鏡の向こうの言葉

作品集: 最新 投稿日時: 2010/11/06 21:51:06 更新日時: 2010/12/13 00:31:17 評価: 12/12 POINT: 49
 
 
 
 
 神社の境内は閑古鳥もいない程、閑散としていた。
 
 博麗神社に人がいないのはいつものことなのかもしれなかったものの、数日前までの騒がしさと比べれば随分と物寂しい風景だった。

 博麗神社が騒がしくなるのには簡単な理由があった。
 妖怪の跋扈するのが日常の博麗神社でも、正月になれば人が集まる。
 正月だけ信仰心を取り戻した里の人間は、賽銭と引き替えに一年間の他愛のない幸せを願い、そして一年の吉凶をおみくじという名の一枚の紙切れで占うべく神社に押し寄せるのだ。

 とはいえそんな正月もずっと続くわけではない。
 綿飴やらの出店が立って子供達で賑わった正月は一体どこに行ったのか、という程に博麗神社は静かな日常を取り戻していた。

 スカッと晴れていた空も、今は寂しげな神社を物語るように小雪がちらついていた。



■□■ 1月7日 はれ ■□■



「まったく正月って奴は終わると退屈なもんだぜ」

 いつものように社務所に上がり込むと、早速冷えた身体を温めるべく博麗神社唯一のコタツへのダイビングを決行した。
 もちろん、主の意志などお構いなしにだ。

 このコタツは香霖堂の店主からもらってきた物で、八卦炉を動力源にして動く。
 だから当然このコタツを使う権利は私にあった。何せ大事な八掛炉を好き放題使われているのだ。
 そういうわけで、八掛炉が手元にないと肝心なときに困るのでこの時期のほとんどを博麗神社で過ごすことになる。

 じゃあコタツを家に持って帰ればいいじゃないかとも思ったものの、霊夢には手放す気は全くないらしく、結局こんな形で妥協することになったのだ。

 というわけで、こうやって博麗神社に入り浸る日常は、コタツの生んだ不可思議な同居生活とも言えるかもしれない。

 さて、コタツダイブで全身が程よく温まったところで首を外に出す。
 すると冷気が顔を包むようにやってきて心地よい。
 そのまま寝そべったまま腕を広げて、天井を見上げた。

 神社らしい神棚が目を引く。正月らしく華やかに飾られた鏡餅がとりわけ目立っていて印象に残った。
 そうして我が家のごとくくつろいでいると、来客を察した霊夢は部屋にやって来て、呆れたような表情をして口を開いた。

「なんかくつろいでるけど一応私の家よ?」
「別にかしこまったりする仲じゃないだろ?」
「まあそうだしくつろいでてもいいけど声くらいはかけてよね」
「まあそうだな。今度からそうするぜ」

 霊夢は座り込むとコタツに足を伸ばした。

「正月終わったら暇でしょうがないぜ。こういうのって祭りの後の寂しさっていうのか?」
「寂しさねえ。正月なんて忙しいだけよ。何時までも続いてもらったら困るわ」

 霊夢は忙しさからようやく解放されたのが嬉しいようで、祭りの後の寂しさを感じることもないらしい。

 まあ無理もない。ずっと仕事ずくめだったのだから。
 昼はおみくじの販売で社務所に立ちっぱなし、夜になれば出納管理やらの事務仕事と普段仕事もないぐーたら巫女が真面目に働く唯一の日がこの時期なのだ。

 振り返ってみればまあ少し手伝ってやっても良かったかと微塵でも思ったのもつかの間の事、退屈を紛らわそうと、霊夢に了解を得るまでもなくコタツの上の蜜柑を手に取って皮を剥く。

「正月にはやっぱ蜜柑とコタツとお雑煮だよな」
「あんたって折角神社に来たのに食べ物にしか興味ないのね。まあ蜜柑と雑煮は否定はしないけど」
「失礼だな、私はコタツだって興味あるぜ」
「あんまり変わらないでしょ」
「まあそうなんだがな」

 蜜柑とコタツと雑煮。
 霊夢と脈絡もオチも何もない会話をする。
 やはり退屈しのぎにはくだらない会話が一番いい。
 霊夢ならどんな適当な会話でも適当に返してくれるのでなお良かった。

「で、神棚の上にある鏡餅はどうするんだ? 食べないのか?」

 ふと、偶然目に入った神棚に供えられていた鏡餅。
 雑煮の話題となれば振らざるを得ないだろう。
 霊夢の趣味かどうかは知らないが結構大きい。神棚の大きさに見合わない程だ。

 餅の上からはお払い棒の先端みたいな縁起の良さそうな紅白の御幣が垂れ下がっている。
 そして丁度御幣を挟むように、蜜柑が置かれていた。

「鏡餅は餅開きの日に食べるものよ。11日だからもう少しかしら」
「じゃあまだしばらくあるんだな」
「しばらくって、1週間もないわよ」
「それまで退屈でしょうがないぜ」
「あんたも暇人よねえ」
「霊夢だっていつもお茶飲んで昼寝してるだろ」
「まあそうだけど」

 結局お互い様なのに気づいて二人で笑う。
 空気も和んだところで霊夢もコタツに入って、蜜柑の皮を剥き始めた。

「なあ霊夢、コタツに蜜柑って最高だよなー」
「よねー」



 ◆



 とある日の夜のこと。街の中心部からやや離れたとある駅前でメリーと待ち合わせていた。

 この駅前は、程よく喫茶店等が立ち並ぶ程度に活気のある街で、人里から離れた所に点在していることの多い境界を巡りに行くのに丁度いい拠点としてよく利用していた。

 満ちた月は天頂からほど遠い、低いところから街を照らしている。
 感覚が夜の7時を少し過ぎた時間を告げる。
 つまり、遅刻していることを示していた。
 
「あら、おはよう」

 遅刻の気まずさをごまかそうと夜の街には似合わないとぼけた挨拶を交わす。
 振り返って私の顔を認めたメリーは、遅刻にも関わらず笑みを浮かべた。

「おはようって、もう夜中だけどね。ところで、3分も遅刻してるわ」
「正確には3分と25秒ね。待たせてすまないわね」
「別にいいのよ。私も来たばっかりだったし」

 メリーも来たばかりらしい。待たせて無くて良かったと心の底から思えた。

 ただ、普段遅刻することのないメリーにしてみれば本当に時間ギリギリに来たというのは疑わしかった。
 実は待たせていたんじゃないかと心の中で勘ぐる。
 それでも、その疑問を言葉にすることはなかった。

「じゃあ探しに行くわよ、境界を」

 遅刻の話を続けられると弱るので、早速本題にとりかかる。
 しかしどうやら逃げようとしていたのは見透かされていたらしい。

「あら、遅刻の話はもう終わり? どうして遅刻したのか問いつめようと思っていたのに」

 メリーはどうも怒ってるようだった。心の中の不安は的中しているのかもしれない。

「別にちょっと昼寝しすぎただけよ」
「昼寝ねえ、本当かしら?」
「本当よ」

 ええ本当ですとも。メリーと境界探しなんて緊張して夜も眠れないくらいなのに。メリーのわからずや。
 でもそんなことを知る由もないメリーは、むすっとした表情をしてわかりやすい不満を表す。

「まあいいわ。でも、私の約束すっぽかしたりしたらおしおきなんだから。もう二度と遅刻できない体にしてあげるわ」
「物騒ねえ。遅刻できない体にするって一体どんなことする気かしら?」
「それは口にするには大変恐ろしいようなあんなことこんなことよ」 

