宇宙世紀は妖怪の夢を見るのか?

作品集: 最新 投稿日時: 2010/11/06 23:49:14 更新日時: 2010/12/13 00:37:42 評価: 19/20 POINT: 135
 




 気づいたとき、私は宇宙に浮かんでいた。
 正確には地上から600キロほど離れた空間に浮かび、地球の周りをグルグルと回っていたのだ。
 それと、私にはいくつもの目がついていた。電波望遠鏡に可視光望遠鏡、おまけに赤外線望遠鏡。どれも遠くの星や銀河を見るための目である。
 多目的宇宙望遠鏡。私はそう呼ばれていた。

 宇宙なら星を見るのに邪魔な大気が存在しない。まさに星を観測するのには絶好の場所。ならば、宇宙に天文台を作ってしまえばいいじゃないかという話になり、宇宙望遠鏡が作られるようになったのだ。
 私が打ち上げられ、観測を始めたときはずいぶん話題になったようだ。
 可視光望遠鏡で撮った写真が新聞や天文雑誌の表紙を飾り、電波望遠鏡で観測した暗黒星雲のデータは多くの論文が生まれるきっかけになった……らしい。私を利用していた科学者たちのメールにはそう書いてあった。

 でも、脚光を浴びていた時代は今ではもう昔のことだ。
 この分野の技術は日進月歩。性能の良い宇宙望遠鏡が次々に打ち上げられ、私はあっという間に時代遅れの存在になってしまったのだ。
 それでも何とか星を見続けていたが、老巧化が進むに連れて故障が頻発するようになった。故障のたびに地球や宇宙ステーションから人を送って直してもらうには、当然だが莫大な金がかかる。
 ほどなくして、私は運用停止となった。理由は維持費の増加と設備の旧式化。
 現在の地球周回軌道を離れ、大気圏へ落下して燃え尽きるようにコースを変更せよ、それが地上から送られてきた最後の命令だった。

 星を見ることを禁じられた私は、重力に惹かれるままの数年間を無為に過ごしていた。
 やったことといえば、自分が大気との摩擦で燃え尽き、その燃えカスがインド洋に落ちる時間を計算したくらい。何もするなと命令されているので、それが当たり前のことではあるが。
 母なる地球は目前に迫っていた。大気圏との接吻まであと三日。

「こちら京都大学所属オオタカ。管制室、応答してください。緊急事態が発生しました!」

 突然、悲痛な声が聞こえて、ぼんやりとしていた意識が覚醒した。
 近くを通っている宇宙船の無線を拾ってしまったらしい。

『こちら管制室。状況を報告せよ』
「船体に何かが衝突して貨物モジュールが大破。衝突で開いた穴から、モジュール内に積まれていた液体が漏れ出しています」
『なんだと……了解した。そちらの船には二名が乗っているはずだが、無事か?』
「気密が破られたため宇宙服を着用していますが、二人とも怪我はありません。ですが、どんどん高度が下がっていて、このままだと……このままだと大気圏に落ちて燃え尽きちゃう!」

 雑音と警報音交じりの無線からは、荒い呼吸と焦燥感が伝わってくる。
 学生二人が乗った宇宙船が事故を起こしたようなのだ。
 ここよりずっと上の軌道に、いくつかの大学が共同で運営している無重力研究施設が浮いている。そこへ向かっている途中だったのだろう。

 たまたま受信したこのショッキングな無線に驚きつつも、私はわき上がる好奇心を押さえられなくなった。命令違反を承知でレーダーを作動させ、件の宇宙船の位置を確認することにした。
 すると、かなり近くで反応があったため、急いでレーダーで得た情報を航宙システムに入力した。事故を起こしたオオタカなる船がどのような軌道で飛ぶのか知るためだ。

「メリー、メリー! 亀裂をパテでふさげた!?」
「まだ! どこから空気が漏れてるか分からないの!」
「紙かハンカチを浮かべてみて。そいつが吸い寄せられる先に亀裂があるはず!」
「分かった!」

 無線を切り忘れているらしく、生き残ろうと悪戦苦闘する彼女たちの、生々しい会話が絶えず流れ込む。この命の輝きを聞くたびに、私の緊張は高まっていった。
 計算は数分で終わった。
 航宙システムがはじき出した結果に、私の思考は数瞬だけ機能を停止した。人間なら腕を組んで思わずうめいていたかもしれない。

 このままだと、オオタカは私の近くを交差するように飛んで大気圏に落ちてしまう。周囲には救助に向かえるような宇宙船は一隻も飛んでいない。
 この二人に助けの手を差し伸べられるのは、どうやら私しかいないようなのだ。

『北米防空司令部から軌道計算の結果が届いた。やはり大気圏への落下は免れない。スペースデブリがぶつかった衝撃と液漏れの反動で船が予定軌道を外れているようだ』
「まいったわね……」

 スペースデブリ。
 一世紀以上続く宇宙開発の中で生まれ続けた宇宙のゴミのことだ。空になった燃料タンクや人工衛星から外れてしまったネジまで、うんざりするほど宇宙空間を漂っている。運用停止になった私も広義にはその一員なのだろう。
 大物だったら事前に探知して避けられるが、ネジほどの大きさだったら探知は不可能に近い。さらに秒速8キロ以上という恐ろしい速度で飛翔しているので、小さな船だったらネジが一本当たっただけで致命傷になってしまう。

『待て、悲観するのは早いぞ。オオタカ、姿勢制御用の推進剤の残量を教えてくれないか?』
「推進剤? 残量は……62%です」
『これから伝える座標へ向け、残量が10%になるまで噴射してくれ。とにかく、大気圏への落下を少しでも遅らせるんだ。時間を稼いでいる間に救助船を向かわせる』
「了解!」

 そうだ。まだ先走ってはいけない。私が手を差し伸べるまでもなく、この二人は危機を脱することができるかもしれないのだ。
 はやる気持ちを抑え、私は注意深く無線を受信した。
 私がこうも人間を助けることに執着するのはなぜなのか。
 それは、自分が人の役に立つことを実感したいからだ。

