早苗心と秋の空

作品集: 最新 投稿日時: 2009/11/21 12:54:23 更新日時: 2010/01/20 21:54:03 評価: 22/22 POINT: 129 Rate: 1.34
 
 晴れ渡る空も今は昔。折から境内に振り始めた雨は、一向に止む素振りすら見せない。
 慌てて洗濯物を取り込んだ際に踏みつけた新聞には、雨一つない快晴だと書かれていたのに。これだから天狗の書物を信用するわけにはいかないのだ。室内で不機嫌そうに揺れる洗濯物を眺めながら、早苗は溜息をついた。
 寒さも厳しい秋の頃合いともなれば、そう簡単に洗濯物は乾いてくれない。僅かな日差しでも欲しているというのに、秋の空はかくも主婦達に厳しい。
「早く晴れてくれればいいのに」
 漏れる愚痴も、いよいよ切実なものへと変わっていく。日がな洗濯物を眺める生活なんて、梅雨だけの特別体験にしておけばいいのだ。豊作と紅葉が目に麗しいこの秋空の下、わざわざ梅雨のように過ごす必要もあるまいて。
 天気が空気を読んでくれるのなら、今頃は絶好の洗濯物日和だろう。ああ、空気を読めない空が恨めしい。緑眼の妖怪さながらに、怨嗟の念を空へと送っておく。届いてどうなるものでもないが、送らねば気が済まないことだってあるのだ。
「早苗ー! 早苗ー!」
 居間へ飛び込んでくる声は、紛れもなく洩矢諏訪子のものであった。どことなく機嫌が良さそうなのは、おそらく雨が降っているからだろう。蛙と深い繋がりがある諏訪子にとって、雨とは喜ぶ天気でしかない。別に諏訪子が降らせているわけでもないのだけれど、はしゃいでいる姿を見ると腹に据えかねるものがあるのも事実だ。
 案の定、部屋に入ってきた諏訪子のテンションはいつもよりかなり高い。慌てて走ったせいで、特徴的な帽子も廊下の上に落ちていた。テストで良い点を取った小学生あたり、きっと同じ反応を見せてくれることだろう。
 神に対して向ける言葉ではなく、当然のごとく胸の内側に仕舞っておいた。迂闊に心を開こうものなら、巫女と神様の宗教戦争が勃発しそうなほど不埒な思いは溜まっているのだ。間違っても覚りの前には立つことができない。
「洗濯物は取り込んだ?」
「ええ、もう取り込んでありますよ。駄目です」
「じゃあさ……って、まだ何も言ってないじゃんかよ」
 天真爛漫な笑顔は一転、ふて腐れた子供のように頬を膨らませる。蛙のようだと表現しない辺り、早苗が諏訪子をどう思っているのか如実に分かるというものだ。
「諏訪子様の考えなんて、私でも簡単に分かりますよ。どうせ、雨の中で遊んできていいかい、でしょう?」
「違う違う。遊ぶんじゃなくて、ちょっとした活力の補充? ほら、蛙なんだしさ。雨の中で英気を養わなかったから、どこで養うってのよ」
 切実な雰囲気だけは伝わってくるのだが、洗濯物を増やすだけの理由とは思えない。諏訪子が外で遊ぶ度に、泥だらけの洗濯物と早苗の溜息が増えるのだ。ただでさえ乾きにくい天気なのに、これ以上悩みの種を増やされてはたまらない。
 意見を曲げるつもりのない早苗に、諏訪子もやがて諦めたようだ。早苗の目が届かないところでやるのではないかという問題もあるけれど、そこまで子供ではないと信じたい。もっとも、数々の所行を思い返す限りでは、早苗の許可などなくても好き勝手しそうなものだが。
 不安と疑心がごちゃ混ぜになり、諏訪子に向けられた視線もより一層厳しいものへと変わっていった。
「……大丈夫、しないっての」
 その間が何よりも恐ろしいのだが、ここで追求しても意味はない。もしも約束を違えるようなことがあれば、諏訪子の夕食がご飯と漬け物になるだけだ。罪には罰を与えないと、神様だって反省をしない。
 露骨に目が泳ぐ諏訪子を横目に、固く胸に誓った。洗濯物が増えた時、それが諏訪子の食生活が命運尽きる時である。
「そういえば、八坂様はどうなされたんですか? 家の中にはおられないようでしたけど」
 普段ならいざ知らず、雨の日の神奈子は大抵を家の中で過ごす。畳の上をゴロゴロ転がりながら、難しそうな本を読んでいる姿を何度も目撃していた。神様らしからぬ怠惰な姿に怒りはしたものの、じゃあ他に何をしたらいいのか訊かれても返答に困る。
 てっきり今日もそんな生活を送っているのだと思ってみれば、どこにも神奈子の姿がなかった。まさか雨が降るのに里へ行っているわけでもないだろう。そこまで地道な活動に熱心な神様ではないのだ。
 大方、どこぞに足を運んで酒宴でも開いているのだろう。神奈子の酒好きは、諏訪子の雨遊びと同じぐらい早苗を悩ませていた。
「八坂様?」
「ええ、知らないのなら構いませんけど。もうすぐ昼食ですし、もしも余所へ行かれたのなら一人分減らさなければいけませんからね」
 至極当然の話をしたのに、諏訪子の表情は優れない。首を傾げながら、おかしなものでも見るような目を早苗に向けていた。
「あのさ、一つだけ訊いてもいい?」
「ええ、何でしょうか?」
 澱むことなく、どもることなく、当たり前のように諏訪子は尋ねた。冗談としか思えない、その馬鹿げた質問を。
「八坂様って、誰?」
 早苗は思わず笑ってしまった。くだらない冗談だとわかっていても、そのあまりに真剣な顔が可笑しかったのだ。
「八坂様は、八坂様に決まってるじゃないですか。ふふふ、変な諏訪子様ですね」
「いや、まぁ……私の勘違いだったら恥ずかしいんだけどさ」
 頭の後ろを掻きながら、気恥ずかしそうにそっぽを向く諏訪子。本当に勘違いをしている人なら、きっとこういう反応を返すのだろう。
 あれ、と早苗の笑いが止まった。有り得ない話だが、どうにも諏訪子は早苗を騙そうとしているわけじゃないらしい。真剣な表情は偽れても、恥ずかしそうな顔なんて簡単に作れるものじゃない。
 いやいや、神様だったらそれぐらい楽勝なのかもしれない。なにせ、相手は洩矢諏訪子だ。早苗を騙すぐらいだったら、表情の一つや二つぐらい簡単に変えられるはず。
 早苗は諏訪子の言葉を信じていなかった。当たり前である。朝食の時まで、諏訪子と神奈子は顔を向かい合わせて議論を白熱させていたのだ。その内容はあまりにくだらなすぎて覚えていないが、少なくとも互いの顔を知らないなんて事はない。勿論、名前も。
「だって、八坂様ですよ八坂様。八坂神奈子様。当然、ご存じのはずでしょう?」
「八坂神奈子ねえ……聞いたことあるような、無いような」
 悩む諏訪子を演技と見るか、はたまた本心と見るか。千里眼も第三の眼も持ち合わせていない早苗には、どうしても白黒つけることができない。ただ一つだけ確実なのは、諏訪子が神奈子を知っていなければおかしいということ。
「あまり冗談が過ぎると、笑えるものも笑えませんよ」
「と言われてもねえ、知らないものは知らないわけだし。その八坂様ってのはさ、早苗のお友達か何か?」
「もういいです! じゃあ実際に八坂様を連れてきますから。そこを動かないでくださいよ!」
「あっ、早苗!」
 止める言葉も無視して、早苗は部屋を飛びだした。馬鹿げている。実に馬鹿げている。
 どうしてあんなタチの悪い冗談を言ったのか、早苗には理解できなかった。どれだけ真剣な表情をしようと、どれだけ本当のような演技をしようと、諏訪子が知らないはずはないのだから。
 長年連れ添った相方を忘れるなんて、地下の烏だって絶対にしない。ましてや諏訪子は神様だ。ボケるはずもないし、物忘れにしたって度を超している。
 だとすれば答えは一つしかない。諏訪子は嘘を吐いているのだ。
 良いだろう。だったら目の前に神奈子を連れてきて、それがどれだけ無意味な嘘であるのか思い知らせてあげようではないか。そして、諏訪子の夕食はご飯のみにしなくてはならない。
「八坂様! 八坂様!」
 家の中を探しまわっても、やっぱり神奈子の姿は無かった。やっぱりどこかで酒の味を堪能しているのだろう。
「ちょっと出てきます!」
 玄関に向かった早苗は傘をとり、外へと飛びだした。懸念していた雨はいつのまにか上がり、雲の切れ間から気持ちの良い日光が地上へと降り注いでいる。帰ってきたら、早いところ洗濯物を外へ戻した方がいいだろう。
 しかし、何はともあれ八坂神奈子だ。彼女を諏訪子の前に連れてくることを、今は何よりも優先すべき、
「おや、早苗じゃないか」
 空を見上げた顔を下ろしてみれば、捜していた当人が何食わぬ顔で立っていた。外を歩いていたというのに、服装はまったく濡れていない。この調子だと、どうやら境内あたりで雨宿りでもしていたのか。
 人が悪い。いや、神が悪い。家の中で呼ぶ声がすれば、境内の方にだって聞こえるはずなのに。どうして返事をしてくれなかったのか。不満はあれど、そんな事は後回しである。
 早苗は神奈子の手を掴み、少々乱暴な仕草で家の中へと入っていった。何が何だか分からず、引っ張られる神奈子は戸惑いの声をあげるばかりだ。
「ちょっとちょっと! いきなり何するんだい!」
 廊下を抜け、居間へと向かう。これで諏訪子も観念してくれるだろう。まさか、神奈子の顔を見てもとぼけるというわけにもいくまい。そうまで抵抗するというのなら、後はさとりの元へと連れて行くだけだ。
「諏訪子様の悪い冗談に対抗するために、どうしても八坂様の力が必要なんです!」
「はぁ?」
 素っ頓狂な疑問符にも、今だけは無視を決め込んでおく。説明ならば、諏訪子が思う存分にしてくれるだろう。どうして、こんな冗談をついたのかというオマケ付きで。
 居間への襖を開け開くと、そこには諏訪子の姿がなかった。神奈子の登場を察したのか。だとすれば、まだ遠くには逃げていないはずだ。
「ちょっと諏訪子様を捜してきます!」
 走り出そうとした早苗は、思い切り服を掴まれて危うく転倒しそうになった。これで掴んでいたのが神奈子でなければ、思い切り怒鳴りつけていたことだろう。
「何するんですか、八坂様!」
「いや、なんか急いでるところ悪いんだけどさ」
 誰かさんとそっくりな真面目な顔をして、神奈子は当たり前のように言ったのだ。
「諏訪子って誰?」











