神の雨に抱かれて

作品集: 最新 投稿日時: 2009/11/15 00:52:21 更新日時: 2009/11/15 00:52:21 評価: 22/24 POINT: 101 Rate: 1.10
※風神録前後、地霊殿前のおはなし。
※風神録は霊夢ルートだったことにしておいてください。
※とか言いつつ原作と若干整合性取れてないですけど気にしないでください。
※オリキャラっていうか一般人っぽい人がちょっと出てきます。








 ざ、ざ、ざざざっ。

「あ……」

 雨が窓を打つ音に気がついてわたしは顔を上げる。
 昼過ぎと言うにはちょっと暗いくもり空。
 わたし以外の多くの人たちなら眉をひそめたくなる空。
 そういう人たちには悪いかなって少しだけ思うけど。

 もっと降らないかなって、いつも思う。

 わたしは雨が好き。
 自分で起こす雨じゃなくて、自然の雨。
 それは大いなる自然の気まぐれ。
 わたしが呼ぶんじゃないから、それは文字通りの意味の奇跡で。
 わたしが呼べる雨が自然のものにそっくりだってことを確かめさせてくれて。
 わたしは自然に愛されている、世界とつながっている、そんなふうに思えるから。

 ううん、そんなに大げさじゃないの。
 ただ、雨が好き。
 降っては消える水の輝きを見るのが好き。
 静かに、ときに激しく降る水の音を聞くのが好き。

 小さい頃は雨が降ると、わたし一人だけわくわくしてた。
 学校の帰りに雨に遭うと、よくわたしは持たせてもらった傘をささず、わざわざ寄り道までしながら家まで歩いた。
 雨に濡れるのが嬉しくて、体は冷えるどころか温まる思いだったのを覚えている。
 びしょ濡れになって帰宅するたびにお母さんに怒られて。
 ああ、一度風邪を引いてしまったことがあって、そのときはひどく怒られたっけ。

 大きくなるとわくわくはしなくなったけれど、雨が降るとすごく気分が落ち着く。
 わたしだって大きくなると悩みが絶えなくて。
 そんなときにはぼんやりと雨を眺めるだけで、がんじがらめになったわたしの心は穏やかにほぐれていった。

 ざぁぁぁっ…………。

 わたしは今もまた部屋の窓越しに雨を見つめている。
 きっとこれが、ここから見る最後の雨になる。

――近いうちに引っ越そうと思っているの。

 ある日、神奈子さまはわたしにそうおっしゃった。

――幻想郷、というところにね。
――幻想郷?
――うん。こっちの世界とは少し違うところだよ。早苗には苦労をかけるだろうけど、どうかな?
――苦労だなんて……。わたしは大丈夫です。

 神奈子さまのおっしゃることなら、わたしは何も反対しない。
 神奈子さまや諏訪子さまの行くところなら、どこにでも着いて行きたい。
 信仰を増やしてお二人の力が戻るなら、それはとても嬉しいことだ。

 でも、こことは、この世界とは、お別れしなくちゃいけないんだ。
 生まれた頃からここに住んでいて、愛着だってないと言えば嘘になる。
 数は多くないけど友達だっているし、会えなくなったらきっと寂しい。
 そう思うと少しだけ悲しくなって。

――ごめんね、早苗。

 神奈子さままで寂しげに微笑むのが、わたしには辛かった。


 明日の期末テストが、わたしにとって最後の学校。
 幻想郷にはわたしくらいの歳の子が行く学校はないと神奈子さまはおっしゃった。
 早苗は頭が良いからもう勉強しなくて大丈夫と言って諏訪子さまは笑ってた。

 荷造りはもうほとんど済ませてある。
 遠くに引っ越すから、必要なもの以外はほとんど捨てていくことになっている。
 たとえばこの教科書も持っていかないつもりだ。

 明日のテストは数学。
 さっきまでわたしは教科書を開いて問題を解いていたけれど、雨が降り出してからちっとも進んでいない。
 この教科書、この問題とも、一生のお別れなんだな。
 そんな思いが募って、また問題を解こうとするけれど。
 わたしの頭の中は幻想郷への期待とか不安とかでごちゃまぜになっていて。
 理路整然とした数式が入り込む余地はなかった。

「まぁ、いっか……」

 普段から勉強してるから、少しくらいさぼってもいいよね。
 わたしは心の中でそっとお別れを言って教科書をたたむと、畳の上に横たわる。

 幻想郷ってどんなところなんだろう?
 わたし、上手くやっていけるかな?

 そのことがここ最近ずっとわたしの頭から離れなくて。
 雨音を聞きながら、わたしは幾度となく重ねてきた物思いにふけった。






 ◆◆◆






 幻想郷は、なんだか恐い場所だった。
 わたしの想像する三百年前の日本と景色が似ているとなんとなく思った。
 外界にいる間は、天気予報のレーダーが云々という理由であまり雨を呼ぶべきではなかったし、飛ぶところを見られてはまずいからわたしはほとんどまったく空を飛ばなかった。
 ここではどんなに雨を呼んでも空を飛んでも心配いらないと神奈子さまはおっしゃった。
 それだけでもびっくりだったけれど。
 人間ではない、いろいろな生き物が辺りをうろついていることにわたしは驚きを隠せなかった。

 さらに驚いたのは、わたし以外にも力を持った人間がいたこと。
 赤色が妙に印象的な巫女が神社に向かって来て、わたしが出迎えた。
 人間だということはわかったから弾幕で少し脅かせばすぐに逃げ帰るだろうと思った。

 甘かった。
 わたしが攻撃を仕掛けると赤い巫女も弾幕を展開して応戦してきた。
 本気を出さなければならないと、わたしはすぐに悟った。

 それでも無駄だった。
 どんなに激しく攻撃しても赤い巫女は危なげなくかわしきった。
 流れるようにきれいな動きで、彼女はきっとおそろしく戦い慣れているのだろうと思った。
 距離が少し近づいたときに見えた、彼女の真剣ではあるけど余裕に満ちた表情にわたしは心底震え上がった。

 結果、わたしはあっけなく撃ち落とされた。まるで歯が立たなかった。
 巫女と言うにはずいぶんおちゃらけた人だと思ったけれど、その内に神秘的とすら言える力を秘めているのだとわかった。
 と同時に、わたしは特別な人間でもなんでもないのだと思い知らされた。
 ここには他にもまだ何か恐ろしいものがあるような気がして、わたしは神社の外に出たくなくなった。




 そんなある日のこと、わたしたちは博麗神社の宴会に誘われた。
 わたしはあまり乗り気ではなかったのだけれど、もっとこちらの世界に慣れた方がいいと神奈子さまはおっしゃった。
 神奈子さまと諏訪子さまが一緒なら大丈夫だと思ってわたしは着いていったのに。

「おーい、新入りの若いのはこっち来ーい」

 少し離れたグループから声がかかる。

「え、え……?」

「ばいばーい、神奈子。ほら、行くよ、早苗」
「私だけ年増扱いしたいのかい、諏訪子」

「違う、違う。まずは緑色の子だけ」

 神奈子さまと諏訪子さまが言い合っているのが聞こえたのか、また声がする。

「ありゃ、私もダメか。早苗、行ってきなよ」
「でも……」
「心配ないって。さぁ」

 ずっと神奈子さまと諏訪子さまと一緒にいようと思っていたのに。
 断るわけにもいかず、わたしはおずおずと呼ばれた方へ向かう。
 たくさんの少女たちに迎えられ、先日の赤い服の巫女と目が合うと彼女は柔らかく微笑んだ。