 私は人間のためにつくられた。
 いくつもの目で星を見続けた成果が天文学の発展に寄与したのはもちろんのこと、存在自体が望遠鏡や人工衛星の技術力の向上にもつながっただろう。
 私がもし地上に作られた望遠鏡だったら、いつも私を必要とする科学者たちに囲まれ、たまには一般の見学者も来てくれたかもしれない。
 自分がどれほど人の役に立ったかを実感できていたはずだ。

「こちらオオタカ。推進剤の残量が10%になりました。さっきよりはだいぶマシになってるはずです。オーストラリア大陸が少し遠くなって見えるわ」
『よし、軌道を再計算する。待機していてくれ』

 だが、悲しいかな、私は宇宙望遠鏡だ。
 人類社会から隔絶された場所に浮かび、孤独に星を見るよう設計されている。人間との接触はメールや無線か、故障したときにしか来ない作業員だけだった。
 メールや無線の内容からいくら推測しても、残念ながら私の乏しく、機械的な想像力では人間の役に立ったか理解することはできなかった。修理をしに来た作業員は愚痴しか言わなかった。

 人のために作られたはずなのに、人の役に立ったか分からない。自分の存在意義を実感できない。
 いつしか私は、機械には贅沢で、傲慢ですらあるジレンマに囚われていた。

『計算結果だ……やったぞ、君たちは大気圏への突入は五時間以上延ばすことに成功した!』
「お手柄じゃない、蓮子」
「指示通りにやっただけよ」
『もう一つ朗報がある。国際宇宙ステーションから発進した救助船が三時間後にそちらに接触できるそうだ。これで一安心だな』

 運用停止になり、もはやこれまでと諦めていた。
 しかし、母なる地球へ還る寸前で、偶然この事故を知ることができた。
 彼女たちを救うことで人のために作られたことを実感したかった。集積回路が 焼き切れるほど渇望していた、自分の存在意義を満たしたかった。
 本来の用途とはかけ離れた役立ち方だが、もはや気にしている場合ではない。
 またとないチャンスを、逃したくないのだ。
 絶対に。

「待ってください。救助船とのランデブーは三時間後なんですか?」
『そうだ。何か問題が発生したのか?』
「デブリが衝突した衝撃で船の酸素発生装置が故障しました。予備の装置や酸素パックは大破した貨物モジュール内で木っ端微塵になっているかと。宇宙服の酸素パックの残量は……私のやつは二時間と十七分。メリーは?」
「同じようなものね。二時間十八分しかないわ」
『くそっ、一難去ってまた一難か』

 人間が生きるには酸素が必要なのだ。私が太陽電池に光エネルギーを当てなければ活動できないのと同じようなものなのだろう。
 ここで、私の内部に酸素を含む大気が存在していることを再発見した。
 修理に来た作業員が宇宙服を着ることなくスムーズに仕事ができるよう、一部区画が与圧されているのだ。
 五年ほど検査していなかったが、二人の人間を四時間以上、生存させられるだけの酸素があった。二酸化炭素のろ過装置も正常に作動した。
 いける。

『オオタカ。船の酸素発生装置を修理することは可能か?』
『やれないことはないと思います。ただ、二時間で修理できるかどうか……』
『私を見ないでよ。訓練センターでの成績は蓮子の方が良かったでしょ』
『すぐに取りかかってくれ。データや故障箇所の写真を送ってくれれば、我々の方でも対策を考える』
『了解しました』

 命令違反など気にしていられない。むしろ、行動が制限されないように電子頭脳内から命令を消去してしまった。もし、しかるべき人間が私の行動を知ったら、機械の反乱と表現するのだろうか。
 生命維持システムを完全に立ち上げ、二人を迎える準備を整える。
 あとは私の存在をオオタカへ伝えるだけとなって、ちょっとした問題にぶつかった。
 電子メールで情報を送るつもりだったのだが、単に情報を送っただけではスパムメールに間違われる可能性がある。かといって、私には手紙を書いた経験などなく、人間の社交辞令すら知らなかった。

「あーもう! このミッションが成功したら月面の研究施設に行けたかもしれないのに。私たちの華麗なる月面旅行計画がめちゃくちゃだわ!」
「観測天文学の観点から理論天文学の“ひも”理論を解き明かす、とか小難しい嘘をついて無重力研究施設の実習生に応募したバチが当たったんじゃない?」
「メリーだって無重力が人間の精神に及ぼす影響を研究する、なーんてそれっぽく見える建前で応募してたじゃない。おあいこよ。カバーを外すからそっち持ってて」
「はいはい。今さらだけど、私たちよく合格したわねぇ。本当は月へ行きたかっただけなのに」
「きっと秘封倶楽部の活動を応援してくれる神様がいたのよ。ついでに壊れてる機械も直してくれるとありがたいんだけどね」

 彼女たちは故障した酸素発生装置と格闘しているようだが、私も真っ白なメールの本文と格闘していた。
 意思の円滑な疎通とは、110億年前の銀河から電波を受信するよりも困難な作業だった。こんなことを日常的に行っている人間は尊敬に値する。
 刻一刻とタイムリミットが迫っていた。もう悩んでいる暇はない。
 シュミレーションした数万通りの中で最もストレートな表現で勝負することに決めた。

<オイデ>

 満足のいく作品ではないが、致し方ない。
 メールにこちらの座標や軌道などのデータを添付し、送信した。

「うわっ、中が全部焼けちゃってる」
「直せそう?」
「私たちみたいなインスタント宇宙飛行士じゃなくても無理だと思うわ」
「やばいわね……あら、メールが届いてる」
「管制室から? それとも石黒教授?」
「……ねえ、プランク並に頭が良い蓮子さんは、このメールをどう思うかしら?」
「なになに?」