 探偵小説なら捜査が始まり、ホラー小説なら逃げ惑う。お約束とも呼ぶべき展開が存在していても、それは幻想郷では当てはまらない。
 なにせ、ここには全ての黒幕とおぼしき人物が最初から登場しているのだ。さながら主人公が犯人であるのに、人物紹介の欄に真犯人と書いてあるようなもの。知らぬは作中の人物ばかりである。
 早苗は八雲紫の元を訪ねた。解決の糸口があるならともかくとして、何も分からなければ誰だって紫の所へ行く。その胡散臭さには定評があったし、実際に黒幕として動いたことも多いのだと話には聞いている。
 八雲の家を訪問し、事情を話さずに紫を出せの一点張り。これには対応した藍も困り気味だが、早苗の必死さが彼女の心を動かしたのだろう。やがて大人しく案内をし、紫の部屋まで連れていってくれた。
「大方、また紫様が何かしたのでしょう」
 さすがは紫の式神だ。長年付きあってるだけあって、行動パターンはお見通しのようである。
 通された部屋では珍しく、紫がお茶を飲んでいるところだった。万年を床を過ごすと聞いていただけに、てっきり寝ているものだと思っていたのだが。起きていたとなれば、いよいよもって怪しさが増していく。
 眉をひそめ、早苗は問いつめた。最も単純にして、最も効果的な一言で。
「何をしたんですか?」
 沈黙に包まれた部屋でも、お茶を啜る音は聞こえてこない。優雅な仕草はさすがの一言に尽きるが、欠片も動揺していないとはどういう事だろう。空っぽの湯飲みを傍らに置いて、代わりに扇で口元を隠した。
 どこぞの亡霊と似たような動作をするも、よくよく考えれば二人は親友。動きが似てしまうのも、ある意味では仕方がないことと言えよう。
「唐突な質問の割りには、随分と意味が広いわね。仕方ないわ、質問に答えましょう。お茶を飲んでいたわ」
「確かに、少し私の質問が悪かったかもしれません。改めて言い直します。八坂様達に何をしたんですか?」
 諏訪子は神奈子を知らないと言い、神奈子は諏訪子を知らないと言う。そして二人は決して出会うことがなく、片方が姿を現せば片方は消えてしまうのだ。これを紫の仕業と言わずして、一体誰の仕業と言うのか。
「八坂様と言われても、何が何だか検討もつかないわね。別に私だって、全ての事件の黒幕ってわけじゃないのよ。それっぽい挙動をして、匂わせただけの事件だって一杯あるんだから」
 そういう事をしているから、いざという時に疑われるのだ。自業自得とも言えよう。
 勿論、紫の仕業ではない事件だって多々あるのは知っている。地下の事件は二柱の仕業だったし、宝船の騒動だって言うなれば二柱が発端みたいなものだ。地下に到っては、むしろ紫は解決する側だった。
 全ての事件を支配しているわけではないと知りつつも、今回に限っては紫の仕業だと断言できよう。こんな不可思議な真似、他に出来る奴などいないのだから。
「とりあえず、情報を共有しましょうか。あなたが知っていること、全て私に話してちょうだい。そうでなければ、こちらから話せることなんて一つもないわ」
 白々しい態度だが、普段からこんな風に人を試すような物言いをしているのかもしれない。そこに意味がなくとも、とかく胡散臭いのが八雲紫という妖怪なのだ。
 相手の心中を覚ることができない早苗は、仕方なく全てを紫に話した。もしも紫が全てを知っているのだとすれば、これ以上の徒労はない。
「神奈子がいれば諏訪子が消え、諏訪子が現れれば神奈子が消える。ふうむ、なかなかに面白い状況になってるじゃない」
「面白くありません! こっちは困っているんですから、どうにかしてください!」
「どうにかと言われても、本当に私の仕業じゃないのよね。どうしたものかしら」
 わざとらしく口元を隠しているせいで、表情がとても読みにくい。嘘をついているのか、それとも本当に困っているのか。早苗の洞察力では見抜くことが難しそうだ。
「ん?」
 更に強く問いつめるべきか、それとも協力をお願いするべきか。紫を犯人とするか協力者とするかの選択で、悩みに悩んでいた早苗。その顔を見ていた紫が、やにわに疑問符を浮かべた。
 訝しげにこちらの顔を覗きこみ、観察するように頭から膝元までを見渡している。標本になったようで、あまり気持ちの良い視線ではなかった。
「何ですか?」
「いや、ちょっと気になることがあったんで……」
 ふむふむと唸り、視線でなめ回すのを止めようとしない紫。いい加減気持ち悪さも限界で、怒鳴りつけようかと思った瞬間だった。紫は面白そうに目を歪め、楽しそうに声を弾ませる。
「わかったわ、あなたの周りで起こっている異変が」
「本当ですか!」
 気持ち悪さもどこかへ飛んでいった。異変が解決してくれるのなら、水着の写真を撮らせてあげたっていい。
「あなたは大きな勘違いをしていたのよ。神奈子や諏訪子は姿を消していたわけじゃない。あなたが姿を消していたのよ」
「はぁ?」
 意味不明な回答に、漏れだした声も間抜けそのもの。少女らしからぬ素っ頓狂な声色に、紫の顔にも呆れの色が浮かび上がる。
「要するに、あなたは移動しているの。諏訪子がいない世界と、神奈子がいない世界の二つを」
 次の説明で、早苗はようやく理解できた。同時に、その恐ろしさに身が震える。
 諏訪子が消えたのではなく、諏訪子のいない世界に行っていた。
 神奈子が消えたのではなく、神奈子のいない世界に行っていた。
