恨んで語るは雨の猫

作品集: 最新 投稿日時: 2009/11/19 03:09:57 更新日時: 2010/01/26 00:28:02 評価: 21/21 POINT: 112 Rate: 1.25
獅子の頭をしたその女神は豊穣と殺戮を司り、多くの民を殺しては、流れ出た血を浴びるように飲み、踊り狂った。
他の神々は彼女の憎しみを取り除き、その殺戮を止めようとした。
かくして憎しみの感情は取り除かれ、獅子の頭は猫となり、以後、その女神は豊穣を司る神となって、人々に慕われることとなった。
憎しみという感情を失ったまま……

















え〜と、んーと。
いきなり面白い話をしろって言われても……
雨が降ってるから退屈って確かに言ったけど。
なんでいきなりの無茶振り?
え? 言い出しっぺの法則?
なんか理不尽……
皆、雨は嫌いなんだろうねやっぱり。でも猫には敵わない。
猫は雨が嫌いなんです。毛が濡れるし。
そりゃあ、外で遊べないし、退屈だし、じめじめするし、良いことはないね。毛が濡れるし。
猫は雨が嫌いなんです。
ほら、猫が顔を洗うと明日は雨っていうでしょ? 
え? そんなことはいいから話をしろ? 
なんてせっかち。なんて無茶ぶり。そんなんだから白黒のネズミって言われるんだよ?
ネズミは猫に狩られる運命……まあ、実際は弾幕ごっこで負けたけどさ。
で、面白い話かぁ。
そうだなぁ……じゃあ、昔話にしますか。
ん? 懐古怪談話ならいらないって?
折角話をしようと思ったのに、水を差すのは良くないと思う。そんなに紅白で目出度いのにさ。
まったく。早くやれと言ったり、別にいらないと言ったり、やっぱり人間は理不尽だねぇ。
まあ、暇だから話すけどさ。
ちなみに、別に誰かを驚かせた話とかじゃないよ。
ちょっと退屈を紛らわせるにはいいかもしれないそんなお話。
妙な猫の妙なお話。
ちょっと長いけど、皆様ご静聴お願います。





