想起「嫌われ者のフィロソフィ」

作品集: 最新 投稿日時: 2009/11/21 10:02:34 更新日時: 2009/11/21 10:02:34 評価: 27/28 POINT: 192 Rate: 1.55



「古明地こいし。貴方に極刑を下します」


 その一言で、これまでの私のすべてが報われた気がした。この為に今日まで生きてきたし、この為に今日まで殺してきたのだから。


「何か言い残すことはありますか、古明地こいし」
「いいえ。四季様の仰ることに異論ありません」
「それでは、処罰に移りますが」
「えぇ、お願いします」


 ほら、お姉ちゃん。
 これでずっと、一緒にいられるね。









          想起「嫌われ者のフィロソフィ」









一、



 近頃の私の運の無さと言ったらなかった。
 何もないところで躓いて床に鼻をしたたかに打ってしまったり、是非曲直庁に提出する筈だった大事な書類を失くしてしまったり、お気に入りのブランケットをペットに取られてしまったり、妹が一ヶ月も帰ってこないまま不在記録を絶賛更新中だったり、可愛がっていたペットが独り立ちすると言い残して地底を離れてしまったりと、ひとつひとつは小さな事象でも、積もり積もって心は重くなり、ため息として発散する他に手立てがない。
 そして今日もまた、私はついてなかった。
「う、わぁ」
 埃っぽく狭い部屋に、間抜けな私の声が小さく響いた。場所は妹の部屋。もう一ヶ月は帰っていない妹がいつ帰ってきても良いように、掃除をして、ぴかぴかにしてあげよう。そう思い立ったのが昨日の夜。現在、早朝。はたきと雑巾を手に掃除中、本棚に肩が当たってしまった折、無造作に置かれていた小瓶がその衝撃で落ちて割れてしまったのだった。
「どう、しよう」
 掌には砕けた小瓶。そして砕けたことで中から漏れ出してしまった赤黒い液体が掌を濡らす。一部固形物になってしまっている部分だけが手に残り、さらさらとした液体は掌から絨毯へ落ち、小さなシミを幾つか作った。私は、これが何か知っている。遠い昔に妹に渡した物だ。そうしてとっくの昔に捨てたろう、と、記憶の底にあった物だった。
「というか、どうしてこれをまだ持っているのよ、あの子は」
 誰も返事をしないのに独り言を続けた。独り言も会話も、私にとってはさして違いを感じさせない。どこまでいっても私は覚り妖怪で、相手が何かを脳裏に浮かべた瞬間にはもうこちらに伝達され終わっている。そうして相手が口に出す前に全部こちらが喋ってしまって、後は何かしらコメントを返す。会話なんて、コミュニケーションなんて、いつだって一方通行でしかない。


 ――どうしておまえはそうやってなんでもかんでも口にするのだろうね。そういうところが、いけすかないと言っているのさ。


 酒の抜け切らない赤ら顔が、記憶の中でぶつくさとぼやく。私はそのときどんな言葉を返したろう。「貴方は本当に私のことが嫌いなんですね」と冗談を言って、「そうとも。あんまり好きじゃないね!」と心の通りの返事をされたのだろうと思い出す。少しくらい嘘をついてくれてもいいのに、なんて思いながら、私は苦笑いを浮かべたに違いない。


 ――結局ね。こちらが黙っていても、相手は良い顔をしないのですよ。「こちらの心を読んでいるだろうに、何を考えているんだろう。気持ち悪い」、そう思われて仕舞いな訳です。言っても言わなくても嫌われる。だったら全部言ってしまって、さっさと会話を終わらせる方が双方とも良かろう、と私は考えます。


 鮮明な記憶をずるずると引きずり出した。自分の心さえ読めてしまうから、思い出そうとすればする程、芋づる式に記憶が想起されてしまう。そう、あれはどこかの酒の場だった。どういう訳か私もそこにいて、見知った鬼に絡まれてしまった。ただそれだけの、古い記憶だ。


 ――そうかい、そうかい。そりゃ大変だね。だからおまえは、妹がその眼を閉じても何も言わない訳だね?
 ――「単に何も思ってないから言わないのかもしれないけど」、ですか。……ふん。私はそこまで冷淡な性格ではありません。家族にはね。それ以外は貴方の思う通り、冷淡かもしれませんね。どうだっていいのですもの。私には。地霊殿さえ、ペットさえ、妹さえ幸せならばそれで構わない。
 ――私の経験から言わせてもらえば、おまえみたいなタイプが一番怖い。利他主義がぐるっと回って利己主義になってるタイプ。だっておまえ、その『家族』の為ならなんだってやっちまいそうだもの。
 ――なんでもやってきましたよ。
 ――わぉ。そりゃ頼もしいね! こんなおっかない姉がいて、妹はさぞかし不幸せものだろう?
 ――「絶対姉にしたくないタイプだな」……ふん。私だって、貴方みたいな妹、絶対欲しくありませんよ。


「痛、」
 古い記憶に流されて、ついぼんやりしてしまっていた。砕けた小瓶の欠片が指を切った。けれどその傷口から滴るものなどありはしない。痛みはある。けれど血は流れない。私の掌からは、小瓶に密閉されていたかつての私の血液がどろりと滑る。
 下らない、と先程までの記憶を振り払って、割れた小瓶の片付けに取り掛かった。ごみ箱に破片を捨て、濡らした雑巾で強く擦ってシミを落とす。血液は落ちにくいから、ごしごしと何度も強く。
 そうする間も、私は記憶を持て余していた。妹は不幸せだ、そう笑っていた鬼の顔も声もはっきりと思い出すことが出来る。あのときの彼女は冗談で言っていただけで、本心ではない。酒の席での、些細な冗談。けれど冗談だからといって、それが真実でないと決め付けて良いのだろうか。もっと進めて言えば、妹は、あの鬼の言う通り真実のところ、不幸せなのではないか?
「そんなの、私の知ったことではない」
 吐き捨てるように呟いた言葉が、絨毯に染み込んでいく。
 妹が幸せかどうかなんて。そんなことを考える余裕もなく、私は妹の為に生きてきた。矛盾するような言い方だけど、そうとしか言い様がない。