 早苗はこの二つの世界を往復し、あたかも二柱が交互に消えているような錯覚を覚えていたのだ。いや、それは錯覚でも何でもない。少なくとも早苗の主観から見れば、紛れもない事実に見えるのだから。
 境界を操るという八雲紫のこと。そんな不安定な早苗を、だからこそ見抜くことが出来たのだろう。
「何かが入れ替わる条件になっているはずだけど、思い当たる節はない?」
「……ちょっと待ってください、混乱していて整理が追いつかないんです」
 SFじみた展開もさることながら、自分が平行世界を移動している異常性。常識に囚われないことを目標としてきた早苗でさえ、この状況に慣れ親しむことなんてできない。紫の言葉を反芻し、自分なりの理解力で意味を咀嚼した。
 そして考えるのは、先程の出来事。何かが条件になっていると言われたが、はてさてそのような物があっただろうか。さして特別なこともしていないし、それらしき品物が落ちていた記憶もない。
 強いて二人と出会った状況を比べるならば、違っていたのは場所と天気。
「そうか、天気です! 諏訪子様と会った時は雨が。八坂様と会った時には晴れていました!」
「だったら話は簡単ね。雨が降れば神奈子のいない世界に飛び、晴れれば諏訪子のいない世界へ飛ぶ。今は晴れているようだから、きっとここは諏訪子のいない世界ね」
 ふとした違和感が早苗を襲うものの、それは蠅のように何処かへ飛んでいった。今は紫の話を聞くことが、何よりも大切なのである。他のことに意識を集中している暇なんてない。
「だったら!」
「二柱ともいる世界に戻してはください。あなたが言う台詞としては、こんなところかしら」
 見事に心中を言い当てられ、悔しい気持ちもあるが切実なのは事実だ。どちらか片方だけしかいない世界なんて、とてもじゃないが耐えられない。一刻も早く二柱とも居る世界に戻り、揃って並んでいる姿を見ないと安心できないのだ。
 当然、紫ならば何とかしてくれると思っていた。彼女の力は巫女や鬼も認めるものであり、最早話を破綻させる為だけに存在しているとしか思えないほど規格外だったのだから。
「残念だけど、二柱のいる世界へ戻してあげることはできないわよ」
「ど、どうしてですか!」
 当然とも言える怒鳴り声。甘んじてそれを受け入れ、紫は滔々と語り始めた。
「私が出来るのは境界を弄ることだけ。どういう経緯でそうなったのかは知らないけれど、あなたは二つの世界の行き来する存在になってしまった。だから私が弄られるとすれば、そのどちらかの世界に定着させることぐらいね。悪いけれど、元の世界に戻すことはできないわ」
 二柱が居る世界と片方しか居ない世界。早苗が巻き込まれた世界がその二つならば、紫の力で二柱の居る世界へと戻ることができるだろう。
 だが、早苗は線路から外れてしまった。諏訪子の居る世界か、はたまた神奈子のいる世界か。始発と終点は既に決められており、早苗が選べるのかどちらか一つしかない。線路を新しく造らない限り、元の場所へと戻ることはできないのだ。
 紫の力では線路を造ることができない。彼女の力はただ、玩具のように列車の場所を変えることぐらい。線路から外して別の場所へなんて芸当は、さしもの八雲紫でも不可能なのだという。
 加えて彼女は、更なる厳しい事実を突きつけた。
「残酷な選択肢でしょうけど、あと三日以内に答えを出さないと強制的にどちらかの世界へ定着してしまうわよ。今の不安定な状態なんてのは、結局のところ倒れそうな塔がふらふらと横に揺れているだけ。時間が経てばやがて、どちらかへ必ず倒れる」
 その期限が三日以内。早苗はあと三日の間で、神奈子と諏訪子のどちらかを選ばなければならない。
 子供の時によく、究極の選択というものをやった。殆どは他愛のないものばかりだったが、早苗にはどうしても答えを選ぶことのできない質問があったのだ。すなわち、大切な人が二人いたらどちらを選ぶのか。
 大概の子供は母親と父親を当て嵌めていたようだけれど、早苗は二柱を当て嵌めていた。そして結局、結論が出ることはなかったのだ。
 忘れていたはずの質問が、いま現実となって早苗に襲いかかる。しかも時間制限というオマケ付きで。
 茫然自失の早苗に対して、紫もかける言葉が見つからないようだ。決断を出せない早苗を貶すでもなく、慰めるでもなく、ただ淡々と事実だけを伝えていく。
「今日中に答えを出せとは言わないわ。でも、もしも自分で決めたいと言うのなら期限はあと三日。とりあえず、明日にもう一度ここに来て。もしも決めているのなら、その時に言って頂戴」
 紫はそう言い、部屋を後にしようとした。微動だにできない早苗だったが、どうしても訊いておきたい事が一つだけあったのを思い出す。
「明日から」
「え?」
「明日からの天気は分かりますか?」
 天気によって、早苗の居る世界が変わるのなら。天気は何よりも大切な情報だ。
 紫は少しだけ考え込み、ゆっくりと口を開いた。
「明日は晴れ、明後日は雨。明々後日の天気は分からないわね。秋の空は移ろいやすいから、私にだって検討もつかないわ」
 明日は神奈子だけの世界。
 明後日は諏訪子だけの世界。
 そして三日目にはどちらが居る世界なのかも分からない。
 ただ一つだけ確かなのは、この三日の間に答えを出さなければいけないという事。神様達は待ってくれても、時間だけは容赦なく過ぎていくのだから。
 決断しなければならない。
 たとえ、それでどちらかの神様が居なくなるとしても。











