咎送り

作品集: 最新 投稿日時: 2010/11/06 23:56:55 更新日時: 2010/11/06 23:56:55 評価: 19/20 POINT: 106
潮の満ち引きの音だけが響く月の海の浜辺に、佇む者がいた。金色の少しウェーブのかかった髪を持ち、淡い紺色を基調とした服を着た少女だ。
程よく熟れた桃の果実をたまに口に運びながら海を眺めるその姿は、どこか神秘的にさえ感じさせる。

「やはり、ここにいましたか」

人影が一つ増えた。声をかけられた少女が、声をかけた少女の方を向く。

「あら、よく私がここにいると分かったわね、依姫」

「お姉さまが訓練をサボるとしたらここしかありません」

服装の色や性格は互いに対照的だが、二人ともどこと無く顔が似ていた。二人は姉妹であり、綿月家という代々月の使者のリーダーを任されている一族である。
豊姫は依姫を見て呆れたようなため息をついた。

「何故、お姉さまが呆れるのですか」

「だって、ねえ」

豊姫は再び桃を口に含もうとしたが、その手を依姫に止められる。

「あまりサボってばかりいると兎たちに示しがつきません」

豊姫は止められた手を何とかして口に持っていこうとするが全て先を読まれたように腕を止められる。

「だって、ねえ」

「……先ほどから、何ですかそれは?」

「退屈よ」

そう言うと、依姫は豊姫に対し呆れ返す。その隙をついて豊姫は再び桃を口にする。

「ん、美味し」

桃の甘さで頬の緩む姉の姿を見ながら依姫は、やはりいつも通り言っても無駄なのだということを悟った。しかしそれは同時に依姫の悩みの種が絶えないことを示すということでもあった。
月の使者たちの軍事訓練など、実質的な管理をしている綿月 依姫。彼女はいかにも難しい顔をしながら、豊姫の元へと歩み寄った。そして持っている桃にかぶりつこうとしていた豊姫の桃を取り上げる。

「あら」

少し驚く豊姫には気もくれず、奪った桃を手の中で燃やしつくす。依姫の能力は神を自分の身に降ろすことであり、火を司る神を宿してその力を使った。
依姫は改めて豊姫に向き直る。

「……確かにお姉さまのサボり癖は今に始まったことでもないし、今更言ったところで変わるとも思えませんが」

依姫がそう言うのを聞きながら、豊姫は懐から新しい桃を取り出す。依姫が驚き、再び呆れた。

「……一つじゃなかったのですか」

「一つしかないって言ったかしら。あなたも食べる?」

もはや半ば諦めたようにため息をつきながら、依姫は桃の誘いを断った。

「そういえば」

唐突に、豊姫が話題を切り出す。依姫は反応に遅れた。

「『あの』レイセンは今頃どうしているかしら?」

困惑しながら、依姫は答える。

「レイセン、ですか?それなら今朝お姉さまも見たはずでは」

「違う、優秀なほうよ」

依姫は即座に納得した。
そして、それと同時に自分たちのペットが地上へと逃げ出して既に数十年が経っていたことに気がついた。

「そういえば、もう、結構な時間が経っていたのですね。……しかし何故今そのような事を?」

依姫は姉の質問を疑問に思った。そこで、豊姫はため息をつく。

「……なぜ、ため息を吐かれるのです?」

「あなたが意外に忘れやすい性質だということが分かったからよ」

そう言われたところで、依姫は気がついた。暦を確認する。

「ああ、そうでしたね。そういえば今日は」

レイセンがもう月へと戻らないと判断した姉妹は、同じ名前の兎を飼うことにした。前のレイセンほど優秀ではないが、それはそれで可愛げがあるというものだと二人は考えていた。

「……脱走させたくなかったのなら、蔵の警備をもっと強化すれば良かったのでは?」

依姫は姉がペットの逃走を悔やんでいるように思えたが、姉は首を振った。

「別に、脱走しても構いはしないのよ。だって、結局、兎達の帰る場所はここしかないのだから」

「ならあのレイセンはどうして帰って来なかったのです?」

豊姫は頬に手をあて、少し考える素振りをした。

「……多分、地上でここよりも居心地の良い場所を見つけたからじゃないかしら……ね」

そう言った後で、もう一言だけ付け加えた。

「まあ、私たちには到底理解なんて出来ないけれど」

月の民にとって、地上は牢獄のような場所でしかない。そんな場所に行った兎がどうなろうと知ったことではなく、戻ってきたのならば相応の処置をとってまた働かせるだけである。それはいくらペットといえど、レイセンも例外ではなかった。

「覚えていますかね?あの子は」

「覚えていると思うわ。だってあの子は優秀だもの」

そういいながら、豊姫は黒く揺らめく海へと桃を投げ込んだ。
数秒後に、水の中に小さな物体が入るちゃぽんという音がした後には、少しだけ波紋が残ったが、波の満ち引きと共に消えていった。

その部屋に窓は無かった。要人を護送する際の控え室だ。扉の前には警備員が常に待機し、部屋の中には警報付きの監視カメラが4台、それぞれの死角を無くすように作動している。
おかげで、この部屋にいる間に暗殺されるような危険性は無い。更に扉の外に出れば警備員達と決まった区間ごとに設置された監視装置がある。まさに厳重な警備と言えるだろう。

部屋の扉が叩かれた。護送する準備が出来たという合図だ。少しと経たない内に扉の中から人が現れた。中から現れたのは初老の男。人相は、どちらかといえば悪い方だろうか。顔に刻まれた怒り皺がこの男の性格を表しているような気がする。

私は数メートルも離れていない所からそれを見ている。だが、誰も私の存在には気付かないし、警備員たちにも私の姿は見えていない。私の能力を使えば、そういう事も可能だ。男が何かに気が付いたのか、辺りを見回す。……どうやら杞憂だったようだ。私が、だが。

私はゆっくりと消音器のついた拳銃を男の額、自分の身長より少し上を狙い、引き金に指を掛け、引く。引く。引け。引け。
撃とう。撃て。撃つ。殺せ。殺す。撃つ。殺す。撃つ。殺す。撃つ。殺す。殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺殺殺殺殺殺殺殺殺…………。

くぐもった音発砲音がした。
男の眉間からは血が見え、何が起こったのか分からない様子のままその場に倒れた。
後は、ここから立ち去るだけだ。

急ぐ必要はない、はずだ。相手に姿を見られているわけではない。銃声はしたが、遠くまでは響いていないから、逃走経路が封鎖されるにはまだ時間がかかるはずだ。
だが、私の身体は、そんな事実とは関係無しに動いた。
何かが、私を急かす。一刻も早くこの場から立ち去りたいと何かが叫ぶ。
私は歩きから早足になり、そして駆け出した。まるで悪いことをした後に逃げ出すように。

私は耳に手を当てる。眼の横についている耳ではなく、頭の上についている兎の耳だ。
兎の耳は通信機になっており、月の兎たちはこれで情報のやり取りをする。
私は一言だけ通信に送った。