*    *    *    *    *





こことは違う別の国のお話。
大地には砂がどこまでも広がっていて、そんな中にそれはそれは巨大な河が流れていた。
人間はその河の周りでいくつもの国を作っては滅ぼし、作っては滅ぼし……
その滅んだ原因は色々とあって、やれ河が氾濫しただ、やれ革命だ、と本当に色々あって。
で、その猫は、そんないくつもあった国の内の一つに住んでいたのです。
まあ、国っていってもそれほど大きなものじゃないけどね。
精々、人里をもう少し大きくしたような感じかな。
で、その猫は神様の化身として崇められていた黒猫だったわけ。
猫が神様なんて可笑しいと思う?
でもね、その国では猫はとても大事にされていたんだ。なんでも猫の頭をした神様を祭っていたくらいでね。
で、その猫は、毎日毎日、河で採れた魚やらどこかの家畜の肉やらを豪勢に飾り付けたものをたらふく食べてたんだ。ちなみに普通の庶民には家畜の肉とかはまさに御馳走だった。
なんかの祝い事くらいでしか食べなかったんだよね。
つまり猫にとっては毎日が祝いごと。まあ、神様だし。
そんなんだから、黒猫は狩りというものをまったくしたことがなくて、しかも自分で何かを捕まえて食べたという経験がなかった。
そんなもの猫と言えるのか、微妙なとこだけど……
で、やることといったら、ひたすら寝て、食べて、軽く散歩して、また寝て……そんなことの繰り返し。
猫ってのは大抵寝てるもんだけどさ、それでも猫には猫なりの仕事があるんだよ。
でも、黒猫にはそれが無かった。
で、猫が偶にする散歩っていうのも、そこらを歩き回るわけじゃない。
ただ、王宮の中だけ。
まさに純粋培養のお猫様。
王宮の外のことなんて知らなかったし、知るつもりもなかった。
好きなだけ食べて、好きなだけ寝て、好きなことをして過ごせればよかったから。
なんともグータラな猫でしょ? 鼠の一匹も取れやしない猫になんの意味があるのやら。
まあ、黒猫の仕事は鼠を取ることじゃないんだけどね。
鼠捕るためだけに王宮の中に猫を住まわせたりはしないよ。
え? 早く話を進めろ? 分かりましたよ。まったくもってせっかちなんだから……
それで、黒猫にはちょっと不思議な力があった。
雨を呼ぶっていう力っていうのかな?
黒猫はなぜか雨雲を呼び寄せることができた。
にゃんと一鳴きで雲が集まり、ごろにゃんと歌えば雨が降る。
なんでそんなこと出来たのかって? そんなの知らない。
たぶん、さっき言った猫の頭の神様がくれた力じゃなかったのかな。
まあ、そんなんだから猫は神様の化身って言われてたんだよね。
雨を呼ぶことができるから。
その土地は雨が少ないところでさ、だから自在に雨を呼べる猫はとても有難がられたんだ。
で、飼い主、この場合はその国の王様かな。それが猫に拝み倒して、雨を降らせてくれって頼むの。
あ、ちなみに王様は全員は女の人だったから女王様だね。
女王様が神様と仲立ちして、国を治めていたっていうこと。ある意味巫女みたいなものだったのかな?
王様で巫女って豪勢だよねぇ。火の車のこの神社とは大違い。
ちなみに黒猫の前にも同じようにお猫様がいたらしいよ。そいつも同じように雨を降らせることができたらしい。
でも、ある日、ぱたりと雨を降らすことが出来なくなったんだって。
そしたら猫の代替わり。その猫は神様として殺されて、砂の下に丁重に埋められるのです。
まあ、ぞっとしない話。
で、話を戻すけど、黒猫は代替わりすることもなく、二十年くらいは雨を降らせ続けたんだよ。
そこまで生きたら最早妖怪だけどね。
まあ、雨を降らせる猫は総じて長寿だったらしいし。やっぱ神様だからかな?
で、雨を降らせていられる間は、猫はなにをしてもよかった。
そこにいるだけで皆に可愛がってもらえて、崇めてもらえた。
ちょっとうろつけば皆が色々な物をくれて、どんなところで爪を研いでもよかった。
それが例え、女王様の椅子でもね。
まあ、でも流石の猫も女王様に喧嘩売るようなことはしなかった。
一応飼い主みたいなものだし。それに、猫はその女王様が好きだったから。
女王は猫に特に優しかったしね。
猫ってのは案外そういうのに敏感なんだよ。恩も怨も忘れないし。
猫には、その女王がちゃんと自分を見てくれてるって分かってた。
この人は自分を裏切らないって分かった。
心から愛情と敬意を払って接してくれているって分かってた。
だから、黒猫は女王にだけは自分のお腹を触らせることを許したんだよね。
猫がお腹を見せるのは敬意の証だよ。大抵の猫はお腹を触られるのが嫌いだからね。
で、その女王様ってのが、まだ王位についたばかりでさ。凄い若かったの。
その女王が生まれた時から黒猫はいたんだけどさ、女王が子供の時からずっとその女王と一緒にいたんだよね。
色々と頼りない感じの女の子って感じだったけど、その美しさだけはどの女王様にも勝てなかったんだって。
それはそれは綺麗な人だったんだよ。
その土地では珍しい赤い髪と赤い目。真珠のように美しい肌。猫のようにくりくりとした目。
その歌声も大したものらしくってさ。
まるで琴を鳴らしたように綺麗な声だったんだって。
その声で毎晩毎晩、黒猫に子守唄を歌ってやっていた。
それはその国が祭っていた神様の歌。
猫の頭の神様がどうやって生まれたのかってのを綴った歌。
その神様に憎しみを与えてはならぬ、たちまち猫の頭は獅子となり人々を殺し始めるだろう。
心安らかにあれ、心安らかにあれ。
こんな感じの内容だった。
子守唄にしては物騒だけど、まあ、童謡とかって意外と残酷な内容多いからいいでしょ。
猫はその歌が大好きだったし、女王も猫に歌を聴かせるのが好きだった。
歌を歌った後、女王は猫と一緒に寝ることもあった。
猫にとってはその時が一番幸せだった。きっと女王の方も同じだったんじゃないかな。
猫は本当に大切にされてた。
で、その大切にされていたっていうので、こんな話があるの。
黒猫にはいつもお付きの人間がいたんだ。四六時中付いて回ってくる人。