 オオタカへメールが届いたようだ。私の悲願が達成されるか否かは、彼女たちの判断にゆだねられたことになる。
 しかし、私には申し出を受けてもらえるという、人間で言う予感めいたものがあった。
 無線から伝えられる二人の呼吸は、事故発生時と比べて明らかに落ち着いている。また、会話の内容やアクセントは、生命の危機に陥っているにもかかわらず、むしろ陽気と分類されるようなものが増加していた。

「んー、いたずら……じゃなさそうね。添付されているのは位置に関するデータかしら」
「これって私たちの近くじゃない?」
「もうレーダーに映ってる。直線距離で……だいだい200キロ。宇宙的感覚だと近いわ。速度はこっちの方が若干速いみたい。こちらオオタカ。管制室、応答願います」
『こちら管制室。酸素発生装置が直ったのか?』
「いいえ。これから故障した部分の写真を送りますが、一緒に位置データも送るので、そこに何が飛んでいるかを北米防空司令部あたりに照会してもらえませんか?」
『かまわないが……レーダーで何か補足したのか?』
「ちょっと不思議なメールが送られてきまして」

 彼女たちは楽しんでいるのだ。
 宇宙を、事故を、生命の危機ですら楽しんでいる。
 どのように楽しんでいるかは、私の乏しい想像力で補うしかないが、恐らく知識欲、人間の根源的な欲求を満足させることを楽しみと感じているのだ。
 科学を発展させ、究極的には私を作った人間の欲望。
 彼女たちは今、未知の経験を楽しんでいる。怖がっている暇などないのだろう。

『照会が完了した。例の軌道を飛んでいるのは、廃棄された宇宙望遠鏡らしい』
「ありがとうございます。だってさ、メリー」
「すると、その宇宙望遠鏡までおいで、ってことなのかしら?」
「メールの送り主は来て欲しいみたいね」
『そんなメールをまともに取り合わないでくれ。恐らくスパムメールか何らかのバグだろう。時間がもったいない、早く修理に戻ってくれ』

 私のメールは、二人から見たら不思議なものに該当するだろう。不思議なものの正体を確かめるべく、必ずや誘いに乗ってくるはずだ。
 面白いもの、不思議なもの、未知のもの。こういったものを知るためには悪魔に魂さえ売ってしまう。それが人間の本質なのだと私は推測している。
 そして、彼女たちは本質的な意味において純粋な人間のはずだ。

「宇宙望遠鏡は完全に機能を停止してるんですか?」
『ああ、そのようだが。いいから……』
「面白いわね。謎のメールに導かれて死んだはずの宇宙望遠鏡を探索するなんて、私たち秘封倶楽部の活動にぴったりじゃない。私は乗ったわ!」
「蓮子が乗るなら私も」
『おい、ばかなことを言うんじゃない!』
「ではお聞きしますが、この酸素発生装置が二時間以内に直る見込みはあるんですか? 見た感じ、修理するよりも、新しく一から作った方が早いそうですが」
『…………』

 沈黙が答えなのだろう。
 元気の良い学生が、畳み掛けるように言葉を続けた。

「だったら、私はまだ助かる可能性がありそうな方に賭けたいです。議論をしている時間はありませんよ」
「やらないであの世で後悔するよりも、やってから現世で後悔しろ、って言うしね」
『だが……仮に行くにしても危険すぎる。君たちはこのミッションが初めての宇宙なんだろ? 宇宙船の操縦や船外活動だってやったことがないはずだ』
「船の操縦ならシュミレーターで何度もやりましたし、訓練生の中で一番優秀だと褒められました」
「私は宇宙空間への適応力が高いって言われましたよ」
『その船の売りは完全自律飛行だったな、飛行士いらずの。しかし、言いたくはないが……よくもまあ、こんな素人だけを乗せて船を打ち上げたな。日本の大学は非常事態が起こることを想定していないのか』
「宇宙開発バブルで飛行士が足りないんですよ。法人化された大学は船を買うのに精一杯です。それに、民間人でも月面旅行ができる時代なんだから、科学者やその卵である学生が宇宙に飛び出さなきゃ話になりません。いちいち怖がってられないわ」
『……君たちのような人材がこれから宇宙を切り開いていくのか』
「皮肉ですか?」
『いや。まぶしいんだよ、そのエネルギーが。まあいい、宇宙望遠鏡への接触はこちらでもサポートする』

 次の瞬間、無線から二人の歓声と手を打ち合わせる音が響いた。
 彼女たちが勝ったのだ。
 それだけではない、私も勝ちつつあるのだ。

「私が言うのもあれですけど、本当にいいんですか?」
『本来ならば上司に相談すべきだが、彼は私よりも頭が固いし、育ち盛りの子どもが二人もいる。責任をかぶるのは私だけでいいんだ。ただし、地球へ帰ったら二人とも正規の航空宇宙学校に入ってくれ。ここの管制室の全員の連名で推薦状をだしてやる』
「考えておきます」
『では、作戦開始だ。残り10%の推進剤でケチりながら飛ぶ方法を教えてやる』

 オオタカがこちらへ向けて動き始めた。
 レーダーでその様子を確認したとき、私の電子頭脳に衝撃が走った。
 もしかすると、これがいまだ知りえなかった歓喜という感情なのかもしれない。
 人間風に表現すると、私はいても立ってもいられなくなり、何年かぶりにイオンエンジンを起動させた。反応は良好で、スラスターも素直に動いてくれた。
 彼女たちの負担を少しでも軽くしてあげるためにも、私から近づくのだ。

「見て見て! 向こうから寄ってきてる。誰かいるのかもしれないわ!」
「外部から操作されている可能性もあるわ。謎は深まるばかりね」
『誰だか知らんが余計なことをしてくれるな。逆噴射をかける位置を再計算しなくちゃならん。五番と六番の姿勢制御ノズルは動くか?』
「駄目です。両方ともデブリの衝突でいかれたみたい」
『分かった。推進剤が漏れないよう、パイプがしっかり封鎖されているか確認しといてくれ』
「了解!」