 けど、もしも、妹が本当に幸せなのだとしたら。
 だとしたら、第三の眼を閉じることなんて、なかったんじゃないのか。


 ぐるぐると思考は巡る。ぐるぐると世界は揺らぐ。絨毯を何度も強く拭き続けた。染み込んだ血液が綺麗さっぱり落ちてしまえばいい、と、それだけを考えるようにしていた。






二、



「ねぇ、燐。こいしがどこに行ったのか知りません?」
 妹の部屋の掃除を終えた午後。リビングでいつものようにソファに寝転がって何もしないでいると、大抵ペットらが私のおなかの上に乗ってくる。それが今日は燐だった。なぁあ、と一声あぐびをしてから昼寝を始めようとする燐に、寝てしまう前にと声をかけた。
「なぁぁあぁ」
 こいし様ですか、と、そう言っている。
「なぁあ、なぁ」
 見てませんよ。
 そもそもこいし様がどこにいるのかなんてあたいが把握している筈ないじゃないですか、との心の声も付いて来た。確かにそうなのだが、とりあえず聞いてみただけだ。
「他の子らに探してもらっているのですけどね。あの風来坊はまったくどこへ行ったのかしら。そも、一ヶ月も帰ってこないなんてこと、今までなかったのよ」
 燐は私の瞳をじっと見つめた後、軽やかに私から降りて人型へと擬態した。会話をスムーズにさせるつもりなのだろうし、私と会話したい心の現れでもある。
「せめてこいし様がよく行くところが判ればまだ探す目処もつくのに」
「そうねぇ。ふむ、お姉ちゃんは少し心配です」
「こいし様に限って何かに巻き込まれるなんてことはないと思いますけど」
「何かを巻き込む可能性はあるでしょうに」
「あぁ、確かに」


 会話の途中、あの割ってしまった小瓶のことを思い出した。一言伝えておくべきだろう。長く帰ってこないことも気がかりだ。
「燐。私は少し出掛けます」
「どちらへ」
「妹探しの旅に出ます」
「早いお帰りを待ってますね」
 燐はそれだけ言い残して元の猫の姿へと戻った。またあくびのような声をあげながら、ソファに飛び移って体を丸く寄せた。私のソファで昼寝と洒落込む気なのだろう。
 あぁそうだ。外は寒いですよ、地底よりも。そんな燐の声が聞こえた。
「ありがとう」
 コートを探しに行こう。あと手袋とマフラー、耳あても必要かしら。


 ――さとり様、寒がりにも程がありますよ。血行悪いからじゃないですか? 運動不足ですよ。
 燐の心の声は聞こえないふりをした。



                    *        *        *



 燐の言った通り、というか燐が言う以上に、地上の寒さは身に染みた。コートを着て来なかったら断念して地霊殿に帰ったろう。雪こそ降っていないものの、季節はすっかり冬。気温の変化が地上より乏しい地底の、しかも地霊殿に篭りきりの私は冬の寒さに困り果てることになる。しかし暦の上ではまだ初冬ではなかったか。地上はこれよりもっと寒くなるのかと思うと変に背筋が寒くなった。
 そこではたと思い至るが、妹が地霊殿を最後に訪れたのは一ヶ月も前のこと。まだ秋が終わろうとしていた頃で、いくら地上でもこんな寒さではなかった筈だ。だから妹は軽装で出かけた。手袋もマフラーも地霊殿のあの部屋に置きっぱなしだったではないか。手袋もマフラーも装備している私でもこんなに寒いのに、妹はさぞかし辛い思いをしているに違いない。こんなこともあろうかと、妹の手袋とマフラーを持ってきて正解だった。


 宛もなく地を踏みしめて歩く。妹が好みそうな場所を考えてみたが、あの子の好みはよく判らない。妹の嗜好さえ把握していないのか、と気分が落ちてしまった。
 私と妹は何程も似ていない。髪の色や背丈は言うに及ばず、好みも考え方も信じているものも。それでも私は今日まで姉妹として上手くやってきたつもりだった。妹に慕われている自信はあるし、誰より妹を愛している自信もある。過保護なくらい、私は妹に色々と尽力してきた。
 その尽力が、結果的には妹の第三の眼を閉じさせることになってしまったのだが。


 妹について考えれば考える程気分が滅入ってきた。
 日は高く、風は冷たい。あてどなく道を行く行く、あっちへこっち。気が付けば森の中。なんてこったい。これが無意識ということなのかもしれない。一歩妹に近付けたと勘違いしておこう、その方が幸せなので。あるいは無意識に任せて歩いてみるのも良いかもしれないと思った。妹の放浪癖の理由に近付けるかもしれないし、上手くいけば妹を見つけられるかもしれない。
 そうして私は特に何も考えないまま道を行った。


「馬鹿なことをしてしまった」


 それに気付くのはたっぷり一時間程練り歩いた後のこと。とうに森は抜け、しかし今ここがどこか判らない。現在地は竹林。空は暗雲が立ち込めていた。立派な迷子、古明地さとり云千歳。
 どこをどう行っても見えるのは竹、竹、竹。このまま歩いていたら日が暮れるに違いない。
「いや、飛ぼうよ!」
 誰に言っているのか判らないが名案だった。歩いているから訳が判らなくなってくる。飛べばいいじゃないか。そうすればきっとこの竹林からも抜けられるだろう。
 ふわり宙に浮き空を舞う。そびえる竹を追い越して、竹林を一望できる高さまで上がっていく。さてどこへ行ったものかなと思案している、その最中。ぽつりぽつり、雨の感触。嘘でしょ、と呟いても意味はなく、初めは小雨だったのに勢いは見る間に増して、このまま飛んでいてはコートごとぐっしょり濡れて余計に肌寒いことになってしまうことは明らかだった。辺りを見渡し、雨宿りできそうなところを見つけ、そこを目掛けて急降下する。こんな高度から一気に降りるのは長らく久しいことだったので、軽く吐き気と眩暈がした。
 見ればそこは廃屋で、誰かが住んでいた形跡はもはや残っていない。老朽化の進み切った柱が今にも崩れ落ちそうでどうしようかとも思ったが、ここを逃すと人里まで出て行く必要があった。ここから少し遠いし、何よりあまり行きたくない。雑踏はうるさくて敵わない。
 しょうがない、暫時のことだと諦めてその屋根を借りた。


