彼女が守ったもの

作品集: 最新 投稿日時: 2009/11/22 00:56:38 更新日時: 2010/01/17 18:25:11 評価: 29/29 POINT: 168 Rate: 1.29
 『 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも 』




幽明結界によって顕界と分け隔てられた世界、冥界。
その冥界に広大な敷地を持つ日本屋敷、白玉楼の枯山水が見事な庭の一角。



主の唐突な呟きに首を傾げた私の横には寄り添うように頭ほどの大きさの霊魂が浮かんでいる。


「……、突然なんですか幽々子様?」


日が沈んで夕餉を終えた時間、気まぐれな主人が月を見ましょうと言ったのに従い庭に出てからの第一声がそれだった。

季節は晩秋。
半人半霊である私は人より僅かに体温が低く、それほど寒さを感じることはないものの夜となると頭の方が寒いのだと認識してしまいそうになる。

しかし問いかけられた白玉楼の主、西行寺幽々子お嬢様はそんなことを気にもしてしない。

半人半霊の自分と違い完全なる亡霊である彼女は肉体を持たないにも関わらずその五感は人間に近い。
それなのに冬が迫りつつあるこの時分に平然としていられるのは本人の気質によるものだろうか。

幽々子様は怪訝そうな顔を浮かべたままの私に小さく微笑んだ。


「安倍仲麿の歌よ。それなりに有名な歌なのだけど。今日は月がとても綺麗だしなんとなく、ね」

「残念ですが私はそう言った文学的なことには疎くて……。って、幽々子様は何故そんな歌をご存じなのですか?」

長く西行寺家に仕えているが、幽々子様は一日をとても自由に過ごす。
のんびり庭を眺めていたり、いつもどこからか手に入れてくる茶菓子を食べたり。
そんな生活のなかに歌を詠む習慣などなかったはずなのだが。

「歌を詠むことはなくても、読む書物のなかには和歌集などもあるの。貴方も読んでみるといいわ」

「はぁ」

とは言われるが私としてはじっと書物を読み続けるのは性に合っていない。
剣を取り、体を動かしている方が楽しいのだ。

まぁ、師匠からすれば未熟な私の腕など見るに堪えないのだろうが。


縁側に置かれたお盆の上の湯のみが空になっていたので急須からまだ熱さを保ったお茶を足す。

お盆に載せたまま差し出すと幽々子様はありがとうと柔らかく笑って受け取って下さった。

「しかし、今日のところは月が見えますが明日からは天気が崩れそうですね」

白玉楼の庭を吹き抜ける風はやや強い。
風上の上空には厚い雲が闇夜を覆っている、明日の朝には雨を落としそうだ。

「あら。雨は嫌い?」

「そんなことはありませんが……。雨が降ると庭の手入れが滞りますので」

「妖忌なら気にしないだろうけど」

「師匠は気にしないのでしょうが、私の作業速度が、その」

庭師にとって雨はある意味天敵だ。
丹精に手入れをしても雨による影響で整えたはずの草木がその形を変える。
雨を考慮した上で手入れをすればいいだけなのだが、満足のいく仕事にはなかなか至らない。

「ふふっ。二代目白玉楼の庭師としてはまだ力不足かしら?」

「お恥ずかしいことに……」


広すぎるといってもよい程の白玉楼の庭はまだまだ私の手に余る。
それでも私はいつか庭師、そして剣の師匠でもある魂魄妖忌の後を継いでここを一人で管理できるようになりたい。


そんな想いを抱いて庭を眺めていると目に映ったのは白玉楼の桜木のなかでも一際異彩を放つ巨木。

西行妖。

大仰な銘を持つこの桜の木は師匠が専属庭師として務めだしたこの数百年で一度たりとも花をつけたことがないという。
枯れ木にしてはその存在感に目を奪われるが、私自身も蕾の一つつけた姿を見たことがないのでこの桜が咲くことはないのだろう。

それでも、初めてこの桜を見たときからどこか心惹かれるような気分になるのだった。




「さて、長くいるとあの子が寂しがるわね。そろそろ戻りましょうか」

「今は師匠が見てくれているはずですが、そうですね」

幽々子様から湯のみを受け取り、縁側から屋敷に戻る。
一歩後ろに付き従っていると幽々子様は歩きながら首だけをこちらに向けた。

「でも、さすがの妖忌も孫は可愛いようね」

「はい、表情はほとんど変わりませんがあの子を相手にしているときの師匠はとても優しい目をしています」

私の代わりに師匠があの子の面倒を見てくれるのが多いのもその関係だろう。
私が庭師の役目を継げば隠居と称して日がな一日戯れていそうだ。

師匠的にはあの子にも剣を教えるつもりなのだろうけど。


「あらあら。それは貴方も一緒よ?」

「……そうですか?」

「えぇ。あの子を抱く貴方はとても優しい、母親の目をしているのよ、妖姫?」

幽々子様は笑みを絶やすことなく私を見つめている。

なるほど、確かにその通りだ。
あの子、妖夢は私にとって何よりも大切な存在なのだ。


妖姫(ヨウヒ)。

父にして師匠である妖忌と同じ韻を持つ私の名。


聡明にして質実剛健な師匠の名に恥じぬよう、西行寺家に仕える従者として凛とした存在でありたい。
そしていつか三代目白玉楼の庭師を継ぐであろう妖夢にとって誇るべき母でありたい。

それが今の私の、魂魄妖姫の願いだった。





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ピンと張りつめた、冷たい空気が肌を刺す。


師匠が剣を構え、巻き藁を睨みつけて身じろぎ一つしなくなってからどれくらいの時間がたっただろう。
白玉楼にある道場の中心に立つ師匠を私は師匠の視界に入らない離れた位置から正座の状態で見つめている。
その一挙手一投足を見逃さぬようにと。

大人の男性の胴回り程度しかない太さの巻き藁など師匠の剣の腕からすれば問題ではない。
それでも自身が持てる一刀を最大限に振るうために気を満たすその姿がこの道場に拡がる尖った空気の正体だろう。


昨夜に予想した通り、今日の天気は雨となった。

生きた存在がいないために物音が極端に少ない冥界。
しとしとと降りしきる雨はこの張りつめた空間に唯一の音をもたらしている。

雨音は静かに、しかしだんだんと耳の奥まで浸食してくるようだ。


と、たまたま大きくなった雨粒が道場の戸板を叩いたのか、とんっという小さな音が鳴った。

それは耳を澄ましていなければ、さらには冥界という音が少ない場所でなければ聞こえないような微かなものだった。
しかし今、この空間の中ではそれでさえ気をとられるには十分だった。

その雨音をきっかけにしたのか、はたまた私がそれに気をとられたことに反応したのか、それまで石像のように動かなかった師匠の体が高速にぶれた。

目をこらしていたはずの私がそれを認識できたときには既に師匠は事を終えていた。

ぶれたと思った動きの正体は何のことはない、高速の居合抜き。
体の重心を全く崩すことなく、抜刀し、振りぬいた動作の果てに見えたものだった。

左腰にあった鞘に納められていたはずの剣は瞬く間に師匠の右手のなかで鈍い光を放っている。


「気を散らしたな。妖姫」

師匠の呟きに反応するかのように巻き藁がゆっくりと上半分と下半分を分け、木造りの床に音を立てて落ちる。

「太刀筋を見極められたか?」

問いかけにうなだれるようにして首を横に振る。
太刀筋どころか、挙動の終わりさえ見えなかった。

「心のあるべきところを刹那でも見失うから儂の太刀を追いきれんのだ」

「……はい」

言い訳をする気にはなれなかった。
師匠の指摘通り、私の集中力が欠けていただけなのだから。
達人ならば周囲の雑音に気をとられることなどない。

朝の道場の張りつめた空気を拭うかのように師匠はふう、と息をついた。

「しかし、お前には剣の才はないのう……」

それは先ほどまでの叱責を感じさせることのない、呆れたような、だけどどこか優しい声音だった。

「……むぅ」

剣の才能がない、と師匠から断言されてしまってはさすがに落ち込んでしまいそうになる。
私は私なりに精進を惜しんでいないし、顕界のいっぱしの剣士程度なら軽くあしらえるくらいの実力はあるつもりだけど。