食べる時も、トイレする時も、散歩の時も、寝る時も。
まあ、猫にとってはもう慣れたことだから気にしなかったんだけどさ。
だけど、ある日。
ちょっとした悪戯心で、猫はそのお付きの人を煙に捲いたんだ。
お付きの人が必死で猫を呼ぶんだけど、それを全部無視してね。
で、王宮の中を好き勝手一匹で歩いて、でお腹が減ったから自分の部屋に戻った。
そしたらさ、いつもは居るはずの、そのお付きの人がいなかった。
で、ふと、遠くから、微かに血の臭いを嗅いで、それを黒猫は辿った。
王宮の中庭にいくと、そこにその人がいたんだよね。
全身血だらけで。
全身に酷い蚯蚓腫れがあって、ところどころ皮膚が爆ぜてて、血の池の中でぐったりしてた。
あ、その人、女だったんだけどさ。
顔も訳が分からないくらいぐちゃぐちゃだったよ。
鼻がなかったり、口は歪んでたり・・・・・・綺麗な人らしかったんだけどね。
多分、お仕置きを受けたんだと思う。猫を見失ったっていう理由だけで。
で、次の日からはその人の代わりに別の人がお付きの人になった。
猫にとってはどうでもいい話だったけどね。
ちなみに、黒猫が無事に戻ってきたと分かった時、女王は半分泣きながら猫を抱きしめたらしいよ。
それだけ猫が心配だったっていう、そういうお話。
それと、もう一つ、お付きの人が死んだ次の日に黒猫が雨を呼んだんだけど、その時は、結構な雨が降ったらしいよ。
死んだお付きの人の魂が猫の力になったに違いないって、色んな人達が言った。
猫は死に敏感だしね。
自分の死期に気付いたら姿を暗ますし、猫の妖怪が死体に拘るのも猫が死に敏感だから。
猫の目はあの世とこの世を映し出すなんてことも言うくらい。
まあ、そんなこんなで雨を呼んだり、寝たり食べたりしながら、猫は過ごしてたんだよ。
でも、猫が神として讃えられてから三十年たった時かな。
一回に降る雨の量が少なくなってきた。
前までは一日は降っていた雨が、一刻くらいで止んでしまうようになった。
そうして誰もが思ったんだよ。ああ、もうすぐ代替わりの時期か、ってね。
猫にとってはさあ大変。
今までどんなことしても甘い顔して許してくれてた人達が、急に余所余所しくなったり、怖くなったり。
まあ、黒猫は賢かったけども、所詮は猫。どうして今までみたいにちやほやされなくなったのか、理解できなかった。
自分が衰えてるってことは分かっていたけど、まだ死期には大分遠かったし。
少ないとは言え、雨もきちんと降らせてはいたからね。
で、前みたいに優しくしてもらうために、必死に媚を売るようになった。
出来るだけ色々な人にすり寄って、猫なで声だして……
まあ、今更普通の猫面すんなとかって話だけどね。
だけど、猫が呼ぶ雨の量はどんどん少なくなっていく。
それに伴って周りの態度もどんどん冷たくなっていく。
その内、遂に雨を呼ぶことが出来なくなった。
まあ、そしたら代替わりの時期だね。
多くの人が代替わりを求めて、次のお猫様を探し始めた。
多くの人が新しい神の化身に期待をした。
だけど、代替わりを拒否したのが一人いた。
女王様だ。
まあ、その女王様にとっては、子供のころから一緒にいて唯一の友達であり、家族のようなものだった。
かなり幼い人だったし。それに身内にはとても優しい人だったから。
女王様は、猫に力が無くなったのなら再び注ぎ込めばいいとか言ってさ。
色々なことに手を出し始めた。
神に捧げるための供物の量を増やしたり、国中の猫を集めて殺してミイラにして生贄にしたりしてね。
そのために税の負担が凄く重くなって、庶民はどんどん生活が苦しくなっていった。
そして、今まで飼っていた大切な猫を生贄って言われてどんどんミイラにされて殺されていった。
酷い話だよね。
で、その内、生贄に人の魂を使うと言いだしてね……
まあ、妖怪にとっては人の魂は嬉しいものだけど、生憎、その黒猫はただの猫。
効果なんてない。
夜な夜な、猫の被り物した連中が街中をうろついて、猫がいたら捕まえて、人がいたら捕まえて……
捕まったやつらは血を抜かれ、臓の腑を猫と神に捧げられた。
そして捧げられた哀れな生贄は、国の外に埋めてられて、砂の下……
十人くらいは生贄に捧げたけど、だけど、猫の力は戻らなかった。
そしたら、まだ生贄が足らないって、言いだしてさ。
そっから若い女王は狂った。いや、元々どこかおかしかったんだろうね。
ある時は十数人の子供を集めてきて、その子供達の首を刎ねて、その体から噴き出した血を猫に浴びせ掛けさせた。
ある時は、お腹に子供がいる母親を連れてきて、その母親を殺して胎児ごと臓物を猫に食べさせたり……
そんなことをやってる内に、黒猫の毛並みはどんどんと赤黒く染まっていった。
黒の毛並みに血の赤が混じっていってね。
まあ、とにかく色々と凄いことをやったわけよ。その女王様は。
可愛い可愛いお猫様のために。
猫を一匹差し出せば、全て丸く収まったって言うのに、その黒猫が好きだって理由だけで、何百、何千と人が死んでいった。
女王は、ただ、猫を守りたかっただけなのにねぇ……
まあ、そんなことやってれば当然、国中から恨まれることになる。
雨が降らず、作物は育たない。ここらへんなら少しくらいの旱害は問題ないけど、その国で雨が降らないってことは、つまりは水源がまったくもって無くなるってことになる。
河は直ぐに干上がり、蓄えた水も一瞬でなくなる。
だから、王様とか神様に献上すべきものが無くなっていくんだけど、乾いた布をさらに絞るように重税が重なっていく。
最低限生きていけるだけの食べ物まで、奪い取られていったんだって。
供物を捧げれなければ神に見放される、とか言ってね。
もちろん、税を払うのを拒否すれば黒猫の生贄として殺される。
そんなことが何年も続いた。
自分の子供や妻がどんどん無意味に殺されていく。たった一匹の猫のため。
それが何年も続けば、民衆の怒りや恨みはどれほどだろうね。
まあ、数年ほど我慢しただけでも凄いと思うけど。
そして、とうとうそれが起こった。
