猫と巫女と秋雨と

作品集: 最新 投稿日時: 2009/11/21 20:12:00 更新日時: 2009/11/21 20:12:00 評価: 18/18 POINT: 52 Rate: 0.81
 サー、と雨が降る。
 晩秋の時期に降る雨は、夏のそれとは比べ物にならないほど冷たい。
 霊夢は、三時のおやつ休憩を、縁側ではなく、室内で行っていた。

「寒いわねぇ」

 腋を出しながら、そんなことを呟く。
 雨は、朝からずっと降り続けている。今日はもう、止む気配はない。
 お茶を飲み終え、煎餅を食べ終えた霊夢は、ごろりと横になる。
 目を閉じ、うつらうつらしていると、微かに外から、雨の音以外の音が聞こえてくる。

「んぅ?」

 気になったので、傘を差し、外に出てみると、一匹の子猫が、何かを求めるように、みーみー、と鳴いていた。

「なんだ、猫か」

 霊夢は、雨に濡れた子猫を見ても、何か想うということもないらしく、そのまま部屋に戻ろうとする。

 みーみー

 まるで、助けを求めるような鳴き声に、流石に足を止める。
 ふる、と振り向き、霊夢は猫相手に、つらつらと語り始める。

「あんた、どうしたいの? 何かをしてもらいたいのなら、行動で示しなさい。私は人間。あなたは猫。言葉なんて通じないのよ」

 つと、自分の言葉の矛盾に気が付き、笑いたくなる。

「……アホくさ」

 みーみー

「こっちに来なさい、とは言わないわ。ずっとそこにいて死ぬのなら、勝手に死になさい。私は神じゃないもの。野良猫を見つける度に拾っていたら、うちは猫屋敷になっちゃうわ」

 みーみー

「……だけど、あなたに生きる意志が、助けてくれと行動を起こす気があるのなら、扉は開けておくわ。あとは勝手にしなさい」

 それだけ言うと、霊夢は社務所に戻ろうと、歩を進める。

 みーみー

(無駄な時間を過ごした)

 ととと

「――――」

 既に濡れていた足下を見下ろし、ぽつりと言う。

「……あんまり近づかないでよ。濡れるから」

 寒かった部屋の中が、少しだけ、暖かくなった気がした。







終わり
途中まで実際にあった話です。
私は、猫に手を差しのべることはできませんでした。

私ができなかったことを、霊夢に託してみました。
霊夢なら、きっとこんな感じになったんじゃないかなぁ……。
葉月ヴァンホーテン
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投稿日時:
2009/11/21 20:12:00
更新日時:
2009/11/21 20:12:00
評価:
18/18
POINT:
52
Rate:
0.81
1. 2 はるか ■2009/11/22 00:15:38
優しい話でした
盛り上がりの場所が無いのが残念
「気になったので、傘を差し、外に出てみると、一匹の子猫が、何かを求めるように、みーみー、と鳴いていた。」の文章などで特に感じたのですが、読点がやや多すぎると思います。(特に「みーみー、と」の箇所。ココは読点が無くても良いのではないかと思いました)

不器用ながらも猫を放っておけない霊夢は、実に彼女らしいと思いますよ
2. 4 バーボン ■2009/12/09 23:57:29
サラッと読めるのは、短い話の良い点だと思います。雨の日の1シーンを切り出した「だけ」なのも、これはこれで良いのかな、と。
ただ、途中の霊夢の言葉が若干わざとらしいと言うか、僅かに違和感を感じました。「あなたに生きる意志が〜」の辺りです。じゃあどういう風にしたら良いかと言うのは自分にも思いつきませんが……。
寒々しい雰囲気と、それがほんのり暖かくなるオチは好きです。
3. 4 神鋼 ■2009/12/13 21:38:52
話は悪くないと思いますがいかんせん読み応えが無い。
4. 7 静かな部屋 ■2009/12/21 14:34:14
いいなあ。綺麗な話だなあ。
5. 3 藤木寸流 ■2010/01/04 02:02:21
 そんな寂しいこと言うなよ……でもいざ飼うとなると難しいです。言うだけなら簡単なもの。
 さりげない優しさ、とするにはちょっと恣意的すぎるかなという気も。
6. 1 パレット ■2010/01/10 05:11:59
 「え、終わり?」と呟いてしまいました。
 無闇に長くしろとは言いませんが、もうちょっとこう、お話としての体裁をなしていて欲しかったです。
7. 2 白錨 ■2010/01/10 10:32:55
来るものは拒まず、去るもの追わず。霊夢らしさが良く出ていたと思います。
8. 2 椒良徳 ■2010/01/11 18:46:39
ちょっと良い話。こういう作品は好きですがちょっと良い話で終わっているのが残念です。
何と言いますか、その、少しは何らかの工夫が欲しいところです。
そういうものが何もないので申し訳ありませんがこの点です。
9. 3 詩所 ■2010/01/13 22:08:44
 うーむ。
 得点をつけるには短すぎてどう評価したらいいかちょっとわかりません。
10. 2 ホイセケヌ ■2010/01/13 22:35:06
カフ、、、ア、、ノナッ、ォ、、ヤ彫ヌ、キ、ソ。」
11. 4 deso ■2010/01/14 01:01:11
霊夢優しい子。
もっと膨らませることができそうなのに、ここで止めちゃうのはちょっともったいないかなあ。
12. 5 零四季 ■2010/01/14 23:35:10
SSというのはショートショートなのだけれど、それでも短過ぎる気がしました。何か物足りない。
話としてはとても好きです。動物が苦手なので猫に触れる気がしませんが。
13. 3 やぶH ■2010/01/15 00:24:20
お話としてどうにも短いです。
これがもし、現実体験として与えられているのであれば(すなわち作者様が味わった質感がそのまま伝わる装置があれば)問題ないのですが、SSですので文章の情報が肝ですし、話が膨らまないことには第三者的に物足りない。
これを骨にして、さらに練ってみてはいかがでしょう。続きを色々と想像するのも、創作の楽しみの一つです。
14. 2 2号 ■2010/01/15 10:04:49
ぬこかわいいですね。
橙とかに拾わせたら、また違うドラマがあるんだろうなあ。
15. 2 八重結界 ■2010/01/15 15:42:55
 ほのぼのとした一幕でした。
16. 1 時計屋 ■2010/01/15 22:40:29
 霊夢さんなら一言「うるさい」と言って蹴っ飛ばすのがオチのような。
 でも意外と動物には優しいとかそういうのもありなのかな。
17. 4 如月日向 ■2010/01/15 22:57:07
 子猫にみつめられると胸きゅんですねっ。
 子猫と霊夢の生活を見てみたかったです。
 
〜この作品の好きなところ〜
 子猫に声をかける、いつもより口数の多い霊夢がよかったですっ。
18. 1 近藤@紫 ■2010/01/15 23:27:46
(´・ω・`)
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