それでも師匠からすればまだまだ未熟で、それでは白玉楼の庭師兼幽々子様の護衛役は務まらないのだろう。



私は生まれたときから白玉楼にいたわけではない。
師匠が庭師として白玉楼に来る前から無期限の剣の旅に出ていたのだ。
長い流浪の果てに妖夢を授かり、頃合いとして師匠の後を継ごうと白玉楼にやってきたのが10年ほど前になる。

半人半霊である魂魄家の者は人と違い半分死んでいるようなもので、非常にゆっくりと年をとる。
傍目から見ると赤子のままほとんど成長しない妖夢を育てるかたわら、庭師としての教えも師匠から受けるようになり短くはない時間が立つが二代目庭師を継ぐのはまだまだ先だろう。

師匠もまだまだ現役だし、時間はある。


とりあえず、このまま才能がないと言われたまま引き下がるわけにはいかない。
私は立ち上がると師匠が斬った巻き藁を片付け、手早く次の藁を巻いていく。

「ふむ……。今のお前の力、見せて貰おうか」

私の意を汲んだ師匠が道場の隅に下がる。

用意を終えた私は剣を手に取り、師匠と同じ構えで藁に向かい合った。

目を閉じ心を落ち着ける。
自分の放てる、最高の一刀を師匠に示すことだけに精神を集中する。


「……」

鞘を滑り、空を斬り、切断される対象の姿を明確に夢想していく。

「……」

身体に気合いが満ちるのを感じる。

「……」

いける。

「……っ!」

鋭く小さく息を吐き、僅かに後ろに下げた足に重心を移動させ溜めを作って一気に足を踏み出し……

「妖姫ー、いるー?」

「あうっ!?」

突如掛けられた声にそれまでの集中を霧散させた私は踏み出した足をそのままに、剣の柄を握った右手もそのままに額から巻き藁に突っ込むこととなった。

「あ」

「……」

額を巻き藁に打ちつけたまま姿で、ぽかんと戸惑う幽々子様の声と師匠の呆れ果てたため息を聞いた。

「やはり、お前には剣の才はないのう……」


********


「あははは! 妖姫、おでこ赤くなってるわ」

もういいだろうと言う師匠の言葉で今日の剣の修行は終了した。
もっとも、あんな失態を晒してしまった後で何事もなかったかのように剣を振り続けることなどできなかっただろうが。

「お恥ずかしい限りです……」

今は屋敷の縁側で幽々子様が用意して下さった濡れた手拭で額を冷やしている。
思い返すと額どころか頬まで朱に染まってしまいそうだ。
いや、現にそうなっているかもしれない。
そう思うと今だけは雨の影響で下がった気温がありがたかった。

「でも妖姫も本当ならもっと剣も上手なはずなのに」

「それは、私が未熟なので……」

「いいえ。前に彼岸で裁きを受ける前の霊が逃げ出して暴れたとき、偶然に居合わせて襲われた私をいち早く庇ってくれたのは貴方よ。あのときの危険を顧みない想いの強さがあれば剣だって上手く使えるはずだわ」

「あれは、その。なんだか悪い予感がして身構えていただけですので」

私は剣の才能はないし、とっさに身体を動かして事を成せる程の決断力もない。
ただ師匠も褒めてくれたことなのだが、私にはずば抜けた霊感があるらしい。

何かが起きるかもしれない、周囲の霊魂がざわついている、そんな気配を察知することにかけては死を操る程度の能力を持つ幽々子様や戦うことに関しては鬼人の如き鋭さを持つ師匠よりも優れているらしい。

とはいえ住むものが幽霊ばかりの冥界にいては些細な気配に反応してしまい何をしていても心乱されることが多く、おかげで先ほどのように失態を晒すことがあるのでこちらとしては嬉しくもない能力だ。

「ふふ、大丈夫大丈夫」

落ち込んでいことを察せられたのか、幽々子様の手が動きやすいように後頭部でまとめてある私の髪を梳く。
白玉楼で暮らすようになってから、何度としてこうして主であるはずの幽々子様に慰めて貰うことがある。
従者としては情けないところではあるが、幽々子様の細い指が髪を通る感触が好きで結局身を任せてしまうのだった。


しばらくの間、撫でられるままでいると廊下の奥から不意にドタドタという慌ただしい足音が聞こえてきた。
この屋敷で足音をたてられるのは三人しかおらず、そのうち私を含めた二人がここにいるということで自然と足音の主が誰かは絞られる。

「よ、妖姫。ここにおったか」

師匠が僅かに、しかし決して普段は見せないような慌てた様子で駆けてきた。
そんな珍しい姿に私はすぐに答えに思い当たる。

「妖夢がどうかしましたか?」

「うむ……。急に泣き出してしまったのだ。儂ではどうにもできん、面倒を見てやってくれ」

幽々子様と顔を見合わせて笑い合うと立ち上がって一礼する。

「それでは幽々子様、すみませんが妖夢のところに行ってきます。わざわざありがとうございました」

「えぇ。行ってらっしゃい」

髪を撫でられる感触を心惜しく思いながら、私は二人に背を向けて可愛い我が子の元へ急いだ。




「ふぅ」

必死にあやすことでようやく泣き止んだ妖夢を寝かしつけてから私は再び庭に出ていた。

振りやむ気配のない雨のなか、向かう先は西行妖の下。

私は一人で手持無沙汰な時間ができるとよくここを訪れる。
いつもは枯れた巨木に背を預け、その日あったことや、幽々子様や師匠のこと、妖夢のことを取りとめなく考えたりするのだが今日はそうしなかった。

いつもと変わらない姿で白玉楼の桜並木のなかに佇むその姿に言い知れぬ何かを感じたのだ。

秋から冬に向かうこの季節。
当然桜の木は葉の一枚もつけることがない。
それは西行妖も他の桜も同じだ。

つまり私が感じたのは外見からの違和感などではない。

そう、もっと奥の方。
西行妖のなかから声のようなものが聞こえる気がしたのだ。

霊感に優れた私でもはっきりと口にすることができないほどの小さなものだが。


「師匠に相談してみるか」

幽々子様はずっと白玉楼に住んでいるのだが西行妖については何も知らないと言っていた。
しかし庭師である師匠ならこの木についても何か調べているかもしれない。

今の時間なら師匠はここから離れた場所で草木の手入れをしているはずだ。
話を聞くだけなら邪魔にはならないだろう。



「……ん?」

歩き出した私は西行妖に感じたものとは違う違和感を覚えて立ち止まった。

私の周りに人の気配も幽霊の気配もない。
ただ私の半霊がふわふわと漂っているだけだ。

その半霊を、私の半身をじっと見つめる。

それは、心なしか……。


「……小さく、なっている?」


胸騒ぎが、した。



********



「西行妖が?」

「はい」

結局私は師匠の元を訪れた。
警戒はしてもしすぎることはない。
気になったのなら調べてみればいいだけ。

なので枯山水の白砂を均していた師匠を見つけて率直に言ってみたのだ。


西行妖の様子がおかしい、と。


師匠はその単語を聞くと少しだけ眉根を寄せた。

「それは、どういうことだ?」

木がおかしいとはっきりしない言葉にも師匠は真剣に取り合ってくれる。
師匠も私と同じようなことを感じていたのだろうか?