「この前名乗ったっけ? 私は博麗霊夢。よろしくね」
「あ、東風谷早苗です。よろしくお願いします」

 まずは互いに自己紹介。霊夢さんに魔理沙さんに咲夜さんにレミリアさん。

「なぁーによ、早苗。そんな恐いもんでも見るような目で」
「だって、霊夢さん……」
「あぁ、前に戦ったときのこと? あんたもずいぶん強かったわよ」

 霊夢さんはそう言ってくれるけれど、あの圧倒的な強さを見せられたから。
 お世辞を言っているんじゃないかって、少し勘ぐってしまう。

「あの、ここには他にも力を持った人間がたくさんいるのでしょうか」
「あー、変な人間は霊夢だけで、他はみんな善良な人間だぜ。な、咲夜?」
「ええ、そうですわ」
「何言ってんのよ、あんたたちも同類でしょ。魔理沙は魔法使いよ」
「魔法!?」
「で、咲夜は時間とか空間とかいじれるの」
「え!? ……す、すごい方たちなんですね……」

 おとぎばなしみたいというか、物理の法則とやらを超えているというか、なんだか混乱してきた。
 わたしの常識は音を立てて崩壊し、それだけ言うのがやっとだった。

「あんたはどんなことができるの?」
「わたしは、あの……」

 答えるのが恥ずかしかった。
 わたしは霊夢さんのような神秘的な力があるわけでも、魔理沙さんのように魔法が使えるわけでも、咲夜さんのように自然の法則を超越できるわけでもない。
 ただ、ちょっと自然の力を呼び寄せるだけ。

「……雨とか風とか、呼んだりできます」
「ほぉ、すげぇじゃん」
「そんな、みなさんほどでは……」
「何言ってんのよ。雨に風って言ったら神の力の最たるものじゃない」

 そんなことはわたしが一番よく知っている。
 でも、どう考えてもわたしの力が一番ちっぽけで地味だ。
 みんなの感心した表情が本心からのものだとわたしは信じることができなくて。
 ……正直、いづらい。

「お嬢様、聞きました? 雨ですってよ、雨」
「ああ、やっぱり神ってのは苦手だねぇ。ここは今のうちに」

 ずっと静かに話を聞いていたレミリアさんが、わたしに意地の悪そうな笑みを向ける。

「ひゃっ……!」
「ああ、待って待って、冗談だって。いいリアクションだったよ」

 そう言うとレミリアさんはすぐに穏やかな笑顔を浮かべた。
 さっきの恐い顔が嘘みたいな、少し子供っぽくて可愛らしい表情にとまどってしまって。

「ねぇ、血を吸わせて?」
「へ……!?」

 そんな顔でこんなことを言われ、わたしは驚いて間抜けな声を上げてしまう。
 やっぱりレミリアさんは恐い。

「あー、私、見たらわかると思うけど」
「ただのコウモリだぜ」
「まずはあなたのからいただこうかしら?」
「おっとそいつはごめんこうむるぜ」

 茶々を入れた魔理沙さんは平気みたいで、軽い笑みを浮かべたまま。

「というわけで私は吸血鬼なのでした。ね、ちょっとでいいからさ」
「……い、嫌、です」
「あーもう、まだ慣れてないんだから恐がらせちゃダメでしょ。咲夜の血でも吸ってればいいじゃない」
「えー、味見したいんだもの」
「血の味に違いなんかあるのか?」
「あるわよ。霊夢のは澄んだ味がして、魔理沙のはちょっと甘い。でも一番美味しいのはやっぱり咲夜のね」
「お褒めに預かり恐縮ですわ」

 レミリアさんと咲夜さんが笑いあう。
 霊夢さんと魔理沙さんは少し顔をしかめていたけど、やっぱり笑っていた。

「うーん……、まぁ、そのうちね」
「は、はい……」

 そう答えはしたけれど、そのうちなんてずっと来なければいいと思った。

「ところで、さっきから気になっていたのですが、お酒を飲んでもよいのですか?」
「ほえ?」
「お酒は二十歳からって……」
「うん? ……あぁ、そっか、そういうことね」

 霊夢さんは首を傾げていたけれど、突然笑い出す。

「わたし、何かおかしなことを言いましたか?」
「ううん、ごめんごめん。そういえば外の世界では二十歳未満はお酒飲んじゃいけないって紫が言ってたわ」
「ああ、だからお前さっきから何も飲んでないのか」

 そう言うと魔理沙さんはまたお酒を口に含んだ。
 少し酔いが回ってきたのか、頬がほのかに赤い。

「ここはそういうルールはないのよ。あんまり小さな子は控えた方がいいんだろうけどね。ほら」

 霊夢さんがおちょこに日本酒を注いで渡してくれて、わたしは一口飲んでみる。

「うえ……、やっぱり辛いです」
「ふふふっ。もしかして初めて?」
「初めてではないですけど、神事のときにほんの少し口につけるだけですから」
「こっちはどうかしら?」

 咲夜さんがグラスに赤ワインを注いで渡してくれる。

「……苦いです」
「ふふふっ」

 顔をしかめるわたしを見て霊夢さんがまた笑う。

「あんまり笑わないでください」
「ごめん、ごめん。可愛い子が来たんだなって思ってさ。こっちまで新鮮な気分」

 誉められているのかけなされているのかわからない。
 いい人たちだとは思うのに、そんな疑念が拭えない。

「待てーー!!」

 急に大きな声が聞こえる。
 目を向けてみるとたくさんの少女たちが駆け回っていた。
 顔を赤くして体をふらふらと揺らしながらも軽やかに走る、角の生えた少女たちと。
 底抜けに明るい笑顔で元気よく走る、赤い服の少女たち。

「え? 同じ人がたくさん?」

 そんな疑問が浮かぶ間にも角の少女たちと赤の少女たちは駆け回っている。
 食器をひっくり返して料理やお酒が服についてもおかまいなし。

「うわぁ……」

 お酒を飲んでいる女性に派手にぶつかっても謝る素振りは見せず、そんな様子に周りの人たちはげらげらと笑っている。
 ぶつかられてお酒を服にこぼしてしまった長髪の女性は少し苦い表情をしていたが、すぐに、まぁいっか、という調子で穏やかな微笑を浮かべた。

「若い連中は元気があって羨ましいね」
「半分はお前の妹だけどな」
「え? レミリアさんの妹さんなのですか?」
「ん? ああ、赤い服のは私の妹のフラン。フォーオブアカインドって言って、分身できるのよ」
「で、角が生えてるのが萃香。あいつは巨人みたいに大きくなったり、目に見えないくらいの小ささに分裂したりできるの」
「そうなのですか……。あ、危ない」

 萃香さんが今度は金髪の女性とぶつかりそうになる。

「あ、あれ?」

 しかし、間一髪のところで金髪の女性は萃香さんを避ける。
 というより、いなくなった?