ある日、突然小汚い男達が猫の部屋に入り込んできた。
いわゆる反乱ってやつだね。もしくは革命かな?
とにかく、男達の侵入に何事かと飛び起きた猫は、一目散に逃げようとしたよ。
でも、ダメだった。
いつも一緒にいるお付きの人に、捕まった。
逃げようとしたところにぱっと手が出てきてね。
ま、猫自身、かなり年取ってたから、動けないっていうのもあった。
で、猫を捕まえた後、そのお付きの女の人がさ、男達に色々と指示を出してるんだ。
流石の猫も気付いたのよ。
ああ、こいつが首謀者なのかって。
宮殿の守りを薄くするために兵士達の料理に毒薬を混ぜたり、襲撃用の抜け穴を用意したりしたらしいよ。
で、このリーダーがさ、前に猫のせいでお仕置きを受けたお付きの人の姉らしかったんだ。
姉妹で猫のお付きをやっててそれなりに幸せだったんだけど、それがある日崩れ去った。。
猫が悪戯心で姿を消したために妹がお仕置きで死んでしまった。
妹の無念と生贄にされていった人達の無念がどうとか言ってたよ。
黒猫が初めてその人の顔を見てみると、ぎらぎらとした目と、三日月みたいに薄ら寒い笑みが口元にあった。
その人以外の人間の顔を見てみると、どいつもこいつも頬はこけて、皮と骨だけの出来の悪い案山子みたいでさ、皮膚はかさかさ、唇はぼろぼろで目がぎょろりとしてた。
地獄の餓鬼っているでしょ? あれみたいなものだった。
で、どの人間も吹いたら死にそうなくらい顔に力がないの。
だけどさ、そのくせその眼だけはどうしようもなく爛々としてて、どす黒い光がその眼の中で輝いてた。
襲撃があったのが、丁度黒猫の食事時間だったんだけどさ。
黒猫を捕まえた後、男達は一目散に猫の食べ残しに飛びかかっていった。
で、大の大人が二人掛かりで食べ物の取り合いしてんの。生の魚と生肉をね。
いくら盛り付けが綺麗でも、生のまま魚と肉をそのまま食べたいと思う? それも猫が粗方食べた残飯を。
まあ、そのくらい飢えてたって話だけど。
城のあっちこっちで悲鳴が上がり、そのたびに血が流れ、人が死んだ。
普通、こういった虐殺が起きた場合って真っ先に女が犯されたりするんだけど、だけどその時は違うことが起こった。
女も男も関係なく殺され、皆が真っ先に食べ物に飛びついたのよ。
まるで飢えた野獣のようにね。
そんな光景を横目に見つつ、猫は城の外に連れ出された。
逃げられないように足の筋を切られた状態で、あのお付きの人に抱えられながらね。
そうして黒猫は初めて城の外に出た。だけど、城門の外は酷い有様だった。
その国の一番大きな通りだっていうのに活気もなにもなくて、あるのは干からびた死体と干からびかけた人間だけ。
家の壁はぼろぼろに崩れてて、風が少し吹くたびにどこかの家が崩れ落ちていく。
とにかく埃と塵と、何かが乾いて腐った臭いが酷かった。
国全体が死んでたんだね、もう。
だけど、先頭を歩く首謀者の女が大声で何かを言うと、小さな脇道からよろよろと人が集まってきた。
その誰もが餓鬼みたいにやせ細ってて、ボロボロで乾いてたんだけど、やっぱし目だけはどす黒く輝いてた。
で、女王と猫を殺し、神への生贄とするって首謀者の女が大声で言って回った。
すると、どこからその力が出るのか、ってくらいその餓鬼達が喜び叫んだんだ。
国全体が餓鬼の声で溢れ返った。
で、しばらく進んで国の真ん中の広場まで来たらさ、そこには女王がいた。
全身ぼろぼろにされた状態でね。殴られたり酷いことされたんだろうと思う。
あの綺麗だった瞳が見えないくらい顔を殴られてて、口の端から折れた歯が見えて、潰れた鼻からは鼻血が止まることなく流れてた。
綺麗な赤い髪も血と埃で汚らしくなってて、その肌は痣や傷でぼろぼろになっていた。
それはそれは酷い有様だったんだよ。
で、そんな状態の女王に、民衆は構わず石を投げつけてるの。
母さんの敵だとか、子供を返せだとか、そんなありきたりな台詞を言いながらね。
女王はどうにか体を丸めて、それをやり過ごそうとしてるんだけど、それでもがつがつって石が当たっては、妙な呻き声を上げた。
あの子守唄を歌ってくれた綺麗な声も、今じゃ豚が鳴いてるみたいに醜悪だった。
まあ、民衆には酷い女王でも、猫にとっては優しい飼い主で自分を大切にしてくれた人だからさ。
猫は筋を切られた足で必死に抵抗して、女王を助けに行こうとした。
女王を助ければ、自分も今の状況から抜け出せるって考えもあったんでしょ。
まあ、無駄なことだけどさ。
筋切られてるから碌に爪も立てれないし、所詮猫の力だし。
だけど、それでも必死に暴れまわってね、思いっきり女に噛みついたんだ。
そしたら、思いっきり地面に叩きつけられて、そのまま蹴飛ばされたんだって。
普通、猫を蹴飛ばそうと思う?
まあ、それだけ、猫も恨まれてたんだろうね。
全部の足の筋を切られて、ついでに顎も外されて、猫はもう何も出来なくなった。
その状態で女王の横に猫は転がされてさ、で、今度は猫にも石がぶつけられ始めるんだ。
仮にも昔は神様とありがたがって、敬っていたのに酷い話だよね。
まあ、石投げてる人間達にとっては、この猫が原因で酷い目にあってるから仕方ないといえば仕方ないけど。
で、猫は立てないから、そのまま石をぶつけられるしかなかった。
しばらくは石の痛みに悶えながらも堪えていたんだけど、ふと気付くと石が飛んでこなくなったんだよ。
猫は、石を投げられるのが止まったかと思ったんだけど、相変わらず周りはまだ騒がしい。
何事かと見回してみると女王が猫を守ってくれてた。
上から覆い被さって、子供を抱き抱えるように。
女王はさっきからずっと石ぶつけられてて全身ボロボロで血も流れてるのに、それなのに猫を庇ってるんだ。
今まで宮殿の中で贅沢三昧してたのが、生まれて初めて殴られたりして、石を投げられて……
精々20年生きたかどうかっていう人間の女の子がさ。
猫だけは助けようと、自分の体を盾にしてたんだ……
それでさ、女王が言ったんだ。
歯のほとんどを折られて、口の中を血だらけの状態にしたまま、弱々しく言ったんだ。