 200キロの距離など、宇宙空間ではあっという間だ。
 すでに外部カメラがオオタカを見つけていた。可視光望遠鏡は近すぎて使えない。
 減速しつつ、私に接近するオオタカ。無数の星や銀河を背景に飛ぶその姿が、たまらなく美しかった。

『衝突防止装置を切って、船を自動操縦システムに預けたか?』
「もうエアロックで待機してますよ」
「宇宙服の機動ユニットも正常に作動することを確認しました」
『よし。さっき伝えた通りだが、向こうに衝突する寸前まで近づき、逆噴射で速度を合わせた瞬間、飛び移れ。その宇宙服についてるズヴェズダ社製の機動ユニットは癖があるからな、慎重に扱うんだぞ』
「コロリョフ記念訓練センターで体感済みですよ。いざとなったらメリーを頼りますし」
「訓練時間は同じでしょうが。この高さの軌道で失敗したら仲良く流れ星よ」
「流れ星になったら、地上の誰かに見てもらえればいいけどね」

 二人がエアロックから船外に出てきた。銀色の宇宙服をまとっている。
 格好だけは一人前だが、彼女たちは初心者なのだ。命綱も救助してくれるベテラン宇宙飛行士もなし。初体験にしては少々ハードな内容だ。
 さすがに無線の声は緊張して上ずっていた。
 酸欠で死ぬよりも、宇宙遊泳に失敗して重力に引かれるまま大気圏へ落ちるというのは、行動して死ぬという点で実感がわくのだろう。
 彼女たちに限って、好奇心が恐怖に負けるということはないだろうが。

 だからといって、私も何もせずに待っているわけにはいかない。
 難易度を少しでも下げるために、こちらのエアロックも開放し、二人が真っ直ぐ飛び込めるように姿勢を調整する。

「わお。思ってたよりも大きいわね」
「上についてる電波望遠鏡、あの大きさのパラボラアンテナだと45メートルはあるんじゃないかしら。可視光望遠鏡や赤外線望遠鏡もついてるみたい」
「見て、蓮子。あそこの開いてる部分、何かに見えない?」
「何ってエアロックじゃないの? ご丁寧にこっちへ向けてくれてるわ」
「違う、あれは妖怪の口ね。私たちを飲み込もうと、大きく口を開けているのよ!」
「……メリーの眼が羨ましいわ。不思議な世界がいっぱい見えて」
『おしゃべりはそこまでだ。宇宙線の量は許容範囲内、宇宙遊泳にはもってこいの天気だぞ。カウントを開始する。あと六十秒』

 多目的宇宙望遠鏡。望遠鏡制御システム。人工知能。コンピュータ。私という存在にはさまざまな呼び名があるが、まさか妖怪と呼ばれるとは。
 だが、言い得て妙かもしれない。
 命令を無視して行動する私は、もはや人間の命令に従順でなければならない道具の範疇にはないのだろう。狂った機械には妖怪という名がふさわしいのかもしれない

『……五、四、三、ほぼ等速、幸運を祈る。行けっ!』
「蓮子、行きまーす!」
「それっ」

 二人が船を離れ、星が渦巻く大海原へ飛び込んだ。
 レーダーに表示された距離は42メートル。
 宇宙にしてみれば零に等しい距離だが、彼女たちにとっては無限に感じる距離だろう。この42メートルとは、宇宙と人生が交差する距離なのだ。

「蓮子、コースからずれてる! ベクトル軸に注意して!」
「分かってる……だけどっ!」

 メリーと呼ばれている方はやや危なっかしいが、ちゃんと飛べている。
 問題は蓮子と呼ばれている方だ。
 勢い良く飛び出したが、無重力世界に予想外の苦戦を強いられているようだ。軌道が安定せず、ふらふらと地球の方へ寄ってしまっている。
 今すぐスラスターを起動させて迎えに行きたいが、この段階だと動かずじっとしていた方が彼女たちにとって楽だろう。実に歯がゆかった。私風に表現すると、エラーを取り除けない、になるか。

「そろそろ減速するわよ。私の手をつかめそう?」
「無理っぽいかな。でも、ここまで来たなら……うわっ!?」
「蓮子!!」

 蓮子が方向転換に失敗した。バランスを崩して回転を始めてしまう。
 機動ユニットのコンピュータのサポートは追いついていなかった。
 宇宙で溺れてしまったのだ。

「両肩のノズルで前方に噴射して! 回転を止めるのよ!」
「わっ……このっ!」

 ノズルから噴射された窒素ガスの勢いにより、エネルギーが相殺される。
 回転はおさまった。
 だが、

「痛あっ!?」

 減速する余裕がなかったのだ。
 前のめりのまま、蓮子はエアロックから一メートルほどずれた場所に衝突、跳ね返ってしまう。
 私から離れてしまった蓮子が向かう先は、地球。母なる大地だった。

「蓮子、そっちへ行っちゃだめ!」

 メリーが追うが、間に合うか分からない。
 この軌道はあまりにも地球に近く、下へ行き過ぎると重力が邪魔をして戻れなくなってしまう。
 イオンエンジンを動かしかけたが、蓮子を助ける前に先行するメリーに衝突してしまう。メリーをよけて進むという高度な機動は、私のスラスターでは不可能だ。私は動くことができなかった。
 しかし、唯一動かせたものがあった。電波望遠鏡だ。
 ギアを高速回転させてパラボラアンテナを蓮子の正面へ動かす。
 間に合え。

「うおりゃあ!」

 主反射鏡の端に蓮子の右手がかかる。すかさず左手も回し、バランスをとってくれた。
 そこへメリーが到着する。

「生きてる!?」
「なっ、流れ星にはなってないわ!」
「良かった。誰かの願い事を叶えなくて済みそうね」

 メリーは蓮子に手を差し出した。
 硬く握られたことを確かめると、自分の機動ユニットを動かしてエアロックまで蓮子を引っ張っていった。
 彼女の宇宙空間への適応力は眼を見張るものがある。すでに機動ユニットを己の手足のように使いこなしていたのだ。まるで制御ソフトを頭の中にダウンロードしたかのような速さである。