「師匠。私が霊感に優れていると言って下さったのは師匠ですね」

「うむ」

「その霊感がというにはあまりに曖昧なのですが、何やら、えっと」

「良い、思うがまま、感じたままを教えてくれ」

「はい。その、声が。声のようなものをあの桜のなかから聞いた気がしたのです」

「……」

師匠は真正面から私の目をじっと見つめた。
しかしそうしていたのも僅か、手に持っていた手入れ用の道具を片づけ始めるとやや重い口調で口を開く。

「分かった。西行妖のところに行こう」

「……、信じて下さるのですか?」

思えば荒唐無稽な話だ。
木から声がするなどと、普通なら精神の状態を疑われても仕方がない。
それでも師匠のその姿は、私の言葉を微塵も疑っていなかった。

「お前が嘘をつくような奴でないことは儂も十分に知っておるからな」




そうして師匠を連れた私は再び西行妖の元にやってきた。

見た目には何の変化もない巨木を見つめて師匠は私に尋ねる。

「今も声は聞こえるのか?」

「……はい。本当に微かなものですが」

「何と言っているのだ?」

「それは、はっきりとは分かりません。なんとなく声のように聞こえるというだけです」

風の音や雨の音といった自然の音ではない。
かといって人が鳴らそうとして鳴らせる音でもないと思うのだけど。

「曖昧なことしか言えず申し訳ありません」

「気にしなくてよい」

師匠は改めて西行妖に近づき、手を当てたり葉のない枝を眺める。

「師匠には聞こえないのでしょうか?」

「あぁ。儂にはいつも通りの姿にしか見えぬし、音なぞ、ましてや声など聞いたこともない」

師匠は西行寺家の庭師として200年以上も白玉楼の桜並木や草木を世話してきたのだ。
誰よりもここの庭について詳しい師匠でも心当たりがないとは。

「やはりお前の感覚でしか捉えられぬものなのかもしれぬな」

ここまで来ると私の思い違いということもありえる。
結局その場では答えが出そうにないので私たちは一旦この件を保留とすることにした。

「また何か気づいたことがあればすぐに教えてくれ。あぁ、それと」

言葉を中途で止め、私に向き合うと師匠は言い聞かせるような口調に切り替えた。

「このことは、幽々子様には黙っておれ。不明瞭なことで気を煩わせることもあるまい」

そう言うと師匠はやり残した作業に戻ろうと来た道を引き返そうとした。
その動きに合わせて師匠の半霊が舞う姿を見て私は一つ尋ねておきたいことを思い出した。


「師匠」

「ん? まだ何かあるのか?」

「あ、その。私たちの半霊なんですが」

師匠は私の言葉に首を傾げて自身の、そして私の半霊を一瞥する。

「半霊がどうかしたのか?」

「えっと、半霊は大きさを変えることがあるのですか?」

質問の意図が分からないのだろう、怪訝そうな顔をしたまま師匠は考えこむ。

「……意識したことはなかったな。ただ儂のもの、お前のもの、妖夢のものでそれぞれ大きさは違う。そしてそれらはあまり変動するようなものではないと思うのだが……?」

確かに。
大きさだけでいえば体格に合わせるかのように師匠の半霊が私たちのなかでは一番大きいように思える。
しかしその差は微々たるもので、身体の成長に合わせて大小するようなものでもないのだろう。

「変なことを聞いてすみません」

「うむ、では儂は仕事に戻る」


去りゆく師匠を今度は引き止めなかった。
背中が屋敷の影で見えなくなってから私は一人、西行妖に向き直る。


師匠がそうしていたように巨木の幹に手を当てると桜から聞こえる声が少し大きくなった気がした。
しばらくの間身動きせずにそうして声だけに集中しているとやはり気のせいではないと思い直した。


西行妖は私に何を伝えたいのか。


それも分からぬまま、私は雨に濡れることを忘れて日が暮れるまでその場に佇み続けていた。





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「ごほっ、ごほっ……!」

「あら妖姫、風邪?」

一日の剣の修行と師匠の仕事の手伝いを終え、妖夢を抱いたまま幽々子様と取りとめない会話をしていると不意に喉から乾いた咳が漏れた。

私の腕の中でうとうととしていた妖夢がその衝撃で小さく呻き声をあげる。

「ごめんね、妖夢。……そうですね、先日長い時間雨に打たれてしまっていたので身体を壊してしまったのかもしれません」

心配して下さる幽々子様に苦笑してみせる。
半人半霊とはいえ半分は生身の人間。風邪を引くこともあるにはある。
実際に自覚症状はない程度なのでそれほど問題にはならないだろう。

「幽々子様、申し訳ありませんが妖夢をお願いしてもよろしいですか? この子に風邪を移してしまうのは忍びありませんので」

「いいわよ。ほら、妖夢、こっちよ」

妖夢の小さな身体を優しく抱きあげる幽々子様の姿はいろいろと不器用な私よりも母性を感じさせる。
実際に妖夢も私に抱かれるのと変わらない落ち着きを見せているくらいだ。

「可愛いわねー。妖夢はいつごろ言葉を話せるようになるのかしら」

「どうでしょう……。半人半霊の加齢はとても緩やかですから。半世紀はかからないとは思うのですけど」

妖夢が言葉を話すようになる頃には私が西行寺家の二代目庭師として務め、私と師匠の関係と同じように妖夢に剣と庭師の仕事を教えていくのだろう。

妖夢は私のことを師匠と呼ぶのだろうか?
それともお母様と呼んでくれるのだろうか?

そんな未来を想像すると今からそのときが楽しみで仕方がない。

亡霊故に姿の変わらない幽々子様、庭師の仕事を引退した師匠、私、大きくなった妖夢の四人で暮らすことはさぞかし幸せな毎日だろう。



「そういえば妖姫。最近は剣の修行の後に妖忌とあの枯れ桜の下で話をしていることがあるけど、何を話しているの?」

ぎくりとした。

あれから私と師匠は西行妖の調査を進めている。
状況に進展はないが、私が感じる西行妖の声が徐々に大きくなっていることが分かってきた。

師匠にはその報告に対する指示として幽々子様にはこのことを教えてはならないと厳命されているのだ。
その理由については聞かされていない。

ただ恐らく、師匠は西行妖についてまだ私が知らないことを知っている。
それについても教えては下さらないが、あのどこか悲壮な様子の師匠を見ていると私も追及できなくなる。

ともかくそうして二人で調査をしているところを幽々子様に見られていたのか。
表情を崩さぬまま私は頭のなかで必死に言い逃れる方法を考える。

「あぁ、あれですか。あれは単に剣や仕事について師匠から教えを受けていただけですよ」

「そうなの? 妖姫は熱心ね。妖忌の後を継ぐ日も近いのかしら」

自分でも不自然にならないような説明ができたと思う。
実際に教えを受けているのも間違いではないからなのだが。

その言い分に納得してくれたのか、幽々子様はそれ以上追及しようとはしなかった。

「でも妖姫に正式に西行寺家の庭師になってもらうとこうして話をできる時間が減ってしまうわねー」


仰りたいことは理解できた。
今だと庭師の仕事はほとんど師匠任せになっているので私は空いた時間は幽々子様に付き従っていることが多い。

しかしその仕事を私が引き継ぐとなると当然こうしていられる時間は短くなる。
師匠はあの通りの堅物なので幽々子様も私と話すときのように気易くはできないのだろう。

そういう意味では幽々子様の話し相手が少なくなってしまうかもしれない。

「でも、そのころには妖夢が私の相手をしてくれるはずだわ。そうなると私といることの方が多くなるかもしれないし、妖夢も私を母だと思ってしまうかもしれないわねー」

「うっ」

幽々子様の言葉に私は声を詰まらせてしまう。
その予想は十分にあり得ると自分でも分かってしまったからだ。

先ほども感じたように幽々子様の仕草言葉は私なんかより遥かに母としての素養があるように思う。
そうなると妖夢は自然と幽々子様に懐いてしまうようになって……。

「ふふ、本気にしたかしら? 冗談よ、妖姫」

そう言っていつものように私の頭に手を伸ばし、髪を撫でられる。

からかわれたと知りつつも既にうろたえた姿を見せてしまった以上、私は言葉なくうなだれるしかできなかった。



********



師匠と西行妖の調査に乗り出してから半月ほどたった今日、私は師匠の部屋を訪ねた。

今までの調査では思うような成果は上がっていない。
その間私は以前にも増して西行妖を眺めることが多くなった。

聞こえる声は西行妖を眺める時間に比例して大きくなっていた、それはもう疑いようのない事実だ。

そしてまた、私の身に起きている異変についても。


「師匠、西行妖について知っていることを教えてください」


部屋で向かい合うと語気を強く師匠に詰め寄った。
師匠は確実に何かを知っている。
そしてできることならそのことを話したくはないということも分かる。


それでも私は知りたい、知らなくてはいけないのだ。


「何故、それを尋ねる?」

「知らなくては、いけないと思ったからです」

私の決意を感じ取ったのか、師匠は渋面を作ったまま小さく口を開いた。

「……西行妖も、昔は見事な花を咲かせていたことがある」

一瞬はぐらかされるのかと思った。
しかし直感でそのくだりが今からの説明に必要なのだと考え、口を挟むのを堪えた。

「その時代のとある歌聖があまりにも見事な桜の下で永久の眠りにつきたいと考え、彼はそれを実現した」

師匠はただ滔々と言葉を重ねていく。

「それからその歌聖の真似をするかのように人々が相次いでその桜の下で息絶えることが増えていった。
 いつしか桜はその美しさで人々を魅了し、死に誘う妖怪桜となっていた。
 そしてその妖怪桜を人々は最初にそこで果てた歌聖の姓から、西行妖と呼んだ」

師匠が語る妖怪桜の話を聞いて、私は一人の女性の姿を思い浮かべざるを得なかった。
人を死へと向かわせる能力、それはまるで……。

「お前の思っている通りだ。その力は、幽々子様の『死を操る程度の能力』と同じ類のものだ」

「……、幽々子様と何か関係があるんですね?」

返答に師匠は頷いてみせた。

「幽々子様がまだ亡霊として冥界に移り住む前、生前から幽々子様はその能力を持っていた。
 人間であるはずの自分が巷の妖怪桜と同じ存在だということにご自身を儚み、満開に咲き誇る西行妖の下で自尽なさったのだ」


そのときのことを思い出したのか、悲痛な面持ちで顔を伏せる師匠。

「それは、見事の桜だった。しかし二度と満開になることはない。
 西行妖は幽々子様の御身体を以って封印され、二度と人を死に誘うことはなかった。
 そして亡霊として存在を変えた幽々子様は西行妖と共に冥界のここ、白玉楼へと移り渡ったのだ」

「……幽々子様はそのことを?」

「覚えておられない。幽々子様は閻魔様からその能力を買われ、冥界での幽霊管理を任されているとしか考えていないだろう」

私は言葉を失ってしまっていた。

これが白玉楼で異彩を放つ西行妖の真実なのか。
しかし、この話を聞いて納得できたことがある。



「師匠」

尋ねながら私はこの胸のうちにある推測が間違っているのではないか、間違っていて欲しいという思いがあることに気づく。
だけど口にせずにはいられない。
これは、私だけの問題ではないのだから。

「西行妖が、再び力を取り戻しつつあるとは考えられませんか?」

私の言葉に師匠は目を見開く。

「何故、そう思う?」

問いかけに私は自分の半霊を向き合う私たちの間へと浮かべる。

「私の半霊が。徐々に小さくなっています」

師匠の顔から感情が、消えた。

半霊はいつものように中空を漂っている。
しかし、注意して見てみると白玉楼に来たときと比べると一回り以上縮んでいることに気づく。


「これは私の半人である存在が死に誘われているのではないでしょうか?」


私たち魂魄家は半人半霊の一族である。
人の身を生を、漂う霊に死を内包した存在だ。

死そのものである霊は永久にその姿を変えることはないが、片割れである半人の身が死に絶えたら当然対をなす半霊もまた消失する。

私が死に近づいたことにより、半霊もまた消えゆく流れにあるとするならこの推測は間違っていないことになる。

「馬鹿なっ……! 妖怪桜が人を死に誘うのは桜の花が咲いているときだ、蕾すらつけていない西行妖が力を発揮させることなど……」

師匠の言い分はもっともだ。
それに西行妖が力を取り戻しているということは他ならぬ、幽々子様の身体を使った封印が弱まっていることに繋がるのだから。

だが真実はそうではない。

西行妖は変わらず幽々子様の亡骸によって封印されているのだろう。
何年、何十年、何百年たとうが西行妖が花を咲かせぬのがその証拠だ。

しかし現に私の半人である部分が穏やかに死に近づいている以上、原因は他にある。
正確には西行妖が力を取り戻しているのではない。


「師匠、人の念とは恐ろしいほどに強いものです」

聡い師匠だ、それだけで私と同じ推論に辿り着いたことだろう。

「西行妖の下で眠っていった多くの人たち。それらの想いが、未練が、無念が、西行妖のなかで今もなお眠っています。
思えば私が白玉楼についた頃から西行妖のことが気になっていたのも、強い霊感があるゆえに彼らの亡念が私を呼んでいたのでしょう。亡念はより多くの死を求め、自分たちの存在に気づきかけていた私を引きずり込んだ」

師匠と調査を始めてからの期間、私は西行妖から聞こえる声に耳を傾けすぎた。
声の正体は西行妖のものではなく、その下で眠る人々の声だったというのに。


そして、そのことに気づくのが、あまりにも遅すぎた。


「私はもう、稽古で長刀を振ることすら叶いません」

「お前っ!? ここ数日剣の修行を休んでおったのは!」

確信が持てない限り、師匠に本当のことを言うのは憚られた。
私は三日ほど前から風邪が治らないと偽り、剣の修業を休んでいた。

その時間にもまた西行妖のところに行き、なお深く死に近づいていたのだから皮肉なものだ。 

師匠は骨が折れるかのような勢いで自分の拳を畳敷きの床へと叩きつけた。

「儂が、もっと早くお前に西行妖の正体を教えておれば……!」

胸の奥から湧き上がる苦悩を隠そうともせず師匠は歯を食いしばる。

「遥か昔のこととは言え儂も甘かった、西行妖はどこまでも呪われた桜木なのだ……。
 幽々子様の御身体を以ってその妖気を封じてなお死霊たちの念を得て人を死に誘う。なんと、咎重き桜よ……」


私には分かる。
師匠は今、後悔の念を吐きながらも必死に私を救う手段を考えているはずだ。


真っ先に思いつくのが私を白玉楼から離れさせ、西行妖の影響が及ばない地へと逃げること。

次に思いつくのは西行妖をどうにかして燃やすなり斬り倒すなりをして亡念ごと消失させること。

最後に西行妖の下に眠る亡念を魂魄家の宝刀、白楼剣を以って斬り伏せ成仏させること。


私も思いついたこれらにはそれぞれ問題がある。

まず私が白玉楼を離れることだが、これは有効ではあるのだけど既に私は一貫にも及ばない長刀も振れないほど衰弱してしまっている。

お伽噺にある蓬莱人でもない限り、死に近づいた人の魂が回復することなどあり得ない。
大した延命もできぬまま私は果てることになるだろうし、何より根本的な解決にならない。


西行妖ごと亡念を消失させること、これははっきりいって論外だ。

西行妖を消してしまえば封印の一部となってしまっている幽々子様の御身体に影響が出るのは想像に難くない。

亡霊である幽々子様は西行妖の下に眠る幽々子様ご本人の身体によって保たれている。
従者が助かるかもしれないという程度のことで主を危険に晒すわけにはいかない。



最後に亡念を斬り伏せること。

一番有効かつ現実的に思えるのだが、これにもいくつかの問題がある。
まずは西行妖のなかという曖昧な情報しかない限り亡念を斬るには正確さに欠ける。

死霊は個々の力は弱いが群れると大きな力を持つ。
散り散りになるまで斬り飛ばさないとまたいつの日か復活する恐れもあるのだ。

幽々子様の死を操る能力で死霊を操ることができれば対応できるかもしれないがそれをするには幽々子様に西行妖の封印について説明しなければいけない。

一般的に亡霊は自分が死んでいることを認識するとその存在を保てなくなると言われている。
幽々子様は一般的な亡霊と違い顕界への未練から亡霊となっているわけではないのではっきりとは分からないが、危険なことには変わりない。


そうして提唱と反論を頭のなかで繰り返していくと驚くほどに選択肢が用意されていないことに思い当たる。
私がそう結論付けたところで師匠も同じように考えていることだろう。

打つ手はない、と。


だがそれはあくまで師匠の視点のものだ。


「私が白楼剣で亡念を討ちます」

短刀である白楼剣なら、今の私の力でもぎりぎり振るうことができる。
迷いなく告げる私に師匠は首を横に振る。

「何を……。完全に亡念を討ち果てるすべがないことは、お前も気づいておろう?」

「そうですね。亡念の声が聞こえると言ってもそれだけでは亡念たちの核を討つことはできないでしょう。
 しかし、それは今の私のままならということです」

私には亡念たちの声が聞こえる。

それは耳を澄ませばよりはっきりと。
つまり私が死に近づけば近づくほど鮮明に亡念を感じることができるということだ。

「限界まで身体を明け渡します。奴らに取り込まれる寸前なら、確実にその中心も見えます」

「お前は自分が何を言っているのか分かっているのか? そんなことをすればその先に待つのは、避けようのない消滅なのだぞ!」

師匠の一喝にも私は決してひるまない。
ここでひるむ程度ならこんなことは言いだすことすらできない。

「……恐ろしくはないのか? いや、言わなくていい」

師匠は立ちあがると壁の刀掛けに置かれた白楼剣に手を添える。
その手には年齢に見合った皺が刻まれているが、力強さだけは揺らぐことのない手だ。

「儂がやればいい。どうせ老い先短い身なのだ。その命、短かろうが残り全てを妖夢のために捧げてやれ」

「師匠。師匠の実力は微塵も疑っていません。しかし特に霊感に優れているわけではない師匠では、事を成すことができないかもしれません」

「儂では物足りぬと言うか、未熟者のお前が」

そう言って嘲る師匠に私は誇るように笑みを浮かべる。


「私なら、できます」

そう、適任だとか、霊感に優れているというそんな些細なことではないのだ。
私が霊感に優れた能力を持つ、それは子に遺伝しても不思議ではない。


「これは、妖夢を守るためでもあるのです」

どこに負ける要素があろうか。
愛しい我が子を守るためなら、私はこの命を賭して戦神にもなれる。

「絶対に負けません」


揺るぎなき決意を感じ取ってくれたのか、師匠は白楼剣に添えていた手を、そっと下ろしたのだった。



********




「ご馳走様、今日も美味しかったわ」

「お粗末様です」

いつものように夕餉を終え妖夢を寝かしつけるとそれからしばらくは私と幽々子様の時間だ。

お互いの一日について話し合ったり、妖夢や師匠のことを話したりする。
全体的に変化に乏しい冥界にいては話題自体はそれほど多くない。

それでも私はこの時間が好きだったし、幽々子様も私と会話することを楽しんでくださっていた。

「雨、止まないわねー」

「そうですね。この冥界でここまで雨が続くのは珍しいかもしれません」

「そういえば風邪はもう大丈夫なのかしら? 妖姫が体調を崩すなんて初めてだから」

「ご心配をかけてしまいましたね、もう大丈夫ですよ」


話すことは取りとめないことばかりで、私はこれが幽々子様と交わす最後の言葉になるのかと内心で悲観に暮れていた。


西行寺幽々子お嬢様。
冥界の管理者にして私の主。

心優しく、従者である私や師匠にも気配りを忘れないお方。

白玉楼にやって来てからの月日は短いが、私は幽々子様に会ってすぐに彼女の人柄に魅了されていた。
ずっとこの方に仕えていこうと自然と思うことができた。

しかしそれは予期せぬ形で果たすことができない願いとなってしまった。

私にはもう、時間が残されていない。



今宵私はあの妖怪桜の呪いに挑む。
失敗するかもしれないとは考えない。

そんなことを考えていては最後の一刀が届かなくなってしまう。



取りとめない会話もしだいに言葉少なになっていく。
いつもならそれを合図に床に入り、明日のための眠りに就く時間が近づいてくる。

いつまでもこうしていたいという気持ちは隠しきれない。

だが幽々子様に悟られる訳にはいかない。

心残りを振り切るように、感情を押し隠したまま、私は自らこの時間を終わらせる。

「そろそろ、ご就寝なさいますか?」

「そうねー。あ、その前に」

幽々子様は立ち上がろうとした私を片手で制すと手招きをした。

「妖姫、こっちに来なさい」

「は?」

「いいからいいから。ほら、こっち」

「はぁ……。何でしょうか?」

呼ばれるままに私は幽々子様のお側に腰掛ける。
するとにこやかな笑顔のまま、幽々子様は私の髪に手を伸ばした。

「よし、よし」

「あの……、幽々子様?」

突然の行動に私は思わず疑問の声をあげてしまった。
うろたえる私に構わず幽々子様は髪をゆっくりと撫で続ける。

「妖姫、なんだか落ち込んでるように見えたから」

「……っ」

その言葉に私は一瞬で泣き崩れてしまいそうになった。
こちらに向けられた笑みはどこまでも温かで、そっと髪を撫でる動作はまるで優しい抱擁のようだった。

それでも何とか持ちこたえることができたのは涙が流れそうになっても私の決意は少しも揺らがなかった故だろうか。


「何を……。私は、大丈夫です」

「そう? 妖姫は意外と弱いところが多いから」

こうしていつも私を理解してくださる幽々子様の優しさが嬉しい。
私はこの温かさを捨て去らなければいけないのか。

「それでも、大丈夫ですよ。……こうしてくださっているときは、何があっても大丈夫なのだと思えますから」

正直な気持ちだった。
幽々子様の手はまるで魔法のようで、押し隠していた不安が雪解けのように消えていく。


「この時分、もう冷えます。寝室までお送りしますので、どうかお休みください」

「そうね。そうするわ」

先だって立ち上がり、手を差し伸べると幽々子様の細い手が私の手をそっと掴んだ。
言葉通り寝室前まで付き添い、いつもと変わらぬように夜の挨拶を告げる。

「では。おやすみなさいませ、幽々子様」

「おやすみ、妖姫」

障子を閉めるとすぐに幽々子様が床に就く気配がした。
私は少しの間障子を挟んだ場所に立ち尽くし、深く長く一礼をしてからその場を離れた。

心のなかで、申し訳ありませんという謝罪と、ありがとうございましたという感謝を告げながら。





自室に戻ると布団のなかで妖夢が安らかな寝息をたてて眠っていた。

結局この子に母と呼んでもらうことも叶わなかった。
愛情だって全然与え足りていない。

私は眠る妖夢を起こさぬようそっと抱き抱える。
幼い我が子を抱くことにさえ重みを感じてしまう自分が情けない。

両腕で包みこめるほどの妖夢はとても可愛かった。
腕に、胸に感じる赤子特有の温かな体温が愛おしかった。


妖夢の顔を見ているとまた涙がこぼれそうになるのを感じた。

私はこんなにも涙もろかったのか?

いや、違う。
思えば当たり前のことだ。

悲しい、悲しかった。

もう二度と我が子を抱くことができない。
悲しくないわけがない。

それでも私は妖夢を守る。
幼子は感受性が高く、それ故に悪霊にかどわかされることが多い。
妖夢が私のように霊感を備えているかは分からないが、危険が及ぶ可能性は高い。
この子に危害は加えさせない、決して。


妖夢を布団に下ろすということが、自らの意思で手放さなければいけないということがまるで拷問のようだった。
しっかりと布団をかけなおすとその柔らかい頬に口づけをし、別れの言葉を呟いて私はそっと部屋を出た。





廊下に出ると外は月がどこにあるのかも分からぬほどの雲に覆われ、依然雨が降り続いていた。
部屋の障子を閉め、庭へ向かう途中に正装をした師匠の姿を見たときにまた涙が出そうになった。

今日の私は上手く感情を制御できないようだが、それについてはもう諦めるしかないだろう。

ゆっくりと歩み寄ると師匠が傘を差していないことに今さら思い当たる。
服はしっとりと濡れているが、師匠らしい気丈な姿はいつもと変わることはなかった。

「行くのか?」

問いかけに私は頷く。
師匠の左手には一振りの短刀が握られていた。
魂魄家に受け継がれし人の迷いを断ち斬る宝刀、白楼剣だ。

「師匠……」

「ふん。剣の才のないお前が、今際の際まで儂を師と呼ぶか」

「……そうですね、貴方にとって私はいろんな意味で親不孝者でしたね」

「そして、さらには子を不幸にするやもしれぬな」

「私はそうは思いません。あの子は私の子で、貴方の孫ですから。親なしくらいで不幸にはなりません」

「……」

黙って差し出された短刀を恭しく両手で受け取り頭を垂れる。
本来ならこの儀式のようなやりとりは私が正式に師匠の後を継ぐときに行われるはずだった。

初めて触れることを許された白楼剣は不思議と私の手にとてもよく馴染んだ。


「お父様、今までありがとうございました。先立つことになる不孝をどうかお許しください。
 そして、妖夢をよろしくお願いします」

「……手出しはせぬ。我が娘よ、死力を尽くしてこい」

改めて語ることはない。
言葉少なく、私は父にして師の隣を横切りその場所へとゆっくりと歩を進めた。


別れの刻は過ぎた。

迷いはない。

一路、西行妖も元へ。

今宵、我が生涯最後の戦いへ。





降り止まない雨は全てを霞み曇らせていた。
本当なら凍えそうなほどの冷たさも今はもう感じなくなっている。


霞む世界のなかで唯一見えるのは枯れた妖怪桜。
その名は西行妖。


私の目の前にある一本の妖怪桜は死に近づいた私に呼応したのか、地を這いずりまわるような低音の声をあげる。
ここまで来るとはっきりと分かる。

西行妖の下で死んでいった人々の亡念がより多くの死を求めて呼び声をあげているのだ。

そして今、彼らが引きずり込もうとしているのは他ならぬ私。
彼らが私をとりこもうとしているのがよく分かる。

生まれ持った霊感の強さが災いしこの声に惹かれ続けた私はもはや、半人半霊どころか全存在のほとんどが霊のようなものになってしまった。

もし私が白玉楼を離れていたとしても思うほど長く生きられなかったかもしれない。


一歩、また一歩と歩みを進めると西行妖の根元から白く蠢くもやのようなものが微かに見えだす。
恐らくこれが私を死へ誘うものの正体、亡念の実態だ。

それは私が瀕死の状態だと本能的に悟っているのだろう、また一つの死を取り込もうと魔手を伸ばしているその姿のなんと醜く傲慢なことか。


足を止め、白いもやを睨みつけるがやはりこのままでは亡念群の核がどこにあるのかまでは分からない。
彼らの本当の中心は、私が永久の眠りにつく直前まで捕らえることができないのだろう。


私は短く息を吐くと手に持つ白楼剣を目の高さまで掲げた。
目を閉じての精神統一は刹那、鉄のこすれる音を響かせてその刀身を夜雨のなかに晒しだす。


抜いた短刀を納める機会は訪れないだろうと、僅かな重みが邪魔になるのを嫌って鞘はその場に放り置いておく。
後は全身全霊の一太刀をぶつけるのみだ。




「呪われた桜よ」


一歩。
亡念の声が大きくなり、それだけで足が重くなった。


「妖怪桜に囚われし亡念よ」


また、一歩。
目の前の白いもやはその色を増し、徐々に濃くはっきりと形をなしていく。


「その迷い、この魂魄妖姫が永久に断ち斬ろう」


膨大な死の念を前にしてなお、私は決して足を止めない。
誓いを言葉に、その想いを力に、感覚の消えゆく身体を奮い立たせる。


「願わくば、死に誘われし者が私で最後とならんことを……」


右手に握った白楼剣の重みだけが今の私を形作る全て。
目に映るのはもはや醜く蠢く亡念の塊のみ。


そして私は、亡念が渦巻く西行妖の下に辿り着いた。
限りなく死に近づいた今なら見える。濃縮された死の念が、その中心が。



「行くぞ、妖怪桜。才なき身で唯一得たこの一刀、思い知れ」



振りぬいた一刀は、確かな手応えと共に白いもやを霧散させていく。
それと同時に限界を超えて死に近づいた私の身体は急速にその力を失っていった。

達成感と満足感を感じながら、私はそのまま意識を手放していく。



雨雲の奥に隠れ私を照らすことのなかった月明かりよ。

どうか代わりに、あの子を未来永劫照らし続ける光とならんことを……。




********



……。


…………。


……これは、なんだ?


意識はとうに手放している。
身体の感覚など、西行妖と対峙したときから既にない。


なのに何故。

「……」

何故。

「……姫」

何故、あの方の声が聞こえるのだ?




(これ、は……)

「妖姫」

(幽々子様、の)

「聞こえる? 妖姫」

(『死を、死霊を操る程度の能力』?)

「ごめんね。貴方が黙って逝くつもりだったのだから、私も何も聞かないでおこうと思ったんだけど。
 貴方がいなくなるというのに何もしてあげられないなんて、嫌だったの。
 貴方が何を成したのかは私には分かってあげられないけど、せめて最後に言葉だけは届けさせて?」

(幽々子、様……)

「妖姫……」

(申し訳ありません、私は……)

「もう、貴方の声も、姿も分からないわ」

(……くっ)

「でも、私の声は貴方に届いていると信じてる」

(はい……。はいっ! 聞こえます! この身に、届いています!)

「貴方が妖忌の後を継いで西行寺家の庭師になるために生まれたばかりの妖夢を連れて白玉楼に来てからの10年。
 短い間だったけど、よく西行寺家に仕えてくれました」

(幽々子様……!)

「庭師として正式に妖忌の後を継ぐ前に、貴方は逝ってしまうけれど」

(はい、それは私にとっても心残りです。でも、きっと、あの子が)

「きっと、あの子が、妖夢が貴方の代わりを務めてくれるわ」

(えぇ、妖夢ならきっと、立派な庭師になって、くれます。私に似ず、剣だって上手く使えることでしょう)

「妖姫。今まで本当にありがとう。貴方のこと、従者として以上に友人か姉妹のように想っていたわ」

(もったいなき、お言葉です。あぁ、もう時間がありま、せん)

「そう、本当に逝ってしまうのね……。最後にもう一度。ありがとう、……妖姫」


(さようなら、幽々子様……)

「さようなら、妖姫……」



********




見えずとも感じることができるほどに肥大した死念が一人の少女の太刀により霧散し消えていく様を見守る姿があった。
老人は悲哀な面持ちであったが、最後まで目を逸らすことなく彼女の偉業を見届け続けていた。

彼女と主の最後の別れまでを見届けた。


「妖姫、見事だったぞ」


その声音から感じられる感情は明るいものではなかった。
しかし、誇らしげな声だった。


「妖忌」


名を呼ばれた老人は後ろを振り向く。
そこには何もないはずの空間を割り開いて上半身だけを覗かせる金髪の女性の姿があった。

何も知らない人間が彼女を見ればさぞかし不気味な光景に映っただろう。

しかし老人と女性は知己の間柄で、そんな姿を気にすることはない。

「おぉ、紫殿」

紫と呼ばれた女性は妖忌が先ほどまで視線を向けていた場所を見つめていた。
妖しげな色香を感じさせるような唇が薄く開く。

「逝ってしまったわね」

「見ていらしたか」

「ごめんなさい。あれだけは、あの桜だけは私の力でもどうにもならなかったの……」

「言ってくださるな。あやつは、紫殿にもできなかったかもしれないことを成し遂げたのですから」

「……立派な娘さんだったわね」

「はい。自慢の、一人娘です」


それから二人はしばらくの間、言葉なく同じ方向を眺め続けていた。

短くも長い時がたった頃、女性は再び口を開いた。


「彼女の書斎で、こんなものを見つけたわ。幽々子が見つける前に、貴方に渡しておくわ」

「これは……。まったく、辞世の句のつもりかのう……」


老人は僅かに顔を伏せ額に手をあてがった。

小さく震える肩を、女性は見なかったことにしたのだった。






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 『 雨の原 ふりさけ見れば 幽かなる 花散りゆけど 光る月花 』



「妖夢、その歌……」


縁側に座った幼い従者がそらんじた歌に、私は思わず問いかけていた。


「え? あぁ、師匠の荷物を整理していたときに見つけた歌です。
 師匠が残したものかどうかも分からないんですが、なんだかすごく印象的で」

「……そう」


夕餉の後に晩秋の月を見ようと庭に出た。
見事な月に私はいつかの夜のように安倍仲麿の歌を詠んだ。

歌に合わせて昔の微かな記憶を思い起こしながら月を眺めていると私の歌に対するの返し歌のつもりか、
思いがけない歌を妖夢が詠んだのだった。


「幽々子様はこの歌をご存じなのですか?」

「……ええ」


妖忌は隠しているつもりだったけど、彼が幽居した後に私は彼の書斎からこの歌を見つけた。
詠み人不明だったが、それが記された書の古さから私は彼女が詠んだものなのだと私は確信した。


妖姫の歌を妖夢が詠む。
それはなんと素敵な偶然なのだろう。


「誰が歌ったものなのですか?」

「……。その歌はね、私の姉のような、妹のような人が歌ったものなの」

「幽々子様の?」

「そうね、貴方が彼女と同じくらいの年齢になったとき、私が覚えていたら教えてあげるわ」

「それはあまり期待できないような」

「妖夢、酷いわー」

私は妖夢の側に歩み寄り、彼女と比べると短い髪をそっと撫でた。

「ゆ、幽々子様?」

「ふふっ、妖夢は可愛いわね」

「みょん!?」





「では。おやすみなさいませ、幽々子様」

「おやすみ、妖夢」

一礼して寝室を出て行く妖夢を見送って私は溜め息をついた。

妖姫がいなくなってからもうそれなりの月日が経つというのに、まさか今頃あの歌を聴くことになるとは思わなかった。
それも他ならぬ妖夢の口から。

私自身、もうあのときのことはほとんど覚えていないけれどあの歌だけは何かの拍子に記憶の表層にふっと浮かびあがってくる。

今でも彼女が何故消えなければいけなかったのかは分かっていない。
妖忌は決して教えてくれなかった。



それでも、きっと、彼女は私と妖夢がこうして暮らせている今を守ってくれたのだと思う。



「おやすみ、……妖姫」



小さく呟いた声は、虚空に消えた。

今宵見る夢は、きっと温かなものになるだろう。



〜了〜
ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございます。

また、この作品は管理人様に認めて頂き〆切終了後に特例として再投稿したものです。
柔軟な対応をしてくださった管理人様に心よりの感謝を、ありがとうございました。

(2010/01/17 追記)

2度目の東方SSこんぺ&東方二次SS2作目として前回に引き続きTOP10入りを果たし、
自分としましては非常に嬉しい結果となりました。
様々な批評、本当にありがとうございます。

完全に言い訳になるのですが、仕事の都合で作品の構想の大枠ができたのが〆切四日前でしたので
多くの方にご指摘頂いたように「雨」のテーマが薄かったり話の詰めが甘かったりしました。
第八回こんぺが終結した今から気の早い話ですが、次回からはより良い作品を書き上げたいと思います。

最後にもう一度、作品を読んでくださった方々へ、ありがとうございました。
無上の感謝をここに。
送穂 葵
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2009/11/22 00:56:38
更新日時:
2010/01/17 18:25:11
評価:
29/29
POINT:
168
Rate:
1.29
1. 7 静かな部屋 ■2009/11/22 08:52:44
きれいな話だと思いました。
ただ、雨の存在感の薄さ、先の読みやすさはマイナスに感じました。
けっか、この点数に。
2. 4 歩人 ■2009/11/23 00:32:18
悪くはないのだけれど、何かが足りないような。何だろう?
3. 8 冬。 ■2009/11/23 00:46:07
これは惜しいと思います。
妖姫の必死の判断、その理由付けが甘いと感じました。
物語的には十点なのですが、(好きな内容なので)ヤマをもっと大きく書き上げてあればなぁ、と思いました。
4. 7 ケンロク ■2009/11/23 01:12:35
非常にいいお話でした。
原作に出てこない妖姫。よく考えれば確かに妖夢にも母はいたでしょうね。誰の子だ!?父親を連れて来い!!ってなりますねw

要所要所でちょっと読みにくい文や微妙な言い回しが気になりましたが、それも話の筋の面白さでカバーできる範囲だと思いました。ストーリー構成が非常にカッコ良かったです。
5. 5 匿名 ■2009/11/27 15:21:43
物語としては面白かったです。
6. 8 すっとこどっこい ■2009/12/01 13:58:45
完読しました。


刀と半人半霊と亡霊と、桜を巻き込んだ、お話でしたね。
それと同時に母親の深い愛情と、それが成せる業を知る、温かでありながら哀しげな物語だと感じました。
特に妖夢に対する妖姫の親として見せる感情や動作には感動を覚えました。


作品を通じて、母親の存在に対して感謝の念を覚える。
これが自分の感想です。
7. 9 ノノノ ■2009/12/10 18:34:55
ようきが結構ちゃんとキャラ立ちしていてよかった。ようきは完全にサブあつかいなのが多いので個人的には好みです。
ただ、戦闘パートと日常パートの切り替えが少し足りないかなと思います。まあ好みの問題かもしれませんが。
8. 4 御洒落 ■2009/12/17 16:44:31
読みやすくて、物語としても面白かったですが、しかし。
個人的には、あまりテーマに則した作品では無いと思いましたので、この点数に。
9. 6 いすけ ■2009/12/25 06:40:12
いい話でした。
幽々子、妖姫、妖忌のそれぞれが魅力的な人物として描かれていて、引き込まれました。
10. 5 藤木寸流 ■2010/01/04 17:00:54
 ちょっと急ぎ足なところも見受けられましたが、よくまとまっていて面白かったです。
 話の盛り上がりとは対照的に、忘念と決着を付けるシーンがややあっさりとしていたかな、と少し思いました。
11. 8 文鎮 ■2010/01/05 18:29:52
無意識のうちに妖夢だなぁ、と読み続けていたらニヤリ。
幽々子と西行妖、妖夢とその家族を語るにはこの量でも少なく感じてしまいました。
しかし、それが逆にまとまってて良い感じにもなっています。
12. 3 パレット ■2010/01/10 05:45:40
 おお、新しい。
 なかなか見ないタイプのお話で楽しめました。ただ、西行妖を放っておくと妖夢が危険かもしれないということをもうちょっと事前に描写しておいたりとか、妖姫と妖夢のエピソードとかもうちょっと濃かったりした方が、最期に臨む妖姫の心情描写とかに厚みが出た気がします。「これは、妖夢を守るためでもあるのです」が少しばかり唐突に感じてしまいました。
13. 3 白錨 ■2010/01/10 13:06:01
主語というかキャラクターが掴みにくい印象を受けた作品でした。
妖姫の描写が序盤にもっと必要かもしれない、と感じました。
14. 6 椒良徳 ■2010/01/11 20:44:14
おお、再投稿が認められましたか運が良いですね。
文章も読みやすく、内容も良いのですが、傑作というには若干物足りなさを感じます。
ということで、この点数を入れさせて頂きます。
15. 7 神鋼 ■2010/01/13 00:01:58
オリキャラの立ち位置から結末は想像していました。でも覚悟していても悲しいものは悲しいですね。
16. 7 詩所 ■2010/01/13 22:45:30
 妖夢の家系図が明らかに!
 東方では家族的な繋がりが不明瞭な点が多いので、想像して書くのは面白いです。
 完成度も高かったので、一読者として削除されることなく作品を読めてよかったです。
17. 7 葉月ヴァンホーテン ■2010/01/13 23:06:24
妖姫の決意と愛に心が打たれました。
18. 5 deso ■2010/01/13 23:08:59
死に誘うほどの死者の怨念なら、もっとおどろおどろしく、ねっちりとしていた方が良かったかなあ、と思います。
ちょっと綺麗すぎるというか、あっさりしていて、そのせいか主人公の覚悟とか決意とかも薄くなってしまったような。
19. 3 バーボン ■2010/01/14 17:39:40
オリキャラを登場させるのは、全く問題ないと思います。ただ、原作キャラの設定に密接に関わる上、それが最初から最後まで全て問題を解決するとなると、生半可ではなくキャラ作りが難しくなるとも思います。
この妖姫に、どうしても感情移入する事が出来なかったんです。見慣れた白玉楼の光景の中で、この妖姫だけが浮いてしまっているような。多分、存在を納得させるに至るまでの描写に欠けていたのではないか……と思うのですが。
20. 9 ホイセケヌ ■2010/01/14 22:04:09
ユiオ网ャ壥ウヨ、チノル、ハ、皃ヌ。「ユi、゚、ヒ、ッ、ックミ、ク、ソ。」
、ヌ、筅ス、、ハ、ホ、ャヘセヨミ、ォ、髫ン、ヒ、ハ、鬢ハ、ッ、ハ、、ッ、鬢、。「ネヌ、ュ゙z、゙、、゙、キ、ソ。」

ハ、「、因テ讀ホメサ、トメサ、ト、ャネチヲオト、ヌ。「、キ、ォ、筅ス、、ャニニセ`、サ、コ、ヒノマハヨ、ッメサ、ト、ヒ、゙、ネ、皃鬢、ニ、、、ニ。ュ。ュ。」コホ、ネ、簍リ筏、ハヤ彫ヌ、キ、ソ。」、ス、キ、ニラ矣、ホ。「ム廻、ホク隍ヒBシ。。」
21. 7 やぶH ■2010/01/15 03:18:44
妖忌→?→妖夢。この?の部分が一つの謎ですよねぇ。
オリキャラを中心としたお話ですが、文章のそれ自体は丁寧に描けているように思えました。
ですが、オリキャラを形成する大事な要素として、ちっちゃい妖夢を忘れてはいけないと思います。
彼女をもう少し話の中心部に持ってくると、成長した姿を知っている分、より読み手側に深刻さが伝わってくると思うのですが、どうでしょう。
22. 4 Aohata55 ■2010/01/15 05:44:30
23. 5 八重結界 ■2010/01/15 19:11:18
 死に往く者は切ないけれど、決意の元で逝った人達はどこか勇ましさがあるように思えます。
24. 8 2号 ■2010/01/15 19:25:51
泣きました。
妖夢の歌もよかったです。
強いて言えば、亡霊も妖姫もオリジナルのためか、涙をさそうために悲劇にした印象も受けましたが、それでもやっぱり泣きました。
25. 1 ■2010/01/15 22:53:36
唐突なキャラに面食らいました
存在しないキャラの話なのか後に残れない展開なので、終わった後に疑問符が消えませんで
26. 3 木村圭 ■2010/01/15 23:29:33
この問題が既知であるのなら、半分は死んでない魂魄家の面々を冥界に置いておく意図がどうも見えてこない。
妖忌は知らなかったみたいだけど、紫はそれなりには認識していたようだし。
27. 6 近藤@紫 ■2010/01/15 23:32:57
(><) ゆゆ様可愛いですっ
28. 9 零四季 ■2010/01/15 23:34:22
綺麗な文章。こういう形で西行妖を語るのも面白い。思わず切なくなる良い話でした。
母を使った作品を見たのは実は初めてですが、これは素晴らしい、と感じました
29. 4 時計屋 ■2010/01/15 23:40:41
 文章やストーリーはよく書けていると思いますが、オリジナルのキャラや設定が、どうも馴染みづらく感じました。
 二次創作の難しいところですね……。
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