私の憎しみを、死んでいった者の憎しみと恨みをその身に宿せ。そして私を助けてくれ、この場の全ての者を殺してくれ。

ひたすらに祈るように、ひたすらに縋るようにそう言った。
どこまでも恨むようにそう言った……
そして石が投げられるのが止められて、遂に処刑の時になった。
広場の真ん中に女王が座らされて、猫もその隣に転がされた。
なんでも猫と一緒に女王を処刑するってことらしくて、女王の後ろには大きな剣を構えた男が。
猫の後ろにはあのお付きの女が、細身の剣を持って立った。
そして、女がなにやら口上を上げて民衆を盛り上げる。
もう、殺せ殺せの大合唱。
そこで女が、最後に言いたいことはあるか? って女王に尋ねた。
そしたら、女王は口を猫みたいににやりと曲げて、小さく呟いたんだ。
殺戮の神を呼び覚ませ。って。
次の瞬間、女王に剣が振り下ろされた。そして猫も何かが首に当たった感触を感じて、首を飛ばされた。
首を飛ばされた猫が最後に見たのはさ、今にも降り出しそうな空と一筋の雨粒だった。
その雨粒が猫にはとても嫌な物に思えて、そうして猫はゆっくりと目を閉じて死んだ。女王と共にね。
猫と女王が死んだ後、急に雨は降りだし始めて、乾いていた人間達は一斉に喜んだ。
久しぶりの雨だし、非道な女王も倒したってことで皆大いに騒ぎたてた。
神の思し召しだとか、女王と黒猫が雨を降らせないようにしていたんだ、とかそんなことを言ってね。
数年ぶりに降った、まとまった雨。
枯れた大地にはどんどん水が染み込んでいき、乾いた河は直ぐに流れを取り戻す。
人間達は心行くまで水を飲んで、水を浴びた。
数年の干ばつを全て洗い流すかのように雨は凄い勢いで降り続けた。
三日三晩。そこからさらに数日に渡って雨は降り続け、人々の生活はすっかり元に戻りかけていた。
だけど、雨が降り続いて一週間後。
突如、河が決壊した。
元々、氾濫しやすい河だったから、治水とかして色々と手を加えて生活してたんだけど、それが数年の干ばつと女王の凶行のせいで碌に手入れもされなくて、そこに一週間の土砂降り。
脆くなった堤防はあっさり壊れ、溜めこまれた水は全てを薙ぎ払っていった。人も、物も、建物すらもね。
女王の凶行を逃れた人々は例外なく死に絶え、猫が過ごしていた宮殿も一瞬で洪水に飲み込まれ、小さな国の全てが氾濫した川に押し流された。
そうして、黒猫が死んで一週間で、その小さな国は綺麗さっぱり無くなってしまった。
住民のほとんどを女王と洪水に殺されて、全てが消え去った。





