リコーダー ■2010/01/03 14:52:02
お題の時点でネタバレ故、「最後まで読まないと分からない!」というハラハラ感は無かった。
しかし仮にネタバレが無かったとしたら、情景を脳内変換できずにやっぱり詩っぽい部分が退屈になってしまいそうです。
ちょっとこういう作品って、どうやって読んだら良いのかよく分からないですね。
9. 3 藤木寸流 ■2010/01/03 23:59:10
 幻想的な。
 途中に人形が発言していたらしい「栄養不良の結果ついに白玉楼中の人となる」というのが誰を差しているのか、と考えるとまた面白い。
10. 9 静かな部屋 ■2010/01/09 16:06:17
詩的っていうのか?
表現がいちいち素敵。
ずっと音がしない?
なんか上手くかけない
11. 2 白錨 ■2010/01/09 23:49:18
雨が降る音って一つの芸術なのかも。
読みやすかったです。
12. 1 パレット ■2010/01/10 04:30:02
 詩的な雰囲気?
 が、すみません、個人的に苦手なのか、ちょっと入り込めなかったです。
13. 1 椒良徳 ■2010/01/11 16:38:56
題材が面白くなく、文章が上手いわけでもなく、読み応えがあるわけでもない。
詩のような作品を作ろうとしたのでしょうが、全くもって詩的ではない。
評価に困る作品ですね。でも読んだことを後悔するほどひどい作品では無かったからこの点数です。
14. 5 零四季 ■2010/01/12 21:31:30
とある雨の日常を描いた作品なのだろうけれど、こういう話だからこそ、何か“意味”があった方が上手く纏まったのではないかと思います。あと、句点を省いたのには多少の違和感を感じました。
でも、こうやって擬音をふんだんに使って表現する作品は珍しく、新鮮に感じました。
15. 2 ホイセケヌ ■2010/01/13 13:21:14
牢、キ、ッ、ハ、テ、ニ、ッ、ヤ彫ヌ、ケ、ヘ。」
、ウ、ヲ、、、ヲラニキ、マニユカホ、「、、゙、ユi、゚、゙、サ、、ア、ノ。「
、ネ、熙「、ィ、コモサ、、ミ、、、、壥、ャ、キ、ニ、ュ、ソ。」、メ、网テ、ロ、ヲ」。
16. 3 詩所 ■2010/01/13 21:35:10
 オチがありそうで無かった。
 期待していたからちょっと残念でした。
17. 5 deso ■2010/01/14 01:57:07
これは楽しい!
嵐の雨音、風の音はわくわくしますね。
18. 4 2号 ■2010/01/14 20:46:11
一番乗りおめでとうです。
楽しい掌編でした。
19. フリーレス やぶH ■2010/01/14 21:54:21
雨に合わせて始まるアリスの中の舞踏会……らしいのですが、文章が断片的であり、内容がわかるようで全くわかりません。
どちらかというと詩的で、読み手に何かを伝えるというより、作者様がふと思いついた舞いを披露している、という印象を受けました。
あるいは何らかの秘密が隠されているのかもしれませんが、感想期間内に私が解き明かせるレベルないようです。
したがって、フリーレスということでご勘弁願います。
20. 9 名前など ■2010/01/14 22:54:20
楽しさと寂しさをこれでもかと感じさせられました。
リズムと表現力が素晴らしい。
21. 2 八重結界 ■2010/01/15 08:12:57
趣旨は理解できましたが、いまいちアリスの楽しさが伝わってきませんでした。
22. 4 非共有物理対 ■2010/01/15 17:26:52
擬音を多用し、句読点を抜く。
詩的な雰囲気は十分に出ているのだが、それだけという印象が強かった。
話は完結しているが……あまり高い点にはならない。
23. 4 時計屋 ■2010/01/15 21:12:22
 住んでいる家によって雨の音ってどこか違ってくるんでしょうか。
 騒々しくも滑稽な雨の日の演奏会。堪能させていただきました。
24. 3 焼麩 ■2010/01/15 21:21:02
全体のリズムは整っています。
だからこそ、感嘆符が予想外のところにあったり句点がなかったりというのでつっかえてしまいました。
ラストは性急過ぎやしませんか? ここまで乗ってきたのに放り出された感じがします。
25. 3 如月日向 ■2010/01/15 22:19:53
 童話の中の一節のようですね。しかし、舞踏会参加者の感情がいまいち伝わってこなかったのが残念です。
 一番最初の投稿ですが、もう少し時間をかけても良かったのでは、と思います。

〜この作品の好きなところ〜
"人形たちはパニックを起こす"
 から始まる人形の様子が良かったですっ。
26. 2 ■2010/01/15 22:55:01
開幕らしいというかなんというか。タイトル画面みたいな印象のお話でした
イメージは湧く
27. 2 近藤@紫 ■2010/01/15 23:20:53
(´・ω・`)
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