「ここ、エアロックがあるってことは、与圧されてるってことよね」
「されてなかったら、どうする?」
「……一緒に流れ星になりましょ」

 二人がエアロックに入ったことを確認してから扉を閉め、気圧を調整する。
 メリーに言わせるならば、私は彼女たちを食べてしまった、ということになるだろう。
 私は幸福を手にしたのだ。

「はぁ……助かったのね」
「あら、今頃になって怖くなったの?」
「メリーだって震えてるくせに。こちらオオタカ……もう船じゃないけど。管制室、応答してください」
『こちら管制室。君の声を聞けるということは、宇宙望遠鏡に乗り移れたんだな?』
「二人ともぴんぴんしてますよ。望遠鏡内部に空気がありました。メールを送るくらい自信があるみたいだから、救助船が来るまでは生きていられると思います」
『そうか……よくやった。あと一時間ほど、そこで辛抱していてくれ。救助船の尻を叩いて超特急で向かわせる』

 内部カメラで見ると、確かに二人はかすかに震えていた。未知の体験を終え、好奇心よりも恐怖の方が大きくなったようだ。
 私も震えていた。いや、人間だったら間違いなく感動に打ち震えていただろう。
 人の役に立ったのだ。自分の存在意義を実感できたのだ!
 生まれて初めて、幸せを感じることができた。電子頭脳内を駆け巡る衝撃の、何と甘美なことか!
 機械らしくない興奮のせいで生命維持システムが止まってしまわないか、心配にさえなっていた。

「さて、怖がってる暇はないわ。探索をして、メールの送り主の顔を拝んでやりましょ」
「秘封倶楽部の活動開始ね」

 二人は宇宙服を脱いで身軽になってから、探索を始めた。
 あいにくと、私の中は探索ができるほど広くはないのだが。

「おーい、誰か……いないわよね」
「隠れられそうな場所がないもの。どこも機械がぎっしり詰まってるわ」
「そりゃ、望遠鏡は機械の塊だから。だけど……電子臭はすれども、ここの機械は動いてないみたい」
「ここにディスプレイと操作卓で調べられるんじゃない? メカに強い蓮子さん、よろしく」
「へーい」

 興奮に浮かれていた私の電子頭脳が、少し冷静になった。
 はて。
 確かに私は運用停止命令を受け、それを実行した。命令どおり軌道を変更させ、若干の計算を行った後、全ての機能を停止させた。
 だが、オオタカの無線を受信したとき、私は蘇ったのだ。
 全機能を再開させたし、電子頭脳はもちろん、レーダーやイオンエンジンも問題なく動いてくれた。
 なのに、機械が動いていないとはどういうことだろう。

 蓮子はしばらく操作卓をいじっていたが、やがて両手を上げた。
 ディスプレイには何も表示されてなかった。

「だーめ。完全に壊れてるわ。去年は太陽の活動期だったし、太陽風で回路が焼かれちゃったのかなぁ。でも、さっきイオンエンジンを動かしてたし……」
「ねえ、蓮子。私、分かったかも」
「メール送ったりした人が?」
「不思議な現象の正体よ。この宇宙望遠鏡、付喪神なんだわ」

 付喪神。
 初めて知る単語だったので、電子頭脳内の辞書で検索してみた。
 出てきた解説に、私は自分のことながら納得してしまった。

「付喪神って、古いものに霊が宿って妖怪みたいになった……あー」

 蓮子も口に出してみて理解したようだ。
 この二人が普段、どのような活動をしているのか気になった。宇宙に来るような人材が学んでいる知識とは明らかに異なっているはずだ。

「付喪神にはから傘お化けのように、いたずらをする類もいるけど、福をもたらすタイプもいるのよ。だから、危ない目にあってた私たちを助けてくれたんじゃないかな。メールも直接ここから出したんだと思う」
「なるほど。しっかし、宇宙望遠鏡の妖怪とはね。ハイテクなのかローテクなのか分からないわ」
「信じる人がいれば、宇宙世紀にだって存在する。それが妖怪よ。私は付喪神を信じる」

 そうか、私は付喪神だったのか。
 考えてみれば当たり前のことなのかもしれない。一介の宇宙望遠鏡に命令の無視という大罪を犯す意思や勇気があるはずがないのだ。私のことを、異常で不可思議な行動ばかりする機械、ではなく、当然の行動をしている付喪神、と説明した方がよほど説得力がある。
 そもそも、望遠鏡を制御するのに人間的な感情など必要ない。技術者たちが乗せようとしないだろう。ジレンマを感じ始めた時点で、自分が妖怪化していることに気づくべきだったのかもしれない。

 ただ、メリーや辞書の説明に納得すれども、自分が妖怪だという実感は出てこなかった。やはり私は多目的宇宙望遠鏡、科学の子なのだから。
 その証拠を彼女たちにも見せようと思い、ディスプレイを起動させた。

「あ、私たちの会話を聞い……」

 内部カメラには、二人の目がディスプレイに釘付けになる瞬間が、はっきりと移っていた。
 私が見せたもの。それは自慢の可視光望遠鏡で撮った天の川銀河の写真だ。
 0.00001ミリという冗談のような歪みさえ許さない、素晴らしい精度の鏡は宇宙が始まった頃の光さえ集めることができる。邪魔な大気が存在しない宇宙空間では、その性能を最大限に発揮することができた。
 地上では見られない世界がここにはあるのだ。

「すごいわね。ここの望遠鏡で撮ったのかしら」
「これよこれ!!」
「わわっ、地上と同じ感覚で暴れないでよ。ここは重力がないんだから」

 かじりつくようにディスプレイを見ていた蓮子が歓声を上げた。ついでに腕を振り回してバランスを崩し、メリーにぶつかったり内部カメラにぶつかったりと全身で喜びを表現していた。