 どうやって紫の家を後にしたのか、そんな記憶すら曖昧になっていた。気が付けば守矢の家へ帰っていて、灯りも付けずに自室の布団の上で寝転がっていた。見慣れた天井は古めかしく、叩けば今にも壊れそうで怖い。
 子供の頃に何を思ったのか、この天井が今すぐにでも落ちてくるんじゃないかという妄想を抱いてしまった時がある。寝ている間に押しつぶされるんじゃないかと怯え、二柱の隣で寝させて貰うようお願いしたのだ。
「大丈夫大丈夫、いざとなったら私が何とかしてあげるから」
 神奈子は力強く言い切り、諏訪子は早苗の頭を優しく撫でてくれた。幼くして事故で両親を亡くした早苗にとって、二柱はまさに両親のようなものだった。かつて子供達になげかけられた質問に神奈子達を当て嵌めていたが、結局は他の子供達と変わらなかったのだ。
 切り捨てることなんてできない。右腕と左腕、どっちを切り落とそうかと聞かれているようなものだ。どちらも嫌だ、という我が儘な答えを選びたくて仕方がない。
 干そうと思ってすっかり忘れていた布団は冷たく、心なしか部屋の気温も冬を思わせる。このまま寝てしまったら、風邪をひいてしまうかもしれない。だが寝込んだところで、二柱が看病をしてくれることなどないのだ。
 神奈子の作ったお粥の味と、諏訪子の作ったしょうが湯の味は今でも忘れない。神様手製の料理なのだ。きっと一発で治るだろうと思っていたら、何故か二日も寝込んでしまった。きっとあまりに嬉しくて、身体がもっと看病して欲しいと我が儘を言ったのだろう。
 クスリ、と漏れた笑いに寂しさが募る。思い出が楽しければ楽しいほど、未来が暗く悲しいものに思えてくる。
 八雲紫は言った。選ばないのなら、運が二柱の未来を裁くのだと。こんなにも心苦しい思いをするのなら、いっそ運に全てを委ねてしまいたくなる。そうすれば早苗は、たとえどちらかの神様がいなくなっても運を怨めばいいだけの話だ。一生自分を怨んでいくなんて、とても耐えられない。
「なんて、馬鹿なことを……」
 自嘲にもならない崩れた笑みが、自らの滑稽さの象徴だ。選びたくないから、責任を背負いたくないから、それを運に押しつけて自分は被害者面をしようだなんて。何て醜悪で、何と愚かしい選択。
 そんな道を選ぶくらいなら、いっそ自分で決めた方が遙かにマシだ。
 早苗は考える。さあ、どちらの神様と未来と共にするのか。
 神奈子は頼もしい神様だ。早苗が困った時はいつも側にいてくれて、必ず力になってくれる。多少、甘い部分もあるけれど厳しい時は厳しい。それら全てをひっくるめて、早苗は神奈子が好きだった。
 諏訪子は優しい神様だ。早苗がいて欲しい時、必ず側にいてくれる。だからといって甘やかすだけでなく、時には冷酷に突き放したりもするのだ。それら全てをひっくるめて、早苗は諏訪子が好きだった。
 嗚呼、と。両の手が顔を覆う。
「こんなの……選べるわけがないっ!」
 雨には雨の。晴れには晴れの。それぞれ良いところも悪い所もある。
 同じように、神奈子にも諏訪子にも悪いところと良いところの両方があるのだ。それらを秤にかけてどちらか選べだなんて、とてもとても出来ることじゃなかった。
 だけど、しなくてはならない。しなければ、強制的に早苗は選ばされてしまうのだから。
「二柱のいる世界が良い! それ以外の世界なんて、選びたくない!」
 悲痛な叫び声は、暗闇の中へ無情に消える。答えなど最初から出ているのだ。
 ただ、それは絶対に選べないだけで。
 気が付けば、手の中が温かかった。鼻水をすする音がして、ようやく早苗は自分が泣いているのだと気がつく。
 泣いて解決するのなら、枯れ果てるまで泣いてやる。叫んで二柱が居てくれるのなら、喉が破れるまで叫んでやる。
 だけど早苗が出来ることは、二柱のどちらかを選ぶことだけ。
「できない……私には出来ない……」
 出来るはずもない。出来るわけがない。
 早苗が二柱のどちらかを切り捨てるだなんて、天地がひっくり返っても有り得ないことだった。
 絶対に、有り得ない。
 そして、早苗はようやく気付いた。
「なんだ、そうか……」
 涙は枯れ果てることなく流れ続け、それでも早苗の顔は満面の笑みを浮かべていた。永遠に続くと思われた暗中模索の先に、一筋の光明を見いだしたのだ。最初から早苗が選ぶ道はこれしか無かったのに、二択しかないと思いこんで迷いに迷っていたのだ。
 だけど自分の道はもう見つけた。後は迷わず、ただひたすらに突っ走るのみ。
 早苗は起きあがり、財布の中身を確かめた。貯金箱もひっくり返し、手持ちのお金を確認する。
 そういえば、明日は晴れだった。
 じゃあまずは、神奈子と一緒に遊ばないと。
 楽しそうに小銭を数える早苗の瞳には、どこか空虚な炎が燃えていた。










