レミリアお嬢様のほのぼの数奇な非日常

作品集: 最新 投稿日時: 2009/11/17 02:25:35 更新日時: 2010/01/18 14:16:17 評価: 23/23 POINT: 118 Rate: 1.19
 私は雨が嫌いだ。多くの者もきっとそうだろう。
 でも私の場合はそんな感覚的な問題ではなく、身体的にダメなのだ。雨が降った日はどうやっても外には出ない。だって体に雨粒が当たろうものなら火傷してしまうのだから。
 雨という事象に問題があるわけではない。私は川などの流れる水がダメなのだ。その延長ということでどうやら、雨も流れ水である、と体が認識してしまっているようで、雨粒のひとつひとつに、ご丁寧に拒否反応が出る。
 まぁ確かに、川の源泉とも言えるし、空から地面へと流れる水であることに違いないのだが…そんな妙な所で律儀な自分の体質に、今回ほど困らされたことはない。
 こんな不便な体を持つ吸血鬼の私は、大きな木に寄りかかり膝を抱えながら、負けないくらい大きな溜息をついた。
 「くそぅ……あの天人の口車に乗ってなければ今頃こんな……」



 事の発端は今朝。今朝と言っても起きたのは昼過ぎだが。それでも第一声は「おはようございます」だ。
 「あら、おはようございます。お嬢様」
 「おはよう?なの?お嬢様」
 「はいはい、おはよ…う?」
 今日もいつも通り起きぬけの目を擦り、いつも通り食事を摂る部屋に入る。天気は曇り。いつも通りのいい天気。いつも通り食事の支度をするメイドと挨拶を交わしたまでは完璧にいつも通りの我が屋敷。でも、そこにはいつも通りではない客がいて、なぜか堂々と私の席に座っていた。
 「えぇ―――――――っと、なんであなたがここにいるのかしら?」
 私は、私の日常の異分子となる客――比那名居天子へ質問を投げかけた。
 「吸血鬼ってやっぱり朝遅いのね〜。もう昼よ?」
 「基本は明け方まで起きてるからね。これでも早い方…じゃなくて、質問に答えなさいよ。あとそこは私の席だからどけ」
 天子はへぇ〜などと言ってニコニコと相槌を打つばかりでなぜの理由も答えず、あまつさえ席を動こうともしなかった。
 「この天人でしたら、さっき急に現れまして、“暇だから遊びに来た”とのことです」
 咲夜はお茶の用意しながら、要領を得ない天人の代わりに来訪の理由を述べていた。瀟洒なメイドの報告は、流れるように完璧で簡潔。ついでにどうしてわざわざ客として通したのか聞きたかったが、あまりに簡潔な報告を受けて、それもどうでもよくなっていた。
 「――まぁいいわ。どうでも。それより咲夜、お茶を頂戴」
 私は全てを諦めて、しぶしぶと天人の向かいの席へと腰を下ろした。時でも止めたのだろう、私が席に着くのと同タイミングでお茶が置かれた。
 「それでは…すみませんが、お掃除の方に移らせて頂きます。御用の際はお申し付け下さい」
 「あぁ…はいはい。ご苦労様」
 咲夜は軽く一礼して、澱みない歩みで部屋を後にした。よくよく考えてみれば、目の前のコイツをここに置いていかないで欲しかったが、咲夜は出て行った後だ。まぁ彼女が忙しいのも、私が申し付けた手前、わからなくもない。仕方ない諦めよう。よく喋る置物だと思って様子を眺めながらお茶を飲めばいいだろう。
 「いやぁ〜ちょっとあなたが寝てる間に見て回らせてもらってたんだけど…紅魔館って変な所ね。時を止める変なメイドがいるし、なんだかわからないくらい大きな図書室はあるし、さらに地下への謎の階段もあるし…うーん、いい暇潰しになるわぁ」
 我が物顔で私の席に座る天人は、キャッキャと楽しそうな笑顔を見せてそんな感想を述べていた。屋敷の主を目の前にして変な所と無邪気に言ってのける、想像以上に無礼な客を前に、私は突っ込む気力が無かった。何を言おうが知ったこっちゃない。とりあえず朝の紅茶を飲んでからゆっくりつまみ出そう。
 そう思って、私は向けられた視線と言葉を無視してカップに口をつけた。そんな私の事情などどうでもいいかのように、天人は喋り続けていた。
 「それにしても、やっぱり地上は面白いわね!というか天上の暮らしがいかにつまらないか、っていうのがよく判るわ。地上は屋敷一つ取っても面白いんだもの!たまらないわ!」
 こちらがまったく無反応にもかかわらず、天子は口早に捲くし立てていた。ご丁寧に身振り手振りつけてのオーバーリアクションで。そんな様子に私の気が緩んでしまったのだろう。ついつい声をかけてしまっていた。
 これが、災厄の引き金となる言葉だとも知らずに。
 「そんなに地上が面白いんなら、永遠亭とか白玉桜とかに行けばいいじゃない」
 後で考えれば、この時にこんな迂闊なことを言わなければ後々の不幸は回避されたのだ――が、この時の私にはそれがわかっていなかった。
 天子はキラキラした瞳を向けて、身を乗り出しながら食いついてきた。
 「永遠亭!?白玉桜!?月人の住処と冥界の管理者のお屋敷ね!話には聞いたことあったんだけど、行ったこと無いのよ!そこも面白そうな場所よね!うーん…よし、わかった!今から行くことにするわ!案内してね!」
 は?と私が返事をするころには、天子は席を立ち、机を回り込み、私の腕を掴んでいた。
 一分の無駄もない、無駄な動き。あまりに自然すぎて、私はとっさに反応することができなかった。あれよあれよという間に私は席を立たされ、飲みかけの紅茶を置かされ、数少ない窓の前まで歩かされ、空を飛び立たされていた。
 「え……いや、ちょっ………!!」
 「行くわよー!!」
 私は窓から飛び出して、暗い曇天の空目掛けて羽根をはためかせる羽目になった。