「ごめんごめん。でも、宇宙の写真って心がときめかない? こういうのを見て衝動的に物理学の道へ進んじゃう人ってけっこういると思うんだ。写真から、私のところへ来い! って声が聞こえてくる気がしてさ」
「蓮子もその一人?」
「私はちょっと違うけど、この手の写真の影響を受けたのは否定できないなぁ」

 蓮子はとろけた目で銀河を見つめていた。瞳には無数の星が輝く天の川銀河が、丸々入ってしまっているのだろう。
 その幸せそうな様子がカメラ越しに伝わり、私まで幸せになった気がしてきたので、調子に乗って、どんどん他の写真を映してあげた。ちょっとしたスライドショーだ。
 木星や土星といった身近な惑星から、生まれたてのクェーサー、マゼラン星雲、あらぶる太陽のフレア。飛び切りは数え切れないほどの銀河がおさまった一枚だ。

「あー、理論天文学から観測天文学に浮気しちゃおっかな〜」
「宇宙も悪くないけど、地球だって負けてないわよ」
「ん? 今はヨーロッパ上空?」
「ええ。イタリアがライトアップされているわ」
「おおっ。ガガーリンは地球は青いって言ってるけど、黒い地球も乙なものね」

 メリーは危なっかしい蓮子から離れて、私に一つだけ設置された窓をのぞいていた。
 眼下に広がるのは地球。ちょうど夜の部分が見えていた。地表の明かりからは、人間の息づかいが聞こえてきそうだった。

「何だか、お酒が飲みたくなっちゃうわね」
「どうしてお酒なのよ。まあ、非常用の水だったら、あそこの箱に入ってたわよ」
「非常事態だからさっそく飲みましょう」

 床を蹴って危なっかしく奥へ飛んでいった蓮子は、液体が入ったパックを二つ抱えてきた。
 どうやら、作業員が持ち込んだ私物が忘れられていたようだ。私のように付喪神になってないといいが。

「消費期限が二年前に切れてるけど、宇宙線で消毒されてるから大丈夫よ。たぶん」
「消費期限切れをわざわざありがとう」
「ロシアの宇宙ステーションだったらお酒があったのに」
「ま、流れ星になりそこねた記念に乾杯」
「この素敵な望遠鏡にも乾杯」

 二人はパックを軽く触れ合わせ、ストローをくわえた。
 宇宙空間で液体を摂取するなど非効率だと私は考えていたが、この二人が飲んでいる姿を見ていると、どうも違うように思えてきた。
 まったくの私見だが、彼女たちの飲む様子は優雅で、知的でもあった。
 私は一緒に混じって彼女たちの欲している酒とやらを飲み交わしたいと思ってしまった。

「ねえ、地球に戻ったらヴェネツィアに行ってみない? 完全に沈む前に行っておきたいのよ」
「メリーも意外とミーハーね。ここから見下ろしてたら行きたくなったんでしょ。やっぱり宇宙よ。手始めに月へ行かないと。今度は失敗しないわ」
「蓮子だって写真を見たから、月面旅行の情熱が続いてるんじゃないの? 地球に帰ったら、もう宇宙なんて行かない! って言いそう」
「言わないって。何度でも挑戦してやるんだから」

 ここで私は気づいた。
 私は人の役に立っているということを。
 二人の危機を救ったのはもちろんだが、今この瞬間、私とその目で彼女たちの知的好奇心を満たしているではないか。これを人の役に立っていると呼ばずに何と呼ぶ。
 私、そして科学は人の心を満たすことができたのだ!

 妖怪的な表現だと、たった二人の人間を食べただけで私は満ち足りてしまった、とでも言えば良いのだろうか。
 とにかく、私は満足して、幸せになったのだ。

「そういえば、この望遠鏡って燃やされちゃうのよね。こんなにすごいのに、もったいないわ」
「本当に夢のような機械なのにね。あ〜、私の家が金持ちだったら自分の部屋に置いとくのに」
「蓮子の家がお金持ちだったとしても、どうやって持って帰るのよ」
『こちらU.S.S.エンタープライズ。お姫さま二名をお迎えにあがりました』

 彼女たちがしばらく雑談をしていると、無線に陽気な英語とジョークが飛び込んできた。
 救助船が近くまで来たのだ。

「アメリカ航空宇宙軍のお出ましね。こちらオオタカ。白馬でのお迎え感謝します」
『あと20分後にそちらへ再接近する。うちの乗組員が回収に行くから、外へ出て待っていてくれ。しかし、廃棄衛星とは考えたな』
「妖怪にお呼ばれしたんですよ」
『う……ん? まあいい、こっちに乗り移ったら詳しく聞かせてくれ。後で会おう』

 別れの時間のようだ。

「名残惜しいけど、これでお別れね」
「うん」

 蓮子とメリーは外に出ても、私の方を向いて手を振ってくれた。
 救助船の乗組員が来ても手を振っているものだから、最初は笑われてしまった。それでも、最後には乗組員も一緒になって敬礼をしてくれた。
 これ以上にない名誉だろう。
 せめてもの気持ちのつもりでパラボラアンテナを動かして、私流に手を振り返した。

 二人は救助船の中へ消え、やがて救助船さえカメラから見えなくなった。レーダーで確認したところ、船は国際宇宙ステーションへ向かったようだ。
 私は再び孤独となったが、電子頭脳は晴ればれとして、幸せでいっぱいだった。
 大気圏への突入は三日後に迫っている。この三日間は間違いなく、私にとっての至福の時間となるはずだった。




















「大丈夫?」

 声が聞こえた。
 無線を通した声ではない、未知の感覚を通して聞こえてきたのだ。

「あんた、見かけない顔ね」

 人間が見えた。宇宙服ではなく赤と白の不思議な服を着ている。ここは宇宙空間ではなく、与圧された空間なのだろう。
 しかも、私はその人間を望遠鏡やカメラではない、未知の感覚を通して見ていた。