「危ないところだったわぁ」

 声のする方を向くと、先ほどの女性が霊夢さんの背後に立っていた。
 やはりすでに酔っているのか頬は赤く、霊夢さんにしなだれかかるように首元に抱きついた。

「もう、抱きつかないでよ。酒臭いし」
「ひどいわぁ。そんなこと言って。私のこと嫌いになったの?」
「はいはい、もうわかったから」

 憎まれ口を叩く霊夢さんも金髪の女性から離れようとしない。
 むしろどこか楽しんでるようにさえ見える。

「あら、そこな方は新入りさん?」
「は、はい。東風谷早苗です」
「紫よ。よろしくね」

 紫さんがわたしをまじまじと見つめる。
 きれいな人だと思ったけれど、ただ者ではないと直感が告げていた。

「あなた、真面目そうね」
「え……?」

 急になんの話だろう?

「霊夢。あなたも少しは彼女を見習って真面目になったら? 同じ巫女として」
「やだ。めんどい。それと早苗、紫はからかいがいがありそうって言ってるんだから気をつけてね」
「あら、そんなことないわ。真面目なのはいいことよ。ふふふっ」

 紫さんはわたしを見つめながら不敵に微笑む。
 ……あんまり近くにいたくないタイプの人かも。

 と、そのとき。

 どんっ!

「あ、わわっ……!」

 ふいに横から衝撃を感じてわたしは体を支えきれず、派手に倒れてしまう。

「いたっ……!」

 気づいたらわたしは地面に仰向けに横たわっていた。
 頭は打たなかったけれど、背中や腰がすごく痛い。
 何か重いものがわたしの上に乗っているのを感じて。

「あ〜、ごめん。止まりきれなかった。あはは……」

 萃香さんがちょっと申し訳なさそうに笑いながらわたしの上に寝そべっていた。
 彼女の体は熱くて、すごくお酒臭い。

「えーと、見ない顔だけど、新入りさん?」
「はい。東風谷早苗といいます」
「私は萃香。よろしく」

 ニッと笑う萃香さんの顔は普段なら親しみを感じさせてくれるのだろうけれど。
 わたしはその悪びれない笑顔にちょっとむっとした。

「えーと、そろそろ起きてくれませんか?」
「ごめん。酔ってて無理」

 萃香さんはあっけらかんとそう言ってわたしの上で伸びたまま。
 初対面の人にいきなりぶつかっておいて押し倒したまま堂々と笑っていられるなんて、どんな神経をしているんだろう、と思ってしまう。
 さすがに文句の一つも言いたい気分だったけれど、ここはなんだか恐い人たちが多い。
 怒らせてしまうのが恐くてわたしには何も言えない。

「あ、お姉さまー!」

 子供らしい、高くて明るい声が響く。

「あら、フランじゃない。楽しんでる?」
「うん! 楽しいよ!」

 フランさんはわたしたちに気がつくと駆け寄ってきた。

「……あれ、何やってるの? 新しく来た人?」

 フランさんと目が合う。
 フランさんは不思議そうに首を傾げていたけれど。

「ねぇねぇ、遊んで、遊んで!」

 表情をぱっと輝かせたかと思うと萃香さんの上に飛び込んできた。

「んぎゃ……!」
「あうっ……!」

 フランさんが楽しそうに体を揺らす。
 すごく痛い。
 萃香さんもフランさんも小柄だけど、二人も乗ったら重いに決まっている。

 もう嫌だ。
 どうしてわたしは神奈子さまたちに着いてきてしまったのだろう。
 やっぱり家で大人しくしていればよかった。

 身動きが取れないまま顔だけ横に向けると、遠くにいる神奈子さまと諏訪子さまと目が合った。
 お二人ともひどい目に合っているわたしを見てなんだか楽しそうに笑っていらっしゃる。

「た、助けて……」

 そんなわたしの心の叫びがお二人の耳に入ることはなかった。








「ずいぶん打ち解けてたみたいじゃないか、早苗」
「そんなんじゃ、ないんです……」

 夜遅くになってから、わたしたちは自分たちの神社に帰ってきた。

「えー、楽しそうだったじゃん」
「一方的に巻き込まれただけです」

 今日はなんだか、ひどく疲れた。
 神奈子さまと諏訪子さまは帰ってからも明るい表情をしていたけれど、わたしはとてもじゃないけど笑う気にはなれなかった。

 悪い人たちじゃないのはわかる。気さくでいい人たちなのだろうけれど。
 でも、なじめそうにないし、宴会にまた行きたいとも思わない。
 なんというか、ついていけないのだ。

 ここにはわたしとは考え方の異なる者たちがいる。
 考え方が違うというか世界が違うのだ。
 文字通り、ここはわたしが知っているのとは別の世界で。
 ああ、ここはきっとわたしがいるべき場所じゃないんだ。

 そんなふうに考えると涙が出そうになって。

「今日はもう寝ます。おやすみなさい」

「あ、おやすみ」

「おやすみ、早苗」

 わたしは急いで背中を向ける。
 泣いているところを見られたくないから。
 かみさまたちを心配させたくないから。
 だから、今はお二人に会わせる顔がないんです。
 ごめんなさい。お二人から逃げる格好になってしまったことを許してください。








 ◆◆◆








 お昼過ぎになって夕飯の材料が足りないことに気がついて、買い出しをするために人里に行くことになった。
 初めて行ったときは迷いに迷って帰ったときにはもう夜で、神奈子さまと諏訪子さまに迷惑をかけてしまったっけ。
 二回目は人里に行くまではよかったんだけど、八百屋さんがどこだかあまり覚えていなくて帰ったときには夕方だった。
 今日はもう三回目だからきっと大丈夫。

 わたしは移動しながら、ぼんやりと思う。
 人里には幻想郷の人間のほとんどが住んでいるらしい。
 不思議な力で守られていて、人間を守る者もいるから、妖怪に襲われることはほとんどない。
 里と言うと小さくてのどかな集落を想像するけれど、この人間の里はずいぶん広い。
 それはきっと妖怪を避けながら食糧や日用品を作るために、里の人たちは協力しあって広大な畑を耕したりしないといけないからなのだろう。

 この人里は、おそらくわたしにとって神社の次になじみやすい場所だろう。
 わたしが元いた外界とは違って鉄筋コンクリートのビルとかはないけれど、藁葺き屋根の家や妙に洒落た近代風の家とかがごっちゃになって並んでいる。

 ここはきっと、自由な世界なのだ。
 外界のように社会に規律されることなく、自分が建てたいと思う家を建て、自分が生きたいと思うように生きる。
 そんな自由が、この幻想郷にはあるように思われた。
 けれど、そんな自由がわたしには……。

「おっと、考え事ばかりしている場合じゃないわ」

 いつの間にか八百屋さんを通り過ぎていたことに気がついて引き返した。




 よし、今日はちゃんと着いた。ぼんやりしていてちょっと時間かかっちゃったけど。
 にんじん、たまねぎ、じゃがいも……。忘れてるものはないわね。
 会計を済ませてお店を出る。

 と、そのとき。

 どんっ!