「絶対、こいしは傘を持っていない。風邪ひいたらどうするのよまったく」
「雨宿りしてるから大丈夫だよ」
「あぁそれなら問題ないわね……、ってなんでここにいるんですかこいし」
 ナチュラルに独り言に入ってくるので、一瞬この廃屋の妖精さんかと思ってしまった。
 今までまったく感知できなかったということは、つい先程までは無意識下であったということなのだろう。怪我の功名とはこのことで、多少濡れてしまって肌寒いが、妹が見つかったので結果は良しとしよう。
「なんでって、そりゃお姉ちゃんと同じ理由だよ。雨宿り。むしろお姉ちゃんがここにいることにびっくり」
「貴方を探しに来たんです」
 返事をしながら、コートの下に隠し入れていた(だって濡れたら意味がない。多少おなか周りがもっこりしてもしょうがない)手袋とマフラーをこいしに付けてあげた。
「人肌の温度だね」
「愛の篭った温度でしょう?」
「はは、ありがと」
 廃屋の中に土足のままで踏み入れる。座ったら抜け落ちそうなくらい足元がおぼつかないが、立ったままでいるのも疲れるのでおそるおそる腰を下ろした。妹はなんの躊躇もなく座り込んだ。こういうところでの雨宿りには慣れているのかもしれない。私たちは人ひとり分の間を空けて座り、しばらく静寂の中でじっと外を見つめていた。


 ざぁ、ざざぁ、雨は降る。
「やみそうにないなぁ」
「地上の雨は強烈ですね」
「ん、そっか。地底の雨はもっと小降りだもんね」
「強い風は滅多に吹きませんから。灼熱地獄以外は」
「どういう理屈で空もないのに降るんだろう」
「雨を降らせる妖怪でもいるんじゃないですか?」
「適当に言ったね」
「適当に言いました」


 ふわり、冷たい風が雨と共に内へと舞い込んだ。雨はこちらまでは届かないものの、風は今までになく冷たく、凍える心地がした。
 そこで、ふと。奇妙なにおいを嗅ぎ取った。そうして小瓶のことを思い出した。そうだ、私は小瓶のことも伝えようとしてここまで来たのだった。今のにおいでそれを思い出す。なぜならそのにおいは、血液のにおいだったから。そしてそれが妹から発せられていることも判っていた。妹は何ひとつ外傷を負っていないことも。
 私は何もかもを誤魔化すように、取り繕って声を発した。
「あのね、こいし。今日貴方の部屋を掃除しているときに、小瓶を割ってしまったの。ごめんなさい」
「小瓶って、お姉ちゃんの血が入ってるやつ?」
「そう」
「えー。大事にしてあったのに」
「ならもっと奥に隠しておいて頂戴。大体ね、あんなのまだ置いてあるなんて思わないでしょう」
「だってお姉ちゃんが言ったんだよ、私が死んだらこれを形見にしてほしいって」
「あのときはそれ以外渡せるものが何もなかったから」
「じゃあ今は?」
「もう死にませんよ、私は」
「あぁ――、そっか。そうだったね」
 そのときの妹の表情は、あまりにも、あんまりにも静かだった。いかなる表情もそこにはなかった。大きな瞳をじっとこちらへ向けるだけで、その瞳は何も訴えかけてこない。そうしてその声は風の冷たさよりもずっと恐ろしかった。


「お姉ちゃんは、とっくに、死んでしまったものね」


 そう言って、妹は右手袋を取って私の頬に触れた。妹の手は私の頬よりもずっとあたたかかった。当たり前だ。私が低温すぎるだけのことでしかない。
「死体、みたい」
「死体ですから」
「そうだね」
「雨がやんだら帰りましょう、こいし」
「判った」
 この一ヶ月間何をしていたのだと、そんなことはもう聞けなかった。聞く気が起きなかった。
 私に触れた妹の右手の鮮烈な血のにおいは、遠い生の香りがした。






三、



「私、雨って好きじゃないんだ」
 妹は突然、そんな風に嘯いた。私たちは手を繋いでいた。雨が上がった夕暮れに、私たちは手を繋いで帰宅していた。
 妹が手を繋ぎたいと言ったのだった。私は少し嫌な心持ちがした。私の手はひどく冷たいのだ、死体のように。私の冷たさが彼女のあたたかさを奪うようで、それが堪らない。だから、私の手は冷たいからとやんわり断った。「お姉ちゃんの手はいつも冷たいよ」、妹はそう言って強引に私の手を取った。控えめに握るのが精一杯だった。


「どうして」
「お姉ちゃんに何かあったときって、いつも雨なんだもの。いつも雨だったよ。だから嫌なの。雨が降ると思い出すし、またお姉ちゃんに何かあったのかと思ってしまうから」
 妹はきっと、とても辛い記憶を思い出して、そんなことを言っているに違いなかった。私たちの鬱屈として暗鬱とした過去を掘り出しながら、そんなことを言っているのだろう。けれど妹の表情は何も映さない。中身のない笑顔ばかり貼り付けて、色のない瞳が私を見ている。
「そうだったかもしれない」
 曖昧な返事しか出来ない。
 私は、何か妹に伝えなければいけない言葉がありそうな気がしていた。言わなければいけない言葉がある筈なのだ、確かに。けれど何ひとつ声にならない。言おうと口を開いても、重い空気が肺から零れ出るだけで、こんなときに限って私は自分が生きていることを実感する。死んでしまえば口は動かない。生きているから口は動くし、声にならない思いを胸に押し込める感触がする。
 妹の瞳を見ていられなくなって、私は地面に視線を落とした。ぬかるみとなった地面にぽつぽつと浮かぶ水溜りを数えていた。