 あんなことこんなこと。
 他で代えることのできない過度な愉楽を与えることによって一日中メリーのことを考え続けないといけない体になるなんて。メリー、恐ろしい女。

 とはいえ、遅刻程度でどうしてそんなに深刻になるんだろう。

「まあいいわ。遅刻した分だけ余計に頑張ってもらうから」
「遅刻した分って、3分じゃない」
「3分でも駄目」

 たった3分でもメリーには気に障るらしい。
 来たばっかりと言っていた割には気にしているようだ。

 しかしどうも疑われてるのか、不満なのか、メリーの機嫌は良くなさそうだ。

「今日はケーキ1個おごるわ」
「食べ物で釣ろうっていっても無駄よ」

 しかしちょっぴり強情なメリーさん。餌付けでは飼えないようだ。
 とはいえ、本心とかけ離れた印象を持たれたままなのも心外なので、 

「それは困ったわ。これから1日24時間メリーを拘束しようと思ってたのに、1日に24時間と3分もメリーと一緒にいることはできないわ。どうして時間は有限なのかしら」

 メリーは頬を赤らめて、怒った顔に表情を変えると、

「もう蓮子のばか」

 と言って先に駅へと向かっていった。
 どうも怒らせてしまったらしい。

 メリーはどんどん先へと行ってしまうので、どうしてかまでは考える暇もないままメリーの後ろ姿を追いかけるように改札を通る。
 怒ったメリーを見ていると、いけないことでも言ってしまったかのように思えて、そしてどうしてメリーが怒ったのかが理解できなかったことに、少し不安を覚える。
 結局それからメリーを追いかけて同じ電車に乗ることができた。


 行き先のわからない列車に揺られて数十分、郊外の見知らぬ駅でメリーは列車を降りた。

 暖房の効いた車内から降りれば冷たい空気は肌を刺すように襲いかかる。
 降りた駅は人気のない小さな駅で、眼前の駅前でも明かりもまばらな程だ。
 吸った空気から森の香りを感じる。

「ねえ、蓮子」

 メリーは突然立ち止まって振り向いて言った。

「さっきは怒ったりしてごめん」
  
 突然の謝罪の言葉。予想もしていなかった言葉に戸惑う。

「今日は楽しいはずだったんだよね」

 メリーだって楽しみにしていたはずだ。遅刻で怒るくらいに。
 私だって楽しみで夜も眠れなかったのだから。

 だから。

「一緒に境界探しをしましょう、蓮子」

 メリーはつまらないことは終わりにしようと自分から口にしてくれた。
 きっかけのつかめなかった二人の間に、優しい風が吹いた。

「勿論よメリー。さあ行きましょ」

 メリーの手をつかんで、何もない山へと境界を探すべく駆け出す。

「ちょっと蓮子どこ行くのよ」
「決まってるでしょ、結界のあるところよ」
「わかったから手を離して」

 嫌よ。離さない。

 秘封倶楽部は二人揃って初めて一つなのよ。
 誰かが現実を突きつけて私達の幻想を壊そうとしても、二人でなら幻想を見つけ出してみせる。

 だから。

 こんな小さなことで、私達はくよくよなんてしたりしない。

「もう蓮子ったら。しょうがないわね。このまま行くわよ」
「勿論」

 わけのわからない掛け合いに二人で笑って、私達は人のいない山を目指した。

 で、そのままの勢いで山に入ったはいいものの、境界の気配は無し。こればっかりはメリーに頼るしかない。
 何の役にも立てないでいると、境界探しなんてメリーだけでもできるんじゃないかとさえ思えてくる。

 そんな野暮なことを気にするくらいならなにかと鈍いメリーの手でも引っ張ってた方がよかった。

「ちょっと蓮子、別に引っ張らなくてもいいから!」
「早く境界見つけるわよ」
「ちょっと待って」
「先に行っちゃうわよ」

 メリーの手を掴んだまま、足を速める。

「ちょっと蓮子、きゃっ」

 しかしメリーは付いてこれなかったようで、バランスを崩して倒れた。

 それでも手は離さなかったので、結局道連れになって一緒に転んでしまう。
 背後から引っ張られるように、背中がメリーの体に覆い被さるように落ちていった。

「大丈夫? メリー。引っ張っちゃったからこうなっちゃって、ごめんね」
「転んだの私だし謝ることはないわ」
「メリー、頭は打ってない?」
「えーと私は誰でしょう」
「うーん。大丈夫?」
「私はマエンベリー・ハーンね」
「私達は今しているの?」
「えーと。境界探し」
「大丈夫そうね」
「境界。境界? ……見える」

 メリーは私の後ろを指さして境界と言った。

 境界が見つかったと思って振り返ってみる。
 そこには何かあるようには見えない。ただ雑草が繁栄して小さな帝国を築いていただけだった。

 しかしメリーには何かが見えるらしい。
 メリーは立ち上がると、ゆさ、ゆさ、とゆっくりと雑草を踏みしめながら指さした方角へと歩いていく。

「ちょっとメリー、どこ行くの?」

 メリーは問いかけには答えなかった。

 その眼は虚ろとしていて、まるで天女に魅入られた人間かのように瞳孔は動くことはなかった。
 まるで心がこの世には無いかのように。

 メリーがどうしてしまったのか、不安になる。
 メリーは立ち止まると、手を前へと伸ばした。まるで、境界を掴もうかとするように。
 そしてメリーの姿は消えていった。
 丁度一つの面を境にして切断したように、メリーの半身がこの世界から無くなっていった。

 異変を感じ取った私はメリーの残された半身にしがみついて引っ張る。
 消えていった半身を取り戻すように強く引いた。

 しかしメリーの力はまるで別人のように強かった。為す術もなくメリーは徐々に消えていく。
 このまま、メリーは消えてしまうと思った。
 私には何もすることも出来ず、ただ諦めるほかなかった。

 絶望の中、メリーを掴んだ手の力が抜けていく。

 嫌だ。メリーのいない日常なんて、嫌だ。

 そう思ったから諦めなかった。

 私はメリーの手だけは最後まで離さなかった。
 手をしっかりと握ったまま、目に見えない境界の中へと吸い込まれていった。



■□■ 1月11日 はれ ■□■


 
 1週間も経てば正月気分なんて吹っ飛ぶには十分なもので、ただ気だるい朝を迎えてコタツダイブすべく博麗神社に飛び込む平凡な日常が帰ってくる。

 何気ない冬の日常は、雲のない澄み切った空の中、寒さだけが身に染みた。
 
 早く暖をとろうと、社務所に足を踏み入れようとしたところで、神社の中が騒がしいことに気づく。
 ばたばたと足音がする。そして足音は近づいてきた。

「魔理沙! 鏡餅一人で食べたわね」

 扉が開くと霊夢の顔が飛び出してくる。

「落ち着け霊夢。私は何もしてない、というか鏡餅食べに来たんだぜ。抜け駆けなんてしてるわけないだろ」
「恋色魔法使いを名乗りながら食べ物にばっか目がいってる花より団子泥棒は見つけたら通報より先に夢想封印よ」
「ちょっと待った、人の話を聞け。というか通報って何だっ」
「問答無用!」

 霊夢の弾幕が飛んでくるのを咄嗟の動きで避ける。

 応戦したいのも山々だったけれど、肝心の八掛炉がコタツの動力にされてるので手元にない、つまり応戦しようにも不利なのは明白だった。
 つい癖で八掛炉を掴もうとして手が空を切ったのが少しむなしい。
 結局霊夢の弾幕を避けきれず、虚しい効果音が鳴り響く。

「白状しなさい」

 白状も何も、何もしてないぜ。まったく。

 と、その後無実の罪を着せられたまま霊夢の拷問めいた問いつめが続いた後、釈放されると、早速神社に来た本来の目的だったコタツダイブを決行した。
 体の芯まで伝わってくるようなぬくもり。至福だ。

 え、そこまでしてわざわざコタツのために博麗神社まで来なくてもいいだろうって?  それじゃ駄目だ。こうでなきゃ幻想郷の冬は越したことにならないぜ。

 やはりコタツはいいものだ。出来れば霊夢の懐もこれくらい暖かかったらいいくらい。

 とその霊夢が控えめな足取りで部屋に入ってくる。
 どうも自分の間違いが原因で気に病んでいるらしい。
 コタツに入った霊夢の表情は何か言いたげなように見えた。しかし言葉の無いまま霊夢はお茶を口に含んだ。

 一つのコタツを挟んで霊夢と向かい合っているにも関わらず、何となく気まずくて会話が進まない。
 目が合わないように部屋の隅に目を向ける。
 ふと見えた日めくりカレンダーには11の文字が大きく書かれている。今日は11日だ。

 そんな中、霊夢から口を開いた。

「えーと、さっきは疑ったりして悪かったわね」

 霊夢は明後日の方向を向いて言った。わかりやすい照れ隠しだった。

 巫女服の裾をきゅっと引っ張る様子は、気持ちをうまく表現できない不満さの中で板挟みになった優しさがにじみ出ていて、その仕草が頭をくすぐるように可愛い。
 見てる方が和むくらいで、弾幕直撃あるいは拷問の痛みなど簡単に忘れてしまった。

「なあ霊夢」
「何よ」
「鏡餅が無くなって結構動揺してたみたいだけどさ、理由とかあるのか?」
「それは……別に二人で一緒に食べようとしてたのを勝手に一人で食べられたからとかそんなんじゃないんだからね」
「うん、よくわかった」

 とてもわかりやすい反応だった。

「で、鏡餅が無くなったって、どういうことだ?」
「今日の朝神棚を見たら無くなっていたのよ」
「私は何もしてないぞ」
「それはわかってるわよ。でもじゃあ誰かが神社に入ったっていうの?」

 霊夢の勘から逃れて神社で悪さを働こうなど人間でも妖怪にしても難しい話だった。
 よほどの自信家か、身の程を知らない妖精くらいか。
 そして成功させるとなればかなりの実力者だ。

 それでも。

「それが出来る奴といえば」
「一人いるわね」
「呼んだ?」

 声がしたと同時に不気味な空間が出来れば、そこから顔を出すのは紫だ。

「犯人はあんたね!」
「人聞きの悪いこと言うわね」
「犯人は現場に二度現れるって言うわよ」
「あら。でも探偵は証拠もなしに人を犯人に決めつけたりしないわよ。証拠がなければ推理ではなくて推測ね」

 紫はにやっと怪しい笑みを浮かべる。
 相変わらず噛み合ってるんだか噛み合ってないのかわからないような奴だ。

「まあいいわ。で、あんたは食べたの?」
「私は食べてないわ。鏡餅は誰の手にもよらず勝手に消えた。今私に言えることはそれくらいかしら」

 何だか話の全容を知っていている上、出し惜しみしているかのような言い分だった。

「一体その話がどっから出てきたのか訳分からないぜ」
「まあ、食べてないっていうのは信じてあげてもいいけど。どっかの食いしん坊の魔法使いさんとかとは違って興味無さそうだし」
「失礼だな。食いしん坊じゃなくて恋色魔法使いだぜ」
「で、紫。どういうことか説明できるの?」
「ふふ、これからのお楽しみかしらね」

 不敵な笑みを浮かべてはぐらかした紫。説明する気はないらしい。
 紫はこれからのお楽しみと言った。これから何かが起こるかのような言い方だ。

 そんな今ひとつ思考の読めない紫の真後ろに、スキマが広がっている。

「また会いましょう」

 それだけを言い残して、紫は消えていった。

「ちょっと待ちなさい」

 霊夢は不満そうな表情で、さっきまでスキマのあった場所を睨む。
  
 とまあ、結局紫は何も説明せずに帰ってしまった。
 それからもやもやしたものが残ったまま、時間は過ぎていった。



■□■ 1月10日 ゆき ■□■



 その日、霊夢は驚いた顔をしていた。
 
 まるで、米粒が頬にべったりついていたかのように見つめていた。
 その様子は、見てはいけない物を見てしまったかのようだった。もちろん、米粒なんて付いてない。

 あまりにも考えにくい反応に思えた。
 毎日霊夢とは顔を見せているはずだったから、突然神社で出会ったとしても驚かれることはないだろう。
 昨日も鏡餅が無いと騒いだ挙げ句結局犯人は紫だったのを二人で愚痴っていたはずだった。
 けれど残念なことに今日は平和にコタツで蜜柑を堪能とは行かないらしい。

「ねえ、魔理沙なのね?」

 まるで訝しむかのように霊夢は尋ねる。

「当たり前だろ。私は魔理沙だぜ」

 特に何も考えることなく答える。

「久しぶりね、魔理沙」

 霊夢はそう答えた。
 まるで、昨日会っていないかのように。それも喜びに満ちた声で。
 
 あまりにも理解し難い状況に困惑する。
 どうなってる、どうなってるんだ。
 
 本格的に訳が分からない。久しぶり? 私は幻想郷にいなかったというのか。

「早く入って。お茶入れてくるわ」

 訳の分からないまま、霊夢は社務所の中に入っていく。
 仕方なく、帽子に積もった雪を払って霊夢を追いかけた。

 神社の様子はいつもと変わらなかった。見知った通路を行く。
 やがて居間へ着く。コタツが置かれているも、コタツダイブを決行するには空気が重かった。

 仕方なく静かにコタツに足を通した。コタツの中は暖かい。八掛炉コタツは動いているようだった。
 まだ起こっていることの整理がつかなかったので、少しでも現状を理解しようと部屋を観察することにした。

 神棚の上には鏡餅が乗っていた。昨日には無かったはずだ。
 日めくりカレンダーには10の文字が大きく書かれている。今日は10日らしい。
 当然、そこで疑問に思う。昨日は11日だったじゃないかと。鏡餅が置かれているから、1月だろう。
 呆気にとられて、溜息も出ない。

「時間が戻ったのか?」

 訳の分からない異変が起きたものだと、感嘆を隠せない。
 おまけに霊夢の行動は全然説明できない。
 どうしてこんなことになってしまったんだと考える。

 そういえば、昨日紫がこれからのお楽しみとか言ってたような。

「お呼びかしら?」

 早速紫が現れた。都合のいい奴だ。

「ゆーかーりー。お前のせいだろこれ」
「あら、むしろ私は助けに来たのよ」
「お前がやったんじゃないのか?」
「境界が滅茶苦茶になっちゃっててね、お陰で大忙しよ」
「境界が滅茶苦茶?」
「そうよ。時間の境界とかね」
「それで今日は10日なのか」

 うんうん、と頷く……のも一瞬でやっぱり訳が分からない。

「直すまで少しかかるからそれまで少し待ちなさい」
「少しって何時までだよ」
「1日もかからないわ。少し我慢して。私は戻るわ」
「しょうがないな。頼むぜ」

 言い終わった頃には紫は消えていた。本当に神出鬼没な奴だ。

 結局しばらくのこのままということらしい。
 しょうがないと言ったものの、訳の分からない展開には戸惑うしかなかった。

「お茶入れたわよー。飲みなさい」

 こっちの事情も知らずに、霊夢は暢気な台詞と一緒に部屋に来てお茶を注ぐ。
 考えても答えなんて出そうもなかったので、お茶でも飲んでまったりすることに決めた。

 とはいえ、気にならないと言ったとしたら嘘になるような、疑問も多かった。
 霊夢の不思議な言動、久しぶりとはどういう意味なのかは紫の説明からは納得いかない。時間が戻っただけでは無さそうだ。
 神社の中の様子はほとんど変わりないだけに、霊夢という人間の人柄だけ変わったような、不思議な気分だった。

 一人孤独にコタツに足を入れて、行き場のない疑問を頭の中で煮詰める。
 結局、座っているだけでは解決しなかった。
 


 霊夢は紙切れを見つめていた。
 その紙切れには霊夢の姿が写っていた。

 これは鴉天狗が良く持ってるやつ――写真だ。

 なぜこんな物に目を奪われているのだろう。
 霊夢はあまり物に執着したりはしないし、複雑に考え込んだりはしない奴だった。
 だから、霊夢の行動としては考えにくいことだった。

「霊夢、何見てるんだ?」
 
 霊夢は見られたことに酷く驚いたようで、慌てて写真を隠そうとする。
 一度目を釣ったように鋭く尖らせた後、平常を装うように目を戻す。

「いや、何でもないわよ」

 何事も無かったかのように振る舞う霊夢。
 
「私にも見せろ、霊夢」

 隠そうとした霊夢の手を制止して、写真を見る。

 写真の片隅に霊夢がいる。しかし不自然な空白が写真の片側にあった。
 その片側に写っていた物には見覚えがあった。
 あれはアリスが持ってる人形の、上海だ。今にもバカジャネーノとか話し始めそうな顔だ。

 その他の写真も不可思議な空白がある。

 紅魔館のテラスで紅茶のカップと日傘だけが写っている写真。
 図書館で本だけが浮いている写真。
 西行妖と月見饅頭の写真。
 薬瓶の静かに佇む永遠亭。
 誰もいない向日葵畑。
 注連縄の飾られた山の神社にぽつりと落ちたお払い棒。
 ペットのいない地霊殿。
 錨を降ろした聖輦船。

 そんな写真ばっかりだった。

 共通して言えるのはどの写真も見知った妖怪が写っていないこと、風景写真ばかりだ。
 なぜ、妖怪がいない?

「ねえ、魔理沙」

 霊夢は一枚の写真を広げた。

 空白に浮いた一本の箒……。
 霊夢の隣には誰もいない。

 そこにいたはずだったのは、私なのだろうか。

「馬鹿みたいよね」

 冷淡な話し口に、悲しみが漏れる。
 霊夢の頬を滴が流れた。

「誰もいなくなっちゃうなんて」

 誰もいなくなると霊夢は言った。
 消えてしまったというのか、アリスもパチュリーも。

 一体ここでは何が起こっているというんだ。
 写真の空白には誰かが写っていて、後からまるで最初からなかったかのように消えたというのか。

「信じてたわ、私が頑張れば妖怪も人間も笑い合えるようになるって。そのために異変を解決してきたのに。
 でもそれは裏切られたわ。ある日を境に、少しずつ消えていった。まるで忘れられていくように」

 あまりにも酷い話だろう。頑張ってきた結果が、別れだったとすれば。
 その過去が、霊夢の心を抉っていた。

「魔理沙、昔消えないって言ってくれたわね。
 あの時は本当に嬉しかった。もう私の周りには魔理沙しかいなかったから。
 いつか誰もいなくなってしまうと思うと心細かったから。
 でも結局残されたのは私だけ」

 この世界の私も消えてしまったのだろう。

 それからどれだけ経っているのか。
 その間この霊夢はずっと一人でいたのだろうか。ずっと孤独だったのだろうか。
 だとすればなんて悲しい話なんだろう。

 だから、この霊夢ももっと幸せにしてあげたいと心から思った。
 何より、こんな悲しい顔の霊夢なんて、見たくなかった。

 でも、私に出来る事なんてあるんだろうかと疑問に思った。
 いなくなった妖怪を取り戻すことなんて、できるのだろうかと自分に問う。

 そんな魔法なんて、なかった。

 結局、今は霊夢と一緒にいることくらいしかできなかった。
 根本的な解決になったわけじゃないのが心苦しい。
 ただ、コタツの灯はこんな時でも暖かいのだけが救いだった。

 霊夢は何か思い立ったのか、机を叩いて立ち上がる。

「魔理沙、鏡開きでもする?」
「それって明日じゃないのか?」
「いついなくなるかわからないから今日食べるのよ」

 この問題の切実さが浮き彫りになる。
 気を遣ったつもりが逆に余計意識させてしまったかもしれなかった。

 霊夢は、いつか来る日を恐れるしかなかった。
 私達に出来ることは、その日が来る前にすべきことを、後悔したりしないように思いの限りやり尽くすことだけなのだ。他にはない。

 霊夢は神棚の上の鏡餅をとるために背伸びをして手を伸ばした。

 それから霊夢が餅を雑煮にするべく部屋を後にしたとき、目の前に紫が現れた。

「ごきげんよう、魔理沙」
「何がごきげんようだ。この世界はどうにかしてるぜ」
「あら、ご機嫌斜め」
「当たり前だ」
「まあ事情は把握してるけど。酷い世界ね」
「わかってるなら察してくれ」
「どうにかしろって言いたいのかしら?」
「そうだ」
「それは難しそうね」

 紫でも解決できないと言った。
 そうなると、問題は本当に深刻になってくる。

 私は元の世界に帰れないのだろうかと、不安になった。

「この世界には、どうも貴方を引き寄せたくて仕方のない人がいるみたい」

 私を引き寄せている人間。
 この世界にいるのは霊夢だけ。
 誰かなんて推理する必要もない。

 つまり、霊夢が私をこの世界に連れてきたということになる。

「どうにもならないのか?」
「その人の気分が変わったりしない限りは、ね」

 全ては霊夢次第、ということらしい。

「私は帰れないのか?」
「帰りたいなら、方法はあるわ」
「どうするんだ?」
「この世界の博麗大結界を破壊する」

 想像もしない方法だった。

「この世界は壊れてしまった幻想なのよ。
 つまり、この幻想郷においては外の世界との境界が非常に曖昧になっている。
 幻想が失われた世界と言ってもいいわ。
 結界を壊せばこの世界は外の世界に飲み込まれて一つの世界になるわ」

 外の世界で幻想がなくなってしまったがためにこの世界は存在できなくなりつつある。
 紫の説明を噛み砕けばそういうことになる。

 でも、結界を壊したりしたら。

「霊夢はどうなるんだ?」
「この世界の霊夢は新しい世界で生きることになるわ。
 でも、それが幸せなのよ。この世界で生きるよりは、ずっと」

 新しい世界で生きれば幸せだと紫は言った。
 でも、本当に幸せになれるのだろうかと思った。

 妖怪なんていない世界、弾幕で戦う相手のいない世界なんて、楽しいのか?

「それとも、何もしない? あなたには選ばないという選択肢もあるのよ。でも念のため言っておくわ。過去への未練を引きずった人間は惨めだって」

 何もしない、それも選択肢だと紫は言った。

 でもそれでは私はずっとこの世界に留まることになる。
 このままこの世界にいるとなれば、元の世界ではきっと私はいなくなることになるだろう。

 そうしたら。
 また同じ事の繰り返しではないか。

「どうする?」

 紫は選択を迫った。
 私の答えはもう決まっていた。

「私は元の世界に帰りたい」

 私にはこの世界の霊夢を見捨てることしかできないらしい。
 酷い奴だと、自分で思った。

「じゃあ決まりね。早く結界を壊しちゃいなさい」

 紫はそう言い残して消えていった。

 私に壊せと、紫は言った。


 博麗大結界を破壊する、そう決めてからももやもやとした気持ちが燻り続けていた。
 そうすることが、霊夢にとっていいことだとは思えなかったからだ。

 紫から与えられた選択肢は一つしかなかった。元の世界に帰るためには破壊しかない。
 本当にそれだけなんだろうかと思考するも、解答なんて出てはこなかった。

 紫と会った数分後には鏡餅は雑煮になって出てきた。

 ごく普通の雑煮の味だった。
 けれど、霊夢にとっては普通の味が格別の味に感じられるのかもしれなかった。
 孤独で食う飯より二人で食う飯の方がうまい。それが特別なことになっていた。
 その気持ちをこれから裏切ることになることに、心が痛んだ。

 それからコタツに潜って蜜柑を食した。
 コタツの暖かさは冬の夜になれば最大限の力を発揮して人間を虜にして離さない。

 けれど、これから冬の夜に身を投げ出して大結界を破壊する仕事を待っている身としてはこのコタツは第一の敵であった。
 この誘惑から逃げ切ることは容易ではない。
 長き苦闘の後コタツから抜け出し八掛炉をコタツから取り外すと外へ出るべく玄関へと向かった。
 扉を開ける。もの凄い勢いで冷風が吹き込む。冬の夜へ一歩を踏み出す。

 空へ飛び立ったそのとき、声が聞こえた。

「魔理沙、どこへ行くの?」

 霊夢の声だった。引き留めようとする声だった。

「霊夢、すまん」
「すまん、って何よ」
「私は帰らないといけないんだ」
「嫌っ!」

 霊夢は突然、悲壮に満ちた声で叫んだ。
 目の前の現実を全て拒絶するかのような叫びだった。

「約束したよね。消えたりしないって」

 この世界の魔理沙の話だ。私ではない。

 けれど、霊夢にとってはどちらでも変わらないことだ。

「私には他に待ってる奴がいるんだ。だから行かなきゃいけない」

 それでも、わかってもらうしかなかった。

「だったら、どこにも行かせない!」

 その言葉と同時に、霊夢は札と陰陽玉を撒いた。
 予想しなかった弾幕戦の開始に驚きを隠せない。

 それでも冷静に初弾をうまくかわす。スカートの裾が陰陽玉に当たって破れる。
 間違いなく本気の霊夢だった。
 弾速が“殺し”の域に達している。
 油断すれば即地面に突き落とされるのは間違いない。

「魔符『スターダストレヴァリエ』!!」

 スペルカードを発動する。牽制程度にしかならないだろうが、時間は稼げる。

「霊符『夢想封印』!!」

 しかし霊夢も応戦した。
 スペルカードをかき消しながら、光球が迫ってくるのを、全速力で回避する。

「無駄よ」

 なお追いかけてくる光球に対して速度で劣る。
 このまま追いかけっこを続けても勝敗は明確だろう。

「残念だったな」

 しかしだ。霊夢に負け続けた日々は決して無駄ではないことを証明する時が来た。

 急旋回しつつ上空へ急上昇する。
 頭を地面に向けながらの急上昇で頭に猛烈に血が上る。
 狂舞する重力に目眩を起こしながらもそのまま回転、一気に下降する。
 空中での宙返りである。

 曲がりきれない光球が追尾しきれず明後日の方向に飛んでいくことはわかっていた。
 そして宙返りの結果、霊夢の背後を捉えることもできるのだ。
 霊夢の背中にミニ八掛炉を掲げて、詠唱を始める。

「恋符『マスタースパーク』!!」

 確実に霊夢を仕留めることができたはずだった。
 しかし私は過ちを犯した。
 詠唱の終了間際に躊躇して詠唱を止めた。

 迷いがあった。
 このまま大結界を破壊することに、霊夢の未来を決めてしまうことに、決心がつかなかった。
 それは、弱さだった。

「夢符『二重結界』」

 霊夢はその隙を見逃さなかった。
 結界に囲い込まれ、身動きが取れない。

「終わりね」

 背後から霊夢の声がした。
 振り向いた瞬間、猛烈な蹴りが炸裂した。
 地面に打ち付けられる。
 目の前に霊夢が立って見下ろしていた。

「なあ、霊夢」

 自らの弱さを自覚した瞬間から思うことがあった。
 本当に私は博麗大結界を壊す気はあるのか。
 それで霊夢を幸せにできるのかと。

 違う、と答える自分がいた。

 この世界が無くなって、霊夢がどこかへ行ったとして。
 あの妖怪たち、人間たちと過ごした日々は他には代えられない。
 アリスとか、パチュリーとか、レミリアとか、妖夢とか、早苗とか。

 忘れられてたまるか。訳の分からないような現実とか何とかに。

「悪かった。もう逃げたりなんかしない」

 この霊夢を助けることから、逃げたりなんてしない。

「じゃあ何処にも行かないでくれる?」
「それはできない」

 私は元の世界に戻らなければいけない。それは絶対だ。
 それでも、この霊夢に出来ることがあるはずだ。

「あんたは帰ってきたのよね」

 霊夢はまた目の色を変えて、顔を強ばらせて言った。
 そして近づいてくる。

「もう何処にも行かないわよね」

 霊夢は私に手を伸ばした。
 そしてまるで掴み取るように抱きついたのだ。

 もう離さないようにという程に、強い力を込めていた。
 まるで締め付けているのかのように。
 体温が伝わってきて、胸が熱くなった。
 
「幽霊じゃないわよね」

 霊夢はぽっかりと空いたような目で私を見た。
 まるで虚構のような瞬間を、ただ信じていたい人間のような目だった。

 でも、私は虚構の人間だった。この世界の人間ではない。
 だから、この霊夢の隣りにずっといることはできない。

「霊夢、聞いてくれ」

 私が何を言いたいかを感じ取ったのか、まるで話さないでと願うように、霊夢は目を逸らした。

「実は私、鏡に映らないんだ」

 霊夢に私が違う世界から来た人間なんだということを告げた。

 私が虚像だということは、あらゆる瞬間で感じてきた。
 ふと何気ない瞬間にも、硝子の向こうには私の姿はなかった。

「どうして」

 霊夢は戸惑いを隠さず露わにした。

 掴みかけた奇跡がこぼれ落ちていくことに必死で堪えていた。
 それを分かっていて、それでも私は現実を伝える。

「だから私は、この世界に存在してはいけないんだ」

 霊夢は大粒の涙をこぼした。
 どう抗おうとも、己の不幸を嘆くしかないことに気づいて、そしてその捌け口を求めるように流れていった。

「違う」

 私は叫んだ。

「お前はそういう奴じゃない」

 霊夢は泣き言をいう奴じゃない。
 霊夢とは絶対的な力で幻想郷を守る巫女だから。

 強くないといけない。
 どんな不幸にも一人で耐え、幻想郷の未来を願う巫女でなければいけないから。

 だから。
 そんな霊夢の後ろに立って、支えてあげたい。

 絶望の淵に立った霊夢が、もう一度立ち上がれるように、力になりたい。
 
「お前はどんな時も幻想郷を守ろうとしていた、だろ?」

 霊夢は涙を隠すように俯いた。

「だから、もう一度願うんだ。幻想郷の未来を」

「もう一度、取り戻せる……かな?」
「きっとできるぜ、そんなこと」

 根拠はない。
 でも、それが一番だ。

「出来るのかしら、そんなこと」

「諦めたら、そこで終わりだぜ」

 霊夢は頷いた。
 消沈していた目が、輝きを取り戻した。

 霊夢は何か思いついたように、二拍を打つ。そして何かを願っているようだった。

 そして、奇跡は起こった。



「血の踊るようなティータイムがもう二度と来ないなんて、まさか思ってないかしらね」

 吸血鬼がそこにいた。傘を持ったメイドがにやりと微笑む。

「私の取材もまだ終わっていませんよ?」

 鴉天狗がシャッターを切った。

「バカジャネーノ」

 上海人形が声を上げる。

「人間と妖怪が法の下に平等な世界は、まだ完成していないのです」

 僧侶は笑みを浮かべた。

「あたい最強ーっ!」

 チルノが騒いでいる。

「もしかして私のこと、忘れてたりしません?」

 早苗が心配そうに尋ねた。
 
「どうしたんだ、お前たち!」

 突然復活した面々に驚きを隠せなかった。

 消えたはずの人妖が戻ってきたのだ。
 当たり前の幻想郷が、戻ってきたのだ。
 全員が、揃っている。

「当たり前じゃない」

 全員がそう答えた。

「私達がいて初めて幻想郷よ」

 霊夢は涙を浮かべた。今度は、うれし涙だった。

 そして霊夢は、かつての仲間達の元へと走っていった。

 けれど、私はここにいてはいけない。
 感動の再会には私は邪魔だ。
 何せ、この世界の住人ではないのだから。
 霊夢にわからないよう、こっそりと抜け出す。


 じゃあな、霊夢。
 これでこそ、幻想郷だ。


 私と霊夢の間に、風が吹く。



 ◆



 何も考えずに境界に飛び込んだ。

 その先に何があるのか。
 何が待っているのか。
 そして戻ることは出来るのか。
 何もわからなかった。

 でも迷うことはなかった。

 そこはメリーが見ている境界の中だったから。それを、私も知りたかった。私達が夢見てきたものを、メリーと共有するために。

 境界の中は暗かった。先行きの見えない闇だけが広がっていた。
 ここが夢なのか現実なのかもわからない。
 ただ、ここにメリーがいることだけはわかっていた。
 
「メリー、いるんでしょう」

 叫んでも返事は帰ってこなかった。ただ反響だけが繰り返して耳を打った。

 何もない空間で、何もすることも出来ず、膝を折った。
 もう私には何も出来ないんだろうかと思った。

 メリーと話をすることももうできない。
 メリーと一緒に境界探しに疾走したあの日々はもう帰ってはこないのだろうか。
 後ろを振り返る。もう戻る道もなかった。

 この空間には絶望しかない、そう悟った。

 メリーを連れ戻すつもりが、自分が迷子になってしまった。
 何も得られず、帰ることも出来ない。

 こんなところにどうして来てしまったんだろうかと考えた。
 境界を追いかけて、ここまで来た。
 どうして境界を追いかけたの、と自分に問う。それはメリーが消えていったからだ。
 メリーが消えてはいけない。だから私は追いかけてきた。

 だから。
 こんな所で立ち止まってなんていられない。
 私は立ち上がった。そして走った。
 何もない、行き先もない、訳も分からないけど、この空間を走った。
 ただ、メリーをさがすためだけに。

 それでも、メリーは見つからなかった。
 当たり前だった。手がかりもなく暗闇を彷徨ったって見つかるはずもない。
 また立ち止まる。どうにもならないかと思ったとき、誰かの囁きが聞こえた気がした。

「以外と耳を澄ませば助かるかもしれないわよ」

 ついに幻聴が聞こえ始めたかと思ったとき、靴が地面をトンと叩いた音が確実に聞こえた。

「助けが必要かしら?」

 声が現実に聞こえたことを確認する。

「あなたは一体誰?」
「私は八雲紫、境界を操る存在とだけ言っておきましょうか」
「境界を操る?」

 突然現れた希望の光に気分は高揚する。

 その希望の光のような存在は女性の姿をしていた。
 けれど雨も日光も注がないこの空間にも関わらず傘をさしていたのは少し不思議に思えた。
 その彼女は境界を見るのではなく、操ると言った。
 あまりにもオカルトちっくな設定に秘封倶楽部の一員として本当なら興味津々なはずだったものの、状況が状況だけにそこまで気が回らない。

 メリーも自覚していないながらも境界を越えてしまったりしていたが、彼女はその上を行っている。
 本当のことを言っているならば、この空間についてもよく知っているのかもしれない。

「人をお捜しなんでしょう?」
「メリーのことですか?」
「貴方が言うならきっとそうね」

 彼女は私がメリーを捜していることを知っていた。
 もしかしたら事の顛末を最初から見ていたのかもしれない。

「メリーを見つけてくれるんですか?」
「それはできない相談ね」

 紫は見つけることはできないと言った。せっかく点った希望の灯が小さく萎む。

「でも、この空間について説明することはできるわ。見つけるのはあなたにしかできない」

 メリーは私にしか見つけられないと彼女は語った。
 よく分からないことが多すぎる。

 それでもこの空間についての情報が手に入るなら何だってよかった。

「教えてください」

 それから紫はこの空間について話し始めた。

 この空間はメリーが生み出したものだといった。
 メリーからこんな暗い空間ができるのは不思議に思える。
 けれど何らかの事情で意図せずに出来てしまったものだと、紫は補足した。

 その事情というのは恐らく心の憂いだろうと紫は言った。
 メリーにそんな後ろめたい事情があったのにも関わらず、それを知らなかった自分を悔いた。

 最後にメリーはどこにいるのかについて。
 紫は呼べば現れると言った。
 けれどさっきは呼んでも現れなかった。
 紫は、心の中から念じればきっと見つかると答えた。

「こんなところかしら」

 紫は説明を終えた。この空間がメリーの心を表していることは、理解できた。
 もう彼女に出来ることはなかった。
 あとは私の役目だった。

「祈ればいいんですね」

 あとは、メリーを信じるだけ。

「そういうことになるわね」

 紫は頷く。そして付け加えるように言った。

「大切な人なんでしょう、早く見つけてあげなさい」
「はい」
 
 私が答えると、紫は踵を返して何もない方向へと向かっていった。

 ただ、一つだけ気になることがあって、紫を引き留めた。

「あの。一つ聞いてもいいですか」
「何かしら?」
「どうして助けてくれたんですか」

 常に冷静だった紫にも思いがけない質問だったらしく、少しの間押し黙って口を閉ざした。
 紫はずっと堅かった顔を意外にも緩めて、口を開いた。

「私と似てるからかしら」

 緩んだ顔で微笑む紫は、本当は優しい人のように思えた。


 それから紫はいなくなって、また私一人になった。
 誰一人いない、孤独な空間。
 私はメリーを信じて祈った。

 メリー、一緒に帰ってまた境界探ししましょう。
 メリー、喫茶店巡りはどう、合成品ばっかりだけど。
 メリーがいないと、つまらないオカルト話もできないから。

 だから、帰ってきて。

 そう祈った瞬間、目の前に変化が起こった。

「蓮子なの?」
「メリー!」

 メリーとの再会に嬉しさのあまり手を伸ばした。けれど見えない壁が手を拒んだ。

「ごめんね蓮子、私怖いの」
「怖い? 私が?」
「そう」

 よくわからない。
 ずっと秘封倶楽部として不良、いや前人未踏の新領域を目指す意欲の高い善良サークルをやって来て、それでも私のことが怖い?

「違うわ」

 メリーは否定した。ちぐはぐな言葉に困惑する。

「わかった。私は大丈夫だから、メリーの気持ちを教えて」

 本当は全然大丈夫じゃなかった。
 メリーに嫌われてたらなんて考えたら怖い。
 あの日常が嘘のように思えてきて怖い。

 でも、メリーの本当の気持ちを知りたいから、ちゃんと落ち着いて話してほしかったから、強がりを言った。
 どうなるかなんてわからなかった。

 メリーは黙った。お互いを見つめ合う。
 私はただメリーを信じた。

「境界を見るのが怖い」

 メリーは口を開いた。

「境界が怖い?」
「そう、境界を見るたびに、別の自分がいるのに気づくわ。
 境界に吸い込まれそうになる。現実が、幻想に飲み込まれていく。
 その時、別の自分は幻想を否定するわ。これは起こってはいけないことなんだと。
 馬鹿よね。蓮子と境界探しなんてやってるのに、幻想を否定してるなんて、裏切りよね」

 現実が幻想に飲まれる、つまり現実が幻想へと変わっていく。

 かつてカウンセリングした時も、無意識のうちに境界を越えてメリーは幻想の世界を見ていた。
 けれど、これはきっと、現実と幻想の境界を操作し始めた結果だ。
 でも、メリーは現実の幻想への変化を否定した。

 幻想ばかりで満たされたメリーの心にも、同時に現実には起こりえないと思う諦めのような価値観が存在している。
 メリーの中にある、幻想に反発する現実の世界。鏡のように瓜二つだけど真逆なメリー。
 それが、この世界。

「ねえ、蓮子。もし世の中が幻想で満たされたとしたら、そこに幻想はあると思う?」

 幻想とは現実の裏返し。
 もしも幻想が現実になってしまえば、皮肉なことに幻想は存在しなくなる。
 だからメリーは現実を肯定しようとした。

 でも、私がいたら、メリーは板挟みだ。

「私はいない方がいい?」
「そんなことない!」

 メリーは憔悴して否定した。

「だって、蓮子がいない世界なんて嫌だもん」

 メリーは私を必要としていた。
 そのことを、素直に嬉しいと思った。

 メリーはもう幻想と現実の境界を好きなだけ飛び越えていつでも現実を幻想に変えられるようになってしまっている。
 けれど、その幻想の世界に私はいるのだろうか。
 むしろ私はついて行くことが出来るのか。
 私も、境界を飛び越えられるのだろうか。
 もし出来ないのだとすれば。

 メリーは一人で向こう側に行ってしまうことになる。
 そうなれば幻想との境界はメリーだけに許された片道切符だ。それは私には買えない切符。
 だから。

 メリーは幻想を選べなかった。
 メリーを現実に引き留めていたのは私だったんだ。

「ねえメリー。境界の向こうに行けるとしたら、あなたは行く?」

 メリーは口を閉ざした。少し意地悪な質問だったと自分で思った。

「私は行くよ」

 迷うことなく言った。私は境界を越えるって。

「本当に?」
「ええ。信じられない? 私はここにいるのに?」

 私は今、境界に飛び込んだからここにいるのだ。

「蓮子」
「メリー」

 もう、壁は無くなっていた。私達を隔てる物はない。

 再会の喜びを勢いに乗せて、メリーを強く抱きしめた。
 締め付ける程、熱は強く伝わってくる。
 メリーの感触を現実だと確信して、もう一度強く抱き寄せた。

「ねえ蓮子。一緒に境界の向こうまで行ってくれる?」

 そんなの答えは決まってる。

「決まってるじゃない! 私達は秘封倶楽部よ。この夢を、幻想を、楽しまなきゃ」



 次の瞬間には、私達は見知った森の中にいた。

 境界を探しに入った山の中。
 境界の中へ入る前の、森の少し開けたところ。

 戻ってきていた。暗闇の世界を抜け出して、元の世界へ戻っていた。
 メリーはすぐ隣りにいた。どうやら眠っているようだった。
 すやすやと可愛い寝息を立てている。
 人がどれだけ苦労したかも知らずに。


 結局、メリーはこの時のことを覚えてはいなかった。

 山の中でメリーは突然気を失って、少しして意識を取り戻した。
 そういうことにしておいた。
 メリーは境界を操作する能力を意識していない。
 
「ねえ蓮子、今度の境界探しの場所なんだけどね?」

 メリーは相も変わらず境界探しに熱中している。
 次に探しに行く場所をいつも探していた。

 そんなメリーを励まそうと、私は口を開いた。

「もちろん。メリー、いつか境界の向こう側に行くわよ!」
「えっ」

 メリーは境界の向こう側を恐れている。
 でも私と一緒なら。恐れることなんてない。

「大丈夫よ。二人なら何だって乗り越えられるわ。幻想のあるところならどこへだって行くのよ、秘封倶楽部は」

 メリーはうんと頷いた。その表情は、とても晴れやかだった。



■□■ 1月11日 はれ ■□■


 
 まるで何事も起こらなかったかのような静かな朝だった。
 雲ひとつなく晴れた空を小鳥たちが平和に飛び回っている。

 私は今、博麗神社の境内に立っていた。
 目的はただ一つ、冷えた体を温めるためのコタツダイブに尽きる。

 社務所の扉を開ける。
 特に霊夢が出てくることもなく、誰にも邪魔されずにコタツダイブは達成された。

 ああ、愛しのコタツよ、私を暖めてくれえ。
 とかよくわからないコタツ愛を心に留めながら、伝わってくる温もりに身体を委ねる。

「あら、来てたの?」

 霊夢は呆れたといった様子で言うと、コタツに足を入れて蜜柑の皮を剥く。

 私は部屋の様子を眺める。
 カレンダーは11日を指している。
 不思議にも一度日付が戻った後、また同じ日を過ごしていた。
 この前であれば鏡餅が無いと騒いでいたものだったけれど、今日はそんなこともない。
 
 で、昨日のことについて振り返る。
 もう一人の霊夢からこっそりと消えた後、紫と出会った。

「なあ紫、どうしてこの世界はこうなってしまったんだ?」
「そうね。どこかに幻想を否定しようとした人がいた、けれど幻想を否定することはできない。そんなところかしら」

 紫は他の世界で幻想を失った人間が幻想郷に影響を与えたと説明した。
 誰かが幻想を否定しようとしただけで、幻想郷はおかしくなってしまうらしい。面倒なことをしてくれるものだ。 

 でも幻想なんて信じれば出てくるものなんだ。消える事なんて無い。
 もちろん、諦めたりしない限りは、だが。

「魔理沙、雑煮食べるわよ」

 霊夢は威勢良く言うと、鏡餅を神棚から取っていった。
 鏡餅は消えることなく飾ってあった。

「鏡餅だけ特異点になっててどの世界でも共通なのよね、不思議よ」

 と紫は言っていた。

 鏡餅が消えてしまったのは、昨日霊夢と食べてしまったから、ということなんだろうか。
 となると鏡餅を食べた犯人は私なのだ。ということになる。

 とはいえ、鏡餅は昨日食べたはずだ。どうして鏡餅はここにあるんだろうか。
 と疑問に思った、そのとき。

 縁起の良さそうな紅白の御幣がふわっと、宙を浮いていた。
 鏡餅の飾り付けの一つだった。

 片手で掴む。鏡餅の謎を解くべく何か手がかりでもないかと調べてみることにした。
 そこに、私は文字を見つけた。

「ありがとう」

 御幣の隅にそう書かれていた。

 きっとあの世界の霊夢からのメッセージに違いないだろう。
 そう勝手に思いこむことにした。


「お待たせー。食いしん坊の魔法使いが待ちわびた鏡餅のお雑煮よ」
「だれが食いしん坊だ、私は恋色魔法使い!」

 雑煮を持って来た霊夢に突っ込みを入れる。

 雑煮の味は変わらず普通の味だった。ごく日常の、当たり前の味だ。
 でも、それが美味しく思えた。
 

 空は明るい。
 何一つ迷いのないような、空だった。

 こんな空を見ていると、もう一人の霊夢に思いを馳せる。

「うまくやっているかなあ」

 同じ空を見せてあげられたらいいのに、と心の中で呟いた。
 
 
 
何かと設定に無茶な部分もありましたが、ここまで読んでくださった皆様に感謝を。


皆様、拙い文章でしたが感想ありがとうございました。
ご指摘にもありましたが、やはり唐突だったと考えています。
執筆中時間が足りず、結果的にディテールまで書き込めず、感情移入できない話になってしまったと考えています。
実のところ、途中から各種設定やキャラクター、自分の中での幻想郷像との矛盾を感じていました。
書き続けるかは悩んだのですが、結果的に最後まで書ききることにしました。
それでも忌憚なき意見をくださった皆様に感謝しつつ、これからも精進してまいります。
もなか
http://monokakioolong.blog102.fc2.com/
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2010/11/06 21:51:06
更新日時:
2010/12/13 00:31:17
評価:
12/12
POINT:
49
1. 3 パレット ■2010/11/20 00:25:14
 物足りないッ……!!
 なんかすげーのを書きたかったんだろうなとはわかるのですが、あまりに拙速。いろいろと唐突過ぎて、作者さんの脳内設定がぜんぜん伝わってこないです……少なく見てもこの倍。おそらく三倍くらいの容量は必要な話だった。もう少し丁寧に、ゆっくり語ってほしかったです。
2. 4 さく酸 ■2010/11/25 20:55:07
レイマリ、蓮メリ、ごっそさんでした。
設定に無茶・・・かどうかはちょっとわかりかねますが、幻想が壊れかけた世界に魔理沙が入ってから、そのことを理解するまでずいぶんとあっさりしているような。
あと、魔理沙の「実は私、鏡に映らないんだ」という台詞はもっとそういう前提の描写がないと効果的ではないですね。
いきなりそんなこと言われて「お前は何を言っているんだ?」とつっこみたくなりました。
3. 2 asp ■2010/11/29 11:03:01
 うむむ……なんだか大長編映画のダイジェスト版の中間部をごっそり抜いたような印象です。設定とかは非常に興味深いのですが、展開とかについていけなくてちょっと楽しめませんでした。キャラも画一的かつ恣意的に改変されている感じで感情移入もしにくい。一人称の地の文も淡泊すぎるというか情報不足というか。あと致命的な誤字が……。時間がなかったのかなあと投稿時間から思ったり。
4. 7 yunta ■2010/11/30 22:30:22
執筆お疲れ様でした!

これはもう少し長い話で読みたかったかも。
なんだか話が駆け足で進んで、置いて行かれてしまった感がありました。
5. 3 とんじる ■2010/12/02 14:44:04
 作者さんも危惧していましたが、やはり設定が唐突すぎると思う。
 文章自体は丁寧ではっきりと解りやすく読みやすいし、設定それ自体も、そういうもんだと鵜呑みにすれば矛盾はないんだけれども……さすがにいろいろと展開が唐突過ぎてついていけなかった。
 理不尽で、どうしてこうなったんだという説明や説得力に欠ける展開、かと思ったら一転してクライマックスはご都合主義の大団円。
 いい話ではあるのだけれど、陳腐に感じてしまうことは否定できなかった。

 キャラクターの性格も、みな笑ったり怒ったり泣いたりのテンションのアップダウンが大きくて、唐突に感じることがしばしば。

 もう少し煮詰めて書けば、いい話になりそうな気がするのですが。

 かがみというお題も、もう少しピンとくる「かがみ」という単語を使った解釈が欲しかった。鏡餅が世界で唯一共有という設定も、面白い反面、説明不足で唐突、かつ鏡餅でなくてはならない理由にも乏しく、うーん……と言った感じ。
6. 6 TUNA ■2010/12/09 18:51:25
幻想郷の不安定さがメリーを解して書かれている所が面白かったです。
7. 4 deso ■2010/12/11 20:34:52
うーん、話が重い割に文章があっさりしてて、ちょっと感情移入できませんでした。残念。
8. 1 八重結界 ■2010/12/11 20:37:36
雰囲気があっさりしているわりに、物語全体が凄く分かりづらかったです。
9. 2 ニャーン ■2010/12/11 20:54:33
確かに無茶な設定です。
突然、別の世界に移行してしまう超展開に、ちょっと頭の理解が追いつきませんでした。
そのまま急にクライマックスになったような、しんみりとした展開になっても、感情移入が難しい。
長編作品の序盤とラストだけを切り取って、作品にしてしまっているような印象を受けました。
10. 5 gene ■2010/12/11 21:24:29
設定がよく解っていないかもしれません。
ツン状態になったメリーの精神に影響されて境界が発生し、吸い寄せられて入り込み、
それによって境界的な影響を受けた幻想郷側でパラレルワールド的なものが発生し、
そのうち一つの世界で霊夢以外の人間や妖怪が消えてしまった。
霊夢は寂しがって主役の魔理沙を呼び寄せて過ごしてる。そんな感じでしょうか。
お題へのアプローチが逆説的?で良かったです。
惜しむらくは、消えたはずの人妖が戻ってきたときに永遠亭の面子も居てくれると良かった。
11. 6 兵庫県民 ■2010/12/11 22:24:16
寧ろ秘封の出てくる話だと、こういうのがありきたりだったり。
私としては、設定の無茶とか感じずに面白く読めましたがねぇ。
12. 6 文鎮 ■2010/12/11 22:58:39
確かに少しストーリーが強引だったように感じました。
気弱な霊夢も良いですが、やはり魔理沙はこうであってほしいです。
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