「いたたっ……」

 思わずよろめいて尻餅をついてしまう。
 なんだかこっちに来てからいろんなものにぶつかるな、と思って顔を上げてみたら。

 いかつい顔の大きな男の人が頭上からわたしを睨んでいた。

「どこに目ぇつけてんだ? あん!?」
「ひっ……! ご、ごめんなさい!」

 恐い……!
 威嚇されて、体がびくっと震える。
 里の人たちは普通の人たちだと思ったのに。
 ちょっとぶつかっただけでこんなに怒るような人がいるなんて。

「ん? お嬢ちゃん、ここらじゃ見ねぇ顔だな。外から来たのか?」
「は、はい……」

 じっと正面から睨まれて、わたしは目を逸らしたいのに恐ろしくてできない。
 男の人は怒った顔をしていたけれど、やがて口元を不気味な形に歪める。

 ふと、ここは他の人もこんな意地の悪い人ばかりなんじゃないかという気がして。
 目の前の人に対してだけじゃない、漠然とした底知れぬ恐怖を感じた。

「お嬢ちゃん、なかなかの上玉じゃねぇか。おら、こっちに来な!」

 乱暴に腕を引っ張られて、バランスを崩す。

「ゃ……」

 やめて、助けて、と叫びたいのに、声が出ない。
 かなしばりに遭ったように体が動かない。
 なんとかしなくちゃいけないはずなのに、何も考えることができなくて。


「そこの男、何をしている!?」
「や、やべぇ……!」

 突然叫び声がしたかと思うと拘束が解かれるのを感じた。
 支えを失って、わたしは再び尻餅をつく。
 男の人は走ってどこかに逃げ、入れ替わりに女の人がやってきた。

「大丈夫か?」
「え……?」

 なにが、どうなってるの?

「まったく、またあの男か。懲りない奴だな。立てるか?」

 ようやくわたしは状況を理解する。
 わたしはこの女の人に助けてもらったんだ。

「あ、あの、ありがとうございます! 大丈夫です、立てま……」

 そう言いながら立とうとして、脚に力が入らなくてよろけてしまう。

「おっと」

 女の人はとっさにわたしの体を支えてくれる。

「す、すみません!」
「仕方ないさ。恐かったんだろう。近くに私の家があるから、休んでいきなさい」
「え……」

 知らないところに、連れて行かれる?
 この女の人はわたしを助けてくれたけど。
 でも、本当に信用できる人?
 もしかしたらさっきの男の人と同じで、わたしを痛めつけようとするかもしれない。
 さっき助けてくれたのだって、わたしを油断させるためかもしれない。

 どうするべきか考えていると、女の人は穏やかな笑みを浮かべた。

「ああ、自己紹介がまだだったな。私は慧音。普段は寺子屋で子供たちに勉強を教えていて、たまに里に入ってくる妖怪を退治して村を守っている。と言っても、そんな大した者じゃないがね」
「あ、あの、わたしは……」
「早苗、でよかったかな?」
「は、はい……」

 わたしも自己紹介しようとして、先に言い当てられてしまう。

「なぜわたしの名前を?」
「私もこの前の神社の宴会にいたんだ。君とは話さなかったけれど、遠くから見えてはいたよ」
「そうだったのですか」

 ということは、あの気楽だけどちょっとついていけない霊夢さんたちの仲間?
 そういうことなら、悪い人ではない、かな?

 でも、着いていきたいとは思わない。
 早くここから離れて家に帰りたい。

 まだ慧音さんのことはよくわからない。
 霊夢さんたちの仲間とは言っても、紫さんやレミリアさんのように悪くはなさそうでもすごく恐い人だっているのだ。
 慧音さんはすごく優しくて誠実な方に見えるけれど、わたしと二人きりになったら態度を変えるかもしれない。
 今は神奈子さまも諏訪子さまも近くにいない。
 下手に他人を信用して、痛い目に遭うのはわたしなんだから。

「あの、やっぱりもう一人でも大丈夫です」

 わたしの体を支えてくれていた慧音さんの腕を、乱暴に見えないように、でも素早く解く。

「そうか。うん、もう平気そうだな」

 わたしがちゃんと自分の足で立っているのを見ると、慧音さんは安心した表情で一歩離れた。

「あ、最後に一つだけいいかな」

 そう言って慧音さんは再びわたしに近づくと、耳元でささやきはじめた。

「この里はある意味で閉鎖された空間だから、外部から来る者を疎ましく思う者も中にはいるんだ。だから、もちろん早苗は悪くないのだけれど、早苗自身のためにもそういう者たちには気をつけてほしい。しばらく経てば彼らにも早苗が危険な者ではないことがわかるし、そうすればさっきのようないさかいが起きることもなくなるからね」
「はい……」
「よし、じゃあ気をつけて帰るんだよ」
「はい、ありがとうございました」

 慧音さんは気さくに手を振ってから、わたしに背中を向けて去って行った。

「…………」

 家に来るようしつこく迫ることもなかったし、忠告までしてくれた。
 やっぱり、慧音さんはいい人だったのかもしれない。
 もう夕方が近いけれど少しだけでも寄らせてもらえばよかったかな。
 慧音さんの背中をぼんやりと見つめながら、疑ってしまってごめんなさいと心の中で謝って、それから、悪いことばかり考えてしまう自分が少し嫌だなと思った。






 ◆◆◆






 村を出て、遠くに見える山を目指して飛ぶ。
 人里から山までは結構距離がある。
 帰りは山が目印になるから道に迷わずに済むけれど、山がなかなか大きく見えるようにならず、進んでいるという実感に乏しい。

「ちょっと、疲れちゃったかな」

 里でのトラブルももちろんその理由の一つだけど、わたしはまだ空を飛ぶのにあまり慣れていない。
 こんなに高いところを長時間飛ぶようになったのは幻想郷に来てからだ。
 あまり地面を見つめるとまだ少し恐いから、下の方はできるだけ意識しないように心がけて前を向くようにしている。
 ずっと集中しなきゃいけないというわけじゃないけど、あんまりぼんやりしていると突然がくっと高度が落ちたり体が傾いたりしてしまう。
 霊夢さんのように自然にきれいに飛べるようになるにはまだ時間がかかると思う。

 でも、今日は追い風だから少し楽に帰れるかな。
 もちろんわたしは風向きを都合よく変えられるけれど、よっぽどの逆風じゃなければわざわざ調整しようとは思わない。
 それに、自然のあるがままの風の方がわたしは好きだから。

「……ん?」

 なんだか、背中への風の当たり方がほんの少し、不自然に変わったような……?
 気のせいかもしれない。
 でも、わたしは雨や風に関しては鋭いと自負している。
 こういう勘は、外れたためしがない。

 わたしは後ろを振り返る。

「っ……!」

 何者かに追われている……!?

 わたしはすぐに前に向き直り、神経を集中させて全速力で飛ぶ。
 ちらっと見ただけだけど、白い羽が特徴的な妖精、いや、むしろ妖怪だと思った。
 幸い、まだだいぶ距離は離れている。

 風が冷たく身を切るのを感じながら飛び続ける。
 どうか、たまたま出てきただけでわたしに無関心でありますように。
 わたしを追っているのだとしても、振り切ることができますように。

 もう少し飛んでから、再び振り返る。

「え……!?」

 どうして!?
 どうして距離を詰められているの!?
 このままでは山まで逃げ切れない!

 妖怪から白く光る弾が放たれるのが見えて。

「……!!」

 とっさに大きく身を翻してかわす。

「あ……」

 思わず買い物袋を落としてしまう。けれど、構っている余裕もない。

 辺りはすでに暗く、風がひゅうと音を立てる。
 背筋がぞっとする。
 歯が壊れたようにかちかちと震える。
 体の芯まで冷えていくように感じた。

 全身を襲う恐怖に耐えながら、必死に考えを巡らせる。
 ただ逃げるだけではいずれ追いつかれる。
 弾幕で威嚇しながら後ろ向きに飛ぶなんて器用な真似はできない。
 こんな知能のなさそうな妖怪にスペルカードルールも何もない。

 戦うしか、ない……!

 そう悟ったわたしは震える手を差し出して弾幕を展開させる。
 弱々しい弾しか出なかったけれど威嚇には充分だったらしく、妖怪はわたしから離れたところで動きを止めた。

 しばし睨みあう。
 これで大人しく帰ってくれたらいいと思ったけれど。

 妖怪は弾幕を、今度は十や二十ほども同時に放ってきた。
 わたしはとっさに上に飛んでかわす。

 一発くらうだけで動けなくなるほど強力な弾には見えない。
 しかし一度でも傷を負ってしまえば劣勢になるのは明らかだ。

 歯がかちかちと鳴る耳障りな音を聞きながら、つとめて冷静に敵の弾幕を見て、確実にかわすために大きく飛ぶ。
 右手には常に気を集中させておいて、かわしにくい弾にはこちらも弾幕をぶつけて打ち消しあう。

「それ!」

 タイミングを見計らって、わたしも弾幕をばらまく。
 数ばかり重視した、威嚇するだけの弾幕。
 こんなので倒せるなんて思ってない。

 敵の動きが少しわかってきたところで、わたしは左手にも気を集める。
 できるだけ速く飛んで敵をかく乱する。
 敵があさっての方向に弾幕を撃って隙ができたところで、わたしはすかさず両手を重ねて突き出す。
 短く息を吸って止めて、目を閉じて一気に力を放出する。

 それはわたしの得意とする、五芒星を模した攻防一体の弾幕。
 暗がりの中で強い光を放つ弾幕は敵に向かって一直線に突き進んでいって。

 しかしわたしの弾は簡単にかわされてしまう。

「あ……」

 さっきまで敵がいたところを弾幕が素通りするのを見て、わたしは自分の弾幕の欠点を思い出す。
 この星の形の弾幕は、あまり速度が出ないのだ。
 並の弾幕による相殺を許さない強さを持っていても、当たらないのでは意味がない。

 冷静に考えればただそれだけのことなのに。
 でもわたしは、自慢の弾幕が特別でもなんでもないはずの妖怪にかわされたことで一層自信を失ってしまう。

「わっ」

 再び放たれた敵の弾幕をわたしはすんでのところでかわす。
 体に力が入らなくて、さっきまではそれなりの余裕を持ってかわせていたはずの弾幕の一つ一つが今は恐ろしくて仕方がない。

 やばい、やばい!!
 そう思うほどに戦いに集中できなくなって、わたしは逃げ惑うばかりでもはや反撃もできない。

「きゃっ……!」

 危ない!
 どうしようもなくなって目をぎゅっとつむる。
 弾がわたしのすぐそばを通って左の髪の毛がそよぐのを感じた。

 当たっては、いない?
 目の前に来た弾幕をかわそうとして、目に入っていなかった弾に当たりかけたみたいだった。

 あ、髪飾り!?
 わたしはとっさに左の髪の毛に手を伸ばす。

「よかった……」

 傷ついていない。
 諏訪子さまにもらった蛙の髪飾りも、神奈子さまにもらった蛇の髪飾りも、傷一つついていない。

 二つの髪飾りをそっと握る。
 諏訪子さまも神奈子さまも自分の象徴を模したただの髪飾りだと思ってわたしにくださったのかもしれないけれど、それだけじゃない。
 わたしにとっては、大切なお守り。

 似合うと言って笑ってくれた二人の笑顔を思い出すと、冷え切ったままだったわたしの胸に小さな火がともって。
 血がにじむくらい強く下唇を噛むと、その炎はじんわりと全身に広がってわたしを少し強気にしてくれた。

 恐いけど、わたしはまだやれる。
 放たれた弾幕をわたしはさっと横に飛んでかわす。

 数ばかりの弱い弾幕で倒せないなら、強い弾幕を撃てばいい。
 強い弾幕が当たらないのなら、弱い弾幕をたくさん撃って逃げ道を断てばいい。

 わたしは弱めの弾幕を矢継ぎ早に放ち続ける。
 トラップにするなら遅いほうがいい、そう思って速度はだいぶ下げてある。
 敵の周りを旋回して、四方八方から弾幕を浴びせる。
 敵は器用にかわし続けているがいくつかは当たっているはずだし、反撃がおろそかになっている。

「これで……!」

 かなりの数の弾幕をばらまいたところで、わたしは再び五芒星の弾幕を放つ。
 さきほどより短い準備で、一度に三つ繰り出しておいた。

 相手もこの弾幕に当たってはまずいとわかっているらしく、細かい弾幕に当たるのにも構わず優先的にさけようとする。

「甘い……!」

 わたしは素早く祝詞を紡ぐ。

 瞬間、風の向きが大きくそれる。

 今、ここの風はわたしのものだ。

 さっきからありったけばらまいた弾幕が風に乗って向きを変える。
 ずっと低速で真っ直ぐにしか進んでいなかった弾幕がまさか一斉に向きを変えるとは相手も思わなかっただろう。
 相手は軌道を変えた弾幕に対応しきれず、立て続けに弾を浴びてひるむ。
 身動きが取れなくなったところで、わたしが放った五芒星の弾幕の一つが襲いかかる。

「やった!」

 勝利の喜びを口にした瞬間、しかしわたしは見てしまった。

「え……?」

 五芒星が命中する直前、妖精のつぶらな瞳が弾幕の光に照らされて。
 目が恐怖のうちに見開かれて、それからぎゅっと閉じられて。

 次の瞬間には弾幕をまともにくらった妖怪が真っ逆さまに落ちていき、森の中に姿を消した。

「……死んじゃったの?」

 辺りは再び暗く静かになって。
 上がった息を整えながら冷静になる。

 わたし、殺してしまったんだ。

 命はみな平等だって、きれいごとだとわかってても信じてる。
 だからこそ蚊だって窓から追い出してきたし、ゴキブリが出ても必死になって捕らえて家の外に放り出してた。
 それなのに、わたしが殺してしまった。
 痛かったかな。苦しかったかな。