「任務完了」






水が蛇口から流れ続ける。私が締めない限り水は止め処なく流れ続けるだろう。だが今はそんなことさえ、雑念にしか思えない。いや、何を考えたいのかさえ自分でも分からない。ただ、洗面所の淵に手をつき、流れる水の行方ばかりを追っている。
動けない。腕が硬直しているようだ。
動悸が激しい。呼吸が荒くなる。興奮している。
覚悟を決めて、顔を上げる。鏡に私の顔が映る。
眼が赤くなる。狂気の瞳だ。今の私は狂っている。というより、自分で狂わせた。
私の能力は波長を操ることだ。波長を操ることで、他者との間には心地よさを生み、自分に対しては任務に合わせて自分の感覚を変えていた。
そうすることで私は訓練から今日のような任務まで、全て確実にこなしてきた。任務に必要な波長だけを操り、後は全て封じ込める。たまに私の性格がいくつもあるように言われるのはその所為だ。

眼の色が引いていくと共に私の中の隠していた心が出てくる。臆病で弱い私の心。
私は精神的に強いわけではない。むしろ、臆病だと自分で感じているくらいだ。そんな私が暗殺などという任務を行うためには自分の弱い心を隠す必要があった。
そこで、自分の波長を操ることにした。鏡を見て自分に催眠のようなものをかける。狂気だけが前面に押し出され、臆病な気質は奥へとしまわれる。
だが、ずっとその状態でいるわけにも行かない。特に、綿月様にこのことを気付かせるわけにはいかない。
もしそんなことになれば私は月の使者から外されるだろう。そして私は他の兎たちと同じ扱いに変わる。そのことが、私には耐えられなかった。
自分だけが持つ特別な能力。私は特別なのだと思わせてくれる綿月様のペットという今の立場。それらは私の自尊心であり、精神的な支えでもある。

そうだ、私は臆病だ。だからそのちっぽけな自尊心を守る為に己がいくら傷つこうが構わない。その自尊心が崩れることのほうが恐ろしい。

例え、狂気を失った私の正常な精神が殺しという重圧に耐えられなくなったとしても。

そう思っていた。

そう思っていたのだ。以前は。殺すことを重ねる前は。
初めは殺すことに戸惑いや躊躇があった。だがそれも消えていき、段々と殺すことに慣れていった。そして、殺すことに慣れていくと同時に、自分の波長が変わっていくことに気が付いた。自分が正常なのか狂っているのかが分からなくなり、自分は狂っているのだと思わせるために鏡に向かうことが多くなった。自分は狂っているから殺せるのだと思うようにしていた。だが、ある日任務の後、今と同じように鏡に向かって気が付いた。

眼が赤くなかった。私は正常な精神のまま殺しをしていた。

途端に、恐ろしくなった。自分が自分でなくなっていくような感覚に襲われた。
そして次第に眠ろうとしても眠れなくなり、幻聴が聴こえたり、幻覚が見えたりするようになった。自分が殺した相手が眼の前に現れたり、断末魔の叫び声を再び私に聞かせたりする。

何かが聞こえてきた。どこかから声がする。叫び声のような、悲鳴のような、私が聞きたくない声がする。

「っ……やめて……」

止めさせようと思っても止められしない。絶え間の無い声が耳なのか脳なのか分からない場所に響き続ける。私は自分の声でその声を消そうとした。

「うるさい、黙って、黙りなさい!」

声が大きくなると共に私の声も大きくなっていった。もはや叫び声に近いような声を出す。

突然、何かが自分の中で切れた。言葉にするのなら、それは私の弱い精神を保っていた何かとでもいうのだろうか。意識が遠のく感覚だけがした……。



代々、月の使者のリーダーを勤める綿月家の屋敷の一部屋に、厳重な警備が敷かれていた。綿月家の姉妹がその部屋の中に居る。姉の名は豊姫と言い、温和な性格と天性の運の良さを持ち兎からの信頼も厚い。妹の依姫は生真面目な性格で兎たちの訓練を行っている。
その二人が難しい顔をしている。というのも、ある情報が入ったからだ。
月に地上の人間が足を踏み入れたという。
神の力も何も借りずに、科学力だけで月まで到達したことに、依姫はまず驚いた。
そして地上の民達が何故月へと踏み入れたのかその理由を考えた。
おそらく、侵攻だろう。例えそうでないとしても、黙って地上の民を見逃すわけにもいかない。

「戦争……ね」

豊姫がいつになく真剣な顔で呟いた。
物事は、常に最悪の事態を想定して行動しなくてはならない。地上の民に侵略された場合のことを考えて、二人は戦略を練っていた。

「いくつか犠牲が出るのは仕方ないと考えましょう。前線をぶつけている間に後方からの火力で敵の数を減らしていくのが良いかと。どうせ敵の増援の量は限られていますし」

依姫がそう言った。ロケットなどそう易々と飛ばせるようなものではない。だから敵の量はそれほど多くは無いだろう。それに臆病で実戦経験などあまり無い兎たちだ。統率された行動が取れるとは二人とも考えていなかった。

「全員がレイセンのように使える兎なら良かったのに」

豊姫がそう呟いた。
それに依姫が反論する。

「全員が同じ者なんて、一度対策されたらそれまでですよ」

「そういう訳ではなくて」

豊姫は兎たちが全員レイセンの姿をしているのを想像し、苦笑した。

「あの子、優秀でしょう?他の兎もあれくらい優秀ならいいなと思って」

依姫が居ない方向に眼をやった。お茶の時に、レイセンが座る席だ。二人はここでペットとお茶をしたり、桃を使ったお菓子を食べたりする。たまにペットをからかうのも二人は楽しんでしている。

「……確かにあの兎は優秀ですが」

「どこか不自然にも思える…かしら?」

姉が自分の言葉を先読みしていったことに依姫は驚いた。

「え、ええ。よく分かりましたね、お姉様」

豊姫はこのくらいのこと何でもないというような顔でお茶をすすり、言葉を続けた。

「あの子、まるで幾つもの自分を持っているみたいじゃない。……ええとなんだっけ。レイセンはたしか波……ええと波みたいなのを操れるって言っていたわよね」

「波長、ですね」

「ああ、そう、それ。で、これは私の考えなのだけれど」

豊姫は湯のみを机の上に置いた。

「自分で自分の波長を操ることって、出来るわよね」

半ば、断定的に豊姫は言った。依姫は姉が何を言いたいのかを理解した。

「……前のテストでは、全てトップクラスの成績でした。障害物走、射撃、判断力、ストレスへの対応、どれも平均を超えた結果を出しています」

「それは紙の上での結果、机上の空論。実際にあの子を見ていて、紙面どおりの結果に見える?」

依姫は少し考えた。日常の中で会話をする時、訓練をしている時、任務を終えて帰ってきたとき。様々な場面のレイセンを思い出す。共通して言えることは、どの場面でも会話に波風が起きたときが無いということだ。

「……メンタル面に、少し問題があるかもしれない。任務を、特に排除を任せた後に様子がおかしいときがあったかも」

「多分、隠しているのでしょうね。あの子、自分の精神くらい操作できるから」

「何故、そんなことを?」

依姫は疑問に思った。豊姫も、首を振る。

「分からないわ。所詮は兎の考えることだもの」

依姫は腕を組んで考え込んだ。自分の管理している月の使者でありペットであるレイセンに何か問題が起きることは使者全体の問題として問われることになるかもしれない。それは避けたいことだ。

「でもそんなことをしていれば、素の精神は変わらないのですから、磨耗し、壊れてしまうのでは」

そのときだった。洗面所の方から悲鳴に似た声がした。警備をしている体格の良い男が一声を掛け、扉の中に入る。

「すぐに確認してまいりますので、どうかお部屋から動かれないように」

そう言うや否や数人が屋敷の廊下を走っていった。依姫と豊姫は互いに顔を見合わせた。

「今の声……まさか」

席を立った依姫とは対照的に、外の喧騒とは全く関係が無い、とでもいうようにお茶を啜る豊姫。そして、口の中で笑みをつくり、呟いた。

「何か、壊したのかしらね?」

姉のわざとらしい言い方に、依姫は反論する気力もなく、ただ呆れた。




目が覚めた時、自分の身に覚えの無い場所が眼に映ったから、自分が何をしていて、どんな状況になっているのか理解するのに少し時間がかかった。

そうだ、私は確か洗面所に居たはずだ。

だが、今私が居るのは綿月様と共にお茶を飲む、居間の、長椅子の上。そして、顔の前には豊姫様……え?