「お姉ちゃんが死んだ日もね、雨が降ってたんだ。死体にばらばら雨が落ちて、血はどろどろ零れていく。私はなんにも出来なくて、おろおろしながらお姉ちゃんを呼んでた。雨が冷たくてね、ただでさえ死後冷たくなっていく体が余計に、急速に冷たくなって。私、馬鹿みたいに泣いたんだ。雨か涙かよく判らなかったけどね。でもやっぱり、私の涙はお姉ちゃんの死体に落ちたんだよ。だから何か奇跡が起きて、今こうして私はお姉ちゃんの生きた手を触ることが出来る」
 私はもう、返事が出来なかった。繋いだ手から妹のあたたかさはどんどん私の手へ移ってしまって、そのまま宙へ溶け込んでしまう。私はこんな風に生きてきたのだ。妹を苦しめて、縛り付けて、私の人生に放り込んでしまった。生と死の境界が判らなくなる程に、私に汚染されてしまっている。


 私は、妹に何を伝えるべきなのだろう。


 ――貴方は少し、殺しすぎた。
 遠い耳元で、彼方から懐かしい声がした。四季様が、困った顔をして私を見ている。あの方は優しいから、いつも私は迷惑ばかりかけてしまう。
 ――あまりにも身勝手に、残酷に殺してきた。貴方に地獄以外の相応しい場所などない。
 あの方はとても困ったように、けれど凛とした声で言うのだ。浄玻璃の鏡を見つめながら、何度か悲しげに眼を伏せて。


 ――地獄へ逝きなさい、古明地さとり。灼熱地獄で、貴方は貴方の生と死を見つめ、罪を償うのです。そう、永遠に。


 深ければ深い程、地底は地獄の姿を取り戻す……。






四、



 覚り妖怪と言えば心を読む妖怪であり、個体値は概して高くないが、あまねく知名度を有する妖怪のひとつだ。歴史上、覚り妖怪が何か大きな異変を起こしたことはなく、脈々とその読心術を受け継ぎながら細々と生きるのみだった。覚り妖怪の歴史とは逃避の歴史であり、何か大きな事件が起きる度に、こそこそと日の当たらぬところへ逃げてはその事件が忘れ去られていくのを待つ。そうでもしなければ生きていけなかった。覚り妖怪は心を読むというただその一点において忌避される存在であり、どの時代どの世界どの地域でも、大なり小なり差はあれど差別され生きてきた種族である。

 私たち姉妹の生きた世界が特別ひどかっただけなのかもしれない。それを確かめる術はない。けれど、覚り妖怪であるというだけで受けてきた私たちの痛みは、確実に私たちの全生涯を照らし出した。紆余曲折とした私たちの足跡には、確かに今も傷痕が残されていることだけは事実なのだから。



                    *        *        *



 両親のことはよく覚えていない。事故で死んだかもしれないし、病気で死んだかもしれないし、あるいは殺されたのかもしれないし、はたまた私たちを捨ててどこかへ逃げただけかもしれない。とにかく両親に関する一切の情報がない。私は物心ついたときから妹と世界にふたりきりだった。私が物心のつくまで私たち姉妹が生きていたことがまず奇跡だったろう。その世界は覚り妖怪にひどく冷たかった。
 その世界では覚り妖怪が極端に少なかった。マイノリティは嫌われやすい。いつの間にか覚り妖怪は差別や迫害の対象だった。その場にいるだけで罵られ蔑まれ殺されかけた。ありもしない噂が流通し、覚り妖怪に対する世間の認識は著しく事実と異なっていた。私たちが死んだところで、彼らは何も感じないらしかった。
 世界がおかしいのか、私たちがおかしいのか判断がつかなかった。どんな言葉もどんな訴えも通じなかった。
 私たち姉妹は、出来るだけ世間の眼から離れて生活することを心がけた。心と口とで罵倒されることは辛かったし、そうでもしないと簡単に殺されてしまう。逃げることでしか生きられなかった。幼く純朴な妹の瞳が穢れてしまわないかだけが心配だった。私はすべての現実を隠そうとした。世界には私と妹しかいないかのように振舞った。
 私は若かったし、思慮も足りなかった。自分と妹が今日生き延びることしか考えられなかった。心を読む覚り妖怪同士、嘘をつき続けられる筈がない。私はそんな根本的なことにも気付けなかった。妹の為に平気で嘘をつき続けた。


 だから、妹の心が日々の中で小さく摩擦しすり減っていることにも、気付けなかった。


 私が、誰かを殺すことに抵抗を感じなくなったのはいつからなのか、もう判然としない。初めは生きる為だった。死なない為に正当防衛として殺してみせた。ひとり殺したら、後はもう惰性のように殺していかなければいかなかった。動物も人間も妖怪も、分け隔てなく殺した。あるときは「生きる為」という大義名分の下、あるときは「妹の為」という大義名分の下。生きる為に、罪もない動物や人間を殺して食った。妹の為に、彼女を悲しませる妖怪を殺して捨てた。殺す術ばかりが体に染み付いて、妖怪と出会うときでさえ、万が一のときには殺せるか殺せないかの分類で見るようになった。
 私は決して体が強い訳でもないし、覚り妖怪の個体値などたかが知れている。けれどある一定以上の著名な妖怪でない限りは私でだって殺すことが出来た。要は意志さえあればいい。私はその頃ほとんど脅迫概念にも近いような周囲への殺意を抱いて生きていたから、意志だけは申し分なかった。
 あるとき妹が眼を腫らして家に帰ってきた。何があったか聞けば、覚り妖怪だからという理由で理不尽な扱いを受けたと言う。私は妹の頭を撫でながら、その場所を聞いた。夜にはそこへ行って、その場にいた全員を殺してみせた。そんな風に生きていく他に、私を繋ぎ留める術を知らなかった。殺さなければ殺されると信じていた。