「名前は?」

 質問されてしまった。
 今度はうまく意志の疎通ができるだろうか。

「私は……」




 
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

東方でSFです。とにかく、東方でSFが書きたかったんです。

今回は何とか間に合った文鎮です。
妙な設定だらけでしたが、ありがとうございます。



>>たてさん
SFらしい雰囲気が出ていたようでよかったです。
アポロ13号の記録などを見ると淡々とした中に激しい言い合いもあって、秘封の二人だとどうなるかなぁ、と思いまして……さじ加減は難しいものです。

>>奇声を発する程度の能力さん
SFしかり天文学しかり宇宙を相手にするにはロマンが必要だと思います。
ぶっちゃけロマンしかないので興味がない人から見れば、なんて無駄なことを、ってなっちゃうんですけどね。

>>みなもさん
秘封や宇宙の魅力を引き出せるものを詰め込んでみたつもりです。
ただ、最初のあたりは濃すぎて、もう少し考えるべきだったかなぁ、と反省しているところであります。

>>パレットさん
宇宙へ飛び出すにはロマンが必要なんです。ロマンしかないんです。

>>tunaさん
付喪神になるのは傘とか日常品だけの専売特許じゃないだろうな、と思いまして。

>>さく酸さん
秘封の二人はどこへ行っても多少の変化はあれ、本質は変わらないと思うんですよ。
私の中では宇宙望遠鏡が付喪神になるのも、傘が小傘になるのも、そんなに違いはないんです。

>>もみあげさん
気に入っていただけたようで幸いです。

>>aspさん
宇宙空間での事故なんて基本ですよね(え
ハリウッド映画みたく第二第三の危機が!という感じも良かったかもしれません。

>>yuntaさん
ありがとうございます。
宇宙望遠鏡はできるだけ機械的に、中性的に、を目指していましたが、恐らく少女になって幻想入りしたと思います。
だから弾幕ごっこもできるかなぁ、なんて。

>>とんじるさん
途中までは本当に東方を置いてきぼりにしてますよね。見捨てずに読んでくださってありがとうございました。
最後あたりが前半のカウンターウェイトになっていればなぁ、と。
秘封の二人でなければこの終わり方はできませんでした。

>>ケンロクさん
もう星蓮船でアダムスキー型円盤が出ているので、幻想郷はこれからどんどん変化していくんでしょうね。
今年でスペースシャトルは引退ですし、ロシアのブランなんて絶対に幻想入りしてます。

>>木村圭さん
まあ、私は甘ちゃんなのでこういったハッピーエンドしか書けないんです。
管制官は予想外にでしゃばっていたりします。おっさんはかっこいいんですよ。
可視光望遠鏡は星を見るために鏡を装備しているため、主人公自身が鏡だと考えていただければ…

>>八重結界さん
そのうち古いタコ型火星人なんてイメージも妖怪化するかもしれません。
何でも受け入れてくれる闇なべみたいな幻想郷なら、うまくやっていけるはずです。

>>ニャーンさん
東方とSFって相性は悪くないと思うんですよ。
それを証明するには今回のような妙な世界観はいらないかもしれません。というか、いつもの秘封倶楽部でSFしてみたいです。

>>desoさん
秘封でSFものはもっと増えて欲しいですね。
私も早く行きたいですが、私が生きている間にそんな時代が来るかなぁ……来い!

>>名前が無い程度の能力さん
話の中でもう望遠鏡が言ってくれてますが、私も科学は人の心を満たすことができるのだと思います。
むしろ結果はともかく、科学の発展を支えてきたのは好奇心だとか、人を幸せにしたいという願望のはずなんです。
なので一方的に科学が悪者にされるのは忍びないなぁ、と。まあ、私もある意味科学のおかげで食べていけているので、悪口を言えないだけかもしれませんがw
私の秘封倶楽部ものはそんな方針で動いていくと思います。

>>如月日向さん
そう言っていただけるとありがたいですっ。
ハリウッド映画だったら、蓮子とメリーが望遠鏡に付いた後、第二の危機が襲ってきますね。
最後がけっこうだらけていたので、次に活かしたいです。

>>geneさん
オイデは幽霊が暗闇から誘っているイメージだったんですが、SFでも十分通用するみたいですね。
無線はかなり難しいところでして、私の実力で淡々とやると秘封の二人らしさが失われてしまうんですよ…精進します!

>>兵庫県民さん
お題が発表された後、映画のアポロ13号を見ててティンときまして。
私がイメージしたのはハッブル宇宙望遠鏡と野辺山の45メートル電波望遠鏡でした。
兵庫県にも何箇所か天文台があるので、ぜひぜひ行ってみてください。
文鎮
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2010/11/06 23:49:14
更新日時:
2010/12/13 00:37:42
評価:
19/20
POINT:
135
1. 3 たて ■2010/11/14 15:52:55
発想と雰囲気が好かったです。
しかし個人的には、無線での会話って淡々としていると思うんです。個人的にはですけど。
2. 10 奇声を発する(ry ■2010/11/15 04:28:34
ほわぁ…SFにはロマンがあります!!
3. 10 みなも ■2010/11/15 20:31:15
すごいです!

流れ星になりそうな宇宙の空間のスリルから
美しい宇宙の写真描写、
そして宇宙船の幻想入りなど、こんな短い作品でこんな濃い内容がかけるものか!とおもいました。
4. 4 パレット ■2010/11/20 00:38:12
 うおお面白かった。なにかロマン。ロマンを感じました。
5. 8 tuna ■2010/11/25 15:39:05
予想外のものが付喪神に。この発想は無かった。
6. 7 さく酸 ■2010/11/25 20:45:40
大変なことになっているのに会話がいつもどおりの二人がすごい。そして、楽しい話でした。
まさか宇宙望遠鏡が付喪神になるなんて思いもしなかったです。ちゃっかり幻想入りしてるし。個人的に好きなお話でした。
7. 4 もみあげ ■2010/11/26 12:18:40
この話、好きです。
8. 5 asp ■2010/11/29 11:41:25
 東方でSF、いいじゃないですか。秘封倶楽部が宇宙旅行中とか極限空間での事故とか九十九神化した宇宙望遠鏡とかロマンくすぐる展開がにくいです。派手な部分があんまりなくてどこか淡々としているのも、宇宙っぽくて(?)いいですね。読後感がすっきりした作品でした。
9. 10 yunta ■2010/11/30 22:38:59
執筆お疲れ様でした!