*   *   *   *   *





これでこの話はお終い。
神の猫は死んで、飼い主の女王も死んで、その後に国も滅んで終わり。
で、この国の上にまた国が出来て、また滅んでって繰り返していくんだ。
盛者必衰とか国破れて山河有りとか言うけど、人間の営みって同じことの繰り返しだよね。
それでさ、この場合、どうしたら皆が幸せになれたんだろうね。
女王は割り切って代替わりをすればよかったのか。
誰かが無理矢理にでも代替わりをさせるべきだったのか。
猫と女王をきちんと神と王族として葬ってやれば、大雨が起きなかったかもしれない。
人々が憎しみじゃなくて、狂った女王に憐れみを与えていれば猫に憎しみは集まらなかったかもしれない。
まあ、そんな話をしても仕方ないけどね。昔話だし。
ん、なんか雨音が聞こえなくなったね。
話をしてたら、ちょうど雨も上がったみたい。
雨上がりは湿気があるけど、まあ降られるよりはマシかな。
空気も澄んでるし。
それじゃ、私はそろそろ自分の住処に帰るから。
家来の猫達が待ってるもの。
ん? 何、白黒?
さっきの話の猫が本当は私じゃないかって?
どーだろーねー。
ひょっとしたらそうかもしれないし、別の猫かもしれないよ?
猫の繋がりはとても広いから、ちょっとした噂話でも私の耳に届いてくるの。お陰でこういう話には詳しいんだ。
じゃ、また雨が降ると式が落ちるから、もう帰るね。
それじゃあね。




















〜〜地底・灼熱地獄跡〜〜



くあぁと声がして、何かが起きる気配。
後ろに首を回すと、お燐が起きたようだ。

「おはよ、長い昼寝だったね」
「……ああ、お空、おはよ」

どこか吐き捨てるように言う友人の言葉に、お空は首を傾げた。

「なんか機嫌悪い?」
「寝起きなだけさ」
「やっぱり機嫌悪い」

お空の言葉に、お燐は顔をしかめる。
そして、重く息を吐いて、小さく呟いた。

「昔のことが夢に出た」
「お燐の昔?」
「そう。遠いとおーい昔。地獄で生まれる前の私じゃない私の話」
「最初っからお燐はお燐じゃなかったんだ?」
「まあね……今、地上は雨か」
「どうして地上の天気が分かるの?」
「……昔取ったなんちゃらってやつ」
「ふ〜ん……」
「ごめん、今日はちょっと一人にしてくれない?」

そう言ってお燐はどこかへ飛んでいった。
その後ろ姿には普段通り、恨みに凝り固まった怨霊がべっとりと憑いている。
ふと、お燐の顔が一瞬、そんな怨霊と重なって見えた。
恨みに駆られて、そして恨みに押しつぶされそうな顔。
お燐の赤い首輪が、血のように赤黒く見える。
まるで、首を切られたかのように……

Be of good cheer

心安らかなれ。
そんな歌が、どこからか聞こえてきたような気がした。
綺麗な声が聞こえてきたような気がした。
死体旅行のメロディーに微かな悲しみを感じるのは私だけでしょうか?








返事が遅くなって申し訳ないです。
コメントを下さった皆様、読んでくださった皆様に感謝!

バーボンさん
確かに東方要素が薄いのは感じました。
最初のところでもう少しシーンを追加すればよかったかなと思います。
雨を呼ぶ能力は猫が神様の化身だったということなんで、明確な説明はできないんですよね。
そもそも明確な説明するよりも神の奇跡ってことにしたかったのですが、いささか説明不足
過ぎましたね。

冬。さん
気に入っていただけたようでなによりです。
どうもコンペだと、暗い話を書きたくなる症候群が発症するようです、自分。

shinsokkuさん
現在と過去のありようですか……そこまでやると話の規模が大きくなって、構成が変わってしまいそうです。
そうしたら、まとめられる自身がないのでこんな形になりました。
いつか大きな話も書いてみたいですね。

神鋼さん
語り調の欠点ですよね、どうしても同じ調子で進んでしまうという。
まあ、俺の力不足でもありますが……
読みやすくも引き込まれて、読みごたえのある文章って作れないもんですかねぇ。

藤木寸流さん
途中まで書いてて、あれ?お燐って首輪付けてたよな?って思って慌てて画像見なおしました。
うん、首輪ついてて良かった……

白錨さん
確かに一人称の部分が読みにくいなとは思ったのですが、弄るに弄れず投稿。
もうちょっとそこらへんを詰めていきたかったです。
死体旅行は、おりんりんランドに何度も挑戦している内に気付いたことなんですよね。にゃーん。

パレットさん
なんで化け猫じゃなくて火車なんだろうか、と考えた時に過去に深い恨みを受けた猫が火車になるんじゃなかろうか?と思いまして、こんな話になったわけです。
恨みが薄かったら化け猫、恨みが深かったら火車、みたいな感じ?