「わっ……わっわっわ!?」

慌てて飛び起きようとして、足の踏み場所を違えて、尻餅をつく。
豊姫様がそれを見てお笑いになる。
私は何が起きたのか分からず、呆然としていた。

「あー面白かった。やっぱり、レイセンをからかうのは面白いわね、依姫」

「悪趣味ですよ、お姉さま」

口上では非難しているが、依姫様も少しだけ肩が震えていた。なんだか不意打ちを食らったようだ。

「あの、……私、一体?」

「ああ、ごめんなさい。ちょっと話をしたいのだけれど……ふふっ」

未だに笑いの収まらない姉に代わり、依姫様が代わりに質問をされた。

「覚えている限りでいい。何故あんなところで倒れていたの?」

言葉を返すべきか迷った。

月の使者とは本来、月に侵略する外敵を倒すことを念頭においているが、それのほかに、都の治安を守るために様々な仕事も行っている。
暗殺も、その内の一つだ。私はよく、その任務に就く事が多い。
周りから尊敬されたいからだ。トップであり、そして皆が断るような暗殺の任務をこなし、そして証拠も残さずに完璧な任務をこなす。そうして私は綿月様に目をかけてもらい、ペットになった。兎達の中で自分だけが優遇されているのだという愉悦と、私にしか出来ないのだという自尊心。それらは私にとって何よりも甘美なものだった。

私は自分に催眠を掛け、わざと狂気を呼び起こすことで任務に集中するようにしていた。
殺すことに余計な情はいらない。そして任務が成功すれば、綿月様は褒めてくださる。
そんなことをしていれば、いつかは狂気に呑まれ、壊れてしまう。その事をわたしは理解していながらも、やめることが出来なかった。

だから、話すわけにはいかなかった。そんな自分勝手な理由で倒れたなどとは。
結局、私は臆病な兎でしかないのだ。

「……まあ、話したくないならいいわよ。それで周りに迷惑がかからなければ」

依姫様は深く追求はされなかった。
私は安心しようとしたが、その後に聞いた言葉はその安堵した心を再びざわつかせるのには十分な効果を持っていた。

「……近々、戦争が起こるわ。あなたには、兎達の指揮を執ってもらいたいのだけれど、頼めるかしら?」

……戦争?指揮?私は突然言われたことに気が動転した。
私は自分の置かれている状況が分からなくなった。
一体、何の話をしているのだろうか。

「あの、戦争とは?」

「文字通りだ。地上の民が攻めてくるようだ」

依姫様が説明をした。数刻前に月面に地上からの飛来物が到着し、中から地上の民が現れたという連絡が入ったらしい。つまり、月に地上の民が侵攻しつつあるということだ。
今は向こうの動きもまだ見えないため、今の内に作戦を練っている最中だという。

また、殺すのだろうか。
そうなるなら、私は鏡の前で再び狂気に身を落とし、銃を相手へと向けることになる。

「……あの、少し考えさせていただけませんか?」

許しを得て、私は考える猶予を与えられた。私は床から立ち上がり、一度部屋を後にする。
そして、私は決心をした。

逃げ出そう。もう自尊心なんてどうでもいい。

戦場を見たことは無いが、人の死なら今までに何度も見てきた。
そして、殺したはずのものが少し気を抜いた時、寝ている時、食事をしている時にさえ私の傍に現れるのを私は何度も見てきた。
殺した者は私の肩に、足に手を伸ばし、掴み、語りかける。いつか私もそれらの仲間になってしまうのかと考えると、心臓をわしづかみにされたような、嫌な息苦しさを感じる。

どうせ他にも逃げ出す兎はいるはずだ。一人くらいいなくなったとしても誰も何も言わないだろう。
私は酷く楽観的にそう考えた。そうでも思わなければ精神が安定しないようだった。
屋敷の蔵へと向かう、見張りはいたが、私に気が付くはずは無い。蔵に鍵はかかっていなかった。中から一反の布を取り出す。それを纏い、地面を蹴り、黒い空へと飛ぶ。
去り際に口から無意識に言葉が漏れた。何故、私はこんなことを言ったのだろう。後になってそう思うような言葉を、私は口にした。

「ごめんなさい」

質量をなくした私は空へと溶けていった。


普通の人間ならば一度入っては二度とは出られないと言われている迷いの竹林。
その竹林の中に、昔の貴族の屋敷のような建物があった。建てられた当時から少しも形を変えず、その場所に在り続けることから、その建物は永遠亭と呼ばれていた。

千年以上も前に、ある月の罪人たちが使者の手を逃れ、ここに逃げ込んだ。
そして、その場所に昔から居た地上の妖怪兎たちと契約をし、屋敷の周りに人を近づけないことと月の賢者による秘術で、追っ手をかわし続けている。

屋敷の中へと駆け込む小さな影があった。そしてその小さな影は自分よりも二回りは大きな影を見つけると竹林で得た情報を伝えた。

「お師匠様、竹林に空から何かが落ちてきたみたい」

「空から……。ねえ、それって布のようなものだったかしら?」

「あ、よく分かったね。もしかして知り合いって事?」

大きな影は少し考える。

「どうかしらね」

わざとはぐらかすように言う。それだけで小さな影は言わんとすることを察し、周りにいた配下の兎たちを呼び寄せ、動かす。この小さな影は数千年は生きている妖怪兎であり、妖怪兎たちのリーダーでもある。名前を因幡 てゐと言った。

「全く、お師匠様は怖いお人だと思わせられるよ」

てゐが率直な感想を漏らす。師匠と呼ばれた人は少し微笑み、立ち上がり、部屋に立てかけてある弓を持つ。それを見て、てゐが驚く。

「お師匠様が、直接出ることもないと思うけど?」

「まあ、保険のようなものよ」

部屋に立てかけていた弓の弦を張る。二、三度弦の音を鳴らし、不具合がないか調べると再び立てかけ、弓を引くための弓懸けを手に巻き始めた。今までにもこういうことが何度かあったのか、その手つきは手馴れており、数分としない内に再び立てかけた弓を持ち、外へ出る。眼には感情が篭っていなかった。見るもの全てが無機物に映るような表情の無い目、例えその場に誰が居たとしても躊躇無く相手を殺すことの出来る眼だ。