 「――だ、か、ら!竹林まで行く道を教えるだけよ!私はここで帰らせてもらうわ」
 「…ちぇ、わかったわよ。一緒に行く人がいた方が楽しいのに…」
 天子は不承不承に頷いていた。
 紅魔館からしばらく飛んで、空の上。ずっと引かれていた腕を振り払い、どうにかその場で停止して、空の上で押し問答すること約30分。どうにかやっと帰りの約束まで漕ぎつけた。もう何度コイツ放置して帰ってやろうと思ったか分からない。そうはしなかっただけ、我ながら大人な対応だったと言えるだろう。私も我侭だと言われることがあるが、コイツには劣る。絶対。さすがにコイツと同格にされるのだけはプライドが許さない。
 「迷いの竹林は、あっちの方。――じゃ、私はこれで」
 考えうる限り最短の説明を済ませて、私は元来た方向へと振り返る。簡単な別れの挨拶をつけてやっただけ優しさだ。
 にもかかわらず、この天人にはどうもそういった配慮の類いは通用しないようだ。わざわざ振り返ろうとする私の正面にまで回りこんで、
 「ありがとう!助かったわ!お礼にちょっとイイモノ見せてあげる!」
 そんなことを言って笑顔を向けていた。笑って細めている目には、私の面倒臭そうな顔は見えていないのだろう。彼女はおもむろに、腰から下げていた剣のようなものを手に取り、自分の正面に翳した。
 「ふっふー!これは緋想の剣と言ってね。気質を感じ、大気に反映させることができる剣なの!今回は特別にあなたの気質を見せてあげる!」
 鏡があったわけではないが、わかる。きっと私はすごく嫌な顔をしていたはずだ。どうでもいいから早く帰らせて。
 そんな願いなど露知らず、天子は緋想の剣に力を込めだした。
 剣といっても刃はついていない。刀身が鈍い黄色のその剣は、使用者の呼びかけに応えるように、気質を纏い紅く染まってゆく。するとすぐに辺りの様子に変化が見られだした。
 気温が下がりだす。すでに肌寒いレベルまで一気に温度が下がった。
 大気の湿度が増す。湿っぽさを肌で感じられるくらいに潤った空気が周りを包む。
 そして大気中の水分が下がった気温によって露点温度に達する。辺りを覆っていた水分が、可視域まで大きくなって――周囲は霧に包まれた。
 「おぉう!!」
 私は思わず感嘆の声を上げてしまっていた。確かに例の天気のおかしな異変のことも知っていたし、その原因が目の前の天人だということも知ってはいたが、そのとき私は外には出ていなかったし、こうして天候の急激な変化を目にするのは初めてだ。霧なんか出るような天気ではなかったのがこうもあからさまに変化するという現象が目に新しくて、私は素直に感動した。
 そんな私の様子がお気に召したようで、天子も得意気に薄い胸を張っていた。
 「へぇぇ〜、すごいもんね。これは外に出るとき便利かも――――」
 と、ここで私はふと腕を刺す痛みに気づいた。ピリリとひりつく様な、肌を刺す確かな痛み――これは経験がある。全身が全力で拒否反応を示すようなこれは、
 「ん?あ、雨が降ってきた」
 そう、雨。私の天敵のひとつ。吸血鬼である私の、身体的弱点のひとつ。
 「きゃあああああああああああ―――――――――っ!!雨ぇぇぇぇぇぇぇ!!いっっっっっっったぁぁぁぁぁぁ―――――――っ!!!」
 私は思わず叫び、急降下して霧の中を抜け出した。明確な目的があったわけではない。とにかく雨雲から少しでも離れようという、言わば本能的な行動だったと言える。
 だが、それが功を奏したようで、降下してすぐに雨宿りに最適な大きな木を見つけることができた。すかさずに出しうる限り全速力でその木の陰を目指し、すばやく木の幹の付近にまで飛び込んだ。
 「ちょっと、ちょっとー?どうしたのよ。急に置いていかれてビックリするじゃない」
 私に遅れて天子はノコノコと木陰に入ってきた。その様子が、ホントにただビックリしただけで、私を心配して来たわけではないということは一目瞭然だった。
 「――雨は嫌いなのっ」
 突然の雨。確かに今日は非常にいい天気。少し崩れれば雨が降ってもおかしくないほど暗くなっていた。過ごしやすい天気なのは構わないが、様子が変わる時が読めないのが玉に瑕だった。
 「――まだ小雨ね。よし!このまま竹林に行くわ!じゃあね!」
 「ちょっ…!!なに言ってんの!?」
 「?何が?お礼なら言ったわよ?もう一回?ありがとうね」
 「いやいやいやいや、じゃなくて!私は雨が降ったら動けないんだけど!」
 「あー大丈夫よ。方向も教えてもらったし、あとは私一人だけで。っていうか帰るんじゃなかったの?」
 「だからそれも出来ないっていうの!!」
 天子はひたすら不思議そうに首を傾げていた。
 「で、私にどうしろと?」
 「いや……うーん、まぁどうも無いけど…」
 「でしょ?じゃあ私はこれで!時間は有限なのよ!」
 そう言って天子は右手をしゅたっと上げて、またねーという声だけを残して飛び立っていた。