「お姉ちゃん、あのね」
 いつのことだっただろう。妹はいつになく真剣な顔で話しかけてきた。私は手を洗っている最中だった。爪にこびり付いた血液を熱心に落としていた。
「お引越し、しない?」
 一瞬何を言っているのか理解できず、じっと妹を見つめた。そうして心を読んだ。幻想郷、という聞き慣れない単語がちらついている。
「幻想郷って、どこにあるの。それは何」
 昔の私は不躾な話し方をして、いつもこんなぶっきらぼうに言葉を発することしかしなかった。
「どこにあるのかは、判らないけど。でも、絶対辿りつけるの! 私が連れて行ってあげる。私たちみたいなのもきっと受け入れてくれる場所だから」
 妹が至極真面目に話をしているのは判っていたが、あまりに突拍子な話に私は閉口した。適当な言葉でやんわりと断った。受け入れてくれるなんて保障はないでしょうに、と。
 妹はその後も幾度となく私に幻想郷の話を持ちかけた。そうして執拗にそこへの移住を勧めるのだった。


 私はもう、何が正しくて何が間違っているのか、どちらが正常でどちらが異常なのか、そんな根本的な判断さえつかなくなっていた。唯一判っていたのは、私が間違っていて異常なのだということくらいなものだった。だからといって妹が正しくて正常だったのか、私には判らないけれど。
 私の世界は妹を中心にして巡っていた。妹という軸がなければ、私はたちまちばらばらになって壊れてしまう。妹だけが、私とそれ以外を結びつける扉であり鍵だった。


 結局、私は妹の言う通りにした。幻想郷という場所に夢や希望を持った訳ではない。ただ妹が強く望むから、その通りにしてやりたいと思っただけだった。
 妹は幻想郷にある程度の期待を持って移り住んだらしかった。けれど結果はどうだったろう? 忌み嫌われてお終い。前の世界よりはずっと緩くてずっと生き易いと安堵したのは私だけで、妹にとってはそれが小さくないショックらしかった。私はまた妹を悲しませる某かを殺していった。そして妹は、そんな私に落胆したのだった。妹は私をどうにかして誰も殺さずに生きていけるよう手配したかった。だから幻想郷等というものを見つけてきて、あんなにも執拗に移住を勧めたのだ。何もかも妹の思い通りにならないまま、場所が変わっただけのなんの変化もない生活はしばらく続いた。


 けれどそれは突然に、なんの前置きも前ふりもなく、最期の審判はやって来た。






五、



 じりりりりん、じりりりん。


「善行やってますか、さとり」
「良いのですか四季様、内線を私用で使って」
「私用ではない。部下の素行を正すのも私の仕事です」
「善行してますよ。むやみに殺してませんもの」
「あのね。さも大業そうに言うけど、それが普通なのよ。貴方のような神経がおかしい」
「理解していますとも」
「いつも通りなのね?」
「いつも通りです。ペットの世話をして、ご飯を作って、帰ってこない妹の部屋の掃除をして、リビングでお昼寝して。今はお昼寝の最中で、四季様に起こされました」
「私は『貴方』に怨霊と灼熱地獄の管理を任せたのですが」
「まぁまぁ、堅い事は仰らずに」
「さとり、自分の罪を理解していますか。何故地獄に落とされたのか、理解していますか」
「怖い怖い。そんな声を低めずとも、理解しております。今の私があるのも四季様のおかげでございます」
「私に恩を感じろと言っているのではない。罪を正しく把握しているのかと聞いている」
「勿論ですとも。灼熱地獄跡で怨霊の管理を行い、永遠に死を見つめ直すこと。かつ、無益な殺生及び残虐な行為を行わないこと。きっちり暗唱出来ます。そういえばこの前指を切りましてね。無論血も涙もない死体に流れるもの等ありませんから、あぁ私はやっぱり死んでいるのだなぁと感じましたよ」
「そう。貴方は死にながらにして生きている」
「たくさんの善意に生かされているのでしょうね。妹の手は相変わらずあたたかくて私の手は冷たくて、言いたいことも言わなければいけないことも何ひとつ伝わらないまま、今日もここに生きています」
「きちんと善行を積んで罪を償えば、輪廻に戻してあげましょう」
「しばらくは結構ですよ。妹が天寿を全うするくらいまではね。あとペットがみんな独り立ちできるようになるまで。私がようやく独りになったら、そのときはお願いしますよ」
「何千年先のことだか」
「四季様も先は永い身ではありませんか。私は四季様の采配次第で、明日になったり永遠に引き伸ばされたりする命ですが」


「まぁ、貴方のことはこれくらいで良いわ。貴方の妹について話があります」
「あら、私の可愛い妹がどうかなさいましたか」
「白々しい。彼女の罪が大きくなりすぎているので直々に忠告せねばと思っているのですが、どんなに探しても見つからない。古明地こいしの居場所を知りませんか」
「罪が大きい?」
「居場所を聞いているのです」
「知りません。この間一ヶ月ぶりに帰ってきたと思ったら、今度は二ヶ月です。私だって大変困っているくらいです。四季様、あの子はそんなにも罪を負ってしまっているのですか」
「このペースで行けば貴方と同じ処分になるくらいは」
「そんな、どうして……。……、四季様、私は少し用事を思い出しました。四季様もどうぞ業務に戻られてはいかがです」
「……まぁ、いいわ。くれぐれも、善き行いを」
「心得ておりますとも」






六、



 妹のことがよく判らなくなったのはいつからだろう。妹が第三の眼を閉じた理由も、私ははっきりとは知らない。彼女が私に伝えてくれた言葉は、後にも先にも、「嫌になっちゃったんだ。読むのがさ。鬱陶しいでしょ」だけだったから。
 思えば私は、妹にどれ程のことをしてやれただろうか。私は妹を免罪符にして、好き勝手生きてきたのではなかったか。その報いが今押し寄せているだけで。
 私はたくさんの命を刈り取った。免罪符を手に殺したいだけ殺してきた。だから私は自分の現状になんの不満もない。すべては因果応報で、むしろ私の過去を鑑みれば現在は分不相応に恵まれていると言っても過言ではない。