「じゃあ、行ってくるから手はずは整えておいて頂戴」

てゐが敬意の無い返事で応える。この妖怪兎は、実のところ師匠と呼んではいても心底尊敬していて師匠と呼んでいるわけではない。そして、それを師匠と呼ばれた方も理解している。
弓を持ち、竹林の中の建物を去るこの者の名は、八意 永琳と言う。自らの罪の贖罪のために地上へと降りた月の賢者である。
月では聞いたことの無い音。
無数の葉が重なり、揺れる音。穢れを持った生き物達の鳴き声。
私は蔵から月の羽衣を見つけて持ち出し、それをつけた瞬間に一度意識を失った。
五感は正常なことを確認しながら、ゆっくりと意識を戻した。
うつ伏せになった身体を持ち上げようとする。だが、上がらなかった。いや、上げられなかった。何かが突きつけられている。先の尖った器物、竹のようなものが軋む音もする。多分、弓矢だ。

「動けば、死ぬわ。動かずに私の問いに答えなさい」

何者かが私に殺気と共に話しかけてきた。この殺気は脅しではなく本物だ、と私の経験と勘がそう言っている。私は大人しく声に従うことにした。だがそれと同時に手足の感覚に異常がないかを確かめる。悟られないように足と手の先へと力を込める。大丈夫そうだ、相手のどこかに隙があれば直ぐに抜け出せる。

「まず一つ目。あなたは月の使者?」

「……はい」

予想外の質問に反応が少し遅れた。何故、そのことを、そう問おうとして自分の生殺与奪権は向こうに握られていることを思い出す。おそらく、このような質問をするような相手が隙を見せるはずが無い。答えなければ、すぐに殺される。私はうつ伏せのまま、殺気を向けてくる相手の顔も見ないまま、質問に答え続けた。

「あなたは月の兎ね?」

次の質問は少し断定的だった。まるで、知っていることを改めて尋ねているかのような。

「はい」

「あなたたちのリーダーは?」

「綿月様です。姉の名は豊姫で、妹の名は依姫」

もし、この事が綿月様たちにばれたのなら、私は間違いなく殺される。他者に話していい情報は、自分の名前と所属している部隊だけだ。だがそんなことさえ、この殺気の前ではどうでも良いことになる。

「……なら最後の質問。あなたは月の都から地上に逃げた罪人を捕らえに来た?」

「……いいえ」

まさか、と思った。今の問いを知っている者は限られている。
地上に逃げた者を良く知る者か、地上に逃げた罪人かのどちらかだ。地上の民が出来る質問ではないはずだ。

「……あなたに敵対の意思がないことは分かったわ。顔を上げなさい」

殺気と、突きつけられていたものの存在が無くなった事を感じ、私は顔を上げる。深い赤色と同じくらい深い青色を基調とした服装。結ばれた銀色の髪。噂に聞いたとおりの容姿。千年以上も前に月から逃げ出したといわれている永遠の罪人。

「あなたは……」

名を呼ぼうとして、手で遮られた。

「月の都での名は、もうとうの昔に捨てたわ。今の私の名前は永琳。八意 永琳。もし名を呼ぶときはそう呼びなさい」

千年以上前に地上へと降りた月の賢者はそう言い、つがえていた弓と矢を収め、私のほうを見る。
私は驚くしかなかった。地上に来た瞬間に、逃げ出して千年以上経った後の月でも有名なこの方に会えるなどとは思っていなかったからだ。

「あなた、どうして地上に降りてきたの?」

未だに戸惑う私に永琳様が尋ねる。私は答えるかどうか迷ったが、結局口を開いた。

「……戦争から、逃げ出して来ました」

「戦争ですって?」

私の言葉に、永琳様は驚いたらしい。説明を求められ、私は話す。

「はい。地上の民が月へと侵攻してきたのです……それで……私は」

「臆病にも羽衣を盗み、月から逃げ出したというわけね」

そう言われて、改めて自分のしたことがどれ程罪悪感を覚えるような事かが分かった。
永琳様は鋭い言葉で私の所業を責めるように言った。

「月の使者として、恥ずべき行為ね。やはり、殺しておくべきかしらね」

永琳様はそう言い、弓へと手をかける。私は黙ったままその場に立ち竦んでいた。
許されるようなことではない。羽衣を盗み、敵前逃亡ともいえるような行為をとったのだ、例え今月へと戻ったとしても、処罰は免れないだろう。

「……と、思ったけど、止めるわ。もう私は月の使者のリーダーではないのだし」

永琳様は身を翻した。呆気にとられている私に背を向けたまま話しを続けた。

「……羽衣は私の身内が先に回収したわ。取り返したいのならついて来なさい。私の姿を見失えば、永遠にこの場所で迷い続けることになるから」

永琳様はそう言って歩き始めた。私は突然選択を迫られ、どうするかを考えた。
帰れないわけではない。玉兎としての通信回線はまだ生きているから、救援を呼べば迎えが来るだろう。だが、その後には厳しい処罰が待っている。

いっそ月に帰らず、永琳様にもついて行かず、地上で地上の兎に紛れて暮らすかとも考えた。地上の兎に扮する術なら知っている。そう一準思い、半歩にも満たない距離を後ろに踏み出そうとする。
だがその瞬間、悪寒を感じた。感じ取れる波長の流れが変わり、私の足は硬直した。これ以上足を後ろへ動かすのならば、命は無い。そう言っているかのようだった。
殺気が完全に無くなったわけではなかった。抑えていたのだ、波長を読むことの出来る私にも分からない程度に。

例え、月の使者のリーダーではなくとも、罪人である彼女には私を殺す理由がある。少しでも情報の漏洩を防ぐ為なら、兎の命の一つなど物とも思わないに違いなかった。

まるで、脅迫ね。

声や表情に出さず、私はそう思った。ついて行くしかないのだと理解させられた。
私は後ろにほんの僅かだけ動かした足を前へと戻す。

「賢い兎ね」

永琳様はそう呟くと、一定の速度で歩き始めた。私はそれを見失わないようについて行く。
竹林の中の道といえないような道を通っていく。一見、人や獣が通った跡の見えないようなところに、正しい道があった。確かに、ついて行かなければ迷っていたに違いないと、つい先ほど愚かな考えを持とうとした私は思った。

歩いていく内に、気配が増えていくのが分かった。竹が揺れ、獣の走る音。それらが近くなる。私は音がするたびに少し驚き、あたりを注意深く伺いながら永琳様の後を追った。

「大丈夫、ただの兎たちよ。害はないわ」

私の考えを見透かしたように永琳様から声をかけられる。
何故後ろを見ずにそんなことが分かるのかは不明だが、そこは経験のなせる技なのかもしれない。月の使者のリーダーの前任者であり、あらゆる薬を作り出し、医療の知識も深い彼女なら、玉兎の考えや行動など全てお見通しといっても過言ではないのかもしれない。

そんなことを考えていると、やがて前方に屋敷が見えてきた。
古い地上の建物でありながら、まるで新しく建てたばかりのような存在感を放つ屋敷があった。地上の建物でありながら、地上のものではないかのような印象を受ける。

そして私は永遠亭へとたどり着いた。
だが、私は長居をするつもりはなかった。せいぜい戦争が終わるまで、ここに匿ってもらえればそれでいい。相手を殺すということから逃げられれば。