椒良徳さん
身に余るお褒めの言葉ありがとうございます。
あまりコンペ向きの派手な話ではありませんが、面白いと思っていただけたのなら幸いです。

9の文字化けしちゃった方
何やら気合いを入れて感想を書いていただけたようなのですが、読めなくて残念です。
とにかくありがとうございました。

零四季さん
一応はエジプト神話の「セクメト神」の話を意識しましたが、話の筋に関しては一から考えました。
お燐らしさについては、最後まで正体をぼやかしておきたかったので、ちょっと薄めに書いたんですよね。それが今回ちょっと裏目でした。

詩所さん
人間の勝手さもテーマに含まれていたので、そう思っていただけたのなら非常に満足です。

静かな部屋さん
地霊殿の曲はどれも好き。霊地の太陽信仰とか廃獄ララバイとかも大好きです。お勧め。
話者は橙を想定してますが、それに関する描写がちょっと足りませんでした。
まあ、お話のネタなんて手垢が付いたものしかありませんしね、見覚えのあるお話になるのは仕方のないこと……

葉月ヴァンホーテンさん
人のおどろおどろしさとか、身勝手さとか怖さを感じていただけたのなら幸いです。

desoさん
東方分薄いですよねぇ……そこだけは本当に反省です。
猫可愛いよ猫。にゃーン。

やぶHさん
こちらが言われて嬉しいことを全て言ってくださいました。本当にありがとうございます。
火車なら何かしら壮絶な過去があっても不思議じゃないよな→人の恐ろしさとかそれで書けないかな?
みたいなプロセスで書いてたりしてます。

2号さん
後味悪いけど余韻が残る作品が好きなんです。
後に残るのは、爽やかだけどどこか釈然としない奇妙な感覚、そんなものを目指してます。

八重結界さん
橙かお燐か最後までぼやかそうとした方が面白いかな、と思ったんですけど、ちょっとそれが失敗しました。
でも、お話の部分を褒めていただいて、本当にうれしいです。ありがとうございます。

時計屋さん
憎しみを引きずらない幻想郷の彼女達は本当に凄いと感じます。お酒を飲めば今までのことも全部水に流す。それができるからあの世界は奇妙な平和があるんですよね。
この国はどうなんでしょうね、誰が悪かったのか、何が悪かったのか、そこのところを考えながら読んでほしいなぁと考えてました。
ですから、俺の口からは何も言えません。答えは皆さんの胸の内。
そして身に余る言葉ありがとうございます。次はもっと大きな話を書きたいと思います。

如月日向さん
語り口調は中々苦労しましたけど、その言葉で苦労も吹き飛びます。
死体旅行は明るい曲なんですけど、良く聞くと一つ一つのフレーズが悲しく聞こえるんですよね。
それがお燐の現在と過去を表わしてるのかな?と思ってこの話を書きました。

木村圭さん
長編書いてみたいんですが、どうにも自信がない……
でも、頑張りたいと思います!
ですが、そう言ってもらえるということは、長編にしても問題なような土台が出来ているということなんですよね?なんだか嬉しいです。

鼠さん
イメージとしてはエジプトの神話時代のお話ですね。
ちなみに、猫の神様は「セクメト神」から持ってきました。
三文字
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2009/11/19 03:09:57
更新日時:
2010/01/26 00:28:02
評価:
21/21
POINT:
112
Rate:
1.25
1. 4 バーボン ■2009/11/22 10:23:44
お燐の過去話と最後の一節の絡め方は好きでしたが、いささか東方要素が薄い様な気がしてしまいました。
雨を呼ぶ能力が何処から出てきたのかもわかりませんでしたし(自分の読解力不足だったらすいません)、独自設定を納得させるだけの話の作りには至らなかった……と思います。
2. 8 冬。 ■2009/11/22 19:17:26
こういう話は好きなので、面白く読めました。
3. 5 shinsokku ■2009/11/23 16:30:55
綺麗にまとまりそうでいて、ちょっと物足りない感じです。
もう少し、現在のお燐のありようと過去の出来事との間に、何か繋がりを感じさせるものが欲しかったように思いました。
申し訳ない。
4. 4 神鋼 ■2009/11/28 01:55:07
話自体はかなり好きです。でも同じ調子で文章が進み続けるので短さの割りに疲れました。
5. 5 藤木寸流 ■2010/01/04 00:53:18
 キャラの過去話って、ほとんど設定がないためにほぼ完全創作になってしまうので東方分はわりかし薄めなのですが、その中でもお燐のキャラデザインにある程度踏みこんで過去話を展開していたのはよかったです。
6. 2 白錨 ■2010/01/10 00:25:38
死体旅行のサビとピアノの部分からは少し悲しい感じがするかも……。お燐の「じゃじゃーん」のせいで、その時は考えもしなかったですが(笑)