 そうしてできた状況がコレ。大きな木の下、ひとりぼっちで雨宿りする羽目になる私。起きてまだ数時間と経っていないのに置かれた、今日最大と言ってもいいほどの不幸。
 唯一幸いだったのは、起きてすぐ着替えたことで今寝巻きではないこと。あとは全部最悪だ。大きく枝を広げる大木の外ではポツポツと雨が降り続いていた。心なしか最初よりも雨足が強まっている。もう決死の覚悟で帰ることは本格的に不可能になっていた。
 「――そりゃまぁ…居残られてもどうしようもなかったけども…」
 私は膝を抱えながらブチブチと文句を言っていた。対象はもちろん、今回の災禍の発端である勝手気侭で無軌道で野放図な不良天人。居残って雨を止めろとまでは言わないが、せめて私を連れ出した責任を取って、雨が止むまで話し相手になるとか、紅魔館まで帰って傘を取ってくるとか、咲夜を呼んで来るとかしてくれてもいいのに。というか最低限それはするべきだ。――次に会ったらタダじゃおかないわ…。
 私は一人で所在無く雨を眺めていた。
 ――我ながら情けない弱点だ。ちょっと雨に濡れると、下手すると命の危険があるなんて。夜の王、最強の幻想、無敵の怪物などと呼ばれているにもかかわらず、木の下に取り残された私はただただ無力だった。ちょっと泣きたくなってくる。これ以上流水を見たくないから涙は流さないけども。
 木の外を眺めていると、雨の様子が少し変わってきていることに気づいた。地面へと落ちる水滴の速度が遅くなり、かわりに霧散するようにして降り出している――いつの間にか霧雨となっていた。地面に落ちるという運動自体は変わっていないので、私にとっては変わりない風景ではあったが、雨を眺めることくらいしか娯楽の無いこの状況では、その変化がなんとはなく楽しかった。
 「――なにがあるのかと思ったら……おまえがいたのか」
 そうしてじぃっと雨の様子を見ていた私は、その声に心底驚いた。自分でも跳ね上がったのがわかる。うひゃあ!!とか変な声も上げたかもしれない。
 私のそばに立っていたのは、見たことのある黒白の服を纏った変人魔法使い。
 「ぷ、あはははははは!!おまえ涙目になってるぞ」
 「ううううう、うるさいっ!!」
 魔理沙は私を指差して大笑いしていた。つくづく無礼な人間だ。無礼度ならあの天人と張り合えるレベルだろう。なんで今日はこんな奴ばっかり……。
 「なんか変な木があるなと思って近寄ってみれば、吸血鬼の住処だったとはな。屋敷がいらなくなったんなら引き取るぜ?」
 「いらなくなってない!ちゃんと帰る!帰れないけど!」
 この暇すぎるときに現れた喜ばしい闖入者にもかかわらず、私は若干イラつき始めていた。今日はすでに無礼者の相手はやり納めにしたい。もうこれ以上この手の手合いを相手にするのは心から勘弁願いたかった。
 「何をカリカリしてんだか…この霧もまたおまえが出したんじゃないのか?」
 「あ?霧?」
 魔理沙の言葉を受けて、辺りを見渡してみる。うつむいてすぐそばの地面しか見ていなかったから気付かなかったが、周囲には霧が立ち込めていた。それも霧雨と交じり合いよくわからなくなっていたが、霧雨だけというには、遠くの景色が不透明すぎた。
 「霧……出てたんだ」
 「――何を言ってるんだ?上から見てみたら、不自然に霧の出てる場所があったから寄ってみたらおまえがいたんだよ。どう考えてもおまえの仕業じゃないか」
 「身に覚えはないわね…さっき出して出しっぱなしなのかしら?」
 「じゃあおまえの仕業でいいんじゃないか」
 魔理沙はやれやれといった表情で頭を掻いていた。そんな食料候補の所作など気にせずに、私は私で頭を捻っていた。
 「まぁどのみちこの雨じゃ帰れないもんな。雨が上がるのを祈るんだな」
 「――うっさいわねぇ。今考え事してるんだから、さっさとどっか行きなさいよ!」
 「へいへい。私も用事があるんでな。失礼するぜ」
 そう言って魔理沙は流れるような動きで箒に跨り、空に浮かび上がり、動き出して――そこで私は思い至った。
 「あ!!ちょ…タンマ!!咲夜呼んで――」
 そこまで言う前に、魔理沙は目を見張る勢いで飛び出し、雨も言葉も振り切って、みるみる内に見えなくなってしまった。相変わらずの逃げ足などと言っている場合ではない。私は一人取り残された無人島に現れた船を、蹴り返してしまっていたのだ。確かに思いつくのが遅かった私も悪かったと言えば悪かったが、
 「……人の話を――きけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
 とりあえず、ありったけの声で魔理沙のせいとして叫んでいた。もちろんこんなことしても船は戻ってこないし、声が届くとも、ましてや雨が止むとも思っていなかった。それでも、私は叫ばずにはいられなかった。気づけば霧雨は、元と同じ普通の雨に戻り、周囲を包む霧も、おそらく霧雨が降る前のよう立ち込めていた。
 ともあれ、いかに無礼者と言えど感情に任せて追い返してしまったのは手痛かった。次にいつ誰がここに来るともわからない。下手すると雨が止むまで置き去り確定だ。今度誰か来たら恥を偲んで、紅魔館に助けを呼んでもらうように平に頼むしかない。
 心には固く誓ったが、一つだけ願わくば――出会ってもイライラしないような奴が来てくれることを切に、切に祈るばかりである。
 「あやややややっ、不自然に霧がかって――何かと思って来てみればレミリアさんじゃないですか」
 幸いにもカモはすぐに現れた。鴨ではなく鴉だったが、ネギを背負って現れたことには違いが無い。
 「どうしたんですか?珍しいですね。雨の日に外でお見かけするの」
 私は目の前に現れた文を相手に、心に決めた誓いを実行するかどうか悩んだ。心に固く誓ったにもかかわらず、悩んだ。こいつに頼みごとをするという行為がどれほどのリスクを生むかを、私はわかっていたからだ。無茶な取材、紅魔館へのフリーパス権の要求、デタラメ情報の流布、今回のことの記事化…だめだ、どう考えてもこいつに事情を打ち明ける気にならない。
 私はうつむいて口を閉ざしていた。文は何事かと顔を覗き込んでくる。そして決意の固まらない私を、ゴウッという音が無理矢理現実に引き戻した。
 急に風が吹き荒び、雨足も強くなる。風のおかげで雨は地面に向かって斜めに降り注ぎ、容赦なく、大木の傘の中にまで入ってきた。
 「ちょっ!!雨が入ってくる――――っ!!」
 「あややや?風が吹き出してきましたね。さっきまで大人しく降ってたのに」
 天気は急速にその顔色を変えていた。つい先程までシンシンと泣くかのような雨模様だったにもかかわらず、急に激しく怒ったかのように雨を降らせ出した。なにがあったの天気!?泣きたいのはむしろ私の方!!
 外に出る方ではないので天気のことには疎いのだが――これだけ急に変わるのはいくらなんでも変だ。この天気には原因がある。
 そこまで気付いた後は早かった。自身の身の危険を解決するために、天啓とも取れる閃きが私に降りる。
 「あんたのせいか―――っ!!天気を戻せ――――っ!!」
 「あや!?な、なんのことでしょう!?」
 「あんたが来た途端に天気がおかしくなったんだっ!ってことは間違いなくあんたのせい!!私の閃きがそう囁いているっ!!」
 「いや!ちょっと!知りませんって!!誤解ですよー!!」
 「問答無用!!さっさとこの木から出てけーっ!!出て行く前に殺す!!」