 今日は晴れの日。
「八坂様、遊びに行きましょう!」
 事情を知らない神奈子にとって、早苗の申し出は寝耳に水だったのだろう。いや、事情を知っていても寝耳に水だ。人生で一番大事な選択肢を決めようかというのに、遊びに行こうと誘っているのだから。
 半ば強引に腕を組んで、訝しがる神奈子を外へと連れ出す。今日は天気も良かったので、御柱を日干しでもしようかと思っていたらしく、神奈子はいまいち乗り気ではなかったが。そんなこと、今の早苗にはあまり関係ない。
「いいじゃないですか。日干しなら、またそのうち出来ますよ」
「そうは言うけどね、明日は雨だろ。明後日に到っては天気予報も信用ならないし、晴れているうちに干したかったんだけどね」
 渋る神奈子の気持ちも分からないでもない。早苗とて、出来ることならこの機会に洗濯物を全て片づけておきたいところだ。だが、優先順位を付ければ洗濯物など下の下。神奈子と遊ぶ方が大事なのだから、今だけは忘れておくことにしよう。
 抵抗しようとしていた神奈子も、やがて諦めたらしく、大人しく早苗に従って歩いてくれた。こういう所が諏訪子と違い、甘いと言われる所以なのだろう。
「まぁ、いいかね。晴れの日は今日だけじゃないんだから」
「そうですよ。せっかくのお天気なんですから、今日は思い切り遊びましょう!」
 これが外の世界なら、女子高生じみた遊楽を神奈子に教え込むところなのだが生憎と幻想郷。ハイテクな電子機器は普及しておらず、女子高生らしい遊びなど何一つとして出来やしない。
 しかし、そこは東風谷早苗。幻想入りしてから、一年もの日々が経っていた。さすがに最近では幻想郷の風習にも慣れ親しみ、里の子供達から遊びを教えて貰うことに抵抗を覚えなくなったという。それに、元々早苗は女子高生がよくするような遊びというのは知らなかった。
 おはじきや縄跳びをしている方が性に合ってる。ロボットの超合金がどこにも売ってないのは、少しだけ残念だったけれど。
「それで、今日は何をして遊ぶんだい?」
「ふふふ、これをご覧下さい!」
 早苗が取り出したのは、天狗の伝手を利用して買い付けた遊園地のチケット。まさか幻想郷に遊園地があるとは思わなかったが、どうも最近になってオープンしたらしい。かなりの大人気らしく、入手するのに一苦労だった。
「地霊殿おりんりんランド……なんともまぁ、いかがわしい名前だね」
「名前はともかく、結構人気あるんですよ。文さんや椛さんも楽しかったって言ってますし」
「あいつらはさぁ、取引によってはつまらない物も面白いって言うしな」
 派手な風体をしているくせに、神奈子自身はあまり派手なものが好きではない。ただ騒がしいものは好んでおり、お祭りなどでは早苗よりもはしゃいでいる。行く前は渋っていても、どうせ着いたら誰よりもはしゃぐのは目に見えていた。
「だから確かめるんですよ。本当に面白いところなのか、どうか」
「早苗がどうしても行きたいって言うんなら、まぁ私は止めないよ。付き添ってあげるし」
 嫌々といった顔を隠しもせず、苦虫を噛みつぶしたような表情で神奈子は了承した。
 その五分後。地下、おりんりんランドにて。
「おー! 早苗早苗! あれ見て! 観覧車じゃないか! 乗ろう乗ろう!」
 渋ってた烏がもう騒いでいる。神奈子のはしゃぎっぷりは尋常ではなく、近くにいた鬼達が困惑の視線を向けてきた。あれが本当に神なのかと、言外の訴えが肌に厳しい。
「やあやあ、どうも。楽しんで行ってちょうだいよ」
「あら、お燐さん。随分と繁盛してるみたいですね」
 さばさばとした笑顔で出迎えてくれたのは、おりんりんランドの経営者。火焔猫燐。経営難にあった地霊殿を立て直し、今や名実共に地霊殿のトップにのし上がった敏腕経営者である。
 ちなみにさとり達もランドの方でバイトをしているそうなのだが、相変わらずペットという立場は変わらないらしい。
「おかげさまで。いやあ、それにしても言ってくれればよかったのに。神様にはお世話になってるからさ、来たいと言われたら二人分のチケットを用意したよ」
 二人分という単語に、胸のどこかが微かに痛む。しかし、今は気にしてはいけない。
 笑顔には笑顔で返し、心中を覆い隠す。
「ああ、それは残念です。もし良かったら、今度はお願いしますね」
「あいよ、任せときな!」
 威勢のいい返事は、とても好感が持てる。こういう白黒はっきりした所が、あるいは経営者に向いているのかもしれない。早苗がそんなことを思っていると、先行していた神奈子が頬を膨らませながら戻ってきていた。
 少し放っておきすぎたらしい。苦笑しながら、神様の元へと戻る。
「もう、一緒にいないと駄目じゃない! 今日は人も多いんだからさ、迷子になったらどうするの!」
「すみません」
 迷子になる確率は、確実に神奈子の方が高い。さすがに泣いて助けは求めないだろうけど、かなり不安になるのは間違いなかった。見てみたいものだけど、それだけの為に姿を隠す気にはなれない。
 大切な人の姿が見えなくなる苦しみを、早苗は既に経験してしまったのだから。
「ほら、行くよ!」
 強引に、腕を掴まれる。さっきとは真逆の状況なのに、主導権を取り返してやろうという気持ちにはなれない。神奈子に連れられ、早苗はアトラクションの方へと向かった。
 出来ればもっと、この温かい感触を確かめていたい。そんな気持ちを抱きながら。
「あれに乗りましょうよ、あれ! 火車ジェットコースター、灼熱地獄行き!」
 必死で抵抗したのは言うまでもない。