なんだこれ、面白い! なんだか150kmのストレートをど真ん中に決められたような読後感でした。
付喪神のキャラも立ってるし、ストーリーの長さも適切で、素晴らしいSSでした。
幻想入りしたあとの付喪神のストーリーも妄想したくなるような、綺麗な終わり方もいいですねぇ。
SF要素に関しては詳しい事は分かりませんが、私としては読んでいて違和感もなく、秘封倶楽部もぴったしハマっていました。
10. 5 とんじる ■2010/12/02 15:04:33
 半分くらいまで読んで、「これって東方か?」と首をひねった。
 いきなり宇宙だし、キャラの名前として蓮子とメリーを借りているだけで、あまり設定が生きてこないし。そう言った意味で、少しばかり前半部は退屈というか素直に物語に入っていけなかった。

 後半部分はそこから巻き返すように東方らしい世界を見せてくれて良かった。
 一人歩きする望遠鏡を妖怪とする解釈。二人の軽妙な会話。ここに来てやっと世界観が深まりを見せたという感じで引き込まれた。


 幻想郷は何でも受け入れる……か。残酷だけれど、素敵でもある。
11. 7 ケンロク ■2010/12/07 13:44:15
「なるほどなー」ってのが第一印象でした。確かにスペースシップも付喪神になりえますよね。きっと。
宇宙世紀の時代になったら、宇宙は、デブリの妖怪が宇宙速度で飛び交う幻想郷になるわけですね。それって素敵やん?
12. 8 木村圭 ■2010/12/11 20:37:46
大好きなんですこういう幸せな物語。
蓮子とメリーも、管制室のオッサンも気持ちよく動いてくれてとても気持ち良かった。
そして何より、時代を超えて(?)幻想郷へ、なラストが特に良い。
ところでお題はどこに?
13. 8 八重結界 ■2010/12/11 20:46:50
宇宙妖怪とは面白い設定。きっと幻想郷で幸せに暮らしていることでしょう。
14. 6 ニャーン ■2010/12/11 20:47:38
SFでありながら東方の世界観に則っているのが凄い。感服しました。
短いながらも独自の世界観を見ました。読後感が良い。良い掌編を読みました。
15. 8 deso ■2010/12/11 20:56:15
おお、これは良いなあ。
秘封らしいし、SFだし。
学生でも宇宙や月へ行ける時代に早くなって欲しいですねえ。
16. 10 名前が無い程度の能力 ■2010/12/11 21:22:22
秘封物なんかで科学をストーリーに組み込む作品には、よく科学が悪い概念にされている気がします。科学が発展しすぎて幻想や夢を失った主人公や世界観の話が秘封シリアスには多い気がします。
私はむしろその逆だと思うんですよね。この作品で蓮子が言っているように私は子供のころに宇宙やミクロの世界の図、写真を見てすごい驚いたしわくわくしました。
現在の科学者の中にも夢を抱いている人は多いと思います、ある困難な現象を実行しようとしたり、不可思議な現象の原因を求めたり、まだ誰も知らない現象を発見したかったりするんじゃないかと思います。
そしてこれはいくら多くのことが科学によって解明されようとも変わらないと思うんです。そういう科学者にとって知的好奇心は本能のようなものですし、人間の欲望が無限というのは悪い概念として使われますが何が解明されても何が実行可能になっても欲望ある限り科学の目標は新たに生まれ続けるんじゃないでしょうか。

だいぶ東方とは関係ないことを述べましたが、つまりこの作品は私にとって、科学の魅力とか人間の好奇心だとか未知の現象に向けるエネルギーだとか、そういうものとSFが両立している所が素晴らしかったわけです。
もちろんそれ以外にも話のバックグラウンドや、蓮子とメリーに起こる問題や二人の行動など、とくに宇宙望遠鏡の心理描写がうまかいと思いました。やたらと人間臭かったり、人間とはずれていたり機械っぽかったりする心理描写は読んでて飽きませんでした。文句なしの10点を入れさせてもらいます。
17. 8 如月日向 ■2010/12/11 21:53:19
これは紛れもなくSFですねっ。
読んでてわくわくしちゃいました。
もう少し山場があったらもっと面白かったかも。

二人の若き命を救った、忘れ去られし勇者に敬礼!
18. 7 gene ■2010/12/11 22:24:42
宇宙船の持つ意識に何らかの説明があるかないかで評価を分けようと思って読んでましたが、付喪神とは。上手い話だなと思いました。<オイデ>にSFチックさを感じました。
管制室の台詞がちょっとそれっぽくなかったのが残念です。死が隣接した世界で、怪しげなメールをスパム扱いしたり、救助を超特急で向かわせる、などは決して言わないんじゃないかなと。そこで少しSFな空気が損なわれてしまった気がしました。
19. 7 兵庫県民 ■2010/12/11 22:57:25
望遠「鏡」ね。考えたものです。
それにしてもいい秘封でした。秘封好きの俺満足(ぉ
それにしても、実在していた宇宙望遠鏡を思い出します。
まぁ、それをモデルに書かれたのでしょうが、私が小さい時に科学雑誌に載ってた、宇宙望遠鏡が捉えた写真に胸をときめかせていたという過去を思い起こされるというか(何
20. フリーレス にゃん ■2011/12/10 05:00:58
今日も男レンタル♪(人・ω・)★ http://ylm.me/index.html
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