 「それじゃ出て行けませんって!!」
 文はじたばたと身じろぎしながら全力で否定していた。私はそれに負けないほどじたばたと身じろぎしながら全力で追及していた。話は完全に平行線。しかし理は私にある。このまま認めなければもう本気で息の根を止めなければならない。風で雨が吹き込む前に。
 「ま、まぁまぁ。とりあえず落ち着きましょう。話はそれか――ら゛!?」
 私の追及を逃れようと後ずさる天狗は、突然目の前から消え失せた。一瞬何事かと思ったが、原因ははっきりしている。急に現れた空間の裂け目に飲み込まれたのだ。こんなことをできるような輩は幻想郷では一人しかいない。リボンの付けられた空間の裂け目に文が飲み込まれ、鴉の悲痛な鳴き声だけがその場に残されるのと入れ替わりに、別の裂け目からスキマの主が姿を現した。
 「はぁい♪」
 妙にコミカルな挨拶とともに、八雲紫が立ちはだかった。
 咲夜を除けば、今日はこれで4人目の挨拶。
 順番に、天子、魔理沙、文、紫――最悪だ。厄日が確定した。
 「今度はあんたか……なんの用かしら?私は今忙しいんだけど」
 どこがどう忙しいのかは私にもわからなかったが、思わず口から出た単語がそれだったのだから仕方がない。
 「ふふ、あなたが天狗を追いやろうとしているものだから手を貸したまでですわ」
 当然、と言わんばかりの顔でニヤリと微笑み、紫はそう告げた。その笑顔は柔らかく、穏やか過ぎて、逆にまったく信用が置けなかった。彼女の笑みはだいたいそんな感じだ。もう狙ってやっているとしか思えない。
 とりあえず、天気の方は元の小雨程度のものに落ち着いた。相変わらずの霧も回復して、周囲を覆っている。私の見立てどおり、あの鴉のせいで天気が荒れたということで間違いなさそうだった。
 私の目論見通りに文が消えてくれたのは良いが――代わりに出てきたのが紫とあっては微妙な所だ。それくらいこいつは苦手だ。喧しい鴉+風雨と天秤にかけてもトントンなくらい苦手なのだ。そんなレベルの相手が続くとは、私の不幸コンボはかなり完全なモノとなっていた。あぁ私の運命を弄りたい。
 「それに――お困りの様でしたから、手を貸しに来たのです」
 その言葉も半信半疑、いや、一信九疑くらいだ。いつもの私ならもっと信じていないところだが、今回は風雨の根源であった鴉も駆除してくれたし、一くらいなら信じていいかなと思っていた。
 「いや……まぁ助かったには助かったけどもね…」
 そんな私を見て、こちらの心情を察したのだろうか、紫は一人雨空の下に躍り出た。
 「お望みとあらば――私がこの天候を変えてみせましょう」
 そう言い放った。あれ?もしかして本当に助けに来てくれた?
 紫が大樹の陰から出て両手を広げる。すると、弱まっていた雨足はさらに気持ち弱まり、そして――止みきらないうちに、陽の光が差し込みだした。
 その天気の変化を見せつけ、紫は満足気にこちらを見た。相変わらずの笑顔で。
 雨は止んでいない。陽まで出てきた。
 雨は依然としてシンシンと。陽の光は悠然としてサンサンと。
 「どうかしら?」
 「どう……じゃないわよ!!悪化してるから!!雨だけでも手が出ないのに太陽まで出してどうすんのよ!!弱点増えたじゃない!!」
 陽の光は予想以上に強く、雨宿りの木の陰をより濃く映し出し、木漏れ日があちこち地面を照らしている。私のいる場所は幸いにも陽が通らない場所であるようで、直射日光の恐怖に晒されることは無かったが、木陰の中ですら移動範囲が限られてしまった。降り注ぐ陽の光で地表の温度が上がったためか、霧は文字通り霧散してしまっていた。
 「――ちなみに聞くけど、手を貸しに来てくれたのよね?」
 私は恐る恐る尋ねた。まぁ確信的に答えは見えているのだが、どうしても紫の口からその答えを聞いておきたかった。
 「あら、もちろんそうですわ。あなたが困っていらっしゃるとのことで――あなたを困らせている天気の方の助っ人に来ました♪」
 一瞬でも、一信でも、助けが来たと信じてしまった私を呪いたい。助けは来たが私にではなかったという最悪のオチ。
 だがこれで確定した。こいつは分かってやっている。天気を操る方法は分からないが、紫は狙ってこの天気にすることができているのだ。他の天気にできるのかどうかはわからない。だが少なくとも、この天気雨を終わりにすることはできるのだろう。
 今思いつく方法としては一択。文の時と同じく、紫をこの木の陰から追い出す。具体的方策としては、力ずくで押し切ることで決まりだ。
 紫は微笑んだまま、再び木陰の中に入ってきた。チャンスだ。雨が降り、陽が射す木陰の外だったら弾幕で攻めるしか無かったが、近寄ってきてくれるのなら接近戦が仕掛けられる。今日一日の怒りを拳に乗せて、紫にぶつけて少しでも発散してやる。
 私の意図を読んでか、紫はおもむろに歩みを止めた。そこはすでに木陰の中。まだ微妙に距離があったが、これならいける、飛び込んでやろうと思っていると――紫は予想だにしない行動に出た。
 すうっと右腕を翳し、その先にスキマを出現させる。それは一見して攻撃用でないことがわかった。スキマの口が上を向いていたから。
 なにか取り出すのかと身構えていると、そこから光の筋が一つ飛び出した。やや斜めの軌跡を描きながら、上空へと向かっていく光弾は――途中にある、大木の枝葉を薙ぎ払っていった。
 「――は?い、いやいやいやいやいや!!ちょっと!!なにしてくれてんのよっ!?」
 光弾によって焼き切られた枝は、バキバキと音を立てて折れ、地面に落ちてきた。大樹の幹側へ斜めに照射されたせいで結構な数の枝が根元からごっそり消えてしまった。そうして密度の薄くなった一角は、もはや傘としての機能を果たせていなかった。日光は降り注ぎ、雨は降りしきる。紫の影を隠す木陰ももう無く、彼女は再び雨の下にいた。
 「うふふ、手助けに来たというのに、思ったより困ってくれていないようでしたので。――思い切ってやってみました♪」
 「ば、ばばばばば、バッカじゃないの!?こっちは命に関わるっていうのよ!!」
 紫は楽しそうにニコニコと微笑んでいる。スキマは依然として展開されていた。口は上に向けられてはいたが、実質、銃口は私に向けられているのと変わりない。こんな調子でこの木を丸裸にされては堪らない。いや、もういっそ根元から倒しでもされたらどうしようもない。私は一方的かつ圧倒的に不利な状況だった。
 私は奥歯を噛み締めながら、紫を睨みつける。頭では、如何にして紫を叩き出すか考えていたが、どうにも上手くまとまらない。
 そんな私の様子を見て、紫はここまでとは微妙に違う、邪悪さ全開の笑顔を見せた。
 「いいわぁ〜その泣きそうな困った顔。せっかくイジメに来たんだからそういう顔を見せてもらわないと〜♪」
 「ついにハッキリ言い切ったわね、性悪妖怪め…」
 そんな私の罵倒ですら心地よかったのか、紫はふふふ、と笑っているばかりだ。――もうヤダ。このサディスト。ここまで来るとひたすら怖い。身体的にも危ない状況だが、ここにきてこんなに生理的恐怖を感じる羽目にまでなるとは思ってなかった。もう誰もいなければホントに泣きたい。
 紫はジリジリと歩み寄ってきた。私のいる木陰まで踏み込んでくる。相手から踏み込んで来てくれるのだから殴り飛ばすチャンスだったのだが、私は身動きが取れなかった。向かってくる笑顔の妖怪は、口許とは裏腹に目が笑っていない。こ、こわっ…。
紫の手が私へと伸びる。私は思わず体を固くした。そこで――