 私は二ヶ月ぶりに地上へ赴いた。
 あの廃屋を探そうとした。二ヶ月前にこいしと話したあの雨の昼、私たちは確かにあの廃屋で話をした。あそこにどうしても行かねばならないと思った。さもないと私はばらばらになってしまうとも思った。妹が、どこか私の与り知らぬ場所へ去ってしまう気がした。妹がいなければ、私のような死体はどうやってこの世に生きればいい? 扉も鍵もない部屋の中で、どうやって外へ飛び出したらいい?
 妹がいなければ私は何も出来ない。膨大な罪を背負って永遠に生きる死体でしかない。
 なんとしても妹を見つけなければならない。四季様の電話で、それを急激に感じ取った。けれど焦って右往左往する視界に廃屋はどこにも見当たらない。


 ――このペースで行けば貴方と同じ処分になるくらいは。
「何を考えているのよ、こいし……」


 雨が降りはしないだろうか。そうすればあの廃屋を見つけられる気がした。



                    *        *        *



「お姉ちゃんは、死んだの?」
「そうよ、こいし」


 遠い記憶が、耳鳴りのように反響している。


「私の所為で、死んだのね?」
「信じてこいし、死ぬつもりはなかったのよ」


 そうだ、死ぬつもりはなかった。ただその日は、妹が乱暴されたと泣いて帰ってきたから、怒りに我を見失っただけだ。その怒りのまま、いつものように殺してやろうとしただけだ。
 そうして私は殺された。妹の眼の前で、ものの見事に惨殺された。私が最期に見たものは、妹の最後の泣き顔だった。


「死んだのに、どうしてお姉ちゃんはここにいるの」
「閻魔様に与えられた罰だからですよ、こいし。不完全な肉体に不完全な魂を戻されて、私は永遠に生きる死体になったのです」
「ここにいるのに、死んでいるの?」
「そう。もうこいしと同じ時間を歩めない」


 妹はもう涙を流さなかった。そんなものは枯れ果ててしまったから、彼女は代わりに言葉をさめざめと流すのだった。
 私はそのときようやく自分の罪を知った気がした。涙が枯れる程に妹を悲しませ続けていたのだと、私は死ぬまで気付けなかったのだから。


「私の為に生きてくれたのに、私の所為で死ぬことも生きることも出来ないんだね」
 私は返事をしなかった。
 何か言うべきだったのに、何か伝えるべきだったのに、私は何も見つけられなかった。その震える手を握ってやれたら良かった。けれど私の掌はどうしようもなく冷たくて、彼女の掌をあたためることは叶わない。もう永遠に、私は妹の手にあたたかみを分けてやること等出来ないのだ。
 私はようやく自分の罪の重みを知った。一番幸せにしてやらねばならなかった者を、私は一番不幸せに陥れた。こんな簡単なことにも、死ぬまで気付けなかった。


「ねぇ、こいし、」
「判ってるよ。これは私とお姉ちゃんと、それから四季様とだけの秘密。誰にも何も、言わないよ。ずっと私の心の奥に仕舞っておくから」


 違う。そんなことを言いたいんじゃない。今からやり直そう、って、言わなければいけない。私は出来ることをなんでもする。だから私に何が必要で何が足りなくて何が有り余っているのか教えて欲しい。私はこれから自分の罪を償うから、隣で見守って欲しい。出来れば微笑んでいて欲しい。妹の笑顔さえあれば、私はなんだって出来る筈なのだ。
 だのにどうして、この口が動かない? どうして何ひとつ言葉にしてくれない? 私はこれから妹と話し合わなければいけないのに。私たちのこれからの為に、お互いをもっと知らなければならないのに。


 ――貴方の心が知りたいのよ、こいし!



                    *        *        *



 ばらばらと雨が降る。廃屋は、まだ見つからない。


「どこにいるのよ、こいしッ!」
 なりふり構わず、腹の底から声を挙げて叫んだ。雨音だけが返事をした。叩きつけるような雨に曝されて、頭のてっぺんからつま先までぐっしょりと濡れていた。
 妹の嫌いな雨が降っている。あの子はまた傘も持っていかずに出かけてしまったから、やっぱりまた濡れてどこかで雨宿りしている筈なのだ。早く見つけて、一緒に地霊殿に帰ろう。一緒にお風呂に入って、たくさんのことを話し合わなければいけない。ようやく見つかったのだ、私から伝えなければいけない言葉たちが。
 私は妹に謝りたい。そして妹の心が知りたい。何もかもまっさらな世界から、一緒に塗り絵をしていきたい。妹の好きな色を聞いて、その色で世界を輝かせてみせよう。


 嗅ぎ慣れたにおいが、した。


 雨がことごとく私の嗅覚を邪魔するけれど、私はそのにおいを辿っていった。鼻が利く訳ではない。ただ、このにおいにだけは私はとても鋭敏だった。
 そのにおいの先に、あの廃屋が見つかった。
「こいし!」
 叫んでどうにかなるものでもないのに、廃屋に向かってあらん限りの声量で叫ぶ。あそこにこいしがいる確証なんてない。けれどあそこにいるに違いないと信じていた。不思議な勘が、しかしおぞましい音を立てて私の鼓膜を駆け巡った。


 乱雑に廃屋の中へ入っていく。
 嗅ぎ慣れたにおいは、ここから発せられていた。
 前に来たとき、ここはこんなにも赤い模様があっただろうか。
 前に来たとき、ここはこんなにも血液のにおいが充満していただろうか。
 部屋の真ん中に、倒れている誰か。
 私はそれが誰かを知っている。


「ッあ゛、あっ、……ぅああぁ、こ、ぃ、……ッ!」


 膝が震えて立っていられなくなって、その場に崩れ落ちた。両手で顔を押さえたら、手に何か冷たいものが落ちてきた。それが涙なのだと認識してみたかったが、ただの髪に付いた雨だった。がりがりと髪を乱して頭を殴りつけた。痛みはなく、ただ胸の奥底が大声で叫んでいるのが聞こえた。頭の中で虫が這いずり回るような不快感が吐き気を催させた。虫が心を食い潰し、虫が言葉を食い潰す。
 こんなことをしてもらいたくて、私は生きてきたのではない。こんなことの為に、私は生まれてきたのではない。こんなことを望んで、私は死んだのではない。