半年もすれば戦争は終わるだろう。私はそう考え、この屋敷の一員として生活を始めることにした。



一月が、二月が、そして半年が経とうとしていた。

永琳様から地上での名前を貰った。鈴仙・優曇華院と言う名だ。他の地上の兎達からは今までと読み方は変わらないが、永琳様からの呼び名は変わった。

「優曇華院。少し手伝ってくれるかしら?」

私は返事をして永琳様の元へと向かう。優曇華院と呼ばれるたびに、私は少し奇妙な感覚を覚えた。まるで自分が月の者でなくなってくような感覚だ。私は地上に永遠に囚われているわけではないのに。
だが、私は地上での暮らしが好きになっていた。綿月様から話で聞いていた永琳様は思ったよりも寛大で、私が月からの追ってでないことが分かると、私のこともよく気遣ってくれた。しかし、師弟でありながらも、永琳様と綿月様は何か違うものを感じる。何か、というものが具体的には分からないが何か決定的なものが違うような気がする。

「ああ、来たわね。それじゃあこの器具を向こうに片付けてくれる」

私が命の保証と引き換えに行うことになったのは、永琳様の研究の手伝いだった。それも、機材の運搬や薬品の整理などのたいしたことの無い仕事ばかりだ。
てっきり、玉兎の通信で月の様子を探ることや危険な仕事を想像していた私にとって、拍子抜けするようなものばかりだ。

「……はい。分かりました」

「不満そうね、何か不明瞭なことでも?」

私は慌てて否定する。こういう所を見せられると、やはり永琳様というのは油断できない人なのだなあと考えさせられる。ちょっとした感情の揺れや歪みを見逃さない。
だがおかげで私も前と比べれば随分素直感情が表現できるようになったと思う。

「いえ、まさか。むしろもっと手のかかる仕事をさせられるかと思っていましたよ」

私は少し笑いながら答えた。素直に答える。ここまではっきり言ってよいものかと思い、波長を読むが不快は感じられない。むしろ好感さえ持ってくれたようだ、

「そう。なら丁度頼みたいことがあったわ」
永琳様が薄く笑う。私は何でも任せて欲しいとでもいうように胸を張った。

「竹林にある人間が住んでいるから、消してくれるかしら?」

私はその言葉を聞いて硬直した。
一瞬、何を言われたのかを理解できずに問い返す。

「……消すというのは?」

「相手が生き物なら殺すと言ったほうが適切かしら」

結局、逃げることは出来ないのか。
私は全身から血の気が引いていくのを感じると共に諦めに似たような感情を持った。
例え地上に降りたとしても、私の能力を知ればさせる事はやはり変わらない。それを自分で活かそうと思った時もあるけれど、私は耐えられなかった。

「……………………。」

長い沈黙だった。
私が自分の運命からは逃れられないと悟ったときに永琳様が先に口を開いた。

「冗談よ」

「……は?」

自分でも素っ頓狂な声が出たと思う。
その反応を見て、永琳様は首を傾げる。

「あら、面白くなかったかしら?地上ではこのような冗談を言うと聞いていたのだけれど」

絶対に間違った認識だと言いたかったが、あえて言わないことにした。言ったとしても、月の民のセンスはどこかずれているような気がするから。

「じゃあ、これ向こうに運べばいいのですね。行って来ます」

そう私は言い、その場を後にする。永琳様はまだどこか不服そうな顔をしていたが、気にしないことにした。



永琳は鈴仙が部屋から離れていくのを確認すると、机の引き出しを開け、中から鈴仙・優曇華院と書かれた紙を取り出した。その紙に、何かを万年筆で書いていく。
足音が廊下に響く。その足音で誰かを判断した永琳が、声をかける。

「てゐ、ちょっと来て頂戴」

「ん、何?仕事なら助手に任せれば?」

面倒くさいことは全てお断りですと、てゐは話の前に釘をさす。
だが永琳はそれを承知でてゐに話を進める。

「その助手に対してしてほしい事があるのよ。出来るのなら、是非お願いしたいのだけれど……」

てゐは、永琳がいつもより下手に出ていることに気がついた。
二人の関係は、以外にもドライなものだ。てゐは永琳の事を「お師匠様」と呼ぶが別に尊敬などしていないし、言うことも聞くわけではない。このように永琳がてゐに対して下手に出て頼みごとをするなど、普段はありえないことだ。

「随分あの月の兎に入れ込んでいるみたいだけれど、何かあるの?」

「いいえ、あの子と私は別に関係はないわ。私が関係あるのは、あの子が月の使者で、私が元はそこの指導者だったということ」

「……いまいち、よく分からないけれど。具体的に何をすればいいの?」

「あら、やってくれるの?」

「内容と報酬によるけれど」

「なら簡単よ。あの子を元気付けてほしいの。慣れない地上の生活で気が滅入っていると思うから」

「……嘘ではないけど本当の目的ではないってところね」

その言葉を聞いて、永琳は嬉しそうに微笑む。この地上の兎の察しの良さを評価してのことだ。

「あの子、ちょっとした病気なのよ。そしてその病気を治すためにはあなたの助けが必要なの。引き受けてくれるかしら?」

てゐは腕を組み、首を傾げる。判断を決めかねているという仕草と同時に、あともう一押しを追加させる無言の要求である。

「後で兎たち全員にお酒を振舞いましょう。それでどうかしら」

「……まあ、それで手を打つわ。別にあの子のことは嫌っているわけではないし、あの子はからかい甲斐があって面白いもの」

てゐは、まるで新しいおもちゃを与えられたような子供のような笑いをした。いつもは外見ではなく内面に合わせたような態度しか見せないため、永琳はてゐがそんな表情が出来ることに少し驚いた。てゐはそれに気が付くと、直ぐに表情を元に戻し、質問をした。

「それで、その病気ってなんなの?感染する病気なら勘弁してよね」

健康に気を使い、妖怪にまでなったてゐにとって、病気は恐ろしいものだ。人間の病気ならばいざ知らず、今回は同じ兎同士であるため、警戒も強い。

「病気と言えば病気だけれど、あなたが思っているようなものではないわ。名称はPTSD、本当の名前は外傷後ストレス障害というのだけれど」

聞き慣れない単語を聞き、戸惑うてゐを見て永琳は説明を一度飲み込み、分かりやすく説明し直した。

「……まあ、言ってしまえば強いトラウマね。それを思い起こさせるようなことが起こると幻聴や幻覚が見えることもあるわ」

「うへー、面倒くさい。……でもそんなことよく分かったね」

「多分、生死に関わることに対して、敏感なのだと思うわ。私の僅かな緊張を見逃さずに行動を変えるなんてこともしていたし、会話でも殺すという単語に対しては強い不快感を示していたわ」

「誰かを殺して逃げてきたとでも?よくそんなのを匿っているわね」

「『殺す』なんて事は、月の民はそこまで深く考えたりはしないわ。邪魔な存在だと感じたら速やかに排除する。地上の民と月の民の考えの違いね」

永琳があっさりとそう言ったので、本当に命を奪うことなど造作もないのだろうとてゐは思った。

「まあ、やれるだけやってみるよ。なんだか私も少し興味がわいてきたしね」

てゐはそう言い、永琳のいる部屋を後にしようとする。

「てゐ」

永琳が、ふと去り際のてゐに声をかけた。
てゐの足が一瞬立ち止まる。
「ありがとう」

永琳は感謝の言葉を述べた。てゐは顔を見せずにそのまま立ち去っていった。

一人の部屋で、永琳は自分の今までを思い出していた。
蓬莱の薬を作り、輝夜はそれを服用した。そのことに責任を感じた永琳は地上に落とされた輝夜と共に永遠を生きることを誓った。贖罪のため。永琳はそう思い、輝夜と共にいる。
月から逃げ出してきた兎。まだ永琳が月の使者の指導者であった頃にも、PTSDの患者はいくつか見たことがあった。そしてそれらを完全に治療することの難しさもよく心得ている。
だからこそ、自分が不在によって治療が出来ないまま地上へと逃げ出してきたこの月の使者に対しては、いくらか責任感を感じていた。
自分が蓬莱の薬を作らなければ、地上へ降りることが無ければ、逃げ出すこともなかったはずの兎の病を治すことは、自分の使命だと考えていた。

(少し我がままみたいだけれど……いえ、これは私の使命。責任よ)

そこで永琳は、初めて治療を終えた後のことを考えた。鈴仙は、月へと帰るのだろうか、それとも処罰を恐れて地上へと残るのだろうか。自分の願望を考えようとしたとき、ふと自分が無意味な考えをしていたことに気付き、冷静になる。

(……それからのことは、あの子が決めればいいことね)


宙吊りにされ、穿いているスカートが翻り、下着が見えそうになるのを必死に手で押さえる。そしてその姿を見て再び笑い出すてゐ。
鈴仙はとうとう、怒った。

「待ちなさい!あんたにも同じ目に味あわせてあげるんだから!」

「やーだよ。悔しかったら追いかけてみれば?」

てゐがそう言うと、鈴仙は薄く笑い、右手で手刀の形を作り、体をくの字に曲げて自分を吊るしている縄を一閃する。
決して細くは無い縄が切られ、鈴仙は空中で受身を取りながら着地する。

今まで笑い転げていたてゐから、余裕の表情が消える。

「さあ、覚悟しなさい」

鈴仙がそう言い終える前に、てゐは既に逃げ出していた。
鈴仙はそれを追い、縁側から外へと飛び出す。

薄暗い竹林の中では目立つ薄いピンクの服を着た素兎を月の兎が追う。
足の速さでは鈴仙の方が勝ってはいるが、てゐの方がこの竹林の地形には詳しいため、なかなか距離を縮めることが出来なかった。
何度か見失いそうになりながらも竹林の中のてゐを探し出し、追い続ける。

葉が茂る道を行き、竹の間を抜け、不意にてゐの足が遅くなる。そして開けた場所へと出る。

互いに息を切らしながら、鈴仙はてゐに問うた。

「はあ……か、観念した?」

「は、ははっ。ねえ、何でここがこんなに開けた場所になっているか分かる?」

鈴仙はそう言われて辺りを見回した。そして自分が追い詰めたのではなく、この場へと誘い込まれたのだという事を知る。
てゐが指を鳴らして何かの合図をする。
ざわざわと葉がこすれあい、その中からてゐの配下である兎達が顔を出す。

(しまった…!)

咄嗟に逃げ道を探し出そうとするが、既に遅く、鈴仙は兎たちに囲まれていた。

「さあ、みんな」

てゐが腕を振り上げ、鈴仙は身構えて襲撃に備えた。
そして、てゐの口から号令を下す。

「宴会よ!酒も団子もたんまり用意してあるから遠慮なくやって頂戴!」

「……へ?」

兎達が歓喜の声を上げる。
いつの間にか、目の前にはてゐの言うとおり、大量の酒と団子が並べられていた。そしててゐは既に地面に座り込み、酒といくつかの団子を口の中に含んでいた。

「さ、あんたもこっち来なよ」

兎たちに押され、鈴仙はてゐの隣へと座らせられる。
鈴仙は渡された容器にてゐから酒を注がれ、戸惑いながらてゐの方を見る。

「飲まないの?」

てゐが少し上気した顔で上目遣いに鈴仙へ問いかける。
鈴仙は何かを言おうとしたが口の中で苦虫を噛み潰したような顔をすると、その言葉を飲み込むように酒を飲んだ。

「ぷはっ、あーもう何だか全然訳が分からないわよ」

「分かんなくていいわよ、楽しめれば」

「大体あんたが、私に」

「あんな古典的な罠にかかる挙句誘い込まれていることにも気づかなかったのは誰だったかしらウサ」

わざと挑発するように言うてゐに対し、鈴仙は言い返すことが出来なかった。
代りに、てゐから酒の瓶をひったくり、それを一気に飲み干した。瓶をさかさまにし、喉を鳴らして飲む様を見て、てゐは少なからず感嘆の声を漏らした。

「……こうなっひゃら、全部飲み干してやるんらから、覚悟しらさい!……うぷ」

豪快な一気飲みを見せた鈴仙は既に酔っているのか、言葉に呂律が回っていなかった。
その様子を見て、てゐが笑い、そして訳が分からなくなった鈴仙もそれに釣られて笑う。

ひと時ではあったが、鈴仙はその間全てを忘れることが出来た。
笑い合い、酒を飲み、少し悪態をつき、その反応さえおかしく再び笑う。

酒が尽きる頃には、周囲の兎も含めて全員が大の字に倒れていた。

「ん……。あれ、えーと……あたた、頭が」

頭の痛みと身体のだるさで、自分が飲んでいたことを思い出す。
鈴仙は重い自分の身体の上半身だけを起こした。
意気込んでいたものの早々と倒れた鈴仙は、他の者よりも回復が早く、鈴仙以外は未だに飲み倒れていた
ふと、下のほうへと視線をやる。
てゐが、鈴仙の膝に頭を乗せて寝息を立てていた。

(こいつは……全く)

人を散々からかった挙句に勝手に膝を枕にするそのふてぶてしさに呆れながら、てゐを起こさないように注意した。

(まあ、確かに楽しかったけれど)

あのように笑えていたのは、もうどれくらい前のことだろうか。
鈴仙はそう思い、自然なウェーブのかかっている黒髪の少女を見た。
寝息を立てている姿は見た目の歳と相応で、とてもではないが、この顔が悪態をつき、悪戯をするとはとても思えない。てゐの頭に、優しく手を乗せた、そのときだった。

(……レイセン……レイセン……!聞こえる?)

鈴仙の体が強張った。聞いたことのある声を受信した。月の使者で同僚だった者だ。訓練で相手をしたこともあった。
鈴仙は返答すべきかどうか迷った。
ここで、答えるべきか。

(聞こえていてもいなくてもいいから、戦況を伝えるわ。第一、第二前線部隊はほぼ壊滅。地上の奴ら、やっぱりこういう事は手馴れているみたい……)

よく聞けば、爆音や発砲音のようなものも聞こえてくる。鈴仙は通信に答えようと口を開くが、その前に通信から爆音がした。

思わずその音に身がすくむ。耳に直接響く音は鈴仙の中の恐怖を呼び起こし、開きかけた口を無理やり閉じさせる。

(……っつう。あはは……、もうここまで来られたか。しかし私もヤキが回ったかしら。こんな……聞いているかも、生きているのかも分からないような相手に最後の通信を送るなんてね)

銃声と共に、悲鳴が聞こえる。それらの悲鳴は、鈴仙が殺してきたものたちと同じ、死ぬ間際の叫び声だ。鈴仙は聞いていることが苦しくなり、思わず目を伏せる。

(……ねえ、もしあなたが生きているのなら……私は……あ……ああ)

絶え間の無い銃声。通信は切れた。

「う……ん?あ、鈴仙……起きていたんだ」

鈴仙の膝の上の重みが、声を発する。だが、鈴仙はそれに応えることはない。

「行かなきゃ」

ぼそりとそう呟き、てゐの頭を膝からどける。
先ほどの鈴仙のように戸惑いながら、てゐは鈴仙を見る。
鈴仙の表情は酷く虚ろで、あれだけ飲んで騒いだ楽しい様子は、欠片ほども残っていなかった。
鈴仙は急に走り出した。
竹林に響く虫の声も、獣の声も、呼びかけるてゐの声も、鈴仙には聞こえていなかった。



どこへ向かうというわけでもなく、ただ走り続けていた。
逃げて、いるのか、それともどこかへと向かっているのか、自分でも分からず、ただ走り続けた。
自分はどこに居ればいいのか、分からなかった。
月か、地上か。
昔地上の童話でこんな話を聞いたことがある。

ある一匹の蝙蝠がいた。
その当時、獣と鳥は争っており、蝙蝠は戦況によって自分の立場を変えた。
そして争いが終わったとき、獣からも鳥からも相手にされなくなった蝙蝠は、生き物達が動かない夜に生きるようになったのだという。

月から逃げ出した兎が、地上からも逃げ出して、一体どこへと向かえばいいのだろうか。

どこでもない。向かうべき場所などどこにも無い。

私はその内、走ることをやめて立ち止まった。途方にくれ、膝を折る。
胸の内から寂しさがこみ上げてきた。
そして同時に、恐怖も。

「……嫌だ……嫌だ……」

声がする。自分が殺してきたものたち。そして、仲間達の悲鳴。
眼に映るのは、かつての仲間が血だまりに倒れている姿。そして、その中には自分もいる。

私も、一緒に死ねばよかったのだろうか。月に残り、自分を狂わせ、銃を取る。
だけど、私は。そう思い直そうとすると、血だまりの中の私が額から血を流しながら私の足を掴む。
(私も……一緒に……)

声がする。
私は指を銃の形にし、頭のこめかみに向けた。いつもは使わないが、兎一匹の命くらい、これで十分だ。
死を前にして、落ち着いた気分だった。これで、恐怖から逃れられる。

「……ん……」

誰かが何かを言っている。別にどうでもいいことだ。

「いん……どげいん」

声がはっきりと聞こえだした。五月蝿い。この声は折角落ち着いた心をざわつかせる。
私の決意を揺るがせる。

「うどんげいん、優曇華院」

何か叫んでいる。これは、確か。
記憶の隅へと追いやられた言葉。これは、私の名前だ。
永琳様が授けてくださった、私の地上での名前。

「鈴仙・優曇華院、帰ってきなさい!あなたの帰る場所は、ここよ!」

力強い言葉が聞こえ、私の意識は現実へと引き戻された。
私は、一体、どうしたのか。
玉のような汗が吹き出る。息が荒い。

後ろから、足音が聞こえた。

てゐ?最初はそう思った。だが、てゐの足音とは重さが違った。
月の賢者がそこに立っていた。

私はそこで、自分が何をしていたのかを理解した。
私は逃げようとしていた。てゐの元から、仲間の声から、そして、永琳様から。
逃げ出した兎の末路は一つ。
だが、怯えはしなかった。一度は捨てようとした命だ。今更どうなろうと、大した違いは無い。

「……帰ってきたようね」

「……え?」

永琳様が私に近づき、地に膝を着いている私の視線に合わせるためにしゃがむ。

「あなたの、帰る場所は、どこ?」

「私の……帰る……場所?」

答えが出ない。違う。出掛かってはいるが、出せない、の間違いだ。
なぜならそれは自分の願望であり、そして自分勝手な欲望だからだ。

「私の帰る場所は……」

「ここでしょう」

私は顔を上げる。永琳様の優しい顔がそこにあった。

「ここは地上。月の罪人たちが送られる穢れにまみれた牢獄。脱走したあなたが、月に帰ったとしても待っているのは処罰だけよ」

でも、私は……。

「月で戦争が起こっていたとしても、あなた一人が戻ったくらいでは何も変わらないわ」

考えていた意思を読まれたかのように、永琳様に事実を突きつけられる。
そうだ、何も変わりはしない。例え私が戻ったとしても、救える命など有るかどうかさえ分からない。

「だから、あなたはここに残りなさい。残って、私たちと共に暮らしなさい」

すがっても、良いのだろうか。
地上に、永琳様に。甘えることになるかもしれない。
臆病な私は役に立たないかもしれない。
そんな私の考えを払拭するかのように、永琳様は私の頭へと手を伸ばし、そっと髪の流れる方向になでる。

「臆病な兎さん。私は医者よ、医者は何でも治せるの。だからあなたのその心も」

私の胸を指差す。
私は、泣いていた。涙腺が熱くなる。涙の雫が頬を伝う。
顔を覆い隠すように、永琳様が私を腕の中へと引き入れる。その腕が優しくて、暖かくて、私はまた涙を流してしまう。

いろんなことが胸から口へとあふれ出す。殺すことがつらかったこと。でもそれは自分の見栄のためにやっていたということ。仲間が大勢死んだこと。私だけが生き残ってしまったこと。そして、様々なものから逃げ出したこと。

永琳様は黙って、私の話になっていない言葉の羅列を聞いてくれた。
そして、腰のあたりから、何かを取り出す。

「自分自身を見つめること。それは誰にとっとても言える大事なこと。ほら、これを見なさい」

私はゆっくりと顔を上げ、差し出されたものを覗き込む。

光を反射するそれには、くしゃくしゃに泣いた跡のある兎の顔が映っていた。







外は日に日に寒さを増していき、毛布を増やしても朝の寒さを逃れることは難しかった。
暖房器具のあるどこかの店ならともかく、永遠亭はその広さゆえに、暖房器具があったとしてもほとんど意味を成していなかった。
その中で、鈴仙は布団を頭からかぶり、暖から逃れられずにいた。

「れーいせんっ」

勢いのある言葉と共に、鈴仙の布団の上に重みが加わった。
布団の中で叫び声を発する鈴仙を、その重みの主は満足げに眺める。
そして、布団の中身の頭が外気に触れると同時に、すばやく離れた。

「ぷはっ、うわ寒い。……てゐ、あなたもう少し起こし方ってものがあるでしょうが」

「冬だろうがなんだろうが早起きをしない鈴仙が悪い」

鈴仙はそれ以上強く言い返すことが出来なかった。
早起きに損なことは無いため、むしろ起こしてくれたことに感謝しなければならないくらいだからだ。

「それに今日は鈴仙にとって大事な日なのに」

「え……?」

寝起きの回らない頭で、鈴仙は今日が何の日だったかを考える。
だが、答えは出ず、てゐは答えの出ない鈴仙を見て意地の悪い笑みで「えー、信じられなーい」と呟く。

「……分かった、答えを出すから少し時間を頂戴」

そういって、鈴仙はてゐを押しのける。寝巻きから普段着に着替え、洗面所で身だしなみを整える。

(髪が長いと少し邪魔ね……少し髪型でも変えてみようかしら)

そんなことを考えながら鏡に向かい、櫛を髪に通す。
髪をすき終えるとしっかりとネクタイを結ぶ。

居間へと歩いていく途中、何匹かの兎たちとすれ違う。本来は夜行性だからか、眠そうにしている兎を多く見かけた。
その中に一匹、何かを持っている兎がいた。
その兎が、こちらに向かい、駆けて来る。