「知らないわよ。そっちが襲ってきたんでしょ!?」

 失われた命が戻らないことはわたしもよく知っている。
 吐き捨てるようにそうつぶやいて涙が出そうになるのをこらえながら、わたしは逃げるように山に向かった。








「おかえり、早苗」

 神社に帰り着く。
 家の玄関に神奈子さまが待っていてくださった。
 それでわたしは安心してしまって、思わず走り寄って神奈子さまに飛び込むように抱きついた。

「遅かったね。心配したよ」
「神奈子さまぁ、あ、うぅっ……」

 神奈子さまはわたしを優しく抱きしめてくれる。
 ずっと冷えていた体が温かくなって、涙が出た。

「里で、襲われて、それから……んぐっ、妖怪にも、襲われて……」
「よしよし。辛い思いをしたね。そうとわかれば迎えに行ったのに、悪かったね」

 わたしの要領を得ない説明にも神奈子さまは問いたださず、頭を撫でてくれる。

「あ、早苗おかえりー。……うん?」

 諏訪子さまが声をかけてくれる。
 ただいまと言おうにも声がうまく出なくて。

「ほーら、いい子いい子」

 そんなわたしの背中を諏訪子さまがさすってくれる。

「ごめん、なさい……。お夕飯の支度が、できなくて……」
「そんなの気にしなくていいんだよ。早苗が無事ならそれでいいんだから」

 子供みたいに泣きじゃくるわたしをかみさまたちは優しく受け止めてくれる。
 かみさまたちが心からわたしのことを気遣ってくれているのがわかって、お二人に申し訳ない気持ちになる。

 元の世界に帰りたい。
 そう口に出して言えれば楽だったかもしれない。
 しかしそんなことを言っては、お二人に迷惑をかける。
 きっとお二人なら、わたしのためなら帰ってもいいとおっしゃるだろうから。
 入念に準備を重ねて、やっと神社と湖をまるごと移したのだ。
 それなのにこっちに来てすぐ、ただわたしがなじめないというだけで戻ることになったのではお二人に合わせる顔がない。

 未熟な自分が情けなくて、こんなわたしに気をかけてくださるお二人の優しさが逆に辛くて。

「ごめん、なさい……ごめんなさい……!」

 幻想郷の人たちになじめないこと。
 外界にはいない妖怪に襲われたこと。
 襲ってきた妖怪が悪いとはいえ、殺さなくてはならなかったこと。
 なにもかもが悲しく思われて、なにものかにわたしは謝り続ける。

 ごめんなさい。
 きっとここはわたしがいていい場所じゃないんだ。
 わたしにはもうどうすることもできそうにないよ……。






 ◆◆◆






 部屋が薄明るい。
 また一日が始まるのだと思って、思考がつまずいた。
 それはどんな一日?
 昨日は神奈子さまと諏訪子さまに慰めていただいた後、疲れきってすぐに眠ってしまった。
 少しは体力が戻って一日が始まろうという今、幻想郷に来てからこれまでのことが次から次へと思い出される。

 来たばかりで不安だったけど期待も強かった頃のこと。
 霊夢さんと戦って負けて、急に自信がなくなったこと。
 宴会に招かれて、みんな悪い人ではないのだろうけど破天荒すぎてついていけないと思ったこと。
 里でちょっとぶつかっただけで男の人に恐い目に遭わされそうになったこと。
 助けてくださった慧音さんを疑ってしまったこと。
 その帰りに大きな妖怪に襲われてすごく恐かったこと。
 なんとか気を奮い立たせて戦った結果、妖怪を殺してしまったこと。

 また、こんな一日が始まるの?
 こんな日がずっと続くの?

「帰りたい……」

 こんな毎日は嫌だ。
 元いた世界に帰りたい。
 大人しい性格だから友達だって多くはなかったし、どちらかといえば地味な毎日だったかもしれないけど、居心地が良かったと今は思う。

 でも、そんなこと口が裂けてもお二人には言えない。
 わたしがここでの暮らしに慣れなくちゃいけない。それはわかってる。

 でも、こんな異世界にわたしの居場所があるとは思えない。
 わたしは外界で生まれて外界で生きてきた。
 一応現人神だしちょっとした能力はあるけど、その実ただの人間に変わりない。

 圧倒的な無力感に打ちのめされる。
 わたし、これまで思い上がっていたのかもしれない。
 大体のことは自分でできるって思い込んでいたのかもしれない。
 おごりはしなかったと思うけれど、でも外界にいた頃、わたしは勉強もよくできたし、巫女として覚えるべきこともさほど苦労せずに身に着けてきた。
 そんなことできたって大したことないのに。馬鹿みたい。

 外に出たくないし、動きたくない。何もしたくない。
 ずっとこのままじっとして消えてしまえればいいのに。


 さあぁぁぁ…………――


「え……?」

 なんの音だろう?
 わたしは耳をすませる。


 さあぁぁぁ…………――


 それは長く聞かなかった音。
 それはわたしの大好きな。

「雨……?」

 わたしは布団から起き上がって、障子を開ける。

「降ってる……」

 幻想郷でも雨は降るんだ。
 当たり前のことのはずなのに、しかしわたしには信じられない。
 すぐそばで降っているはずなのに、なぜか遠くから見ているような気がして。

 実感が欲しくて、わたしは吸い寄せられるように庭に出た。








 穏やかな雨が降りしきる中、湿った芝生を一歩ずつ踏みしめる。
 一面に広がる雨空の下、わたしはゆっくりと目を閉じた。
 両腕を広げて、全身で雨を受け止める。

 顔に触れる雨がくすぐったい。
 雨粒が腕を流れて落ちていく。
 水分を吸った土が裸足に柔らかい。
 髪の毛が濡れて、水がすみずみまで広がっていく。

 喧騒を静かに遮ってくれる雨の音。
 まろやかでおっとりした雨の匂い。
 強くも弱くもなくて心地いい雨の感触。

 一筋の水が頭から額、目元、鼻、口元を通って首元を伝うころ。
 透き通るような雨の熱を全身に感じた。

 わたし自身を、雨が抱きしめて撫でてくれる。

 肌寒いはずなのにわたしの胸は熱くなって。
 少しずつ、少しずつ、呼吸が落ち着いて楽になる。

「…………」

 それは懐かしい気持ち。
 もうこの身に受けることはないと思っていた、優しく包まれる感覚。

 清らかな雫の一粒一粒が、ここがどこなのかをわたしに教えてくれる。
 思いつめていた心がゆっくりと溶けだしていって。
 それは涙となってわたしの体から抜けていった。

「大丈夫」

 大丈夫だよ、わたし。心の中でささやきかける。

 わたし、ずっとずっと勘違いしてた。

 ここは異世界なんかじゃない。

 だってここでも、元いた場所と同じ、雨が降る。
 元いた場所もここも、かみさまのいる世界。わたしの大好きな世界なんだから。

「わたし、ここでやっていけるよ」

 わたしはひとりじゃない。
 大いなる自然が、かみさまたちが、わたしのそばにいてくれる。
 世界とつながって、一体になれているという実感。
 わたしの場所はここにある。わたしはここで生きるんだ。

 すごく久しぶりに、自然に柔らかく微笑むことができた。

 空を見上げて。ほのかに明るい空、癒しの雨。
 神は恵みの雨を降らすという。
 ありがとう、神奈子さま。
 ありがとう、諏訪子さま。
 幻想郷になじめなかったわたしのことを気にかけてくださった。
 もう大丈夫ですと、かみさまたちに報告しようと思う。

 涙が止まらなくて、雨と混ざる。雨とともに流れ落ちる。
 泣いていいんだよ、そう言ってくれている気がする。
 この雨はきっと、弱かったわたしのことを許してくれるはずだから。

 溢れそうなほどの想いを抱きしめたくて、わたしは両手を胸に当てる。
 一番大切なことに気がついたから、わたしは強くなれる。
 晴れたらまた歩き出すために、今は思いっきり泣いておこう。

 ここがかみさまたちの世界であるかぎり、わたしはもう迷わない。
 世界がわたしを受けて入れてくれるなら、わたしもこの世界を受け入れよう。

――だって、わたしの人生はここからまた始まるんだから。








 
 こんぺなんて5秒でスルー余裕でした、ってなる予定だったんですが、結局書いちゃいました。いや、雨を題材にしたSSを書きたいなと思っていたところだったんですよ。
 しかし、アレです。創想話というのは私にとっても異世界なわけです。それはどんな世界かというと、私がそれなりにがんばって書いたSSに、「つまらん」「もはやSSじゃない」「日本語でおk」といったコメントがガンガンつくようなところに違いないのです。ああ、恐ろしや、恐ろしや。
 そして私には奇跡の雨は降ってくれなくて、すごすごと元いた場所に帰るわけですね、わかります><

 というか本当は小説っぽい文体モードで書くべきだったんでしょうけど、彼は今、冬眠中なんです。少なくとも春までは起きないって言ってます。
 今回は話がちゃんとコンパクトにまとまってくれたのでもうぼくは満足です。だっていっつも短くしようとしても長くなっちゃうんだもん。

 というわけでここまで読んでくださってありがとうございました。
もらひこ
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/11/15 00:52:21
更新日時:
2009/11/15 00:52:21
評価:
22/24
POINT:
101
Rate:
1.10
1. 4 バーボン ■2009/11/22 01:35:35
最後の雨に打たれて自信を取り戻すシーンに、少し無理矢理纏めようとしているような印象を受けてしまいました。
仮に神奈子や諏訪子が早苗を気遣うために神力で雨を降らせたのだとしても、早苗の心の移り変わりがちょっと唐突に感じます。
もう少し段階を踏んで最後のシーンに至れば早苗の心境にも共感が持てたと思うだけに、残念です。
2. 4 shinsokku ■2009/11/22 14:50:29
うむぅむ。ちょっとシメが。
早苗さんが自己完結しちゃってる感じで、そこで終わっちゃうのか、と思ってしまい。
何というか、雨に対する思い入れのエピソードが足りなく思えて、
「これだけ引っ込み思案な人が、雨が降ってきたくらいで決意を新たにできるものかな」、とか。
偉そうに意見して申し訳ない。
3. 6 冬。 ■2009/11/22 17:24:15
最後のまとめ方がちょっと弱かったと思う。
でも、面白かったと言えば面白かったです。どうせなら、早苗が常識に囚われなくなるまでの経緯が読みたくなる話でした。
それと、妖怪が死んだと早苗は思ったのに、それっきりというのはどうなのかぁ、と思ったり。

創想話でそんなコメントは滅多な作品じゃないかぎり大丈夫だと思います。全然怖くないですよ、私が言うのもなんですが、ね。
4. 7 Lu ■2009/11/23 18:15:00
早苗の心持ちが手に取るように伝わってとても読みやすかったです
宴会での会話がキャラの個性が際立ってて素晴らしいと思います
雨についてエピソードが最初に1つあるともっと良かったかもしれませんね
5. 4 神鋼 ■2009/11/25 22:46:18
そんな早苗さんも星蓮船では……やだ、泣いてなんていませんよ。
6. 5 夕霧 ■2009/12/29 14:48:38
創想話ってそんなに怖いとこじゃないとおもうけどw
まあ、それはともかくお話自体はそんなに悪くなかったし、読みやすかったです。
ラストがちょっと急展開な気がしないでもなかったですが、何が切欠になるなんて
分からないし、これはこれで良かったのかな。
7. 4 藤木寸流 ■2010/01/04 00:40:04
 早苗さん常識人!
 にしてもちょっと早苗さんが弱々しすぎる感じはしたかしら。当初の自信過剰っぷりはどこへ。
 鬱屈していた時期が長い分、解決するのがいやにあっさりしていて不完全燃焼。心境的にというよりは、分量的に足りてない感じかも。
 欝ってる期間が長いと、それを好転させるのにも相応の分量か、あるいはよほどの説得力をもった展開がないと覆せないような。
8. 5 白錨 ■2010/01/10 00:10:57
外からやってきたばかりの早苗さんの表現が、恐怖も合わせてうまく表現できていたと思います。
しかし、この後、星蓮船をやると早苗さんの暴走っぷりに笑ってしまいますね(笑)
9. フリーレス もらひこ ■2010/01/10 00:50:03
 まず、後書きについて、ごめんなさい。まさか私だとわかった方はいらっしゃらないだろうと勝手に祈ってますが、この後書きはないよなぁ。本当にすみませんでした。
 そして本文も、なんかよくわからん文章でお目汚ししてごめんなさい。短めだったから許して! なにが書きたかったのかって、バレバレだと思いますけど、最後のシーンだけです。本文にそのまま引用した「神は恵みの雨を降らす」の、とある方のアレンジ曲が大好きで、それに触発されて思い浮かんだイメージが最後の部分なんです。このイメージ自体はこんぺのお題が決まる前からありました。私のせいで曲の評価が下がるようなことがありえてはいけないから、どの方のアレンジかは伏せておきますけどね。
 加えて、コメントは必ずすべて読ませていただきますが、コメ返しはあらかじめ控えさせてください。重ね重ね申し訳ありません。
 もうなんか私謝ってばかりだ。次またお目にかかることがあるかどうかはわかりませんが、また謝ってばかりという事態にならないように気をつけたいと思います。とりあえずおまえは次回作がまたこんぺとか絶対ナシ!w
 でも本文については「ぼくはもう満足」の言葉に偽りはギリギリありません。ようするにじこm
 というわけで、読んでいただきまして本当にありがとうございました。
10. 3 パレット ■2010/01/10 04:38:22
 なんとなく文体が少女マンガちっく(褒めてる)。
 幻想郷に馴染めない早苗さんの心情がよく描けてたなあと思います。
 ただ、そのへんがよく描けてたからこそ、それに比してその解決部分(ラスト)がちょっとコンパクトにまとまりすぎていたかなあとも思えました。冒頭との対応付けを考慮しても。
11. 8 文鎮 ■2010/01/11 02:22:43
海外へ移住してホームシックになった時、偶然テレビでやっていた日本のアニメを見て落ち着くような……ごめんなさい、例が悪いですよね。
ですが、現代っ子である早苗さんが幻想郷に来ていきなりなじめるとは考えにくいので、それ相応の苦労はしたはず。そんな苦労の一端が見えた作品でした。
小説っぽい文体、なんて難しく考えなくていいと思いますよ。
12. 3 椒良徳 ■2010/01/11 16:53:33
これは良い早苗さん。ピュアですね。
さて、この作品は早苗視点の一人称で書かれているわけですが、
幻想郷の住人たちに対する感想があれもこれも似通っていて、
率直に言って読んでいて飽きてしまいました。

また、幻想郷の住人達に抱いている恐怖心などが非常に薄っぺらく感じます。
なんでこんなに早苗がおっかなびっくりしているのかが私には判りませんでした。

後半のバトルシーンも作りこみが浅くて興奮しません。
しかも、早苗が立ち直るのが早くて、「あれ? 殺された妖怪は死に損?」と妖怪が可哀そうになります。

また、これも狙って書いているのだとは思いますが、あまり凝った言葉を使用していないため、
何といいますかその、早苗さんが必要以上に幼く見えてしまっているように思います。
(まあ早苗たん中学生というのも魅力的ですが)
そのせいで、読んでいて非常に違和感がありました。なのでこの点数です。
13. 6 零四季 ■2010/01/12 23:19:40
内容は綺麗にまとまっていて、好きな話なのですが、ラストの早苗の心境の変化が強引過ぎて違和感が残りました。
そこを何とかしてくれれば、もっと違和感なく読めたかなと思いました。良い話でした。(主に作者様の)悩みが流れてくれればいい。
14. 4 ホイセケヌ ■2010/01/13 14:18:38
ニウミワ椰Y、ャ、キ、テ、ォ、熙ネ、、ニ、、、ニ。「教ノ、ホ、キ、网、ネ、キ、ソヤ彫タ、ハ。「、ネヒシ、テ、ソ。」
、ヒ、篝ミ、鬢コ・皈・マ・熙ャ、「、、隍ヲ、ヒクミ、ク、、ホ、マ。「、ェ、ス、鬢ッヨネヒケォ、ヌ、「、ヤ酖遉オ、、ャハシスK・ゥ`・ョ・「ネ、熙テ、ム、ハ、キ、タ、ォ、鬢タ、ネヒシ、ヲ。」
ヤ酖遉オ、、マエ_、ォ、ヒ」ィミヌメヤヌー、ハ、鯲リ、ヒ」ゥ、ェ、ネ、ハ、キ、皃ハミヤク、タ、テ、ソ、ャ。「ヘャ瓶、ヒラヤミナシメ、ヌ、筅「、テ、ソ、マ、コ。」、ハ、ホ、ヌ。「、ウ、ホツ荀ヂz、゚、テ、ム、ハ、キ、ホヤ酖遉オ、、ヒ、チ、遉テ、ネメノ巳メ勁ィ、ソ。」、筅チ、、ラヤミナシメ、タ、ォ、鬢ウ、スメサカネ・ウ・ニ・・ム・、ヒ、オ、、、ネツ荀ヂz、゚、荀ケ、、。「、ネ、、、ヲ、ウ、ネ、筅「、、タ、、ヲ、ア、ノ。「、ス、、ヒ、キ、ソ、テ、ニテ、鬢ォ、ハクマツマ猝ヨ、ヒヌモ、ィ、ニ、、、、ホ、マ。「、ハ、「。」
、ネ、ヒ、ォ、ッ。「ヤ酖遉オ、、ヒネヒオト、ヒネチヲ、クミ、ク、コ。「クミヌ鰓ニネ、キ、ヒ、ッ、ォ、テ、ソ、ホ、ャメサキャイミト。」
15. 3 詩所 ■2010/01/13 21:40:58
 なんとなくですが、力の入れる箇所を間違っている感じに思いました。
 早苗の心変わりが重要と思っていたのですが、雨降ったという少ない描写だけではちょっと納得がいきません。
 もう少し後半部分を長く書くか、前半の部分を削る等をしたほうがよかったかなと感じました。
16. 4 deso ■2010/01/14 01:49:31
早苗さんのネガティブっぷりを丁寧に描いているわりに、救済が唐突であっけないように思います。
オリキャラを出す意味も薄いかなあ。
カルチャーギャップを狙うなら、他にももっと手があるような。
17. 8 静かな部屋 ■2010/01/14 20:16:26
描写が丁寧で良かったです。
幻想郷に馴染むことは、僕にはたぶん無理です。
しかし、そのチャンスを活かせた早苗さんは羨ましい。

とかいいつつ。こういう性格の人の方が、腹を括ったときに怖いのです。
きっと、次の宴会では、日本酒を一気飲みしてぶっ倒れる早苗さんがみられることでしょう
18. 5 2号 ■2010/01/14 21:08:55
妖精がなんで襲ってきたのか、当たって死んじゃったのかすごく気になります…
文章は一人称ということもあり、読みやすく、早苗の心情もわかりやすかったです。
19. 5 やぶH ■2010/01/14 22:40:57
な、なんだか後書きが(汗)。
早苗さんのエピソードとして、大いにあり得る話だと思います。ただ、物語の背骨が少々弱いかな、と感じないでもないです。
もう一つ、解決を雨が降るだけに任せてしまうのも勿体ない気がしました。
弱い早苗さんだけではなく、ここを転換期にして、生まれ変わった強い早苗さんのエピソード(雨に絡んだ話)を、最後に魅せる物語とか、どうでしょう。
あくまで数ある読み手の一意見ですので、聞き流してくださって結構です〜。
20. 3 八重結界 ■2010/01/15 12:01:19
 自分のいた世界の常識に囚われていた頃の早苗さんは、何とも普通の少女だったんでしょうね。ただ、ちょっと立ち直るのがあっさりすぎて違和感を覚えました。
21. 5 如月日向 ■2010/01/15 22:29:02
 新しい環境になると、慣れるのに時間がかかるものですよね。最初は些細なことで気落ちしてしまう……。
 早苗が雨に自然の力を感じる描写も、素敵だなと思います。
 ただ幻想郷の男のくだりと、妖怪(妖精?)に襲われる部分は、馴染めないというのとは違う気がして、不自然に感じました。
 悪戯等ならわかるのですけど……。

〜この作品の好きなところ〜
 宴会で楽しめない早苗さんの気持ちはよくわかりますっ。
22. 2 木村圭 ■2010/01/15 22:50:20
ネガってる人の一人称で進められると読んでいて気が滅入ってしまいます。
スカッと前向きになってくれればすっきりするのですがどうもその心境には遠そうですし。
23. 3 ■2010/01/15 23:20:00
むしろこう云う方が普通の女の子に近いのかもしれない、という気がします

最近の風祝を見ると、残念な事にこちらに違和感が……
貴方はわるくない
24. フリーレス もらひこ ■2010/01/17 00:20:34
 ちょっと余裕があるのと、大体みなさん同じ所を指摘してくださっている(笑)ので、簡単に返答させていただきます。
 最後のシーンなんですけど、自分でも短すぎると思っていましたw 全体を1週間ほどで書いたあと、ラストシーンを質量ともに増やそうと思って3日ほど悩んでいたんですけど、どんな言葉を重ねればよいかわからなくて一向に増える気配がなくて、えい、もうこのままでいいや! といって投げ出しちゃったんですよ。参考にした神は恵みの略のアレンジをそのままラストシーンに対応させるつもりで書いたのですが、この曲は一曲としてはボリュームがあって展開にも富んでいるので、この曲への愛を活かしきれなかったという意味でもちょっと悔しいですね。
 あと、文体が少女マンガちっくというご指摘がなんだか嬉しいですw
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