猫の一人称が読みやすかったり、読みにくかったりしました。そこが安定すると。良くなると思います。
7. 3 パレット ■2010/01/10 04:42:09
 橙でなくお燐で落とすのが、なんだかぴたりとはまった感じ。
 火車って妖怪はいろいろとおぞましいところがありますよね……。
8. 7 椒良徳 ■2010/01/11 17:05:05
お燐の首の輪っかとコンペのお題からここまで話を膨らませる貴方のアイデアに脱帽しました。
見事な短編ですね。かなりの実力をお持ちとお見受けします。
これからも、素晴らしい作品を生み出して下さい。
9. 6 ホイセケヌ ■2010/01/13 13:56:07
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10. 6 零四季 ■2010/01/13 21:28:26
この話には元がある……訳じゃないんだろうなぁ。
だからこういう発想自体に驚いた上、話としては面白かったと思います。
ただ、話の中身にお燐らしさ(?)があったほうが納得しやすいあるいは受け入れやすかったかなと思いました。無い方が良いという考え方も分かるのだけれど。
11. 5 詩所 ■2010/01/13 21:43:59
 エジプトの猫戦争を思い出しました。
 人間の勝手な信仰で神にされたほうも大変なものです。
12. 7 静かな部屋 ■2010/01/13 22:05:04
残念なことに少女さとり〜3rd eye〜から先の曲は聞き慣れておりません。
それはどうでも良い。

あれですね、猫には複数の命があると良いますからね。ある猫は百万回生きたと言いますし。
話者は橙かな?
重くて軽くて不思議に狂った悲しい哀しいお話でした。

ただ、ちょっとネタが使い古された感はありますね、むしろそこが良かったとも思いますが。
>お燐の赤い首輪が、血のように赤黒く見える。
>まるで、首を切られたかのように……
これはなくても良いのではないか?
13. 6 葉月ヴァンホーテン ■2010/01/13 23:08:37
これは……なんというか、上手く言葉にはできないけど、真に迫るものがありました。
14. 7 deso ■2010/01/14 01:43:40
東方関係ないけど、昔話が面白かったです。
猫好きですし。
15. 6 やぶH ■2010/01/14 23:05:20
悲しさ……もそうですけど、むしろ虚しさの混じったおどろおどろしい空気が味わえました(汗)。
確かに、怨霊を管理する火車となれば、こんな壮絶な過去話があってもおかしくはないですね。語り手が橙というのも意外で面白かったです。
16. 8 2号 ■2010/01/15 07:35:23
引き込まれました。
無駄がなく、面白く、後味は決してよくないですが余韻の残るお話でした。
17. 5 八重結界 ■2010/01/15 12:58:43
 東方の世界に猫は二匹しかいないので、結末がある程度読めてしまうのは仕方がないことでしょう。
 ただ過程の話がお伽噺のように残酷で、こういうのが好きな人にとっては面白く読めたのではないでしょうか。ちなみに私はこういう話が大好きです。
18. 7 時計屋 ■2010/01/15 21:28:33
 憎しみからは何も生まれないんだ、などと言葉では容易くても、人間は植物ではありませんからなんとも難しいですね。
 そういう消せない憎しみが生じるのも、老いみたいなものなのかもしれません。遺恨は皺のように残ります。
 この国は寿命だったのでしょうか? それとも治る風邪の処方を誤ってこじらせただけなのでしょうか? 色々と考えさせられます。

 さて。
 神話をベースとしたストーリーは非常によく作られていて、一つの説話としても良作であったと思います。
 文章は丁寧で読みやすく、猫の視点であることも変わった味を添えていて、面白かったです。
 お燐の設定と神話をうまく絡めた、見事な短編でした。
 ただ、これは好みの問題だと思いますが、個人的にはお燐がその猫であることは仄めかす程度のほうが読後感が良かった気がします。
19. 6 如月日向 ■2010/01/15 22:36:17
 物語風の過去話、面白い設定だと思います。過去話だと回想を使うことが多いですが、今作品はずっと語り口調だったのが良いですね。

〜この作品の好きなところ〜
 最後に死体旅行のメロディが聞こえましたっ。
20. 3 木村圭 ■2010/01/15 22:53:08
この設定で長編を読んでみたかった。
語るだけ語ってはいおしまい、としてしまうにはちと勿体無いネタだと思いますです。
21. 2 ■2010/01/15 23:24:32
お燐の昔話?
火車の出自がどうこうとか抜きにして、どこかの国の故事としてありそうな感じ。
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