 スコンッ、と乾いた音を立てて私の頭の上で、何かが木に突き刺さった。私の身長的に頭の上であったそれは、紫の眼前を掠めるようにして飛んできた。私は恐る恐る木に刺さったものを視認する。深々と木に刺さっていたのは――私のよく知る、銀のナイフ――。
 「そこまでです。お嬢様から離れなさい、変態」
 「咲夜ぁ…」
 「はい、お嬢様。お待たせして申し訳ありません。お怪我などございませんか?」
 完璧で瀟洒な従者の登場に、思わず声が涙ぐんでしまう。ついに、ここにきてやっと、私の運命のコインは反転した。
 「――ここら辺が引き際ね。もう少し遊びたかったけども…仕方ないわね」
 そう言って紫は手を引っ込め、等身大のスキマを展開すると、あっさりとその中へと身を引いた。ご機嫌よう♪、という軽い挨拶とともにすぅっと姿を消す。嵐とともに現れ、嵐のように去っていった彼女が消えたことで、狐の嫁入りも消え、元の天気へと戻っていった。
 「ふぅ。――到着遅れましてご不便おかけしました」
 紫の気配が消え去ったことを確認して、咲夜は私へと歩み寄ってきた。
 「いや…助かったわ。ありがとう咲夜。でもどうしてここがわかったの?」
 私は本心から礼を述べた。こんなに助かったと思ったことは過去500年間でもほとんどなかった。持つべきものは優秀なメイドだ。再確認した。そんな私の様子を見て咲夜も安心したのか笑顔で答えてくれた。
 「魔理沙が教えてくれましたわ」
 なるほど、あの黒白の用事は我が家にあったのね。また。パチェも災難なのに目をつけられたものだ。だが、今回はあの人間に助けられたので見逃してやろう。礼を述べるつもりは無いが。
 「傘も一応お持ちしたのですが…無駄になってしまいましたわ」
 「?なんで?雨が降っているんだから傘は必要でしょ?」
 そこで咲夜は初めて不思議そうな顔をした。つられるように私も不思議そうな顔をしていた。
 「いや…雨はもう止んでおりますが…」
 「――え?」
 咲夜のその言葉が信じられず私は思わずキョロキョロと辺りを見渡していた。周囲は再び霧がかっていたが――たしかに雨は止んでいるようだった。
 「私が屋敷を出るときにはもう止んでいましたわ。通り雨程度のものだったようです。それより――私にはこの霧の方が不可解なのですが…」
 「うーん…なんだろう。さっきからね、天気が変だったのよ。霧が出て、霧雨が降って、風雨になったかと思ったら、天気雨になるし…」
 そこまで言ってから咲夜があるものの存在に気がついた。
 「――お嬢様、コレのせいではないかと…」
 そう言って咲夜が指を指したものを見る。どこかで見たような、鈍く黄色味がかった変な剣。そう剣。知っていなければ、これが剣だとは一見してわからないような、変な物体。あの天人が自慢気に見せびらかした、緋想の剣が木にもたれるように置いてあった。相対した者の気質を、気候として発現する力を持つ剣。
 鈍く紅い光を纏い続けるその剣を見て、私の中で全てのピースがはまった。
 私と別れる直前に、天子は緋想の剣の力を解放していた。私に霧を見せるために。そして解放したままの剣を置いて出て行ってしまったのだ。おかげで私の周りには霧が出っ放し。魔理沙が言っていた通り、この霧は私が出していたも同じだったわけだ。そして緋想の剣は律儀にも訪れる者の気質を発現していった。魔理沙が来て“霧雨”、文が来て“風雨”、紫が来て“天気雨”。私の推測も多かれ少なかれ合ってはいたようだ。紫は得意の覗き見でもしていてこのことを解っていたのだろう。そしてわざわざ私を困らせに自らが現れて――
 そこまでを考えたところで、私は事の根源が誰なのか思い至った。そいつがいなければ見舞われることのなかったこれらの不幸。その全ては、
 「――あんの…バカ天人のせいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――!!!」
 私の怒りはついに噴き出した。思えばこれまでよく我慢した方だと思う。溜めて溜めて溜まりに溜まって、あの天人への憤怒はすでに天まで届きそうなほどだ。――ん?天まで?
 「――咲夜、ちょっと教えて欲しいんだけど、天界――わかるのならあの天人の住処のあたりの方角ってわかるかしら?」
 咲夜はまだ事態が完全に飲み込めていないようで、不思議そうな顔をしたままだったが、
 「まぁ大体でよろしければ…とりあえず天界への入り口は妖怪の山の頂上と繋がっていますのですぐそこです。住処は――存じませんが、天界へと上ったところですぐ出会いましたのでその辺りかと」
 と答えてくれた。充分だ。それだけ分かればおおまかな狙いは付く。
 「あのー、天界へと行くのはお嬢様には厳しいかと思いますよ。雲の上にありますから直射日光に晒されますし、せめて夜になってからでは…」
 「あぁ、大丈夫よ。行くわけじゃないから」
 私は自分でも不思議なほど、穏やかな声でそう答えていた。でも自分でもわかるほどに、顔には青筋が走っていた。
 「ちょっと――忘れ物を届けてあげようと思ってね」
 そう言って私は咲夜に笑顔を向け、傍に立てかけてあった緋想の剣を乱暴に掴み取った。そのまま私は久しぶりに木陰から外に出て、言われた通りの方角に向き直った。剣の力のせいで霧がかっていたが、天険・妖怪の山はぼんやりと見える距離にあった。これなら問題は無い。私は剣を握る手に力を込めた。ミシミシと音を立てていた気もするが、そんなの知ったことじゃない。持ち主のせいでもあるが、傍迷惑なこの剣にも責任が無いわけではない。折れたら折れたで構わない。
 「『神槍』――――――」
 スタンスを広くとり、膝を屈め、右手に握る緋想の剣を振りかぶった。右手に込める魔力に反応しているのだろう、緋想の剣はより紅く染まり、周囲にばら撒く霧の濃度を増していた。だが、今の私はそんなことでは止まらない。私の目にはもう標的が見えている。
 「スピア・ザ・グングニルッ―――――――!!!!!」
 振りかぶった右腕に込めた力とともに、緋想の剣を投擲する。流れるようなフォームで投げ出された槍――もとい剣は、瞬く間に神速に達し、周囲を覆う霧を裂いて空へと放たれた。紅く直線的な軌跡を描いて、緋想の剣は雲をも突き抜けてゆく。目標通り。空の上がどうなっているのかは知らないが、これなら適当な建物にブッ刺さってくれているだろう。
 緋想の剣が消えたことで、私の周りを覆っていた霧も消えていった。正常に戻った天気は曇天。昼間の私が一番好きな天気。
 「ふぅ…すっきりした。さぁ咲夜帰るわよ」
 私はすっきりとした顔で咲夜を見た。よっぽどいい顔ができていたのだろう。咲夜も穏やかに微笑んで、
 「かしこまりました。お嬢様」
 そう言って私のそばに侍ってきてくれた。
 「でも、これでいいのですか?ご用命いただければ私があの天人をしょっ引いてきますのに」
 「ううん、いいの。今日はもう顔も見たくないわ。さっさと帰ってご飯にしましょう。私はまだ起きてから何も食べていないわ」
 私たちは紅魔館へと向かって歩き出した。あれだけ散々な時間を使わされたが、時刻はまだ昼過ぎ。私の一日はこれから始まるのだ。あれは寝ぼけて見た白昼夢だと思おう。これから寝るまでをどうにかいつも通りのように回して、散々だった分を取り返さなければ。
 私たちは雲の下、日の翳った地面を歩いて帰っていった。
 紅茶と平穏の待つ、我が家へと。



 「あぁ〜楽しかった。永遠亭もなかなか面白かったし、白玉桜も趣があったわー。地上は本当に面白い所ね〜。次はどこに行こうかしら?地下にも街があるっていうし、今度はそっちかな」
 天子は腕を組みながら妖怪の山へと続く道をタラタラと歩いていた。空を覆っている雲のせいで正確な時間がわからないが、おそらく夕刻あたりだろう。そろそろ帰らないとまた勝手に出かけていたことがバレてしまう。なまじ良い家の娘として生まれたために、そこら辺の規律は厳しいのだ。
 天子は鼻歌交じりで帰路についていた。今日の一日の楽しさを頭の中で反芻しながら。
 「総領娘様」
 その声に天子は振り向いた。そこにはいつからいたのか、龍宮の使いが慎ましやかに立っている。
 「あら、衣玖じゃない。地上で会うなんて珍しいわね。あなたも地上観光?面白い所よね〜」
 天子の軽口に対して返事をする様子は無い。元々天子に比べれば表情豊かな方ではないが、それにしても今回は神妙な顔つきだった。
 「総領娘様――緋想の剣はどちらに?」
 「んあ?緋想の剣って――そりゃあんたここに…」
 そう言って腰元に手を伸ばしたところで、天子はやっと気づいた。天界から勝手に拝借してきた神剣が手元に無いことに。
 「って、えぇぇぇぇぇぇぇ〜っ!!無い!どっかに置いてきちゃったかしら!さすがに帰るときには宝庫に戻しておかなきゃマズいのに…どこやったかな…。あ、衣玖ちょうどいいわ!探すの手伝ってちょうだい!」
 天子はひとしきり一人で慌てた後、目の前にいる衣玖に頼んだ。いつもなんだかんだと味方になってくれている衣玖のことだから今回もきっと助けてくれる、いや、もしかしたら緋想の剣を持っていないことを指摘しに来てくれたのかもしれない、と勝手に楽観的なことを考えていた。
 「場所ならもうわかっています」
 「なにそれ!?さすが衣玖!!もう見つけておいてくれたのね!で、どこに置いてきちゃったのかしら?」
 衣玖はすぐには場所を答えず、黙って上を指差した。上、空、雲、天界――何?天子はその意図が読めずに首を傾げていた。さっさと取りに行きたいのだから、まどろっこしいことしないで場所を教えてくれればいいのに、と。
 そんな天子の胸中が伝わったのか、衣玖はゆっくりと口を開いた。
 「緋想の剣は今天界――お父上が持っておられます」
 「は?」
 なんでお父様が?宝庫に置いてあったものを黙って持ち出しただけだから、お父様が持っているなんてことはありえないのだが――。
 「今日の昼過ぎ。緋想の剣が総領主様の御殿に突き刺さっているのが発見されました。報告によれば、緋想の剣は天界の地面たる雲を突き抜けて突然現れ、ものすごい勢いで御殿に突き刺さったとのことです。宝庫にて保管していた神剣が御殿に突き刺さるという珍事が他の天人たちにも目撃されたとのことで、お父上は大層お怒りになっておられましたよ。そこにたまたま居合わせた私が、総領娘様の行動に一番目星がつくとのことで、いなくなったあなたを探しに地上に派遣されたのです」
 衣玖は流れるように簡潔に事態を説明した。その間表情は一切無く、言葉に抑揚も無かった。相手がどう思っているかが伝わらず、無言の恐怖に近いものを感じた。
 「い、いや、でもそれ私のせいじゃないし…っていうか緋想の剣絡みの事件で私を探すなんてお門違いじゃないかしら…?」
 「それは大丈夫です。私の方から総領主様に上申させてもらいました。“お宅の総領娘様が最近勝手に宝庫から緋想の剣を持ち出して遊んでいる”と」
 「う、ううううううう、裏切り者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――っ!!」
 「味方になったつもりはありませんよ」
 衣玖はしれっと言い放った。
 「さぁ、では行きましょうか。たまにはこってりと怒られると良いですよ」
 「いやぁ―――っ!!っていうかホントに私のせいじゃないし―――っ!!」
 天子はいつの間にか首根っこを掴まれ、ズルズルと地面を引きずられていた。
 怒りに真っ赤に染まっているだろう父の待つ、我が家へと。
レミリアお嬢様受難の話。
若干キャラの違うお嬢様になってしまったことが悔やまれますね。
あと紫も必要以上にS色全面に出まくってますね。困ったもんだ。

ともあれ、長々とお疲れ様です。楽しんで頂けたなら僥倖です。





皆さん初めまして!ケンロクと申します。名乗りを上げるのは初めてなんで、初めまして。
この度は拙稿ご一読頂きありがとうございます。
想々話に投稿もしたことないのにこんぺに飛びついたド新人なので、結果発表までガタガタ震えてました。
投稿者のみなさんお疲れ様でした!まずはこの安堵を分かち合いましょうw
そしてコメント残してくれた皆様!ありがとう!愛してる!

■バーボンさん
ケロちゃんと萃香はちょっと雨のインパクト重視でオミットさせてもらいましたw別作品での活躍で勘弁してやって下さい


■冬。さん
うーん…これ地味に悩みです。前作ったお話くらいから導入してみたんですが、間の取り方としては優秀な気がしてつい使っちゃいます。
でもやっぱ沢山使うと読みにくいですかね…


■shinsokkuさん
それは正直予想のナナメ上でしたw
あーでもそれはそれで面白かったかなー


■Luさん
口調お二人目頂きました。
私事ではありますが、この作品のレミリア様は、直前に読んだ本の影響をモロに受けてしまっています。なんでその本の登場人物に見事に引きずられました。
プロットの練りの甘さがダメでした。


■神鋼さん
衣玖さんは締めに非常に使いやすいキャラだと思います。
だから逆にブッ壊れた衣玖さんもちょっと書いてみたいですw


■nnsさん
衣玖さんはパネェっす。
個人的にこういうお姉さんキャラは大好きですw


■藤木寸流さん
誤字訂正ありがとうございます!実はそれ、今言われるまで桜で覚えてましたw楼閣の楼だったのかー。


■zarさん
お嬢様は可愛いもの。仕方ない。
お嬢様困らせるのはホント楽しいなーw


■白錨さん
ライトな読み物だし、筋としては勧善懲悪であるべきだと思ったので、天子にはキッチリ懲らしめられてもらいました。
めでたしめでたし、で終わった方がキッチリ締まりますし。


■パレットさん
いえいえ、謝るのはむしろコチラです。変なテンションですみません。
コメントに返すようで申し訳ないですが…紫の壊れキャラはちょっとお気に入りです。
問題は作風がそれに沿ってなかったっていうことですよねぇ。うーん、もっと壊すかぁ…


■椒良徳さん
凄いイイ目をしてらっしゃいますw案の定、佳作域には届きませんでした。
掛け合いは力を入れた所なんで、そんなイイ目の方に褒められると悪い気はしないです。ありがとうございます!レミリアは可愛いですよ!w


■12番目のコメの方
文字化け残念です…。ともあれ、読んで下さった上、採点までありがとうございます!
もし良かったらフリーレスでまたご指摘お願いします!


■零四季さん
天子さんはこれくらいじゃめげない子なはずです。またやらかしてくれるでしょう。
雨を題材に重い話にしたくはなかったのが、お気に召しましたのなら幸いです。


■詩所さん
これ気づいた時には「上手くできてんなぁー」とか関心しちゃいましたね。
東方はこういうのがあるから堪りません。


■静かな部屋さん
ベタ褒めありがとうございますwなんか照れますねw
でも残念ながら隙だらけの作品です。それを感じないでもらえたのは、きっと相性でしょう。ともあれ波長が合って楽しんで頂けたのは嬉しい限りです!


■desoさん
この話の構成だと、魔理沙と文と紫は同じ感じになっているので先が見え見えです。話が単調なのもそのせいでしょう。ある程度予想していた声ですが、やっぱりもう少し上手く見せられなかったものかと、我ながら今でも思います。
それと、紫のキャラ指摘お二人目ですwやっぱダメかなぁー…。


■やぶHさん
誤字訂正ありがとうございます!
ちょっとチャレンジフルなお嬢様になってしまいました。レミリア(?)くらいのキャラになってしまったのが残念です。問題は「ウチじゃこれがレミリアのキャラだ!」って言い切れるほど世界観が確立していないことですが。
サディストゆかりんに違和感ないのは嬉しいですw


■774さん
剣置き去りはかなり無茶でしたねw短くまとめようとした結果とは言え、我ながら無茶だと思います。
紫とレミリアの相性の悪さって緋想天的には極まってますよねw


■2号さん
めまぐるしく変わる展開は仕様です。でも流石に少し落ち着かなかったかもしれません。
“気軽に楽しむ”もコンセプトだったので、そこを感じてもらえたのは非常に嬉しいです!


■八重結界さん
天子は自業自得が似合いますwそれでも挫けない天子に乾杯!
お嬢様は振り回される可愛さがとても好きですw


■時計屋さん
短い展開の中で上がり下がりをどうつけるか、SSにおける今後の課題ですね。
幸い、このこんぺにはそれを上手にこなしている方が沢山いらっしゃいました。他作品を参考に、また練り上げて来ます。


■如月日向さん
カリスマあってのお嬢様ですからね。決めるトコはビシッと決めて下さる方ですw
そんなカリスマも、台風じゃさすがにアウトでしたね。どうしようもないですw


■木村圭さん
明らかに500歳じゃない感じになっちゃいましたね。もうちょっと作内での年齢設定を上げたかったです。


■鼠さん
ちなみに非のレミリアは、システムカードで傘を装備すると屋外戦闘も可能になっちゃいますね。それ言ったらコレ書けなかったんであえて無視させてもらいましたが。
ちょっと吸血鬼の雨嫌いの件はこじ付け気味です。下調べの甘さが目に余りますね。



さて、コメント残して下さった方には全レスさせていただきました。多数のコメント頂き、ありがとうございました。皆様のコメントを血肉として、これから精進していきたいと思います。
発表期間の間に書いた東方モノもあります。そっちは想々話に上げると思うんで、お時間ございましたらぜひご一読下さい。私、超喜びますw

それではまた、いつかの機会に。
ケンロク
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/11/17 02:25:35
更新日時:
2010/01/18 14:16:17
評価:
23/23
POINT:
118
Rate:
1.19
1. 6 バーボン ■2009/11/22 02:07:04
少し台詞に違和感を感じましたが、概ね楽しく読めました。
しかし緋や非の天候ネタを使うなら、「梅雨」の諏訪子もどうせなら出して欲しかったです。
とは言え、そつなく纏まっていると思います。
2. 5 冬。 ■2009/11/22 17:45:27
文章に ―― が、多いかと思います。
3. 3 shinsokku ■2009/11/23 14:22:01
あはれみりあ。
木ごと引っこ抜いて傘にしてお帰りになれなかったのかしらん、とか。
4. 7 Lu ■2009/11/24 02:36:41
夜の王でありながら幼さが残るレミリアがいいですね
レミリアの口調に多少違和感は残りましたが
最後にちゃんと咲夜が来るあたり、綺麗にまとまってると思いました
5. 6 神鋼 ■2009/11/26 20:58:17
衣玖さんがおいしいところを纏めて持っていきました。だがそれがいい。
6. 10 nns ■2009/12/02 18:02:40
衣玖さんパネェ
7. 6 藤木寸流 ■2010/01/04 00:51:34
 清きドタバタコメディで、読んでいて楽しかったです。
 緋想の剣の絡ませ方も上手かったと思います。

 誤字をひとつ:白玉桜→楼
8. 6 白錨 ■2010/01/10 00:16:43
吸血鬼の特徴と天子の非想の剣の特徴が、良く混ざった作品でした。
天子の我がままさと、後、天子がちゃんとこらしめられるオチはナイスだったと思います。
9. 2 パレット ■2010/01/10 04:39:46
 自分も(創想話で)やや似たような話を書いておきながらなのですが、すみません、ちょっと合いませんでした。
 天子のウザさはともかく、紫のあのキャラを容認するには、もうちょっとコメディ色が強くて完全に壊れギャグと化してるくらいの方が、自分にとっては良かったです。
10. 6 椒良徳 ■2010/01/11 16:59:47
冷静になって考えると、レミリアがただ悪天候に悩まされるというだけの作品ですので、
傑作・佳作というには力不足のように感じます。
とはいえ、文章は読みやすく、登場キャラの掛け合いも面白い。
緋想天の各キャラの設定を上手いこと活かして書かれた作品だと思います。
良い作品なのだけど、佳作にちょっと及ばないということで、この点数です。

まあ、そんなことより。レミリアは可愛いな。
11. 2 ホイセケヌ ■2010/01/13 13:31:46
・ョ・罕ー。ュ。ュ、ホク、ヒ・ヘ・ソ、ホメサ、トメサ、ト、ヒ・ム・・チチヲ、ャラ网熙ハ、、壥、ャ、キ、゙、ケ。」ミヲ、、、ホ・ト・ワ、マネヒ、ス、、セ、、タ、ォ、鯡ヒキス、ハ、、イソキヨ、筝爨、、ネ、マヒシ、、、゙、ケ、ャ。」、チ、遉テ、ネン、、、タ、ア、ヒネホ、サ、ニ、キ、゙、テ、ソ、ャ、ソ、皃ヒ。「殪メ簧カ、ヒ・ニ・・キ・逾、ャク゚、ケ、ョ、壥、筅キ、゙、ケ、キ。」
、「、ネ。「ネピx、簫ノ味」
12. 7 零四季 ■2010/01/13 21:11:58
天子さん、自業自得ですよ
ちゃんと上手くまとめてあって面白かったです。これぐらいのノリがちょうどいいな、と勝手に思ったり。
13. 4 詩所 ■2010/01/13 21:42:04
 天気で考えると、咲夜さんの曇天はレミリアと抜群に相性いいよなぁ。
 流石は瀟洒な従者といったところでしょうか。
14. 8 静かな部屋 ■2010/01/13 23:33:37
イイ。イイ!
運が悪いとしか言い様がないですねこれじゃ……。
日常生活におけるほとんどのことは運と間の悪さから成っている。てことですね
隙のない話が書ける人がうらやましい
15. 5 deso ■2010/01/14 01:46:49
読んでいる側からすると、途中である程度先が読めてしまいます。
もう少し捻りが欲しいです。
あと、個人的には紫のキャラが合わなかった。こればかりは作者さんと自分のイメージの違いだからどうにもならないけれど。
16. 6 やぶH ■2010/01/14 22:51:49
白玉桜は白玉楼かな?
巷ではあまり見かけない珍しいタイプのお嬢様でしたけど、ゆかりんはこれくらいSでもあんまし違和感がありませんねw 
17. 6 774 ■2010/01/15 00:03:11
天気雨ひでぇw
なるほどねー、と思わせる感じで、加速度的に酷くなっていくのがが素敵でした。
剣が置き去りなのはちょっと不自然かな、と思いましたが。
18. 5 2号 ■2010/01/15 06:58:08
気軽に楽しんで読めました。
いろんなキャラが出てくるのは楽しかったですが、ちょっとめまぐるしい印象を受けました。
19. 5 八重結界 ■2010/01/15 12:09:21
 自業自得天子ちゃん。そしてお嬢様は振り回す方も似合いますけど、振り回される方も似合うのだと再認識しました。
20. 3 時計屋 ■2010/01/15 21:24:42
 文章、展開共に一本調子のように思えます。
 もうちょっと起伏が欲しかった。
21. 6 如月日向 ■2010/01/15 22:31:13
 雨系の気質を持っている人は多いですよね。もし衣玖さんが来ていたらお嬢様は危なかった。

〜この作品の好きなところ〜
"「ちょっと――忘れ物を届けてあげようと思ってね」"

 ここに来てお嬢様のカリスマが急上昇。カリスマブレイクもいいですけど、やっぱりお嬢様はカリスマが似合いますねっ。
22. 2 木村圭 ■2010/01/15 22:51:23
お嬢様がちっこい女の子すぎる!
23. 2 ■2010/01/15 23:21:42
緋のレミリアだとこんな感じになっちゃうのかなぁ、という気がしないでもない
何故吸血鬼が雨を嫌うのか。
太陽は日傘で歩けるくせに雨は外に出たがらない。ここの理由がハッキリしないとこの話の面白さが削がれる気がします
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