 雨漏りの甚だしい屋根は雨粒に叩かれてばちばちと音を立てる。
 何度も何度も右の拳で床を殴った。板が割れて底が抜けても、私の手は血を流さない。心がひしゃげて小さくなっていく音がするのに、私の眼は涙を流さない。


 ――お姉ちゃんが死んだ日もね、雨が降ってたんだ。


 ほら、こいし。
 貴方が死んだ日も、冷たい雨が降っているよ。






七、



「最後にひとつ、伺いたいことがあります。古明地こいし」
 四季様は、困ったような呆れたような悲しむような、そんな不思議な顔をしている。きっと私たち姉妹に振り回されて疲れてしまったのだろうね。
 私に悲しむなんてことが理解できるとは思わないのだけど。


「何故、このようなことを」
 私は一瞬きょとんとして、その後可愛らしく小首をかしげてみせた。
「お姉ちゃんが私の為に生きて死んでくれたように、私もお姉ちゃんの為に生きて死んでみようと思っただけです。私の心が読めたらお姉ちゃんはきっと悲しむから、第三の眼を閉じました」
「何故古明地さとりと同じようなことをして」
「だって私はいつか死んでしまうのに、お姉ちゃんはずっとそのまま死に永らえるんですよ。お姉ちゃんが独りぼっちなのは可哀想だもの」
 四季様はやっぱり不思議な顔のままだ。


「貴方がたには、地獄さえ生温い」


 そう呟いて、四季様は朗々と私の罪状を読み上げた。
「古明地こいし。貴方は少し、殺しすぎた。判決を言い渡します――」


 待ってて、お姉ちゃん。
 私もすぐ、そっちに戻るからさ。









おわり
深ければ深い程、地底は地獄の姿を取り戻す。
過酸化水素ストリキニーネ
http://sutomagu.web.fc2.com/
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/11/21 10:02:34
更新日時:
2009/11/21 10:02:34
評価:
27/28
POINT:
192
Rate:
1.55
1. 10 wate ■2009/11/22 18:39:37
なんというバッドエンド・・・胸が締め付けられるようだ
2. 8 バーボン ■2009/11/23 20:21:34
途中で不安になりましたが、安易なハッピーエンドじゃなくて逆に安心です。
終わり方がハッピーかバッドかは置いておいて、世界観には強く引き込まれる物がありました。
3. 10 名無し  ■2009/11/24 13:21:47
さとりの1人称ゆえこいしの場面が無いので、えーきとの会話から最後までのが非常に理不尽な流れになっています。そのため、さとりの過去の罪がこいしにとってはどのようなものだったのか分かりとても面白かったです。
4. 6 神鋼 ■2009/12/02 20:47:54
これはキツイなあ。もう凄い土砂降りなのに全然洗い流してくれない。
5. 9 #15 ■2009/12/06 18:34:16
賛否は有るでしょうが、とても素晴しい
6. 8 はば ■2009/12/08 19:17:08
姉妹愛ですなあ
罪にされるのかいという感じですが
7. 8 しあ ■2009/12/11 01:31:13
もう少し尺を長くしてもよかったのでは、と思う作品(人のこと言えないけど)。
さとりが極刑に処されてるのは理解できますがそこに至るまでの過程が簡略化されてるからやっぱりそんなに感情移入はできなかったかもです。
でもさとりと勇儀? の会話みたいに節々で凄く私好みな文章があるのでこの得点で。
8. 5 it ■2009/12/11 19:46:23
普通でした
9. 9 丸狸 ■2009/12/15 02:55:02
ああ、だからこそ、この題名なのか。
読み終わって真っ先にそう思いました。
何程も似ていないはずなのに、
選んだ生き方が同じだとは。
古明地姉妹は二度と輪廻に戻ることはなく
地獄で『ずっとそのまま死に永らえる』んですね。
そんな気がします。
10. 5 リコーダー ■2010/01/03 14:51:14
ここで終わらせるのが酷い。
結局二人ずっと一緒にいるというこいしの夢は叶わず、亡者のように(亡者そのものですが)永遠に後悔を続ける二人もしくは片方、という姿が見えた。
さてSSとして十分逸品の部類だと思いますが、もう一歩踏み込んでほしかった。結末を担うこいしに、異常者としての怖さか、あるいは目を閉じた理由まで含めこれでも仕方ないと思える説明のいずれかが見えれば。最初からこいし視点で良かったようにも見えます。難しいですけど。
11. 5 藤木寸流 ■2010/01/04 23:43:18
 酷い話です。本当に。
 こいしが、判決を言い渡された後に何処に行ったのか少し気になりました。映姫は「極刑」と言ったけれど、それはさとりのいる地獄に行くことを意味しているとは限らないでしょうから。
 だとすれば、この結末は悲劇でしかない。こんなに悲しいことは、ないです。
12. 5 いすけ ■2010/01/05 19:06:09
まとまったいい作品だと思います。
13. 8 静かな部屋 ■2010/01/06 11:10:01
何事も、諦めたらそこで終わりですねぇ……。
諦めず、頑張った結果がこれというのもなんとも救われない話ですが。