「え、何?これが落ちていた?竹林に?」

手渡されたのは、桃だった。
鈴仙はその時、今日が何の日なのかを思い出した。

(ああ、そうか……今日は)

手渡された桃を持ち、居間へと再び歩きだす。

(私が月から逃げ出して、私が師匠やてゐたちと出会った日、か)

問いの答えが見つかり、鈴仙はどうしようかと考えた。
分からない振りをして悪戯兎の反応を見て逆に楽しみ、ささやかな仕返しをしてやるか、それとも正直に答えるか。

鈴仙・優曇華院・イナバの足どりは軽かった。
自分勝手な兎が逃げ出した。ただ、それだけの、話。
金欠
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2010/11/06 23:56:55
更新日時:
2010/11/06 23:56:55
評価:
19/20
POINT:
106
1. 5 たて ■2010/11/12 01:38:57
鈴仙はそもそも何の為に「殺し」をしていたのでしょうか。
月で答えることから逃げても、またいつか同じ問いに直面するような気がします。
そのとき、鈴仙は自分の居場所を守れるのでしょうか。

鈴仙に幸あれ
2. 8 iiyasu ■2010/11/15 12:42:20
最初はごちゃごちゃしていてなんだこれ?と思いましたがそういう意図だったと分かりました。お見事だと思いました。
3. 8 ■2010/11/16 23:13:11
ここまで深く鈴仙の過去に触れたのは意外となかったかも。ちょっと読みづらい部分もあったけれどよかった。
4. 6 ななし ■2010/11/16 23:34:09
鈴仙が感情を取り戻していくさまが丁寧で良かったです。
しかし永琳もてゐもキャラ立ちしていたのに姫様は影も形もないとは……。
5. 8 但し魔法は尻から出る ■2010/11/17 09:14:03
少々読みにくい文章のような気もしましたが、内容は非常に読みやすかった。
6. 3 パレット ■2010/11/20 00:47:04
 うーん……本当に、自分勝手な兎が逃げ出した、ただそれだけの話だった印象。そのまんますぎてちょっと物足りなかったです。
7. 5 tuna ■2010/11/25 14:31:11
レイセンが地上に降りる経緯と彼女が立ち直るまでの糸口を掴むまでが、淡々と描かれ過ぎてさっぱりしている印象です。何処かに重さがおかれていると深みが出たかも。
ラストの桃を手渡されるシーンが良かった。
8. 6 Kakukaku ■2010/11/26 13:50:40
面白い構成の仕方だと思いました。ただ読みにくい。
9. 3 asp ■2010/11/29 11:53:39
 あっさりしているというより、"説明不足"に片足突っ込んでいる印象です。設定とかは面白いのですが、ストーリーをコンパクトにしすぎていて消化不良。もう少し地上での鈴仙と永遠亭を描いて、その絆とかを描写した方が良かったように思ったり。魅力的な部分は多いのですが。
10. 7 yunta ■2010/11/30 22:51:43
執筆お疲れ様でした!

臆病な自分を狂わせるという発想が面白いですね。
ウドンゲ健気だ……。
11. 6 とんじる ■2010/12/02 15:20:38
 場面の切り替わりが唐突にかんじるところがちらほら。
 三人称で語られていた場面から、一行もスペースを挟まずに一人称へ切り替わるという部分があったため、混乱させられた。
 いや、そもそもこのように複数の視点を借りなければ描けないような話で、鈴仙だけ一人称にこだわる理由があまり感じられなかった気がする。

 しかし、それ以外は整った文章で読みやすかったです。
 
 最後はきちんと永遠亭という場所を自分の生きる場所と認識し、一応のハッピーエンド。この終わり方というか、カメラの引き方がすっと綺麗で、それゆえ読後感が良かった。すっきり読み終われました。
12. 3 ケンロク ■2010/12/07 13:17:25
要所要所、整合性が取れてない、ってか展開が急って言うか……。
あれだけ“綿月姉妹に仕えるのが誇りです”って言っててすぐに“よし逃げ出そう”っていうのはさすがに急じゃないかなぁ、って思いました。
13. 7 リコーダー ■2010/12/09 02:12:33
程よい緊張感を感じながら読めました。容量に比して短く感じましたが、思い出してみれば中身は濃かった。
姉妹は逃げ出した兎の事をどう思っているのか。結局鈴仙のPTSDは治ったような治らないような、なのか。全ては宙ぶらりんのまま。そこがまた鈴仙らしい。
14. 5 ニャーン ■2010/12/11 20:42:09
同コンペの長編作品に、似たような展開で似たような結論を出したものがあり、どうしても比べてしまいます。
相対的に点数は低くなってしまいました。ごめんなさい。
15. 1 八重結界 ■2010/12/11 20:52:18
文章がちぐはぐで、キャラクターに入り込めませんでした。
16. 4 deso ■2010/12/11 21:17:29
薄いなあ、という印象です。
例えば、鈴仙が月にいた頃の苦悩など、ただ説明してあるだけで生っぽさが足りません。
また、鈴仙が己を殺してまで自尊心とか立場に拘ってたわりに、戦争と聞いてあっさり逃げてしまうなど、感情の切り替わりが早すぎてついていけない場面がちらほら。
結局、うまく乗り切れませんでした。
17. 7 gene ■2010/12/11 22:57:35
作者氏の内的世界を垣間見たような気がしました。
わざわざ通信してきた月の兎は、鈴仙に何を伝えようとしたんだろう。それが気になります。
しいて言えば輝夜の晴れ姿も見たかったです。イナバと名づけるエピソードとか……。
18. 8 もなか ■2010/12/11 23:24:52
ただの一体の兎としか見られていなかった鈴仙が永遠亭の一員になる話、読ませて頂きました。
とにかくキャラクターの会話が自然な印象を受けました。
キャラクターの持ってる感覚というか感性がいかにもという感じで羨ましい限りです。
ストーリーも終始破綻なく展開されていたと思います。
全体を見て不足がないことから、8点を付けさせて頂きました。
19. 6 兵庫県民 ■2010/12/11 23:30:39
記念日に桃を渡すのが良いなと思いました。
得点は、こんなところで。
20. フリーレス 金欠 ■2010/12/12 12:49:49
評価、感想ありがとうござました。
あとがきのようなものをここで書きたいと思います。
まず姫様について。最初は名前についての云々を入れようかと思っていたのですが、それについては先人たちが多様な解釈をしていらっしゃるのでわざわざ私がする必要もないかなあと。その部分は自分の好きな作品を脳内で保管していただくのが正解かと。
それよりも自分でしか出来ないような発想をしてみたかったというのがあります。尚且つギャグに走らず突拍子も無くは無く。

一人称と三人称をあえて混ぜて書きました。こういう書き方って二次創作ならではだと思うんです。ただ、原稿のときはもっと空白部分とか罫線とか引かれていて分かりやすかったのに、こっちに移したときに変換されてなくて、それで変える時間も無くてあーーーー、となってしまい、非情に分かりにくい文章になってしまったと思われます。言い訳ですね。すみませんw

しかしここまでジャンルが被る作品が多いとは思わなんだでした。ほうげっしょーは作品としては難易度ルナ以上ですけれど二次創作の側としては永遠亭組の幅が拡がったっていう感じですね。

受験勉強もあるので他に作品が投下できるかどうか分かりませんが、それでもまだまだ書き続けたいと思います。
それでは重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございました!
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