 遊園地を満喫し、神社へと戻ってきた。早苗はすぐさま紫の家へと向かい、彼女の質問に答える。
「随分と楽しんでいたようだけど、神奈子の居る世界に決めたのかしら?」
「いいえ、答えはまだ出ていません」
「そう……」
 急かすでもなく、紫は静かに呟いた。彼女が何を思っているのか、早苗の頭では想像もつかない。ただ、少なくとも良くしてくれているのは事実だ。別に早苗がどうなろうと、紫には関係ないのだから。
 選択肢を与えてくれたことには感謝の念を抱いている。
 紫の家から戻り、夕食を作り、お風呂に入り、神奈子へおやすみの挨拶を送る。
「八坂様、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
「それと、今日は楽しかったです。本当にありがとうございました」
 照れくさそうに頬を掻き、神奈子は笑った。
「お礼を言うのはこっちだよ。今日は本当に楽しかった。ありがとう」
 部屋に戻っても、目蓋の裏には神奈子の笑顔が焼き付いている。
 顔を枕に押しつけ、早苗は神奈子の名前を呼び続けた。
「うっ……ぐすっ……八坂様……」
 泣いて泣いて泣き疲れて、ようやく早苗は眠ることができたのだ。










 今日は雨の日。
「諏訪子様、外で遊びましょう!」
 口を酸っぱくして遊ぶなと言っていた早苗が、まさかの心変わり。狐にでも憑かれたのかと、諏訪子は驚きを隠せない。
「いつも怒ってばかりじゃいけないと思いまして。諏訪子様がどうしてそこまで外で遊びたがるのか、調査することにしました」
 諏訪子と遊ぶ為の方便ではあるが、気になっていたのは事実だ。早苗からしてみれば、わざわざ濡れたくなる心境が理解できない。川遊びや海ならともかくとして、どうして雨に打たれないといけないのか。
 早苗の言葉に、諏訪子の顔色が変わる。神奈子と違って、諏訪子はさほど騒いだりはしない。もっともそれは平素の話であり、雨が降れば性格は反転する。神奈子は静かになり、諏訪子がはしゃぐのだ。
「そうかそうか! とうとう早苗も雨の良さに目覚めたんだね。うんうん、雨は良いよ。雨は」
 子供のようにまとわりつき、外へ外へと引っ張っていく。二柱とも普段は神様らしくしっかりしている所もあるのに、好きなものを見ると途端に子供のように変わるから面白い。
 薄暗い空からは、容赦なく雨が降り続いていた。遠くの山には霞がかかり、地面もぬかるんでいる。傘をさしてすら出歩きたくない所へ、これから足を踏み入れる。濡れることも覚悟のうえで、今日は下着もつけていなかった。
「ところで、これはどうやって遊ぶんですか?」
 雨へと身を乗り出す前に、根本的な質問をする。得意気に薄っぺらな胸を張り、効果音が付きそうな勢いで諏訪子は天高く空を指さした。
「まずは雨を体感すること。これ無くして、雨を語る事なかれ」
「は、はぁ……」
 雨の日に上機嫌なのは知っていたが、こうも興奮しているだなんて。気づきもしなかった。
 諏訪子は先導するように外へ飛びだし、あっという間に服をびしょびしょに濡らす。帽子もシミだらけになり、見ているだけで重そうだ。
 早苗も飛びだそうとしたが、どうしても一歩目が躊躇われる。これまで、何度も雨を避けるように生活してきたのだ。いきなり濡れてみろと言われても、そう簡単に踏み出せるものではない。
「早苗。常識に囚われちゃ駄目だよ!」
「そ、そうですね。この幻想郷では常識に囚われてはいけないのですね!」
 ちなみに幻想郷でなくとも雨は降る。
 意を決し、早苗は雨が吹きすさぶ外へと身を躍り出した。髪の毛が濡れ、隙間から頭皮に水がしたたり落ちる。額を伝った水滴は、眉毛を避けて鼻を避け、顎から地面へと垂れ落ちた。
 入浴している時とはまた違った、服が芯まで濡れていく感触。まるで禁忌の果実を食べてしまったような、背徳感たっぷりの興奮が早苗の心に渦巻いていた。
 べっとりと肌についた服が、今は何故だが気持ちいい。
「どうだい、早苗。これが雨だよ!」
「これが、雨……」
 手のひらを空に向け、落ちてくる雨を溜めるように広げた。指紋が川のように水を運び、腕から生暖かい水が早苗の腋を通り越して袴を裾まで濡らす。かつて、これほどまでに服を濡らしたことがあっただろうか。
 不思議なものだ。ただ濡れているだけなのに、こんなにも楽しいだなんて。
 諏訪子が気色ばむのも、無理からぬ話であった。
「早苗はいま、雨を愛する者として大きな一歩を踏み出した。初めて自ら雨に打たれた感触は、どれだけ技巧を凝らしても越える事ができない感動を持っている。出来ることなら記憶を消して、もう一度雨に打たれてみたかったよ」
 昨日までの早苗なら、何を馬鹿なと呆れていただろう。
 だが、どうだ。この感動。この喜び。
 生涯の中で、これほどの歓喜を味わえる瞬間があるのかと問われれば、早苗は返答に困るだろう。今は感動に打ち震えているが、しばらくしたら早苗も諏訪子と同じ事を思う。ああ、出来ることならあの感動をもう一度。
「だけどね、雨に打たれて喜んでいるだけじゃ素人さ。玄人ってのはね、雨だけじゃなく泥も楽しむもんなんだよ」
「ど、泥ですか……」
 雨に打たれる禁忌でも足が震えるというのに、更に泥にまみれろと言うのか。それはもう禁断の林檎などでは表現でなきない、いわば禁断のメロン。素人が迂闊に手を出せば、返り討ちに遭うのは目に見えている。
 だが、そこはさすが洩矢の諏訪子。戸惑う素振りすら見せず、思い切り地面に向かってダイブを決める。紫蘇色の服装が、泥にまみれて茶色に変わった。
 綺麗な金色の髪も、今ではすっかり見る影もない。しかし、早苗はそれを汚いとは思えなかった。雨が降る中でサッカーの試合に燃える小学生のように、諏訪子の身体からはそれを存分に楽しんでいるオーラが発せられていた。
 真に美しいものは、汚れてこそ価値がでる。まるで、そう言っているかのように。
 早苗は決意した。今日は、とことん楽しんでやるのだと。
「諏訪子様、私もいきます!」
「おう! 頑張れ早苗!」
 躊躇えば、決意が鈍る。考える暇も与えず、思い切り地面に向かって早苗は飛んだ。
 腹を擦りながら、地面の上を滑っていく。身体中が泥にまみれていく感触は、雨で洗い流されるのとは違った感触であるが、どちらも同じぐらいに楽しい。
 起きあがった早苗の顔には、諏訪子と似たような笑顔が浮かんでいた。










 服を脱いで、洗濯機に放り込み、身体を隅々まで洗い流してから紫の家へと向かう。諏訪子は遊び疲れたらしく、居間で大の字になって寝ていた。
「随分と雨を満喫していたようだけど、答えは出たのかしら?」
「いいえ、まだです」
「そう……」
 楽しい二日だった。そして気が付けば、明日はとうとうタイムリミット。答えを出さなければ、運命が勝手に早苗の未来を決めてしまう。
 自分の未来は、自分で決めたい。早苗は明日中に結論を出すつもりだった。
 いや、その言葉は正確ではない。結論など、神奈子と遊ぶ前から出ていたのだから。
 明日は単に、それを紫に告げるだけ。
 紫の家から戻り、諏訪子を起こし、夕食を作り、お風呂に入り、おやすみの挨拶を送る。
「諏訪子様、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
「それと、今日は楽しかったです。本当にありがとうございました」
 諏訪子は早苗の頭を小突いた。
「甘いよ、早苗。あれぐらい雨の本質を知った気になっちゃいけない。これからもっと、早苗には雨の楽しさを知って貰わなくちゃいけないんだからね」
 部屋に戻っても、諏訪子の言葉が耳の奥まで根付いてしまった。
 約束というものが、これほどまでに辛いものだとは。経験したくはなかったのに、運命というのはかくも残酷な思想を持っている。
 顔を枕に押しつけ、早苗は諏訪子の名前を呼び続けた。
「すん……ごめんさない……諏訪子様……」
 謝りながら泣き、泣きながら謝り。疲れた頃に、ようやく早苗は眠ることができたのだ。









 今日は曇りの日。
 晴れでもなく、雨も降らない中途半端な天気では二柱とも姿を現してくれないらしい。正直なところ、そのことに早苗はほっとしていた。最後の最後まで、どうしても決められないことがあったのだから。
 いってきますの挨拶は、どちらの神様にしたらいいのか。それだけは、朝になるまで判断ができなかった。
 どちらもいない曇りの天気に、今だけは感謝しておく。
 自分にいってきますの挨拶を送り、紫の家へと足を向けた。最終日だというのは、当然のごとくあちらも知っている。昼もまだ迎えていないというのに、紫は早苗を待っていた。
「その顔だと、決断はしたようね」
「はい」
 鏡を見てこなかった。だから、自分がどんな顔をしているのか分からない。ただ、少なくとも後悔している表情ではないだろう。この二日間、思う存分に楽しんだ。
 真剣な眼差しが、早苗を射抜く。
「それで、どちらの世界を選ぶのかしら?」
 悩み悩んで出した結論。たとえそれが間違っているとしても、早苗はもう撤回するつもりもなかった。どれだけ悩んだところで、誰に何かを言われたところで、どうせ辿り着く結論は一つしかないのだから。
 出来るだけ明るく振る舞おうと笑顔を浮かべ、早苗は口を開く。
「私が選んだのは……」
 そして次の言葉を言おうとした瞬間、いきなり紫が待ったをかけた。
 伸ばされた手が、早苗の言葉を防ぐように二人の間を遮っている。一体、どうしたというのか。
 戸惑いつつも、理由を尋ねようとする。
「あの……」
「外よ」
「外?」
 言われるがままに、早苗は外を見た。今朝方の曇り空はすっかり吹き飛ばされ、見るも鮮やかな快晴が広がっている。今頃はきっと神奈子が、境内あたりで寝直していることだろう。
 しかし、それだけだ。外を見たところで、何か変わったところはない。
 これが一体なんだと言うのか。疑問を持ち始めた辺りで、早苗は自分の目を疑った。
 快晴の空から落ちてきたのは、紛れもない雨粒。太陽が顔を覗かせる空から、土砂降りのような雨が降ってきたのだ。
「こ、これは……」
 天気雨。別名を狐の嫁入り。
 晴れなのに雨が降る現象を、俗にそう呼ぶことがある。そうそう見られるものではなく、珍しい現象に早苗は見入っていた。
「あっ、おい!」
「えっ、あれ?」
 聞き慣れた声がする。なにげなく、早苗は振り返った。
 紫の両側に、神奈子と諏訪子が座っている。驚いた顔をしながら、無表情の紫を睨み付けていた。
「や、八坂様に諏訪子様?」
「ちょっと紫! なんで早苗もいるんだよ! 後でこっそり教えてくれって言ったじゃないか!」
「そうだよ、これじゃあ全部台無しだ」
 口々に文句をぶつけても、紫の表情は崩れない。二柱とも、何か紫に頼み事をしていたのだろうか。
 早苗は思い出した。紫に事情を話した時に感じた違和感を。
 もしも早苗が神奈子と諏訪子のいる世界を行き来しているのだとすれば、どうにもこれは奇妙な話になる。神奈子のいる世界の紫に事情を話したところで、それを諏訪子がいる世界の紫は知らないのだ。
 とすればまさか、自分は世界を移動などしていなかった?
 それとも、単に紫も世界を移動していただけなのか。
「お二柱とも! こ、これはどういうことなんです!」
 戸惑いを怒りに変えて、あわてふためく二柱を容赦なく責め立てる。
「まさか世界を移動しているってのは、嘘だったんですか!」
「いやいや早苗。それは本当だよ。紫に頼んで、そういう世界を行き来させて貰ってたんだよ。だから各世界で何かあったのか、私らはまったく知らない」
「そうそう。私らはたださ、早苗がどちらの神を好きなのか。それだけが知りたかったんだよ」
「あっ、おい馬鹿!」
「しまった」
 諏訪子の口を塞ごうとしても、もう手遅れだ。こんな馬鹿げた真似をした理由も、早苗の耳まで届いてしまった。
 要するに、これは二柱がしていた喧嘩の延長戦なのだ。どちらが早苗に好かれているのか、その決着をつける為にああいう状況に放り込んだのだ。そうすれば、確実に早苗は結論を出してくれるだろう。
 二柱の考えが手に取るように分かる。だからこそ、腹立たしさも人一倍だ。
 何だったのだ、あの悩んだ日々は。胸に誓った決意は。
 そして、自分の出した答えは。
 悲しみと怒りと悔しさがこみ上げてきて、早苗は泣きながら二柱を追いかけ回す。
「お二柱とも今日という今日は許しません! 八坂様は一ヶ月お酒抜き! 諏訪子様は一ヶ月雨の日の外出禁止です!」
 逃げ惑いながら、二柱は口々に悲鳴をあげる。
「そ、それだけは勘弁してくれ!」
「雨の日に外出出来なかったら、いつ外出すればいいんだよ!」
 遠慮無く、容赦なく、早苗は言い切る。
「問答無用です! それと二柱とも、晩ご飯は抜きですからね!」
 怒りも悲しみもあったけれど、嬉しさがあったのもまた事実。
 早苗は自らが選んだ答えを、実行できなかったことに心底から安堵していた。
 そして、こうやって二柱を追いかけ回せることにも喜びを感じている。
 ただ、それと許すかは別の話で。二柱には当分の間、苦しい生活を送って貰わなければならないだろう。
 神様にも、罰が必要な時代なのだ。










 いつのまにか傍らにいた藍が、三人には聞こえないよう小声で話しかけてくる。
「さすが紫様です。早苗の決断を見抜いていたのですね」
 外を見つつ、何も答えない。それを肯定と受け取ったのか、藍は自分の考えを語り始めた。
「私も橙と紫様を天秤にかけられたら、間違いなく同じ答えを選ぶでしょう。どちらか一人を選ぶことなんて出来ない。だからいっそ、自らの命を絶つと」
 毒か縄か、いずれにせよ自殺の方法など限られている。どれも苦しく、一筋縄では死にきれないだろう。それでも、早苗はそんな道を選ぶしかなかった。
 どちらか選ぶのではなく、選択することを放棄したのだから。藍の言うとおり、あのまま答えを聞いていたら早苗は命を絶っていただろう。それがこの場でなのか、それとも帰宅してからなのかまでは把握できないけれど。
「物騒な考えね。私と橙を秤にかけたら、躊躇わずに橙を選びなさい。そもそも、私が大人しく天秤に乗っているような妖怪だと思う?」
「……私の考えがあさはかでした。以後、気を付けます」
「まぁ、そうあっさりと納得されたくも無いんだけどね」
 乙女心は複雑なのだ。
「ただ、私は別にあの子を助けようと思って止めたわけじゃないのよ」
 訂正の言葉に、藍の顔色が曇る。助けようとしたわけじゃないのだとすれば、どうして止めたりしたのか。質問を聞かずとも、式神の考えは全て分かっている。
「言ったでしょう。外をご覧なさい」
 天気雨はまだ続き、もう少ししたら空には虹がかかることだろう。
「これが、何か?」
「晴れたら諏訪子が消え、雨が降れば神奈子が消える。そして曇りの日に二柱とも消えるのなら、天気雨には二柱とも出すべきだと思わない?」
 出した結果として計画がばれてしまったのなら、それはもう続ける意味などない。早苗には大人しく、元の世界に戻って貰おう。もっとも、既に戻っているようなものだが。
 早苗には戻る方法など無いと言ったが、厳密には存在していた。確かに神奈子のいる世界と諏訪子のいる世界だけを見たならば、そのどちらにしか定着させることができない。しかし、人間の可能性はたかがだか二つで収まるようなものではないのだ。
 無限に連なる世界の中で、元の場所さえ覚えていれば戻すことは単調な作業でしかない。
「では、そういう事にしておきます」
「何か含んだような言い方ね。まったく、誰に似たのかしら」
「式神は主に似ると言われています」
「初耳よ」
 天気雨の下で、三人が仲良く走り回っていた。どことなく、それぞれの顔が楽しそうに見えたのは紫の気のせいだったのか。
 確かめる気にはなれない。
「秋の空は移ろえど、巫女の心は移ろわず」
 それはそれは、羨ましい話ですわ。
 誰にも聞こえないよう、小さな声でそう呟いた。
 
 
 
 
 
 今度は三人で、遊園地に行ったり雨に打たれたりしたそうです。
八重結界
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作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/11/21 12:54:23
更新日時:
2010/01/20 21:54:03
評価:
22/22
POINT:
129
Rate:
1.34
1. 7 バーボン ■2009/11/24 20:38:25
早苗が決断するのが早過ぎるような気がしました。それも自殺だなんて大層な結論なので読み終えた後だと尚更。
事の真相も案外拍子抜け……でしたが、しかし二柱を魅力的に描けていたのは大きいと思います。描写も綺麗でしたし。
それだけに、話の展開の仕方が非常に惜しいと感じてしまいました。
2. 7 リーノ ■2009/12/01 11:41:36
1つを選んで他を捨てるか、大切なモノを残して自分が消えるか、難しいですね。
自分の一番が1つとは限らない。もし、その中から1つを選べと言われた時自分には早苗さんのような決断は出来ないだろう。
3. 7 神鋼 ■2009/12/06 03:45:05
条件の時点で天気雨を使ってくると予想してましたが、途中でバッドエンドになりそうな雰囲気がしてきてハラハラしました。
4. 10 nns ■2009/12/08 20:28:34
乙女を泣かせるとは悪い神様だぜ
5. 7 いすけ ■2009/12/25 05:49:25
よく考えられたお話だったと思います。
ただ、早苗がちょっと重すぎた気がします。あるいは、二柱が軽すぎたのか……。
これは、あくまで一個人の主観ですけど、そういう印象を受けました。
6. 6 藤木寸流 ■2010/01/04 01:25:13
 大団円なんだけど、なんかこうしっくりこない感じ。結末があっさりしすぎ。
 あとは、二柱がやってたっぽい喧嘩の伏線がなかったのが気になりました。いつも喧嘩してるってことなのかもしれませんが。
 話としてはすらすら読めました。
7. 8 静かな部屋 ■2010/01/05 11:22:43
ああくそいいなこれ!
8. 3 パレット ■2010/01/10 04:58:48
 良い、のですが、なんとなーくちんまりとまとまってしまった感が……。綺麗にまとまっているけれどちんまりしてるというか。
 タイトルも含めてほんとうまくできてるのですけど、もう一捻りほしかった……というのは曖昧な上に贅沢かもしれませんが、そのへんが本音ではあります。
9. 8 白錨 ■2010/01/10 08:58:59
二柱が姿を消して。必死になる早苗さんの気持ち。二柱を崇拝する気持ちが伝わってきた作品でした。序文の「なぜ」から「どうやって解決するんだろう」という流れに持ち込めていた良い作品だったと思います。
紫の天気雨の使い方も適確でした。
10. 5 椒良徳 ■2010/01/11 17:55:30
>濡れることも覚悟のうえで、今日は下着もつけていなかった。
ほほう。下着もつけずに巫女服を着て、わざとずぶぬれになると。それはそれは大変興味深い。
良ければ拙僧も参加させてはもらえないかな?

それはさておき、申し訳ないですが正直微妙な作品ですね。
前触れもなく平行世界に移動してしまうという設定はかなり無理を感じましたし、
その違和感を吹き飛ばしてしまうような勢いも説明もない。
早苗の感情の描写も若干不足気味なので、
最終的になぜ早苗がこの結論に至ったのかさっぱり判りませんでした。
(もっとも、藍が勝手に推測しているだけなのかもしれませんが)
あちらこちらに小ネタをちりばめているあたり、
色々と考え、工夫して書いたSSだということは推察できるのですけれども、
残念ながら作品の面白さに結びついていないと思います。
くどくどと書いてきましたが、一言で言うと薄っぺらい作品のように感じます。

とはいえ、駄作かというとそういうこともないのでこの点数をつけさせて頂きます。
11. 4 ホイセケヌ ■2010/01/13 16:01:57
、゙、コハタス醺Q、ャヘサw、ヌ、ト、、、ニ、、、ア、ハ、ォ、テ、ソ。」
SF、ネ、、、ヲ・ク・罕・、ャ、「、、ホ、タ、ォ、鬘「、ウ、ヲ、、、ヲヤ潰ヤフ螟マユ荀キ、ケ、ョ、、ネ、マヒシ、、ハ、、、ア、、ノ。「ヘチフィ、ヒ翻キス、ネ、、、ヲ、筅ホ、ャ、「、、ホ、ヌ。「、ハ、ォ、ハ、ォ、ウ、ホヤ彫ヒ、ト、、、ニ、、、ッ、ホ、マy、キ、、、ネヒシ、テ、ソ。」、ウ、ホヤ彫ヌ。「ネヒ、、筅テ、ネメ、ュ゙z、゚、ソ、、、ハ、鬢筅テ、ネホトユツチソ、沿、荀キ、ニ。「携クミ、ャ悋、ッ、隍ヲ、ハ・ィ・ヤ・スゥ`・ノ、ハ「、゙z、、ヌ、ロ、キ、、、ネヒシ、ヲ。」
、゙、ソ。「、チ、遉テ、ネモ靠、マ、キ、ニ、、、ソ、ア、ノ。ュ。ュ、「、ス、ウ、゙、ヌ据、゚、ヒ据、、タスYケ、ホ・ェ・チ、ャ、ウ、。「、ネ、、、ヲ、ホ、マ、チ、遉テ、ネエ壥、ハ、オ、ケ、ョ、、ネ、、、ヲ、ォ。」・マ・テ・ヤゥ`・ィ・・ノ、マコテ、ュ、ヌ、ケ、ア、ノ。」
12. 3 詩所 ■2010/01/13 21:55:20
 神様自分勝手すぎだろ。
 あと空気読んだゆかりん乙でした。
13. 5 葉月ヴァンホーテン ■2010/01/13 23:21:44
お世辞にも後味のいい話だとは言えませんでした。
やっていいことと悪いことの区別すらつかない二柱なのかなぁと。
ただ、「私と橙を秤にかけたら、躊躇わずに橙を選びなさい」というセリフには、思わず喉が詰まりそうになりました。
やっぱり紫は愛に溢れている。
14. 5 deso ■2010/01/14 01:24:33
アットホームだなあ。
面白かったんですが、オチはちょっと弱いかな。
この予定調和も味のうちなのですが。
15. 7 零四季 ■2010/01/14 21:36:18
展開は読めたけれど、素直に楽しませてくれる作品で面白かったと思います。
神様たちは調子に乗り過ぎ。早苗さんをいじめてはいけません。
16. 7 2号 ■2010/01/15 08:59:34
守矢の家族は本当に仲がいいですね。
作中でも明らかにされてませんでしたが、多分早苗は命を絶つという選択は取らないと勝手に思いますー^^
17. 8 やぶH ■2010/01/15 19:00:25
タイトルと愉快な世界観で、ギャグかコメディかと思いきや、意外にシリアスな展開で驚きます。
それでもストーリーはしっかりしていて、読者を飽きさせずにオチまで引っ張っていける面白さがありました。
ただ早苗さんが最後に下そうとした決断は……。これ私的に、選択からの逃避にしか思えません。
もちろん作者様がそのような意図で書いたのではないと承知していますので、ここは将来のためにも、神様二柱だけでなく、早苗さんにしっかり反省してもらいたいところです(←何様)
18. 5 Tv ■2010/01/15 19:52:36
途中で話が読めてしまいましたが、話そのものは普通に面白かったのでこの点で。

あと、誤字の報告を。
>敬遠難にあった
19. 6 時計屋 ■2010/01/15 22:11:03
 実に綺麗にまとまっています。
 出だしが強引かな、と思っていたのですが、最後まで読み終えてみると納得できました。
 しかし早苗がどんな心境か知っていてあの態度だったのならちょっと酷いような。でもまあ、いいのか、神だし。
 コメディ部分とシリアス部分が今一つ溶け合っていない気もしましたが、それ以外は文章・構成共に良かったです。
20. 7 如月日向 ■2010/01/15 22:46:13
 物語中盤からぐいぐい引き込まれました。晴れの日は神奈子、雨の日は諏訪子。そして天気雨は二柱。天気雨の件がお洒落ですねっ。

〜この作品の好きなところ〜
 早苗と神様の位置関係がとてもよかったですっ。
21. 1 木村圭 ■2010/01/15 23:01:08
両親を早くに亡くして残される者の辛さを知っているはずの早苗が、こんな簡単に死を選ぶのは不自然が過ぎます。
せめて(少なくとも自分の力では)帰れないことを確かめてから自殺に走っていただきたい。
22. 3 ■2010/01/15 23:46:05
前提条件が強引だなぁ、と。
ツッコミどころが多いが形にならない……あー、そうだ、極端なんだな。いろいろと
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