ここ(幻想郷)で殺戮なんて始めた日には某妖怪にスキマ送りにされそう……。
14. 5 パレット ■2010/01/10 04:54:10
 うあー、いい。すごくいい。過ちを背負ったさとりの心理描写、そして間違えきってしまった妹によるこの顛末も。
 こいしの望みは叶ったのだろうかということに最初は目がいったのですが、どっちにしろもうだめなのか。もうさとりは救われない。どうしようもない。
 そして、やっぱりこいしの望みは叶わなかった……のかな? さとりの涙が妹の死体に落ちることも無くて、だから奇跡は起きなかったか。文章中に断定するためのヒントが隠れてるのかもしれませんが、自分には確定できず……。
 しかしどちらにせよ、想像するのが楽しいです。素敵なお話をありがとうございました。
15. 4 白錨 ■2010/01/10 08:51:32
姉妹愛だなぁ、と思いました。無意識の中でも、やはりこいしは姉を慕ってるのかもしれない。と感じました。
16. 7 椒良徳 ■2010/01/11 17:39:04
これは強烈な作品ですね。
肝臓に喰らったボディーブローのように効ききました。
正直あまり直視したくないのですが、このような残酷無残な作品は妙に惹きつけられるものがありますね。
相当の実力をお持ちと見ました。
また、機会がありましたら貴方の他の作品も読んでみたいですね。
17. 10 ホイセケヌ ■2010/01/13 15:45:28
。。ラウ、ホ・キゥ`・、ャ殪、ア、、ミ。「、゙、ソモ。マ、マエ、ュ、ッ我、、、ホ、タ、ネヒシ、ヲ。」
。。セ商荀ォ、ヒヤ彫マ゚M、゚。「、オ、、ノモ熙ホ、隍ヲ、ヒ、タ、、タ、、ネタ荀ソ、ッカ鬢チ、ニ、讀ッホユZ。」、キ、ォ、キ。「、ス、ウ、ヌテー^、ホ・キゥ`・、ャミョ、゙、、ウ、ネ、ヌ。「ハシスKーオ、、モー、ャホユZネォフ螟ヒ、ヲ、エ、皃、、ニ、、、。」牢、キ、、・キゥ`・、ホ、マ、コ、ハ、ホ、ヒ。「キg、荀ォ、ハサ瞞彫ホ、マ、コ、ハ、ホ、ヒ。「テー^、ホ・ャ・ト・、ネ、ッ、・、・・ム・ッ・ネ、ホヒ樣、ヌ。「、ノ、ウ、ォ、ョ、ウ、チ、ハ、ッ。「創、、、治、モ、ニ、、、。」
。。、ィ、ィ。「エコテ、ュ、ヌ、ケ。」、ウ、ヲ、、、ヲ。「ラウ、ヒ、ケ、エ、、・、・・ム・ッ・ネ、ホ、「、・キゥ`・、ウヨ、テ、ニ、ュ、ニ。「、ー、、、ネメ、ュ、ウ、、ヌ、キ、゙、ヲ。」スメ侃ニ、ュ、ソヨミ、ヌメサキャモ。マオト、ハウ、タ、キ、タ、ネヒシ、、、゙、ケ。」
。。、ス、キ、ニ。「テ靤エ、ホセ_畝ハ、ウ、ネ。」殪j、ャ殪、ッ。「、オ、、ノL、オ、、ソ・ハ・、・ユ、ホ、隍ヲ、ヒ舮、、。」ヒス、マ、ウ、ホホトユツ、ャ、ネ、ニ、簟トオリ、隍、。」
18. 8 詩所 ■2010/01/13 21:53:16
 怖いような悲しいような、そんな話。
 でもなんとも言いがたい読後感が残っていることは確かです。
 この理解しがたい行動による後味悪さが完成度の高さを物語っています。
19. 9 deso ■2010/01/14 01:30:29
これは素晴らしい泥沼姉妹愛。
じわじわとねっとり絡みつくような文章がたまりません。
20. 8 零四季 ■2010/01/14 21:05:44
結局二人は同じだった、のかな? 対照的で、対称的。
暗い話だったけれど、面白いなと感じて読むことが出来ました。
21. 8 やぶH ■2010/01/15 00:02:35
ううん、ぞっとする哀しい話です。
でも文が読みやすく、ストーリーを自然に伝えてくれるのが好印象。
設定は斬新でしたが、説得力のある、良い古明寺姉妹の物語でした。
22. 8 2号 ■2010/01/15 08:54:16
悲しい話です。
この後どうなったのか気になりますね。
こいしとさとりがいつか救われますように。
23. 8 八重結界 ■2010/01/15 13:59:16
 誰が間違っていたのかと聞かれたら、誰も間違っていなかったと答えるしかないお話で。
 これは誰にとってのハッピーエンドだったのか、色々と気になることはありますが全体的にどこか歪んでいた姉妹は何故か美しく見えました。
24. 7 時計屋 ■2010/01/15 22:08:08
 これはもう悲劇と言うしかない結末ですね。
 互いが互いの不幸を合わせ鏡のように反照し合うなんて、まさに地獄。
 最後は「地獄すら生ぬるい」という判定ですから、「非」とされたんでしょうか。
 まだそっちのほうが二人にとって救いかもしれませんね。

 さて。
 文章はとても綺麗で読みやすく、文意も把握しやすい。読んでいてストレス感じさせないものでした。
 台詞も印象的なものがありました。特に「利他主義がぐるっと回って利己主義になってる」という言葉が心に突き刺さりました。
 良い物語を読ませていただき、ありがとうございました。
25. 4 如月日向 ■2010/01/15 22:43:50
 状況がちょっとよくわからなかったです。

〜この作品の好きなところ〜
「善行やってますか、さとり」

 こんな映姫様もいいですね。
26. 6 木村圭 ■2010/01/15 22:59:35
こいしへの罰がさとりと引き離されることだったらケッサクすぎて泣けるんだけど、さてどうなんだろう。
BAD END No.1。
幻想郷に踏み込む際についでに時間も越えて、できるだけ早急に霊夢さんに巡り会いましょう。
27. 4 ■2010/01/15 23:41:44
ぬあ、こういうオチか。
閻魔の配下は死なずに地獄の手伝いとし手存在するというルールを使った面白い解釈。
でも、雨がいまいち活きていない気がする
雨降って地固まる、でもないし
28. フリーレス 無尽君 ■2010/01/20 16:31:43
悪行は悪意が無くても悪、ということなんでしょうね。
花映塚の会話(特に対霊夢)を見る限り、閻魔の裁判に情状酌量という概念は無いようですし。
純粋悪という言葉を思い出しました。
名前 メール
評価 パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード