雨と悪魔

作品集: 最新 投稿日時: 2009/11/21 19:30:27 更新日時: 2009/11/21 19:30:27 評価: 17/18 POINT: 85 Rate: 1.22
緋のマントが目の前でさっと翻る。

「やめた」

外行きの緋色の外套をカーペットの上に放り出してお嬢様が一人ごちた。
私はそれを畳みながら聞く。

「どうなさったのですか?」

「なんかめんどくさくなっちゃったわ、それにホラ」

お嬢様はそう言って指先を窓の外に向ける、指す先にはじっとりと湿った雲が浮かんでいた。

「貴女楽しみにしてたのでしょう、宴会、美鈴でも連れていってきなさいな」

そう言ってお嬢様は気だるげに笑った、見た目に似合わぬ婀娜っぽい笑みだった。
お嬢様は伸びあがると私の頬にキスをして、そのまま寝室に引っ込んでいってしまった。






神社の桜の木は今が見ごろだった。
美鈴はもう既にしたたか酔って参加者に抱きついて回っていた。
宴会好きの幻想郷の住人達は盛んに歓声を張り上げ、アルコールの匂いをまき散らしていた。
酒好きの子鬼は、乾杯、乾杯と叫びながら人妖の間を走り回って生きた酒袋の数を増やしていた。
私はそれを観察する側に回るつもりでチビリチビリと舐めるように飲んでいたのに突然私の隣にどっかと座りこんだ白黒の魔法使い、霧雨魔理沙がそれを許すはずもなく私もすっかり出来上がってしまった、酔っ払いを観察するという当初の計画は自分が酒袋の一人になる事によってすっかりご破算になった。
だからと言って悪い気はしない、私はこの人間の魔法使いが好きだった、、ここにいるのは妖怪と私も含めて人であって人ならぬ身の者達である、その中にあって彼女は一番人間らしい、豪放磊落に振舞う彼女がたまに見せる陰のある表情が私は好きだった、無理をしてがらっぱちを装う彼女をどこか昔の自分と重ねていた。
そんな思考も遥か彼方に置き去って酔いは回る、飲みは加速する。

「愛してるぞぉ、咲夜ぁ〜」

眩しいほどの笑顔を顔に張り付けて魔理沙が私の首に腕を絡めて酒いきれとキスの嵐を浴びせてくる。
私は投げやりにこう答える。

「あー、ミートゥー、ミートゥー」

「なんだそりゃあ?」

私はニッと笑って言う。

「私も愛してるってことよ!」

私は腕を絡め返して、おまけに押して倒してキスの雨を浴びせた。
酔っ払いの中から歓声や野次がごちゃ混ぜになって湧き上がる。

「解った、解った、そいつは結構!おい、勘弁してくれ!」

魔理沙は腹を抱えて笑う。
私も理由の明確じゃない大笑いで応じてそのまま仰向けに倒れた、春の湿気を含んだ空気が私の皮膚の上でまろやかになってゆく、こんなに正体を失って飲んだのはいつ以来だろう。
私は時折重たそうに体を引きずって歩く雲の隙間から現れる春の日差しの烈しさに顔をしかめたり、風に流れてゆく桜の花びらを目で追ったり、体の上を渡ってゆく風に神経を研ぎ澄ましたりして私は時間を過ごした。
そうしているうちに春の雨が一滴、二滴と雲から滴って来た、熱を孕んで乾ききった体を冷まし潤してくれる雨に暫く当たっていたかったが幾らもしないうちに介抱係がやってきた。
ハテ、こいつは誰だ?確か山の神社の東風谷早苗!現人神もなかなか大変だ、そんなことを考えていると私は半ば無理矢理立たされた、体が浮き上がるような感覚、どこかにつなぎとめておかねば地平線を超えてどこまででも飛んでいくと思えるような浮遊感、一歩踏み出すごとに湿気た土が足の裏で跳ねた。
建物の中の木の床に乱暴に放り投げられる、木の床の心地よい粘り気を頬に感じた、私が床に張り付いているのか床が私に張り付いているのか解ったもんじゃない。






目を覚ますともう日は落ちていた。
神社の外の闇の中では花びらを身に纏った桜の枝だけが雪のように白かった、そのまま桜の木を眺めながら飲み直して行きたかったが。
いけない、帰らねば。
私は慌てて身を起こした。
よく見れば、外では春の雨が地面を濡らしている、溶け残った雪ももうこれで終わりだろう。
まだ威勢のいい連中は中で大騒ぎしている、一人脱落した奴が襖を開けてよろぼいでてきた、魔理沙だ。

「もう飲めない…」

壁や柱に手をつきながらおぼつかぬ足取りで歩いてくる、ジグザグに足を運びながら歩いてくる、壁と服が擦れる音が彼女について回っていた。

「大丈夫?」

魔理沙はこちらに視線を向け疲れたような笑顔を一瞬浮かべてから首を振りながら言う。

「全く…」

私はなんだか放っておけなくて肩を貸して一緒に雨の道を歩き出した、傘など無いから雨に打たれるままである、魔理沙には良い酔いざましだろう。
魔理沙の華奢な体が泥濘に足を取られて揺れる。
私はそれを支えながら歩き続けた。
夜の森の中をふらふらと歩いて行く、木の葉が闇の中で雨に濡れて瀬戸物の様な暗い光を放つ。
森が少し開けたところそこに魔理沙の家はあった。
ドアを押しあけ酔っ払いを押し込む。
魔理沙にコップ一杯の水を飲ませてその体を寝床に横たえてやった。

「それじゃあ帰るわ」

私が言うと呻くように魔理沙が口を開く。

「待て、雨が上がるまでここに居てくれ」

魔理沙はよろよろと立ち上がり、覚束ない動作で暖炉に向かう、火を入れようとしているのだ、酔っ払いにそんな事をさせて怪我をされるのも後味が悪いので、慌てて魔理沙をベッドの上に強制送還して私が暖炉に火を入れ、お湯を沸かす。

「お茶の葉ある?」

寝床の上で空を指でさしながら魔理沙が言った。

「キッチンの戸棚の中…」

戸棚の中を開けるとお茶道具一式が大事にしまわれていた、私は意外に部屋が片付いている事に驚いた。
私はお茶を入れた、酔い覚ましには意外に暖かいお茶がいいのだ、寝床の上で天井の任意の点を見つめて呻く魔理沙の体を起こすと手に紅茶のカップを握らせる、普段は喧しい奴だがこうしておとなしくしていると可愛らしいものだ、そんな事を思いながら私は暖炉のそばで雨に濡れた体を温めた。
暖炉の炎の温かな光を浴びながら私達はしばらくそうして紅茶を啜っていた。
一向に上がらない雨に私は痺れを切らして腰を上げた。
魔理沙はゆっくり立ち上がると黙って私に傘を差し出した。

「ありがとう」

そういって私はその黒い傘を受け取った。
玄関を出て黒い傘を広げる、傘の布地の向こうで月が輝いている、黒い傘がほんのりと白く染まった。

「咲夜」

「何?」

「悪かったな」

俯き加減でそう言った魔理沙の顔は夜闇の中でもそうと解るほど赤かった。

「何のこと?」

しどろもどろになりながら魔理沙は言った。

「酔っ払ってたとは言え、あんな事して」

私は傘をクルリと一回転させて答える。

「良いわよ、私、貴女の事嫌いじゃないもの」

魔理沙は更に顔を赤くして俯いた。

「必ずこの傘返しに行くから」

もう一度傘をクルリと回す。
私は魔理沙に会いに行く口実が出来た事を嬉しく思いながら雨の小路を歩いて行った。
この春の雨の中での出来事が私達の関係の始まりだった。
その後、私達はお嬢様の目を盗んで決まって雨の日に会い続けた。
私達は春の雨の日を共に過ごした。





















私は窓の傍で、物憂げに雨を眺めていた、板張りの床が湿気をつなぎに足に張り付く。
幻想郷は梅雨入りしてすっかり雨が増えた、数多い雨の日の内何回かに一回、私はこうして魔理沙の家で過ごしている。

「暑い…、ジメジメする」

後ろで寝床の上に座る魔理沙が呻くようにつぶやいた。

「しゃあない」

私は窓の外から視線を外して魔理沙の方に振り向いた。

「暇ねえ」

私は魔理沙の頬にキスをする。

「この事、レミリアは知らないのか?」

「ええ」

「こんな事続けて疑われたりしないのか?」

「勿論、お嬢様は私達を疑い始めている、もしかしたら誰か良い人が出来たくらいは気付いてるかもね」

私は魔理沙の首の後ろに手を回す。

「そんな心配そうな顔しないでも大丈夫よ、まだ大丈夫…」

魔理沙の白い肌の上を汗が玉になって滑り落ちていく。

「汗かいちゃったわね、お風呂入ろうよ」

答えが返ってくる前に私は浴室のドアを押し開ける。
こうして私達は夏の雨の日もまた一緒に過ごした。



























白いテーブルクロスはすっかり冷えて私の腕からゆっくりと体温を奪っていた。
私は寒さを感じて湯気の立つ紅茶のカップを両の掌で包んだ。
白い滑らかな陶器の肌は秋の夜空の下で唯一温もりを残している。
微かに紅茶の香りを含んだ湯気が弱い風を受けてよろめいた、よろめいた拍子に香りが夜いっぱいに散らばった。
良い香りだった、それでもカップに口をつける気にはなれない。
あれは秋の香だったのだ、そんなことを考えて一人納得し視線をカップから逸らした。
上に目をやれば氷のように澄んだ空気の向こうで無数の星が瞬いている、星も月も空も木々も川も湖も全てが秋の香りに満ちていた。
そんな素晴らしい夜なのに酷く苛つく。
再び紅茶のカップに視線を戻す、しばらく湯気を見つめていた、そうしているうちに苛立ちは酷くぼんやりしたものになっていた。
風にちぎられてはまた立ち昇り柔らかに揺れる白い湯気が風に吹かれてついに消えた、掌の中の陶器の肌はすっかり冷たくなっていた。
湯気が消え去るとまた苛々とした気持が戻ってきてなんだかやりきれなくなった。
ぬるくなった紅茶のカップを残して私は立ち上がる、紅茶には一口も口をつけていなかった。

「咲夜、少し休むことにするわ」

忠実な従者は小さくお辞儀をしてティーカップをかたずけ始めた。
陶器の触れあうやかましい音は全くない、秋の夜の静けさが破られることはなかった。

「後かたずけが終わったら私の部屋に来て頂戴」

肩越しにそう言って、私はテラスを後にした。
雨が降る、そんな些細な予感が今の私を酷く苛立たせていた。








トントン、ドアをノックする音が聞こえて私は跳ね起きた。
慌ててベッドから立ち上がり衣服の乱れを直し、髪を手櫛で梳いて落ち着き払った声で言う。

「入って」

しかし、思いがけず不機嫌な声になった。

「失礼致します」

私の忠実な従者はそう言うと、小さくお辞儀して私の前まで滑るように歩いてきた、全く音を立てずに歩いてきた。

「何のご用でしょうか?」

その質問に答える前に私は伸びあがり腕を伸ばして咲夜の白く細い首を抱いた、滑らかな白い肌から伝わる体温は紅茶のカップの陶器の肌よりも暖かかった、暫くその様にしていても良かったのだけれども、私はそのままダンスのようにくるりと体を回して、ベッドにドサリ。
ベッドは軟かに私たちの体重を受け止めて、私たちの形が写し取られた様にようにベッドに沈んだ。
急速に五感が鋭くなって行く、色彩は膨らんで鮮やかになり、感覚は剃刀のように鋭くなる、空間が、時間が香りと音に満たされていく。
咲夜の白い髪は重力に従ってシーツの上にパラリと落ちた、吹雪の中の太陽のように美しい銀色の髪だった。
私の腕にシーツの冷たさが忍び寄ってくる、それは骨まで届くと咲夜の体温に阻まれてたちまち歩みを止めた。
息を吸い込むと年頃の女の匂いが肺と言わず頭蓋骨と脳髄の隙間にまで満ちた、痺れたように体中から力が抜けて行って足も腕も自分の体を支えることさえできなくなって、私は咲夜の体にしなだれかかった、女の匂いはさらに濃くなる、働かなくなった頭の中で考えて言葉をひったくると私はゆっくりと口を開いた。

「貴方も死ぬのは怖いでしょう?」

「私の仲間におなりなさいよ」

続けて言ったけど咲夜は答えない、ただ黙って微笑んでいるだけだった。
涼しげな笑顔だった、それは例えば夏の朝の陽ざしのように澄んでいて涼やかで水色だった。
そんな笑顔に心惹かれて、もう一度囁いた。

「貴方に添い遂げて欲しいのよ」

段々と五感が鋭くなる、視覚も鋭くなり、色彩も鮮やかになる、聴覚も嗅覚も鋭くなる、激しい焦りに駆られてもう一度、もう一度囁こうとするのだけれど――――

ひやりとした空気が腕に触れた、一瞬の間に私たちの位置は逆転していた、でも喉元まで出かかった言葉は獰猛に暴れる、そうして私の口を出て行った。

「お願いよ」

自分の哀れっぽい声に愕然とした、顔が熱くなるのを感じた。
咲夜は答えなかった、水色の笑顔のまま立ち上がると優しげな手つきで私の上に毛布をかけた。
ゆっくりとした動作で咲夜は毛布の中に入ってきた、暫くそうして黙っていたが不意に口を開いた。

「お嬢様」

「まずは最初の質問にお答えします、死ぬのはきっと怖いでしょう、それでも今はそれを意識するようなことはありませんので平気です」

「次に素敵な御誘いはお断りさせていただきます、私は太陽が好きです、雨が大好きです、だから、私は人間でいます」

もう恥ずかしさで言い返す言葉など出やしなかった、咲夜は言い終えるとまた黙ってしまったが思い出したように言った。

「それでも今は貴方のそばにいますよ、貴方が眠るまではきっと傍にいます」

そう言いながらも咲夜は屋根の上に耳を澄ませていた、雨を待っていた、そんな咲夜を見ているのが悔しくて悲しくて私は目を閉じた、目は酷く冴えていて眠れやしなかったけど目を閉じた、暫くそうしていると細かな雨の粒が屋根をたたく音が聞こえ始めた、それからしばらくして雨の粒が大きくなると隣にいた気配が消えた、部屋が暗くなる、闇の中で咲夜の残り香が膨らんでゆく、体温の残ったシーツに手を触れる、暖かかった、涙が出そうになって目を閉じた。
咲夜が私に見せる笑顔はいつも水色、私は燃えるような赤が好きなのに。
鋭くなった五感は良く懐いた猫のようにあらゆる物を捕まえてきた。

秋雨に騒ぐ虫の声、雨中に冴える月の光、石畳の上に爆ぜる女の足音、踊るように楽しげな女の足音、情熱的で赤色の女の足音!

閉じられた瞼が涙をせき止める、せき止められた涙がひとしずく、ひとしずく零れ落ちた、もう止まらなかった。
私の涙を見たものを私は許しはしないだろう。
見栄だけは捨てたくなかった、それを捨てたらお終いだった、それを捨てたら私じゃなかった。
もしも今、誰かが部屋に入って来たならば私はそいつを殺すだろう!きっと殺すだろう!











雨の中を走って行った、雨音に交る私の足音は自分でも驚くほどに不規則だ。
雨にぬれた石畳の上をよろめきながら走る、ただまっしぐらに走る。
玄関でひったくるようにコートを羽織って、黒い蝙蝠傘持って、今、私はここにいる!十六夜咲夜はここにいる!生きているのだ!
リビングのパチュリー様に礼を言うことも忘れ、彼女のどこか厭世的な目に一瞥することも忘れ、今、私は走っている。
石造りのアーチ門を抜ける、邪魔になった蝙蝠傘を中国に投げ与える、中国は心配そうに怒ったように目を細めていた、不貞腐れていた。
門を出て木々の茂る森に入ると雨粒が一気に大きくなった、ボトッ、ボトッと雨音も大きくなった。
木々が集めた雨のしずくが体を濡らす。
風が吹くと森の木々は大きく身震いして大粒の雨を降らせる。
湿気の中で泥の香りが地面から昇っていく。
虫の声が、月影が森の小道を流れてゆく。
木々の連なりがようやく終わって広い場所に出た、小さな小屋が月明かりに縁どられてそこにあった。
ドアノブに手をかけると私が力をかけてそれを開ける前に木製の小さなドアは自ずから軋む音を立てて開いた。

開いたドアの隙間から勢いよく女の細い腕が現れて私のコートの袖を掴んだ。

「正気か?!夜に会いに来るだなんて!」

魔理沙は一度あたりを見回すとそのまま私を家の中へと引っ張り込んだ。
私は柔らかな少女の腕をとって魔理沙の瞳を一瞬だけ見つめて私はそっとその唇を自分のそれと重ね合わせた。

「平気よ、今、外はは雨だもの」

唇をそっと離して囁く。
私は雨にぬれたコートから袖を引き抜く。
艶やかなビロードの布地の上を雨粒は玉になって滑り落ちて行った。
床板の上に水の染みが一つ二つを増えていく。
こうしてコートを掛ける間さえもがもどかしかった。
肩越しに顔だけ向けて私は言う。

「それに秘密の逢瀬は夜って相場が決まっているでしょう?」

魔理沙は不服そうな顔である。

「なんだって傘もささずにくるんだ?」

眉をひそめて魔理沙は言った。
怒ったようなその顔も愛おしいと思った。

「走るのに邪魔だったのよ」

私は髪を振り乱しながら言った。

「風呂、沸いてるぞ」

「魔理沙は入ったの?」

「ああ」

私はその事実を少し残念に思った。

「そう、お借りするわ」

魔理沙はどこかムスッとしていた。
私はバスルームに向かおうと背を向ける。
不意に背中に柔らかな女の重みを感じた。

「あまり…無茶しないでくれ」

私の髪に鼻をうずめて魔理沙は言った。
言葉の端にどこか懇願の色が見受けられた。

「貴方ほどの無茶はしてないわ」

しばらく魔理沙は離れなかった。
私の下腹部のあたりで魔理沙の白い掌はしっかりと結ばれている。
魔理沙の細い腕は持てる力の全てを以て私をここに固定していた。
私はその掌に手を重ねて言った。

「大丈夫よ、貴方より先に死んだりしないわ」

ゆっくりと結ばれた掌をほどき、私は魔理沙の方に向き直ると、魔理沙を抱き締めた、さっき魔理沙がそうしたように持てる力の全てを以て抱きしめた。
顔を近づけるほどに優しく、刺激的な女の香りが強くなる。
鼻腔をくすぐる香りは初心な少女のものだろうか?それとも主人を裏切って恋人のもとに走る性悪女のものだろうか?

性悪女?
そんなのは自分が一番よく知っている、懐に隠したその得物で今まで何人の人間の命を奪った?
両手の指で数えられる数でもないだろう、その殺人鬼が今更裏切りだの忠節だので道徳を恐れるのか?

「一緒に入ろう」

小さな声が私を思考から引き戻した。
真っ赤になった魔理沙に私は小さく笑いかけて言った。

「そうね、お湯が冷めないうちに入りましょう」

私は抱きしめた魔理沙の額に小さく接吻すると浴室に続く小さなドアを押しあけた。
雨が屋根を打つ音が激しくなる、私と魔理沙が会うのは何時だって雨の日だった。
お嬢様に後をつけられる心配のない雨の日が私は好きだった。
雨の向こうで静かに月が沈んでゆく。















朝、山々を躍り超えて迫ってくる太陽の足音が聞こえる時間。
その時間が来る少し前、空に夜色の濁りが色濃く残る頃だった。

「お姉さま、入るよ〜」

喧しいノックの音、フランの物だ、私の意識は一気に覚醒した。
まどろみの中から突然、冬の湖に投げ込まれる、そんな心地だった。

「ちょっと待って」

私はフランがドアを吹き飛ばして入ってこなかったことを神に感謝した。
慌てて鏡を見て目に涙の跡が残っていないか確かめる。
鏡に映った私は平静そのものだった。
問題ない。

「入りなさい、フラン」

ベッドのそばにある古いランプに火を灯して私は言った。
フランは静かにドアを開ける、小さな明り越しの表情を察するに様子は悪くなさそうだった、私は少しホッとして言った。

「今日は一体どうしたの?」

フランは楽しげにベッドの向かいに椅子を持ってきて座る。

「一つお姉さまに教えてあげたいことがあって」

楽しげな様子でフランは続けた。

「知ってる?咲夜が魔理沙の家に通ってること」

ランプの炎が少し揺れた。
心臓に直に齧りつかれたような気分だった。
相手は魔理沙だったのか。

「誰がそんなことを?」

ランプの灯を見つめながらフランは言った。

「館の皆よ、お姉さま以外はみんな知ってるわ」

ランプの炎が風のない部屋で激しく揺れた、小さな炎が踊るように揺れる様を見てフランは小さく笑った。
薄闇の中、炎で照らされたその微笑みは年相応の老獪さを感じさせた。
妖婆め。

「知ってたんだ」

ほくそ笑むようなフランの声。
平静を装うと声が出ない、そもそも何を言うべきかさえ分からなくなっていた。

「ええ」

声は震えてなかっただろうか、そう考えると不安になった。

「皆知ってたなんて、ショックでしょ、だって貴女は実の妹よりも家の面目のが大事な人ですものね」

フランは静かに立ち上がる、そうして私の顔を掌で包むと顔を寄せてきた。
音など何もない部屋の中で頭骨の軽くぶつかる、コツンという音がした。
俯かぬように背筋をしっかりと伸ばす。
目を伏せてしまわぬように視線を上にあげる、無理だ、フランの目を見ることが私にはできなかった。
言い返す言葉も声が震える事を考えると恐ろしくて何も言えなかった。

「実は咲夜が魔理沙と内緒で会っていた事より皆知ってたってほうがショックなんじゃない?」

フランに殺意を抱いたのは初めてのことではない、フランを殺せばあらゆるものが消えてなくなる、妹への恐怖、怒り、一族の醜聞、私を悩ませた物。
ただ、その言葉は耳に届くと同時におぼろげな輪郭を持って私の中に佇んでいたもの――――フランへの殺意が急に手を触れられる程にリアルなものになった。
私はいつだって最悪の姉だった。
私は妹の胸倉を掴むと力任せにドアに投げつけた。
いつもは妹が壊すドア、今日は私が壊した。
私は最悪だ。
悪くてなんぼの悪魔稼業、最悪で何が悪い。
そう、自分に言い聞かせた。










私の背中に木製のドアの金具がはじける感覚が伝わる。
木製のドアの上で倒れ伏していると紅魔館の天井が見えた。
こんなに紅かったんだ、天井を見つめてそんな感慨に耽っているとすぐにお姉さまの華奢な体が視界を遮った、お姉さまの赤い洋服は色が薄くて天井の紅さには遠く及ばない。
私の服は真っ赤だから紅魔館のどこと比べても色あせることはないだろう。
お姉さまは私に馬乗りになっている、見上げる瞳は決して怒り一色ではない、恐れ、悔しさ、悲しみ、哀れみ、紅い瞳を通して私はこれまでの数百年のようにお姉さまのあらゆる葛藤を見ることができた。
お姉さまは私の首に手をかけるのだけど決してその手に力を入れたりはしない。
首筋に触れた白く小さな手から私は後悔を感じ取ることができた。
この優しく可愛らしい人が私よりも少しだけ遅く生まれたなら、こう思ったのは何度目だろう。
これは私が古参の館の者から聞いた話だ、お姉さまにとっては妹が父と母を殺した時、始末すべきだという同族たちや怒りに駆られた親戚が私を殺そうと躍起になっていた時、お姉さまは一人私を助けようと奔走していた、一番私を恐れ憎んでいたのはお姉さまだったのに。
その時のお姉さまを動かしていたのがなんであるかは知らない、もしかしたらそれは天涯孤独に対する恐れだったのかもしれない、もしかしたらそれは妹に対する愛情だったのかもしれない、あるいは義務感?見栄?いずれにしても悪魔らしい理由とは言えない。
咲夜の事一つにしてもらしくない、欲しければ無理やりにでも奪い取る、それが悪魔の流儀なのに。
咲夜!ああ咲夜!大好きなお姉さまをとられるのは悔しいけれどお姉さまがあいつの為に悩み苦しむのはもっと悔しい!
私はお姉さまの背中に手を回しそっと抱き寄せた。
驚き暴れるお姉さまの耳朶を噛むようにそっと囁く。

「お姉さま、フランドールが一つ教えて差し上げますわ」

お姉さまの細い背中の慄きが腕に伝わってくる。

「離しなさい、ただでは済まないわよ」

私はその言葉に構わず続けた。

「花を摘もうと思ったらすぐに摘んでしまうのが人というもの、まして悪魔なら悩むことなど一つもないわ」

そしてこう付け足す。

「機を逃せば花は枯れるだけ、迷わずに摘んでしまえばいいのよ」

ライバルがいるなら始末してしまえば良いだけ、言い終えるか言い終えぬうちに私は体を翻す、私の下敷きになったお姉さまの首筋に牙を突き立てる。
お姉さまの喉から抗議の声が途切れ途切れに吐き出される、そんな事には一向に構わず私は血液を吸い上げた、喉に血液を送りこむたび私の下でお姉さまの体が跳ねた。
飲めるだけ飲み終えると私は虚ろな目を空に向けるお姉さまの体を抱き上げると元の部屋の元の場所、寝台の上にそっと横たえた。
その上から毛布を掛けて、ランプの灯をそっと消す。
そしてお姉さまの額にそっとキスをして言った。

「お休み、お姉さま」

そして部屋を出ようとした時、そうだ、ドアはどうしようか。
直すのはさすがに無理なので部屋の入口にそっと立てかけておいた。
お休みなさい、お姉さま。
心の中で呟く。
窓の外の朝の色は何色だろう、そう思って一度振り返ってみる。
硝子の向こう遥かに目をやれば、昇ってゆく太陽の烈しい色が大気に満ちていた、稜線は燃え上がる炎の色に縁どられ、雲には陽の赤さがしみ込んでいる。
赤色だ、今日は赤色の朝だ。
お休みなさいお姉さま、お休みなさい赤色の朝。
心の中で一度呟いて私は色の無い自分の部屋に戻っていく。
















やられた、確か私はフランに掴みかかった後、逆に噛まれて気を失って、今、こうしてベッドの上に身を横たえている。
体の端々にはまだ熱っぽく心地よい痺れが残っている、眠る気はないのだが起きる気にもなれない、微妙な気だるさが体を羽毛のように押し包んでいた。
往々にして人も吸血鬼も動かなければ考え事をする、私はついさっきのフランの言葉に思いを巡らせていた。
機を逃せば花は枯れるだけ、迷わずに摘んでしまえばいいのよ――――その言葉を思い返すと私は痛烈に自分を罵倒したくなる。
私は咲夜をどうしたかったのだ。
死ぬまで傍に置いておきたかったのか?はたまた自分の所有物の様に独占していたかったのか?
そうだ、その通り、それこそ全て!
いかにも、私は咲夜に浅はかな、浅ましい恋慕の情を抱いているのだ。
深さも穏やかさも思慮も慎みも何もあったもんじゃない、何も生み出したりはしない炎の徒花、一度手を触れたが最後、炎は骨伝いに全身に広がって内側を焼くだけ焼いた後に私を燃え盛る炎の塊に変えてしまうのだ、その炎に優雅な紅みなどどこにも無く、唯、野蛮で野卑た赤さが有るだけだ。
それでもその赤さはどんなにか鮮やかだろう!紅などそこのけの凶暴なまで活力を発揮するだろう!
その猛り狂う力に身を任せた後、やって来た体を包む炎が去れば、私は悔悟を肉でくるんだ一体の得体の知れぬ生き物、誇り高い吸血鬼とは夢にも思えぬ下卑た生き物になるのだ。
まったく、人間という生き物が悪魔という生き物をここまで変質させる力を秘めた生き物だとは!
実を結ばぬ思考を頭の中で繰り広げるうちにいつしか眠気が抜け目ない盗賊の様に忍び寄って来る、雲は昇った朝日を吸収しまるで水を吸った真綿の様に湿っぽく陰鬱だった。
眠ろう、そう思って瞼を閉じる、閉じ行く視界の端に残ったのは灰色の朝。
眠りに落ちる直前、私は既に体中を食いつくした炎が心臓に手を伸ばすワナワナとした動きを確かに感じた。
陰惨な暗さを宿した灰色の雲が音も無く頭上を過ぎる。
秋の太陽は放り投げられたボールの様に地平線を飛び出してまたその向こう側に落ち込む。
いつものように夜が来た。
















今夜も私はお嬢様の部屋にいる、大きな硝子の窓にはレエスのカーテンが貼られている、カーテン越しの月夜はどこか白茶けていた。
外、ここを飛び出して本物の月夜、白茶けてなどいない本物の闇に飛び込めたらどんなにか幸せだろう。
お嬢様の小さな体から発せられるもの全て、視線、雰囲気、振舞い。
全てが捨て鉢で不機嫌で冷酷で退廃の気を含んでいた。
ばれたのだ、何もかも、全てが。

「館の者なら皆知っていた」

ゆっくりとお嬢様は口を開いた。
私は返す言葉が見つからなくて俯いていたがお嬢様が席を立つ気配を感じて私は後ずさった。
お嬢様の瞳の中には怒りや悲しみや諦め、それとは別にどこか官能的なものが見られた。
間違いない、今日お嬢様は本気で私を眷属にするつもりなのだ、これまでの様な戯れではないひた向きさ、焦りが一歩一歩距離を詰めるお嬢様の足取りの中にあった。

「私は人間として生れた以上人間として死にたいと存じております」

お嬢様は無表情だった。
ただ距離を詰めてくるだけだった。
不意に紅い唇が裂けて言葉を発する。

「貴女は雨が降るたびに魔理沙の元に走ってゆく、悔しいわ」

私はなるたけ刺激しないように言葉を選んでその言葉に答える。

「私は死が間近に感じられる存在として生きたいのです、だから私は自分の最後を看取ってくれる者として霧雨魔理沙を愛したのです」

お嬢様は早足で距離を詰めながらヒステリックに叫ぶ。

「嘘よ、そんな理由!貴女は打算も何も無しに理屈抜きであの娘を愛している!」

お嬢様は掌で私の顔を掴む、お互いの吐息が感じられるほどに近い距離に顔を寄せて耳元で囁く。

「私はいやよ、そんなの」

お嬢様はゆっくりと首を振る。
少しずつ部屋の空気が張り詰めて行く。

「貴女を誰にも渡したりはしない、三途の川の閻魔にも白黒の魔法使いにも」

途端に悪魔の地金が頭をもたげる、お嬢様の囁いた声が古代の蛇の様に空気を這って行く。
炎に追い立てられるようにして私は壁に背を寄せた、首筋を湿気を吸った壁紙が冷やす。
お嬢様は額を寄せて暫く私を見つめていた。
お嬢様の口が裂けるように開く。

「私は奪うだけ、奪われるなどあってなるものか、館の者にも示しがつかぬ」

怒号が爆ぜた、張り詰めた空気が震える感覚が皮膚に伝わる。
窓が烈しい音を立ててこなごなに砕け散る、レエスのカーテンが燃え上がる。
私は咄嗟に懐中の銀の短剣を握りしめた。
私たちはそうして睨み合っていた。
お嬢様が牙を首筋に這わせる、白く細い牙は炎の照り返しを受けて刃物の様に見えた。
私は時間をとめてスルリと腕の中から脱すると火炎の隙間を縫って窓の外へと飛び出した。
ひんやりとした空気、さっき夢見ていた本物の闇、このまま魔理沙の元に走っていけたらどんなに幸せだろう、それはできないのだけれど。
お嬢様は衣服に纏わりつく炎にも構わず闇の中へ追ってきた、地面までのいくらかの距離、私たちは久しぶりに命のやり取りをした。
銀のナイフが月の光をそこらじゅうにまき散らして走る、赤い爪が私の得物を抉る、砕け散った銀の欠片が秋の夜空に花を咲かせた。
使い物にならなくなったナイフを投げつける、地面を前に時間をとめようとした瞬間、私はお嬢様の腕に絡め取られていた。

「貴女は本当に紅魔館の面子のために私を同族になさるのですか?」

私は炎の腕に絡め取られたまま言った。
お嬢様は答えなかった、翼がその背中で揺れていた、お嬢様の背後で星々が過ぎ去ってゆく。
白い牙は炎の色に染められていた、無垢なる白い牙は得物を手に掛ける前から紅く染まっていた。
私の首筋に牙が突き立つ、たちまち、炎の発する熱と体の芯から湧き上がる熱が見分けつかぬほどに混ざった。
夜空から秋の精を肺いっぱいに吸い込む、すぐに体の中でドロドロに溶けて湧き上がる熱の一部になった。
薄れゆく意識の中で夜の森が見える。

魔理沙はどこにいるのだろう。
もう会うことはできないであろう恋人に思いを馳せた。

















咲夜が目を覚ました、微かに煤で汚れた顔をこちらに振り向けゆっくりと言った。

「私は、あとどのくらいで吸血鬼になるのでしょう」

切実などこかあきらめた声だった。
私は暫く考えたが解らなかった、人を眷属にした事がなかったのだから。

「それは解らない、人を吸血鬼にしたのは初めて」

私は答えた、どこか沈んだ声になっているのが自分でも判った。
俯けば咲夜の顔がそこにある、私はたまらず顔を正面に向けた。
月が星が、雲が私が飛ぶのと同じ速度で流れてゆく。

「それではお嬢様の初めてでしたか」

その言葉に咲夜の顔を見つめている。
咲夜は悪戯っぽい笑いを作っていた。
無理をして作った咲夜の笑顔はやはり涼やかな水色、その笑顔を見た瞬間、私は気付いた、私はとんでもない失敗をしたのだ。
永遠に咲夜は私を恋人として愛してはくれないのだ、魔理沙に向けるような燃えがる様な情熱を私に向けてはくれないのだ。
喪失感を背負いながら暫く私たちは無言で夜の空を飛んだ。
次に口を開いたのは咲夜だった。

「お嬢様は私を愛して眷属にしてくださったのですか?」

私は苦虫をかみつぶすように言う。
咲夜の顔を見つめることはできなかった。

「解らない、見栄を張ったのかもしれない」

それでもお前を愛していたのは間違いない、その言葉がどうしても出てこない。
咲夜はそっと、お嬢様は残酷な人です、と囁いたきりまた腕の中で眠ってしまった。

遠くに紅魔館が見える、紅魔館は遠くからでも解るくらいの大騒ぎになっていた、それはそうだろう、主人の部屋から火が出たのだから。
私はテラスに降り立つと図書館に向かった、パチェは何も言わずに咲夜を介抱してくれた。
私の部屋の前ではメイドたちが消化活動に従事していた、皆メイド長不在の中良く頑張っていた、その中にフランがいた、燃え盛る炎を見つめていたが私に気づくと一言言って去って行った。

「お姉さまの意気地なし」

私は暫く炎を見つめていた。
私は結局、本物の悪魔に成り損ねた、そんなに咲夜が欲しければ魔理沙を殺してしまえば良かったのだ、私には咲夜の怒りを受け止め続けるだけの覚悟も度胸も、また強大な道徳という怪物に立ち向かうだけのエネルギーも持ち合わせていなかったのだ。
悪くてなんぼの悪魔稼業、最悪で何が悪い、口の中で呟いてみた。
炎が膨れて伸びあがり縮んでまたしゃがみ込む、そんな単純な動作の繰り返しを私は飽かずに見つめていた。
炎の向こうで星空が赤く焼けただれていく、私は取り返しのつかぬ失敗をしたのだ。
たちまち両手を顔で覆って声出して泣きたくなった、それはできないのだけれども。























私は紅茶を飲んでいた、私の部屋は燃えてしまい暫くは使い物にならぬのでここはいわば仮住まいである。
私は傍に咲夜を侍らせ紅茶を飲んでいた。
咲夜は槍の穂の様に尖った雨粒が石造りの屋根にぶつかって砕ける音を聞いていた。
その意識はきっと森の木々を超えて会うことのかなわぬ魔理沙に向けられているのだろう。
私は咲夜に問いかけた。

「魔理沙の事、好き?」

私は紅茶に映った自分の姿を見ながら言った、紅い紅茶の中に映った自分の姿は地獄の悪鬼のようだった。
咲夜はゆっくりと目を閉じて答える。

「ええ」

雨の降る音だけが私達の間に満ちてゆく、私の中をゆっくりと嫉妬が満たしていった、窓の外の草木の色が目に焼き付いていた。
窓の外で地面を草木を建物をゆっくりと雨の滴が濡らしていく、薄い暗欝な色の雨のカーテンは私達の行動を阻むのにこの上なく効果的だった。
森の向こう、雨に隔てられて会うことの叶わぬ恋人に遠い目を向ける咲夜の横顔を美しいと思った、その瞳を一度でいいからこちらに向けて欲しかった。
咲夜は私の眷属になった、しかし彼女が魔理沙に愛情を向け続ける事実は変わらず私もまた、あの嫉妬に燃えた雨の夜とどこも変わるところがなかった。
咲夜が彼女に向けるような目で私を見つめてくれたなら私は悪魔に魂売り渡しても構わない。
私はゆっくりと立ち上がる、呼吸を整え目に力を入れる、そして声を発する。

「咲夜、いい加減にあの子の事は忘れなさい」

遮るような口調で私は言った。
咲夜はゆっくりと私の方に向き直る、私に向ける視線はどこか虚ろだった、その瞳は私を見つめてはいなかった、それを認めた時、全身の血液が弾ける音を私は確かに聞いた。
力任せに拳を振り上げる、湿った空気の層をぶち破って拳を咲夜の顔面に叩き付ける、たたらを踏んで倒れる咲夜の姿を見てハッと我に返る。
咲夜は驚きのまなざしで私を見つめていた、私と目がカチ合うと互いの目には悲しみの色が浮かんだ。
私は咲夜を愛してはいけないのだ。
私は酷く咲夜を不幸にした、私は最悪だ、私達は出会うべきではなかったのだ、咲夜にも自分にももう言い訳のしようがない。
深い後悔に襲われて私は俯いた。
私は咲夜に執着しすぎたのだ、もう遅いかもしれないけれどこれ以上互いに不幸になる前に私はこの執着を捨てようと思った、この醜い執着を捨てようと思った。
私は取り返しのつかぬ失敗をした、呪いの様にそのフレーズが浮かぶ、途端に眼球の裏から発した涙が瞼からとめどなく流れた、私は咲夜に抱きついてその暖かな胸に顔をうずめて泣いた、暖かな血潮の流れ、脈打つ心臓、私は自分の愚かさに気付いた。
自分の物にする必要などない、ただ心安らかであれる場所がここにあるそれだけで幸せじゃないか。
魔理沙を殺さなくて本当に良かったと思う、結局、いくら無理をしても私に道徳に完全に背く事は出来ない、悪魔には成りきれない、そう認めてしまえる場所が存在することのなんと幸せなことか。

「ごめんなさい」

涙にぬれた声で、何度か詰まりながら私は言った。
咲夜の掌は私の頭の後ろに回されてその細く綺麗な指は私の髪を梳っていた。

「もう、魔理沙と会うな、なんて言わないわ、貴女は自由であれば良い、だって、貴女は紅魔館の狗なんかじゃない、人間だもの」

言えた、もう後はどんな反応が待っていようと構わない、謝罪とこの言葉を口にできたのだ、今、死んでも思い残すことはない。
もう焦がれる恋人たちを阻むのは雨だけだ、道徳も立場も今はもう彼女たちの間には存在できないのだ。
ごめんなさい、最後にもう一度口に出して私は眠りに落ちた、心地よい重力が私を一気に闇の底まで連れて行った。





























咲夜の瞳の紅さは燃え上がる様だった、決してこの表現は比喩ではない本当に燃え上がる様に紅いのだ、目の前の美しい、そしてこれからも美しいに違いない吸血鬼の瞳に私はただただ見とれた。
吸血鬼になってから咲夜は女ぶりに磨きがかかったと思う。
それに引き換え、私は老いていく、そして死ぬ。
老いるのが嫌なわけではない、ただ、咲夜にその姿を見られるのが私は何よりも怖いのだ。
ああ、死ぬのは嫌だ、でも咲夜に衰えた姿を見られるのはもっと嫌だ。
こんな考え浅ましい女の物には違いないのだけれど少女はいつまでも少女でいられない、あんな魅力的な女性と恋に落ちたのなら尚更だ。
人間をやめて妖怪になってしまおうかとも考えたがそれは出来ない相談だった、文字通り無理なのである。

私は心のどこかで咲夜との関係が突然に、レミリアの手によって終わるというドラマチックな最後を迎えると期待していた、互いが若い姿のまま関係を終えられると信じていた、私達の関係は雨の中でだけ成立すると思っていたのだ、その幻想が破れて私は決めた、美しい思い出を汚さぬために死ぬ事を。

そして、私はこうしてソファーの上で咲夜と向き合っている。

「少し飲まないか?良いワインを用意してるんだ」

「素敵ね、いただくわ」

返事を聞く前にキッチンへ走る、酒が好きなのは私も咲夜も同じだ。
ワインを二つのグラスに注ぐ、戸棚に隠しておいた毒薬を取り出す、和紙の中には白い粉末が入っている和紙の袋を開けてその雪の様に白い粉末を見た瞬間こんなことを考えた。
咲夜は慌てふためくだろうか、驚くだろうか、悲しむだろうか、それ位、良いだろう私だって随分、多くの苦悩を経てきたのだ。
夜、新月、月の無い秋の森、満天の星空、綺麗な、雪の様な銀髪を持った吸血鬼の隣で私は死ぬ、なかなか素敵なシチュエーションだ。

「それ、何?」

私は小さく飛び上がった。
私のすぐそばに咲夜の顔があった。
咲夜は事も無げにヒョイと和紙の袋を摘み上げ、指の先で中身を掬う、私が声を上げる事が出来たのはその指先が咲夜の舌に届いた後だった。

「だめだ!」

咲夜はキョトンとこちらを見た。

「ごめんさない、そんなに怒るとは思わなかったから」

「直ぐに吐き出せ!」

私は殆ど掴みかかるような形で咲夜に迫った、白い雪の様な銀髪がサラサラと揺れた。

「ちょっと待って、これ何だったの?」

私は情けなさで泣き出した、なんて締まらない最後だ。

「ごめん、ごめん、そんなに大事な物だと思わなかったから」

咲夜は私の肩を掴んで言った。
私はもう隠す気も失せてこれまで考えていたこと全部、全て吐き出してしまった。

「毒薬だよ、死のうと思ってたんだよ、だって考えてみてくれよ、お前はそのままの姿で私だけ老いていく、耐えられないよ」

咲夜は何も言わなかった、ただ頷いた。
そして静かに白い粉末を半分ずつグラスに注いだ。
私はグラスをひったくる様に咲夜の手から奪いとった。
咲夜が眉をひそめて言う。

「本当に死にたいのなら止めたりしないわ」

咲夜が立ち尽くす私の顔に不意に口を寄せた。
耳元で咲夜が囁く。

「貴女と一緒ならなんでも平気よ」

その言葉に私は顔を赤くした。
私はグラスを差し出して言った。

「乾杯」

静かな部屋にグラスのカチンと成る音が響く、薄い硝子の膜が細かく震う音が空間を満たしていった。
私はいつもと変わらぬ表情でそれを口に含む、その瞬間だった、死の恐怖が有無を言わさぬ腕力を以て私の理性を組み伏せてしまったのは。
私は咲夜の頭をかき抱くと烈しくその唇に接吻した、全く以て衝動的な犯行だった。
咲夜は一瞬びっくりした表情で私を見た、嬉しげに微笑んだ。
外では深々と雪が降り始めた、道理で今夜は冷えるわけだ。
私は咲夜にじゃれつくようにして抱きついた。

「一緒に寝よう」

その夜、私達は抱き合って眠った、静かに眠った。
外では音もなく雪が地面を覆っていった。
雨の季節が終わって雪の季節が来る、時に私達の逢瀬を手引きし、時に私達の間を阻んだ雨の季節が終わる。
雨の足音に耳を澄ませた私達の日々が静かに過去になってゆく。




















窓から差し込む朝日に気づいて私は頭を抱えた。
なんて間抜けな、死に損ねた!
寝床の上には私と、既に冷たくなった魔理沙の亡骸があった。
ワイングラスの鳴る音が耳の奥によみがえる。
彼女は一点の曇りも無い表情で実に美味そうに毒入りのワインを嚥下した。
そして私もそれを確かに飲んだ、彼女と私の最大の誤算、それは私が生き残った事だった。
彼女が誘うなら私は死でさえ受け入れるのに、吸血鬼の人間よりも遥かに丈夫な体は毒薬と魔理沙の素敵な誘いをにべも無く断ってしまったのだ。
紅い液体を飲み下す彼女の楽しげな表情、彼女はどれだけの苦悩とともに毒杯を干したのだろうか。
目の前で彼女は眠る様に死んでいる。
私は彼女の亡骸を抱きしめた。
夜になったらきっと私の手で弔ってやろう。
だからそれまでは、それまでは愚かな事と知りつつも私は狂おしい位の力でこの苦悩の果てに自ら命を絶った少女の亡骸を抱きしめていたかった。
思えば、私も魔理沙もどこかでこの恋がお嬢様に発覚するという劇的な最後を迎えると信じて疑って無かったのかもしれない、互いが老いる前に関係が終わると確信していたんだと思う。
自殺した彼女は天国には行けないのだろうか、それは確かに生前、品行方正という言葉とは程遠かったけれども私はどうしても彼女が地獄の責め苦に合うほどの悪徳を秘めていたとは思えないのだ。





























空には針のように細い月が浮かんでいる、それは切り裂かれた夜の皮膚から白く肉が覗いているようにも見えた。
私は地面に視線を落としてまた仕事にかかる、シャベルが土を切る音の間に虫の声が満ちている。
単調な作業を暫く続けてやっと私は人一人を埋葬できるくらいの穴を掘った。
私はそっと穴の底に魔理沙の亡骸を横たえる、穴の底で私は湿った土の匂いを嗅いだ、そこから見る切り取られた夜空の中に星はなかった。
穴から這い出て上から土を被せてゆく、最後に簡単な墓標を立てる。

「綺麗な顔が泥だらけよ、咲夜」

背中に声を浴びせられて私は振り返った、お嬢様が緋の外套を着て佇んでいた。

「もうこんなものを着る季節になっちゃったわね」

お嬢様はそう言うと墓標の前に、地面から生えた木で組まれた十字架の前にしゃがみ込んで手を合わせた。

「死んでしまったのね」

淋しげな表情でお嬢様が言った。
そうしてお嬢様は暫く手を合わせていた。

「どうしてここに?」

私が口を開く、白い息が夜空の中にプカリと浮いた、もう、こんな季節になったのか。

「貴女が帰って来ないから心配したのよ」

お嬢様は手を合わせて目を瞑りながら言った、だが、不意に立ち上がって言う。

「後を追うつもり?」

私は答えなかった。
お嬢様は私に背を向けて月を見つめながら言った。

「咲夜が現れてから私は変わった、お墓に手を合わせるなんて昔なら絶対なかったもの、人間らしくなった、とでも言うのかしら、で、貴女は魔理沙と関ってから随分変わったね、昔の貴女なら泥まみれになるような事はしなかったもの、瀟洒じゃないわ」

しみじみとした語り口だった。

「後を追うなら止めたりしない、それで貴女が幸せになれるなら」

私はクスリと笑って言う。

「悪魔らしからぬ言葉ですね」

「言ったでしょう?人間らしくなったって」

可笑しげな声だった。

「元々、お嬢様は悪魔らしさにかけておられましたから」

「ええ、中途半端だった、だめね、何事も中途半端は、いっそこのまま人間になってしまおうかしら、そうすれば、人を不幸にすることもないわ」

「そんなのお嬢様じゃありません、お仕えする気も失せますわ」

そこでお嬢様はクルリとこちらを振り返った。

「これからも私に仕えてくれるの?」

私は唇の端を歪めて笑う、そして言った。

「いいえ」

「あの子の後を追うのね」

「ええ」

お嬢様は上目遣いに私の目を覗き込んで言った。

「私も付いていくのでは駄目?」

秋の終わり、冬の始まり夜空の下、吸血鬼の赤い瞳が見詰め合う。
私は軽く目を閉じて首を横に振った。
お嬢様は初めからその答えが解っていたと見えて薄く笑った、諦めの微笑みだった。

「初めて会った時のこと覚えてる?」

「ええ」

お嬢様は懐から刃の抉れた銀のナイフを取り出して言った。

「貴女は昔、こんな物使ったりはしなかったものね」

「ええ、吸血鬼を殺すのに女の細腕とナイフじゃハンデがきつ過ぎますわ」

「そう?この前はなかなか良いナイフ捌きだったのだけれど」

そう、お嬢様と初めて会った日の私の得物は白く光るナイフではなかった、手の中で黒光りのするピストルを昔は使っていた、ここに来てから弾が手に入らなくて捨ててしまったのだけれど。

「やっぱり、こうしない?初めて会った時みたいに闘って貴女が勝てば望み通り貴女は魔理沙の後を追う、私が勝てばこれまで通り貴女は私に仕える、私にもチャンスを頂戴よ」

そんな事を言ってお嬢様は悪戯っぽく笑った。

「嫌だと言ったら?」

私は答えの解りきった質問をしてみる。

「貴女は死に損ねてこれからも私に仕える」

私は懐中のナイフを取り出して月に透かす、月の光が銀の上で跳ねまわる。

「力は弱いとはいえ今は私も吸血鬼です、不幸な事故があるやも」

「望むところよ」

無言のうちに戦いは始まった、風を追う雲が細い月を隠す、無言でにらみ合った時、私にはそれを打開する良いアイディアがある、私は時間を止めて体力を浪費せぬようにゆっくりとお嬢様の後ろに回る、そこで動かないお嬢様の首を標準してから時間を動かした、互いの得物が触れ合う音が風の音に割り込む。
白い光の尾を引いて走る銀のナイフ、赤く大気に傷痕を残して揺れる赤い爪、闇夜の中で紅白の蛇が絡み合ってまた離れる、不意に両者が消えた。
夜の空を急上昇しながらナイフをお嬢様の体めがけて投げつける、雲の中で私達は出鱈目な撃ち合いをやった。
雲の上に出ると整然と鏃形に陣を組んだナイフが闇を切り裂いてお嬢様に殺到する、闇の中からその何倍もの赤い弾丸が現れて私は大慌てで応援を送り込む。
雲海を遥かに望む空の上でこんなことを何回か繰り返す内に私は弾幕の真ん中に身を置くことになった、劣勢を悟った頭が焦りを生産していく。
不意に体が浮力を失って落ちて行く、私は体が雲の海の中に落ちるのを感じた、雲を突き破りその下に出る、頬濡らす水滴に気づいて私は目を見張った。
なるほど、雨が降ったのか、お嬢様も私と目と鼻の先で地面に落ちて行った、いつかのように地面の直前で時間を止めて着地する、お嬢様は小細工無しに普通に着地していた。
私達は森の木の下で雨を挟んで向かい合った。
私が勝ち誇った様な笑顔を浮かべるとお嬢様はやれやれといった風に笑った。

「貴女の勝ちで好いわ、貴女の後を追うような真似もしない、約束は守る」

私はその目的を果たすべく銀のナイフを心臓に向ける、雨露に濡れたそれの先端がキラリと光った。

「それと、貴女、吸血鬼になった時、聞いたわよね『お嬢様は私を愛して眷属にしてくださったのですか?』って」

私はナイフから一回視線を外し、お嬢様に目を向けて言う。

「覚えておられたのですか」

「もちろん、私あの時解らないだなんて言ってけれどね、本当は私解ってたわ、見栄を張っただなんて嘘、私はね、貴女の事が好きで好きでたまらなかったから眷属にしたのよ」

私は少し嬉しくなった。

「お嬢様のその言葉のおかげで最後の最後で咲夜めは少し救われました、さようなら、お達者で!」

私はナイフに目を戻す、ナイフが視界の中で閃いた。











土に触れあうような仕事をするのは正直、初めてだった、初めての土仕事が愛する人の埋葬だなんて言葉にすれば綺麗だけども実際にやってみればなんという悲惨だろうか。
スコップを振るう度に涙が眼の球から滲み出る、涙を瞼の裏に封じ込めながら私はスコップを動かした。
雨に濡れた地面は柔らかで掘り起こすたびに泥の香りが割れた土の隙間から溢れて来る。
魔理沙の墓の隣にやはり人一人分の墓穴を掘ってその底に咲夜を横たえる。
私はその上に土を被せて簡単な墓標を作る、出来上がった十字架を見て涙が溢れ出た、魔理沙の墓には簡素だけどもきちっとした木の十字架が立っている、それと比べると隣の咲夜の墓の墓標の十字架は酷く不格好だった。
私は咲夜に何をしてやれただろう。
その事を考えると声を上げて泣きたくなった、でも、かつて私の涙を吸い取り、泣き声を受け止めてくれた咲夜の暖かな胸はもう無い、私は口を引き結んで咲夜の墓の前にしゃがみ込む、そのまま手を合わせて祈った、もっとも悪魔の願いを聞き入れる神などいないのだけれど。
















夜明け前、泥だらけで帰って来たお姉さまの表情は晴れ晴れとしていた。
また、この人は無理をしているのだ、私はそう思った、もちろん私は意地悪だから聞いてやる。

「咲夜は?」

お姉さまは疲れたように微笑んでから答えた。

「死んじゃった」

私は声を上げて笑いたくなった、お姉さまの悲しげな表情、なによりあの憎たらしい、私からお姉さまを取る咲夜が死んだ!これは祝杯を上げるしかない、人知れず酩酊するしかない。

お姉さまはそのまま歩いて行く。

「少し休ませて」

お姉さまはそう言って消えていった。
これからもお姉さまは誰かを愛することがあるだろうか?
きっとお姉さまはその度に涙を流すのだろう、お姉さまに愛された人はきっと不幸になるのだから。
私はその度にお姉さまに意地悪してやる。
そしてお姉さまが他者を愛する辛さに毀れてしまうその時はきっと、きっと私がお姉さまを殺してあげる。

私の姉はレミリア・スカーレット、無意識の内に親しい者の運命を歪める吸血鬼。
私の知る内で一番不幸な吸血鬼。
私の知る内で一番雨を嫌う吸血鬼。

きっと雨の中であの人は狂気を得るだろう、その時、私はお姉さまと一緒に死んであげる。
私はその瞬間を夢見てときめいた。
以上で話は終わりになります。
拙い文章でしたが読んでいただきありがとうございました。
この作品を読んでくれた方々に最大限の感謝を。
スパゲッチー
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/11/21 19:30:27
更新日時:
2009/11/21 19:30:27
評価:
17/18
POINT:
85
Rate:
1.22
1. 5 バーボン ■2009/12/05 03:13:46
決して読みやすいとは言えない、独特の味のある文章。決してハッピーエンドではない、ドロドロした爛れた愛情やら主従やら。
点数では計れない何かを感じたのは確かですが、悪文と若干強引に感じた展開故に少々厳しくなってしまったかもしれません。
2. 7 神鋼 ■2009/12/10 19:05:53
序盤の緩い空気までもが一緒に墓の中、妹様が一番まともに見える狂気を垣間見ました。
3. 8 静かな部屋 ■2009/12/30 18:30:00
作者さんにとって、本当に幻想郷が近くにあるのだなあ。と。
そのまま、そのまま、そのまま。
最初から最後まですっと流れていくいい作品だったと思います
4. 3 藤木寸流 ■2010/01/05 00:40:43
 咲夜と魔理沙がくっつく過程が短かかった。そのあたりをもう少し詳しく綴ってくれると、咲夜と魔理沙が自害した心境も少しは悟りやすくなっていたかも。
 恋しているからかもしれませんが、キャラクターがそれぞれらしくない感じが。らしいのはフランドール、レミリアも理解できなくはなかったのですが、ちょっとへたれすぎていたところも。
 みんながみんな、女性として女性を愛していたのはよかったです。大抵、魔理沙が男役になってたりするので。
5. 6 パレット ■2010/01/10 05:10:19
 咲マリ! 咲マリじゃないか!
 荒い、というか慣れてないと思わせる部分がちょこちょこある(たとえば、この流れで咲夜一人称に「中国」と呼ばせるのはわりと冷める)けど、なんかこう、どのキャラもすごく魅力的な一人称でした。ていうかキャラクターも文章もめちゃくちゃセンスを感じる。正直ちょっと羨ましいくらい。もう少しの洗練が欲しかったというのも本音だけど、この文章の熱量には変えがたい。
 良い意味でも悪い意味でもセンス頼みというのが正直な印象ですが、少なくとも私にとっては、すごく面白かったです。勝手に盛り上がっちゃってすみません。
6. 6 白錨 ■2010/01/10 10:26:26
人と妖の違いを謳った作品ですね。レミリアの迷い。吸血鬼とは何か、というものが伝わってきました。
7. 5 椒良徳 ■2010/01/11 18:38:36
後書きに書いてある通り、本当に文章が拙いですね。

それはさておき、咲マリ派の一人としては咲マリ作品が読めて大変うれしいです。
できればハッピーエンドが良かったですがそれを言うのは無粋か。
さらに言えば咲夜と魔理沙の逢瀬がもっと沢山書いてあれば個人的には幸せでした。
好きな作品なのだけど文章が書きなれていない感を受けるので、この点数です。
8. 4 詩所 ■2010/01/13 22:07:07
 いやはや、冒頭からこんな結末を迎えるとは。
 勿体無いのは文章一文が長すぎたり、句読点の打ち方の妙なせいか、読みにくく感じたことです。

 誤字報告
>「平気よ、今、外はは雨だもの」
 ”は”が多いかと。
9. 2 ホイセケヌ ■2010/01/13 22:20:24
、ハ、、ネ、、、ヲ、ォ翻キス、ヌ、荀メ簧カ、ャス筅鬢ハ、、。」
、ウ、ホヤ彫ヌ、、、ヲ摂、タ、ネ、ォ、ス、ヲ、、、ヲ、ホ、マ。「20エ。ォ30エ、ホ、ス、、タ、ネヒシ、ヲ。」、ス、ホエネヒ、ホチオ。「、筅テ、ネムヤ、テ、ニ、キ、゙、ィ、ミ、ス、ヲ、、、ヲ・ノ・・ノ・、キ、ソ、筅ホ、ネ。「翻キス・ュ・罕鬢ネ、ホモHコヘミヤ、テ、ニ、ケ、エ、ッオヘ、、、ネヒシ、ヲ。」Dメケ、萋ァタノウ、ャ、ス、ヲ、、、ヲ・ノ・・ノ・、キ、ソ摂ヤ┌、タR、齊レ、イ、筈ャ、ノ、ヲ、キ、ニ、簍シ、、テ隍ア、ハ、、。」
、゙、「。「ムヤ、テ、ニ、キ、゙、ィ、ミヒス、ホ、ウ、ホクミマ、マ、「、ッ、゙、ヌネヒオト、ハ、筅ホ」ィーウ、ホ。。、マ、ウ、、ハ、ウ、ネムヤ、、ハ、、」。。。、ネ、、、ヲオケ蘰、キ、ソ・ュ・罕髏ロ、ネヒニ、ソ、隍ヲ、ハ、筅ホ」ゥ、ヌ。「ヤ彫ネ、キ、ニ、マ、隍ッ、゙、ネ、゙、テ、ニ、、、、ネヒシ、、、゙、ケ。」テ靤エ、ホ舮、オ、ママ「、、ホ、爨ロ、ノ。」、ソ、タ。「、ハ、、ネ、、、ヲ、ォス~ヘオト、ハ、゙、ヌ、ヒヒス、ホシ。、ヒコマ、、ハ、ォ、テ、ソ、ネ、、、ヲ壥、ャ、キ、゙、ケ。」
10. 8 deso ■2010/01/14 01:05:57
すごく綺麗でした。
耽美で艶めかしい文章がたまりません。
咲夜さんマジ男前。
11. 6 零四季 ■2010/01/14 23:27:30
暗い……どろどろだなぁ。
こういう話自体は好きなのですが、救ったようで救っていない――微妙な場所で終わってしまったのが残念ではあります。
にしても、咲マリか……。レミ咲か……。
12. 4 2号 ■2010/01/15 10:02:17
人を選ぶ話ですね。
あまり見ないカップリングもそれに輪をかけ、ニッチなジャンルになってると思います。
私もあまり好きなタイプのお話ではないのですが、登場人物の心情がとても丁寧に描かれてると思いました。
それと、読点を増やすと読みやすくなると思いますよ。
13. 4 八重結界 ■2010/01/15 15:40:43
 最後が早足すぎたので、そこが少し残念です。全員が不器用な話というのは、やはりこういう終わり方をしてしまうのですね。
14. 6 やぶH ■2010/01/15 20:41:12
赤い。毒い。百合い。
ここまで突っ走っていらっしゃると、むしろ応援したくなります。
15. 7 時計屋 ■2010/01/15 22:34:23
 激しい話なんですが、心理描写や情景描写が負けずにそれに付いていってるところが凄い。
 まるで劇や芝居のような演出や台詞回しが白々しく映らない、というのはやはり筆力のなせる業なのでしょうか。
 今回のこんぺのSSの中でも、特に印象に残る作品でした。

 ただ細かいところで、句読点が足りなかったり、字下げが無かったり、一人称なのに視点の切り替えが急だったりと、目に付く箇所もありました。
 もっとも地の文章が読みやすかったので、それほど読む障害にはならなかったのですが……。
16. 2 木村圭 ■2010/01/15 23:08:05
独特の地の文が致命的に合いませんでした。好みなので勘弁していただきたく。
この文どこかで読んだ気がするんだけどどこだったかなぁ。
17. 2 ■2010/01/15 23:58:56
よみにくい
目が流れるなんてレベルじゃなかった。

まぁこういう終わりもあるんじゃないかしら。痴話喧嘩? 愛の話といってやれよ
18. フリーレス 繝舌ャ繧ー 讌ス螟ゥ繝悶Μ繝シ繝輔ぅ繝ウ繧ー ■2013/11/02 08:28:00
paul smith 繝昴シ繝ォ繧ケ繝溘せ [url=http://www.dongnanyaylc.com/]繝舌ャ繧ー 讌ス螟ゥ繝悶Μ繝シ繝輔ぅ繝ウ繧ー[/url] <a href="http://www.dongnanyaylc.com/" title="繝舌ャ繧ー 讌ス螟ゥ繝悶Μ繝シ繝輔ぅ繝ウ繧ー">繝舌ャ繧ー 讌ス螟ゥ繝悶Μ繝シ繝輔ぅ繝ウ繧ー</a>
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